第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は『世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる』というビジョンを掲げ、インターネットを活用して個人が報酬を得るための仕組みであるクラウドソーシングを中心としたオンライン人材マッチング事業を推進しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は上記に揚げたビジョン実現に向け、「個のためのインフラになる」という新しいミッションのもと、すべての働き手に対する報酬獲得機会や働く選択肢の拡大を行うだけでなく、人手不足に悩む企業に柔軟な人材調達方法の提供を通して市場拡大に努めております。こうした中、当社はサービス上で取引される契約の総額である流通取引総額と売上総利益の最大化を最優先事項と捉え、その流通取引総額から生み出される売上総利益を成長原資として事業に再投資することで、継続的な成長を実現していく方針を採用しております。 特に、将来に渡り深刻化する人手不足の問題に対し、企業におけるリモートワークやフレキシブルな人材活用ニーズは年々高まっていくと考えており、2021年9月期は前期に引き続きマッチング事業への集中投資と生産性向上方針を定め、成長率の向上と利益創出の両輪を図ってまいりました。

 

(2) 事業環境

 政府の働き方改革のもと、企業および個人の働き方に対する価値観は多様化し、当社の事業環境には追い風が吹く中、サービス登録者はクライアント・ワーカーともに順調な伸びを示しております。競合環境についても、当社は「クラウドワークス」のプラットフォームを中心に、国内最大級のオンライン人材を有しており、顧客が求めるスキルや経験にマッチする人材を提供することができるだけでなく、副業やフリーランスといったオンラインの人材市場における業界No.1のブランド認知度を活かすことで、効率的に顧客獲得を行うことで、事業成長を図ることができます。また、エンジニアやデザイナーといった専門的な人材ニーズに対しても、当社のスタッフがマッチング契約のサポートを行うことで、高単価化と高継続化を実現し、顧客単価の向上に寄与しております。今般は新型コロナウイルス感染症の感染拡大と緊急事態宣言の発令により厳しい経済環境が続いておりましたが、リモートワークの普及や個人の副業ニーズが加速したことを背景に、ワーカー登録者が増加いたしました。クライアントについても、業務のオンライン化の流れが加速し、従来の人材採用ではなく、オンラインでフリーランスのエンジニアやデザイナー、事務アシスタントを活用したいとするニーズが増え、当社を取り巻く事業環境は追い風となっております。コロナ終息後においても多くの企業がリモートワークを取り入れる意向を示していることや、フリーランス人口や副業人口は順調に拡大していることから、当社の事業ニーズは長期にわたってさらに高まっていくものと考えております。

 

 

 

(3)中長期の成長に向けて対処すべき課題等

 当社は、コア事業であるマッチング事業に投資を集中することで「個のためのインフラ」を創造し、少子高齢化による構造的な労働力不足や女性の継続的なキャリア形成など日本が抱える社会を解決しながら、『世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる』というビジョンの実現を目指してまいります。また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、社会・経済環境は厳しい状況が続いておりますが、当社は事業成長を継続しながら生産性を向上させ、さらなる増収増益を図ることが重要と捉えております。加えて、マッチング事業を展開する企業の買収を含めた事業拡大に注力し、事業基盤の強化と企業価値向上に取り組んでまいります。

 

①売上成長と利益創出の両立

 当社は、売上成長と利益創出の両立について対処すべき課題と捉えております。2020年9月期に生産性向上ポリシーの作成と販管費の見直しを行った結果、2021年9月期には売上成長と利益化が大きく進展いたしました。生産性向上3ヵ年計画最終年度となる2022年9月期は、組織の生産性をより高めながらマッチング事業への投資と新規領域の拡大に取り組み、さらなる増収増益を目指してまいります。

 

②マッチング事業への投資と発注単価の向上

 当社は持続的な成長の実現には発注社数と発注単価の向上を図ることが重要と捉えております。このため、事業成長により生み出す売上総利益を原資としてマッチング事業の成長に投資を集中する方針です。特に、「クラウドワークス」に登録しているクライアントやクラウドワーカーといったプラットフォーム資産を有効活用することで、流通取引総額の最大化を図りながらエンジニアなどのハイクラス人材領域や事務・アシスタント領域のマッチングについてサポートを強化することにより、高単価化および契約継続率の向上を目指します。広告投資については、事業により生み出す利益の範囲内でWEB広告を中心とする効率的な投資を行ってまいります。

