本項における将来に関する事項については、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、合理的であると当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、以下に掲げる「テクノプロ・グループ・ビジョン」の実現を通じて、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させることを経営の基本方針としています。
「テクノプロ・グループ・ビジョン」
我々テクノプロ・グループは、
1.エンジニア一人ひとりに誠実に向き合い、夢の実現をサポートするパートナーです。
2.専門性の高い技術者集団として、グローバルに事業を展開するお客さまの研究・開発・設計を様々なソリューションで支援します。
3.エンジニアが業界をまたがって活躍できる環境をつくることで、変化を続ける市場に柔軟に対応できる産業構造の実現に貢献します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上収益、営業利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益の中長期的な成長を重視しております。また、当社の売上収益と営業利益の大半を占めるR&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業の売上収益の構成要素である、総在籍技術者数、稼働率及び技術者一人当たり売上を重要なKPIとして管理しています。加えて、先行的投資を伴う領域(M&Aや技術者育成等)については、価値の創造の観点から、ROIC(投下資本利益率)を重視しています。
(3)外部環境
2020年の新型コロナウイルス感染症の世界規模への拡大は、一時帰休を強いられる技術者数の増加や在宅勤務による営業活動の制約、顧客による技術者の採用や派遣受入の鈍化、及び研究開発プロジェクトの縮小や延期といった形で、当社グループ業績にマイナスの影響を及ぼし始めました。R&Dアウトソーシング事業及び施工管理アウトソーシング事業では、機械、電気・電子領域等における需要減退に起因する売上の棄損や待機技術者の増加が見られました。国内その他事業においては、景気変動に敏感である人材紹介事業の需要減退が目立った一方で、技術系教育研修事業においては、緊急事態宣言の解除以降、需要は回復傾向にありました。海外事業は、国により影響が異なります。中国では、2020年4月以降業績が回復に転じており、またシンガポールでは、在宅勤務対応が可能なIT技術者派遣が主力であるため、売上毀損は抑えられました。一方で、イギリスとインドでは、ロックダウンによる売上への悪影響が継続しました。
なお、シンガポールとイギリスの技術者は有期雇用であるため、待機技術者の増加による赤字リスクは限定的です。新型コロナウイルス感染症拡大はしばらく収束せず、顧客需要面の不透明な状況は当面継続すると予測しております。
一方で、中長期的な観点からは、国内においては技術系人材事業への追い風傾向に変化はないと想定しています。構造的な技術者不足問題は解消されず、硬直的な雇用法制に起因する技術者の外部依存は継続する見込みです。また、働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う景気悪化を背景とした、中小派遣事業者の淘汰の可能性は、当社グループのシェア拡大に寄与すると考えています。R&Dアウトソーシング事業においては、デジタル技術の社会への浸透を背景とし、製品開発のソフト化・製品開発サイクルの短期化・プロジェクト一括での外注化の動きが進み、IT領域を中心に需要は堅調であると予測されます。施工管理アウトソーシング事業においては、東京オリンピックの開催延期による不透明要因はあるものの、需要を牽引する建設投資は、2025年に開催予定の大阪万博等に向けて堅調に推移する見込みですが、建設業界全体での高齢化が進展しつつあるため、技術者不足の状態が継続するものと予測されます。国内その他事業のうち、人材紹介事業においては、人材の供給不足やHRテックを活用した新たなビジネスモデルの台頭が見られ、技術系教育研修事業においては、新しいデジタル技術に対する企業・個人の教育ニーズはより高まると予測しています。一方、国外においては、中長期なグローバル化の進展・労働力人口の減少と高齢化は不可避であると認識しており、海外事業における技術者需要は、特にIT領域において堅調であると予測しています。
(4)会社の経営戦略
新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、当社グループでは事業継続を最も重視した経営を迅速に推進いたしました。具体的には、従業員の健康・安全確保と雇用維持を優先し、在宅勤務を推進するとともに、徹底したKPI管理による業績モニタリング強化、新規採用の抑制、技術者の配属確保を重点とした営業施策、コミットメントライン枠の増額による財務余力の確保等を実施いたしました。当面は、慎重な事業運営を基本として業績への悪影響を最小限に留めながら、来るべき景気回復に備えた成長政策の積極的実現に向けて、技術者への教育研修投資等を継続しながら量から質への転換を図りつつ、国内及び世界の経済環境を注視してまいります。
一方、中長期的には、当社の強みである多様な技術領域にまたがる技術者基盤と採用力、多様な産業における大手顧客基盤、教育研修による技術者育成能力を活かし、主力事業であるR&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業の成長を促進いたします。加えて、主力事業の競争優位性を梃子に、さらなる持続的な成長を図るため、技術者派遣領域からバリューチェーンを拡大し、国外の技術者や新領域の技術資源を活用することで、企業の技術開発ニーズに対するソリューション提供力を強化いたします。
① R&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業
中長期的には、市場が成長し、大手事業者に追い風の環境にあるとみています。一方で、当社においては、技術者一人当たり売上の向上や間接業務効率化等のオペレーション改善を通じて、収益性を高める余地が高いと考えています。従って、多様な採用チャネルの活用と技術者リテンションの取組み強化による技術者数の増加を図るとともに、シフトアップ・チャージアップの推進により、成長と収益性向上を実現いたします。そのためには、技術者育成制度や先端的技術力を有するベンチャーとのアライアンス、有望ITベンダーとのパートナリングといった、外部エコシステムを活用した技術者の高付加価値化が不可欠となります。さらには、情報システム投資によるコアプロセスのIT武装化により、技術者の採用・育成・配属・退職等に係る膨大なデータを蓄積・分析することで、より効果的なビジネスプロセスを実現いたします。
