第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度(2014年7月1日~2015年6月30日)における世界経済は、米国を中心に全体として回復基調でありました。不透明な中国経済、ギリシャ財政問題、米国の利上げ等のリスク要因が顕在化しつつあるものの、世界経済は、緩やかな成長が持続するものと予測されます。国内においては、物価上昇に伴う消費者心理の悪化などにより景況感で弱含みもみられたものの、企業の設備投資は堅調に推移しております。政府による金融・財政政策等がプラスに作用し、株高の影響もあり景気は底堅く推移する見通しです。

技術者派遣・請負市場は安定成長が継続しており、特に自動車・自動車部品、産業機械、IT、建設業界の技術者に対する需要は引き続き活況です。また、技術者採用市場における供給不足の状態が前連結会計年度より継続しております。

このような経済環境の中、当社グループとしては主に以下の取組みを実施いたしました。

(シフトアップ・チャージアップの推進)

技術者一人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる売上単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の売上単価向上)を前連結会計年度に引き続き推進いたしました。

(採用力の強化)

当社グループ認知度向上、技術者による知人紹介の推進、連結子会社である㈱テクノプロ・キャリアを含む人材紹介会社からの採用強化を進めました

(R&Dアウトソーシング分野の統合)

R&Dアウトソーシング分野の4法人(㈱シーテック、㈱テクノプロ・エンジニアリング、㈱CSI、㈱ハイテック)が、2014年7月1日付にて㈱テクノプロとして合併いたしました。カンパニー制を採用することで、合併前法人の技術領域の独自性を活かしつつ、業務統制強化・効率化にむけた情報システムの強化等を推進いたしました。

 

これら取組みの結果、当連結会計年度末の国内技術者数は11,969人(前連結会計年度末比880人増)へと増加しました。また、技術者一人当たり売上(国内)は月額614千円(前連結会計年度比13千円改善)、稼働率が95.4%(前連結会計年度比0.1%改善)であった点とあわせて、売上収益の増加に貢献しました。採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数は2,413人(前連結会計年度比183人増)であり、技術者数の伸びに寄与しております。顧客業界別では、IT、自動車・自動車部品等の稼働技術者数が伸長いたしました。

費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増要因があったものの、売上総利益率は23.5%(前連結会計年度比0.8%改善)となりました。また、㈱テクノプロとしての当社子会社4社の合併に係る業務構造改革費用1億18百万円や上場関連費用67百万円を計上したものの、売上収益販売管理費比率を14.5%(前連結会計年度比0.2%減)にコントロールいたしました。加えて、2014年6月のリファイナンスによる借入利率の低下・借換費用の減少により、金融費用が4億58百万円(前連結会計年度比10億35百万円減)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上収益は812億41百万円(前連結会計年度比9.5%増)、営業利益は72億83百万円(前連結会計年度比28.0%増)、税引前当期利益は68億32百万円(前連結会計年度比62.6%増)、当期利益は68億75百万円(前連結会計年度比70.7%増)となりました。

また、調整後営業利益は74億68百万円(前連結会計年度比23.2%増)、EBITDAは79億28百万円(前連結会計年度比19.2%増)、調整後税引前当期利益は70億17百万円(前連結会計年度比53.3%増)となりました。

 

当連結会計年度における主要事業分野の業績は、次のとおりです。

(R&Dアウトソーシング分野)

専任チームによる主導体制を構築し、シフトアップ・チャージアップ交渉を進めました。また、請負業務のプロセス改善による高収益化を推進いたしました。更に、㈱テクノプロ内の各社内カンパニー間での営業面の連携強化を図りました。これらの取組みの結果、同分野の売上収益は685億14百万円(前連結会計年度比9.4%増)となりました。

(施工管理アウトソーシング分野)

前連結会計年度に引き続き、重点顧客への配属と知人紹介採用を推進いたしました。また、チーム配属の推進による技術者一人当たりの売上単価の向上を図りました。これらの取組みの結果、同分野の売上収益は118億20百万円(前連結会計年度比8.6%増)となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ20億59百万円増加し、108億51百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は68億27百万円となりました(前連結会計年度比40.2%増)。これは主に、税引前当期利益(68億32百万円)、未払消費税等の増加(13億53百万円)による資金の増加に対し、売掛金及びその他の債権の増加(11億9百万円)、法人所得税支払額(5億32百万円)により資金が減少したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は3億4百万円となりました(前連結会計年度比8.7%増)。これは主に、有形固定資産の取得(1億77百万円)及び無形資産の取得による支出(1億86百万円)によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は45億2百万円となりました(前連結会計年度比31.9%減)。これは主に、短期借入金の純減額(30億円)及び長期借入金の返済による支出(15億円)によるものです。

