第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する」ことを企業理念とし、世の中の人が幸せになるサービスや事業を創造していくことを目指しています。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、上述の企業理念に基づき「無駄のないスマートな社会の実現」というビジョン達成に向けた三つ目の通過点として、売上高1,000億円を目指す「SHIFT1000-シフトワンサウザンド-」を策定いたしました。

創業以来、製造業における業務改善コンサルティングの知見を持って、ソフトウェア開発分野における属人化された業務のプロセスを変革し、開発エンジニアとテストエンジニアの分業を進めていくことで開発エンジニアが開発工程に集中し、開発に専念できる環境を整備するなど、ITエンジニアの働き方を変革してまいりました。

「SHIFT1000-シフトワンサウザンド-」では、売上高3,000億円を見据えた顧客のポートフォリオを確立し、人事基盤を強化することで人材データベースを進化させ、より顧客ニーズに応えられるサービスラインナップの拡充とともに、M&Aの規模をさらに拡大させてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するため、売上高成長率、営業利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標とし、親会社株主に帰属する当期純利益や加重平均資本コスト(WACC)を念頭に経営をしております。

 

(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループは、今後のさらなる成長を実現する上で、以下の事項を経営課題として重視しております。

① 営業展開について

総務省及び経済産業省による「2019年情報通信業基本調査」によると、わが国において主としてソフトウェア業を営む企業の売上高は15兆5,296億円と試算されております。また、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が公表する「ソフトウェア開発データ白書2018-2019」によると開発工程に占めるテスト工程の割合は、約33%とされており、当社グループの対面するソフトウェアテストの市場規模は約5兆円と推定されます。

しかしながら、依然として顧客企業内においてソフトウェア開発者がテスト工程の業務を行っているのが主流であり、ソフトウェアテストのアウトソース需要は拡大傾向にあるものの、日本国内で顕在化しているアウトソース市場は小規模なものにとどまっております。

当社グループは、この潜在的な5兆円の市場に対して、既存の労働集約的なサービスではなく、仕組化・標準化されたソフトウェアテストサービスを提供することにより、顧客のニーズを喚起し、アウトソース市場を掘り起こしてきました。

さらに、エンターテインメント業界から、金融・流通業界まで、あらゆる企業へのサービス展開を目指すべく、営業体制の強化を図ってまいります。

 

② サービスラインナップの強化

当社グループは、独自に標準化・仕組化されたノウハウに基づきソフトウェアテストを提供しており、その対象分野は、特定の業種業態にとらわれない幅広い分野を対象としつつ、テストの対象もスマートフォン向けの小規模なアプリケーションから金融機関の基幹システムなどの大規模なものまで、規模や開発言語・手法にもとらわれない幅広いものとなっております。

今後さらに事業規模を拡大していく上では、各業界における高度な業務知識の拡充、多様化する開発手法へ対応したサービスラインナップの強化が重要な課題であると認識しております。

こうした課題に対応するため、プロジェクトマネージメントやコンサルティングスキルに長けた専門性が高く優秀な人材の確保、育成を進めてまいります。また、柔軟な組織体制を構築し、より専門性の高いチーム編成を行うことで、網羅的なサービスラインナップ強化を進めてまいります。

加えて、IT業界における各機能を当社グループ内に網羅的に備えることで、品質保証事業を軸に、お客様のあらゆるニーズに対応できるようになると考え、M&A活動を積極的に推進することによる、サービスポートフォリオの拡充にも取り組んでまいります。

 

③ 人材採用力の強化

当社グループは、それまで開発者が行ってきたテスト工程を、開発者以外であっても実行できるように、作業工程の徹底的な標準化を行うことでIT人材以外の人材を採用してまいりました。また、IT業界における知識や経験の豊富な人材の採用も同時に行ってまいりました。

1,000億円企業を目指すにあたっては、上述の営業展開やサービスラインナップの強化を進めるため、各分野のスペシャリストの採用が早期に取り組むべき課題であると認識しております。