 

③新規領域における事業の開発と拡大

 当社は将来のさらなる成長のため、新規領域でのサービス開発と継続投資が不可欠であると考えております。具体的には、マッチング事業とシナジーのある周辺領域や今後拡大余地のある人材周辺市場で、企業買収を含めた事業の開発と拡大を目指しております。新規領域として投資している副業人材を企業とマッチングさせるサービスや、ビジネス向けSaaS事業の企業向け業務管理サービスについては、既存のマッチング事業で生み出した利益の中から再投資を行い、全社増収増益の達成と持続的な成長投資の両立を図ってまいります。

 

 

(4)その他経営における重要な取り組み

①人材に関する取り組み  

 当社は、柔軟な働き方を実現・体現する企業として、「フルフレックス」「フルリモートワーク」といった人事制度や「副業自由化」を率先して導入し、社員の働き方の柔軟性を高め、生産性を最大化する取り組みを行っております。2020年9月期に策定した生産性向上ポリシーに則り、リモートワーク環境下でも生産性を高める取り組みを継続しております。主な取り組みとして週1回の全社朝会において実施する生産性向上ピッチでは、部門間を横断したナレッジの共有を図る工夫を導入し、全社最適での生産性向上に取り組んでおります。

 

②環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組み  

 当社は、環境・社会・ガバナンス(ESG)において、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に対応した取り組みを2019年9月期よりスタートいたしました。当社は社内における人種・ジェンダー平等や女性活躍の環境整備を積極的に進めており、取り組みにより得た知見を事業に活用することで、当社のサービスを利用するすべての働き手の環境改善や機会均等を目指しております。また、オンラインコミュニティ型の学びの場を展開し、クラウドワーカーのスキル向上を支援しております。経営体制においては、ガバナンス強化のため経営と業務執行機能を明確にする執行役員制度を導入しており、原則毎週1回経営会議を開催し、経営上の重要事項に対する十分な議論と迅速な意思決定を行う体制をとっております。経営会議では、取締役会決議事項及び報告事項の事前審議を行い、取締役会で決定された戦略・方針に基づき、その業務執行の進捗状況等について議論し、意思決定を行っております。

 

2 【事業等のリスク】

事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。

また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)制作外注市場・人材市場の変動による影響

 当社は、市場拡大にむけて流通取引総額の最大化ならびに、売上総利益の拡大を図る方針のもと、マッチング事業への継続的な投資によって顧客獲得数の最大化と発注単価の向上を進めるほか、間接販管費の削減による生産性向上の取り組みを進めております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大による経済活動ならびに人材市場への影響、その他予期せぬ市場競争環境並びに景気動向の変化によって、顧客の外注ニーズや人材調達ニーズの減少が発生した場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響が及ぶ期間や程度を合理的に推定することは困難であります。

 

(2)ハイスキル人材の獲得競争激化による収益性の低下

 当社は企業とフリーランスや副業人材のマッチングを行っております。人材獲得の競争が激化し、売上原価の上昇等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)広告・マーケティングによる影響 

 当社は、積極的な広告投資とサービスの利便性向上を継続的に実施することにより、新規ユーザーの獲得と契約単価の向上を図っております。今後もユーザーデータの蓄積ならびにデータを活用したマーケティングの展開により、広告およびマーケティングの効率化を進めてまいりますが、事業規模拡大や競合他社の参入により広告効率の悪化等が発生した場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)サイトの安全性及び健全性確保について

 当社が運営する「クラウドワークス」では、不特定多数のユーザー同士がサービス内でメッセージ機能などを利用してコミュニケーションを図ることにより取引を行っており、これらのコミュニケーションを通じた個人情報の流出や違法行為、また、決済サービスを利用した不正等が行われる危険性があります。当社では、このような行為が行われることを防ぐため、利用規約及び各種ガイドラインを制定し対応するほか、ユーザーが違反を発見した場合には、当社宛に通知が届く違反報告制度の設置や悪質案件の検出機能により、健全性を損なう恐れのある案件に対して適切かつ効率的に対応できる体制を整備しております。しかしながら、「クラウドワークス」内において利用規約及び各種ガイドラインでは対応しきれないトラブルが発生した場合には、当社サービスの信用力低下やイメージの悪化、さらには取引金額の未回収リスクが高まるなど、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 

