名称 ビー・エックス・ジェイ・イー・ツー・ホールディング株式会社
所在地 東京都港区虎ノ門五丁目1番4号
(1)普通株式(以下「当社株式」といいます。)
(2)The Bank of New York Mellon(以下「本預託銀行」といいます。)に預託された当社株式を表章するものとして、本預託銀行により米国で発行されている米国預託株式(以下「本米国預託株式」といい、本米国預託株式を表章する証券を「本米国預託証券」といいます。)
(注) 本預託銀行が2019年10月11日付で、米国証券取引委員会に提出した本米国預託株式に係る届出書(Form F-6)(以下「本米国預託株式届出書」といいます。)のとおり、本米国預託株式は当社の協力のもとで発行されております。公開買付者は、本公開買付けにおいては、当社株式(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)の全ての取得を目指していることから、公開買付者は、法第27条の2第5項及び令第8条第5項第3号の規定に従い、当社の発行する全ての株券等について売付け等の申込みの勧誘を行う必要があるため、買付け等をする株券等の種類に当社株式を表章する本米国預託株式を含めているとのことです。一方で、本米国預託株式は、米国で発行されている証券であるところ、日本国の居住者である公開買付者が米国外で実施される本公開買付けにおいてその取得を行うに当たり、実務上、公開買付代理人としてその取扱いを行うことができる金融商品取引業者等が存在しないため、本公開買付けにおいて公開買付者が本米国預託株式自体の取得を行うことは困難であることが判明しているとのことです。そのため、本公開買付けにおいては当社株式の応募のみの受付けを行い、本米国預託株式自体の応募の受付けは行わず、本米国預託株式が表章する本預託銀行に預託された当社株式の応募の受付けを行うこととするとのことです。したがいまして、本公開買付けへの本米国預託株式に表章されている当社株式の応募を希望する本米国預託株式の保有者の皆様においては、事前に、本米国預託株式(本米国預託株式を表章している米国預託証券を含みます。)を本預託銀行に引き渡し、かかる本米国預託株式に表章されていた当社株式の交付を受けた上で、ご応募くださいとのことです。
(1)意見の内容
当社は、2025年8月6日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、(ⅰ)当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否か、(ⅱ)本米国預託株式の保有者の皆様が事前に本米国預託株式を本預託銀行に引き渡し、本米国預託株式に表章されていた当社株式の交付を受けた上で、本公開買付けに応募するか否かについて、それぞれ中立の立場をとり、当社の株主及び本米国預託株式の保有者の皆様の判断に委ねる旨の決議をいたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含みます。)の承認」に記載の方法により決議されております。
(2)意見の根拠及び理由
本「(2)意見の根拠及び理由」のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、当社の株券等を取得及び所有し、本公開買付け成立後に、当社の事業活動を支配及び管理することを主な目的として、2025年7月8日に設立された株式会社とのことです。本書提出日現在、公開買付者の発行済株式の全ては、ブラックストーン(以下に定義します。以下同じです。)が管理、助言又は運営するファンドが発行済株式の全てを間接的に保有するビー・エックス・ジェイ・イー・ワン・ホールディング株式会社(以下「公開買付者親会社」といいます。)によって所有されているとのことです。なお、本書提出日現在、ブラックストーン、公開買付者親会社及び公開買付者は、当社株式を所有していないとのことです。
Blackstone Inc.(その関係会社及びその他の関連事業体を含め、以下「ブラックストーン」といいます。)は1985年に設立され、世界最大規模を誇るオルタナティブ投資運用会社とのことです。ブラックストーンは2025年6月30日時点でエクイティ総額約176兆円(注:1ドル=145円、以下同じです。)の資産を運用しており、投資家の多様なニーズに応えるために、プライベート・エクイティ・ファンド、不動産ファンド、ヘッジファンド・ソリューション、クレジット関連投資及びクローズドエンド型ミューチュアル・ファンドを含む、80種類以上もの投資戦略をグローバルに展開しているとのことです。本取引(以下に定義します。)の出資主体となるプライベート・エクイティ・ファンドは、グローバルに約56兆円を250以上のポートフォリオ企業(2025年6月30日時点)にて運用しており、世界最大級の規模を有しているとのことです。また、ブラックストーンのプライベート・エクイティチームは東京、香港、シンガポール、ムンバイ、上海、シドニー、ソウルのアジア及びオセアニアにおける7拠点を含むグローバルにオフィスを構え、地域ファンド(北米、欧州、アジア、日本等)に分割されず、一つのチームとして活動することで、緊密なグローバル連携が可能となっているとのことです。ブラックストーンは高い競争力、成長性、付加価値の創出能力を持つ企業に着目をし、その強い基盤に、必要に応じてブラックストーンの有するグローバルネットワークや各種経営資源を機動的かつ集中的に提供することで、更なる成長を実現いただく、ということを目指して投資活動を行っているとのことです。日本国内では、2007年に東京オフィスを開設して以来、2025年6月30日時点までに事業投資及び不動産投資の分野で累計3兆円を超える投資を実施しているとのことです。2019年3月のあゆみ製薬株式会社への資本参加、2021年3月の武田コンシューマーヘルスケア株式会社(現アリナミン製薬株式会社)の買収、2024年1月のソニー銀行株式会社とのソニーペイメントサービス株式会社の買収、2024年10月のインフォコム株式会社の買収、2025年3月の株式会社アイロムグループの買収、2025年5月のシミック株式会社の買収といった実績を構築してきたとのことです。
ブラックストーンは、当社が事業を営んでいる人材・ITサービス領域のいずれについても、優先度が高い投資領域として定め、アジア太平洋地域においても、過去10件以上の投資実績を有しているとのことです。M&Aによるデジタルソリューションの強化やブラックストーンのポートフォリオへの拡販、オフショアリングによるエンジニアリソースの確保等を通じてこれらの投資先の成長をサポートしているとのことです。
今般、公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を完全子会社化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを開始することを決定したとのことです。
本公開買付けにおいて、公開買付者は、買付予定数の下限を69,460,100株(所有割合(注1):66.67%)(注2)と設定しており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の総数が買付予定数の下限(69,460,100株、所有割合:66.67%)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。これは、本取引が当社の株式を完全子会社化することを目的としているところ、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本株式併合(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」の「② 株式併合」において定義します。)の手続を実施するには、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされていることを踏まえ、本取引を確実に実施できるようにしたものとのことです。他方、本取引は、当社を完全子会社化することを目的としておりますので、買付予定数の上限は設定しておらず、応募株券等の総数が買付予定数の下限(69,460,100株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年8月6日に公表した「2025年6月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」(以下「2025年6月期決算短信」といいます。)に記載された2025年6月30日現在の当社の発行済株式総数(104,500,000株)から、2025年6月期決算短信に記載された2025年6月30日現在の当社が所有する自己株式数(309,817株)を控除した株式数(104,190,183株。以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入。以下、所有割合の計算において同じとします。)をいいます。
(注2) 買付予定数の下限(69,460,100株)は、本基準株式数(104,190,183株)に係る議決権数(1,041,901個)に3分の2を乗じた数(小数点以下を切上げ。694,601個)に当社の単元株式数である100を乗じた数としているとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、当社株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、公開買付者が当社を完全子会社とするため、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載されている一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを予定しているとのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けの決済開始日までに公開買付者親会社から出資を受けるとともに、株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)、三井住友信託銀行株式会社(以下「三井住友信託銀行」といいます。)、野村キャピタル・インベストメント株式会社(以下「野村キャピタル・インベストメント」といいます。)、株式会社横浜銀行(以下「横浜銀行」といいます。)、株式会社あおぞら銀行(以下「あおぞら銀行」といいます。)及び株式会社きらぼし銀行(以下「きらぼし銀行」といいます。)から合計2,580億円を上限として借入れ(以下「本買収ローン」といいます。)を受けることを予定しており、これらの資金をもって、本公開買付けの決済資金等に充当する予定とのことです。なお、本買収ローンにおいては、公開買付者親会社が所有する公開買付者の普通株式及び公開買付者が本取引により取得する当社株式若しくは当社若しくはその子会社の資産の一部について担保が設定され、又は当社若しくはその子会社が連帯保証を提供する可能性があるとのことです。
また、当社は、2025年8月6日付で、公開買付者との間で、本取引に関して公開買付契約(以下「本公開買付契約」といいます。)を締結しております。詳細については、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。
② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
(ア)当社を取り巻く経営環境
当社は、2006年7月、ジャパン・ユニバーサル・ホールディングス・アルファ株式会社として設立された後、CVC Asia Pacific Limitedが助言するファンド及び当時の当社経営陣の出資により実施されたマネジメント・バイアウト(MBO)(注3)に伴い、2012年4月、Promontoria InvestmentsⅠ B.V.(注4)及びプロンプトホールディングス株式会社(注5)より、関係会社の株式及び持株会社としての運営に必要な資産・契約を承継し、商号をテクノプロ・ホールディングス株式会社へ変更しました。その後、2014年12月、東京証券取引所市場第一部に株式を上場、2022年4月、東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第一部からプライム市場へ移行し、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しております。
当社及び連結子会社30社で構成される企業グループ(2025年6月30日現在。以下「当社グループ」といいます。)は、本書提出日現在、機械、電気・電子、組込制御、ソフト開発・保守、生化学、施工管理領域等における技術者派遣・請負業務を主体に、「R&Dアウトソーシング事業」、「施工管理アウトソーシング事業」、「国内その他事業」、「海外事業」のセグメントで事業を展開しており、各事業の概要は、以下のとおりです。
A)R&Dアウトソーシング事業
本事業セグメントは、自動車・自動車部品、産業機械・装置、情報通信機器、電気・電子機器、IT、半導体、エネルギー、医薬品、化学等の業界における大手企業を主な顧客として、機械、電気・電子、組込制御、ITネットワーク、ビジネスアプリケーション、システム保守運用、生化学等の技術領域において、クラウドサービスの導入・運用、ERP(注6)の要件定義や実装、モデルベースシステムズエンジニアリング、データ解析・計測等の技術者派遣及び請負業務を提供しています。
B)施工管理アウトソーシング事業
本事業セグメントは、建設業界、主に大手ゼネコン・サブコンを顧客として、建築・土木・設備電気・プラント領域における施工管理(安全管理、品質管理、工程管理、原価管理等)の技術者派遣業務、建築図面作成の請負業務を提供しています。
C)国内その他事業
本事業セグメントは、人材紹介業務、技術系教育研修業務を提供しています。
D)海外事業
本事業セグメントは、中国にて技術アウトソーシング及び人材紹介業務、東南アジア・インドにて技術者派遣及び受託開発業務(欧米や日本の顧客へのオフショア・デリバリー(注7)を含みます。)、英国にて技術者派遣及び人材紹介業務を提供しています。
当社は、中長期的な外部環境の変化と当社グループのケイパビリティを踏まえ、「技術」「人」「顧客」「社会」の観点から、「『技術』と『人』のチカラでお客さまと価値を共創し、持続可能な社会の実現に貢献する。」という当社グループの存在意義を「テクノプロ・グループ・パーパス」として定めており、この「テクノプロ・グループ・パーパス」の実現を通じて、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させることを経営の基本方針としています。
当社グループの経営戦略の焦点は、いかに魅力的な仕事を採り・創り、有能な技術者を惹きつけるかにあります。そのためには、コア事業である国内技術者派遣業務で培った、大手顧客基盤とのリレーション、IT系技術者の規模、技術者育成システム、多様な技術・産業領域をカバーする技術者群、豊富なオーダーを背景とする採用力といった、従来のケイパビリティとコアコンピタンスだけでは不十分であり、「デジタル技術に対応した人材育成やリスキリング力」「国内の供給制約や雇用形態を超える技術者獲得力」「技術知見の組織的な蓄積と活用力」「顧客課題の発見や解決策提案と実行力」を新たに強化していく必要があります。当社グループは、これらケイパビリティの進化に立脚して、コア事業である技術者派遣業務を常に進化させ、コア事業の「質」をより重視した成長を図るとともに、「多角化」ではなく『進化』を軸とした事業変革を推進し、中長期的な需要と供給の変化、すなわち、デジタル化や(労働力としての役務提供だけでなく)技術課題解決に対する需要の高まりと国内技術者不足・流動性の高まりを先んじてとらえた事業拡大とビジネスモデルの変容を目指しております。
現在の当社グループを取り巻く外部環境に関し、DX推進のための取組みはさまざまな産業で継続的に行われており、デジタル系技術者を中心とした需要は堅調である一方、中長期的には、構造的な技術者不足問題は解消されず、解雇規制が企業の正社員雇用に一定の抑制として働くことによる雇用法制等に起因する国内企業における技術者外部依存は継続する見込みであり、特に、ローコード/ノーコード開発(注8)や生成AI等、常に進化を続けるデジタル技術を自社に取り込むための、IT技術者ニーズはさらに高まると考えています。
上記のとおり、市場環境や経営環境が変化している状況の中で、当社としては、事業モデルをより強固なものとするために、
(a)オペレーションの磨き込み
営業・配属・デリバリー・育成のオペレーションやITシステムのより一層の進化による高単価-高稼働率-高成長及び高賃金の実現、並びに生産性の高いバックオフィスオペレーションの実現
(b)高付加価値領域への進出加速
上記(a)による輩出人材も活用した、より高次な顧客課題解決と技術者のキャリアストリーム構築の実現
(c)規模拡大の追求
外部環境を踏まえ、従前の技術者獲得ルートに加え、技術者派遣事業者の買収やオフショア・デリバリーの拡張による規模の経済の実現
の3点に重点を置いた成長戦略を計画しております。これらの成長戦略の背景にあるのは、①技術者にとって魅力的な成長機会の提供や顧客提供価値の向上を実現するためのソリューション事業の拡大、②優秀な技術者の獲得や技術者の育成支援、オフショアの拡張を実施することによる供給制約の解消、③営業・配属・デリバリー・育成、バックオフィス業務のデジタル化・生産性向上のためのITデジタル化の推進、という当社の3つの経営課題(以下「本経営課題」といいます。)です。
(注3) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が対象者の役員との合意に基づき公開買付けを行うものであって対象者の役員と利益を共通にするものである取引をいいます。
(注4) 「Promontoria InvestmentsⅠ B.V.」は、米国の投資ファンドであるサーベラス・グループと米国投資銀行モルガンスタンレーのコンソーシアムがプロンプトホールディングス株式会社の支援に活用した投資法人です。
(注5) 「プロンプトホールディングス株式会社」は純粋持株会社であり、1995年に株式会社グッドウィルとして設立された後、グッドウィル・グループ株式会社等への商号変更を経て、2012年にプロンプトホールディングス株式会社へと商号変更されています。
(注6) 「ERP」とは、エンタープライズ・リソース・プランニングの略で、企業がもつ経営資源を一元管理し、業務効率化や意思決定の迅速化を実現するシステムをいいます。
(注7) 「オフショア・デリバリー」とは、海外の拠点や外部パートナーを活用して、国内の顧客に対してITサービスやソフトウェア開発などを提供する手法をいいます。
(注8) 「ローコード/ノーコード開発」とは、プログラミングの専門知識が少ない人でもアプリケーションやシステムを開発できる手法をいいます。
(イ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
ブラックストーンは、高い競争力、成長性、付加価値の創出能力を持つ企業に、ブラックストーンの有するグローバルネットワークや各種経営資源を機動的かつ集中的に提供することで、更なる成長を実現いただく、ということを目指しており、当社以外も含めた企業に対する投資機会の模索を目的とした提案活動の中で、新たな投資機会に関して情報交換を行っていたとのことです。上記の提案活動の一環として、2025年1月には当社に対して潜在的な当社株式の非公開化の可能性も含めた予備的提案もしていたとのことです。
こうした中、ブラックストーンは、2025年2月上旬に、当社のファイナンシャル・アドバイザーである大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)より、当社の戦略的選択肢に関する「第一次プロセスに関するご案内」を受領したとのことです。ブラックストーンは、ブラックストーン、公開買付者、公開買付者親会社及び当社(以下、これらを総称して「公開買付関係者等」といいます。)から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして、2025年2月上旬に野村證券株式会社を、2025年2月中旬にゴールドマン・サックス証券株式会社をそれぞれ選任し、公開買付関係者等から独立したリーガル・アドバイザーとして2025年2月中旬にアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業を選任し、本取引に関する本格的な検討を開始したとのことです。