こうした課題に対応するため、従前の採用手法だけにとどまらず、動画面接やリファラル採用の強化等のあらゆる採用手法を積極的に取り入れ、採用体制の強化を進めてまいります。

 

④ 海外展開

海外のソフトウェア開発市場は日本よりも大きく、また、ソフトウェアテストのアウトソース市場の顕在化も進んでおります。

そのため、当社グループにおけるサービスの海外展開は長期的な成長を実現するために取り組むべき課題であると認識しております。当社グループでは、海外子会社を設立し、日本で培ったソフトウェアテストのノウハウに基づき、コスト競争力に優れたリソースを利用したサービスの開発を進めております。こうしたサービス提供の準備が整い次第、北米などの主要なソフトウェア開発市場へ進出を図ってまいります。

 

⑤ 企業ブランドの醸成と新規事業展開

当社グループは現在ソフトウェアテストを中心とした事業展開を図っており、標準化された高品質なサービス提供によって業務アプリケーション領域におけるソフトウェアテストのリーディングカンパニーとしての地位を確立しつつあるものと認識しております。

一方で当社グループは、「新しい価値の創造」を目指し、世界中で通用するサービスを創造することを企業理念に掲げており、品質を軸として積極的な事業展開を行い、新しい価値を創造する企業としてのブランドを醸成していくことが重要な課題であると認識しております。

こうした課題に対応するため、収益の柱としてのソフトウェアテストの事業を拡大させる一方で、開発工程の上流からサービスを提供することで開発全体の品質保証を図るべく、M&A活動の積極的な推進等により領域の拡大を目指しております。

加えて、これまでの事業活動を通じて得たIT業界における「ヒト」「モノ」「カネ」に関する情報をもとに、新たなサービスの創出に取り組んでおります。

「スマートな社会」の実現に向けて、引き続き既存事業の拡大と新規事業の創出に取り組むことで、なくてはならない当社グループのポジショニングを強化してまいります。

 

 

⑥ 内部管理体制の強化

当社グループは、さらなる事業拡大を推進し、企業価値を向上させるためには、効率的なオペレーション体制を基盤としながら、内部管理体制を強化していくことが重要な課題であると認識しており、コンプライアンス体制及び内部統制の充実・強化を図ってまいります。

 

⑦ 新型コロナウイルス感染症対策の徹底

世界的に感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症については、従業員及びその家族、お客様、パートナー様の安全と健康確保を最優先に、柔軟かつ迅速な施策を実施する必要があると考えております。

これまでに実施してきた具体的な施策としては、手洗い・うがいの徹底、マスク着用の義務化やアルコール消毒の推進、全従業員へ毎日の検温測定と報告体制の構築による体調不良の従業員の即時把握、全社的な在宅勤務の推奨とそれに伴うウェブ会議の活用、執務室エリア内の衝立の設置、案件従事者が在宅勤務を実現できるような3段階のセキュリティ体制の構築とお客様への提案活動、また出社せざるを得ない従業員等に対する「危険手当」の支給などが含まれます。

引き続き感染拡大が続いている昨今の状況下において、お客様や社員等の安全確保を最優先に、関係各所と連携し適切に対応してまいります。

 

⑧ アフターコロナへの対応

新型コロナウイルスを契機に、ライフスタイルや価値観、そしてIT業界に変化がもたらされることが予想されます。それらの変化に対応し、「アフターコロナ」の社会においても成長を加速させるため、当社グループはこれまでの事業ポジショニングやブランディング、従業員の働き方を見つめなおし、必要に応じて変化させていきます。

従業員の働き方としては、基本的に在宅勤務を推進する一方、コミュニケーションを目的として週一回程度の出社を奨励しています。在宅勤務を前提としたエンジニアの採用を進めつつ、従業員総会、社内広報のオンライン化などにより、柔軟な働き方の提供と帰属意識の醸成の両立を実現しています。 