 

(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

(のれんの償却)

日本基準においては、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、当該期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期の減損テストにより必要な場合は減損損失を計上します。

この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度14億72百万円、当連結会計年度14億72百万円減少しております。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当社グループで行う事業(技術者派遣・請負事業)は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。

 

(2)受注状況

当社グループで行う事業(技術者派遣・請負事業)は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。

 

(3)販売実績

当社グループは技術者派遣・請負事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業分野別の販売実績を記載しています。当社の当連結会計年度における販売実績は次のとおりとなります。

事業分野の名称

連結会計年度

(自 2014年7月1日

  至 2015年6月30日)

金額

(百万円)

前年同期比

(%)

R&Dアウトソーシング

68,514

109.4

施工管理アウトソーシング

11,820

108.6

その他

906

143.4

合計

81,241

109.5

(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【対処すべき課題】

(1)外部環境

労働者派遣法に関して、すべての労働者派遣事業の許可制への移行や期間制限のあり方等の改正が検討されており、国内の人材派遣市場をめぐる法環境の変化が見込まれます。

R&Dアウトソーシング分野においては、「顧客の製品開発サイクルの短期化が進む中、設計・開発・研究業務のアウトソーシングの動きの増加」「プロジェクトごとに請負契約として完全にアウトソーシングする動きの進展」「顧客企業の求める法令遵守体制や管理体制を充足できる上位事業者への集約化」「中長期的な少子化の進展や理工系学生の減少のため、技術者の需給が逼迫した環境の継続」が予測されます。

また、施工管理アウトソーシング分野において需要を牽引する建設投資は、2011年の東日本大震災の復興需要で増加に転じ、2020年に開催予定の東京オリンピックにむけて堅調に推移する見込みです。しかし、建設業界への新卒者入職者数が低水準で推移する一方で、高齢化が進展しつつあるため、引き続き技術者不足の状態が継続するものと予測されます。

 

(2)対処すべき課題

上記を背景に、対処すべき課題として次の内容に取り組んでまいります。

① 価格改善

当社グループの技術者一人当たり売上は2011年6月期より年率平均1.6%で向上しているものの、改善の余地が大きいと判断しています。そのため、技術者に対する教育研修の充実等を通じて付加価値を高めていくことに加えて、技術者の需給状況を技術領域に応じて的確に判断した上で価格政策を進めてまいります。

 

2011年6月期

2012年6月期

2013年6月期

2014年6月期

2015年6月期

技術者一人当たり売上(千円/月)

575

589

593

601

614

(国内。主たる子会社の売上高合算/Σ[月末稼働技術者数]により算定。)

 

特に、今後の日本の技術開発を支える戦略技術分野(組込ソフトウェア、3次元設計技術、CAE技術、インバーター技術、高周波回路技術等)の技術者を拡充、低利益率技術者の契約見直しを進めます。

技術者を同一価格の同一案件に長期間固定させるのではなく、技術者のスキル向上に応じた適正価格水準の案件への配属を進めることで、当社グループの収益改善だけでなく、技術者の職務満足度を高めてまいります。

 

② 高品質技術者の確保と育成

人材の確保は当社グループの成長の礎であり、いかに高品質の技術者を獲得していくか、あるいは既存技術者のスキルをいかに高めていくかは重要な課題の一つです。当社グループではWeb媒体や転職雑誌、ハローワーク等を通じた中途採用が技術者獲得の中心でしたが、今後は優秀な新卒者の獲得にも力点を置くとともに、新たな採用チャネルを通じた高品質技術者の獲得を推進してまいります。

また、全国4拠点のラーニングセンターにおいて、顧客との共同研修を含むより実践的な研修プログラムを開発するだけでなく、戦略技術分野の研修強化による、非戦略技術分野に属する技術者の戦略技術分野へのシフトを図ってまいります。更には、技術者人事制度の充実や技術者満足度調査等を通じて、技術者としてのキャリアアップを促進してまいります。

