(1)業績
当連結会計年度(2015年7月1日~2016年6月30日)における世界経済は、低迷する原油価格や中国及び資源国の景気下振れ等の影響により、不透明な状況が継続しました。国内においても、企業収益や雇用情勢の改善傾向が継続する中、政府の財政政策や日銀のマイナス金利導入等の経済対策が実施された一方で、株価や為替の一進一退の動きの下、景気の先行き不透明感が継続しております。今後は、欧州政情不安、米国大統領選挙など海外情勢や円高進行に伴う企業収益の悪化懸念などの影響を注視していく必要があります。
一方で、当社グループが注力している技術者派遣・請負事業は安定成長が継続し、特に自動車・自動車部品、IT、建設業界の技術者に対する需要は引き続き活況であるものの、技術者採用市場における供給不足の状態が前連結会計年度より継続いたしました。なお、2015年9月30日付にて「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律(改正労働者派遣法)」が施行され、労働者派遣事業の許可制への一本化、労働者派遣の期間制限の見直し、キャリアアップ措置の義務化等が実現されました。本改正により、当社グループにとっては、技術者採用増、M&Aや業務提携等の成長機会が拡大すると予測しております。
このような経済環境の中、当社グループとしては主に以下の取組みを実施いたしました。
(シフトアップ・チャージアップの推進)
技術者一人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる売上単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の売上単価向上)を前連結会計年度に引き続き推進いたしました。
(技術者の確保と育成)
当社グループの成長の礎となる高品質技術者の確保のため、技術者による知人紹介の推進、連結子会社である㈱テクノプロ・キャリアを含む人材紹介会社の利用等、採用強化を進めました。
また、技術者向け教育研修事業を展開しているピーシーアシスト㈱を連結子会社化し、既存の教育研修施設(テクノプロ・ラーニング)と融合を進めること等により、技術者の育成体制を強化いたしました。
(請負・受託業務の強化)
請負・受託業務の収支管理の強化とプロジェクト管理プロセスの改善により、請負・受託業務の収益率改善を進めました。また、2016年3月には、IT分野における受託領域の拡大を推進することを目的に、当該分野に強みを有する㈱オンザマークを連結子会社化いたしました。
これら取組みの結果、当連結会計年度末の国内技術者数は13,127人(前連結会計年度末比1,158人増)へと増加しました。また、受注価格統制の結果、当連結会計年度の平均稼働率は95.1%と前年同期比0.3%低下したものの、技術者一人当たり売上(国内)は月額622千円と同8千円上昇し、売上収益の増加に貢献しました。
採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数は2,480人(前連結会計年度比67人増)であり、技術者数の伸びに寄与しております。
費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増要因があったものの、売上総利益率は23.6%(同0.1%改善)となりました。また、株主総会関連費用等を新たに計上したものの、売上収益販売管理費比率を14.2%(同0.3%改善)にコントロールいたしました。一方で、2016年6月の既存借入金のリファイナンス実行に伴い、アレンジメントフィーの償却等2億55百万円を当連結会計年度に一括計上したこと等により、金融費用が5億79百万円(同1億20百万円増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績につきましては、売上収益は903億23百万円(前連結会計年度比11.2%増)、営業利益は84億94百万円(同16.6%増)、税引前当期利益は79億20百万円(同15.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は73億59百万円(同7.0%増)となりました。
当連結会計年度における主要事業分野の業績は、次のとおりです。
(R&Dアウトソーシング分野)
前連結会計年度に引き続き、専任チームの主導によるシフトアップ・チャージアップの交渉並びに請負・受託業務のプロセス改善による高収益化の推進を進めました。これらの取組みの結果、同分野の売上収益は761億62百万円(前連結会計年度比11.2%増)となりました。
(施工管理アウトソーシング分野)
前連結会計年度に引き続き、重点顧客への配属とチーム配属の推進による技術者一人当たりの売上単価の向上を進めました。これらの取組みの結果、同分野の売上収益は124億99百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8億57百万円増加し、117億8百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は79億50百万円の収入(前期は68億27百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期利益(79億20百万円)、買掛金及びその他の債務の増加(10億31百万円)、法人所得税還付額(11億87百万円)による資金の増加に対し、未払消費税等の減少(11億21百万円)法人所得税支払額(14億72百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は9億6百万円の支出(前期は3億4百万円の支出)となりました。これは主に、子会社の取得による支出(2億96百万円)、有形固定資産の取得(2億61百万円)及び無形資産の取得による支出(3億40百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は61億45百万円の支出(前期は45億2百万円の支出)となりました。これは主に、配当金支払額(51億38百万円)、長期借入による収入(160億円)及び長期借入金の返済による支出(171億89百万円)等によるものです。