事業内容においては、ソフトウェアの品質保証を中核としながらも、その概念を拡大しました。従来どおりの「ソフトウェアテスト」に加え、「売れるサービスづくり」にもこれまで以上に注力するようブランディングを転換しています。お客様のビジネス成功にコミットすることで、従来より取り組んできた日本のIT業界の構造変革を促しながら、アフターコロナにおける当社グループのポジショニングをより明確化してまいります。
 
 

 

 

2 【事業等のリスク】

経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
 

当社グループは、これらリスク要因を認識した上で、その発生自体の回避、あるいは発生した場合の対応に努める方針でありますが、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、予見しがたいリスク要因も存在するため、投資判断については、本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ソフトウェアテスト市場の動向について

当社グループは、ソフトウェアテストサービスを中心とした事業展開を図っております。この当社グループが提供しているソフトウェアテストのアウトソース市場は、ソフトウェア開発会社の品質意識の高まりやIT人材不足等の社会的要請を背景に拡大傾向にあり、当社グループは、今後もこの傾向は継続するものと見込んでおります。

しかしながら、当社グループの期待どおりにソフトウェアテストのアウトソース市場が拡大しなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競争激化の可能性について

当社グループは、独自に標準化・仕組化した高品質なソフトウェアテストサービスにより、国内のソフトウェアテストアウトソース業務を提供する競合各社に対し、差別化を図っております。

しかしながら、ゲーム、スマートフォンアプリケーションなどのような、比較的シンプルなソフトウェアテスト業務の領域においては、テスト業務が労働集約的になりやすく、参入障壁が低いため、多数の競合事業者が参入しており、競合が生じております。

また、海外には多数のソフトウェアテストを専業とする会社が存在しており、そうした企業が日本国内に市場参入する場合、価格競争が激しくなる可能性があります。

当社グループは、自社のソフトウェアテストサービスの標準化・仕組化を推し進めることにより、競合各社に対して差別化を図れるものと考えておりますが、競争激化に対して十分な差別化が図られなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 人材の確保について

当社グループの提供するソフトウェアテストサービスでは、独自に開発した検定制度である「CAT検定」を経て採用された従業員等によって提供されているため、当社グループの認める水準をクリアした従業員等を安定的に確保することは非常に重要であります。そのため、当社グループは、継続的に従業員等を採用・教育し、また、協力会社との連携を強化することで、十分な人材の確保に努めております。

しかしながら、何らかの理由で業務上必要とされる十分な従業員等を確保することできなかった場合には、円滑なサービス提供や積極的な受注活動が阻害され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 契約不適合責任等について

当社グループでは、業務委託を中心とした契約形態でソフトウェアテストサービスを提供しています。ソフトウェアテストサービスの実施にあたっては、顧客企業に対して、ソフトウェアテストサービスはソフトウェア等に含まれる不具合等の全てを発見することを保証するものではなく、また、ソフトウェア等の完全性を保証するものではないことを十分説明するよう努めており、契約上も一定の免責条項等を規定しております。しかしながら、何らかの事情により当社グループが契約不適合責任あるいは損害賠償責任の追及を受け、賠償責任を負うこととなった場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 機密情報の漏洩について

当社グループの提供しているソフトウェアテストサービスにおいては、顧客企業よりソフトウェア等の開発に関する機密情報を預かるため、当該機密情報の外部漏洩のないよう従業員等と秘密保持契約を締結するとともに、指紋認証システムによる入退室管理、監視カメラによる24時間365日の監視等、様々な漏洩防止施策を講じ、また、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO27001:2005」(ISMS)の認証を取得し、情報の適正な取扱いと厳格な管理を行っております。

しかしながら、これらの施策にもかかわらず、何らかの理由により機密情報や個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループへの損害賠償責任の追及や社会的信用の喪失等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 労働者派遣法による規制について

当社グループが提供するサービスは、一部において実務作業者の派遣業態による提供を行っており、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)に基づく厚生労働大臣の「一般労働者派遣事業」の許可を事業所ごとに取得しており、同法の規制を受けております。

当社グループにおいては、法令遵守を徹底し事業を運営しておりますが、万一法令違反に該当するような事態が生じた場合、顧客企業からの信頼度が低下する等の可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外展開について

