文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は「百術不及一誠」を社是としております。これは“百術は一誠に及ばず”と読み、どんなに小細工を弄しても真心にはかなわない、という意味です。すべてのお客様に誠心誠意で接することが大切だということを教えている言葉で、この方針に基づきお客様の最善の利益を追求することにより、お客様とともに発展し続ける企業を目指しております。
経営理念としては「独立独歩」「進取の気性」「百尺竿頭進一歩」を掲げております。特色ある路線を歩み、そして常に未来を見据えて未来を先取りし続けたい、そのためには百尺もある高い竿の先まで登り、必要とあらばなおそこから思い切って一歩を踏み出す勇気を持ちたい、そういう経営があってこそ初めて、お客様に選ばれる証券会社であり続けられる、ひいては日本の資本市場を引っ張り、国民経済に寄与することができると考えております。
当社は、収益構造の多様化と新しい収益分野への積極的な取組みにより、安定的・持続的成長を目指しております。
当社は株式市場の相場状況に左右されない体質作りを目指しており、その指標としているのが経費カバー率です。経費カバー率は、以下の算式により算出しており、安定的に80%超とすることを目指しております。
当事業年度の経費カバー率は88.8%(前事業年度は73.4%)と目標とする80%を大幅に上回りました。これは債券及び受益証券による手数料が増加したためであります。引き続き、委託手数料(株券)以外の収入を増やすとともに、冗費の節約に努めたいと存じます。
当社を取り巻く経営環境においては、インターネット専業証券会社の台頭や、これら専業証券会社を中心とした手数料の引き下げや一部無料化、競合他社同士の合併・業務提携等により、他社との競争が激化しております。また、小口投資サービスやロボアドバイザー等FinTech(フィンテック)を活用した異業種からの参入も相次いでおり、競合他社との差別化がさらに求められる状況となっております。一方で、資産形成や資産管理に関心を持つシニア層や将来受け取る年金に不安を抱く若年層においては、人生100年時代に向けて投資への関心が高まっており今後はさらに広く浸透していくと思われ、その流れは当社の顧客基盤の拡大にとっても追い風となることが期待されます。
このような状況のもと、当社は、北陸3県では最も多い10店舗を展開する証券会社として、競合他社の戦略に対抗する策を常に考え、実行していくことで、当社の営業基盤は強化されると考えております。そのために中長期的な経営戦略として「情報提供の充実を図ること」、「多様な商品を持つこと」及び「新規顧客の獲得」の3点に注力していく方針です。
「情報提供の充実を図ること」については、当社作成の「Imamura Report」や専門調査機関等より提供を受けている情報を活用して提案力を磨くとともに、研修等により信頼される営業員を育成します。また、調査部門による質の高い情報提供に努めます。「多様な商品を持つこと」については、受入手数料に占める株式委託手数料以外の受入手数料等の比率を高めることにより、前述した経費カバー率が安定的に80%超となるよう努めます。そのためには成長が期待される新たな仕組みの金融商品の販売にも積極的に取り組むとともに、有価証券の引受業務の増加を図ります。「新規顧客の獲得」については、5年間で1万5千口座の新規顧客の獲得を目指しております。当事業年度の開設口座数は3,747口座、過去5事業年度の累計では16,485口座と目標を達成しております。今後も厳しい環境が予想されますが、新事業年度においても引き続き単年度の目安となる3,000口座以上の新規顧客の獲得を目指します。新型コロナウイルスの感染拡大を受け社員や顧客の健康を守るために飛び込み営業が制限され、目標達成が困難となることが予想されます。そのような中でも当社は、テレコールを中心にする等、接触を減らしながら効率的な新規顧客の獲得を図ってまいります。
なお、当社には営業活動に関する大量のデータが蓄積されており、これまでは主にコンプライアンスを重視して営業活動の管理に利用してきました。今後は前述の3点の経営戦略についてより積極的に取り組むためにも、当データを活用してまいります。具体的には、ビジネスインテリジェンス(以下「BI」という。)ツール等を用いて営業現場において当データを分析し、現状の把握からマーケティングへの応用等を行っていきます。また、AI機能との連携を図ることで、分析力の向上も図っていきたいと考えております。
当社では、多様化する投資家のニーズを捉え一層の企業価値の向上を図るため、以下の項目を優先的に対処すべき重要な課題と認識しております。
当社の主たる顧客は北陸3県に所在しており、大手調査機関等の作成するレポート等では顧客のニーズに必ずしも添えない状況であるため、顧客向け情報誌「情報シャトル特急便」、北陸経済動向や北陸企業ニュース等で構成する「Imamura Report」を発行しております。これらに加え専門調査機関の作成するレポート等により、顧客への投資情報提供の充実に努めます。