(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、当該期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期の減損テストにより必要な場合は減損損失を計上します。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度14億72百万円、当連結会計年度15億61百万円減少しております。
(1)生産実績
当社グループで行う事業(技術者派遣・請負事業)は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
(2)受注状況
当社グループで行う事業(技術者派遣・請負事業)は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
(3)販売実績
当社グループは技術者派遣・請負事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業分野別の販売実績を記載しています。当社の当連結会計年度における販売実績は次のとおりとなります。
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事業分野の名称 |
当連結会計年度 (自 2015年7月1日 至 2016年6月30日) |
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金額 (百万円) |
前年同期比 (%) |
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R&Dアウトソーシング |
76,162 |
111.2 |
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施工管理アウトソーシング |
12,499 |
105.7 |
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その他 |
1,661 |
183.3 |
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合計 |
90,323 |
111.2 |
(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。
(1)外部環境
改正労働者派遣法の施行に伴い、従前より無期雇用を主体とする当社グループにとっては技術者採用増、M&Aや業務提携等の成長機会拡大の環境下にあります。
R&Dアウトソーシング分野においては、「顧客の製品開発サイクルの短期化が進む中、設計・開発・研究業務のアウトソーシングの動きの増加」「プロジェクトごとに請負契約として完全にアウトソーシングする動きの進展」「顧客企業の求める法令遵守体制や管理体制を充足できる上位事業者への集約化」「中長期的な少子化の進展や理工系学生の減少のため、技術者の需給が逼迫した環境の継続」が予測されます。
また、施工管理アウトソーシング分野において需要を牽引する建設投資は、2011年の東日本大震災の復興需要で増加に転じ、2020年に開催予定の東京オリンピックにむけて堅調に推移する見込みです。しかし、建設業界への新卒者入職者数が低水準で推移する一方で、高齢化が進展しつつあるため、引き続き技術者不足の状態が継続するものと予測されます。
(2)対処すべき課題
上記を背景に、対処すべき課題として次の内容に取り組んでまいります。
① 価格改善
当社グループの技術者一人当たり売上は2012年6月期より年率平均1.4%で向上しているものの、改善の余地が大きいと判断しています。そのため、技術者に対する教育研修の充実等を通じて付加価値を高めていくことに加えて、チーム配属の強化を進めてまいります。
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2012年6月期 |
2013年6月期 |
2014年6月期 |
2015年6月期 |
2016年6月期 |
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技術者一人当たり売上(千円/月) |
589 |
593 |
601 |
614 |
622 |
(国内。主たる子会社の売上高合算/Σ[月末稼働技術者数]により算定。)
特に、今後の日本の技術開発を支える戦略技術分野(組込ソフトウェア、3次元設計技術、CAE技術、インバーター技術、高周波回路技術等)の技術者を拡充し、価格算定モデルの活用を進めることで、技術者の需給状況と技術領域に応じて的確に判断した上での価格政策を進めます。
また、技術者を同一価格の同一案件に長期間固定させず、技術者のスキル向上に応じた適正価格水準の案件への配属を進める戦略的シフトアップを推進いたします。
② 高品質技術者の確保と育成
人材の確保は当社グループの成長の礎であり、いかに高品質の技術者を獲得していくか、あるいは在籍技術者のスキルをいかに高めていくかは重要な課題の一つです。技術者採用市場は近年逼迫しており、従来主力のWeb媒体等に加えて、知人紹介や人材紹介会社等の採用チャネルを活用し、高品質技術者の獲得を推進してまいります。
また、全国4拠点のラーニングセンターと2015年9月に連結子会社化したピーシーアシスト㈱において、より実践的な研修プログラムを開発することに加え、戦略技術分野の研修強化により、非戦略技術分野に属する技術者の戦略技術分野へのシフトを図ってまいります。更には、技術者人事制度の充実や技術者満足度調査等を通じて、技術者としてのキャリアアップを促進してまいります。
③ ブランド力の強化
前述の2つの課題に対応していく上でも、「テクノプロ」ブランドの知名度向上は重要な課題です。従前、当社グループでは各事業会社が各々の会社名で独自の事業運営を実施していましたが、2013年11月に「テクノプロ」ブランドへの統一を実施し、ブランド投資を進めてまいりました。当社グループとしては継続的にブランド投資と各種媒体への露出を積極化し、顧客と技術者双方への「テクノプロ」ブランドの浸透を図り、営業力と採用力の強化を進めてまいります。
(注)当連結会計年度に連結子会社化したピーシーアシスト㈱及び㈱オンザマークを除く。
④ 法規制の変化への対応