② 国内その他事業
人材紹介事業、技術系教育研修事業ともに、主力事業であるR&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業のコアプロセス(採用/育成)の一翼を担う事業であり、事業セグメント間のシナジー創出を強化し、当社グループへの有望技術者の獲得・技術者の高付加価値化へ寄与することが基本方針となります。加えて、人材紹介事業では、独自の技術者・外国人データベースやオフショアオペレーションといった特徴を活かした差別化を志向いたします。また、技術系教育研修事業では、国内50ヵ所超の拠点やオペレーション・コンテンツの標準化といった強みを活かし、デジタル技術領域の育成メニューやe-Learningを充実させ、企業顧客への外販を強化いたします。
③ 海外事業
現状、当社グループの海外拠点は、ローカルベースでのビジネス(現地の技術者を現地の顧客に配属)を主力展開しています。今後は、国内の顧客基盤や技術者資源をより活かし、日系多国籍企業の顧客開拓、外国人技術者の国内活用をさらに推進いたします。加えて、デジタル技術での開発力とコスト競争力強化という観点で海外拠点を拡充し、オフショアリングモデルと新技術領域でのCenter of Excellence拠点の構築を推進することで、コストアービトラージを活かした開発体制の強化及び技術・ノウハウの高度化・国内移転を進めます。
これらの戦略を遂行するにあたり、M&Aを重要な手段と位置付けており、積極的に活用していく方針です。
(5)対処すべき課題
上記を背景に、対処すべき課題として以下の内容に取り組んでまいります。当社グループは、技術を核としたグローバル人材サービス事業に特化しているため、以下の課題は各事業セグメントに共通するものとなりますが、特に、②及び④についてはR&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業、⑤及び⑥についてはR&Dアウトソーシング事業・施工管理アウトソーシング事業及び国内その他事業に、主として関連するものになります。
① 新型コロナウイルス感染症拡大と景気後退の長期化への対応
新型コロナウイルス感染症拡大の当社グループへの影響は、国内・海外の景気後退の深さと長さに依存します。当社グループの事業は、多様な産業にまたがる大手顧客を主体とし、技術領域も多岐にわたるという点で、通常の状況下では景気後退に対する耐久性・復元力は強いと認識しています。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は回避しきれず、2020年6月期第4四半期の国内の平均稼働率は昨年対比で3.6pt低下しました。今後景気後退の影響が長引けば、さらなる稼働率低下の可能性もありますが、当社には正規雇用する技術者の雇用を守り、就業機会を確保する社会的責任があり、こうして技術者リソースを維持しておくことは、需要回復局面における再成長速度に寄与します。雇用維持を実現すべく、2020年6月期においては、在宅勤務体制の構築、徹底的なKPI管理、リーンなオペレーション、財務余力の確保等に取り組み、コロナ禍での従業員の健康・安全確保を最優先とする万全の運営体制を確立いたしました。引き続き、ニューノーマルで需要が高まるデジタル技術領域を中心とした技術者育成への投資継続等、量から質への転換を図る一方で、財務健全性や先行的な業績管理等を踏まえながら的確に時機を判断し、中長期的な再成長に向けた投資を実行してまいります。
② 価格改善
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2015年 6月期 |
2016年 6月期 |
2017年 6月期 |
2018年 6月期 |
2019年 6月期 |
2020年 6月期 |
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技術者一人当たり売上(千円/月) |
614 |
622 |
626 |
630 |
630 |
630 |
(㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションの売上高合算/Σ[月末稼働技術者数]により算定。)
当社グループの技術者一人当たり売上は、2018年6月期以降ほぼ横ばいで推移しています。これは、働き方改革関連法の影響による残業時間の削減や多くの新卒技術社員の入社等が要因です。一方で、中長期的な技術者需給動向や同業他社の水準を勘案した場合、当社グループの技術者一人当たり売上は、まだ改善の余地が大きいと判断しています。当社グループでは、技術者に対する教育研修の充実等を通じて付加価値を高めていくことに加えて、チーム配属の強化を進め、契約単価の上昇に継続して取り組んでいます。
特に、今後の日本の技術開発を支え、需要が見込まれるデジタル領域の技術者を拡充し、当社で開発した技術者の市場価格算定モデルを活用することで、技術者の需給状況と技術領域に応じた的確な判断のもと、価格政策を進めます。
また、技術者を同一価格の同一案件に長期間固定させず、技術者のスキル向上に応じた適正価格水準の案件への配属を進める戦略的シフトアップを推進いたします。
③ 高品質技術者の確保と育成
人材の確保は当社グループの成長の礎であり、高品質の技術者をいかに多く獲得し、あるいは在籍技術者のスキルをいかに高めていくかは、重要な経営課題の一つです。技術者採用市場は近年逼迫しており、従来主力のWeb媒体等に加えて、知人紹介や人材紹介会社等の多様な採用チャネルを活用し、高品質技術者の獲得を推進してまいります。
また、中長期的に需要が見込まれるデジタル技術を主体としたターゲット技術領域(AI/データサイエンス、クラウド、サイバーセキュリティ、IOT、マイコン組込制御ソフト、CAE技術、FPGA、再生医療、バイオ医薬品等)における技術者育成を、教育研修基盤と戦略的アライアンスを活用しつつ進めることで、技術者の高付加価値化を図り、また技術者人事制度の充実等を通じて、技術者のリテンションを推進してまいります。
④ IT技術の活用とプラットフォーム化
技術者派遣事業においては、採用母集団の形成、スクリーニングと採用、配属(マッチング)、リテンション、研修、育成・要員計画といったコアプロセスが存在し、IT技術の進展により、各プロセスにおける技術者情報を可視化する仕組みの構築が可能です。この仕組みにより、技術者情報の収集・蓄積・分析をデータサイエンスやAIも活用しつつ充実させることで、採用効率の向上、効果的な人材育成、適正な技術者配属(契約単価向上)等、コアプロセスを強化するための効果的な打ち手が可能となります。この仕組みは、技術者派遣事業にとどめることなく、企業と技術者に対して、人材の獲得・育成等を効果的に実現するための汎用性がある仕組み(プラットフォーム)として発展する可能性を秘めたものであり、長期的な当社グループの成長にとって不可欠なものと認識しています。当社グループでは、これらを実現するための「タレントマネジメントシステム」への投資を積極化しております。
