我が国経済は、相次いだ自然災害の影響や、海外の不安定な政治・経済情勢による景気の下振れリスクの高まりなどの要因はあったものの、企業収益の改善が顕著となり、緩やかな回復基調で推移しました。国内食品業界におきましては、消費者の多様な価値観の高まりや根強い節約志向への対応が求められ、かつ原材料価格の高騰や人手不足が深刻化する厳しい経営環境が続いております。このような環境の中で当社におきましては、エンドユーザー様の「安全安心でおいしく、安価で簡単調理な商品を」というニーズに対して満足して頂ける商品の提供が、当社の使命であると認識しております。また、高付加価値商品を開発して価格競争からの回避を図ることも当社の重要な基本戦略であります。
以上の基本戦略を遂行するため、以下の課題に重点的に取り組んでまいります。
(1) 商品の競合に関する課題
当社は、当社独自技術の下、凍ったまま調理できる「楽らくクックシリーズ」や「楽らく匠味シリーズ」など、エンドユーザー様にご満足頂ける高付加価値商品の提供に注力しております。また、当社商品は、トレーサビリティなど徹底した品質管理により安全安心を追求し、競合商品との差別化を図っております。
しかし、競合他社も当社商品よりもさらに優れた骨なし魚やミート商品を開発し、あるいは当社と同様の技術で当社より安価な骨なし魚やミート商品を販売し、当社商品の競争力が低下する可能性も想定されます。これに対処するため、当社としては、安価な骨取り魚の取組みや海外生産工場の拡充により仕入価格のコストダウンを図るとともに、新商品の販売強化や末端ユーザー様への直接営業の強化を図ることにより、当社商品の優位性の維持・拡充に努めてまいります。
(2) 単一事業に関する課題
当社は国内における業務用冷凍食品卸売事業の専業であり、将来的な国内需要の減少、景気の動向等により業務用冷凍食品事業の市場規模が縮小する可能性も想定されます。これに対処するため、エンドユーザー様の満足度をより高めることでユーザー様からの支持向上に努めることに加え、今後拡大が予想されるシルバー市場の需要取り込みや、販売チャネル・方法の多様化等を行うことで収益構造の多角化に努めてまいります。
(3) 生産拠点に関する課題
当社が取り扱う商品の約60%が海外の生産拠点に依存しており、そのうち約50%が中国の生産拠点に依存していることから、生産拠点の分散が不可欠であると考えております。今後は、タイ、ベトナムなどに生産拠点を新設・拡充するとともに、国内シフトも一部推し進めていくことにより生産拠点におけるリスクの分散を図り、生産管理体制の強化に取り組んでまいります。
(4) 目標とする経営指標
当社は2019年度において、売上高27,600,000千円、経常利益1,200,000千円、経常利益率4.3%、ROE10.7%,ROA12.0%、配当性向40.3%を経営数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。なお、2018年度の経営指標計画対比は下記のとおりです。
本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 商品の仕入れについて
① 食品の安全性の問題
当社は、消費者に安全・安心な食品の提供を常に心がけ、仕入先である国内外の協力工場に対する衛生・品質管理を徹底しております。しかしながら、当社の管理体制でカバーしきれない不測の商品クレームなどが大量に発生した場合、商品の回収または被害者への賠償など想定外の費用の発生により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また原材料の調達、当社商品の加工・製造を行っている国や地域において発生した食品の安全性に係わる問題の発生により、出荷制限や輸入禁止措置が発令された場合など、原材料の調達及び商品の供給に支障をきたし当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 原材料の市況変動について
当社の協力工場では国内外から水産物・畜肉をはじめとする原材料を買付しており、分散調達や協力工場に対し計画的に発注することにより特定の仕入先への集中の回避と安定した数量の確保を図っております。しかし、漁獲規制の強化、水揚げ数量や相場の変動、感染性疾病等による生産量の低下などによって予想以上に原料市況に影響を与える事象が生じた場合には、当社の商品に欠品が発生するなどにより当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替レートの変動について
当社は、骨なし魚など海外からの仕入の比率が約60%あるため、為替変動の影響を受ける事業を行っております。急激な為替レートの変動により仕入価格が高騰した場合に販売価格への転嫁が遅れる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 一括物流センターについて
当社は大半の仕入商品を株式会社ヒューテックノオリンの冷凍食品物流機能を利用して一括納品しております。物流コスト等の条件面については都度他社とも比較検討しております。一方、天災等の大規模な災害や何らかの事由により、同社の物流システムが影響を受けた場合、また商品の保管や配送において正常な事業活動を行うことができなくなった場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定の仕入先への依存について
重要な仕入先であるセイショウフーズ株式会社と株式会社三翔からの仕入高が当社仕入高に占める割合は、それぞれ前者が17.3%(2018年3月期)、15.4%(2019年3月期)、後者が13.0%(2018年3月期)、13.6%(2019年3月期)となっております。当社は、協力工場に対して分散調達することにより特定の仕入先からの依存度の低下を図っておりますが、当該企業との契約期間の満了、解除等による取引の終了や、天災等により当該企業の生産体制に重大な支障が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 商品の販売について
① 得意先の経営破綻について