2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法の主要改正点は下記となります。
・特定労働者派遣事業(届出制)と一般労働者派遣事業(許可制)の区別を廃止し、全ての労働者派遣事業を許可制とする。
・これまで派遣期間を制限する区分として政令26業務(*)・自由化業務の区分が設けられていたが、それを廃止し、全ての業務に共通する派遣労働者個人単位の期間制限(3年)と派遣先の事業所単位の期間制限(3年、一定の場合に延長可)を設ける。但し例外として無期雇用労働者や雇用の確保が困難な者には上限はない。
・派遣元事業主に計画的な教育訓練等の実施を義務付けること等により、派遣労働者のキャリアアップを推進する。
当社グループにおいては、許可要件(資産要件・遵法要件)や教育訓練等の義務は十分に充足可能ですが、中小零細の競合派遣会社には負担となり、淘汰が進む可能性があります。また、当社グループの88%が無期雇用であるため、派遣期間制限の取扱い変更は大きな影響はなく、むしろ、従前自由化業務であった分野(例:プラント保守)の受注を促進し、業績にプラスに働くと想定しています。
当社グループでは、これらの法規制の変化に機動的に対応し、成長を実現してまいります。
(*)政令26業務とは、「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」又は「その業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」として、派遣法施行令第4条第1項並びに第5条で定められた業務であり、派遣可能期間の制限がありません。一方で、自由化業務とは、期間制限を受けない業務及び労働者派遣が禁止されている業務以外の業務のことをいいます。期間は派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について原則1年間と定められています(過半数労働組合等の意見を聴いた上で3年間まで延長可能です)。
⑤ 業務プロセスの向上
当社グループの本社及び事業所の事務業務は、プロセス・ルール・帳票の標準化を進めることにより、効率化できる余地があります。情報システムへの投資による基幹システムのバージョンアップと共に、内部統制を具備した事務の標準化・効率化を推進することで、事務機能の強化を図ります。
⑥ M&Aによる事業拡大
技術者派遣業務の成長を加速し、技術系人材サービスを拡大していく上での有力な手段の一つはM&Aであると考えております。当社グループのコンプライアンス、教育研修、情報システム等を含む業務基盤を活かし、戦略技術分野の技術者の拡充のため、あるいは多様な産業・顧客基盤を活かした事業拡大を図る上でも、M&Aは有力な手段です。当社グループでは、現有事業とのシナジーを勘案し、買収対象候補先に対する厳格な事業性評価に基づきM&A戦略を推進し、成長を図ってまいります。
当社グループの営業活動その他に係るリスク要因について、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与えうるリスク要因はこれらに限定されるものではありません。
なお、本項における将来に関する事項については、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、合理的であると当社グループが判断したものであります。
(1)コンプライアンス
当社グループは、技術者、顧客、社会に対して価値を提供していくことを経営理念として掲げており、リスク管理及びコンプライアンスについて、「コンプライアンス宣言」「テクノプロ・グループ企業行動規範」「コンプライアンス89項目マニュアル」を当社グループ役職員に徹底させています。
具体的な体制としては、コンプライアンス最高責任者である当社代表取締役社長を委員長とし、当社グループの取締役及び執行役員等で構成されるCSR委員会を設置し、コンプライアンス体制の企画・運営等に関する重要事項を審議しています。実務面では、当社CSR推進部が当社グループ横断的なリスク管理を担い、各子会社に設置したコンプライアンス推進部及び労政部が、労働者派遣法等の関連業法の遵守を推進しています。また、当社代表取締役直属の内部監査部によるコンプライアンス・業務・会計監査を強化していることに加え、内部通報制度により違法行為等の情報がタイムリーに集約される体制を構築しています。さらには、役職員への教育研修を徹底して実践するなどし、コンプライアンスを重視する経営風土を全役職員に浸透させるべく努めております。
しかしながら、上記取組みにもかかわらず、コンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が当社グループ役職員によりおこなわれた場合、社会や顧客が被る損害への賠償やレピュテーションの悪化等を通じて、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)取引先業界の景気動向
当社グループは2016年6月末時点で国内に13,127人の技術者を擁しており、そのうち88%(11,607人)が無期雇用となっております。当社グループでは、技術者の付加価値を高めるための教育研修を強化しており、2012年6月期以降、技術者の稼働率は95%超と安定的に推移しています。また、R&Dアウトソーシング分野では多様な業界・顧客と取引することで、特定の業界や特定の顧客の業況に大きく影響を受けない、リスクを分散した運営をおこなっています。当社グループにおける顧客上位10社の売上高占有率は14.2%(当連結会計年度)です。
しかしながら、取引先業界の景気が悪化した場合には、残業時間の短縮化、契約条件の悪化、更には派遣技術者の契約解除が起こり得ます。多くの無期雇用技術者を擁しているが故に、景気下降局面では非稼働技術者の人件費負担が大きくなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
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2012年6月期 |
2013年6月期 |
2014年6月期 |
2015年6月期 |
2016年6月期 |
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技術者稼働率(%) |