かかる検討を踏まえ、ブラックストーンは本取引に係る第一次入札プロセス(以下「本第一次入札プロセス」といいます。)へ参加することを決定し、2025年2月上旬、公開買付けを通じて当社株式を非公開化することに関する意向、公開買付けにおける買付け等の価格(以下「公開買付価格」といいます。)、ストラクチャー概要等に係る意向表明書(以下「ブラックストーン第一次意向表明書」といいます。)を大和証券に対して提出したとのことです。
その後、ブラックストーンは、2025年3月下旬に、当社により本第一次入札プロセスを通過する複数の候補者(下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、5社です。)のうちの1社として選定され、大和証券より第1.5次入札プロセス(以下「本第1.5次入札プロセス」といいます。)への参加が認められる旨の通知を受け、本第1.5次入札プロセスに参加する機会を得たとのことです。
その後、ブラックストーンは、2025年4月中旬に、公開買付けを通じて当社株式を非公開化することに関する意向、公開買付価格、ストラクチャー概要等に係る意向表明書を大和証券に対して提出したとのことです。
その後、ブラックストーンは、2025年4月下旬に、当社により本第1.5次入札プロセスを通過する複数の候補者(下記「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、4社です。)のうちの1社として選定され、大和証券より第二次入札プロセス(以下「本第二次入札プロセス」といいます。)への参加が認められる旨の通知を受け、本第二次入札プロセスに参加する機会を得たとのことです。
その後、ブラックストーンは、2025年4月下旬から同年6月下旬まで、当社の事業・財務・法務等に関する本格的なデュー・ディリジェンスや当社の経営陣との面談、実務者インタビュー等を通じて、当社の事業計画の前提及び合理性を精査するとともに、ブラックストーンの既存投資先のバリューアップ事例を参考にシナジー施策を議論することで、当社株式の取得に伴うシナジーを検証したとのことです。また、非公開化による資金調達手段の変化や意思決定の迅速化が中長期的な成長に与える影響を比較検討することで非公開化に伴うデメリット等の検証も行い、当社の企業価値算定及び本取引後の協業プランを含む更なる分析と検討を進めたとのことです。
かかる検討の結果、ブラックストーンは、2025年6月26日、2025年4月下旬から6月下旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果を踏まえて、公開買付価格を、4,850円(提案日の前営業日である2025年6月25日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,171円に対して16.28%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値4,063円(円未満を四捨五入しております。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して19.37%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,585円に対して35.29%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,331円に対して45.60%、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)により、当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる2025年5月15日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,389円に対して43.11%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,220円に対して50.62%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,151円に対して53.92%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,037円に対して59.70%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とする旨を含む意向表明書(以下「ブラックストーン第二次意向表明書」といいます。)を大和証券に対して提出したとのことです(なお、ブラックストーンによる価格提案は、当社が2025年6月期に係る期末配当を含め、本取引の完了前に当社において配当が行われないことを前提としているとのことです。以下同じです。)。
その後、ブラックストーンは、当社から、2025年6月30日、本取引の公表時期として当社が想定していた2025年8月6日までを独占交渉期間とする独占交渉権付与に関する通知を受領し、当社との間で、本取引の実施に向けた協議及び検討を開始したとのことです。その後、ブラックストーンは、2025年7月5日、本公開買付契約の案を提出したとのことです。その後、ブラックストーンは、2025年7月10日、当社及び当社の独立社外取締役3名により構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)から、ブラックストーン第二次意向表明書で提示された公開買付価格は、当社のスタンドアローン経営の理論株価及び本取引により実現が期待されるシナジーが必ずしも十分に考慮された水準と評価できないとして、公開買付価格の再考を求められるとともに、本公開買付契約の案に対するマークアップ案を受領したとのことです。
加えて、ブラックストーンは、2025年7月17日、本取引の意義及び目的、公開買付価格を含む本取引の条件並びに本取引後の当社グループの経営方針等について、本特別委員会から、インタビューを受けたとのことです。これに対し、ブラックストーンは、2025年7月18日、公開買付価格の再考の要請を受けて改めて検討した結果、ブラックストーン第二次意向表明書にて真摯に検討した上でベストな価格を提示しており、公開買付価格を4,850円からさらに引き上げることは困難である旨を回答するとともに、同案に対するマークアップ案を提出したとのことです。これに対し、ブラックストーンは、2025年7月25日、当社及び本特別委員会から、同案に対するマークアップ案を受領し、公開買付価格の引上げがない場合には、賛同・応募推奨義務及び取引保護条項を含む本公開買付契約を締結することは難しい認識を示され、再度のマークアップと改めての公開買付価格の再考を求められたとのことです。これに対し、ブラックストーンは、2025年7月29日、公開買付価格を真摯に検討した結果として、4,850円が当社の本源的な価値を反映した価格水準であると考えている一方で、当社の一般株主の利益への配慮から、本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を4,870円(提案日の前営業日である2025年7月28日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,665円に対して4.39%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値4,344円に対して12.11%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値4,028円に対して20.90%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,572円に対して36.34%、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)により、当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる2025年5月15日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,389円に対して43.70%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,220円に対して51.24%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,151円に対して54.55%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,037円に対して60.36%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)に引き上げる提案及び同案に対するマークアップ案を提出したとのことです。その後、ブラックストーンは、同日に、当社及び本特別委員会から、同案に対するマークアップ案を受領し、本公開買付契約を締結すること自体は応諾するが、賛同・応募推奨義務及び取引保護条項を含む内容等及び公開買付価格について改めての再考を求められたとのことです。これに対し、ブラックストーンは、2025年7月31日、本公開買付価格は、既に当社の企業価値を十分に反映させた当社の株主の皆様にとっても魅力的な価格であると考えており、前回の提案価格から変更はない旨を回答するとともに、賛同・応募推奨義務及び取引保護条項を含む同案に対するマークアップ案を再度提出したとのことです。これに対し、当社及び本特別委員会は、同日、同案に対するマークアップ案を提出し、また、ブラックストーンは、2025年8月1日、同案に対するマークアップ案を再度提出しました。その後、ブラックストーンは、同日、当社及び本特別委員会から、本公開買付価格及び賛同・応募推奨義務及び取引保護条項を含む本公開買付契約のマークアップ案を応諾する旨の回答を受領したとのことです。
かかる当社との協議及び検討の結果、公開買付者は、2025年8月6日、本公開買付けを実施することを決定し、本公開買付価格を4,870円、本米国預託株式が表章する当社株式1株当たりの公開買付価格を4,870円とし、本取引の一環として本公開買付けを開始することを決定したとのことです。また、足元の当社株式の市場価格は、株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後、及び2025年7月23日の立会時間終了後)を契機とした非公開化への期待感によって高止まりしている可能性があると考えられるところ、本公開買付価格は、当該憶測報道により当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる2025年5月15日を基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値3,389円に対して43.70%、直近1ヶ月間の終値単純平均値3,220円に対して51.24%、直近3ヶ月間の終値単純平均値3,151円に対して54.55%、直近6ヶ月間の終値単純平均値3,037円に対して60.36%のプレミアムをそれぞれ加えたものであり、当該プレミアム水準は同種事例と遜色ない水準にあり、当社の企業価値を十分に反映させた当社の株主の皆様にとっても魅力的な価格であると考えられるものの、当該足元の当社株式の市場価格の状況も踏まえ、公開買付者は、当社との間で、2025年8月6日、賛同・応募推奨義務のうち、応募推奨については、応募するか否かについて中立の立場をとる旨の内容に変更した上で本公開買付契約の内容について合意に至り、当社との間で、本公開買付契約を締結したとのことです。
(ⅱ)本公開買付け後の経営方針
ブラックストーンは、高い競争力、成長性、付加価値の創出能力を持つ企業に、ブラックストーンの有するグローバルネットワークや各種経営資源を機動的かつ集中的に提供することで、更なる成長を実現いただくことを目指しており、公開買付者は、本取引を実行して当社を完全子会社化した後は、当社に対して、ブラックストーンがこれまでに蓄積してきた投資先に対するバリューアップの知見、ネットワーク、資金等を提供し、当社の全事業の潜在的価値の最大化を実現するための施策を推進していく予定とのことです。当社のR&Dアウトソーシング事業は、高度に差別化された技術者を擁する点で顧客との信頼関係及び技術者採用市場における魅力度に大きくポジティブな影響をもたらしていることから、当社の成長を牽引してきたと認識しているとのことです。一方で、技術者の新規供給が限定的な状況が深刻化することにより、技術者数の増加に起因した市場の成長が過去対比で限定的となり、結果として市場成長率が鈍化するリスクや、生成AIの急激な進展を踏まえると、ソリューション事業の拡大、供給制約の解消、ITデジタル化の推進が中長期的な成長を実現するために必要であると認識しているとのことです。ブラックストーンは既存投資先であるインドのSIerとの協創を含めたノウハウ・ネットワークの活用、M&Aやアライアンスの支援、AI活用による事業モデルの革新、大胆なDX投資による業務生産性向上、更なる人材投資等を通じて、当社の事業成長を加速するためのサポートをする予定しているとのことです。
施工管理アウトソーシング事業、国内その他事業及び海外事業については、R&Dアウトソーシング事業との更なるシナジーの創出や、ブラックストーンのグローバル投資先のIT予算の振り向けを通じた海外子会社の更なる事業成長等において、必要な資金支援や実行支援を提供する予定とのことです。
また、ブラックストーンは、本取引の実行後も、現在の当社の従業員に継続して従事いただくことを想定しており、日常の事業運営の体制について、特段変更は予定しておらず、当社の従業員のリテンション及びモチベーション維持のための施策の実施を予定しているとのことです。
ブラックストーンは、当社の経営陣が引き続き、事業運営に際して主導的な役割を果たすことを想定しているとのことですが、事業の成長のために必要な追加の経営人財の採用については、今後当社と協議の上で決定する予定とのことです。また、当社の中長期の成長を株主として支援することを目的に、ブラックストーンから取締役を派遣するとともに、ブラックストーンのネットワークを活用し外部より取締役を数名指名する予定とのことです。その他の当社の経営体制、経営方針等については本書提出日現在で想定しているものはなく、本公開買付け成立後に、ブラックストーン及び当社の間で協議・検討していくとのことです。
ブラックストーンとしては、ブラックストーンが国内外で有するネットワーク及び各種経営支援リソースを結集し、当社グループの成長を支援する予定とのことです。
なお、ブラックストーンは、本取引を通じて当社の事業成長及び企業価値の向上が実現した後は、当社株式の再上場を行うことを基本方針としているとのことです。
③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ)検討体制の構築の経緯
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」の「(ア)当社を取り巻く経営環境」に記載のとおり、中長期的な観点から、持続的に成長し、当社の企業価値を最大化する施策についての検討を継続的に行ってまいりました。
このような状況の中、当社は、2024年11月22日付で、当社のパートナー候補の事業会社(以下「X社」といいます。なお、当該会社はブラックストーンではありません。)から、公開買付けにおける買付け等の価格を3,350円とする当社株式に対する公開買付けを含む、当社を当該パートナー候補の完全子会社とするための一連の取引に係る買収提案(以下「X社提案」といいます。)を、書面により受領しました。X社提案には一定程度の具体性、目的の正当性及び実現可能性が認められたことから、当社は、2024年11月28日開催の当社取締役会にて討議の上、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針」(以下「企業買収行動指針」といいます。)に則り、当社の企業価値の向上及び株主利益の確保の観点から、X社提案及び当社の上場維持を前提としたスタンドアローン経営を含む戦略的選択肢の比較検討を行うプロセス(以下「本件プロセス」といいます。)を開始することとし、X社提案に係る取引の公正性を担保するとともに本件プロセスの対応を行うべく、2024年12月4日、当社取締役会において、X社及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、次いで、2025年1月14日、当社取締役会において、X社及び当社から独立した当社のファイナンシャル・アドバイザーとして、大和証券を選任しました。
また、当社が本件プロセスを検討するにあたり、X社提案はマネジメント・バイアウトや支配株主による従属会社の買収には該当しない独立当事者間の取引に係るものではあるものの、公開買付け成立後のスクイーズアウト手続(いわゆる二段階買収)を通じた当社株式の非公開化を伴うことが想定されており、X社は、公開買付けの成立後に当社の支配株主に該当することとなる可能性がありました。その場合、公開買付け成立後のスクイーズアウト手続は、当社にとって、東京証券取引所の規則が定める「支配株主との重要な取引等」に該当し、当社は、これらの手続に係る意思決定にあたり、支配株主との間に利害関係を有しない者から、当該決定が「少数株主にとって不利益なものでないこと」に関する意見を入手する必要があることから、X社提案に関する当社の意思決定の恣意性を排除し、当社の企業価値の向上及び株主利益の確保のために当社が採り得る戦略的選択肢について検討し、その上で、取引の是非や取引条件の妥当性及び手続の公正性等について検討及び判断を行うことを目的として、X社及び当社並びにX社提案に係る取引の成否から独立した立場でX社提案に係る取引及び本件プロセスについて検討及び交渉等を行うことができる体制の構築を開始しました。具体的には、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、2024年11月下旬より、本特別委員会の設置に向けて準備を進めました。その上で、当社は、2024年12月4日、当社取締役会における決議により、当社及びX社からの独立性を有し、特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスが確保された上で、機動的に運営・検討を行うことができる特別委員会を構成するべく、財務・会計・管理に関する知見に加え、他の大手企業における経営者としての経験を有する髙尾光俊氏(当社独立社外取締役)、企業買収等を専門とする弁護士として高度な法的専門性を有する山田和彦氏(当社独立社外取締役、中村・角田・松本法律事務所 弁護士)及び大手総合商社での財務・会計・税務等幅広い業務経験に加え、他の上場会社での経営者としての経験を有する出口雅敏氏(当社独立社外取締役、監査等委員)の3名から構成される本特別委員会(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本特別委員会に対し、(ⅰ)X社提案に係る取引の目的の正当性・合理性(X社提案に係る取引が当社の企業価値向上に資するか否かを含む。)、(ⅱ)X社提案に係る取引の取引条件の妥当性(X社提案に係る取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)、(ⅲ)X社提案に係る取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)、(ⅳ)X社提案に係る取引(X社提案に係る取引において公開買付けが実施される場合、当該公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)が当社の少数株主にとって不利益でないか否か、(ⅴ)X社提案に係る取引において公開買付けが実施される場合において、(ⅰ)乃至(ⅳ)を踏まえて、当社取締役会が、当該公開買付けについて賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して当該公開買付けへの応募を推奨することの是非、(ⅵ)その他、特別委員会設置の趣旨に鑑み、X社提案に係る取引に関し、当社取締役会又は当社代表取締役が必要と認めて諮問する事項(以下これらを総称して「当初諮問事項」といいます。)について諮問しました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、X社提案に係る取引に関する当社取締役会の意思決定は、本特別委員会の意見を最大限尊重して行うものとすることを決議するとともに、本特別委員会に対し、(ⅰ)特別委員会の法務アドバイザーや財務アドバイザー・第三者評価機関(以下「アドバイザー等」といいます。)を選任し、又は当社のアドバイザー等を指名し若しくは承認(事後承認を含む。)することができること(なお、特別委員会は、当社のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がないなど、特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができます。また、特別委員会のアドバイザー等の専門的助言に係る合理的費用は、当社の負担となります。)、(ⅱ)X社提案に係る取引に関係する当社の役員若しくは従業員又はX社提案に係る取引に係る当社のアドバイザー等に対して、特別委員会への出席を要求し、必要な事項について説明を求めることができること、(ⅲ)特別委員会は、当社に対し、①特別委員会としての提案その他の意見又は質問をX社に伝達すること、並びに②特別委員会自らX社と協議・交渉する機会の設定を要望することができ、また、特別委員会が当該②の機会の設定を要望しない場合であっても、当社は、X社と協議・交渉を行った場合にはその内容を速やかに特別委員会に報告し、特別委員会は、当該内容を踏まえ、X社との協議・交渉の方針について、当社に対して意見を述べ、また、必要な指示・要請を行うことができること、(ⅳ)議事運営上の便宜の観点から、特別委員会に当社の役員若しくは従業員又はX社提案に係る取引に係る当社のアドバイザー等が陪席する場合であっても、特別委員会は、当該陪席者に対し、適宜、退席を求めることができること及び(ⅴ)特別委員会の職務の遂行のため、必要と認めるときは、当社に対して、特別委員会の職務を補助する使用人(以下「補助使用人」といいます。)の選任を求めることができ、補助使用人が選任された場合、①当該補助使用人は、特別委員会に係る職務を他の職務に優先させ、②特別委員会に係る職務に関しては特別委員会の指揮命令のみを受け、かつ、③補助使用人としての職務に関して、特別委員会に対し、秘密保持義務を負うものとすることを決議しました。