⑤ 法規制の変化への対応
働き方改革関連法が2019年4月より順次施行されました。同法は、「36協定の上限時間の変更、有給休暇取得義務化等の長時間労働の是正」、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保。いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差解消」等を企業に求めるものであり、当社グループにおいては同法遵守に向けて様々な取組みを行っています。
具体的には、社内システムを使った残業時間の見える化と時間外ガイドラインの運用を推進し、長時間労働の削減を進めるとともに、計画的有給休暇取得を進めています。また、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保に関しては、「同種業務の一般的な労働者の平均賃金と同等以上であることを満たす労使協定による待遇」を当社グループでは選択し、一部賃金体系の見直しを進めています。
⑥ 業務プロセスの向上
当社グループの本社及び事業所の事務業務は、プロセス・ルール・帳票の標準化を進めることにより、効率化できる余地があります。2019年1月に業務改革プロジェクトを発足させ、営業・人事・会計といった当社基幹システムの抜本的な見直しを進め、ワンシステム化・IT共通基盤の強化を目指しています。情報システムへの投資による基幹システムのバージョンアップとともに、内部統制を具備した事務の標準化・効率化を推進し、事務機能の強化を図ることで、事業の拡大・多角化に伴うオペレーティングレバレッジ向上を実現いたします。
⑦ グローバル事業の拡大
国内における人口は2010-2011年をピークに減少期に入り、労働力人口は近年横ばいを維持しておりますが、将来的な減少・高齢化が予測されています。当社グループの事業拡大のためには技術者の継続的な確保が必要ですが、国内での技術者確保は一層困難になると見込んでいます。現地法人の開設やM&Aによる当社グループの海外拠点を活用し、グローバルでの人材の採用を進め、外国籍技術者の確保を進めてまいります。また、日系企業海外拠点に対する技術系人材サービスに加え、デジタル領域を主体にオフショアリング開発サービスの拡大を進め、コスト競争力があるより高度なソリューション提供を推進してまいります。
⑧ M&Aによる事業拡大
技術者派遣業務の成長を加速し、上流から下流に至る開発ソリューションや国外の技術資源を活かしたソリューションへの多角化・高付加価値化を図るうえで、M&Aは有力な手段の一つであると考えています。M&Aにより、当社グループのコンプライアンス、教育研修、情報システム等を含む業務基盤を活かし、ターゲット技術領域の技術者やコンサルタント等の早期拡充、あるいは多様な産業・顧客基盤を活かした迅速な事業拡大を図ることが可能になると認識しています。当社グループでは、現有事業とのシナジーを勘案し、中長期戦略に沿った能動的ソーシング、買収対象候補先に対する厳格な事業性評価、及びROIC等による将来的な価値創造の評価に基づき、M&A戦略を積極的に推進いたします。また、連結子会社化後、専門部隊を主体としたPMI体制による早期のガバナンス強化とグループ会社間連携による事業サポートを推進し、グループ内シナジーの実現を図ってまいります。
当社グループの事業運営、業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。また、必ずしも重要な影響を及ぼすリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。当社グループでは、事業の持続的成長のため、現在及び中長期におけるリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であり、当社株式に関する投資判断は、主に以下の記載事項を検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日時点において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。また、当社グループで発生しうるリスク及び投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクは、これらに限られるものではありません。
A.事業運営及びコンプライアンス上のリスク
(1)感染症への対応
人・物・金・情報のグローバル化の進展に伴い、感染症のリスクは確実に増加しています。2020年に世界的に拡大し、現時点で収束の目途がたっていない新型コロナウイルスによって、そのリスクは顕在化いたしました。感染症においては、人と人との物理的接触が制約を受けるという特有の要素があり、当社グループの事業運営上は、技術者を含む従業員の在宅勤務の要請、技術者の地域間移動の制限、対面での営業活動や採用活動の制約といった供給面においてまず影響が現れます。さらには、国や産業により深度や期間は異なるものの、顧客企業の業績悪化につながり、結果としての技術者需要の減少や研究開発プロジェクトの縮小や遅延といった形で、当社サービスの需要面にも影響を与えます。総じて、感染症リスクは、後述する「技術革新(デジタルトランスフォーメーション)への対応」「顧客の属する業界の景気動向」「人材の確保」等の他のリスクにも波及する可能性があるものです。
当社グループでは、在宅勤務を支える情報システムや人事制度等を構築・運用し、またリモートでの顧客開拓を推進する等、感染症拡大下で、従業員の健康・安全を最優先した事業運営体制を実践しています。また、新型コロナウイルスによる感染症リスクに対する認知の劇的な高まりは、デジタル技術の社会・企業活動への浸透を促進することが確実であり、当社グループとしては、デジタル技術に対応した技術者・ソリューションを拡充し、事業拡大を図る機会と捉えています。
(2)技術革新(デジタルトランスフォーメーション)への対応
技術の変化のスピードは現代において加速度的に増しており、技術を核としたグローバル人材サービスを顧客に提供する当社グループは、技術革新に適時適切に対応していく必要があります。このような技術革新に関しては、以下のようなリスクがあり、これらに対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
