本項における将来に関する事項については、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、合理的であると当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、下記に掲げる「テクノプロ・グループ・ビジョン」の実現を通じて、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させることを経営の基本方針としています。
「テクノプロ・グループ・ビジョン」
我々テクノプロ・グループは、
1.エンジニア一人ひとりに誠実に向き合い、夢の実現をサポートするパートナーです。
2.専門性の高い技術者集団として、グローバルに事業を展開するお客さまの研究・開発・設計を様々なソリューションで支援します。
3.エンジニアが業界をまたがって活躍できる環境をつくることで、変化を続ける市場に柔軟に対応できる産業構造の実現に貢献します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上収益及び営業利益の中長期的な成長を重視しております。また、当社の売上収益と営業利益の大半を占めるR&Dアウトソーシング分野及び施工管理アウトソーシング分野の売上収益の構成要素である、技術者一人当たり売上、在籍技術者数及び稼働率を重要なKPIとして管理しています。
(3)中長期的な会社の経営戦略
① 技術者派遣の成長と収益性向上
当社グループの主たる事業領域である技術者派遣は、国内研究開発費やIT投資の増加傾向、有効求人倍率等に示される国内雇用環境、改正労働者派遣法等の状況から、引き続き市場が成長し、大手プレイヤーに追い風の環境にあるとみています。一方で、当社においては、技術者一人当たり売上の向上や間接業務効率化等のオペレーション改善を通じて、収益性を高める余地が高いと考えています。
従って、多様な採用チャネルの活用と技術者リテンションの取組み強化による技術者増加を図ると共に、シフトアップ・チャージアップの推進、教育研修等による技術者の高付加価値化や情報システム投資によるコアプロセスのIT武装化により、技術者派遣の成長と収益性向上を推進してまいります。
② 技術を核としたグローバル人材サービス・グループとしての成長
当社グループでは、事業ドメインを「技術を核としたグローバル人材サービス」と定義し、中長期的成長を目指しています。技術者派遣・請負事業のコア・コンピタンス(営業力と約2,000社の顧客接点、約17,000名の在籍技術者と年間2,000名超の採用に係る技術者接点、技術者への教育研修等の人材開発ノウハウ)を活かした多角化領域として、(ア)開発・研究請負事業やターゲット技術領域での事業化推進等による技術者の高付加価値化、(イ)コアパートナーとの提携を活かした、アジアを主体としたグローバル化、(ウ)技術者派遣事業におけるIT基盤を活かし、企業と技術者に人材獲得・育成・配属等の仕組みを提供する人材ソリューションのプラットフォーム化、を進めることで、10年後を見据えた長期的な企業価値向上を図ってまいります。
上記2つの戦略を進めるにあたり、M&Aは重要な手段と位置付けており、積極的に活用していく方針です。
(4)外部環境
改正労働者派遣法の施行に伴い、従前より無期雇用を主体とする当社グループにとっては技術者採用増、M&Aや業務提携等の成長機会拡大の環境下にあります。
R&Dアウトソーシング分野においては、「顧客の製品開発サイクルの短期化が進む中、設計・開発・研究業務のアウトソーシングの動きの増加」「プロジェクトごとに請負契約として完全にアウトソーシングする動きの進展」「顧客企業の求める法令遵守体制や管理体制を充足できる上位事業者への集約化」「中長期的な少子化の進展や理工系学生の減少のため、技術者の需給が逼迫した環境の継続」が予測されます。
また、施工管理アウトソーシング分野において需要を牽引する建設投資は、2020年に開催予定の東京オリンピックにむけて堅調に推移する見込みです。しかし、建設業界への新卒者入職者数が低水準で推移する一方で、高齢化が進展しつつあるため、引き続き技術者不足の状態が継続するものと予測されます。
(5)対処すべき課題
上記を背景に、対処すべき課題として次の内容に取り組んでまいります。
① 価格改善
当社グループの技術者一人当たり売上は2014年6月期より年率平均1.2%で向上しているものの、改善の余地が大きいと判断しています。そのため、技術者に対する教育研修の充実等を通じて付加価値を高めていくことに加えて、チーム配属の強化を進めてまいります。
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2014年6月期 |
2015年6月期 |
2016年6月期 |
2017年6月期 |
2018年6月期 |
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技術者一人当たり売上(千円/月) |
601 |
614 |
622 |
626 |
630 |
(国内。主たる子会社2社の売上高合算/Σ[月末稼働技術者数]により算定。)
特に、今後の日本の技術開発を支え、需要が見込まれる領域の技術者を拡充し、価格算定モデルの活用を進めることで、技術者の需給状況と技術領域に応じて的確に判断した上での価格政策を進めます。
また、技術者を同一価格の同一案件に長期間固定させず、技術者のスキル向上に応じた適正価格水準の案件への配属を進める戦略的シフトアップを推進いたします。
② 高品質技術者の確保と育成