その後、2024年12月18日付で、当社は、別のパートナー候補(以下「Y社」といいます。なお、当該会社はブラックストーンではありません。)から新たに当社株式に対する公開買付けを含む、当社株式を非公開化するための一連の取引に係る買収提案(以下「Y社提案」といいます。)を受領したことを受け、本件プロセスにおいては、X社及びY社並びにその他当社に関心を示していると考えられる者から比較検討可能な材料を収集し、もって各パートナー候補からの戦略的提案及びスタンドアローン経営を含む戦略的選択肢の比較検討を行うこととし、これに伴い、2024年12月26日付で、本特別委員会に対する諮問事項を、当初諮問事項から、X社提案、Y社提案、その他これらの提案と競合する提案を受領した場合には当該提案及び当社の上場維持を前提としたスタンドアローン経営のうち、いずれを選択するかに係る当社の判断が不合理でないか否か、並びに、当社がX社、Y社その他これらの提案と競合する提案を選択する場合には、選択された取引について当初諮問事項の(ⅰ)乃至(ⅵ)の事項の諮問を求める内容の諮問事項(以下「本諮問事項」といいます。)に変更を行いました。
また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会において、大和証券及びTMI総合法律事務所について、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、それぞれ、当社のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関、リーガル・アドバイザーとして承認を受けております。また、本特別委員会は、上記の権限に基づき、2025年3月13日、本特別委員会独自のリーガル・アドバイザーとして、森・濱田松本法律事務所外国法共同事業を、本特別委員会独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)を選任いたしました。
(ⅱ)検討・交渉の経緯
当社は、上記「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、2024年11月22日付で、X社から、X社提案を受領したことを契機として、企業買収行動指針に則り、当社の企業価値向上及び株主利益の確保の観点から、X社提案及び当社の上場維持を前提としたスタンドアローン経営を含む戦略的選択肢の比較検討を行う本件プロセスを開始し、また、その後、2024年12月18日付で、Y社提案を受領したこと、加えて、2025年1月15日に、別のパートナー候補(以下「Z社」といいます。なお、当該会社はブラックストーンではありません。)から新たに当社株式に対する公開買付けを含む、当社株式を非公開化するための一連の取引に係る買収提案を受けたことを踏まえ、2025年1月16日以降、当社に関心を示していると考えられる、X社、Y社及びZ社(事業会社1社及びプライベート・エクイティ・ファンド2社)に対して、当社に対して関心を寄せた背景及び目的、想定取引ストラクチャー、取引の経済条件、取引実施後の経営方針、並びに取引の対価の支払に係る資金調達方法等について記載した初期的意向表明書を提出するよう求める本第一次入札プロセスを実施する旨の案内を行い、その結果、同年1月31日に、X社、Y社及びZ社から法的拘束力のない初期的意向表明書(以下「第一次意向表明書」といいます。)を受領し、同年2月10日に、本第一次入札プロセスには参加していなかったブラックストーンからブラックストーン第一次意向表明書を受領いたしました。また、同年2月28日に、本第一次入札プロセスの案内を実施していないパートナー候補(なお、当該会社はブラックストーンではありません。)から、当社株式の非公開化を含む一定程度の具体性・目的の正当性・実現可能性がある戦略的提案を受領しました。その後、当社は、第一次意向表明書、ブラックストーン第一次意向表明書及び当該戦略的提案の内容について当社の企業価値向上及び株主利益の確保の観点から慎重に検討を行うとともに、スタンドアローン経営との比較を含む複数の戦略的選択肢の検討を行い、同年3月31日以降、事業会社1社及びブラックストーンを含むプライベート・エクイティ・ファンド4社の各パートナー候補に対して、当社に対して関心を寄せた背景及び目的、想定取引ストラクチャー、取引の経済条件、取引実施後の経営方針、並びに取引の対価の支払に係る資金調達方法等について記載した法的拘束力のない意向表明書(以下「第1.5次意向表明書」といいます。)を提出するよう求める本第1.5次入札プロセスを実施する旨の案内を行い、当社の2025年6月期から2029年6月期までの5期分の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)の各パートナー候補に対する開示及び説明、並びに各パートナー候補による当社へのマネジメントインタビューを実施し、その結果、同年4月21日に、ブラックストーンを含む5社のパートナー候補から第1.5次意向表明書を受領しました。その後、当社は、第1.5次意向表明書の内容について当社の企業価値向上及び株主利益の確保の観点から慎重に検討を行うとともに、スタンドアローン経営との比較を含む複数の戦略的選択肢の検討を行い、事業会社1社及びブラックストーンを含むプライベート・エクイティ・ファンド3社のパートナー候補に対して、同年4月25日以降、法的拘束力のある最終提案書(以下「第二次意向表明書」といいます。)の提出等を求める本第二次入札プロセスを開始し、当該4社のパートナー候補は、当社グループに対する事業、財務・税務及び法務等に関する本格的なデュー・ディリジェンスや当社の経営陣との面談、実務者インタビュー等を実施しました。そして、同年6月26日に、ブラックストーンを含むプライベート・エクイティ・ファンド2社から、上記デュー・ディリジェンスや面談等の結果等を踏まえた、法的拘束力のある第二次意向表明書を受領しました。ブラックストーンからは、公開買付価格を、4,850円(提案日の前営業日である2025年6月25日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,171円に対して16.28%、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)により、当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる2025年5月15日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,389円に対して43.11%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)とすることを含んだブラックストーン第二次意向表明書を受領いたしました。なお、X社からは第二次意向表明書の提出がなされず、第1.5次意向表明書にて最も高い価格を提示していたY社からは、法的拘束力のある価格を記載した提案を受領できませんでした。またZ社が第二次意向表明書で提示した価格は、ブラックストーンがブラックストーン第二次意向表明書で提示した価格を大幅に下回るものでした。その後、当社は、第二次意向表明書の内容について当社の企業価値向上及び株主利益の確保の観点から慎重に検討を行うとともに、スタンドアローン経営との比較を含む複数の戦略的選択肢の検討を行った結果、ブラックストーンの本経営課題への提供可能なリソース及びサポート方針等を含む本取引実施後の事業戦略の方向性が当社の企業価値の向上に繋がると評価できたこと、ブラックストーンから提示された公開買付価格が本第二次入札プロセスに参加した他のパートナー候補から提示された公開買付価格を大幅に上回るものであり、当社の株主利益の確保に繋がると評価できたこと等を含めて総合的に判断し、ブラックストーンを最終候補者として選定し、ブラックストーンと優先的に交渉を行い、同社との間での速やかな本取引の公表を目指すことが当社の企業価値の向上及び株主利益の確保に資すると考えたことから、当社はブラックストーンに対し、同月30日、本取引の公表時期として当社が想定していた同年8月6日までを独占交渉期間とする独占交渉権を付与いたしました。その後、同年7月5日、ブラックストーンは、本公開買付契約の案を提出しました。これに対し、同年7月10日、当社及び本特別委員会は、ブラックストーン第二次意向表明書で提示された公開買付価格は、本事業計画を踏まえた当社のスタンドアローン経営の理論株価及び本取引により実現が期待されるシナジーが必ずしも十分に考慮された水準と評価できないため、公開買付価格の再考を求め、本公開買付契約の案に対するマークアップ案を提出しました。加えて、本特別委員会は、同月17日に、ブラックストーンへのインタビューを実施し、ブラックストーンに対して、本取引の意義及び目的、公開買付価格を含む本取引の条件並びに本取引後の当社グループの経営方針等を確認しました。これに対し、同月18日、ブラックストーンは、当社に対し、当社及び本特別委員会から公開買付価格の再考の要請を受けて改めて検討した結果、ブラックストーンとしてはブラックストーン第二次意向表明書にて真摯に検討した上でベストな価格を提示しており、公開買付価格を4,850円からさらに引き上げることは困難である旨を回答するとともに、同案に対するマークアップ案を提出しました。これに対し、同月25日、当社及び本特別委員会は、同案に対するマークアップ案を提出し、公開買付価格の引上げがない場合には、賛同・応募推奨義務及び取引保護条項を含む本公開買付契約を締結することは難しい認識を示し、再度のマークアップと改めての公開買付価格の再考を求めました。これに対し、同月29日、ブラックストーンは、公開買付価格を真摯に検討した結果として、4,850円が当社の本源的な価値を反映した価格水準であると考えている一方で、当社の一般株主の利益への配慮から、本公開買付価格を4,870円(提案日の前営業日である2025年7月28日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,665円に対して4.39%、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)により、当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる2025年5月15日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,389円に対して43.70%のプレミアムをそれぞれ加えた価格)に引き上げる提案を含む同案に対するマークアップ案を提出しました。これに対し、同月29日、当社及び本特別委員会は、同案に対するマークアップ案を提出し、本公開買付契約を締結すること自体は応諾するが、賛同・応募推奨義務及び取引保護条項を含む内容等及び公開買付価格について改めての再考を求めました。これに対し、同月31日、ブラックストーンは、本公開買付価格は、既に当社の企業価値を十分に反映させた当社の株主の皆様にとっても魅力的な価格であると考えており、前回の提案価格から変更はない旨を回答するとともに、賛同・応募推奨義務及び取引保護条項を含む同案に対するマークアップ案を再度提出しました。これに対し、当社及び本特別委員会は、同日、同案に対するマークアップ案を提出し、また、ブラックストーンは、2025年8月1日、同案に対するマークアップ案を再度提出しました。その後、当社及び本特別委員会は、本公開買付価格及び賛同・応募推奨義務及び取引保護条項を含む本公開買付契約のマークアップ案を応諾する旨の回答をしました。
そして、当社は、2025年8月6日、本特別委員会から、(ⅰ)公開買付者による提案を選択した当社の判断は不合理ではないことが認められる旨、(ⅱ)本取引の目的には正当性・合理性が認められ、本取引は当社の企業価値向上に資すると認められる旨、(ⅲ)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法(本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、本スクイーズアウト手続を実施するという方法)や対価の種類の妥当性を含みます。)が認められる旨、(ⅳ)本取引の手続には公正性が認められる旨、(ⅴ)本取引が当社の少数株主にとって不利益でないことが認められる旨、(ⅵ)(ⅱ)~(ⅴ)を踏まえて、当社取締役会が、①本公開買付けについて賛同意見を表明すること及び②当社の株主に対して公開買付けに応募するか否かについては当社の株主の判断に委ねることが、それぞれ相当である旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております。(本答申書の概要については、「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)
なお、当社は、2025年8月6日までに、本第二次入札プロセスに参加したブラックストーン以外のパートナー候補のいずれからも、本件プロセスにおいて各パートナー候補及びそのアドバイザー、レンダーその他開示先が受領した当社に関する秘密情報の破棄を完了したことを確認しております。
(ⅲ)判断内容
以上の経緯のもとで、当社は、2025年8月6日開催の当社取締役会において、TMI総合法律事務所から受けた法的助言、大和証券から受けた財務的見地からの助言及び2025年8月5日付で取得した当社株式の株式価値に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(大和証券)」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から2025年8月6日付で取得した本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議を行いました。その結果、当社は、本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。当社が本取引によって実現可能と考える具体的なシナジーは、以下のとおりです。
① ソリューション拡大と価格最適化
当社は、ソリューション事業(派遣契約だけでなく請負・準委任契約による、当社が重視する要素技術を活かした、顧客課題を解決するサービスを提供する事業)の拡大により、当社の技術者の売上単価を向上させ、それを技術者に還元させることを志向しています。これらを実現するには、提案営業担当者やプロジェクトマネジャー等の当社グループの人材の拡充や営業・デリバリープロセスの高度化に加えて、ソリューション事業を担う高付加価値組織の強化・拡大(有能なソリューション経営人材の獲得、当社グループの組織再編、ブランディングを含みます。)が必要と考えています。さらには、非連続的成長に向けて、M&A投資を促進することが鍵となります。当社が志向するソリューション事業の大宗を占めるITサービスはブラックストーンの注力投資領域の一つであり、ブラックストーンはMicrosoft、AWS、SAP、アクセンチュアといったメジャープレイヤーとのビジネスネットワークやITサービス業界での経営リソース、国内外の投資先での経営改善ノウハウ、M&A投資におけるソーシングからPMIまでの支援体制を豊富に有しています。特に、ブラックストーンは、M&A投資については、予算制約を取り払う大胆な資金投下(1,000億円超のM&A投資額も想定)によりソリューション事業強化を進める方針です。これらブラックストーンの能力・資産を梃に、ソリューション拡大と価格最適化を加速いたします。
② AI武装化
AIの急速な進展は、当社の技術者派遣業務にとって中長期的に大きな脅威である一方、大きな機会でもあると考えています。特に、開発・テスト工程や運用保守工程の生成AIによる効率化は、顧客の技術者派遣業務に求める工数を劇的に削減する可能性を秘めています。したがって、短期的には、AIツールを活用できる技術者を先行的に育成することで生産性を向上し、中期的には技術者派遣のサービスモデル自体を再定義し、生産性向上による付加価値を当社側に取り込むことが肝要となります。ブラックストーンは、グローバルなAIチームを有しており、AI製品・プラットフォーム・コンサルタントとのパートナーシップを構築しています。また、数多くのポートフォリオ企業において生成AI導入の支援実績があります。これらのブラックストーンのノウハウやネットワークを当社に注入することで、当社グループの技術者及びサービスモデルのAI武装化を推進いたします。
③ デジタル化の推進
当社グループの営業・配属・デリバリー、育成・採用及びバックオフィス業務の各領域において、デジタル化による最適化の余地が数多く存在します。営業・配属・デリバリー業務においては、より高い売上単価・稼働率・技術者満足度を実現する当社グループの横断的なオペレーションの磨き込み、育成・採用業務においては、技術者のスキル・経験情報を活用した育成・価格設定の最適化や採用プロセスのデジタル運用による生産性向上、バックオフィス業務においては、規模効果を活かすための請求・勤怠管理・契約プロセスの標準化と集約化等、デジタル化が解決手段となる課題が存在します。ブラックストーンは、100億円超の当社へのデジタル投資に加えて、投資先支援チーム・データサイエンスチームによるハンズオンでの支援を想定しています。また、国内投資先においても営業活動の可視化、採用活動の最適化、間接業務の効率化といったデジタル化による生産性向上の実績があります。当社グループのデジタル化チームとブラックストーンが協働することにより、デジタル化のスピードと実行力を格段に向上させることを企図しています。