当社の顧客基盤の拡大には、既存顧客との取引増加と新規顧客の獲得が必要だと認識しております。特に新規顧客の獲得にあたっては、顧客のニーズを十分に把握するためにも多種多様なサービスを提供することが必要と考えており、営業員一人ひとりに多機能携帯端末及びスマートフォンを携帯させ、営業用資料の共有及び投資情報の迅速な提供を図るほか、自社開発のシステム、データを活用して効率的できめ細やかな営業活動を行います。
日本は高齢化と人口減少期に入っており、当社の営業地盤である北陸においては、3大都市圏と比べるとその進行は早くなっています。当社はこのような状況にあっても顧客数の増加を図るために、年間3,000名の新規顧客の獲得に取り組んでいるところです。将来受け取る年金に不安を抱く若年層には、老後資金の形成のために定時定額に投資信託を買い付ける投信積立やつみたてNISAを積極的に提案して顧客の増加につなげていきます。また、高齢化社会における資産形成や資産管理に関心が高まる今こそ、対面営業の強みを活かして、顧客のニーズに合った提案・サポートを行い、コンプライアンス面にも目を配りながら高齢顧客層との取引においてもサービスの充実を図ります。
今般の新型コロナウイルスの感染拡大により生活様式の変化が求められており、新規顧客の獲得にあたっても不特定の方々への飛び込み訪問による接触はできなくなっています。従来から行っている電話による接触を幅広く行うことを中心にして、客先への移動時間を節約し効率的に顧客基盤の拡大を図ります。また、役職員及びその同居家族の健康観察を日々行い発熱等体調不良者がいる場合は休業させ、訪問して顧客と直接対話する場面においては、事前にアポイントメントを取った上で行い、マスクの着用等の感染拡大予防策を徹底いたします。
収益に占める株式売買による委託手数料の割合が高く、株式市況の影響を受けやすい状況にあります。顧客の多様なニーズに応えるため他社株転換条項付円建社債の販売や募集取扱い受益証券の拡充だけでなく、外貨建債券及び金地金の販売等にも取り組んでおります。これらの商品に注力していくことで安定した収益の確保に努める所存です。この指標として前述した経費カバー率を採用し、安定的に80%超とすることを目指しております。
また、顧客の資産状況や商品の購入状況等のデータをBIツールを活用して分析し、様々な切り口から視覚化することでニーズに合った商品を提案していきます。さらにはAI機能と連携し、顧客のニーズに合った商品を予測する等、データを活用することで収益向上につなげてまいります。
当社では、顧客本位の業務運営に関する取り組みを通し、顧客からの信頼を獲得し維持していくことが、事業拡大に欠かせない重要な事項と考えており、これまで法令遵守の徹底のため内部管理組織を整備し、顧客からの信頼向上に努めてまいりました。また、顧客からの信頼をより高めていくためにも、引き続き当社役職員への教育・研修等によりコンプライアンスの更なる充実に努めてまいります。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社では、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「重要なリスク」に分類しております。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
株式相場の下落又は低迷により流通市場の市場参加者が減少し株券等の売買高が縮小する場合には、委託手数料が減少する可能性があります。また、発行市場においても、株式相場の下落又は低迷により他社株転換条項付円建社債等の株式系仕組債・投資信託等の販売額が縮小し、引受け・募集等に係る手数料が減少する等、同様の影響を受ける可能性があります。このような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。株式相場の下落又は低迷の時期を予想することは困難であり、その期間についても同様であります。当社は、株式以外での収益を高めることで、当リスクの軽減を図っております。
規制緩和に伴う銀行等との競合、異業種からの参入、競合他社同士の合併・業務提携等により競合他社との競争が激化しております。当社が競争力を維持できない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は取扱商品の豊富な品揃え、インターネット取引の自営、顧客から信頼される営業員の育成等、競争力の維持・向上に努めており、当リスクの顕在化する可能性は低いと思われます。
当社の主たる顧客は、個人投資家であります。このため、個人投資家の投資行動の変化が業績に影響する可能性があります。個人投資家の投資行動の変化は、年齢、相場環境、景気動向、税制の変更等様々であります。当社は、新規顧客の獲得に注力して収益基盤の拡大を図っており、当リスクの顕在化する可能性は低いと思われます。