人材の確保は当社グループの成長の礎であり、いかに高品質の技術者を獲得し、あるいは在籍技術者のスキルをいかに高めていくかは重要な課題の一つです。技術者採用市場は近年逼迫しており、従来主力のWeb媒体等に加えて、知人紹介や人材紹介会社等の多様な採用チャネルを活用し、高品質技術者の獲得を推進してまいります。
また、中長期的に需要が見込まれるターゲット技術領域(組込ソフトウェア、3次元設計技術、CAE技術、インバーター技術、高周波回路設計、FPGA、車載組込、AI、ディープラーニング、IoT、再生医療、バイオ医薬品等)における技術者育成を、教育研修基盤と戦略的アライアンスを活用しつつ進めることで、技術者の高付加価値化を図り、また技術者人事制度の充実等を通じて、技術者のリテンションを推進してまいります。
③ 技術者派遣事業におけるIT技術の活用とプラットフォーム化
技術者派遣事業においては、採用母集団の形成、スクリーニングと採用、配属(マッチング)、リテンション、研修、育成・要員計画といったコアプロセスが存在し、IT技術の進展により、各プロセスにおける技術者情報を可視化する仕組みの構築が可能です。この仕組みにより、技術者情報の収集・蓄積・分析をデータサイエンスも活用しつつ充実させることで、コアプロセスを強化するための効果的な打ち手が可能となります。当社グループではこれらを実現するためのIT投資を積極化しております。この仕組みは、技術者派遣事業にとどめることなく、企業と技術者に対して、人材の獲得・育成を効果的に実現するための汎用性がある仕組み(プラットフォーム)として発展する可能性を秘めたものであり、長期的な当社グループの成長にとって不可欠なものと認識しています。
④ ブランド力の強化
中長期的に技術者・顧客・アライアンス先と共に成長していく上で、「テクノプロ」ブランドの知名度向上は重要な課題です。従前、当社グループでは各事業会社が各々の会社名で独自の事業運営を実施していましたが、2013年11月に「テクノプロ」ブランドへの統一を実施し、ブランド投資を進めてまいりました。当社グループとしては継続的にブランド投資と各種媒体への露出を積極化し、顧客と技術者双方への「テクノプロ」ブランドの浸透を図り、営業力と採用力の強化を進めてまいります。
⑤ 法規制の変化への対応
2018年6月に成立した働き方改革関連法が2019年4月より順次施行となります。
同法は、
・36協定の上限時間の変更、有給休暇取得義務化など長時間労働の是正。
・雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保。いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を解消。
等を企業に求めるものであり、当社グループにおいては同法遵守に向けて様々な取組みを進めております。
具体的には、社内システムを使った残業時間の見える化を推進し、長時間労働の削減を進めると共に、計画的有給休暇取得を進めます。また、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に関しては、「派遣先の労働者と均等・均衡待遇」または「同種業務の一般的な労働者の平均賃金と同等以上であることを満たす労使協定による待遇」のいずれかを確保する必要があります。当社グループは労使協定による待遇を選択する予定です。
⑥ 業務プロセスの向上
当社グループの本社及び事業所の事務業務は、プロセス・ルール・帳票の標準化を進めることにより、効率化できる余地があります。情報システムへの投資による基幹システムのバージョンアップと共に、内部統制を具備した事務の標準化・効率化を推進することで、事務機能の強化を図ります。
⑦ M&Aによる事業拡大
技術者派遣業務の成長を加速し、技術系人材サービスを拡大していく上での有力な手段の一つはM&Aであると考えております。当社グループのコンプライアンス、教育研修、情報システム等を含む業務基盤を活かし、ターゲット技術領域の技術者の拡充のため、あるいは多様な産業・顧客基盤を活かした事業拡大を図る上でも、M&Aは有力な手段です。当社グループでは、現有事業とのシナジーを勘案し、買収対象候補先に対する厳格な事業性評価に基づきM&A戦略を推進するとともに、連結子会社化後のガバナンス強化・グループ内シナジーの実現を図っております。
当社グループの営業活動その他に係るリスク要因について、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、業績に影響を与えうるリスク要因はこれらに限定されるものではありません。
なお、本項における将来に関する事項については、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、合理的であると当社グループが判断したものであります。
(1)コンプライアンス
当社グループは、技術者、顧客、社会に対して価値を提供していくことを経営理念として掲げており、リスク管理及びコンプライアンスについて、「コンプライアンス宣言」「テクノプロ・グループ企業行動規範」「コンプライアンス89項目マニュアル」を当社グループ役職員に徹底させています。
具体的な体制としては、コンプライアンス最高責任者である当社代表取締役社長を委員長とし、当社グループの取締役及び執行役員等で構成されるCSR委員会を設置し、コンプライアンス体制の企画・運営等に関する重要事項を審議しています。実務面では、当社CSR推進部が当社グループ横断的なリスク管理を担い、各子会社に設置したコンプライアンス推進部及び労政部が、労働者派遣法等の関連業法の遵守を推進しています。また、当社代表取締役直属の内部監査部によるコンプライアンス・業務・会計監査を強化していることに加え、内部通報制度により違法行為等の情報がタイムリーに集約される体制を構築しています。さらには、役職員への教育研修を徹底して実践するなどし、コンプライアンスを重視する経営風土を全役職員に浸透させるべく努めております。