④ インドSIerとの共創
当社グループの規模拡大を図る上で、国内技術者採用市場の逼迫や技術者流動性の高まりは、対処すべき技術者派遣業界の課題です。これに対して、通常の採用活動の強化や採用代替的なM&Aに加えて、技術者を豊富に抱え、また採用潜在力が高い、当社グループのRobosoft Technologies, Private. Limited.も営むインド事業の日本国内オフショアリングへの活用が解決策の方向性と考えています。一方で、ブラックストーンにおいては、投資先であるインドのSIer2社(IT・製造業向けの業務・組込系ソフト開発を主要事業とするR Systemsと、銀行・証券・保険等の金融機関向けシステム開発を主要事業とするMphasisを指します。)を活用した、オフショアリングの加速による売上成長の後押しという投資テーマが従前より存在します。ブラックストーンと当社グループが共同で、上流からのソリューション・デリバリーに加えて、日本国内からのオフショアリングによる技術者及び先端的技術の供給力を高めることは、上記の課題解決を推進するものと想定しています。
⑤ 役職員のモチベーション向上
上記シナジーをスピーディーに実現する上で必要になるのは、当社グループの役職員の経営参画へのモチベーション向上になります。ブラックストーンは、当社の業績及び企業価値の成長に見合ったインセンティブ・プラン(ストック・オプション等)を、上場を維持する場合には実現困難な規模で活用する方針であり、当社経営陣・従業員のモチベーション向上や離職率低減に加えて、ソリューション事業やオフショアリングで必要な人財獲得や買収対象企業の経営陣へのストック・オプション付与等による当社によるM&Aの円滑化を実現することを予定しており、当社の成長戦略を後押しするものと考えています。
一方で、当社は、本取引を実施することによるデメリットについても検討いたしました。本取引の実施による株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを享受できなくなることが挙げられます。しかしながら、資金調達の面では、エクイティ・ファイナンスによる資金調達については、当社の現在の財務状況及び昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、自己資金及び金融機関からの借入れによって資金を確保することが可能であり、少なくとも当面の間その必要性は高くなく、また、知名度や社会的信用の向上についても、真摯な事業遂行により実現することが可能なものであることからすれば、当社における株式の非公開化に伴うデメリットは限定的と考えており、本取引によって生じるメリットはそのデメリットを上回ると考えております。
また、スタンドアローン経営との比較では、当社はスタンドアローン経営においてもテクノプロ・グループ・パーパスである「『技術』と『人』のチカラでお客さまと価値を共創し、持続可能な社会の実現に貢献する。」を実現でき、本経営課題の解決に向けた取り組みを進めることはできると考えているものの、グローバルで豊富な成長支援実績を有するブラックストーンとともに本取引を進めることが、技術者派遣業務をより生産性が高いサービスモデルに変革するためのAIツール・育成投資といった、外部環境変化による脅威を機会に変えるための大胆な先行投資を可能とし、成長モデルのトランスフォーメーション加速による中長期的企業価値の最大化、ひいてはテクノプロ・グループ・パーパスのより発展的な実現に資する最良の選択であると考えております。
ブラックストーンは、当社の中長期的企業価値の最大化を実現する上で下記の方針を掲げており、これは、共に成長モデルのトランスフォーメーションを進める上での礎になると考えております。
① テクノプロファースト:当社を主語とし、当社自体の売上・利益成長を最優先とする
② 事業成長第一主義:当社の成長最大化に向けた大胆な投資を全面的に支援する
③ パートナーシップ哲学:全ステークホルダーを“パートナー”として尊重し、それぞれにとって「共に働きたい」会社を目指す
また、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件については、(a)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 本件プロセスの実施」に記載されている本件プロセスの実施を経て得られたものであり、当社は、複数のパートナー候補から、当社の企業価値向上に向けた提案を受ける機会を確保したところ、ブラックストーンが提示した提案と比べて、当社の株主の皆様にとって有利な条件を提示する候補先は存在しなかったこと、(b)本取引の条件の形成過程においては、本件プロセスを通じた交渉・協議の結果として、本公開買付価格については、少数株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指して合理的な努力が行われたこと、(c)本公開買付価格については、下記「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている本株式価値算定書(大和証券)のうち、(ⅰ)市場株価法(基準日1)に基づく算定結果の上限を上回るものであり、(ⅱ)類似会社比較法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、(ⅲ)ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの中央値を上回る金額であること、(d)本公開買付価格については、下記「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている本株式価値算定書(プルータス)のうち、(ⅰ)市場株価法(基準日1)に基づく算定結果の上限を上回るものであり、(ⅱ)類似会社比較法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、(ⅲ)DCF法に基づく算定結果のレンジの上限を上回る金額であること、(e)本公開買付価格は、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)により、当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる2025年5月15日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値3,389円に対して43.70%、直近1ヶ月間の終値単純平均値3,220円に対して51.24%、直近3ヶ月間の終値単純平均値3,151円に対して54.55%、直近6ヶ月間の終値単純平均値3,037円に対して60.36%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっており、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」(以下「公正M&A指針」といいます。)を公表した2019年6月28日以降2025年6月30日までに公表された日本国内における公開買付け案件のうち、取引前の買付者及び特別関係者の議決権の合計が5%未満の非公開化案件(ただし、公開買付けが不成立となった事例、マネジメント・バイアウト(MBO)の事例、公開買付価格のプレミアムが公表日の前営業日の終値に対してマイナスとなる公開買付け(いわゆるディスカウントTOB)の事例を除く)におけるプレミアムの実例63件におけるプレミアム水準の中央値は、公表日の前営業日の終値に対して42.68%、公表前営業日から過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.59%、公表前営業日から過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して45.81%、公表前営業日から過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して53.33%となっており、本公開買付価格のプレミアム水準は、同種事例と遜色ない水準にあるものと認められること、(f)日本国の居住者である公開買付者が米国外で実施される本公開買付けにおいて本米国預託株式の取得を行うにあたり、実務上、公開買付代理人としてその取扱いを行うことができる金融商品取引業者等が存在しないため、本公開買付けにおいて公開買付者が本米国預託株式自体の取得を行うことは困難であること、また、本米国預託証券が表章する本米国預託株式に係る当社株式1株当たりの買付け等の価格は、本公開買付価格と同額に設定されていることからすれば、本米国預託証券及び本米国預託株式の取扱いや本米国預託証券が表章する本米国預託株式に係る当社株式1株当たりの買付け等の価格について不合理な点はないこと、(g)本取引の対価の種類については、公開買付者が、本取引のために設立された非上場会社であることを踏まえると、対価を公開買付者の株式とすることは考えられず、対価を現金とすることについて合理性が認められること、(h)公開買付期間について、公開買付期間を法定の最短期間である20営業日より長期の32営業日とすることにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会が確保されているといえること等を踏まえ、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は妥当であると判断いたしました。
他方で、本公開買付価格は、昨日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,977円に対してディスカウント(-2.15%)となる金額となっております。足許の当社株式の市場価格は、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後、及び2025年7月23日の立会時間終了後)を契機とした非公開化への期待感によって高止まりしている可能性があると考えられる一方、本公開買付価格は、上記(e)のとおり、本件と類似する直近の事例に照らし、当社株式の市場価格がかかる憶測報道の影響を受けていないと考えられる2025年5月15日を算定基準日とした本公開買付価格のプレミアム水準は、同種事例と遜色ない水準にあるものと認められるといえ、当社株式の本源的価値が相応に反映されていると考えられることから、必ずしも当社の株主の皆様にとって不利益な価格ではないとの見方も可能と考えておりますが、当社としては、本公開買付けに応募することを推奨することの是非については中立の立場をとった上で、(ⅰ)当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否か、(ⅱ)本米国預託株式の保有者の皆様が事前に本米国預託株式を本預託銀行に引き渡し、本米国預託株式に表章されていた当社株式の交付を受けた上で、本公開買付けに応募するか否かについては最終的に当社の株主及び本米国預託株式の保有者の皆様の判断に委ねるのが相当であるとの判断に至りました。また、かかる当社株式の市場価格の状況を踏まえ、当社は、公開買付者との間で、2025年8月6日、本公開買付契約における賛同・応募推奨義務のうち、応募推奨については、応募するか否かについて中立の立場をとる旨の内容に変更した上で本公開買付契約の内容について合意に至り、公開買付者との間で、本公開買付契約を締結いたしました(本公開買付契約の概要については、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。)。
以上より、当社は、2025年8月6開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、(ⅰ)当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否か、(ⅱ)本米国預託株式の保有者の皆様が事前に本米国預託株式を本預託銀行に引き渡し、本米国預託株式に表章されていた当社株式の交付を受けた上で、本公開買付けに応募するか否かについて、それぞれ中立の立場をとり、当社の株主及び本米国預託株式の保有者の皆様の判断に委ねる旨の決議をいたしました。
なお、上記当社取締役会における決議の方法は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含みます。)の承認」をご参照ください。
なお、当社は、ブラックストーンに独占交渉権を付与した2025年6月30日に、ブラックストーンを除く各パートナー候補に対して、本件プロセスにおいて落選した旨を通知したところ、法的拘束力を有する同年6月26日付の第二次意向表明書の提出を既に完了していたZ社から、同年7月1日に、改めて本取引に係る法的拘束力を有する同年6月30日付の提案書(以下、当該提案書における提案を「2025年6月30日付Z社提案」といいます。)を受領しました。これを受けて、当社は、Z社に対して、2025年7月10日に、(ⅰ)当社が本件プロセスに則り各パートナー候補からの第二次意向表明書を比較検討し、企業価値の向上のみならず、株主利益の確保の観点も踏まえた上で、Z社の第二次意向表明書における提案より優れた提案を行った候補者を最終候補者として選定していること及び(ⅱ)上記のとおり当社が本件プロセスを通じて選定した最終候補者に対して独占交渉権を一定期間付与しており、当該独占交渉権に係る独占交渉期間中は他社との間で本取引に関する検討・交渉を行うことはできない立場にあること等を通知しました。
その後、当社は、2025年7月15日に、再度Z社から本取引に係る法的拘束力を有する同月14日付けの提案書(以下、当該提案書における提案を「2025年7月14日付Z社提案」といいます。)を受領しました。しかしながら、ブラックストーン第二次意向表明書において提示された公開買付価格4,850円は、2025年6月30日付Z社提案及び2025年7月14日付Z社提案において提示された公開買付価格を大きく上回っており、また、ブラックストーンの提案の方が、本経営課題の解決等を踏まえた当社の企業価値の向上の観点でもZ社による提案よりも優れていたことから、当社の株主利益の確保及び企業価値の向上の観点から、ブラックストーンによる提案は、Z社による提案よりも、引き続き優れていると判断しました。加えて、本特別委員会から提出を受けた本答申書においても、Z社から2025年6月30日付Z社提案書及び2025年7月14日付Z社提案書が提出されていたとしても、ブラックストーンによる提案を選択する判断は合理的である旨の意見が記載されていること(本答申書の概要については、「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)等を踏まえると、当社の企業価値の向上及び株主利益の確保の観点から、ブラックストーンの提案が最終的にも最善の提案であると判断いたしました。
(3)算定に関する事項
① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、ブラックストーンから提示された本公開買付価格を検討し、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公正性を担保するための措置として、当社及び公開買付者を含むパートナー候補から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券から、2025年8月5日付で本株式価値算定書(大和証券)を取得いたしました。なお、大和証券は当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、本取引に際して実施されている本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、大和証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
なお、本取引に係る大和証券の報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により大和証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しました。
(ⅱ)算定の概要
大和証券は、複数の算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており市場株価が存在することから市場株価法を、当社と比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社との比較による当社の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法を算定手法として用いて、当社株式の価値算定を行いました。大和証券が上記各手法に基づいて算定した当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法(基準日1) 3,037円~3,389円
市場株価法(基準日2) 3,662円~4,977円
類似会社比較法 2,815円~3,501円
DCF法 3,773円~5,204円
市場株価法では、①当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)により、当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる2025年5月15日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値3,389円、直近1ヶ月間の終値単純平均値3,220円、直近3ヶ月間の終値単純平均値3,151円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値3,037円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,037円~3,389円まで、②2025年8月5日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値4,977円、直近1ヶ月間の終値単純平均値4,531円、直近3ヶ月間の終値単純平均値4,149円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値3,662円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,662円~4,977円までと算定しております。
類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む類似上場企業として、株式会社メイテックグループホールディングス、株式会社オープンアップグループ、株式会社フォーラムエンジニアリング、株式会社アルプス技研の4社を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,815円~3,501円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した本事業計画を基に、2026年6月期から2029年6月期までの4期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年6月期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たり価値の範囲を3,773円~5,204円までと算定しております。
また、当社が作成した本事業計画については、本特別委員会にて、当社の公表済みの2022年6月期から始まる5ヶ年の中期経営計画「Evolution 2026」(以下「中期経営計画」といいます。)から、事業環境・成長性の違いを考慮した開示セグメント毎の成長戦略を反映し、具体的な数値について足元の業績を踏まえて適切に見直されており、中期経営計画と比較して重要なKPI及び見積もり方法に関して大きな差異もなく、合理性がある旨が確認されております。
