第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「私達は、お客様に満足していただける最高の商品とサービスを追求し、情熱を持った行動を通じて、心豊かな生活環境の実現に貢献します。」を経営理念として、当社グループの主力商品である「CSセット」の提供を中心に事業活動を行っております。お客様のニーズに合った商品及びサービスの提供を行うことにより、競争力を一層強化するとともに、株主の皆様、従業員なども含めたステークホルダーの期待に応えることにより、企業価値の最大化を図ることを基本方針としております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、経営理念に掲げる「心豊かな生活環境の実現」に向けて、介護医療関連事業(CSセット)を展開しておりますが、今後は、将来的な行政施策の変更や法改正、または新規参入業者の出現といった諸々の事業リスクにも適宜・適切に対応していくことが必要不可欠と考えております。

 中長期的な経営戦略としては、当面はCSセットの全国シェア拡大に注力してまいります。CSセットの利用者や病院その他関係者が求めるサービスとなるよう改善を継続し、一人でも多くの方にCSセットをご利用頂けるよう営業展開をいたします。また、新たな付加価値の開発も重要な課題です。CSセット利用者の個人情報や病院その他関係者との強固な関係を用いた新規ビジネスへの参入を事業提携・M&Aを含めて推進していきます。また、事業規模の拡大、売上高の増加に伴い、人件費等の費用面が増加しておりますが、システム化を含めた生産性の向上にも取り組んでまいります。

 さらに、インドや東南アジア諸国等、著しい経済成長を遂げている新興国における事業展開についても積極的に検討してまいります。

 

(3)経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新たな変異株の出現による感染再拡大がありましたが、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の浸透やその後の行動制限の緩和などにより、社会活動が緩やかに再開し、回復の兆しがみられました。その一方で、ウクライナ情勢を受けた世界的な資源価格の高騰及び日米の金利差拡大を背景とした急速な円安の進行を起因とする物価上昇など、わが国経済に大きな影響を与える事象も依然として存在しており、先行き不透明な状況は依然として継続しております。

 当社グループが属する医療・介護業界につきましては、2023年1月1日現在、65歳以上人口が3,621万人、総人口の29.0%(総務省統計局人口推計-2023年1月報-)を占めるなど高齢化が確実に進行しており、当社グループに係るサービスの市場規模はますます拡大するものと思われます。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループの主力事業であるCSセットは、「衣類、タオル類の洗濯サービス付きレンタルと日常生活用品の提供を組み合わせたサービス」であり、お客様の「困った」を解決し、「笑顔」を届けるサービスです。

 当社グループを取り巻く今後の経営環境につきましては、老齢人口の増大に伴い、医療・介護業界の市場規模全体の伸び率が継続的に拡大する方向で推移することが予想されるものの、決して楽観できる状況とは考えておりません。今後の行政施策の変更や法改正が当社グループ事業に多大な影響を及ぼす可能性、また当社グループの業態に類似した新規参入業者の出現など外部環境の変化により、競争が激化することも考えられます。

 当社グループといたしましては、そのような外部環境の変化の中にあっても、さらなる事業規模の拡大を推進し、中長期的に企業価値を向上させるべく、第6次中期経営計画を策定して、以下の点に注力していくこととしております。

 

① 全国的な営業網整備と事業継続対応

 当社グループは、2022年1月に金沢支店の分割、2022年10月に松本支店、2022年11月に松山支店を開設いたしました。松本支店及び松山支店の開設により、長野県及び山梨県内並びに愛媛県及び高知県内において、地域に密着したより細やかで迅速なサービスを提供することができるようになりました。

 当社グループは、過年度からの計画的な拠点開設及び大規模支店の二分割化の結果、2022年12月末時点で全国27ヶ所の本支店網となり、これらの本支店から全国の病院及び介護老人保健施設等に対して、CSセットの営業活動を進めております。今後も新たな支店又は営業所を開設し、営業拠点から施設までの距離を短縮し、迅速かつ細やかなサービスを提供するための体制を整備してまいります。