しかしながら、上記取組みにもかかわらず、コンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が当社グループ役職員によりおこなわれた場合、社会や顧客が被る損害への賠償やレピュテーションの悪化等を通じて、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)取引先業界の景気動向
当社グループは2018年6月末時点で国内に16,797人の技術者を擁しており、そのうち89.5%(15,038人)が無期雇用となっております。当社グループでは、技術者の付加価値を高めるための教育研修を強化しており、2012年6月期以降、技術者の稼働率は95%超と安定的に推移しています。また、R&Dアウトソーシング分野では多様な業界・顧客と取引することで、特定の業界や特定の顧客の業況に大きく影響を受けない、リスクを分散した運営をおこなっています。当社グループにおける顧客上位10社の売上高占有率は13.5%(当連結会計年度)です。
しかしながら、取引先業界の景気が悪化した場合には、就業時間の短縮化、契約条件の悪化、更には派遣技術者の契約解除が起こり得ます。多くの無期雇用技術者を擁しているが故に、景気下降局面では非稼働技術者の人件費負担が大きくなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
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2014年6月期 |
2015年6月期 |
2016年6月期 |
2017年6月期 |
2018年6月期 |
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技術者稼働率(%) |
95.3 |
95.4 |
95.1 |
95.3 |
95.7 |
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稼働技術者数(人/年度末) |
10,519 |
11,315 |
12,402 |
13,699 |
16,057 |
(技術者稼働率、稼働技術者数共に国内。また、技術者稼働率はΣ[月末稼働技術者数]/Σ[月末総在籍技術者数]により算定。)
(3)技術者の採用
優秀な技術者の獲得は、当社グループの成長の推進力です。採用力は当社の強みであり、技術者採用数と総在籍技術者数は下表のとおり順調に推移しています。しかし、近年、国内における技術者需給は逼迫しており、当社グループにおいては、従前の既卒者を中心とした採用に加えて新卒採用の増加を図っております。また、採用チャネルについても、従前のWeb媒体やハローワーク等に加えて、人材紹介事業者の活用や知人紹介等へ多角化することで、必要とされる技術者の確保に努めています。
しかしながら、今後の技術者採用市場の動向によっては、人材の確保に難航する虞もあり、結果として当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
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2014年6月期 |
2015年6月期 |
2016年6月期 |
2017年6月期 |
2018年6月期 |
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技術者採用数(人) |
2,230 |
2,413 |
2,541 |
2,684 |
4,151 |
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総在籍技術者数(人) |
11,089 |
11,969 |
13,127 |
14,346 |
16,797 |
(技術者採用数、総在籍技術者数共に国内(M&Aによる技術者増加を含む)。また、総在籍技術者数は年度末時点。)
(4)情報セキュリティ
当社グループの技術者は、業務上、顧客の研究開発等の機密情報を知り得る可能性があります。そのため、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させています。
また、当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めています。
上記対策にも関わらず、顧客の機密情報の外部流出が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
(5)個人情報保護
当社グループでは、技術者を含む従業員の個人情報を大量に保有していることから、個人情報の適正な管理は極めて重要であると認識しており、当社CSR推進部長を個人情報保護責任者と定め、個人情報保護規程の整備・運用及び個人情報に関するセキュリティ対策を情報システム面も含めて講じています。
上記対策にも関わらず、個人情報の外部流出が発生した場合、当社グループへの社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材派遣事業に関する規制等