なお、大和証券がDCF法による算定に用いた本事業計画においては、各々前事業年度と比較して、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2027年6月期から2029年6月期にかけて、予定されている成長戦略としてのM&A投資額の増減により、2027年6月期において対前年度比で30,368百万円の減少、2028年6月期において対前年度比で4,727百万円の増加、及び2029年6月期において対前年度比で17,076百万円の増加を見込んでおります。また、本事業計画は、本公開買付けの実行を前提としたものではないため、本公開買付けにより実現することが期待されるシナジー効果については、本事業計画には加味しておりません。
② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
本特別委員会は、本諮問事項について検討するにあたり、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するために、当社及び公開買付者を含むパートナー候補から独立した第三者算定機関であるプルータスから、2025年8月5日付で、当社株式の株式価値に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(プルータス)」といいます。)を取得いたしました。なお、プルータスは当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。また、本特別委員会は、本取引に際して実施されている本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、プルータスから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。なお、本取引に係るプルータスの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
(ⅱ)算定の概要
プルータスは、複数の算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較法による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、本特別委員会は、2025年8月5日付でプルータスより本株式価値算定書(プルータス)を取得しました。
上記各手法に基づいて算定された当社の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法(基準日1) 3,037円~3,389円
市場株価法(基準日2) 3,662円~4,977円
類似会社比較法 2,830円~3,381円
DCF法 3,618円~4,739円
市場株価法では、①当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)により、当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる2025年5月15日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値3,389円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,220円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値3,151円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,037円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,037円~3,389円まで、②2025年8月5日を算定基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値4,977円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値4,531円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値4,149円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値3,662円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,662円~4,977円までと算定しております。
類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,830円から3,381円と算定しております。
DCF法では、本事業計画、直近までの業績動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮した、当社が生み出すと見込まれる将来キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,618円から4,739円と算定しております。
なお、プルータスがDCF法に用いた本事業計画においては、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2027年6月期から2029年6月期において予定されている成長戦略としてのM&A投資額の増減により、フリー・キャッシュ・フローの増減が見込まれております。2027年6月期において対前年度比で29,689百万円の減少、2028年6月期において対前年度比で6,028百万円の増加、及び2029年6月期において対前年度比で11,964百万円の増加を見込んでおります。
また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、プルータスがDCF法に用いた事業計画には加味されておりません。
プルータスは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による算定時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。ただし、プルータスは、算定の基礎とした当社の事業計画について、複数回のインタビューを行いその内容を分析及び検討しております。また、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(ⅱ)検討の経緯」に記載のとおり、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認し、不合理でないことを確認しております。
(4)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従って、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続の実施を予定しているとのことですので、かかる手続が実行された場合には、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、当社株式が上場廃止となった後は、当社株式を東京証券取引所において取引することはできません。
(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、本公開買付けにより、当社株式の全てを取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、以下のいずれかの方法により、当社を完全子会社化することを企図しているとのことです。
① 株式等売渡請求
本公開買付けの成立後に、公開買付者が当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至った場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済完了後速やかに、会社法第179条第1項及び第2項の規定に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対してその所有する当社株式(以下「売渡株式」といいます。)の全部を売り渡すことを請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。本株式売渡請求においては、売渡株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を、当社に通知し、当社に対し本株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により本株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、本株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主からは売渡株式の全部を取得するとのことです。この場合、売渡株主が所有していた当社株式の対価として、公開買付者は、当該各売渡株主に対しては当社株式1株当たり本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。なお、当社は、公開買付者より本株式売渡請求がなされた場合には、取締役会において、本株式売渡請求を承認する予定です。なお、株式売渡請求の対象となる当社株式には、本米国預託株式に表章され、本預託銀行が保有する当社株式も含まれておりますので、上記の承認がなされた場合には、本預託銀行に対しては、本公開買付価格に当該当社株式の数を乗じた金額に相当する金銭が交付される予定とのことです。この場合、本預託銀行は、預託契約に基づき本米国預託株式を解除の上、本米国預託株式の各保有者に対して、その保有する本米国預託株式の数に応じて、本預託銀行が交付を受けた金銭を米ドルに換算した金額から本預託銀行の手数料及び税金等を控除した金額(1セント未満を四捨五入)の金銭を交付することができるとのことです。
上記に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、会社法第179条の8その他関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して売渡株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。この方法による売渡株式の売買価格については、最終的に裁判所が判断することになります。
なお、本米国預託株式の保有者が価格決定申立てを行おうとする場合には、その保有する本米国預託株式(本米国預託株式を表章している米国預託証券を含みます。)を本預託銀行に引き渡し、本預託銀行に預託されている当社株式の交付を受けた上で、会社法第179条の8その他関係法令の定めに従い上記申立てを行う必要があるとのことです。
② 株式併合
本公開買付けが成立したものの、公開買付者が当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至らなかった場合には、公開買付者は、(ⅰ)当社株式の併合を行うこと(以下「本株式併合」といいます。)、並びに(ⅱ)本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨、及び定時株主総会の基準日の定めを削除する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)の開催を当社に要請するとのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。また、本書提出日現在においては、本臨時株主総会の開催日は、2025年10月下旬から11月上旬頃を予定しているとのことです。なお、公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を可能な限り早期に開催することが望ましいと考えており、本公開買付けの決済の開始後の近接する日が本臨時株主総会の基準日となるように、当社に対して公開買付期間中に基準日設定公告を行うことを要請する予定とのことです。本臨時株主総会において本株式併合の議案が承認された場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会において承認された株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなるとのことです。この場合、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切捨てられます。以下同じとします。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになるとのことです。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てが行われる予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在未定ですが、公開買付者が当社株式の全てを所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるよう決定される予定とのことです。
本株式併合の対象となる当社株式には、本米国預託株式に表章され、本預託銀行が保有する当社株式も含まれていますので、上記の決定がなされた場合には、本預託銀行が本株式併合後に保有する当社株式の数も1株に満たない端数となる予定とのことです。この場合、本預託銀行は、預託契約に基づき本米国預託株式を解除の上、本米国預託株式の各保有者に対して、その保有する本米国預託株式の数に応じて、本預託銀行が交付を受けた金銭を米ドルに換算した金額から本預託銀行の手数料及び税金等を控除した金額(1セント未満を四捨五入)の金銭を交付することができるとのことです。
なお、上記に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、当社の株主は、当社に対して自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。この方法による1株当たりの買取価格については、最終的に裁判所が判断することになります。
本米国預託株式の保有者が株式買取請求及び価格決定申立てを行おうとする場合には、その保有する本米国預託株式(本米国預託株式を表章している米国預託証券を含みます。)を本預託銀行に引き渡し、本預託銀行に預託されている当社株式の交付を受けた上で、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い株式買取請求及び価格決定申立てを行う必要があるとのことです。
上記①及び②の各手続については、関係法令についての当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又はそれと概ね同等の効果を有するその他の方法に変更する可能性があるとのことです。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては最終的に金銭を交付する方法により、当社を完全子会社化することを予定しているとのことです。この場合に当該当社の各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定とのことです。なお、その場合、本米国預託株式に表章され、本預託銀行が保有する当社株式に関して本預託銀行に対して交付される金銭の額も同様となり、本米国預託株式届出書によれば、本預託銀行は、預託契約に基づき本米国預託株式を解除の上、本米国預託株式の各保有者に対して、その保有する本米国預託株式の数に応じて、本預託銀行が交付を受けた金銭を米ドルに換算した金額から本預託銀行の手数料及び税金等を控除した金額(1セント未満を四捨五入)の金銭を交付することができるとのことです。
本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主(本米国預託株式の保有者も含みます。)の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
本書提出日現在、当社は公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当しません。また、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト取引にも該当しませんが、公開買付者及び当社は、公開買付者が本取引を通じて当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としていることを踏まえ、本公開買付価格を含む取引条件の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施しました。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 本件プロセスの実施
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)検討・交渉の経緯」に記載のとおり、当社は2025年1月16日以降、パートナー候補4社を対象として本第一次入札プロセスを実施し、その後、パートナー候補5社を対象とした本第1.5次入札プロセスを実施し、パートナー候補のうちブラックストーンを含む4社に同年4月28日から同年6月25日までデュー・ディリジェンスの機会を付与した上で、このうちブラックストーンを含む2社から第二次意向表明書を受領いたしました。ブラックストーンの本経営課題への提供可能なリソース及びサポート方針等を含む本取引実施後の事業戦略の方向性が当社の企業価値の向上に繋がると評価できたこと、ブラックストーンから提示された公開買付価格が本第二次入札プロセスに参加したパートナー候補から提示された公開買付価格の中でもっとも高額であり、当社の株主利益の確保に繋がると評価できたこと等を含めて総合的に判断し、ブラックストーンを最終候補者として選定しました。以上のとおり、当社は、本件プロセスを実施し、複数のパートナー候補から、当社の企業価値向上に向けた提案を受ける機会を確保しました。
② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(ⅰ)設置等の経緯
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、当社は、2024年12月4日、当社取締役会における決議により、当社及びX社からの独立性を有し、特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスが確保された上で、機動的に運営・検討を行うことができる特別委員会を構成するべく、財務・会計・管理に関する知見に加え、他の大手企業における経営者としての経験を有する、髙尾光俊氏(当社独立社外取締役)、企業買収等を専門とする弁護士として高度な法的専門性を有する山田和彦氏(当社独立社外取締役、中村・角田・松本法律事務所 弁護士)及び大手総合商社での財務・会計・税務等幅広い業務経験に加え、他の上場会社での経営者としての経験を有する出口雅敏氏(当社独立社外取締役、監査等委員)の3名から構成される本特別委員会を設置いたしました。なお、本特別委員会の委員は設置当初から変更されておりません。また、本特別委員会の委員の報酬は、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬を支払うものとされており、当該報酬には、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