当社グループは積極的に海外におけるサービス展開の拡大を図っていく方針であります。しかしながら、海外での事業活動においては、予期せぬ法律または規制の変更、大規模な自然災害の発生、政治経済の変化、為替変動、商習慣の相違、雇用制度や労使慣行の相違、不利な影響を及ぼす租税制度の変更等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 新規事業展開について

当社グループは、「新しい価値の創造」を目指し、世界中で通用するサービスを創造することを企業理念に掲げており、ソフトウェアテスト以外の領域においても積極的な事業展開を行い、新しい価値を創造する企業としてのブランドを醸成していくことが重要な課題であると認識しております。こうした課題に対応するため、収益の柱としてのソフトウェアテストサービスを拡大させる一方で、既存事業との関連性、収益性、社会性、従業員の士気向上への影響等を考慮した上で、一定の割合を定めて新規事業に積極的に投資しております。

今後も企業理念に従い新たなサービスの創出と新規事業の展開を行う可能性がありますが、これらの活動は不確定要素が多く、事業計画を達成できなかった場合は、それまでの投資負担が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) M&Aについて

当社グループは、既存サービスの強化、グローバル展開の加速及び新たな事業領域への展開等を目的として、国内外におけるM&Aを事業展開の選択肢の一つとして考えております。

M&Aを行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について、弁護士・税理士・公認会計士等の外部専門家の助言を含めたデューデリジェンスを実施すること等により、各種リスク低減に努めております。

しかしながら、M&Aによる事業展開においては、当社グループが当初想定したシナジーや事業拡大等の効果が得られない可能性があることに加えて、新規事業領域に関しては、M&Aによりその事業固有のリスク要因が加わる可能性があります。これらに加えて、子会社化後の業績悪化やのれんの償却又は減損等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10) 配当

当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的配当を実施していくことを基本方針としておりますが、いまだ内部留保が充実しているとはいえず、創業以来配当を行っておりません。

当連結会計年度については、内部留保を確保するために、利益配当は見送りとしております。

内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用してまいります。

将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針であります。

 

(11) 代表者への依存について

当社代表取締役社長である丹下大は、当社グループの創業者であり、創業以来の最高経営責任者であり、当社グループの事業運営における事業戦略の策定や業界における人脈の活用等に関して、重要な役割を果たしております。

当社グループは、同氏への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成、採用を図っておりますが、現時点において同氏に対する依存度は高い状況にあると考えております。今後において、何らかの理由により同氏の当社グループにおける業務遂行の継続が困難となった場合、当社グループの事業運営等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) ストック・オプションについて

当連結会計年度末現在、ストック・オプションによる潜在株式は、1,183,500株であり、発行済株式総数15,940,500株の7.42%に相当しております。当社の株価が行使価額を上回り、かつ、権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化することになります。

なお、新株予約権の詳細は「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

(13) 新型コロナウイルス感染症について

当社グループでは、新型コロナウイルス感染症への対応として、衛生管理や検温の徹底、在宅勤務の推進等の感染防止活動を実施しております。しかし、今後さらなる感染が拡大し、終息までの期間が長期化した場合、市場の低迷、顧客の業績悪化による債権回収の停滞、現場への入場制限等によるプロジェクトの遅延、従業員への感染等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、当初、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しておりましたが、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に経済活動は停滞し、景気が急速に悪化したことから、先行きの不透明感が一層強まりました。

当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大防止にグループ会社一丸となって取り組んでまいりました。従業員の安心/安全を守る施策として全従業員へ毎日の検温測定と報告の徹底、全社的な在宅勤務の推奨、それに伴い案件従事者が在宅勤務を実現できるような3段階のセキュリティ体制の構築とお客様への提案活動、また出社せざるを得ない従業員等に対する「危険手当」の支給など、比較的早期から対策を講じてまいりました。

当社グループは、様々な業界のお客様にサービスを提供しているため、業績への影響は限定的なものとなっており、現時点の経済活動状況を前提とするとこの傾向は続くものと予想しております。