当社は、得意先に対する債権の回収不能という事態を未然に防ぐべく、情報収集・与信管理等、債権保全に注力していますが、今後予期せぬ得意先の経営破綻が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 食の安全性に関する風評被害について
過去における食品偽装問題等、食の安全性をおびやかす事態が発生し、当社が取扱う商品に問題がない場合でも、報道等により消費者の不安心理が高まり、受注が減少する等により当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権について
① 当社保有の知的財産権について
当社では「冷凍骨抜き魚身及びその加工方法」「加熱処理した魚の製造方法」「凍ったまま調理できる冷凍魚の製造方法および冷凍魚」「湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法」「施設調理用冷凍揚物の製造方法及び施設調理用冷凍揚物」の5つの製造特許を取得しております。今後も知的財産権の保全に積極的に取り組む予定ですが、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社による第三者の知的財産権侵害について
当社による第三者の知的財産権の侵害については、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社の事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合には当社に対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報システムの運用について
当社は、販売、購買、管理等の情報をコンピュータにより管理しています。これらの情報システムの運用については、コンピュータウイルス感染によるシステム障害やハッキングによる被害及び外部への社内情報の漏洩が生じないよう万全の対策を講じています。しかしながら、当社の想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセスやコンピュータウイルスの感染などにより、当社の情報システムに障害が発生したり、外部へ社内情報が流出する事態が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人材の確保・育成について
当社が今後の成長を実現していくためには、営業、開発、経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施しています。しかしながら人材の確保・育成ができなかった場合には、当社の事業目的の達成が困難となる可能性があります。
(6) 繰延税金資産等について
当社では、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産等を計上しています。しかし、今後の業績動向により、一部ないし全部について回収可能性が低いと判断された場合、繰延税金資産等の計上額が修正され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 法的規制等について
当社の事業を展開するうえで様々な法的規制を受けており、食品関係では食品衛生法・製造物責任法・食品リサイクル法・JAS法等の各種法規制に服しております。本書提出日現在これら法的規制の違反はなく、法的規制の順守に努めておりますが、将来、当社の事業に関連する新たな法的規制の成立、または既存の法的規制の改正・強化等が行われた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 自然災害への対応について
当社は、大規模な地震をはじめとする自然災害が発生した場合に備え、危機管理総括マニュアルを整備し、定期的な訓練により社内への浸透を図っておりますが、被害が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 関連当事者取引について
当社の筆頭株主は株式会社フルタであり、本書提出日現在で当社発行済株式総数の45.82%を所有しております。同社は古田耕司氏及びその近親者が全株式を所有する資産管理会社であります。一方、古田耕司氏及びその近親者が議決権の過半数を所有する株式会社昔亭・フルタフーズ株式会社は、当社商品の製造委託会社の一部であります。
① 株式会社昔亭について
株式会社昔亭とは商品の仕入取引を行なっており、当社の主力商品である「楽らく匠味シリーズ」等の製造を委託しております。取引価格につきましては、第三者間取引と同様、市場での販売価格を勘案して決定しております。なお、同社との取引は今後も継続する方針であります。
② フルタフーズ株式会社について
フルタフーズ株式会社とは商品の仕入取引を行なっており、主に「アメリカンドック」等の製造を委託しております。取引価格につきましては、株式会社昔亭同様、市場での販売価格を勘案して決定しております。なお、「アメリカンドック」につきましては同社の市場占有率が高く、他社からの入手が困難な商品のため、今後も同社との取引は継続する方針であります。
当社と関連当事者との2019年3月期における取引金額は以下のとおりであります。
(単位:千円)
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、相次いだ自然災害の影響や、海外の不安定な政治・経済情勢による景気の下振れリスクの高まりなどの要因はあったものの、企業収益の改善が顕著となり、緩やかな回復基調で推移しました。
国内食品業界におきましては、消費者の多様な価値観の高まりや根強い節約志向への対応が求められ、かつ原材料価格の高騰や人手不足が深刻化する厳しい経営環境が続いております。
このような状況のもと当社は、大手ユーザーへのPB商品販売に積極的に取り組むなど、収益力の向上に努めてまいりました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなります。
a.財政状態
(資産)
総資産は968,449千円増加し12,262,634千円となりました。