当社は、すべての本支店の土地・建物を保有し、固定資産のグルーピングを店舗単位で行っております。これらの中には市場価格が著しく下落しているものがあり、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。「固定資産の減損に係る会計基準」に規定される減損損失を認識するに至った場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、金融商品取引業を営むため、金融商品取引法第29条に基づく「第一種金融商品取引業」の登録を内閣総理大臣より受けております。金融商品取引業者は、金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し、法令又は法令に基づく規定に違反した時は、登録又は認可の取消し、一定期間の業務停止又は何らかの改善命令を受ける可能性がありますが、当事業年度末時点では、法令違反等による業務改善命令や業務停止命令等の行政処分に該当する事実はないと認識しております。当社は、法令遵守を重視した運営を行っており、登録等の取消しに至る事態が発生する可能性は低いと思われますが、事業内容が単一セグメントであることから、将来何らかの事由により登録等の取消しを命じられた場合には、当社の経営成績、財政状態並びに企業の継続に影響を及ぼす可能性があります。
金融商品取引業者には、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、自己資本規制比率維持の規制が課されており、同比率に関し120%を下回ることのないようにする必要がありますが、当事業年度末時点では、当社において同比率が120%を下回る事実はないと認識しております。当社は、市場リスク相当額に上限を設けるとともに、同比率を営業日毎に算出して200%を下回らない運営を行っていることから、当リスクが顕在化する可能性は低いと思われますが、将来何らかの事由により定められた自己資本規制比率を維持できない場合は、業務停止や金融商品取引業者の登録の取消しを命じられる可能性があります。また、経営環境の悪化による損失計上等の要因により自己資本規制比率が著しく低下した場合には、比率を維持する観点から積極的にリスクをとり収益を追求することが困難となり、収益機会を逸する可能性が高まります。その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、自己の計算において、株価・債券価格・金利・為替その他市場価格等の変動に伴うリスクを内包した金融資産を保有しております。例えば、他社株転換条項付円建社債について、仕入契約締結後の売出し期間中に、株価等の市場価格が低迷し販売残が発生した場合には、その販売残を仕入価格を大幅に下回る価格で転売することにより、損失が発生する可能性があります。当社ではリスク管理を徹底しており、当リスクが顕在化する可能性は低いと思われますが、市場価格が急激に変動した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の取引先が決済を含む債務不履行に陥った場合、また、当社が保有する有価証券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合には、元本の毀損や利払いの遅延等により損失を被り、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、取引先が債務不履行となることのないよう社内規程によりリスクの軽減を図り、商品有価証券については、保有期間を短くしてリスクの軽減を図っており、当リスクが顕在化する可能性は低いと思われます。
当社では、各種規程の整備やコンプライアンス体制の整備強化に努めておりますが、事務処理プロセスで発生する事務ミス、事故、又は不正等により損失が発生する可能性があります。また、このような事により、社会的信用が低下する等、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、事務ミス、事故、又は不正等の発生を抑止するための各種統制を実施しており、当リスクが顕在化する可能性は低いと思われます。
当社が業務上使用するコンピュータ・システムや通信回線にハードウエアの不具合、ソフトウエアの不具合、人為的ミス、不正アクセス、災害、停電等の諸要因により障害が発生した場合、障害規模によっては当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社が使用しているコンピュータ・システムや通信回線は原則として冗長化構成とし、使用しているソフトウエアについては、使用開始前に必ずテストを実施して不具合の発生を予防しております。また、人為的ミスや不正アクセスについては、監視機能の充実を図り、災害・停電等については訓練を実施して備えております。このような対策により、当リスクが顕在化する可能性は低いと思われます。