 

③ ブランド力の強化

前述の2つの課題に対応していく上でも、「テクノプロ」ブランドの知名度向上は重要な課題です。従前、当社グループでは各事業会社が各々の会社名で独自の事業運営を実施していましたが、2013年11月に「テクノプロ」ブランドへの統一を実施し、ブランド投資を進めてまいりました。当社グループとしては継続的にブランド投資と各種媒体への露出を積極化し、顧客と技術者双方への「テクノプロ」ブランドの浸透を図り、営業力と採用力の強化を進めてまいります。

 

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④ 法規制の変化への対応

当連結会計年度に国会で審議された労働者派遣法の主要改正点は下記となります。

・特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。

・これまで派遣期間を制限する区分として政令26業務(*)・自由化業務の区分が設けられていたが、それを廃止し、全ての業務に共通する派遣労働者個人単位の期間制限(3年)と派遣先の事業所単位の期間制限(3年、一定の場合に延長可)を設ける。但し例外として無期雇用労働者や雇用の確保が困難な者には上限はない。

・派遣元事業主に計画的な教育訓練等の実施を義務付けること等により、派遣労働者のキャリアアップを推進する。

当社グループにおいては、許可要件(資産要件・遵法要件)や教育訓練等の義務は十分に充足可能ですが、中小零細の競合派遣会社には負担となり、淘汰が進む可能性があります。また、当社グループの87%が無期雇用であるため、派遣期間制限の取扱い変更は大きな影響はなく、むしろ、従前自由化業務であった分野(例:プラント保守)の受注を促進し、業績にプラスに働くと想定しています。

当社グループでは、これらの法規制の変化に機動的に対応し、成長を実現してまいります。

 

(*)政令26業務とは、「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」又は「その業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」として、派遣法施行令第4条第1項並びに第5条で定められた業務であり、派遣可能期間の制限がありません。一方で、自由化業務とは、期間制限を受けない業務及び労働者派遣が禁止されている業務以外の業務のことをいいます。期間は派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について原則1年間と定められています(過半数労働組合等の意見を聴いた上で3年間まで延長可能です)。

 

⑤ 業務プロセスの向上

当社グループの本社及び事業所の事務業務は、プロセス・ルール・帳票の標準化を進めることにより、効率化できる余地があります。情報システムへの投資による基幹システムのバージョンアップと共に、内部統制を具備した事務の標準化・効率化を推進することで、事務機能の強化を図ります。

 

⑥ M&Aによる事業拡大

技術者派遣業務の成長を加速し、技術系人材サービスを拡大していく上での有力な手段の一つはM&Aであると考えております。当社グループのコンプライアンス、教育研修、情報システム等を含む業務基盤を活かし、戦略技術分野の技術者の拡充のため、あるいは多様な産業・顧客基盤を活かした事業拡大を図る上でも、M&Aは有力な手段です。当社グループでは、現有事業とのシナジーを勘案し、買収対象候補先に対する厳格な事業性評価に基づきM&A戦略を推進し、成長を図ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

当社グループの営業活動その他に係るリスク要因について、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与えうるリスク要因はこれらに限定されるものではありません。

なお、本項における将来に関する事項については、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、合理的であると当社グループが判断したものであります。

 

(1)コンプライアンス

当社グループは、技術者、顧客、社会に対して価値を提供していくことを経営理念として掲げており、リスク管理及びコンプライアンスについて、「コンプライアンス宣言」「テクノプロ・グループ企業行動規範」「コンプライアンス89項目マニュアル」を当社グループ役職員に徹底させています。

具体的な体制としては、コンプライアンス最高責任者である当社代表取締役社長を委員長とし、当社グループの取締役及び執行役員等で構成されるCSR委員会を設置し、コンプライアンス体制の企画・運営等に関する重要事項を審議しています。実務面では、当社CSR推進部が当社グループ横断的なリスク管理を担い、各子会社に設置したコンプライアンス推進部及び労政部が、労働者派遣法等の関連業法の遵守を推進しています。また、当社代表取締役直属の内部監査部によるコンプライアンス・業務・会計監査を強化していることに加え、内部通報制度により違法行為等の情報が内部監査部にタイムリーに集約される体制を構築しています。さらには、役職員への教育研修を徹底して実践するなどし、コンプライアンスを重視する経営風土を全役職員に浸透させるべく努めております。