 

(4)システムトラブルによる影響   

 当社のサービスは、インターネットを介した業務が多数行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存しております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大や地震などの自然災害や事故などにより予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 

 

(5)人材採用・育成による影響 

 当社は、今後の事業規模の拡大に伴い、当社の理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用し、強固な組織を構築していくことが重要であると考えております。その中で、今後の人材の育成・定着を図りつつ、継続的な採用活動を行っていく予定でありますが、当社の求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6)内部管理体制の構築に関する影響

 当社の継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識をしております。管理部門の経験のある人材を確保しつつ、管理体制の強化を図ることで業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業が急拡大することにより、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行う事ができず、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 

(7)企業買収による影響

 当社は、成長戦略の一環として、新たな事業領域への進出、新技術・ビジネス基盤の獲得、既存事業の競争力強化などを目的とした企業買収を実施することがあります。具体的な実施にあたっては入念な調査・検討を行っております。しかしながら、買収後に当初期待した成果が十分に得られなかった場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)重要な訴訟等に関するリスク

 当社は、現在においてその業績に重要な影響を与えうる訴訟等に関与しておりませんが、当社の事業活動等が今後重要な訴訟等の対象となり、その結果によっては当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)法令、規制に関する影響

 当社は、法令・規制に則り適切な事業運営ならびに法令遵守に努めております。しかしながら、予期せぬ法令、規制の強化、改正が生じたこと等により、適切な対応ができなかった場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ①個人情報の保護

 当社が運営する各サービスでは、メールアドレスをはじめとする利用者本人を識別することができる個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社内規程として個人情報保護規程を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出したり、悪用されるといった事態が発生した場合には、当社の事業及び業績並びに企業としての社会的信用力に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ②法的規制

 当社が運営する「クラウドワークス」は、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「プロバイダ責任制限法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等といった法規制の対象となっております。これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後も社内教育や体制の構築などを行っていく予定です。しかしながら、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化などが行われ、当社が運営する事業が規制の対象となるなど制約を受ける場合には、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③知的財産権

 当社が運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、運営する「クラウドワークス」内においては、違反報告制度を導入するなど、第三者の知的財産権侵害などが起こらないような管理体制の構築を行っております。しかしながら、当社の認識していない知的財産権が既に成立していることにより事業運営が制約を受ける場合や、第三者の知的財産権侵害が発覚した場合などにおいては、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10)その他

 当社は、既存事業における成長率の向上や生産性の改善、ならびに新規事業の立ち上げを積極的に推進すべく、コンプライアンスやリスク管理体制及び情報セキュリティ管理体制の整備にも取り組んでおります。しかしながら、当社が事業を遂行する限りにおいては、同業他社及び他業種企業と同様に、世界及び各地域における経済環境、自然災害、戦争、テロ、感染症等の不可抗力、金融・株式市場、政府等による規制、仕入先の供給体制、商品・不動産市況、国内外での人材確保、標準規格化競争、重要人材の喪失等の影響を受けた場合、当社の業績に悪影響を及ぼすことが想定されます。

 

①増収増益と継続的な投資について

 当社は、マッチング事業への集中投資と生産性向上方針の継続により、2021年9月期は過去最高益を実現いたしました。2022年9月期においても売上成長と利益創出の両立を図り増収増益を目指しつつ、新規事業によって将来の事業の柱の創出を目指します。このため、予実管理及び投資効果の測定を徹底し、業績の進捗状況を確認してまいりますが、投資の効果が期初計画を大幅に下回った場合は、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

②新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、当社取締役、従業員に対するインセンティブ、及び、資金調達を目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。2021年9月30日時点で新株予約権による潜在株式数は402,800株であり、発行済株式総数15,255,160株の2.64%に相当しております。

 

③税務上の繰越欠損金について

 第10期事業年度末には、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておりませんが、今後、当社の業績が事業計画に比して順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに重要な影響を与える可能性があります。

 

④自然災害に関するリスク

 地震、風水害等の自然災害により事務所、システム等の設備、社員等に被害が発生した場合には、事業継続計画(BCP)の策定、防災訓練の実施、社員安否システムの導入検討等、防災管理体制強化の対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、災害の規模によっては主要設備、データの損傷等により、当社の業績及び財政状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー (以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績