・当社グループが技術変化の方向性を正しく予測・認識できない場合や、たとえできたとしても当社グループの技術者の有する技術スキルの向上が間に合わず、技術が陳腐化するリスク
・新たな技術により研究開発やITシステム開発の工数が大幅に縮減し、技術人材への需要が減少することによって、当社グループに余剰人員が発生するリスク
・新たな技術に対応できる技術者の確保又は育成に、多額の費用が発生するリスク
・HRテックやリモートワーク等の技術の発展により、顧客による直接雇用やフリーランスの技術者に需要を奪われるリスク
一方で、技術革新により顧客の技術人材に対するニーズが高まれば、当社グループへの需要がさらに増える可能性があります。
当社グループでは、技術者の有する能力やスキルの高度化、新たな技術の習得等を支援するために様々な教育研修の機会を整備するとともに、教育研修の投資効率の向上に努めています。また、当社グループでは、持続的な成長のために、将来の技術動向を分析し、長期にわたって強い需要が見込まれる技術分野を「戦略技術分野」と定め、その分野の技術を持つ技術者の確保・育成を進めています。
(3)関連法制の動向
当社グループは、労働者派遣法、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)、その他の関連法令の規定に従い、労働者派遣事業を行っており、法令に抵触した場合には、労働者派遣事業の許可の取消、事業停止の処分等を受けるおそれがあります。労働者派遣法その他の関連法令に抵触する行為が当社グループで発生した場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、組織・規程・役職員教育を含めて、厳格な法令遵守体制を構築・運用しています。
また、労働者派遣法をはじめとする関係諸法令は、経済環境・社会環境の変化に伴い、継続的な見直しが行われており、当社グループの業態に著しく不利な改訂が将来的に実施された場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。近年では労働者派遣法以外にも、時間外労働の上限規制、年次有給休暇の時季指定、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保、高年齢者雇用確保措置等の改訂が実施されており、当社グループでは当該改訂に対応するための諸施策を採っておりますが、今後のさらなる改訂によっては、対応のために多額の費用が発生する可能性があります。
一方で、規制の厳格化によって中小派遣事業者が淘汰され、当社グループへの需要がさらに増え、市場シェア拡大につながる可能性があります。
なお、当社グループが許認可を受けている労働者派遣事業及び有料職業紹介事業に関して、事業廃止又は許可取消、事業停止となる事由は労働者派遣法第14条及び職業安定法第32条に定められております。本書提出日時点において、当社グループが認識している限り、当社グループにはこれら事業廃止又は許可取消、事業停止の事由に該当する事実及びその兆候はありません。
(4)顧客の属する業界の景気動向
当社グループは、2020年6月30日時点で国内に21,264人の技術者を擁しており、そのうち90.3%(19,195人)が無期雇用となっております。顧客の属する業界の景気が悪化した場合には、就業時間の短縮化、契約条件の悪化、さらには派遣契約期間中での中途解約等が起こる可能性があります。多くの無期雇用技術者を擁しているが故に、景気下降局面では無期雇用の待機技術者の人件費負担が大きくなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、技術者の付加価値を高めるための教育研修を強化しており、技術者稼働率の安定的維持を図っています。また、R&Dアウトソーシング事業では多様な業界・顧客と取引することで、特定の業界や特定の顧客の業況に大きく影響を受けない、リスクを分散した事業運営を行っています。なお、当社グループにおける顧客上位10社の売上高占有率は13.4%(当連結会計年度)です。
(5)企業買収(M&A)
当社グループは、中期経営計画に基づく成長戦略の一環として、M&Aや出資、新会社の設立を実行することがあります。M&Aや出資に際しては、対象となる企業について詳細なデューディリジェンスを実施し、リスク回避に努めておりますが、買収後に偶発債務等の発生が判明した場合、当該事業が当初想定した収益計画を達成できない場合、投資先の経営に対して十分なコントロールやモニタリングができず、事業運営に支障をきたすような事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、資本コストを常に意識した事業運営を行っており、投資時における価格交渉や投資後の統合作業(PMI)の手続きにおいて、資本コストを上回る投下資本利益率(ROIC)を重要な経営指標の一つとして位置付け、価値を創造しながらの持続的成長を目指しています。
(6)減損会計の適用
当社グループは、2020年6月30日現在、連結財政状態計算書に合計382億65百万円の、のれんと無形資産を計上しております。これらは総資産の35.4%を占めており、主要なのれんの内訳は、機械、電気・電子領域(146億51百万円)、組込制御、ITインフラ領域(79億69百万円)になります。当社グループでは、国内及び海外において積極的にM&Aを推進している結果、のれんと無形資産は増加傾向にありますが、当社グループの収益性に認識可能な低下がみられる場合、事業環境等の変化によってM&Aにおいて期待された成果が得られないと判断される場合には、のれんや無形資産の減損が生じているか否かについての判断が必要となります。のれんや無形資産に関する減損損失が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、のれんは非償却性資産であります。
また、M&Aや出資にあたり、ダウンサイドリスクの回避を意識しながら、当初の投資額や取得比率を抑えて減損の潜在額を小さくすることや、売主である創業者にインセンティブを与え、当該事業の経営リスクを軽減することを目的として、少数株主にプット・オプションを付与している場合があります。当該事業が当初想定した収益計画から大きく乖離した場合には、オプションの公正価値に変化が生じているか否かの判断が必要になり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、減損リスクを意識することで、M&Aへの取組みに規律を働かせています。M&Aを実行するに際し、投資検討におけるデューディリジェンスの過程から、事業部門やPMI担当者によるチームを組成し、投資後の計画を先行的に策定し、投資後においては各種施策を早期に開始し、当該事業の経営改善やグループ間連携の強化による想定シナジーの早期実現に努めています。