しかしながら、上記取組みにもかかわらず、コンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が当社グループ役職員によりおこなわれた場合、社会や顧客が被る損害への賠償やレピュテーションの悪化等を通じて、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)取引先業界の景気動向

当社グループは2015年6月末時点で国内に11,969人の技術者を擁しており、そのうち87%(10,440人)が無期雇用となっております。当社グループでは、技術者の付加価値を高めるための教育研修を強化しており、2011年6月期以降、技術者の稼働率は95%超と安定的に推移しています。また、R&Dアウトソーシング分野では多様な業界・顧客と取引することで、特定の業界や特定の顧客の業況に大きく影響を受けない、リスクを分散した運営をおこなっています。当社グループにおける顧客上位10社の売上高占有率は13.4%(当連結会計年度)です。

しかしながら、取引先業界の景気が悪化した場合には、残業時間の短縮化、契約条件の悪化、更には派遣技術者の契約解除が起こり得ます。多くの無期雇用技術者を擁しているが故に、景気下降局面では非稼働技術者の人件費負担が大きくなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

2011年6月期

2012年6月期

2013年6月期

2014年6月期

2015年6月期

技術者稼働率(%)

96.1

95.5

95.1

95.3

95.4

稼働技術者数(人/年度末)

8,805

9,491

9,733

10,519

11,315

(技術者稼働率、稼働技術者数共に国内。また、技術者稼働率はΣ[月末稼働技術者数]/Σ[月末総在籍技術者数]により算定。)

 

(3)技術者の採用

優秀な技術者の獲得は、当社グループの成長の推進力です。採用力は当社の強みであり、技術者採用数と総在籍技術者数は下表のとおり順調に推移しています。しかし、近年、国内における技術者需給は逼迫しており、当社グループにおいては、従前の既卒者を中心とした採用に加えて新卒採用の増加を図っております。また、採用チャネルについても、従前のWeb媒体やハローワーク等に加えて、人材紹介事業者の活用や知人紹介等へ多角化することで、必要とされる技術者の確保に努めています。

しかしながら、今後の技術者採用市場の動向によっては、人材の確保に難航する虞もあり、結果として当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

2011年6月期

2012年6月期

2013年6月期

2014年6月期

2015年6月期

技術者採用数(人)

1,824

2,627

2,040

2,230

2,413

総在籍技術者数(人)

9,199

10,001

10,401

11,089

11,969

(技術者採用数、総在籍技術者数共に国内。また、総在籍技術者数は年度末時点。)

(4)情報セキュリティ

当社グループの技術者は、業務上、顧客の研究開発等の機密情報を知り得る可能性があります。そのため、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させています。

また、当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩に対して対策を進めています。

上記対策にも関わらず、顧客の機密情報の外部流出が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。

 

(5)個人情報保護

当社グループでは、技術者を含む従業員の個人情報を大量に保有していることから、個人情報の適正な管理は極めて重要であると認識しており、当社CSR推進部長を個人情報保護責任者と定め、個人情報保護規程の整備・運用及び個人情報に関するセキュリティ対策を情報システム面も含めて講じています。

上記対策にも関わらず、個人情報の外部流出が発生した場合、当社グループへの社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)人材派遣事業に関する規制等

当社グループは、労働者派遣法、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年厚生労働省告示第37号)、その他の関連法令の規定に従い、労働者派遣事業を行っており、法令に抵触した場合には、労働者派遣事業の廃止または許可取消、事業停止の処分等を受けるおそれがあります。そのため、当社グループでは、組織・規程・役職員教育を含めて厳格な法令遵守体制を構築・運用しています。しかしながら、労働者派遣法その他の関連法令に抵触する行為が当社グループで発生した場合には、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。

また、労働者派遣法を始めとする関係諸法令は、経済環境・社会環境の変化に伴い、継続的な見直しが行われています。従って、当社グループの業態に著しく不利な改訂が将来的に実施された場合には、当社グループの収益性に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループの許可・届出状況

 