その上で、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載のとおり、取締役会における決議により、本特別委員会を設置するとともに、本特別委員会に対し、(ⅰ)X社提案に係る取引の目的の正当性・合理性(X社提案に係る取引が当社の企業価値向上に資するか否かを含む。)、(ⅱ)X社提案に係る取引の取引条件の妥当性(X社提案に係る取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)、(ⅲ)X社提案に係る取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)、(ⅳ)X社提案に係る取引(X社提案に係る取引において公開買付けが実施される場合、当該公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)が当社の少数株主にとって不利益でないか否か、(ⅴ)X社提案に係る取引において公開買付けが実施される場合において、(ⅰ)乃至(ⅳ)を踏まえて、当社取締役会が、①当該公開買付けについて賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して当該公開買付けへの応募を推奨することの是非、(ⅵ)その他、特別委員会設置の趣旨に鑑み、X社提案に係る取引に関し、当社取締役会又は当社代表取締役が必要と認めて諮問する事項について諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、X社提案に係る取引に関する当社取締役会の意思決定は、本特別委員会の意見を最大限尊重して行うものとすることを決議するとともに、本特別委員会に対し、(ⅰ)特別委員会の法務アドバイザーや財務アドバイザー・第三者評価機関を選任し、又は当社のアドバイザー等を指名し若しくは承認(事後承認を含む。)することができること(なお、特別委員会は、当社のアドバイザー等が高い専門性を有しており、独立性にも問題がないなど、特別委員会として当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができます。また、特別委員会のアドバイザー等の専門的助言に係る合理的費用は、当社の負担となります。)、(ⅱ)X社提案に係る取引に関係する当社の役員若しくは従業員又はX社提案に係る取引に係る当社のアドバイザー等に対して、特別委員会への出席を要求し、必要な事項について説明を求めることができること、(ⅲ)特別委員会は、当社に対し、①特別委員会としての提案その他の意見又は質問をX社に伝達すること、並びに②特別委員会自らX社と協議・交渉する機会の設定を要望することができること、また、特別委員会が当該②の機会の設定を要望しない場合であっても、当社は、X社と協議・交渉を行った場合にはその内容を速やかに特別委員会に報告し、特別委員会は、当該内容を踏まえ、X社との協議・交渉の方針について、当社に対して意見を述べ、また、必要な指示・要請を行うことができること、(ⅳ)議事運営上の便宜の観点から、特別委員会に当社の役員若しくは従業員又はX社提案に係る取引に係る当社のアドバイザー等が陪席する場合であっても、特別委員会は、当該陪席者に対し、適宜、退席を求めることができること及び(ⅴ)特別委員会の職務の遂行のため、必要と認めるときは、当社に対して、特別委員会の職務を補助する使用人の選任を求めることができ、補助使用人が選任された場合、①当該補助使用人は、特別委員会に係る職務を他の職務に優先させ、②特別委員会に係る職務に関しては特別委員会の指揮命令のみを受け、かつ、③補助使用人としての職務に関して、特別委員会に対し、秘密保持義務を負うものとすることを決議しております。
その後、2024年12月18日付で、当社は、Y社からY社提案を受領したことを受け、本件プロセスにおいては、X社及びY社並びにその他当社に関心を示していると考えられる者から比較検討可能な材料を収集し、もって各パートナー候補からの戦略的提案及びスタンドアローン経営を含む戦略的選択肢の比較検討を行うこととし、これに伴い、2024年12月26日付で、本特別委員会に対する諮問事項を、当初諮問事項から、X社提案、Y社提案、その他これらの提案と競合する提案を受領した場合には当該提案及び当社の上場維持を前提としたスタンドアローン経営のうち、いずれを選択するかに係る当社の判断が不合理でないか否か、及び、当社がX社、Y社その他これらの提案と競合する提案を選択する場合には、選択された取引について当初諮問事項の(ⅰ)乃至(ⅵ)の事項の諮問を求める内容の諮問事項に変更を行いました。
(ⅱ)検討の経緯
本特別委員会は、2024年12月4日より2025年8月6日までの間に合計26回、合計約36時間にわたって開催されたほか、各会日間においても頻繁に電子メールやWeb会議等を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、当初諮問事項及び本諮問事項に係る職務を遂行いたしました。
かかる遂行にあたり、本特別委員会は、2025年3月13日、本特別委員会独自のリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所外国法共同事業を、本特別委員会独自のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関としてプルータスを、それぞれ独立性及び専門性に問題がないことを確認して選任しております。
その上で、本特別委員会は、随時プルータス及び森・濱田松本法律事務所外国法共同事業から助言を受けつつ、本諮問事項の検討にあたり、当社からパートナー候補の提案内容に関する評価・検討状況等、パートナー候補との間の協議の内容について説明を受け、これらの点に関する質疑応答等を行うとともに、当社に対して、当社の経営方針等、非公開化・上場廃止に関する評価・検討状況、及び本取引に対する評価・検討状況等につき質問し、当社より回答を受領しております。
さらに、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関であるプルータスから、本取引の内容及び進捗状況等、株式価値算定の内容等、並びにパートナー候補との間の協議・交渉等の状況について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行っております。
加えて、本特別委員会は、プルータスから受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認した上で、本事業計画をパートナー候補に対して開示することを承認しております。
(ⅲ)判断内容
本特別委員会は、以上の経緯の下で、森・濱田松本法律事務所外国法共同事業から受けた法的助言、並びにプルータスから受けた財務的見地からの助言及び2025年8月5日付で提出を受けた本株式価値算定書(プルータス)の内容を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、同日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。
(a)答申内容
(ア)ブラックストーンからの本取引の提案、Z社からの当社株式の非公開化を目的とする提案及び当社の上場維持を前提としたスタンドアローン経営のうち、ブラックストーンからの本取引の提案を選択した当社の判断は合理的であると思料する。
(イ)① 本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は正当かつ合理的である。
② 本取引の取引条件(本取引の実施方法や対価の種類を含む。)は妥当である。
③ 本取引の手続は公正である。
④ 本取引(意見表明の内容を含む。)は当社の少数株主にとって不利益ではない。
⑤ 上記①乃至④を踏まえて、当社取締役会が、本公開買付けに対して賛同する意見を表明すること及び本公開買付けに応募するか否かについては当社の株主の判断に委ねることは相当である。
(b)答申理由
(ア)ブラックストーンからの本取引の提案を選択した当社の判断の合理性について
a.ブラックストーン及びZ社からの提案の検討
・当社を取り巻く経営環境はますます競争を増していくと考えられるところ、当社においては、①技術者にとって魅力的な成長機会の提供や顧客提供価値の向上を実現するためのソリューション事業の拡大、②優秀な技術者の獲得や技術者の育成支援、オフショアの拡張を実施することによる供給制約の解消、③営業・配属・デリバリー・育成、バックオフィス業務のデジタル化・生産性向上のためのITデジタル化の推進が企業価値向上に向けた主要な経営課題(本経営課題)であると認識している。
・ブラックストーンの提案は、①ソリューション事業拡大のための、上場時には実現困難な規模のストック・オプションを活用した高度人材獲得の加速による高付加価値組織の強化、ソリューション化に資する戦略的買収の実行、ITコンサル企業とのアライアンスを通じたコンサル営業機能の強化、ソリューション化の加速に向けた組織最適化やリブランディング、②ソリューション事業の拡大及び供給制約の解消のいずれにも資するAI武装化による事業モデルの再定義、③大胆なDX投資による業務生産性の向上、④ 新規人材の獲得、既存技術者の離職率低減等の更なる人材投資などの本経営課題の解決策及び今後の当社の企業価値の向上について具体的かつ実現可能性のある提案を行っているものであると考えられる。さらに、ブラックストーンは、当該提案を実現するために必要となる十分な資金力と知見を有していると認められ、当社の企業価値を当該提案において提示された価格まで成長させるためのブラックストーンによる支援及びその実現可能性については不合理な点はなく、当社の企業価値向上に資する提案と考えられる。
・一方、Z社からの提案に関しては、Z社の投資先との協働又は統合によるソリューション事業の拡大及び供給制約の解消並びにDX推進の支援によるITデジタル化の推進という点について、Z社の投資先を直ちに当社と統合させることは困難であり、むしろ、Z社として、Z社の既存の投資対象企業は、できるだけ高値での売却を模索する懸念もあり実現可能性に疑義が残ること、統合によりAIによる代替リスク等がある人材を抱える可能性がある。
・以上を踏まえると、Z社からの提案に関しては当社の企業価値向上という観点からは、ブラックストーンの提案の方が優れていると考えられる。
・また、ブラックストーンの提案価格はZ社の提案価格を大幅に上回っている。
・なお、Z社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)検討・交渉の経緯」に記載のとおり、ブラックストーンを最終の買付者候補として選定し、同社に独占交渉権を付与した後に、複数回に亘り、当社からの要請によらずに、公開買付価格の再提案を行っている。この点、当社は、積極的なマーケット・チェックを経て他の買付者候補の提示価格を大幅に上回る公開買付価格を提示したブラックストーンに対して独占交渉権を付与する旨を決定したものであり、当社がブラックストーンの要請を踏まえて、ブラックストーンに対して一定期間の独占交渉権を付与した判断は合理的なものといえ、当該独占交渉権を理由にZ社の再提案の検討及び交渉を拒絶した当社の判断に何ら不合理な点はない。また、複数回に亘る再提案後のZ社の提示価格は、未だブラックストーンの提示価格を大幅に下回るものであり、実質的にもZ社の再提案の検討及び交渉を拒絶した当社の判断は合理的なものである。
・したがって、株主の利益の確保の観点からも当社の企業価値の向上という観点からもブラックストーンの提案を選択することが合理的である。
b.当社の上場維持を前提としたスタンドアローン経営の検討
・当社を取り巻く経営環境はますます競争を増していくと考えられるところ、本特別委員会においては、当社において、上場を維持したまま本経営課題に取り組むことの可能性についても慎重に検討したが、上場企業として少数株主に配慮をしたまま経営を行っていくためには、一時的にでも財務状況を悪化させるような短期的かつ大規模の投資を行うことはできないため、本経営課題の解決には一定の不確実性があり、また、仮に実現できるとしても相応の期間を要することが見込まれる。
・公開買付者による非公開化を採用した場合、短期的かつ大規模な投資に対する制約は軽減され、その結果、本経営課題の解決がより迅速かつ確実に行われ、当社グループの中長期的な成長に資すると考えられる。加えて、ブラックストーンの提案によれば、1,000億円超のM&Aについてもサポートが可能であるとされており、当社が単独で上場を維持する場合には実現が不可能又は容易に実現することができないことが、ブラックストーンのサポートにより可能となると考えることは合理的であり、実現可能性についても合理性が認められる。
・当社のスタンドアローンの事業計画を前提としてDCF法により算出された1株当たりの株価は、大和証券によれば3,773円~5,204円、プルータスによれば3,618円~4,739円であり、ブラックストーンの提案価格である1株当たり4,870円は大和証券によるDCF法による株式価値算定のレンジの中にはあるものの、上限に近い価格であり、プルータスによる株式価値算定の上限を上回る価格である。また、当社のスタンドアローンの事業計画は、当社単独での実現には相応のハードルがあるインオーガニックな成長施策も含むものであり、上記のような、当社単独での本経営課題解決のための企業価値向上策を実行することに要する期間やその実行に係る不確実性も踏まえると、当社が引き続き上場を維持し、当社単独でブラックストーンの提案価格である1株当たり4,870円の株式価値を実現するためには、相応の不確実性が存する。
・このように、当社の上場維持を前提としたスタンドアローン経営との比較においても、ブラックストーンからの提案を選択した判断は合理的といえる。
(イ)本諮問事項(ⅰ)について
以下を踏まえて本特別委員会において慎重に審議・検討をしたところ、本取引の目的に関する当社の認識は、本特別委員会としても合理的と考えるものであり、本取引は当社の企業価値向上に資するものと認められ、本取引の目的は合理性を有すると認められる。
a.当社を取り巻く経営環境及び当社の経営課題
・当社グループを取り巻く市場環境や経営環境が変化している状況の中で、当社としては、事業モデルをより強固なものとするために、
(a)オペレーションの磨き込み
営業・配属・デリバリー・育成のオペレーションやITシステムのより一層の進化による高単価-高稼働率-高成長及び高賃金の実現、並びに生産性の高いバックオフィスオペレーションの実現
(b)高付加価値領域への進出加速
上記(a)による輩出人材も活用した、より高次な顧客課題解決と技術者のキャリアストリーム構築の実現
(c)規模拡大の追求
外部環境を踏まえ、従前の技術者獲得ルートに加え、技術者派遣事業者の買収やオフショア・デリバリーの拡張による規模の経済の実現の3点に重点を置いた成長戦略を計画している。これらの成長戦略の背景にあるのは、①技術者にとって魅力的な成長機会の提供や顧客提供価値の向上を実現するためのソリューション事業の拡大、②優秀な技術者の獲得や技術者の育成支援、オフショアの拡張を実施することによる供給制約の解消、③営業・配属・デリバリー・育成、バックオフィス業務のデジタル化・生産性向上のためのITデジタル化の推進という当社の3つの本経営課題であり、本特別委員会としても本経営課題を当社の主要な経営課題であると認識しており、特に生成AIの台頭により、業界での生成AI導入に後れをとるリスクが生じている。
・このような状況を踏まえると、上記(b)(ア)bのとおり、スタンドアローン経営により本経営課題を解決することには一定の不確実性が残り、当社単独で本経営課題に係る実効的な経営改革・改善をスピード感を持って成し遂げる力や経営資源は必ずしも十分とはいえず、当社が更なる成長を遂げその企業価値を向上させるためには、資本政策を含む幅広い取組みの検討が必要な状況にある。
b.本取引の意義
・本特別委員会は、ブラックストーンに対するインタビューを通じて、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)判断内容」記載の各施策の具体的な実現可能性を把握するとともに、当社経営陣に対するインタビューも実施の上、シナジーに関する当社の見解を確認しており、それらの説明に不合理な点はない。また、当該シナジーは、当社の主要な経営課題である本経営課題の解決に資するものであり、本取引を実行することは、当社の企業価値の向上に資するものといえる。
・したがって、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅲ)判断内容」記載の当社が想定する各シナジーは、当社の企業価値向上に資すると想定されるとともに、具体的な実現可能性も認められる。
c.本取引のデメリット
・非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを享受できなくなることが挙げられる。資金調達に関しては、非公開化により、株式市場からの調達ができなくなる一方で、自己資金及び金融機関からの借入れのほか、ブラックストーンからの追加の資金調達が行うことが可能である。また、当社は、技術者派遣業界において、既に圧倒的な知名度及び十分な社会的信用を有していると考えられること、ストック・オプション等によるインセンティブ制度により、企業価値の向上・利益を従業員に還元することを想定していることからも、採用活動やリテンションへのマイナスの影響は限定的であると考えている。
・したがって、本取引のデメリットは限定的であり、本取引のメリットを上回るものではない。
(ウ)本諮問事項(ⅱ)
本特別委員会は、以下の諸点を考慮し、当社の少数株主の利益を図る観点から、本取引の条件の妥当性が確保されていると考える。
a.プルータスによる株式価値算定の結果及びその内容の合理性
・DCF法による分析においては、当社が作成した本事業計画、直近までの業績動向、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が生み出すと見込まれる将来キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定している。DCF法による算定の前提についても、これらはそれぞれプルータスが財務アドバイザーとしての専門的見地から設定したものであり、本特別委員会におけるプルータスによるこれらの数値の算出根拠及び算出方法等についての説明にも特に不合理な点は認められない。
・市場株価法による分析においては、当社の市場株価を当社取締役会決議日の前営業日の直近終値及び一定期間の終値の平均値を分析することに加え、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)の同日の終値及び一定期間の終値の平均値を分析することで当社の株式価値を算定しているところ、このような算定の方法は本取引と類似の取引において一般的に用いられているものであり、市場株価法による算定の内容に不合理な点は認められない。
・類似会社比較法による分析においては、当社と類似性があると判断される類似会社として、株式会社メイテックグループホールディングス、株式会社オープンアップグループ、株式会社フォーラムエンジニアリング及び株式会社アルプス技研を選定した上で、EV/EBITマルチプル及びEV/EBITDAマルチプルを用いて算定を行い、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を算定している。類似会社の選定は、事業内容及び事業規模・成長性・収益性を適切に考慮の上行われているものと評価できるところであり、その他類似会社比較法による算定の内容に不合理な点は認められない。
・DCF法による株式価値算定の基礎となっている事業計画は、買付者候補から独立した者による主導の下、作成されており、本特別委員会は、大和証券及びプルータスから受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、以下の点を含む当社の作成した本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について当社から説明を受け、質疑応答を行った上で、これらの合理性を確認した。
① 本事業計画の策定経緯及び方法について、買付者候補の関与が無い形で当社において独自に策定されたスタンドアローンベースの計画であること、事業環境・成長性の違いを考慮した開示セグメント毎の成長戦略が反映されていること、現行中期経営計画と比較して重要なKPI及び見積もり方法に関して大きな差異がなく、具体的な数値について足元の業績を踏まえて適切に見直されていること