(7)人材の確保
2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当社グループは一時的に採用活動を抑制しておりますが、中長期的には、国内における技術者需給は逼迫し、今後の技術者採用市場の動向によっては、技術者人材の確保が難航するおそれがあります。当社グループでは、従前の既卒者を中心とした中途採用に加えて、新卒採用の強化を図ってきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う働き方の変化によって、チーム配属やOJTの機会が減少し、未経験者や新卒の採用数を中長期的に抑制せざるを得なくなると、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
採用力は当社グループの強みの一つであり、優秀な技術者の獲得は成長の推進力です。当社グループでは採用チャネルを最適化し、従前のWeb媒体やハローワーク等に加えて、人材紹介事業者の活用や知人紹介等に多角化することで、採用経費の効率化と人材の質の向上等を目指しながら、即戦力となる技術者の確保に努めています。これらの取組みの結果、技術者採用数は2019年6月期対比で若干の減少となりましたが、質を担保した採用に成功し、総在籍技術者数は下表のとおり順調に推移しています。
また、当社グループでは、毎年従業員満足度調査を実施し、その結果を元に処遇改善施策を実施する等、採用競争力の強化と退職率の低減に努めています。
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2015年 6月期 |
2016年 6月期 |
2017年 6月期 |
2018年 6月期 |
2019年 6月期 |
2020年 6月期 |
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技術者採用数(人) |
2,413 |
2,541 |
2,684 |
4,151 |
4,512 |
4,398 |
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総在籍技術者数(人) |
11,969 |
13,127 |
14,346 |
16,797 |
19,293 |
21,264 |
(技術者採用数、総在籍技術者数ともに国内(M&Aによる技術者増加を含む)。また、総在籍技術者数は年度末時点。)
さらに、当社グループは、技術者数の急激な増加と組織の拡大に対応すべく、安定した事業運営に必要な数の管理社員を採用・育成する必要があり、当該人材の確保が難航した場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、技術者の採用には競争力があるものの、管理社員の採用には、逼迫した労働市場において業種を問わない競合との厳しい獲得競争にさらされています。当社グループでは、最新のIT技術の導入や業務フローの見直しによって管理社員の生産性を上げるべく、技術者派遣事業のコアプロセスを強化するプラットフォーム構築を目的としたIT投資を積極化する一方、業務改革プロジェクトを発足し、営業・人事・会計といった当社基幹システムの抜本的な見直しを進め、事務機能の強化を図っています。
(8)労務
当社グループは、技術者に加え管理社員を含めると、20,000人を超える従業員を雇用しており、また毎年多数の従業員を採用しております。このため、労働安全衛生や雇用関係等に関して従業員との間で紛争が発生する可能性もあり、その場合には当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、経営理念の一つとして、「エンジニア一人ひとりに誠実に向き合い、夢の実現をサポートするパートナーです。」を掲げ、採用時の人材品質確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む技術者管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度向上等の取組みを実践しています。
(9)コンプライアンス
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。当社グループ役職員により、コンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が行われた場合には、社会や顧客が被る損害への賠償やレピュテーションの悪化等を通じて、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、当社代表取締役を委員長とし当社グループの取締役・監査役等で構成するCSR委員会において「統合リスク管理計画」を策定し、重視すべきコンプライアンスリスクの特定とその重点管理を行っています。実務面では、グループ横断のコンプライアンス専任部門の設置、トラブル発生時のエスカレーションルールの徹底、内部監査の実施と是正活動、内部通報制度の周知等を通して、重大なコンプライアンス違反発生を防ぐことに努めています。
(10)情報セキュリティ
当社グループの技術者は、業務上、顧客の研究開発等の機密情報を知り得る可能性があります。当社グループの技術者によって、顧客の機密情報の外部流出が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを浸透させています。また、当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めています。
(11)事業イメージ・レピュテーション
当社グループの主要な事業である技術者派遣事業は、多くの人材を雇用する社会的責任の大きな事業であり、当社グループ役職員により社会的信用や企業イメージを棄損する行為が行われた場合には、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、技術者派遣市場は事業者数が多く細分化されており、当社グループのみならず、類似の事業を営む他社においてコンプライアンスを軽視した社会的倫理に反する行為等が行われた場合にも、業界全体に対するイメージの悪化を通じて、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
(12)個人情報保護