(負債)
負債合計は563,490千円増加し4,636,548千円となりました。
(純資産)
純資産合計は404,958千円増加し7,626,086千円となりました。
b.経営成績
(骨なし魚事業)
新商品柔らかシリーズなどの拡販に努めましたが、主力商品の原材料高騰による販売鈍化により売上高11,608,608千円(前年同期比4.6%減)となりました。
(ミート事業)
「楽らく匠味シリーズ」の販売は好調に推移したものの、匠味シリーズ以外のミート商品の販売鈍化により売上高2,682,269千円(前年同期比5.0%減)となりました。
(その他事業)
大手ユーザーとの取組み強化が順調に推移したことにより売上高12,944,844千円(前年同期比4.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は4,038,301千円と前事業年度末と比べ1,058,479千円(35.5%)の増加となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりとなります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,208,494千円の収入(前期は1,138,094千円の収入)となりました。これは主に税引前当期純利益が1,083,031千円、棚卸資産の増加が245,905千円、仕入債務の増加が448,405千円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、195,351千円の収入(前期は168,471千円の支出)となりました。これは主に貸付けによる支出が150,000千円あった一方で、貸付金の回収による収入が346,000千円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、346,042千円の支出(前期は346,042千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払が330,455千円あったことによるものです。
③ 販売の実績
a.販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に賞与引当金、繰延税金資産及び繰延税金負債等であり、継続して合理的に評価しております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因などに基づき行っていますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なることがあります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
総資産は968,449千円増加し12,262,634千円となりました。これは主に現金及び預金が1,058,479千円、商品が248,068千円増加したことによるものです。
(負債)
負債合計は563,490千円増加し4,636,548千円となりました。これは主に買掛金が448,405千円、未払法人税等が141,833千円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産合計は404,958千円増加し7,626,086千円となりました。これは主に配当金の支払を330,455千円行った一方で、当期純利益を735,708千円計上したことにより、利益剰余金が増加したことによるものです。これにより自己資本比率は62.2%となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は27,235,722千円(前年同期比0.8%減)となり、前事業年度と比べて207,019千円減少しました。事業別の売上高につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
売上総利益は、原材料高騰があったものの、前期の公正取引委員会からの下請代金支払遅延等防止法に基づく勧告が当期は解消して粗利率が改善したことにより4,250,485千円と前期比159,335千円(3.9%)増加しました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、交通費の削減などにより前期に比べ減少しました。その結果営業利益は1,066,464千円と前期比219,790千円(26.0%)増加しました。
(経常利益)
経常利益は、営業利益の増加により1,083,031千円と前期比224,547千円(26.2%)増加しました。
(当期純利益)
当期純利益は、経常利益の増加により735,708千円と前期比155,844千円(26.9%)増加しました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.資本の財源及び資金の流動性について
当社は、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。なお、当面の予定はありませんが、多額の設備資金については、第三者割当増資、社債の発行、長期借入金等の検討を行うこととしております。
また、当社は取引銀行5銀行で短期借入金枠38億円を設定しており、資金の流動性は十分に確保されております。
e.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおり、「売上高」「経常利益」「経常利益率」「ROE」「ROA」「配当性向」でそれぞれの経営数値目標を掲げ、収益の安定と財務体質の強化、資本効率の向上を目指してまいります。当事業年度は、売上高、経常利益、経常利益率がほぼ目標どおりで着地、ROE,ROA、配当性向で僅かに目標を下回る結果となりました。2019年度は、増収増益の目標を掲げ、利益拡大を最大の課題とし、ユーザーへの直接販売の更なる拡大とマーケットニーズに合った新商品の拡販を加速させることにより、目標達成に向けて取り組んでまいります。
当社の経営上の重要な契約は、次のとおりであります。
該当事項はありません。