許認可の名称

監督官庁

許可番号

取得年月日

有効期限

㈱テクノプロ

特定労働者派遣事業

厚生労働省

(特)13-300281

2004年6月

期限の定めなし

一般労働者派遣事業

厚生労働省

(般)13-305617

2014年7月

2017年6月

有料職業紹介事業

厚生労働省

13-ユ-301819

2006年12月

2019年11月

㈱エヌ・アンド・シー

一般労働者派遣事業

厚生労働省

(般)13-304191

2009年2月

2017年1月

有料職業紹介事業

厚生労働省

13-ユ-303846

2009年2月

2017年1月

㈱テクノプロ・キャリア

有料職業紹介事業

厚生労働省

13-ユ-304788

2010年10月

2018年9月

なお、上記の許可・届出に関して、事業停止、許可取消しまたは事業廃止となる事由は労働者派遣法第14条及び第21条、並びに職業安定法第32条に定められております。本書提出日現在において当社グループが認識している限り、当社グループにはこれら事業停止、許可取消し及び事業廃止の事由に該当する事実はありません。

 

(7)社会保険料率の変化

当社グループは多数の従業員を抱えており、社会保険の加入義務があります。社会保険料の料率が上昇した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)労務リスク

当社グループでは12,000人を超える従業員を雇用しており、また毎年多数の従業員を採用しております。経営理念の一つとして、「エンジニア一人ひとりに誠実に向き合い、夢の実現をサポートするパートナーです。」を掲げ、採用時の人材品質確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む技術者管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度向上等の取組みを実践しております。

しかしながら、労働安全衛生や雇用関係等に関して従業員との間で紛争が発生する可能性もあり、その場合には、当社グループの業績や財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(9)自然災害・事故

当社グループは全国に100ヵ所以上の事業拠点を有しております。自然災害や事故については、企業危機対策規程を定め、また情報システム障害に関してはデータリカバリーセンターを活用する等の対策を講じています。

しかしながら、地震や洪水等の自然災害や予期せぬ事故等により、当社グループあるいは顧客の設備が損壊する等の被害が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)減損会計の適用

当社グループは、2015年6月30日現在、連結財政状態計算書にのれんを292億2百万円計上しており、総資産の49.7%を占めています。主要な内訳は機械、電気・電子領域(136億74百万円)、組込制御、ITインフラ領域(79億69百万円)であり、当社グループの収益性に認識可能な低下がみられる場合には、のれんの減損が生じているか否かについて判断することが必要となります。のれんに関する減損損失が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、これらののれんは非償却性資産であります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として当社グループの連結財務諸表に基づいて分析したものです。

なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。

これらの連結財務諸表の作成にあたっては一部に見積りによる金額を含んでおりますが、見積りにつきましては、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいており、妥当性についての継続的な評価を行っています。

しかしながら見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

(2)経営成績及び財政状態の分析

① 経営成績の分析

技術者派遣・請負事業における売上収益は、技術者一人当たり売上(技術者一人当たり売上=年間売上収益/Σ[各月末の稼働技術者数])と稼働技術者数により構成されます。また、稼働技術者数は在籍技術者数と稼働率(稼働率=Σ[各月末の稼働技術者数]/Σ[各月末の総在籍技術者数])に分解されます。

特に、技術者派遣業務は顧客との契約期間は長期的に継続する場合が多い点から、技術者は当月だけでなく将来への売上にも累積として貢献するという意味でストック型のビジネスと考えています。従って、稼働技術者数は売上収益の重要な先行指標です。

また、当社グループの技術者の雇用形態は、87%が無期雇用契約、13%が有期雇用契約です(2015年6月時点)。無期雇用契約の従業員が非稼働の場合は、売上貢献の無い期間に人件費が発生するため、売上収益面だけでなく費用面においても稼働率は重要な指標です。

 

当連結会計年度において、技術者派遣・請負事業における国内在籍技術者数は前年度比880人増加の11,969人(年度末)、技術者一人当たり売上は前年度比13千円増加の月額614千円を達成しました。

また、年間採用数(国内)は2,413人であり、退職率の低下も伴い、在籍技術者数は増加いたしました。特に、顧客業界別では、IT、産業用機械、自動車業界の稼働技術者数は伸長いたしました。当社グループは、顧客の多様な開発工程・技術領域をカバーしています。スキル開発を推進する教育研修体制は、需要が高い技術領域へのスキル転換による、景気変動への柔軟な対応を可能とし、高稼働率維持に貢献しています。