95.5 |
95.1 |
95.3 |
95.4 |
95.1 |
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稼働技術者数(人/年度末) |
9,491 |
9,733 |
10,519 |
11,315 |
12,402 |
(技術者稼働率、稼働技術者数共に国内。また、技術者稼働率はΣ[月末稼働技術者数]/Σ[月末総在籍技術者数]により算定。)
(3)技術者の採用
優秀な技術者の獲得は、当社グループの成長の推進力です。採用力は当社の強みであり、技術者採用数と総在籍技術者数は下表のとおり順調に推移しています。しかし、近年、国内における技術者需給は逼迫しており、当社グループにおいては、従前の既卒者を中心とした採用に加えて新卒採用の増加を図っております。また、採用チャネルについても、従前のWeb媒体やハローワーク等に加えて、人材紹介事業者の活用や知人紹介等へ多角化することで、必要とされる技術者の確保に努めています。
しかしながら、今後の技術者採用市場の動向によっては、人材の確保に難航する虞もあり、結果として当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
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2012年6月期 |
2013年6月期 |
2014年6月期 |
2015年6月期 |
2016年6月期 |
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技術者採用数(人) |
2,627 |
2,040 |
2,230 |
2,413 |
2,480 |
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総在籍技術者数(人) |
10,001 |
10,401 |
11,089 |
11,969 |
13,127 |
(技術者採用数、総在籍技術者数共に国内。また、総在籍技術者数は年度末時点。)
(4)情報セキュリティ
当社グループの技術者は、業務上、顧客の研究開発等の機密情報を知り得る可能性があります。そのため、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させています。
また、当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めています。
上記対策にも関わらず、顧客の機密情報の外部流出が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
(5)個人情報保護
当社グループでは、技術者を含む従業員の個人情報を大量に保有していることから、個人情報の適正な管理は極めて重要であると認識しており、当社CSR推進部長を個人情報保護責任者と定め、個人情報保護規程の整備・運用及び個人情報に関するセキュリティ対策を情報システム面も含めて講じています。
上記対策にも関わらず、個人情報の外部流出が発生した場合、当社グループへの社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材派遣事業に関する規制等
当社グループは、労働者派遣法、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)、その他の関連法令の規定に従い、労働者派遣事業を行っており、法令に抵触した場合には、労働者派遣事業の廃止または許可取消、事業停止の処分等を受けるおそれがあります。そのため、当社グループでは、組織・規程・役職員教育を含めて厳格な法令遵守体制を構築・運用しています。しかしながら、労働者派遣法その他の関連法令に抵触する行為が当社グループで発生した場合には、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。
また、労働者派遣法を始めとする関係諸法令は、経済環境・社会環境の変化に伴い、継続的な見直しが行われています。従って、当社グループの業態に著しく不利な改訂が将来的に実施された場合には、当社グループの収益性に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの許認可状況
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許認可の名称 |
監督官庁 |
許可番号 |
取得年月日 |
有効期限 |
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㈱テクノプロ |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
(派)13-305617 |
2014年7月 |
2017年6月 |
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有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-301819 |
2006年12月 |
2019年11月 |
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㈱テクノプロ・コンストラクション |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
(派)13-304191 |
2009年2月 |
2017年1月 |
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有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-303846 |
2009年2月 |
2017年1月 |
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㈱テクノプロ・キャリア |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
(派)13-306288 |
2016年2月 |
2019年1月 |