 さらに、世界規模で進行する気候変動の影響により、我が国でも台風や豪雨、豪雪による災害が増えることが予想されます。火山列島特有の大規模地震災害のリスクも懸念されます。また、新型コロナウイルス感染症に代わる新しい感染症の流行にも備える必要があります。これらの災害リスクやパンデミックによる社会経済活動の停滞リスクは、当社グループにとっても重要な事業リスクであり、これらのリスクに適切に対処することが重要であると認識しております。平時の段階から、物流機能の強化及び在庫の備蓄、情報システム強化、バックオフィス業務の地域分散化及び早期復旧体制の構築等を進めることが重要です。大規模災害やパンデミック等の事業リスクが顕在化しても安定的に事業継続を図ることができるよう、グループ一体となって体制を整備してまいります。

 

② システム化の促進による収益性の改善

 CSセットは、サービス提供を行う施設ごとに各種の仕様決定を行うオーダーメイドタイプのサービスです。そして、CSセットに対するニーズの多様化に伴い、施設に常駐の受付スタッフを配置することや、日常生活用品の納品業務を外部委託すること等が求められるようになりました。このようなニーズの多様化に伴うコストの増加並びに近年の人件費の上昇及び物価高騰に伴う仕入価格の上昇により、売上原価率が押し上げられる傾向にあり、さらに、CSセット利用者数の増大に伴うバックオフィス業務量の増加により、売上高販管費率が押し上げられる傾向にあります。

 当社グループは、中長期的な企業価値の向上のためには、システム化の促進が必要不可欠な施策であると認識しており、グループ内の各種業務のシステム化を積極的に推進することで生産性の向上を図り、利益率の改善に取り組んでまいります。

 また、今後は、医療機関のデジタル化を促進する電子カルテ事業に参入するなど、AIやIT技術を活用した新たなビジネス展開の可能性を探ってまいります。

 

③ 顧客満足度の向上

 当社グループのお客様は、病院の入院患者や介護老人保健施設等の入所者である個人です。このため、当社グループとしては、当該個人の顧客満足度を高めることが重要な課題であると認識しております。

 例えば、当社グループでは、定期的にお客様アンケートを実施し、顧客満足度を調査するとともに、顧客満足度を高めるために、顧客対応業務を行っている株式会社エランサービスにおいて、クレジットカード決済等の支払方法の多様化や外国人からの問い合わせに対応した電話対応の多言語化等を実施しております。また、コンタクトセンターの営業時間のさらなる拡大(キクミミサービスについては24時間対応)を行うなど、顧客満足度の向上に積極的に取り組んでおります。

 当社グループは、引き続き、お客様であるCSセット利用者の顧客満足度の向上に向けた取り組みを推進してまいります。

 

④ 新事業開発と海外展開

 当社グループの主力事業であるCSセットは、お客様の「困った」を解決し、「笑顔」を届けるサービスであり、継続的に品質の向上に努めてまいりました。

 今後は、さらにお客様へ「笑顔」を届けるべく、キクミミサービスの拡充、当社のオリジナル患者衣「lifte」の普及拡大、退院セット等の在宅時サービスの提供などを展開し、付加価値のさらなる向上を図ります。

 また、お客様の生涯を通して必要なサービスを展開するプラットフォームの創出等、新たな事業の開発に注力するとともに、経済成長の著しい諸外国における海外事業のビジネスモデル確立に向けた取組みにも注力してまいります。

 

⑤ 人材の育成とグローバル人材の登用

 当社グループは、従業員の成長なくして企業の成長はなく、当社グループが永続的に成長するためには、従業員の教育、育成による従業員の成長が必要不可欠な重要な課題であると認識しております。先輩従業員から直接指導を受ける実践型の人材教育(OJT)に加え、より短期間で優秀な人材を育成すべく、新卒採用者への教育プログラムとしてのメンター制度の確立や中堅・幹部従業員向けの各種研修を行っております。

 また、今後は、グローバルに活躍できる社員の育成及び登用が重要と考えております。グローバル人材の積極採用を開始するとともに、計画的にグローバル人材の育成を行い、海外展開を担う次世代リーダーへの登用、多様な人材が活躍できる組織づくりに注力してまいります。

 

⑥ SDGs・ESGへの対応

 当社グループは、社会的な重要性が高まっているSDGs・ESGへの対応が重要な経営課題であると認識し、「私達は、お客様に満足していただける最高の商品とサービスを追求し、情熱を持った行動を通じて、心豊かな生活環境の実現に貢献します。」との当社グループ経営理念の下、SDGs・ESGに係る諸施策を実施してまいります。