当社グループは、技術者を含む従業員や、採用応募者の個人情報を大量に保有しており、個人情報の外部流出が発生した場合には、当社グループへの社会的信用の失墜等により、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、個人情報の適正な管理は極めて重要であると認識しており、役職員への継続的な教育研修等を通じて、個人情報の適正な取扱いを浸透させています。また、当社CSR推進部長を個人情報保護責任者と定め、個人情報保護規程の整備・運用及び情報システム面も含めた個人情報に関するセキュリティ対策を講じています。
(13)自然災害・事故
当社グループは、全国に200ヵ所以上の事業拠点を有しており、当社グループの技術者は国内2,200社以上の顧客先にて勤務しています。そのため、地震や洪水等の自然災害や予期せぬ事故等により、当社グループあるいは顧客の設備が損壊する等の被害が発生した場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自然災害や事故について事業継続計画及び企業危機対策規程を定め、また情報システム障害に関してはデータリカバリーセンターを活用する等の対策を講じています。
B.中長期の視点から事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク
(1)グローバル化の進展
近年、当社グループの主要顧客である大手日系企業は、研究開発やITシステム開発のグローバル化を進めており、この動きは今後益々加速するものと考えられます。また、新興国の技術力向上により、欧米においては重要な開発プロジェクトであっても、安価なオフショアリング開発が用いられるようになってきています。日本でも将来的には、国内における開発プロジェクトが縮小して技術開発サービス需要が減少し、かつこのような変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、当社グループがグローバル規模で顧客の需要に応える事業基盤を確立し、各地域で最適な技術開発サービスをソリューションとして提案することができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
当社グループでは、中期経営計画に基づく成長戦略の一環としてグローバル化を推進しており、2020年6月30日現在、中国、シンガポール、インド、イギリス等の海外拠点の技術者数は、合計で1,331人になります。
(2)雇用慣行の変化
日本において技術開発サービスの需要が強い背景の一つとして、日本的雇用慣行では迅速な直接雇用人員の調整が困難であり、研究開発やITシステム開発のプロジェクトにおいて、適時適切な人材を確保することが難しいことがあります。近年、日本では雇用慣行が徐々に変化しつつあり、将来的に雇用の流動化が一層進展し、顧客が開発プロジェクトごとに必要な人材を直接雇用することが一般化した場合には、人材のアウトソース需要が減少し、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、中期経営計画に基づき、最先端の技術を有する技術者の育成や技術コンサルティング、技術者を中心とした人材紹介業等、より高付加価値な技術開発サービスへと事業の多角化を進めています。
(3)顧客の需要動向の変化
近年、デジタル化やソフトウェア化の進展により、研究開発やITシステム開発の手法も大きく変化しています。欧米では、従来からITシステム開発の内製化やパッケージ化が広く浸透しており、日本でも将来的には、技術の進化によって顧客の開発手法が変化することが想定されます。このような変化に当社グループが対応できない場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、当社グループによる新たな開発手法を習得した技術者の育成やグローバルでの開発リソースの最適化等によって、顧客が技術の変化に対応するための技術開発サービスをソリューションとして提案することができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
(4)国内の人口推移
当社グループの事業の過半は国内で行われていますが、国内では総人口及び技術者数が継続的に減少すると見込まれており、当社グループが事業を展開する市場の縮小や、新卒・中途採用の競争激化により、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方で、国内での技術人材需要は継続的に高止まりが予想され、グローバル人材の採用や技術開発の効率化によって顧客の技術開発ニーズに応えることができれば、当社グループの新たな成長機会となる可能性があります。
(5)世界的な経済情勢の長期的趨勢
当社グループへの需要は、顧客の研究開発やITシステム開発への投資に強く連動しています。当社グループの主要顧客である大手日系企業は、将来にわたる国際競争力を維持するため、積極的な研究開発投資を継続的に行っており、当社グループの成長の要因となっています。
しかしながら、近年の世界的な保護主義への回帰や、自由経済への制約が将来にわたって継続し、あるいは世界規模での新たな感染症が定期的に蔓延することで、多くの日系企業が研究開発投資に消極的な姿勢に転換した場合には、技術人材への需要が減少し、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年7月1日~2020年6月30日)における世界経済は、米中貿易摩擦等に加え、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界規模への拡大による企業活動停滞の影響に伴い、大幅に悪化いたしました。一方、好調な経済指標を示していた国内経済においても、消費税増税及び新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、景況感が急速に悪化いたしました。新型コロナウイルス感染症に対する新薬・ワクチンの開発及び普及並びに政府の財政・金融政策次第では、今回の不況は長期化するおそれがあり、景気の先行きに対する警戒感が強まっています。
このような経済環境の中で、当社グループが注力している技術者派遣・請負事業は成長が継続し、中でもIT業界、建設業界の技術者に対する需要は旺盛でしたが、当連結会計年度第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する、在宅勤務等によるサービス提供面での制約や機械領域・自動車業界等での需要減少が現れており、今後の経営環境は不透明感を増しています。
当連結会計年度における、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が見られるまでの、当社グループの主な取組みは、以下のとおりです。
(シフトアップ・チャージアップの推進)