当社グループは、労働者派遣法、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)、その他の関連法令の規定に従い、労働者派遣事業を行っており、法令に抵触した場合には、労働者派遣事業の廃止または許可取消、事業停止の処分等を受けるおそれがあります。そのため、当社グループでは、組織・規程・役職員教育を含めて厳格な法令遵守体制を構築・運用しています。しかしながら、労働者派遣法その他の関連法令に抵触する行為が当社グループで発生した場合には、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。
また、労働者派遣法を始めとする関係諸法令は、経済環境・社会環境の変化に伴い、継続的な見直しが行われています。従って、当社グループの業態に著しく不利な改訂が将来的に実施された場合には、当社グループの収益性に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループが許認可を受けている労働者派遣事業及び有料職業紹介事業に関して、事業廃止または許可取消、事業停止となる事由は労働者派遣法第14条及び職業安定法第32条に定められております。本書提出日現在において当社グループが認識している限り、当社グループにはこれら事業廃止または許可取消、事業停止の事由に該当する事実はありません。
(7)社会保険料率の変化
当社グループは多数の従業員を抱えており、社会保険の加入義務があります。社会保険料の料率が上昇した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)労務リスク
当社グループでは16,000人を超える従業員を雇用しており、また毎年多数の従業員を採用しております。経営理念の一つとして、「エンジニア一人ひとりに誠実に向き合い、夢の実現をサポートするパートナーです。」を掲げ、採用時の人材品質確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む技術者管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度向上等の取組みを実践しております。
しかしながら、労働安全衛生や雇用関係等に関して従業員との間で紛争が発生する可能性もあり、その場合には、当社グループの業績や財務状況が影響を受ける可能性があります。
(9)自然災害・事故
当社グループは全国に200ヵ所以上の事業拠点を有しております。自然災害や事故については、企業危機対策規程を定め、また情報システム障害に関してはデータリカバリーセンターを活用する等の対策を講じています。
しかしながら、地震や洪水等の自然災害や予期せぬ事故等により、当社グループあるいは顧客の設備が損壊する等の被害が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)減損会計の適用
当社グループは、2018年6月30日現在、連結財政状態計算書にのれんを344億98百万円計上しており、総資産の39.1%を占めています。主要な内訳は機械、電気・電子領域(139億91百万円)、組込制御、ITインフラ領域(79億69百万円)であり、当社グループの収益性に認識可能な低下がみられる場合には、のれんの減損が生じているか否かについて判断することが必要となります。のれんに関する減損損失が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。なお、これらののれんは非償却性資産であります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2017年7月1日~2018年6月30日)における世界経済は、東アジアや中東地域での地政学リスクに対する懸念が残るものの、順調な米国経済等に牽引され、堅調に推移いたしました。国内においても企業収益や雇用情勢は改善しており、景気は緩やかな回復基調が続いています。
このような経済環境の結果、当社グループが注力している技術者派遣・請負事業は安定成長が継続し、特に自動車・自動車部品、IT業界、建設業界の技術者に対する需要は引き続き活況でしたが、技術者採用市場における供給不足の状態が前連結会計年度より継続いたしました。
当連結会計年度において、当社グループとしては主に以下の取組みを実施いたしました。
(シフトアップ・チャージアップの推進)
技術者一人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる売上単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の売上単価向上)を前連結会計年度に引き続き推進いたしました。
(技術者の確保)
技術者に対する旺盛な需要に加え、当社グループの成長の礎となる技術力の高い技術者を確保するため、更なる採用強化を進めました。具体的には、技術者による知人紹介の推進、連結子会社である㈱テクノプロ・キャリアやBoyd&Moore Executive Search㈱を含む人材紹介会社の利用、協業先と合同でのセミナー開催などを進めました。加えて、㈱エデルタや㈱プロビズモ、テクノライブ㈱を連結子会社化することで、IT領域における優秀な技術者を獲得いたしました。また、人事施策面では確定拠出年金制度を導入して福利厚生の充実を進める等、今後も優秀な技術者の採用を促進する施策を進めてまいります。
(技術者の育成)
技術者育成面においては、ピーシーアシスト㈱運営の「Winスクール」におけるAI分野等への講座拡充、データ分析先進企業である㈱ALBERTとの協業によるデータサイエンティストの養成を進めました。また、国内建設市場の旺盛な人材需要に応えるべく、㈱テクノプロ・コンストラクションが研修施設「大阪技術センター」を開設いたしました。これは、建築施工管理分野において、東京技術センターに続く国内2拠点目の研修施設となります。引続き、当社グループの技術者、研究者の知識や技術の向上を積極的に図ってまいります。