 環境面では、当社グループが提供するCSセットの普及拡大を通じて、ご家庭の電気や水の消費量を抑制するなどの環境負荷の低減に貢献します。

 社会面では、少子高齢化の進展や単身世帯の増加という社会的課題に貢献するCSセットをさらに普及拡大させるとともに、従業員の雇用拡大と成長促進、公的団体を通じた寄付などによる医療・福祉への貢献、障害者の積極的な採用と継続的な雇用維持、スポーツ・文化振興を通じた地域貢献などに取り組みます。

 ガバナンス面では、当社グループの取締役会及び経営会議の実効性を高めるとともに、当社グループが事業活動を通じて社会的課題の解決に貢献し、環境・社会・経済の各側面から地域社会とともに持続的な発展を実現するサステナビリティ経営を推進してまいります。

 

(5)サステナビリティへの取り組み

 当社は、「お客様に満足していただける最高の商品とサービスを追求し、情熱を持った行動を通じて、心豊かな生活環境の実現に貢献します。」との経営理念のもと、事業活動を通じて社会に貢献することにより、持続可能な社会の実現を目指します。当社はサステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置づけ、サステナビリティ経営を推進することで、事業を通じた「社会課題の解決」と「企業と人の成長」の両立を実現するため、2023年3月1日付でサステナビリティ委員会を設置いたしました。

 サステナビリティ委員会は代表取締役社長 社長執行役員COOが委員長となり、業務執行役員及び次世代を担う幹部社員が委員となって活動し、サステナビリティに関する基本方針の策定、マテリアリティ(重要課題)の特定、各部会の活動計画や目標設定ならびにその進捗管理、そして、それらの情報開示に関する事項等の審議及び業務指示を行い、定期的に経営会議に対して、報告及び提案を行います。

 当社グループは、多くの入院患者及び施設利用者の生活に影響を与える事業を展開しており、当社サービス利用者の増加に伴い、当社グループの果たすべき社会的責任は年々高まっているものと理解しております。当社グループが社会の持続的発展を踏まえたうえで、中長期的な企業価値向上を図っていけるよう、サステナビリティ委員会では、人的資本や気候変動をはじめとする複数の重要課題を検討し、中長期的な経営戦略への反映等の取り組みを進めてまいります。また、多くのステークホルダーに対する情報開示も当社の重要な役割であることから、人的資本開示や気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応等のサステナビリティへの取り組みに関する情報開示の充実化を図ってまいります。

 

(6)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高営業利益率及び営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。売上高の増大を図りながら徹底したコスト管理を行い、付加価値の高い商品及びサービスを提供していくとともに、売上債権を確実に回収する体制を構築・維持し、売上高営業利益率の向上及び営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 また、以下の記載は、投資判断に影響を及ぼすすべてのリスクを網羅するものではないことにご留意ください。

 

(1) 他社との競合について

 当社グループが行う介護医療関連事業については、当社グループの株式上場及び業容の拡大等により、サービスとしての認知度が増したことにより、入院セットに対するニーズの高まりとともに、当社グループ同様に入院セットを主たる事業とする他業者のほか、その他病院・介護関連の事業者なども当社グループ同様のサービスを提供することにより、市場が活性化しつつあるものと認識しております。

 当社グループは、引き続きCSセットサービス利用者に対する質の向上と、リネンサプライ業者及び日常生活用品等販売業者等との良好な関係を維持・向上することに努めてまいりますが、当社グループに比べ、資本力、知名度、顧客基盤に優れる会社が新規参入する等他社との競合状況が激化した場合には、既存顧客の喪失や収益力の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 商品の安全性について

 当社グループでは、CSセットの利用者に対し、寝巻き、タオル等のレンタルや紙おむつや身の回り品の販売を行っております。リネンサプライ業者については、医療関連サービスマーク(注)取得の有無や洗濯工程における衛生面の確認など安全性には十分な配慮をしておりますが、何らかの理由により提供したこれら物品に重大な問題が発生した場合は、当社グループへの損害賠償請求や当社グループに対する信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(注)「一般財団法人医療関連サービス振興会」が、良質な医療関連サービスに対して認定を行っているものです。