 

また、業績改善に伴う技術者に対する賞与増加や厚生年金保険料率改定に伴う法定福利費増加といったコスト増要因はあったものの、技術者派遣・請負事業の国内技術者稼働率を95.4%に、売上収益販売管理費比率を14.5%にコントロールいたしました。結果として、当連結会計年度の売上収益は812億41百万円、営業利益は72億83百万円、当期利益は68億75百万円となりました。

 

② 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は587億78百万円(前連結会計年度末比51億62百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん292億2百万円、売掛金及びその他の債権115億79百万円、現金及び現金同等物108億51百万円等であります。

各項目の状況は以下のとおりであります。

 

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は249億20百万円(前連結会計年度末比46億33百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物108億51百万円(前連結会計年度末比20億59百万円増加)、売掛金及びその他の債権115億79百万円(前連結会計年度末比11億9百万円増加)等であります。

 

(非流動資産)

当連結会計年度末における非流動資産の残高は338億58百万円(前連結会計年度末比5億29百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん292億2百万円、繰延税金資産25億3百万円(前連結会計年度末比3億78百万円増加)等であります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は178億8百万円(前連結会計年度末比7億49百万円減少)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務71億99百万円(前連結会計年度末比5億25百万円減少)、従業員給付に係る負債34億46百万円(前連結会計年度末比1億7百万円増加)等であります。

 

(非流動負債)

当連結会計年度末における非流動負債の残高は189億97百万円(前連結会計年度末比9億90百万円減少)となりました。主な内訳は、借入金152億12百万円(前連結会計年度末比14億6百万円減少)、退職後給付に係る負債35億15百万円(前連結会計年度末比4億7百万円増加)等であります。

 

(親会社の所有者に帰属する持分)

当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は219億73百万円(前連結会計年度末比69億1百万円増加)となりました。主な内訳は、資本剰余金65億25百万円(前連結会計年度末比24億11百万円減少)、利益剰余金151億48百万円(前連結会計年度末比92億31百万円増加)等であります。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

当連結会計年度における経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」をご参照下さい。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度における運転資金及び設備投資資金は、内部留保により充当いたしました。資金状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローでは68億27百万円の資金獲得となり、営業活動により獲得した資金のうち3億4百万円は基幹システムや事務所附属設備等の投資活動に、45億円は借入金の約定返済の財務活動に充当いたしました。なお、当連結会計年度末における当社及び主たる子会社の繰越欠損金の合計額は137億円(前連結会計年度末では190億円)であり、営業活動によるキャッシュ・フロー獲得に寄与しています。

 

(5)経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、2013年11月よりグループ全社による「テクノプロ」ブランドの統一的な使用を開始し、2014年7月1日にはR&Dアウトソーシング分野の子会社4社の合併を実施することで、従前より各子会社が有していた技術的独自性とグループとしての規模の両面を活かした事業運営を進めてまいります。

当社グループは、技術者採用力に基づく多様な技術領域における約12,000名の技術者と営業力に基づく多様な産業・顧客基盤を有しています。この2つが相互に良循環を形成し、経営基盤としてのコンプライアンス体制・教育研修体制と一体となり、事業運営を支えています。

今後は更なる成長に向けて、中期経営計画「Growth 1000」に従い、以下の重点経営方針を遂行してまいります。

①  技術者派遣業務の収益基盤強化

当社グループの中核である技術者派遣業務においては、多様な産業分野での研究開発投資拡大やIT投資の増加、建設プロジェクトの増加を背景として人材需要拡大が見込まれる一方で、技術者需給の逼迫が継続しています。当社グループでは、増加する需要に対応するための技術者数増大と共に収益性向上に向けた下記施策を推進することで、技術者派遣領域の成長と収益基盤強化を実現します。

・戦略的な配属先の選定や付加価値の高い技術分野への注力等による売上単価向上

・多様な採用チャネルの活用や新卒採用の強化、M&Aなどによる技術者の獲得

・業務プロセスの効率化やグループ連携施策などによる競争的コスト構造の維持・強化

 