 当社は『世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる』というビジョンを掲げ、創業以来、インターネットを活用して個人が報酬を得るための仕組みであるクラウドソーシングを中心としたオンライン人材マッチング事業を推進しております。当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により緊急事態宣言が再発令され厳しい経済環境が続いておりますが、このような状況の中、政府の掲げる「一億総活躍社会実現」における最大のテーマ「働き方改革」に沿って、潜在労働力となっている女性やシニア、障がい者などの活躍の機会拡大、会社員の副業・兼業など、企業に勤める以外の働く選択肢が広がり、個人の働き方への価値観は多様化しつつあります。また、2019年4月より「働き方改革関連法」が順次施行され、2020年4月には「同一労働同一賃金」の施行、2021年4月の「高年齢者雇用安定法」の改正による70歳までの雇用延長など、従来の雇用制度を見直す動きが広がっております。   

 こうした流れを受け、従来の枠にとらわれない形で人材獲得を進めたい企業が増加しているほか、日本を代表する大企業も自社の従業員の収入増加、モチベーションの向上、優秀な人材の確保・定着などを目的として、従業員の副業・兼業を容認する動きが広がっております。また、社会全体でデジタルシフトが加速するなど、新しい働き方・新しい生活様式(ニューノーマル)に対応していく動きも広がっており、企業活動のデジタル化やEC化、それに伴う外部の専門人材(フリーランス・副業者・兼業者)の受け入れ拡大やインターネットを介して働くクラウドワーカーの活用など、人材調達に関する企業ニーズが変化しはじめております。こうした動きは当社を取り巻く市場にとって追い風であり、2021年9月末時点で登録ユーザー数は470万人(前事業年度+59.4万人)、登録クライアント数は76万社(前事業年度+9万社)となりました。

 このような環境のもと、当社はコア事業であるマッチング事業への投資を集中する方針を定め、成長率増加と生産性向上の両輪により収益性の増加を図ってまいりました。その結果、当事業年度においては、マッチング事業の流通取引総額、売上高、売上総利益の全指標が業績予想を達成したことに加え、生産性向上の取り組みが進展したことにより営業黒字を実現いたしました。

 エンジニア・デザイナーなどの専門人材を求める企業からの需要は引き続き高く、インターネットを介しての外部専門人材やクラウドワーカーの活用は今後も増加が見込まれます。また、コロナ禍において多くの企業でテレワークの導入が進み、業務やマーケティングのデジタル化が進んだことから、マッチング事業においてはオンライン事務アシスタントの需要増加や、エンジニア・デザイナーを中心とした高単価×高継続のハイエンド人材マッチングが好調であります。

 ビジネス向けSaaS事業においては、フリーランスや社内人材の業務管理を効率的に行うSaaSサービスとして提供しているクラウドログの導入社数が順調に伸長しており、引き続き先行投資を行っていく予定です。

 

 以上の結果、当事業年度の当社の業績は、売上高7,769,472千円、営業利益は575,194千円、経常利益は645,191千円、当期純利益は622,421千円となりました。  

 

①マッチング事業

 当事業年度のマッチング事業においては、選択と集中によるマッチング事業への投資継続と生産性向上プロジェクトの実施により、流通取引総額・売上高・売上総利益は業績予想を達成いたしました。販売費及び一般管理費については、WEB広告への投資を継続的に実施したほか、人員を増加し営業体制を強化しながらも生産性向上に取り組み、業績予想を超える営業利益を計上いたしました。この結果、流通取引総額は15,227,773千円、売上高は7,649,817千円、売上総利益は3,381,722千円、セグメント利益は773,895千円となりました。

 

②ビジネス向けSaaS事業

 当事業年度のビジネス向けSaaS事業においては、企業向けの業務管理ツールの導入が過去最高を記録し順調に顧客数を拡大しております。大手企業クライアントの開拓や企業との協業による拡販、単価の向上に取り組んだほか、さらなる成長拡大に向けたマーケティング及び新機能開発やサービス改善のための先行投資を実施いたしました。この結果、売上高及び売上総利益は119,406千円、セグメント損失は166,388千円となりました。

 

 