 

(3) 特定の取引先との取引について

 タオル類・衣類等の洗濯物やその他消耗品としてCSセットサービスにより提供する物資についてはリネンサプライ業者等から洗濯業務の提供と商品の供給を受けております。CSセットサービスの展開は、既にその病院・介護老人保健施設等において寝具などのリース、洗濯業務を行っている既存のリネンサプライ業者等と提携することを基本としている為、市場シェアの高いリネンサプライ業者等との取引割合が高くなる傾向にあります。これらリネンサプライ業者等とは相互協力関係にあり、良好な関係の維持に努めておりますが、リネンサプライ業者等の事業方針や当社グループとの関係等に変化が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループはCSセットサービスにより提供する消耗品(日常生活用品)の配送、納品作業、在庫管理等の物流業務の一部を、当社グループの運営ノウハウを用いて特定業者へ外部委託しておりますが、当該外部委託先の事業方針や当社グループとの関係等に変化が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 新規導入施設への導入計画が想定どおり進まないことによるリスク

 当社グループは、2003年5月のサービス開始以来、病院・介護老人保健施設等を対象にCSセットサービスを提供してまいりました。営業エリアの開拓にあたっては、新規に営業拠点を配置し、当該拠点を中心に新たな施設への提案・導入を行っております。

 今後も、当社独自の営業活動のほか、提携しているリネンサプライ業者等との連携等によって、新規の契約施設の獲得に努めていきますが、当社グループにおける人材面・物流面等の問題や提携先との関係変化等が生じた場合、あるいは、感染症等の長期間の流行により病院や介護老人保健施設等に対する営業活動を自粛せざるを得ない場合には、新規導入施設への導入計画が想定どおり進まず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 売上債権の貸倒に関するリスク

 当社グループが提供するCSセットの利用者は、病院・介護老人保健施設等に入院、入所する個人です。CSセットの利用代金は、原則として後払いですが、必ずしもその全てが回収できるとは限らず、利用料金の一部について滞留及び貸倒れが発生します。病院・介護老人保健施設等の窓口において利用申込みが行われますが、申込み時に利用者個人の信用能力の調査を行うことや経済力が乏しい個人からの利用申込みをお断りすることは現実的ではなく実施しておりません。また、利用中や退院・退所後に経済状態が悪化されることやお亡くなりになることもあります。

 当社グループでは、今後の請求件数の増加に耐えうる債権回収体制を構築し、回収能力を向上するよう努めるとともに、貸倒れによる損失に備えるため、貸倒引当金の計上を行っておりますが、利用者の経済状態の変化や当社グループの債権回収体制構築の遅れ等によって、多額の不良債権が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 各種規制について

 当社グループは、病院の入院患者や介護老人保健施設等の入所者に対して医療保険や介護保険制度の対象とならない独自のサービスとしてCSセットを提供しております。当該事業を行うにあたって必要となる許認可、免許、登録、行政指導等はありませんが、サービス提供の場である病院や介護老人保健施設等は、医療法、健康保険法、介護保険法等の法律や厚生労働省等の行政・所管官庁による指導・規制のもと運営されていることから、当社グループにおいても各種規制について特段の注意を払っております。

 しかしながら、医療法、健康保険法、介護保険法等の法令の改正や、行政指導の運用の見直し等が行われ、当社グループが何らかの対応を余儀なくされた場合や、これらに対応できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 個人情報の管理について

 当社グループは、介護医療関連事業において、利用者の個人情報を入手しており、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられております。当社グループでは、個人情報の取扱と管理には細心の注意を払い、社内でのルール化やその手続きの明確化・徹底化を図っております。また、2009年3月に、一般財団法人日本情報経済社会推進協会の発行するプライバシーマークの付与認定を受けております(2023年3月更新)。

 しかしながら、個人情報管理に関する全てのリスクを完全に排除することは困難であり、個人情報の漏洩等のトラブルが発生する可能性は否定できず、かかる事態となった場合には、損害賠償請求や信用の低下等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 今後の事業展開について