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有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-304788 |
2010年10月 |
2018年9月 |
なお、上記の許可に関して、事業停止、許可取消しまたは事業廃止となる事由は労働者派遣法第14条及び職業安定法第32条に定められております。本書提出日現在において当社グループが認識している限り、当社グループにはこれら事業停止、許可取消しまたは事業廃止の事由に該当する事実はありません。
(7)社会保険料率の変化
当社グループは多数の従業員を抱えており、社会保険の加入義務があります。社会保険料の料率が上昇した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)労務リスク
当社グループでは13,000人を超える従業員を雇用しており、また毎年多数の従業員を採用しております。経営理念の一つとして、「エンジニア一人ひとりに誠実に向き合い、夢の実現をサポートするパートナーです。」を掲げ、採用時の人材品質確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む技術者管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度向上等の取組みを実践しております。
しかしながら、労働安全衛生や雇用関係等に関して従業員との間で紛争が発生する可能性もあり、その場合には、当社グループの業績や財務状況が影響を受ける可能性があります。
(9)自然災害・事故
当社グループは全国に100ヵ所以上の事業拠点を有しております。自然災害や事故については、企業危機対策規程を定め、また情報システム障害に関してはデータリカバリーセンターを活用する等の対策を講じています。
しかしながら、地震や洪水等の自然災害や予期せぬ事故等により、当社グループあるいは顧客の設備が損壊する等の被害が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)減損会計の適用
当社グループは、2016年6月30日現在、連結財政状態計算書にのれんを293億91百万円計上しており、総資産の46.2%を占めています。主要な内訳は機械、電気・電子領域(136億74百万円)、組込制御、ITインフラ領域(79億69百万円)であり、当社グループの収益性に認識可能な低下がみられる場合には、のれんの減損が生じているか否かについて判断することが必要となります。のれんに関する減損損失が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、これらののれんは非償却性資産であります。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、原則として当社グループの連結財務諸表に基づいて分析したものです。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。
これらの連結財務諸表の作成にあたっては一部に見積りによる金額を含んでおりますが、見積りにつきましては、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいており、妥当性についての継続的な評価を行っています。
しかしながら見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
(2)経営成績及び財政状態の分析
① 経営成績の分析
技術者派遣・請負事業における売上収益は、技術者一人当たり売上(技術者一人当たり売上=年間売上収益/Σ[各月末の稼働技術者数])と稼働技術者数により構成されます。また、稼働技術者数は在籍技術者数と稼働率(稼働率=Σ[各月末の稼働技術者数]/Σ[各月末の総在籍技術者数])に分解されます。
特に、技術者派遣業務は顧客との契約期間は長期的に継続する場合が多い点から、技術者は当月だけでなく将来への売上にも累積として貢献するという意味でストック型のビジネスと考えています。従って、稼働技術者数は売上収益の重要な先行指標です。
また、当社グループの技術者の雇用形態は、88%が無期雇用契約、12%が有期雇用契約です(2016年6月時点)。無期雇用契約の従業員が非稼働の場合は、売上貢献の無い期間に人件費が発生するため、売上収益面だけでなく費用面においても稼働率は重要な指標です。
当連結会計年度において、技術者派遣・請負事業における国内在籍技術者数は前年度比1,158人増加の13,127人(年度末)、技術者一人当たり売上は前年度比8千円上昇の月額622千円を達成しました。
また、年間採用数(国内)は2,480人であり、退職率の低下も伴い、在籍技術者数は増加いたしました。当社グループは、顧客の多様な開発工程・技術領域をカバーしていますが、業界別では、特にIT、自動車、産業用機械の稼働技術者数が伸長いたしました。加えて、スキル開発を推進する教育研修体制は、需要が高い技術領域へのスキル転換による、景気変動への柔軟な対応を可能としており、当連結会計年度における技術者派遣・請負事業の国内技術者稼働率95.1%の維持に貢献いたしました。
また、業績向上に伴う技術者に対する賞与増加といったコスト増要因はあったものの、売上収益販売管理費比率を14.2%にコントロールいたしました。結果として、当連結会計年度の売上収益は903億23百万円、営業利益は84億94百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は73億59百万円となりました。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は636億34百万円(前連結会計年度末比48億56百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん293億91百万円、売掛金及びその他の債権125億79百万円、現金及び現金同等物117億8百万円等であります。