② 主要なKPIの数値の前提について、過年度の水準との比較や市場環境を踏まえて作成されており、また、成長投資計画について、現在の経営環境や経営方針を反映する形で適切に作成されていること
③ 対象業界の成長水準と事業計画の成長率を比較し、過度に保守的に作成されているといった傾向は無いこと
・本事業計画は、高付加価値領域のM&AやロールアップのM&A、ノンコア領域の売却などのインオーガニックな成長戦略を含むものであり、スタンドアローンでこれらの施策を実現するには一定のハードルがあるため、買付者候補者との間でもその実現可能性が議論になる可能性はあるものの、株主利益の確保の観点から、これらの施策を前提とする本事業計画を株式価格算定の前提とすることは不合理ではない。
・上記のとおり本株式価値算定書(プルータス)におけるDCF法、市場株価法及び類似会社比較法による算定の前提及び内容に、特段不合理な点は認められない。そして、本株式価値算定書(プルータス)における当社株式の株式価値評価に照らし、本公開買付価格は、DCF法、市場株価法及び類似会社比較法により算定された価格帯の上限値を上回っている。このように、本公開買付価格が、本株式価値算定書(プルータス)における算定結果の上限値を超えていることは、本公開買付価格の妥当性を裏付ける要素と評価することができる。
b.大和証券による株式価値算定の結果及びその内容の合理性
・DCF法による分析においては、当社が作成した本事業計画を基に、2026年6月期から2029年6月期までの4期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年6月期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析している。DCF法による算定の前提についても、それぞれ大和証券が財務アドバイザーとしての専門的見地から設定したものであり、本特別委員会における大和証券によるこれらの数値の算出根拠及び算出方法等についての説明にも特に不合理な点は認められない。
・市場株価法による分析においては、当社の市場株価を当社取締役会決議日の前営業日の直近終値及び一定期間の終値の平均値を分析することに加え、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)の同日の終値及び一定期間の終値の平均値を分析することで当社の株式価値を算定しているところ、このような算定の方法は本取引と類似の取引において一般的に用いられているものであり、市場株価法による算定の内容に不合理な点は認められない。
・類似会社比較法による分析においては、当社と類似性があると判断される類似会社として、株式会社メイテックグループホールディングス、株式会社オープンアップグループ、株式会社フォーラムエンジニアリング及び株式会社アルプス技研を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて算定を行い、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を算定している。類似会社の選定は、事業内容及び事業規模・成長性・収益性を適切に考慮の上行われているものと評価できるところであり、その他類似会社比較法による算定の内容に不合理な点は認められない。
・DCF法による株式価値算定の基礎となっている事業計画は、買付者候補から独立した者による主導の下、作成されており、本特別委員会は、大和証券及びプルータスから受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、当社の作成した本事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について当社から説明を受け、質疑応答を行った上で、これらの合理性を確認した。
・本株式価値算定書(大和証券)における当社株式の株式価値評価に照らし、本公開買付価格は、DCF法により算定された価格帯の範囲内であり、かつ上限値に近似する価格となっており、市場株価法及び類似会社比較法により算定された価格帯の上限値を上回っている。このように、本公開買付価格が、本株式価値算定書(大和証券)における算定結果の上限値を超え、又は算定結果の範囲内にあることは、本公開買付価格の妥当性を裏付ける要素と評価することができる。
c.当社株式の市場価格に対するプレミアム
・本公開買付価格は、本取引の公表日の前営業日の終値との比較でディスカウントされた金額であるが、直近1ヶ月、直近3ヶ月及び直近6ヶ月の終値の単純平均値との比較ではプレミアムが付されており、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)は、当社が本取引を念頭において恣意的な公表を行ったことに起因するものではなく、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)後の当社株式の市場株価は大きく上昇しており、かかる上昇は、当該期間における株式市場全体の推移、及び同業他社の株価水準の推移のいずれとも乖離したものである。さらに、当該期間の直前又は当該期間中に、当社においては決算情報を含む特段の開示を行っておらず、その他当社株価の上昇要因となるような客観的な事象が特に認められないことに鑑みれば、かかる急激な上昇は、当社の本源的価値を反映したものではなく、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)を踏まえた投機的な行動によることが合理的に疑われるところでもある。したがって、本公開買付けの公表日の直前の当社の市場株価は、当社の直近の状況を反映したものであるとは考えにくいこと等を踏まえると、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)により、当社株式の市場価格が影響を受けていないと考えられる同日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,389円が、むしろ現在の当社株式の本源的価値を反映したものであると考えることも合理的である。そして、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)の前営業日の水準を勘案すると、本公開買付価格に付されたプレミアムの水準は、過去の類似事例における水準に照らしても必ずしも遜色なく、一定の合理性があり、妥当性を欠く水準とまでは認められないものと判断した。
d.入札プロセスの実施等
・当社は、積極的なマーケット・チェックとして、本取引の公表前に買付者候補5社を対象として、入札形式による本件プロセスを実施し、その結果、当社は、買付者候補5社のうち2社から法的拘束力を有する第二次意向表明書を受領した。ブラックストーンから受領した1株当たり4,850円という公開買付価格は、かかる第二次意向表明書の中で最も高い公開買付価格を提案するものであり、このように競争原理が働く入札手続を経て最も高い価格として提示された本公開買付価格は、合理的に実現可能な最善の条件であることが一定程度推認される。
・本特別委員会は、株主利益の最大化を図る観点から、ブラックストーンに対し、当社が公開買付価格の引上げの可否について打診することを是認した。そして、本公開買付契約を締結することと引き換えに、更なる価格の引き上げを求めることも検討すべきである旨の本特別委員会の意見を踏まえて交渉した結果、現に、本公開買付価格は4,870円に引き上げられている。
・以上のとおり、当社及び本特別委員会と公開買付者との間で真摯に協議・交渉が行われたものといえ、当該経緯の下で決定された本公開買付価格は、一定の公正性・妥当性を有するものと評価できる。
e.本取引の実施時期について
・当社株式の市場株価が過去の水準に比して低廉であるといった状況にあるとは評価できず、本取引の実施時期が特段不合理であるとはいえない。また、本特別委員会によるブラックストーンへのインタビューにおいて、ブラックストーンが本取引をこの時期に実施することとした理由は、業界全体での生成AI導入に後れを取ることがAI関連の最大のリスクである一方で、競合他社に先駆けて生成AIを導入・活用することによる派遣単価の上昇・他社との差別化が可能と考えているところ、タイミングとしては今が生成AI導入をリードできるかどうかの分水嶺であると考えているとの回答を得ており、本取引の実施時期に関して、特段不合理な点はない。
f.取引の方法の合理性
・一段階目として公開買付けを行い、二段階目として株式売渡請求又は株式併合を行うという方法は、完全子会社化の取引においては一般的に採用されている方法であり、二段階目の取引において支払われる対価は本公開買付価格と同額とすることが予定されているほか、対価の額に不満のある株主は、裁判所に対して価格決定の申立てを行うことが可能であることから、本取引の方法に不合理な点は認められない。
(エ)本諮問事項(ⅲ)
本特別委員会は、以下の諸点を考慮し、本取引に係る取引条件の公正性を担保するための手続として、適切かつ十分な公正性担保措置が実施されており、本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると思料する。
a.独立した特別委員会の設置
・本特別委員会は、独立した立場から少数株主の利益を保護すべく適正な構成とされているといえ、また、当社取締役会が、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して意思決定を行う仕組みが担保されており、さらに、本特別委員会が有効に機能するために必要な権限等が付与されているものと考えられる。
b.特別委員会による協議・交渉への実質的な関与
・本特別委員会は、当社の財務アドバイザーである大和証券及び本特別委員会の財務アドバイザーであるプルータスによる当社の各株式価値の算定結果や公開買付者との交渉方針等を含めた財務的な助言、当社の法務アドバイザーであるTMI総合法律事務所及び本特別委員会の法務アドバイザーである森・濱田松本法律事務所外国法共同事業からの助言等を踏まえ、当社に対し、買付者候補との間における本公開買付価格を含む本取引に係る協議・交渉方針について、継続的に検討・要請を行った。また、当社は、公開買付者を含む買付者候補との間で本取引に係る協議・交渉を行うに際して、買付者候補から受領した本取引に係る取引条件の提案を直ちに本特別委員会に対して報告し、本特別委員会から意見、指示、要請等を受け、これに従って対応を行った。したがって、本特別委員会が当社と公開買付者との間の本取引に関する協議・交渉過程に実質的に関与していたといえる。
c.独立した法務アドバイザーからの助言の取得
・本取引の検討を具体的に進めるに際して、公開買付者を含む買付者候補及び当社から独立した法務アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を当社が選任して本特別委員会が承認し、また、本特別委員会の法務アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所外国法共同事業を選任した上で、本公開買付け及びその後の一連の手続に対する当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けている。
d.独立した財務アドバイザーからの株式価値算定書の取得
・本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり専門性、過去の実績及び独立性などを総合的に勘案し、大和証券を、財務アドバイザーとして当社が選任して本特別委員会が承認し、また、本特別委員会の財務アドバイザーとしてプルータスを選任した。当社は、大和証券及びプルータスから本公開買付価格を始めとする本公開買付けの条件について財務的見地からの助言・意見等を得るとともに、本公開買付価格の妥当性を確保するため、本株式価値算定書(大和証券)及び本株式価値算定書(プルータス)を取得している。
・また、当社及び本特別委員会は、本取引において独立した第三者算定機関からいわゆるフェアネス・オピニオンを取得してはいないが、本取引においては、他に十分な公正性担保措置が講じられていること、並びに、本特別委員会としては、本公開買付価格は、本株式価値算定書(大和証券)及び本株式価値算定書(プルータス)による各算定手法の価格帯のレンジを上回るかその上限に近い範囲内にあることなどから、妥当な価格であると判断していることを勘案すれば、フェアネス・オピニオンを取得しないことにより手続の公正性が損なわれるものではないと考えられる。
e.当社における独立した検討体制の構築
・本特別委員会は、当社の検討体制の独立性に問題がない旨を確認している。また、当該役職員は、ブラックストーン又は公開買付者の役職員を兼務しているものはおらず、当社の検討体制の独立性に問題がなく、当社は公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築しているといえる。
f.他の買収者による買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)
・当社は、公開買付者を含む事業会社及び投資ファンド5社から本件プロセスへの参加の打診を受け、さらに、当社からX社とは異なる事業会社1社に対して本件プロセスへの参加を打診し、最終的に、買付者候補のうち、公開買付者を含む2社から法的拘束力のある買収提案を受領している。したがって、本取引に関しては、潜在的な買収者の有無を調査するいわゆる積極的なマーケット・チェックが行われたと評価することが可能と考えられる。
・また、当社は、公開買付者との間で、大要以下の取引保護条項を含む本公開買付契約書を締結する予定である。
① 当社は、本公開買付契約の締結日(以下「本契約締結日」という。)に、取締役会の決議をもって、(ⅰ)本公開買付けに賛同し、(ⅱ)当社の株主に対して本公開買付けに応募をするか否か及び本米国預託株式の保有者に対して事前に本米国預託株式を預託銀行に引き渡し、かかる本米国預託株式に表章されていた対象株式の交付を受けた上で、本公開買付けに応募するか否かについて、それぞれ中立の立場をとり、当社の株主及び本米国預託株式の保有者の判断に委ねる旨の意見(以下「本賛同・中立意見」という。)を表明し、法令等に従ってその旨を公表する。
② 当社は、本契約締結日以降、本公開買付期間が満了するまでの間、本賛同・応募中立意見を維持し、これを変更又は撤回(当社の株主及び本米国預託株式の保有者をして、本公開買付けに応募する意思を抑制させると合理的に認められる意見の表明その他一切の行為を含む。以下同じ。)しない。
③ 当社は、本公開買付契約締結後、直接又は間接に、公開買付者以外の者との間で、(ⅰ)本取引と競合し、本取引の実行を困難にし若しくは遅延させ、又は本取引の実行の支障になるおそれがある一切の取引又は行為(以下「競合取引」という。)の提案、申込み若しくは申込みの勧誘又は競合取引に関連するいかなる情報提供、協議、交渉若しくは合意を行い又は行わせてはならず、かつ(ⅱ)本契約締結時点において競合取引に関する協議又は交渉が既に開始又は継続されている場合には、速やかにこれを中止しなければならない。但し、競合取引の提案が適格対抗提案(以下に定義する。)に該当するか否かを当社が判断するために必要最低限の範囲で、当該提案の提案者に対して情報提供を求めることは本項の違反を構成しない。
④ 当社は、公開買付者以外の者から直接又は間接に競合取引の提案又は申込みを受けた場合、速やかに、公開買付者に対し、その旨及び当該提案又は申込みの詳細を通知し、競合取引への対応について公開買付者との間で誠実に協議する。
⑤ 上記②から④にかかわらず、当社は、公開買付者以外の第三者(以下「本対抗提案者」という。)により、以下に定める条件を全て充足する対抗公開買付け(以下「適格対抗公開買付け」という。)が公表若しくは開始され、又は本対抗提案者から適格対抗公開買付けに係る提案(以下「適格対抗提案」という。)を受領した場合、本対抗提案者との間で、適格対抗公開買付け又は適格対抗提案に関する情報提供、協議又は交渉を行うことができる(なお、本賛同・中立意見の変更若しくは撤回又は本対抗提案者との競合取引に関する合意等は、公開買付者が、下記⑥記載の再提案の期限までに、本公開買付価格を当該対抗公開買付けにおける買付け等の価格(以下「対抗公開買付価格」といいます。)以上の金額に引き上げる旨の再提案を行わないときにおいてのみできる。)。
(ア)当社が本公開買付契約に定める自らの義務に違反することなく、対抗公開買付けが公表若しくは開始され、又は対抗公開買付けに係る提案が行われたこと。
(イ)(ⅰ)対抗公開買付けが開始された場合において、非公開化に必要となる資力を有することの蓋然性が合理的に示され、かつ、非公開化に必要となる競争法令等及び投資規制法令等上の届出その他司法・行政機関等に関する手続の完了について合理的な根拠が示されていること。(ⅱ)対抗公開買付けの開始予定が公表された場合において、対抗公開買付価格及び取引の主要条件が明示され、非公開化に必要となる資力を有することの蓋然性が合理的に示され、かつ、非公開化に必要となる競争法令等及び投資規制法令等上の届出その他司法・行政機関等に関する手続の完了について合理的な根拠が示された、具体的かつ実現可能性があると合理的に認められる対抗公開買付けの予定であること。(ⅲ)対抗公開買付けに係る提案が行われた場合において、対抗公開買付価格及び取引の主要条件が明示され、非公開化に必要となる資力を有することの蓋然性が合理的に示され、かつ、非公開化に必要となる競争法令等及び投資規制法令等上の届出その他司法・行政機関等に関する手続の完了について合理的な根拠が示された、具体的かつ実現可能性があると合理的に認められる真摯な書面による法的拘束力のある提案であること。
(ウ)対抗公開買付価格が、本公開買付価格を5%以上上回る金額に相当する取得対価(金銭、株式その他種類を問わない。)であること。
(エ)対抗公開買付けにより取得する株式数に上限はなく、また、下限は対抗公開買付けが成立した場合の本対抗提案者の保有する対象者の議決権が全議決権の2/3に相当する株式数以上であり、かつ、対抗公開買付けによって対象株式の全てを取得することができなかった場合には、スクイーズアウト手続によって、当社を非公開化することを内容とするものであること。
(オ)当社の取締役会が、株主共同の利益の確保及び企業価値の向上、取引先に対する影響、資金調達の確実性、非公開化に必要となる競争法令等及び投資規制法令等上の届出その他司法・行政機関等に関する手続を踏まえた取引実行の確実性及び取引実行の時期その他の事情を考慮に入れた上で、対抗公開買付けが、本公開買付けよりも優れている可能性があると合理的に判断していること。
(カ)当社の取締役会が、当社と利害関係を有しない外部弁護士と協議の上で、対抗公開買付けに関する協議に応じないことが、当社の取締役としての忠実義務又は善管注意義務等違反を構成するおそれがあると合理的に判断したこと。
⑥ 当社は、適格対抗公開買付けが公表若しくは開始された場合又は適格対抗提案を受領した場合、本契約に定める自らの義務の違反がない場合に限り、公開買付者に対して、本公開買付価格の変更について協議を申し入れることができ、当該協議の申し入れが行われた日から同日を起算日として5営業日後の日又は本公開買付期間満了日の3営業日前の日のいずれか早い日までに、本公開買付者が本公開買付価格を対抗公開買付価格以上の金額に引き上げる旨の法的拘束力のある再提案を当社に対して行わない場合、上記②の規定にかかわらず、本賛同・中立意見を変更又は撤回することができる。
・もっとも、当社は、数次に亘る入札プロセスにより積極的なマーケット・チェックを実施しており、かつ、競争環境が維持された中で、企業価値の向上及び株主価値の最大化等の観点から公開買付者を選定している。また、当社株式の非公開化に関するMergermarketによる憶測報道(2025年5月15日の立会時間終了後)を受けて、当社は、2025年5月16日付で非公開化も含む企業価値向上に向けた様々な戦略的選択肢を従前より継続的に検討している旨の開示を行っており、仮に本件プロセスに参加していなくても、当社の買収に関心のある投資家であれば、当社に対して関心を表明する機会と時間は十分に与えられていたといえる。したがって、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は既に十分に確保されたものといえ、一定の取引保護条項に合意することは不合理ではない。