(2)生産、受注及び販売の実績

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

①生産実績

生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

②受注実績

受注に該当する事項が無いため、受注実績に関する記載はしておりません。

 

③販売実績

当事業年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

マッチング事業

7,649,817

-

ビジネス向けSaaS事業

119,406

-

その他

248

-

合計

7,769,472

-

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

  2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)財政状態

(資産)

 当事業年度末における総資産は6,201,268千円となり、前事業年度末に比べ1,162,625千円増加しました。総資産の増加は子会社の吸収合併及び事業拡大に伴う流動資産の増加によるものであります。流動資産は5,707,154千円となり、主な内訳は、現金及び預金が4,219,115千円、売掛金が733,569千円、未収入金が717,996千円であります。固定資産は494,114千円となり、主な内訳は、有形固定資産が70,906千円、無形固定資産が34,345千円、投資その他の資産が388,861千円であります。

 

(負債)

 当事業年度末における負債は2,406,704千円となり、前事業年度末に比べ521,337千円増加しました。負債の増加は子会社の吸収合併及び事業拡大に伴う流動負債の増加によるものであります。流動負債は2,375,954千円となり、主な内訳は、未払金が671,216千円、預り金が1,119,373千円であります。固定負債は30,750千円となっております。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は3,794,564千円となり、前事業年度末に比べ641,287千円増加しました。純資産の増加は当期純利益の計上により、利益剰余金が増加したものであります。

 

 

(4)キャッシュ・フロー

 当社は、前事業年度末まで連結財務諸表提出会社であったため、連結キャッシュ・フロー計算書を作成しており、キャッシュ・フロー計算書は作成しておりませんでした。このため、当事業年度については、前事業年度との比較は行っておりません。

 当事業年度末における現金及び現金同等物は4,219,115千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果による収入は、868,792千円となりました。主なキャッシュ・フローの増加要因は税引前当期純利益638,773千円の計上、減価償却費27,310千円、営業投資有価証券の減少額16,922千円、貸倒引当金の増加13,745千円、未払金の増加84,626千円、預り金の増加91,600千円及び前受金の増加73,144千円であります。一方で、主な減少要因は、売上債権の増加51,260千円、未収入金の増加109,733千円であります。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果による支出は95,370千円となりました。主なキャッシュ・フローの増加要因は敷金の回収による収入34,582千円であります。一方で、主な減少要因としては、投資有価証券の取得による支出31,193千円、出資金の払込による支出59,491千円及び関係会社株式の取得による支出24,994千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による収入は5,086千円となりました。主なキャッシュフローの増加要因は、株式の発行による収入5,400千円によるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社の運転資金需要のうち主なものは、マッチング事業における事業運営のための人件費、ワーカーへの報酬支払いであります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、マッチング事業におけるユーザー獲得のための広告宣伝費、成長戦略上必要な企業または事業の買収資金であります。

当社は、運転資金については主に自己資金または借入金により資金調達をすることとしております。投資を目的とした資金については、同じく自己資金または借入金による資金調達を基本としつつ、その規模により適宜新株発行等のエクイティファイナンスによる資金調達を行なうことを基本方針としております。

資金の流動性管理にあたっては、適宜、資金繰り計画を作成・更新して手元流動性等をモニタリングするとともに、取引金融機関との当座貸越契約の締結等により、将来に渡り必要な資金流動性を確保できるよう計画しております。

 

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表作成にあたって採用された重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示情報に影響を与える見積り及び予測が必要となります。当社は、過去の実績や状況等を勘案し合理的な判断のもと継続的に見積り及び予測を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる場合があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当事業年度の経営成績については、高単価案件の取り扱いや発注クライアント社数の増加によるマッチング事業の順調な成長と全社での生産性向上取り組みが奏功し、全体の売上高は7,769,472千円、営業利益は575,194千円、経常利益は645,191千円となりました。

 コア事業であるマッチング事業については、事業KPIである発注クライアント社数が約3,200社増加、生産性を維持しながら広告投資を積極的に行ったことや、エンジニアやデザイナー、事務アシスタント等の専門人材のマッチングに注力したことで、クライアント1社あたりの発注単価を維持しながら契約社数の増加に成功。これらの高単価契約のサービスが伸びたことによりテイクレートが1.0%改善し、売上高は7,649,817千円と開示予算を上回る着地となり、セグメント利益については773,895千円と通期営業黒字を実現いたしました。