 

当社グループがサービスを提供するソフトウェア関連市場においては、社会全体に変革を起こすDX(デジタル・トランスフォーメーション)という概念が浸透し始めてきており、よりスピーディに実装とテストを繰り返して開発を進めるアジャイル開発や、既存のシステムを先進的な環境で新たにシステムを作り直して移転するマイグレーションの発展など、目まぐるしく市場が変化しております。

加えて、労働人口の減少と政府が掲げるデジタル改革のもと、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)、AI(アーティフィシャル・インテリジェンス)、IoT(インターネット・オブ・シングス)などの推進も加速することが見込まれます。また、いわゆる「三密」回避などの新型コロナウィルス感染症の防止策により、各種のネットワークやコンテンツのセキュリティレベルの見直しが図られる状況となっております。

こうした経営環境の中、当社グループでは当連結会計年度を売上高1,000億円企業に向けた、2つ目の通過点である成長戦略「SHIFT300 -シフトスリーハンドレッド-」の最終年度として位置づけ、既存顧客にむけた付加価値向上による売上規模の拡大、新たな業種の開拓、新たな採用手法の開発や採用母集団の拡大による採用力の向上を重点課題として取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末と比べ4,845,780千円増加し、19,821,109千円となりました。これは主に、買い増し等により投資有価証券が2,885,159千円増加し、連結開始によりのれんが1,819,435千円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債につきましては、前連結会計年度末と比べ3,002,339千円増加し、9,039,614千円となりました。これは主に、長期借入金(一年以内返済予定の長期借入金を含む)が1,814,234千円増加し、未払消費税等が555,982千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末と比べ1,843,440千円増加し、10,781,494千円となりました。これは主に、利益剰余金が1,648,692千円、その他有価証券評価差額金が133,842千円増加したこと等によるものであります。

 

 

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は28,712,177千円(前年度比47.0%増)、営業利益は2,353,376千円(前年度比52.8%増)、経常利益は2,535,129千円(前年度比64.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,648,692千円(前年度比69.9%増)となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(エンタープライズ市場)

当連結会計年度では、前連結会計年度より特にIT投資規模が大きい通信・保険業界などの各分野を注力業界として定め取り組んだ結果、長期的な関係構築を視野に入れたプロジェクトへの参画が進み、こうした新規顧客からの売上高が徐々に増加してまいりました。

この結果、当連結会計年度のエンタープライズ市場の売上高は25,994,799千円(前年度比49.6%増)、営業利益は4,448,657千円(前年度比5.0%増)となりました。

 

(エンターテインメント市場)

当連結会計年度では、競合との差別化を図ることによる業界内認知度の向上や、既存顧客からの売上高が増加したことにより、収益基盤の拡大を進めました。

この結果、当連結会計年度のエンターテインメント市場の売上高は2,717,377千円(前年度比26.2%増)、営業利益は430,334千円(前年度比7.6%減)となりました。

 

なお、当連結会計年度よりセグメント利益をより適切に反映させるため、全社費用の配分方法を変更しております。この結果、従来の方法に比べエンタープライズ市場及びエンターテイメント市場の営業利益はそれぞれ1,644,699千円及び162,952千円減少しております。

 

<セグメント別売上高>

セグメントの名称

2019年8月

前連結会計年度

2020年8月

当連結会計年度

前連結会計年度比

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

エンタープライズ市場

千円

千円

千円

17,378,649

89.0

25,994,799

90.5

8,616,149

49.6

エンターテインメント市場

2,153,310

11.0

2,717,377

9.5

564,067

26.2

合計

19,531,960

100.0

28,712,177

100.0

9,180,216

47.0

 