 当社グループは、事業基盤の拡大と収益の安定化を図り、成長を加速させるために、介護医療関連事業で培ったノウハウを活かせる関連・周辺事業への積極展開を推進していく予定です。新規事業展開にあたっては慎重な検討を重ねたうえで取り組んでまいりますが、当該事業を取り巻く環境の変化等により、当初の計画通りの成果が得られない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 人材の確保と育成について

 当社グループが今後事業をさらに拡大し、成長を続けていくためには、優秀な人材の確保が重要課題となっております。こうした人材の確保が計画通りに進まなかった場合、あるいは、人材育成が計画通りに進まず、重要な人材が社外に流出した場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 気候変動に関するリスク

 国際社会において気候変動問題は、早急な解決が求められる重要な社会課題として認識されており、世界全体で脱炭素化に向けた取り組みが進められています。日本においても、猛暑日の増加、豪雨被害の頻発等の気候変動の具体的影響が生じており、ESG投資の加速や炭素税の本格的な導入が議論されるなど、気候変動及びその対策が企業経営にもたらす影響は一層増大することが予想されます。

 当社グループといたしましては、このような経営環境であることを踏まえ、環境規制や関連法規等の遵守は当然として、気候変動などの環境問題への対応を重要課題として捉え、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に沿った情報開示への取り組みや環境保全、環境負荷低減に努める活動など、リスクの低減に向けた取り組みを開始する予定です。しかし、気候変動は年々深刻さを増しており、将来、気候変動を主因とする不測の事態や環境規制への適応が極めて困難な事象が発生する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概況

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a. 経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新たな変異株の出現による感染再拡大がありましたが、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の浸透やその後の行動制限の緩和などにより、社会活動が緩やかに再開し、回復の兆しがみられました。その一方で、ウクライナ情勢を受けた世界的な資源価格の高騰及び日米の金利差拡大を背景とした急速な円安の進行を起因とする物価上昇など、わが国経済に大きな影響を与える事象も依然として存在しており、先行き不透明な状況は依然として継続しております。

 当社グループが属する医療・介護業界につきましては、2023年1月1日現在、65歳以上人口が3,621万人、総人口の29.0%(総務省統計局人口推計-2023年1月報-)を占めるなど高齢化が確実に進行しており、当社グループに係るサービスの市場規模はますます拡大するものと思われます。

 こうした環境の中、当社グループは、介護医療関連事業の主力サービスである「CS(ケア・サポート)セット」をより普及・拡大させるために、当連結会計年度に営業を開始した松本支店(長野県松本市)及び松山支店(愛媛県松山市)を含めた全国27ヶ所の本支店から、営業活動を施設(病院及び介護老人保健施設等)に対して展開してまいりました。

 これにより、当社グループにおける当連結会計年度の新規契約の施設数は290施設、契約終了施設数は44施設となり、当連結会計年度末のCSセット導入数は、前連結会計年度末より246施設増加し2,060施設となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は36,264,883千円(前期比14.6%増)、営業利益は3,391,238千円(同21.2%増)、経常利益は3,411,896千円(同21.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,082,698千円(同9.3%増)となりました。

 なお、特別損失に投資有価証券評価損376,637千円を計上しております。これは、2020年から続く新型コロナウイルス感染拡大による営業活動制限等の影響で、当社投資先の業績が計画値を下回った結果、当該投資有価証券の1株当たり純資産額が大幅に減少することになったため、当該投資有価証券の減損処理を行ったものであります。

b. 財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、16,072,150千円となり、前連結会計年度末と比べて2,124,349千円増加しました。

 このうち、流動資産は14,075,718千円となり、前連結会計年度末と比べて1,945,734千円増加しました。これは主に、現金及び預金が403,972千円、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は売掛金として表示)が355,498千円、未収入金が900,652千円、商品が173,390千円増加したためであります。

 一方、固定資産は、1,996,431千円となり、前連結会計年度末と比べて178,614千円増加しました。これは無形固定資産が12,949千円、投資その他の資産が28,826千円減少したものの、有形固定資産が220,390千円増加したためであります。

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、7,082,441千円となり、前連結会計年度末と比べて618,364千円増加しました。このうち、流動負債は7,011,890千円と前連結会計年度末と比べて594,826千円の増加となりました。これは主に、未払消費税等が101,673千円減少したものの、買掛金が699,485千円増加したためであります。