・また、公開買付者は、本公開買付けにおける買付期間について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、比較的長期間である32営業日とする予定であり、これにより、当社株主が本公開買付けに対する応募につき適切な判断機会が確保されているといえる。
・さらに、本公開買付契約は、当社とブラックストーンとの間で、本特別委員会の意見も踏まえて複数回に亘り交渉された上で合意されたものであり、本取引の公表後でも、一定の条件はあるものの、真摯な提案に対しては真摯な検討を行い、本公開買付けへの賛同を撤回し、対抗買付けに対する賛同表明を行うことは妨げられていない。
・これらの点を踏まえると、本公開買付けでは、公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会が過度に制限されているものとはいえない。
g.マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を上回る買付予定数の下限の設定
・本公開買付けにおける買付予定数の下限である69,460,100株は、本公開買付け成立後に公開買付者と利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株式の数の3分の2以上となるように設定されている。
・かかる買付予定数の下限は、当社が2025年8月6日に提出した「2025年6月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」に記載された2025年6月30日現在の当社の発行済株式総数(104,500,000株)から、同日現在当社が所有する自己株式数(309,817株)を控除した株式数(104,190,183株)の過半数(52,095,092株)を上回るものとなる。
・すなわち、公開買付者と利害関係を有しない当社の株主が所有する当社株式の過半数の賛同が得られない場合には本公開買付けは成立せず、当社の少数株主の意思を重視した設定となっており、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の条件を満たしている。
h.適切な情報開示
・本特別委員会は、森・濱田松本法律事務所外国法共同事業及び大和証券から、当社が公表又は提出予定の本取引に係るプレスリリース及び意見表明報告書の各ドラフトの内容について説明及び助言を受けてその内容を確認している。
・上記各ドラフトでは、充実した情報開示が予定されており、かかる充実した開示は、本取引に関する情報の非対称性を緩和し、少数株主に十分な情報に基づく適切な判断機会を確保するものであるといえる。
i.スクイーズアウト手続の適法性・強圧性の排除
・公開買付者は、完全子会社化の取引においては一般的に採用されているスクイーズアウトの方法を採用することを予定しており、かつ、裁判所に対する価格決定の申立てが可能であることから、本取引については強圧性の問題が生じないように配慮の上、スクイーズアウト手続の適法性も確保されているといえる。
j.公正性を疑わせるその他の事情の不存在
・本取引に係る協議、検討及び交渉の過程において、当社が公開買付者及び買付者候補より不当な影響を受けたことを推認させる事実は認められない。
(オ)本諮問事項(ⅳ)及び(ⅴ)について
上記(イ)のとおり、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的には合理性が認められる。
また、上記(ウ)のとおり、買付け等の価格を含む本取引の条件の公正性・妥当性は確保されており、上記(エ)のとおり、公正な手続も履践されていることから、当社の株主の利益への十分な配慮がなされているものと認められ、本取引は、当社の少数株主にとって公正であると思料する。
したがって、本特別委員会は、当社取締役会に対し、当社取締役会が、本公開買付けに賛同の意見を表明し、当社株主に対し本公開買付けに応募するか否かについては当社の株主の判断に委ねることは、当社の少数株主にとって不利益ではなく、相当であると思料する。
③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
本特別委員会は、本特別委員会への諮問事項について検討するにあたり、当社及び公開買付者から独立した第三者算定機関として、本特別委員会独自のファイナンシャル・アドバイザーであるプル―タスに対し、当社の株式価値の算定を依頼し、2025年8月5日付で本株式価値算定書(プル―タス)を取得いたしました。詳細については、上記「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
④ 当社における独立したリーガル・アドバイザーからの助言の取得
当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)検討・交渉の経緯」に記載のとおり、公開買付者を含むパートナー候補及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。
なお、TMI総合法律事務所は、公開買付者を含むパートナー候補及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。本特別委員会は、TMI総合法律事務所の独立性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして承認しております。また、TMI総合法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
⑤ 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、上記「(3)算定に関する事項」に記載のとおり、公開買付者を含むパートナー候補及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関である大和証券に対して、当社株式価値の算定を依頼し、2025年8月5日付で本株式価値算定書(大和証券)を取得しました。本株式価値算定書(大和証券)の概要については、上記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。
なお、大和証券は、公開買付者を含むパートナー候補及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を踏まえると、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、大和証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
なお、大和証券に対する報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないとの判断の上、上記の報酬体系により大和証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関として選任しました。
⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含みます。)の承認
当社取締役会は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、TMI総合法律事務所から受けた法的助言、大和証券から受けた財務的見地からの助言及び本株式価値算定書(大和証券)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。
その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2025年8月6開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した利害関係を有しない当社の取締役(監査等委員である者を含みます。)全員の一致(当社の取締役11名の全員一致)で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、(ⅰ)当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否か、(ⅱ)本米国預託株式の保有者の皆様が事前に本米国預託株式を本預託銀行に引き渡し、本米国預託株式に表章されていた当社株式の交付を受けた上で、本公開買付けに応募するか否かについて、それぞれ中立の立場をとり、当社の株主及び本米国預託株式の保有者の皆様の判断に委ねる旨の決議をいたしました。
⑦ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、これと比較して長期間である32営業日としているとのことです。公開買付者は、公開買付期間を法定の最短期間より長期に設定することで、当社の一般株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、公開買付者以外の者による対抗的な買付け等の機会を確保し、もって本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです。なお、下記「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」に記載のとおり、本公開買付契約においては、当社は、公開買付期間が終了するまでの間、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、(ⅰ)当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否か、(ⅱ)本米国預託株式の保有者の皆様が事前に本米国預託株式を本預託銀行に引き渡し、本米国預託株式に表章されていた当社株式の交付を受けた上で、本公開買付けに応募するか否かについて、それぞれ中立の立場をとり、当社の株主及び本米国預託株式の保有者の皆様の判断に委ねる旨の意見(以下「本賛同・中立意見」といいます。)を維持する義務を負っておりますが、本公開買付契約においては、当社が本賛同・中立意見の変更等を行うことができる場合に関する例外が認められており、例外に該当する提案に対しては真摯な検討を行い、本賛同・中立意見を撤回し、対抗買付けに対する賛同表明を行うことは妨げられないことになっているため、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会を過度に制限するものではないと考えております。
さらに、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅱ)検討・交渉の経緯」に記載のとおり、当社は、本件プロセスの実施を通じて、公開買付者を含む複数のパートナー候補に提案の機会を与えた上で、公開買付者との間で本取引を実行することを決定しており、本取引は、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等その他の取引機会が積極的に設けられた上で、実施されるに至ったものといえます。
したがって、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は十分に確保されたものと考えております。
(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項
当社は、公開買付者との間で、2025年8月6日(以下「本公開買付契約締結日」といいます。)付で、本取引に関し、本公開買付契約を締結しております。本公開買付契約において、当社は、①本公開買付契約締結日において、本賛同・中立意見を取締役会の決議をもって表明し、その旨を公表し、及び、②本公開買付契約締結日以降、公開買付期間が満了するまでの間、本賛同・中立意見を維持し、これを変更又は撤回(当社の株主及び本米国預託株式の保有者をして、本公開買付けに応募する意思を抑制させると合理的に認められる意見の表明その他一切の行為を含みます。)しない義務を負っています。また、本公開買付契約において、当社は、直接又は間接に、第三者との間で、(ⅰ)本取引と競合し、本取引の実行を困難にし若しくは遅延させ、又は本取引の実行の支障になるおそれがある一切の取引又は行為(本「(7)公開買付者と当社の株主との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項」において、以下「競合取引」といいます。)の提案、申込み若しくは申込みの勧誘又は競合取引に関連するいかなる情報提供、協議、交渉若しくは合意を行い又は行わせてはならず、かつ(ⅱ)本公開買付契約締結日において競合取引に関する協議又は交渉が既に開始又は継続されている場合には、速やかにこれを中止する義務(ただし、競合取引の提案が適格対抗公開買付け(注1)に係る提案(以下「適格対抗提案」といいます。)に該当するか否かを当社が判断するために必要最低限の範囲で、当該提案の提案者に対して情報提供を求めることは当該義務の違反を構成しません。)を負っています。ただし、公開買付者以外の第三者(以下「本対抗提案者」といいます。)が適格対抗公開買付けを公表若しくは開始し、又は本対抗提案者から適格対抗提案を受領した場合、本対抗提案者との間で、適格対抗公開買付け又は適格対抗提案に関する情報提供、協議又は交渉を行うことは妨げられません(なお、本賛同・中立意見の変更若しくは撤回又は第三者との競合取引に関する合意等は、以下のとおり、公開買付者が、再提案の期限までに、本公開買付価格を当該対抗公開買付けにおける買付け等の価格(以下「対抗公開買付価格」といいます。)以上の金額に引き上げる旨の再提案を行わないときにおいてのみできるものとされております。)。また、当社は、第三者から直接又は間接に競合取引の提案又は申込みを受けた場合、その旨及び当該提案又は申込みの詳細を速やかに公開買付者に対して通知し、競合取引への対応について公開買付者との間で誠実に協議する義務を負っています。
本公開買付契約において、当社は、適格対抗公開買付けが公表若しくは開始された場合又は適格対抗提案を受領した場合、本公開買付契約に定める自らの義務の違反がない場合に限り、公開買付者に対し、本公開買付価格の変更について協議を申し入れることができ、かかる協議申入れが行われた日から起算して5営業日後の日又は公開買付期間末日の3営業日前の日のいずれか早い日までに、公開買付者が本公開買付価格を当該対抗公開買付価格以上の金額に引き上げる旨の法的拘束力のある再提案を当社に対して行わないときは、本賛同・中立意見を変更又は撤回することができるものとされております。
(注1) 本公開買付契約において、「適格対抗公開買付け」とは、以下の条件を全て充足する対抗公開買付けと定義されております。
(ⅰ)当社が本公開買付契約に定める自らの義務に違反することなく、対抗公開買付けが公表若しくは開始され、又は対抗公開買付けに係る提案が行われたこと。
(ⅱ)①対抗公開買付けが開始された場合において、非公開化のために必要となる資力を本対抗提案者が有することの蓋然性が合理的に示され、かつ、非公開化に必要となる競争法令等及び投資規制法令等上の届出その他司法・行政機関等に関する手続の完了について合理的な根拠が示されていること。②対抗公開買付けの開始予定が公表された場合において、対抗公開買付価格及び取引の主要条件が明示され、非公開化に必要となる資力を有することの蓋然性が合理的に示され、かつ、非公開化に必要となる競争法令等及び投資規制法令等上の届出その他司法・行政機関等に関する手続の完了について合理的な根拠が示された、具体的かつ実現可能性があると合理的に認められる対抗公開買付けの予定であること。③対抗公開買付けに係る提案が行われた場合において、対抗公開買付価格及び取引の主要条件が明示され、非公開化のために必要となる資力を有することの蓋然性が合理的に示され、かつ、非公開化に必要となる競争法令等及び投資規制法令等上の届出その他司法・行政機関等に関する手続の完了について合理的な根拠が示された、具体的かつ実現可能性があると合理的に認められる、真摯な書面による法的拘束力のある提案であること。
(ⅲ)対抗公開買付価格が本公開買付価格を5%以上上回る金額に相当する取得対価(金銭、株式その他種類を問いません。)であること。
(ⅳ)買付予定数の上限が設定されておらず、また、下限は対抗公開買付けが成立した場合の本対抗提案者の保有する当社の議決権が全議決権の3分の2に相当する株数以上であり、かつ、対抗公開買付けによって当社株式の全てを取得することができなかった場合には、スクイーズアウト手続によって、当社を非公開化することを内容とするものであること。
(ⅴ)当社取締役会が、株主共同の利益の確保及び企業価値の向上、取引先に対する影響、資金調達の確実性、非公開化に必要となる競争法令等及び投資規制法令等上の届出その他司法・行政機関等に関する手続を踏まえた取引実行の確実性及び取引実行の時期その他の事情を考慮に入れた上で、対抗公開買付けが、本公開買付けよりも優れている可能性があると合理的に判断していること。
(ⅵ)当社取締役会が、当社と利害関係を有しない外部弁護士と協議の上で、対抗公開買付けに関する協議に応じないことが、当社の取締役としての忠実義務又は善管注意義務等違反を構成するおそれがあると合理的に判断したこと。
また、上記のほか、本公開買付契約においては、表明保証事項(注2)、当社の義務(注3)、補償条項、契約の終了・解除事由、一般条項が規定されております。
(注2) 本公開買付契約において、当社は、①制裁対象者による保有・支配の不存在並びに②経済制裁、資金洗浄防止、腐敗防止法制及び輸出管理法制に係る違反及び法的手続の不存在について表明及び保証を行っています。
(注3) 本公開買付契約において、当社は、当社グループにおける本公開買付契約締結日以前に行われていたのと実質的に同一かつ通常の業務の範囲内での業務遂行義務を負担しています。また、当社は、剰余金の配当その他の処分又は自己株式の取得、取引金額150億円以上の第三者への事業譲渡、取引金額150億円以上の保有資産の売却、担保設定その他の処分、表明保証の違反を構成し又は構成する具体的なおそれのある一切の行為、その他本公開買付けの撤回事由を生じさせ又は生じさせる具体的なおそれのある一切の行為を、公開買付者の事前の承諾なく行わない義務を負っています。
(1)普通株式
|
氏名 |
役職名 |
所有株式数(株) |
議決権の数(個) |
|
八木 毅之 |
代表取締役社長最高経営責任者(CEO) |
39,809 |
397 |
|
嶋岡 学 |
代表取締役副社長最高執行責任者(COO) |
107,220 |
1,072 |
|
浅井 功一郎 |
専務取締役 |
53,220 |
532 |
|
萩原 利仁 |
常務取締役最高財務責任者(CFO) |
10,227 |
102 |
|
髙尾 光俊 |
取締役 |
12,000 |
120 |
|
山田 和彦 |
取締役 |
- |
- |
|
髙瀬 正子 |
取締役 |
- |
- |
|
伊藤 雅彦 |
取締役 |
- |
- |
|
斑目 仁 |
取締役(常勤監査等委員) |
549 |
5 |
|
田邊 るみ子 |
取締役(監査等委員) |
1,209 |
12 |
|
出口 雅敏 |
取締役(監査等委員) |
299 |
2 |
|
計 |
|
224,533 |
2,242 |
(注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権数は、2025年6月30日現在のものです。
(注2) 取締役の髙尾光俊氏、山田和彦氏、髙瀬正子氏、伊藤雅彦氏、田邊るみ子氏及び出口雅敏氏は、社外取締役であります。
(注3) 所有株式数は、それぞれ株式累積投資における持分に相当する株式の数(小数点以下切り捨て。)を含めております。
該当事項はありません。
以 上