当社の事業は、法人、個人のお客様からの信用に大きく依存しています。当社役職員に起因する法令違反や訴訟等が発生した場合には、当社の社会的信用が低下する可能性があります。また、憶測や事実に基づかない風説等が流布された場合、その内容の正確性に関わらず、当社の社会的信用が低下する可能性もあります。その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、インターネット上で当社に関する事実に基づかない書込み等の発見に努めており、当リスクの顕在化する可能性は低いと思われます。
(8) 法令遵守に関するリスクについて
当社は、法令遵守に係る問題について内部統制の整備を図り、より充実した内部管理体制の確立と役職員の教育・研修等を通じて意識の徹底に努めております。しかしながら、価格変動商品を扱っている業務の特殊性から、そのプロセスに関与する役職員の故意又は過失により法令に違反する行為がなされる可能性があります。このような場合には、訴訟等を提起され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼすような損害賠償を求められる事案が生じる可能性があります。当社は、苦情・相談のための専用窓口を設置するとともに、通話のモニタリングに努めて法令違反行為の抑止及び早期発見を図っており、当リスクの発生頻度は低いと思われます。なお、当事業年度末時点において、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある訴訟等はありません。
当社は、個人データの安全管理に係る取扱規程を整備し管理には万全を期しておりますが、サイバー攻撃によるウイルス・マルウエア感染及び不正アクセス等並びに故意又は過失により、万一、基幹システムの停止や情報が外部に漏洩した場合には、賠償金の発生や社会的信用が失墜すること等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、ウイルス・マルウエア感染や不正アクセス等の対策を実施しておりますが、日々状況が変化しており完全に回避することは困難なため、発生に備えた訓練を実施する等の対応を行っております。また、故意・過失による流出についても技術的な対策を行うとともに、全役職員を対象とした情報セキュリティ研修を実施して啓蒙を図っております。これまでのところ被害は確認されておりませんが、新型コロナウイルス感染拡大の予防策としてテレワークを推進する中、細心の注意を払っているものの依然として世界的にサイバー攻撃は増加しており、リスクは増大傾向にあると認識しております。
自然災害の発生や感染症の流行等により事業の縮小を余儀なくされた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社の営業基盤は北陸地区を主力としており、この地区のインフラが麻痺するような場合には、その影響はより大きくなります。当リスクの発生可能性を予測することは困難ですが、自然災害に備えて業務継続に必須であるコンピュータ・システムを堅牢なデータセンターに設置する等の対策を行っております。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、当社は、社員や顧客、取引先等の健康と安全を第一に考え、一定のルールのもと極力接触を控えた事業活動を行っております。他にも、本社業務のスプリットチーム制やテレワークの導入、テレビ会議システムの活用等の対策を講じて事業を継続できる体制の整備に努めており、当事業年度末時点において、経営成績及び財政状態への影響は限定的となっております。しかしながら、今後さらに感染が拡大し、万一、社内で感染者が多数発生した場合には当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
なお、当社の事業は投資・金融サービス業という単一セグメントであるため、セグメントごとの分析については記載を省略しております。
当事業年度末における総資産は前事業年度末に比べ45億16百万円増加し、198億86百万円となりました。
預託金が18億15百万円、信用取引資産が11億55百万円、現金・預金が11億9百万円それぞれ増加し、短期差入保証金が42百万円減少したこと等により流動資産は41億94百万円増加し、162億円となりました。固定資産は3億22百万円増加し、36億86百万円となりました。
預り金が17億62百万円、信用取引負債が4億60百万円、未払法人税等が4億49百万円、受入保証金が2億63百万円、未払金が72百万円、賞与引当金が57百万円それぞれ増加したこと等により負債合計は31億86百万円増加し、99億76百万円となりました。
利益剰余金が11億46百万円、評価・換算差額等が1億84百万円それぞれ増加したこと等により純資産は13億30百万円増加し、99億10百万円となりました。
当社は、金融機関等からの借入れは、信用取引にかかる借入れ及び一時的な資金繰りに必要な借入れを除いて行わない方針であります。信用取引での顧客への金銭等の貸付は、証券金融会社から借り入れる他、自己資金を充てています。固定資産の取得についても自己資金で賄っておりますが、当事業年度は前事業年度に続き大型の設備投資はありませんでした。一方、投資有価証券の値上がりにより投資その他の資産が2億61百万円の増加(前事業年度は、77百万円の減少)となり、その結果、固定資産は3億22百万円の増加(前事業年度は、1億16百万円の減少)となっております。