 固定負債は、70,551千円と前連結会計年度末と比べて23,537千円の増加となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、8,989,708千円となり、前連結会計年度末に比べて1,505,985千円の増加となりました。自己資本比率は前連結会計年度末から比べて2.2%上昇し、55.9%となりました。

 純資産合計の増加は、主に利益剰余金の増加によるものであり、株主に対する配当金の支払い545,391千円が生じたものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上2,082,698千円により利益剰余金が1,537,307千円増加したためであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ403,971千円増加し、6,011,732千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は1,581,443千円(前期比524,755千円の収入減少)となりました。法人税等の支払いで1,081,977千円の資金が減少したものの、年間を通じた営業活動により2,663,358千円の資金が増加しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は624,513千円(前期比266,835千円の支出増加)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出210,766千円、有形固定資産の取得による支出318,395千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は552,958千円(前期比61,191千円の支出減少)となりました。これは主に株主への配当金の支払554,748千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループの事業セグメントは、介護医療関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(1)生産実績

 当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

介護医療関連事業

36,264,883

114.6

合計

36,264,883

114.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

a. 財政状態

(資産・負債)

 当社の資産、負債の大部分を占める現金及び預金、売掛金、未収入金、貸倒引当金、買掛金の年度別残高推移は以下のとおりとなっております。

(単位:千円)

回次

第25期

第26期

第27期

第28期

第29期

決算年月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

売掛金

2,477,293

2,779,071

3,279,413

3,891,204

4,246,702

未収入金

1,180,556

1,697,463

1,765,497

1,957,416

2,858,068

貸倒引当金

△357,801

△431,490

△441,059

△486,903

△478,813

小計

3,300,049

4,045,043

4,603,851

5,361,717

6,625,957

買掛金

2,745,825

3,340,056

4,157,946

4,868,493

5,567,979

差引

554,223

704,987

445,904

493,223

1,057,978

現金及び預金

3,057,392

3,472,071

4,497,677

5,632,051

6,036,023

合計

3,611,616

4,177,058

4,943,582

6,125,275

7,094,002

 当社の主力サービスであるCSセットを導入する施設が順調に増加するとともに、利用者数が増加していることを背景に、売掛金、未収入金、買掛金の各期末残高も増加傾向となっております。

 一方で、請求回収業務の運用改善を継続することで、売掛金、未収入金の回収サイトの短縮化が図られ、現金及び預金は増加傾向にあります。このことから、当社グループのキャッシュ・フロー獲得能力は年々、向上しているものと考えております。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、8,989,708千円となり、前連結会計年度末に比べて1,505,985千円の増加となりました。自己資本比率は前連結会計年度末から比べて2.2%上昇し、55.9%となりました。

 また、自己資本利益率は、前連結会計年度に比べ、2.6%低下し、25.3%となりました。

 

b. 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ14.6%増の36,264,883千円となりました。これは、当連結会計年度に営業を開始した松本支店(長野県松本市)及び松山支店(愛媛県松山市)を含めた全国27ヶ所の本支店から、当社グループの主力サービスであるCSセットを全国に普及・拡大させるために営業活動を施設(病院及び介護老人保健施設等)に対して展開した結果、本サービスを導入する施設が1,814施設から2,060施設と順調に増加したことによるものです。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ14.6%増の27,237,759千円となりました。これは主に、売上高拡大に伴い商品仕入が増加したことによるものです。

 当連結会計年度における売上総利益率は前連結会計年度と同様、24.9%となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上総利益は前連結会計年度に比べ14.6%増の9,027,124千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ11.0%増の5,635,885千円となりました。従業員数の増加による給与手当の増加及び法定福利費の増加、請求件数等の増加に伴う通信費、外注費の増加などの増加要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響及び社内におけるコスト削減の取り組みにより、販管費率は前連結会計年度に比べ0.6%低下し、15.5%となりました。

 この結果、当連結会計年度における営業利益率は前連結会計年度に比べ0.6%上昇し、9.4%となり、当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ21.2%増の3,391,238千円となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度の営業外損益は、営業外収益27,826千円、営業外費用7,168千円となりました。

 この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ21.1%増の3,411,896千円となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の特別損失は投資有価証券評価損を計上したため、376,637千円となりました。