(グローバル化の推進)
2018年3月には、技術者を約600人擁し、IT領域において技術者派遣事業を展開するHelius Technologies Pte Ltdを連結子会社化し、東南アジア・インドにおいて中長期的事業拡大を推進する礎を築きました。
これら取組みの結果、当連結会計年度末の国内技術者数は16,797人(前連結会計年度末比2,451人増)へと増加しました。また、当連結会計年度の平均稼働率は95.7%と前連結会計年度比0.4pt増加し、シフトアップ・チャージアップを継続的に推進した結果、技術者一人当たり売上(㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションの平均)も月額630千円と同3.9千円改善し、売上収益の増加に貢献しました。
採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数は4,151人(前連結会計年度比1,467人増)であり、技術者数の伸びに寄与しております。
費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増要因があったものの、売上総利益率は25.3%(前連結会計年度比1.9pt増加)となりました。一方で、グループ規模の拡大に伴い管理コストも増加し、売上収益販売管理費比率は15.7%(同1.8pt増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績につきましては、売上収益は1,165億29百万円(前連結会計年度比16.4%増)、営業利益は112億38百万円(同16.5%増)、税引前当期利益は111億63百万円(同16.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は84億98百万円(同10.1%増)となりました。
当連結会計年度における主要事業分野の業績は、次のとおりです。
(R&Dアウトソーシング分野)
専任チームの主導によるシフトアップ・チャージアップの交渉による高収益化の推進を進めることに加え、人材育成・採用に係る情報システムの構築を進めました。これらの取組みの結果、同分野の売上収益は974億57百万円(前連結会計年度比14.6%増)となりました。
(施工管理アウトソーシング分野)
前連結会計年度に引き続き、チーム配属の推進による技術者一人当たりの売上単価の向上を進めると共に、未経験者採用・育成、及び施工管理に加え、設計等の領域の拡大を進めました。これらの取組みの結果、同分野の売上収益は146億59百万円(前連結会計年度比11.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ82億54百万円増加し、216億52百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は107億98百万円の収入(前期は86億34百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期利益(111億63百万円)、預り金の増加(10億5百万円)、法人所得税還付額(21億46百万円)による資金の増加に対し、売掛金及びその他の債権の増加(19億28百万円)、法人所得税支払額(41億70百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は53億61百万円の支出(前期は28億64百万円の支出)となりました。これは主に、子会社の取得による支出(47億80百万円)、有形固定資産の取得(2億63百万円)及びその他の金融資産の取得による支出(2億55百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は28億26百万円の収入(前期は40億87百万円の支出)となりました。これは主に、新株の発行による収入(122億59百万円)、長期借入れによる収入(69億円)による資金の増加に対し、配当金支払額(38億61百万円)、長期借入金の返済による支出(102億25百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループで行う事業(技術者派遣・請負事業)は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ロ.受注実績
当社グループで行う事業(技術者派遣・請負事業)は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ハ.販売実績
当社グループは技術者派遣・請負事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業分野別の販売実績を記載しています。当社グループの当連結会計年度における販売実績は次のとおりとなります。
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事業分野の名称 |
当連結会計年度 (自 2017年7月1日 至 2018年6月30日) |
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金額 (百万円) |
前年同期比 (%) |
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R&Dアウトソーシング |
97,457 |