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は前連結会計年度末より2,167,222千円減少した結果、6,524,000千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは2,250,560千円の収入(前年同期は1,133,873千円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加634,589千円や法人税等の支払額832,943千円等の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益の計上2,535,129千円、減価償却費327,977千円、未払金及び未払費用の増加39,625千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは5,926,354千円の支出(前年同期は1,152,505千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出2,697,869千円や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,650,717千円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは1,510,923千円の収入(前年同期は6,247,891千円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出981,155千円や連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出316,049千円等の資金の減少要因があったものの、長期借入れによる収入2,600,000千円や株式発行による収入241,335千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループの提供するサービスは、受注から販売までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ一致するため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

エンタープライズ市場

25,994,799

49.6

エンターテインメント市場

2,717,377

26.2

合計

28,712,177

47.0

 

 

(注) 1.セグメント間の取引はありません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループにおける経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しており、新型コロナウィルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、28,712,177千円となり、前連結会計年度に比べ9,180,216千円増加(前年度比47.0%増)となりました。

これは、エンタープライズ市場・エンターテインメント市場の両市場において既存顧客が堅調に拡大したことに加え、特にエンタープライズ市場において新規顧客が増加し、グループ内における多様なサービスの組み合わせによる大型案件の獲得が順調に進み、売上高の成長を牽引したことが主な要因であります。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は19,762,042千円となり、前連結会計年度に比べ6,446,144千円増加(前年度比48.4%増)し、また、売上総利益は8,950,134千円となり、前連結会計年度に比べ2,734,072千円増加(前年度比44.0%増)となりました。売上総利益率については、当連結会計年度で31.2%となり、前連結会計年度31.8%に対して0.6ポイント低下いたしました。

当連結会計年度においては、高付加価値が提供できるサービスの売上割合が増加したものの、2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、ソフトウェア開発の規模などが縮小したことにより稼働率が低下したことが主な要因であります。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は6,596,758千円となり、前連結会計年度に比べ1,921,309千円の増加(前年度比41.1%増)となりました。これは主に、給料及び手当が821,983千円及び採用費が556,717千円増加したこと等によるものであります。

この結果、営業利益は2,353,376千円となり、前連結会計年度に比べ812,762千円の増加(前年度比52.8%増)となりました。営業利益率については、当連結会計年度で8.2%となり、前連結会計年度7.9%に対して0.3ポイント向上いたしました。これは、前連結会計年度に行っていた戦略的なマス広告を当連結会計年度で終了させたこと等によるものであります。

(経常利益)

当連結会計年度において、受取配当金92,420千円及び助成金収入90,750千円の計上を含め営業外収益を199,076千円計上いたしました。一方で営業外費用を17,322千円計上いたしました。この結果、経常利益は2,535,129千円となり、前連結会計年度に比べ990,263千円の増加(前年度比64.1%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度において、税金等調整前当期純利益は2,535,129千円(前期比62.7%増)となり、法人税等が776,264千円、非支配株主に帰属する当期純利益が110,173千円計上された結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,648,692千円(前期比69.9%増)となりました。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、従業員等の採用にかかる費用や人件費等の製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。

当連結会計年度における資金の主な増減要因については、「第2 事業の概況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、経常的な運転資金や事業規模拡大による設備投資等につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により調達された資金を財源としております。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する」という企業理念のもと、優秀な人材を集め、世界で必要とされる製品・サービスを創造し、それを世界中の人に使っていただくことで価値貢献したいと考えています。そのために、当社グループは、高い収益性をもって成長し続けることを目標としており、成長性と収益性、効率性のバランスをとりながら経営を行ってまいります。

具体的な指標として、売上高成長率、売上高営業利益率、自己資本当期純利益率(ROE)を高水準で維持していくことを目標としておりますが、企業価値算定の基礎となる親会社株主に帰属する当期純利益や加重平均資本コスト(WACC)を念頭に経営を行うことで企業価値の最大化を図ってまいります。

当連結会計年度を含む、直近3連結会計年度の代表的な指標の推移は以下のとおりです。

(単位:%)

 

2018年8月

2019年8月

2020年8月

売上高成長率

156.5

152.7

147.0

売上高営業利益率

9.4

7.9

8.2

自己資本当期純利益率(ROE)

17.4

17.7

17.2

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。