 当連結会計年度の法人税等合計は、952,560千円となりました。

 この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ9.3%増の2,082,698千円となりました。

 

c. 経営戦略の現状と見通し

 当連結会計年度(2022年12月期)は、2020年12月期を初年度とする中期経営計画期間(以下「当中期計画期間」といいます)の最終会計年度であります。当中期計画期間では「CSセット事業の国内普及・拡大と海外展開」、「入院セット関連業務受託事業の開始・拡大」、「海外展開を含めた新事業開発」の3つを経営戦略の主たる柱としました。

 当中期計画期間の3年間は、新型コロナウイルス感染拡大による想定外の企業活動制限の影響で、当初計画した経営戦略を実行できず、計画未達となった取り組みもある一方で、企業活動が制限されるという環境下でも、主力事業であるCSセット事業の成長拡大及び将来のさらなる成長につながる取り組みを積極的に行いました。

 具体的には、沖縄支店、千葉支店、松本支店及び松山支店の開設により、CSセット事業の営業網拡大を図るとともに、CSセットR・CSセットLCの導入拡大を進めました。また、CSセットの商品を自社で配送する自社物流を運用開始させ、自社配送件数を順調に増やし、CSセット事業の新たな強みにつながる取り組みを行いました。

 さらに、当社と株式会社エルタスクとの合併や株式会社琉球エランの設立により、グループ体制の見直しによる経営体質強化を図るとともに、株式会社エランサービスを含めたグループ各社がそれぞれの強みを活かして事業を推進しました。株式会社エランサービスは、同社の強みである個人請求・カスタマーサポート業務を他社から受託する新たな事業を開始し、徐々に事業規模を拡大させております。株式会社琉球エランは、沖縄県内に根差した企業として、沖縄県内のCSセット拡大に注力し、順調にCSセットの導入件数を増やしております。

 新事業開発では、キクミミサービスの開始、クラシコ株式会社との共同によるオリジナル患者衣「lifte」の開発、退院時に紙おむつ等を販売する退院セットの開発、電子カルテ事業の開発を進めました。

 海外展開については、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で、活動が停滞し当初計画に比べて進捗が遅れたものの、インドにおいてリネンサプライ業を営むQuick Smart Wash Pvt. Ltd.に対する投資を皮切りに、同社との関係強化及びインドにおけるヘルスケアビジネスの市場調査に着手しました。

 コーポレート・ガバナンスについては、2020年3月から、監査等委員会設置会社への移行及び執行役員制度の導入を行い、経営の監督機能と執行機能を明確に分けることで、ガバナンスの強化を図りました。

 2023年12月期から始まる次期中期経営計画期間は、これらの取り組みをさらに進化させ、当社グループのさらなる事業拡大に向けて活動してまいります。

 国内事業については、当中期計画期間において開始した各種の取り組みをさらに推進し、CSセット事業の付加価値向上と競争力強化を図り、さらなる事業規模の拡大を図ります。

 海外事業については、投資先企業とのより一層の関係強化を図り、インドにおける事業展開を本格的に検討してまいります。また、インドに次ぐ新興国での事業展開を見据えて、積極的な成長投資を検討してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b. 資本の源泉及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な資金需要としては、人材投資、システム投資及び新規事業投資が挙げられます。

 人材投資については、今後の契約施設数の増加を見据えて、引き続き、従業員の採用を計画しており、これによる人件費の増加を見込んでおります。システム投資については、規模の拡大に伴い、効率的な事業運営へ変化させるためのシステム化の推進に取り組んでまいります。また、新規事業投資については、新たな収益の柱を構築するため、新規事業の検討を積極的に進めてまいります。

 上記の各資金需要に係る財源は、当面、営業キャッシュ・フローを基礎とした自己資金を考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計方針は、本書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますので、あわせてご参照ください。

 当社グループの連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債、収益・費用の報告及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。その見積りは、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づく合理的と考えられる様々な要因を考慮して行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、固定資産の減損損失の判定、繰延税金資産の回収可能性の判定における今後の経営成績及び将来キャッシュ・フローの見積りでは、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は今後、当連結会計年度と同程度の影響が継続するとの前提に基づいて会計上の見積りを行っております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。