 ビジネス向けSaaS事業については、企業向けの業務管理ツールの顧客数が順調に伸長しており、累計導入社数は450社を突破しております。大手クライアントの開拓や大手企業との協業による拡販、単価の向上に取り組んだほか、さらなる成長拡大に向けたマーケティング及び新機能開発やサービス改善のための先行投資を実施いたしました。これにより売上高は119,406千円、セグメント損失は166,388千円となりました。   

 また、当事業年度において連結子会社であった株式会社ビズアシ・株式会社gravieeを吸収合併したことにより、抱合せ株式消滅差益15,593千円を特別利益として計上、抱合せ株式消滅差損22,011千円を特別損失として計上しております。このため、当期純利益は622,421千円となりました。 

 

 財政状態については、当事業年度末における総資産は子会社の吸収合併及び事業拡大に伴い流動資産が1,147,834千円増加したことにより、前事業年度末に比べ1,162,625千円増加し、6,201,268千円となりました。負債については子会社の吸収合併及び事業拡大に伴う流動負債が523,594千円増加したことにより、前事業年度末に比べ521,337千円の増加となりました。純資産は当期純利益の計上による利益剰余金の増加により、前事業年度末比641,287千円増加の3,794,564千円となりました。これにより、自己資本比率は60.9%(前事業年度末比1.7%減)となりました。

 

 キャッシュ・フローについては、当事業年度の営業キャッシュ・フローは売上債権および未収入金の増加に対し、税引前当期純利益の計上、及びマッチング事業の成長による未払金および預り金の増加により、868,792千円の増加となりました。また、投資キャッシュ・フローについては主に敷金の回収により増加し、投資有価証券の取得や出資金の払込により、95,370千円の減少となりました。財務キャッシュ・フローについては株式の発行による収入により5,086千円の増加となりました。これにより、現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末から973,759千円増加し、4,219,115千円となりました。

 

 

 

(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では流通取引総額、売上高、売上総利益の成長率、テイクレートおよび、営業利益を経営成績における評価指標として使用しております。当社の当事業年度の経営成績については、全指標で修正計画を達成いたしました。

 <2021年9月期 経営成績>

・売上高    : 7,769百万円 業績予想比+5.3%     (修正業績予想:7,377百万円)

営業利益     :   575百万円 業績予想比+138百万円 (修正業績予想:437百万円)

なお、第2四半期以降非連結決算に移行したため個別業績予想との対比を記載しておりますが、2020年9月期実績との比較の観点から、主要な経営指標については当初連結ベースの業績を公表しております。以下の経営指標については、吸収合併した連結子会社である株式会社ビズアシ・株式会社gravieeの2021年9月期第1四半期業績を含めた数値をベースに修正を行った実績値となります。

<2021年9月期 経営成績(ご参考:連結ベース)>

・流通取引総額 :15,698百万円 前年同期比+3.2%

・売上高     : 8,055百万円 前年同期比△7.7% 

・売上総利益  : 3,600百万円 前年同期比+8.4%

・営業利益      :   600百万円 前年同期比+899百万円

 

 2021年9月期はマッチング事業への選択と集中を図りながら生産性向上方針を推し進めたことにより、売上成長と利益化が大きく進展いたしました。2022年9月期は、2020年9月期より3ヵ年かけて取り組んでいる「生産性向上による利益創出」の最終年度であり、当事業年度と同様、マッチング事業への集中投資を継続させながら、生産性向上と事業構造改革を推進し、さらなる増収増益を目指す方針です。なお、2021年10月に、IT人材のダイレクト型マッチングプラットフォーム「CODEAL」を展開しているコデアル株式会社の株式を取得し子会社化いたしました。コデアル株式会社を取得することにより、マッチング事業の中長期にわたる収益性の確保、ならびに成長力の強化へ繋げていけるものと考えております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(連結子会社の吸収合併について)

当社は、2020年11月13日開催の取締役会において、2021年1月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社ビズアシ及び株式会社gravieeを吸収合併することを決議し、2021年1月1日付で吸収合併いたしました。

なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(コデアル株式会社の株式取得について)

当社は、2021年9月27日開催の取締役会において、コデアル株式会社の株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

5 【研究開発活動】

 該当事項はありません。