また、利益剰余金の増加等により純資産は99億10百万円となりました。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が4月に発令され、これによりヒト・モノの移動が制限される等経済活動が停滞しました。5月の解除後は経済活動が徐々に再開するに伴い持ち直しの動きが見られました。しかし、感染再拡大を受けて翌年1月に再び緊急事態宣言が一部の地域に対して発令され、その後、全地域で解除されたものの依然として感染拡大は収束の兆しが見えず、先行き不透明な状況が続きました。
国内の株式市場では、4月に18,686円で始まった日経平均株価は、緊急経済対策への期待感等により上昇し、米株高等も追い風となり8月には新型コロナウイルス感染拡大以前の水準を回復し、安倍首相の辞任や菅新政権の誕生等を経て、10月末まで23,000円前後でもみ合う展開が続きました。11月に入ると、米大統領選後も堅調な米国株や国内企業の決算発表が好感され日経平均株価は急上昇し、その後は26,000円台で推移する底堅い動きとなりました。国外でのワクチンの普及や米国の追加経済対策を受けた米株高が好材料となり、12月下旬から日経平均株価は再び上昇し、2月に入っても上昇の勢いは衰えず、およそ30年ぶりに30,000円の大台を回復し2月16日には一時30,714円を付けました。その後は、米長期金利が上昇し警戒感が広がると上値は抑えられ、29,178円で当事業年度を終えました。2020年4月1日から2021年3月31日までの当事業年度における日経平均株価の年間上昇率は54%と48年ぶりの大きさとなりました。
このような状況の中、当社は地域密着型の対面営業を行う証券会社として、株式営業や債券販売、投資信託販売を中心に営業を展開しました。株式営業においては、「情報シャトル特急便」、「Imamura Report」等当社作成の情報誌に加え、専門調査機関の作成するレポートによる情報提供をはじめ、お客様のニーズにお応えする提案・サポート等を積極的に行いました。また、12月には石川県に本社を置く株式会社ビーイングホールディングスのIPOに際し、引受証券会社として参加しました。債券販売においては、他社株転換条項付円建社債や日経平均株価連動円建社債の販売を継続的に推進するとともに、福井県債や北陸電力債も取り扱いました。投資信託販売においては、世界新時代株式ファンド(資産成長型)をはじめ多種類の投資信託を取り扱いました。この他、定時定額に投資信託を買い付ける投信積立やつみたてNISAを積極的に提案し、顧客層の拡大と証券投資普及を図りました。このほか、当社は2022年4月に敦賀支店の新設を計画しており、新店舗開設に備え敦賀支店開設準備室を新設し福井県嶺南地区における営業力の強化を図っております。
その結果、当事業年度の営業収益は49億73百万円(前年同期比50.7%増)、純営業収益は49億48百万円(同51.1%増)、経常利益は18億98百万円(同234.5%増)、当期純利益は12億5百万円(同254.0%増)となり、いずれも過去最高を更新しました。
当事業年度における主な収益及び費用の状況は次のとおりであります。
当事業年度の受入手数料の合計は49億12百万円(前年同期比52.2%増)となりました。その内訳は次のとおりであります。
株券に係る委託手数料は22億31百万円(同69.9%増)となり、受益証券等を含めた委託手数料の合計は22億67百万円(同69.5%増)となりました。
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は23億26百万円(同39.7%増)となりました。
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は1億93百万円(同189.1%増)となりました。
その他の受入手数料は1億25百万円(同20.9%減)となりました。
トレーディング損益は14百万円(前年同期比48.4%減)となりました。
金融収益が46百万円(前年同期比5.7%増)、金融費用が24百万円(同1.9%増)となった結果、差し引き金融収支は21百万円(同10.4%増)となりました。
販売費・一般管理費は30億78百万円(前年同期比13.1%増)となりました。
営業外収益は、受取配当金等28百万円(前年同期比28.2%増)、営業外費用は、雑損等0百万円(同94.0%減)となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、投資有価証券売却益等2百万円(前年同期比25.8%減)、特別損失は、金融商品取引責任準備金繰入れ等8百万円(同8.2%減)となりました。