②  技術系人材サービス・グループとしての成長

当社グループは、技術者派遣業務において、強固な顧客基盤、採用プロセスにおける多数の技術者との接点、技術者の配属・育成ノウハウなど様々なコアコンピタンスを有しています。これらを活用でき、かつ技術者派遣領域にもプラスがある「その他技術系人材サービス」や「海外サービス」に経営資源を投下することで、中長期的成長を図ります。具体的には、自動車関連分野、IT分野、バイオ分野などにおける受託開発、技術系人材の採用・研修に関する知見を活かした採用支援・教育研修、産業分野をまたがる技術者のシフトを促進する事業再構築支援、グローバル採用代行、海外拠点での研究開発の受託、オフショアリング等を推進いたします。

 

③  バランスを確保した資本政策の推進

上述の2つの方針を実現する上で、M&Aは重要な手段であると考えています。当社グループではM&A投資を強化するとともに、株主還元と財務健全性のバランスを重視した資本政策を推進していきます。具体的な経営指標としては、連結配当性向50%、D/Eレシオ0.4-0.8xを目標水準としています。また、2018年にはJPX日経インデックス400銘柄への選定を目指しています。

 

④  コーポレート・ガバナンスの充実

持続的成長を通じて企業価値及び株主共同の利益向上を実現するため、コーポレート・ガバナンスの充実を図ります。当社は、監査役会設置会社の形態を採用し、取締役会による経営の意思決定機能及び業務執行に対する監督監視機能と、監査役会による監査機能を有しています。また、独立社外取締役・監査役の参画を得た指名報酬諮問委員会を設置し、相互牽制の観点から事業系取締役と管理系取締役を個別に選出するなど、経営の監督監視機能を明確化することで経営の透明性を確保する一方で、日常的な業務執行の権限・責任を執行役員に与えることで、機動的かつ効率的な業務運営の実現を図ってまいります。

 

(参考情報)

 

当社グループでは、経営管理上、以下の算式により算出された調整後営業利益等を重要な経営指標と位置付けています。

 

(単位:百万円)

回次

国際会計基準

第8期

第9期

第10期

決算年月

2013年6月

2014年6月

2015年6月

 営業利益

5,136

5,688

7,283

 (調整額)

 

 

 

 + 業務構造改革費用

21

304

118

 + 上場関連費用

70

67

 調整後営業利益 (注)1、4

5,157

6,063

7,468

 + 金融収益

7

7

7

 - 金融費用

1,318

1,494

458

 調整後税引前当期利益 (注)2、4

3,846

4,576

7,017

 

 

 

 

 調整後営業利益

5,157

6,063

7,468

 (調整額)

 

 

 

 + 減価償却費及び償却費

349

321

272

 + 減損損失

11

93

24

 + 固定資産除却損

3

31

0

 + 敷金償却費

95

55

54

 + 有給休暇引当繰入

△38

88

107

 EBITDA (注)3、4

5,579

6,653

7,928

 

(注)1.調整後営業利益=営業利益(IFRS)+非経常的費用項目(業務構造改革費用+上場関連費用)

2.調整後税引前当期利益=調整後営業利益+金融収益-金融費用

3.EBITDA=調整後営業利益+非現金支出項目(減価償却費及び償却費+減損損失+固定資産除却損+敷金償却費+有給休暇引当繰入)

4.調整後営業利益、調整後税引前当期利益、EBITDAはIFRSにより規定された指標ではなく、投資家が当社グループの業績を評価する上で、当社が有用と考える財務指標です。調整後営業利益、調整後税引前当期利益は、業務構造改革費用(「テクノプロ」へのブランド統合費用や組織再編に伴う費用)と上場後には発生しないと見込まれる上場関連費用といった非経常的費用項目(通常の営業活動の成果を示しているとみなすべきではない項目、あるいは競合他社に対する当社グループの業績を適切に示さない項目)の影響を除外しております。更に、EBITDAは、非経常的費用項目に加えて、非現金支出項目(資金支出との直接的関係性が低い費用項目)の影響を除外しています。

なお、調整後営業利益、調整後税引前当期利益、EBITDAは当期利益に影響する項目の一部を除外しており、分析手段としては重要な制限があることから、IFRSに準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。また、当社グループにおける調整後営業利益、調整後税引前当期利益、EBITDAは、同業他社等の同指標あるいは類似指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較できない場合があり、結果として有用性が減少する可能性があります。