技術者1人当たりの売上単価の向上に向けて、シフトアップ(配属先を変更することによる契約単価向上)とチャージアップ(同一配属先での契約更新時の契約単価向上)を前連結会計年度に引き続き推進いたしました。この契約単価の向上施策においては、技術者のスキル向上に伴う単価上昇に加えて、働き方改革における同一労働同一賃金(均等・均衡待遇)実現のための金額改定も引き続き推進しております。
(技術者の確保)
成長の源泉である技術者の採用活動に対して継続的に力を入れる一方で、退職抑制に向けた取組みを強化いたしました。具体的には、一部の子会社でテスト的に退職予測システムを導入し、退職の可能性が高い従業員へのフォローを実施し、リテンションにつなげる新たな施策も開始しております。また、従業員の待遇改善も継続的に進めております。
(技術者の高付加価値化)
㈱アイズファクトリーとのデータサイエンティスト養成・派遣事業での協業、Strategic Cyber Holdings LLCが運営するCYBERGYM TOKYOとのサイバーセキュリティエキスパート育成事業での協業、自動車産業向けモデルベース開発に強みを有するインテグレーションテクノロジー㈱との協業等、先端的技術力を有する企業、あるいはクラウド、ERP、RPA等の領域における主要プレイヤーとのパートナリングを通じて、これら外部エコシステムを活用した技術者の高付加価値化を推進しました。また、当社連結子会社で教育研修事業を手がけるピーシーアシスト㈱が運営するWinスクールにおいて、時代に即したニーズの高い技術習得のための講座を新たに開設する等、様々な取組みを進めました。
(グローバル化の推進)
2018年10月に英国を拠点に人材派遣事業及び人材紹介事業を展開するOrion Managed Services Limitedを連結子会社化し、アジア地域に加え、欧州地域における中長期的な事業拡大を推進する礎を築きました。同社に加え、アジア地域に拠点を持つテクノプロ中国グループ各社やHelius Technologies Pte Ltd等で連携を行い、欧州・アジアに拠点を有する日系企業への技術系サービスの提供を進めるとともに、日本国内で就業のできる外国籍技術者を確保し、国内の技術者不足に対応できる体制構築を進めております。
- 新型コロナウイルス感染症拡大の影響と対策 -
一方で、当連結会計年度第3四半期以降、新型コロナウイルス感染症拡大の当社グループへの影響が懸念されたことから、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)会社の経営戦略」に記載のとおり、悪影響を最小限に留めるべく、様々な施策を推進いたしました。しかしながら、当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響は避けられませんでした。全社・各事業分野への影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)外部環境」をご参照ください。
これら事業上の取組みや新型コロナウイルス感染症拡大への対策の結果、当連結会計年度末の国内技術者数は21,264人(前連結会計年度末比1,971人増加)へと増加いたしました。当連結会計年度の平均稼働率は94.0%(前連結会計年度比1.5pt減少)となりましたが、引き続き高稼働率を維持いたしました。シフトアップ・チャージアップは前連結会計年度より継続的に推進しており、技術者一人当たり売上単価(㈱テクノプロ及び㈱テクノプロ・コンストラクションの平均)の向上を進めてまいりましたが、多くの新卒技術社員の入社や政府主導の働き方改革による残業時間の減少、新型コロナウイルス感染症拡大による一時帰休等が影響し、当連結会計年度の月次平均売上単価は月額630千円(同0.4千円減少)となりました。なお、新入社員を除く既存社員は、前連結会計年度比で月額13千円上昇しております。
採用面においては、当連結会計年度の国内技術者採用数は4,398人(前連結会計年度比114人減少)であり、総在籍技術者数の伸びに寄与しております。
費用面においては、業績向上に伴う技術者の人件費増加といった売上原価増の要因があったものの、売上総利益率は25.4%(前連結会計年度比0.1pt増加)となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大による売上毀損も見込まれたことから先行的にコストコントロールを徹底し、売上収益に対する販売管理費の比率は15.1%(同0.7pt減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績につきましては、売上収益は1,584億7百万円(前連結会計年度比9.9%増加)、営業利益は157億72百万円(同14.8%増加)、税引前当期利益は158億43百万円(同15.4%増加)、親会社の所有者に帰属する当期利益は108億25百万円(同11.8%増加)となりました。
当連結会計年度における主要事業分野の業績は、以下のとおりです。
(R&Dアウトソーシング事業)
R&Dアウトソーシングの中でも好調を維持しているIT分野を拡大するため、高付加価値技術を持った企業との協業に取り組むことにより、シフトアップ・チャージアップによる高収益化を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は1,261億79百万円(前連結会計年度比10.7%増加)となりました。
(施工管理アウトソーシング事業)
前連結会計年度に引き続き、チーム配属の推進による技術者1人当たりの売上単価の向上を進めるとともに、未経験者の採用・育成、及び施工管理に加え、設計等の領域の拡大を進めました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は197億87百万円(前連結会計年度比11.7%増加)となりました。
(国内その他事業)
国内その他事業は、人材紹介事業及び技術系教育研修事業で構成されています。前連結会計年度にグループ入りしたテクノブレーン㈱が寄与し、当社グループにおける人材紹介事業の売上拡大が進みました。また、ピーシーアシスト㈱が手掛けるWinスクールが、自宅や職場で個人指導を受けられるオンライン講座の提供を開始いたしました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は41億3百万円(前連結会計年度比18.1%増加)となりました。
(海外事業)