当事業年度の受入手数料の合計は49億12百万円(前年同期比52.2%増)で、その商品別内訳は、株券22億36百万円(同69.7%増)、債券23億25百万円(同39.7%増)、受益証券3億22百万円(同76.8%増)、その他27百万円(同55.8%減)であります。その他の部門においては前事業年度に比べ手数料が減少しましたが、株券部門、債券部門及び受益証券部門においては前事業年度に比べ手数料が増加しました。その結果、当社が採用する経営指標である経費カバー率は88.8%(前事業年度は73.4%)となり、目標とする80%を大幅に上回りました。
また、当社は経営戦略の一つとして「新規顧客の獲得」を掲げており、その指標として5年間で15,000口座の新規顧客の獲得を目指し、単年度においては3,000口座以上の獲得を目安としております。新型コロナウイルスの感染拡大防止策として不特定の方々への飛び込み訪問による新規顧客の獲得を控える等、従来の営業活動が制限される厳しい状況でしたが、当事業年度は3,747口座(前事業年度は3,553口座)となり目標を24.9%上回りました。
なお、当社は引き続き、顧客の資産形成に資するためニーズに沿った金融商品の提案や資産管理におけるサポートを行っていきますが、今般の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、当社においても、新たな生活様式に対応した営業活動を推進してまいります。新型コロナウイルス感染拡大予防策の徹底や感染拡大に備えた事業運営は勿論のこと、先端的なBIツールやAI機能等を営業支援ツールに活用し業務の効率化を模索します。また、電話を一層活用しながら移動時間を減少させるアポイントメントとなるよう取り組みを進め、対面営業の強みを活かしつつ、資産形成のアドバイザーとしてこれからも顧客にとって身近な存在であり続けられるようサービスの向上を図ってまいります。
当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、期首残高に比べ11億9百万円増加し、68億53百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、13億44百万円の資金増加(前事業年度は、11億40百万円の資金増加)となりました。これは、税引前当期純利益18億93百万円、減価償却費1億20百万円を計上したことに加え、預り金の増加17億62百万円、信用取引負債の増加4億60百万円、受入保証金の増加2億63百万円、未払金の増加65百万円、賞与引当金の増加57百万円等により資金が増加する一方、顧客分別金信託の増加18億10百万円、信用取引資産の増加11億55百万円、約定見返勘定の増加1億21百万円、法人税等の支払額2億95百万円等により資金が減少した結果であります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1億75百万円等により1億76百万円の資金減少(前事業年度は、1億21百万円の資金減少)となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額59百万円等により59百万円の資金減少(前事業年度は、33百万円の資金減少)となりました。
当事業年度の日経平均株価は年間を通して堅調に推移し、2月にはおよそ30年ぶりに3万円台を回復する等株式市場にとっては明るいニュースが多い一年となりました。この結果、税引前当期純利益、減価償却費に加え、預り金や受入保証金の増加等により、営業活動によるキャッシュ・フローでの資金増加額は13億44百万円となり、前事業年度に比べ拡大しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、大規模な設備投資はなかったものの自己資金による事業用地の取得等有形固定資産の取得により、資金減少額が前事業年度に比べ拡大しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度の期末配当金が1株当たり22.5円と倍増したため、資金減少額が前事業年度に比べ拡大しました。
これらの結果、当事業年度末の資金は期首に比べ増加し68億53百万円となり、依然として高水準を維持しております。また、当社では資金を手許現金及び要求払預金に限定しているため、その流動性に懸念はありません。
なお、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。
当社の業績は経済情勢及び市場環境の変動による影響を大きく受けることから、将来に対する予測が困難であります。そのような状況のもと、当社は、一時的な業績不振に陥った場合にも柔軟な営業戦略の推進を維持できるよう、内部留保の充実を図るとともに、株主の皆様への継続的かつ安定的な利益還元を目指してまいります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を必要とします。経営者は、過去の実績やそれぞれの状況等を勘案し合理的と考えられる仮定を用いて見積りを行っておりますが、見積り及び仮定については特有の不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。