114.6 |
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施工管理アウトソーシング |
14,659 |
111.0 |
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その他 |
4,412 |
239.2 |
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合計 |
116,529 |
116.4 |
(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。
これらの連結財務諸表の作成にあたっては一部に見積りによる金額を含んでおりますが、見積りにつきましては、過去実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいており、妥当性についての継続的な評価を行っています。
しかしながら見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
② 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は882億1百万円(前連結会計年度末比180億81百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん344億98百万円、売掛金及びその他の債権173億78百万円、現金及び現金同等物216億52百万円等であります。
各項目の状況は以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は410億円(前連結会計年度末比99億8百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物216億52百万円(同82億54百万円増加)、売掛金及びその他の債権173億78百万円(同33億81百万円増加)等であります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は472億1百万円(前連結会計年度末比81億73百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん344億98百万円(同49億57百万円増加)、繰延税金資産39億32百万円(同3億17百万円増加)等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は287億44百万円(前連結会計年度末比41億28百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務110億45百万円(同15億86百万円増加)、従業員給付に係る負債48億94百万円(同8億93百万円増加)等であります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は164億89百万円(前連結会計年度末比13億17百万円減少)となりました。主な内訳は、社債及び借入金81億44百万円(同44億5百万円減少)、その他の長期金融負債72億93百万円(同71億79百万円増加)等であります。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は416億94百万円(前連結会計年度末比139億97百万円増加)となりました。主な内訳は、資本剰余金90億3百万円(同30億28百万円増加)、利益剰余金258億24百万円(同47億49百万円増加)等であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループは技術者派遣業務を主体として事業運営しているため、主要な運転資金需要は、人件費(給与手当、賞与、法定福利費等)の支払となります。また、技術者派遣業務は、役務提供の対価が毎月入金されることが基本であるため、運転資金の大半は顧客からの入金で充足されます。なお、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.8ヵ月、未払人件費等回転期間は1.5ヵ月です。
その他、情報システム投資や営業拠点投資、M&A投資が主要な資金需要となります。
② 財務政策
当社グループは、(ア)将来的成長へ向けた積極投資、(イ)適正な財務健全性・レバレッジの確保、(ウ)株主還元の規律、の最適なバランスを踏まえた財務政策を基本方針としており、指標としては基本的1株当たり当期利益の長期継続的改善を重視し、借入金を主体とした負債性資本による調達を基本としています。
なお、当連結会計年度においては、財務健全性と将来的資金調達余力の向上を狙いとし、海外募集による新株式発行により、自己資本を123億30百万円調達しております。
また、当社グループでは、当連結会計年度末時点において、短期的資金需要を賄うため、総額110億円のコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、当該期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは償却を行わず、毎期の減損テストにより必要な場合は減損損失を計上します。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が前連結会計年度16億44百万円、当連結会計年度21億48百万円減少しております。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。