各項目の状況は以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は272億19百万円(前連結会計年度末比22億99百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物117億8百万円(同8億57百万円増加)、売掛金及びその他の債権125億79百万円(同10億円増加)等であります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は364億15百万円(前連結会計年度末比25億56百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん293億91百万円(同1億89百万円増加)、繰延税金資産36億74百万円(同11億70百万円増加)等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は204億55百万円(前連結会計年度末比26億47百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務83億10百万円(同11億11百万円増加)、従業員給付に係る負債35億97百万円(同1億50百万円増加)等であります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は190億30百万円(前連結会計年度末比33百万円増加)となりました。主な内訳は、借入金142億94百万円(同9億18百万円減少)、退職後給付に係る負債41億65百万円(同6億49百万円増加)等であります。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は239億63百万円(前連結会計年度末比19億90百万円増加)となりました。主な内訳は、資本剰余金61億58百万円(同3億66百万円減少)、利益剰余金171億80百万円(同20億32百万円増加)等であります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当連結会計年度における経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」をご参照下さい。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における運転資金及び設備投資資金は、内部留保により充当いたしました。資金状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローでは79億50百万円の資金獲得となり、営業活動により獲得した資金のうち9億6百万円は基幹システム、事務所附属設備及び子会社の取得等の投資活動に、51億38百万円は配当金支払いの財務活動に充当いたしました。なお、当連結会計年度末における当社及び主たる子会社の繰越欠損金の合計額は80億円(前連結会計年度末では137億円)であり、営業活動によるキャッシュ・フロー獲得に寄与しています。また、借入条件の改善のため、2016年6月に銀行借入154億円の借換を実施しました。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、2013年11月よりグループ全社による「テクノプロ」ブランドの統一的な使用を開始し、2014年7月1日にはR&Dアウトソーシング分野の子会社4社の合併を実施することで、従前より各子会社が有していた技術的独自性とグループとしての規模の両面を活かした事業運営を進めてまいります。
当社グループは、技術者採用力に基づく多様な技術領域における約13,000名の技術者と営業力に基づく多様な産業・顧客基盤を有しています。この2つが相互に良循環を形成し、経営基盤としてのコンプライアンス体制・教育研修体制と一体となり、事業運営を支えています。
今後は更なる成長に向けて、中期経営計画「Growth 1000」に従い、以下の重点経営方針を遂行してまいります。
① 技術者派遣業務の収益基盤強化
当社グループの中核である技術者派遣業務においては、多様な産業分野での研究開発投資拡大やIT投資の増加、建設プロジェクトの増加を背景として人材需要拡大が見込まれる一方で、技術者需給の逼迫が継続しています。当社グループでは、増加する需要に対応するための技術者数増大と共に収益性向上に向けた下記施策を推進することで、技術者派遣領域の成長と収益基盤強化を実現します。
・戦略的な配属先の選定や付加価値の高い技術分野への注力等による売上単価向上
・多様な採用チャネルの活用や新卒採用の強化、M&Aなどによる技術者の獲得
・情報システム投資を通じた業務プロセスの効率化と競争的コスト構造の維持・強化
② 技術系人材サービス・グループとしての成長
当社グループは、技術者派遣業務において、強固な顧客基盤、採用プロセスにおける多数の技術者との接点、技術者の配属・育成ノウハウなど様々なコアコンピタンスを有しています。これらを活用でき、かつ技術者派遣領域にもプラスがある「その他技術系人材サービス」「海外サービス」に経営資源を投下することで、中長期的成長を図ります。具体的サービス例としては以下が挙げられます。
・自動車関連分野、IT分野、バイオ分野などにおける受託開発
・技術系人材の採用・研修に関する知見を活かした採用支援・教育研修
・産業分野をまたがる技術者のシフトを促進する事業再構築支援
・海外拠点での研究開発の受託、オフショアリング
③ バランスを確保した資本政策の推進
上述の2つの方針を実現する上で、M&Aは重要な手段であると考えています。当社グループではM&A投資を強化するとともに、株主還元と財務健全性のバランスを重視した資本政策を推進していきます。具体的な経営指標としては、連結配当性向50%、D/Eレシオ0.4-0.8xを目標水準としています。また、2018年にはJPX日経インデックス400銘柄への選定を目指しています。
④ コーポレート・ガバナンスの充実
持続的成長を通じて企業価値及び株主共同の利益向上を実現するため、コーポレート・ガバナンスの充実を図ります。当社は、監査役会設置会社の形態を採用し、取締役会による経営の意思決定機能及び業務執行に対する監督監視機能と、監査役会による監査機能を有しています。また、独立社外取締役・監査役の参画を得た指名報酬諮問委員会を設置し、相互牽制の観点から事業系取締役と管理系取締役を個別に選出するなど、経営の監督監視機能を明確化することで経営の透明性を確保する一方で、日常的な業務執行の権限・責任を執行役員に与えることで、機動的かつ効率的な業務運営の実現を図ってまいります。