グローバル拠点の管理体制・営業体制を強化し、国内拠点及びグローバル拠点相互の営業連携を図り、グローバルに事業展開する顧客のニーズに合致した技術者及びソリューションの提供を進めるなど、新たなシナジーを生み出せるようさらなるグループ間連携を強化しました。これらの取組みの結果、同事業の売上収益は99億41百万円(前連結会計年度比3.3%減少)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15億66百万円増加し、227億97百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は180億59百万円の収入(前期は112億70百万円の収入)となりました。これは主に、税引前当期利益(158億43百万円)、前払費用の減少(33億30百万円)、減価償却費及び償却費(26億4百万円)による資金の増加に対し、法人所得税支払額(55億円)、預り金の減少(8億28百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は14億98百万円の支出(前期は44億29百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得(6億35百万円)、子会社株式の条件付取得対価の決済による支出(4億40百万円)、その他の金融資産の取得による支出(2億55百万円)等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は149億27百万円の支出(前期は71億84百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入(10億円)による資金の増加に対し、配当金支払額(49億12百万円)、リース負債の返済による支出(64億16百万円)、長期借入金の返済による支出(32億98百万円)により資金が減少したこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ロ.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。
ハ.販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) |
|
|
金額 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
|
R&Dアウトソーシング事業 |
126,179 |
110.7 |
|
施工管理アウトソーシング事業 |
19,787 |
111.7 |
|
国内その他事業 |
4,103 |
118.1 |
|
海外事業 |
9,941 |
96.7 |
|
全社/消去 |
△1,605 |
121.2 |
|
合計 |
158,407 |
109.9 |
(注)上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 注記4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
② 経営成績の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は1,079億67百万円(前連結会計年度末比141億96百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん361億15百万円、現金及び現金同等物227億97百万円、売掛金及びその他の債権202億14百万円等であります。
各項目の状況は、以下のとおりです。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は513億7百万円(前連結会計年度末比67億45百万円増加)となりました。主な内訳は、現金及び現金同等物227億97百万円(同15億66百万円増加)、売掛金及びその他の債権202億14百万円(同4億48百万円増加)等であります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産の残高は566億60百万円(前連結会計年度末比74億51百万円増加)となりました。主な内訳は、のれん361億15百万円(同9億64百万円減少)、IFRS第16号「リース」(2016年1月公表)(以下、「IFRS第16号」という。)の適用により増加した使用権資産66億49百万円、繰延税金資産42億82百万円(同3億25百万円増加)等であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は431億65百万円(前連結会計年度末比89億94百万円増加)となりました。主な内訳は、買掛金及びその他の債務133億69百万円(同4億5百万円増加)、従業員給付に係る負債63億98百万円(同5億51百万円増加)、IFRS第16号の適用により増加したリース負債58億88百万円、社債及び借入金44億53百万円(同10億93百万円増加)等であります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債の残高は152億92百万円(前連結会計年度末比17億58百万円増加)となりました。主な内訳は、IFRS第16号の適用により増加したリース負債58億65百万円、その他の長期金融負債52億14百万円(同14億80百万円減少)、借入金32億5百万円(同26億19百万円減少)等であります。
(親会社の所有者に帰属する持分)
当連結会計年度末における親会社の所有者に帰属する持分の残高は482億29百万円(前連結会計年度末比34億26百万円増加)となりました。主な内訳は、利益剰余金361億39百万円(同50億10百万円増加)、資本剰余金73億49百万円(同44百万円増加)等であります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループは技術者派遣業務を主体として事業運営しているため、主要な運転資金需要は、人件費(給与手当、賞与、法定福利費等)の支払となります。また、技術者派遣業務は、役務提供の対価が毎月入金されることが基本であるため、運転資金の大半は顧客からの入金で充足されます。なお、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.5ヵ月、未払人件費等回転期間は1.3ヵ月です。
その他、情報システム投資や営業拠点投資、自己株式取得、M&A投資が主要な資金需要となります。
② 財務政策
当社グループは、(ア)将来的成長へ向けた積極投資、(イ)適正な財務健全性・レバレッジの確保、(ウ)株主還元の規律、の最適なバランスを踏まえた財務政策を基本方針としており、指標としては基本的1株当たり当期利益の長期継続的改善を重視し、資本コストが相対的に低い借入金を主体とした負債性資本による調達を基本としています。
また、当社グループでは、当連結会計年度末時点において、短期的資金需要及びM&A資金需要を賄うため、総額230億円のコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。