当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針等
当社は、「自然と共に生きる」を経営理念とし、経済と環境が共存する持続可能な社会を実現するために、アグロフォレストリーの恵みを革新的な商品にかえてお客様の美と健康に貢献します。また、お客様の感動と共感によって得られた「消費の力」でアグロフォレストリーの更なる発展に貢献するとともに、地球温暖化対策(CO₂削減)に貢献すべく経済が環境を復元させる「グリーン・エコノミー」の実現を推し進めてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、前事業年度までにおいて営業損失の計上により、継続企業の前提に疑義が生じていた事から、当社としては売上高の増加と仕入原価及び廃棄率低減による売上総利益の改善を目指すとともに、販売費及び一般管理費の削減にも努めることで、営業利益獲得と拡大を目標としております。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
次期の見通しにつきましては、わが国経済は、経済環境の変化に伴う人件費の増加、原材料価格・物流コストの上昇による物価高騰、アメリカの経済政策やウクライナ・中東地域を巡る地政学的リスクの影響等依然として先行き不透明な状況がある一方、国内の経済活動の回復に伴う個人消費の増加や旺盛なインバウンド需要により引き続き堅調に推移することが期待されております。
このような状況の中、当社は今後も「自然と共に生きる」を経営理念に掲げ、既存事業の強化を進めながら、次代に向けた経営基盤の強化に努め、持続可能で豊かな社会の実現に貢献できる事業の拡大を目指してまいります。
短期的な見通しといたしましては、前述の通り、引き続き顕著に表れている国内需要の盛り上がりに対して、日本におけるアサイーを用いた事業のパイオニアでありリーディングカンパニーとして応えるべく、国内アサイー事業にリソースを集中させることで、最大限の供給を行ってまいります。また、成長投資を含む中長期計画に関して、アサイーの事業展開においては、海外事業展開に向けた各国現地の市場リサーチ及びルートの構築、またテスト店舗の出店に向けては、協議を継続しており、ロケーションの選定や商品・オペレーションの確認などを進めております。並びに、サステナブルマッチングプラットフォーム構築については、プラットフォーム開発に関する開発委託先と要件定義及び実開発を進めております。まずは国内需要に対する供給体制を確保した上で、中長期的な成長に向けた取り組みを展開していく予定です。
各部門の取り組みについては、次のとおりであります。
①リテール事業部門
2026年3月期では「お家でアサイーボウルプレミアム」に次ぐバリューモデルである「お家でアサイーボウルS」を販売開始しております。若者世代の健康やダイエット意識の高まりがあり、「ギルトフリー」「ノーギルティ」というコンセプトの健康志向とストレスフリーな食事が注目されていることから嗜好品としてそのまま食べるだけではなく、自分でカスタムする楽しさや、家庭で手軽にアサイーボウルを作り日常的に食事として食べられる環境を提供してまいります。
②業務用事業部門
外食向け原料販売では、アサイーグロッソアイスを中心に、アサイーボウルやスムージーのベースとして活用されている商品の拡売・収益確保に取り組んでいくと共に、お客様からの要望に応えて、より使いやすい業務用商品の開発を進めてまいります。
メーカー向け原料販売については、他社品へと広がりをみせる市場の盛り上がりを確実に捉え、チャンスロスを起こすことのないよう、供給体制の強化に努めてまいります。また、前述の「CO2削減マーク」の他社製品への使用事例を武器に、近年特に重要な課題となっている「責任ある調達(サステナブル調達)」に対応した付加価値型原料としてさらなる拡大に努めてまいります。
③DM事業部門
時間や場所に縛られず、全国から商品を購入することができる特徴を活かし、ECから購入することによるメリットを最大化させた販売を行ってまいります。さらに、小売店とは異なり多くの商品を取り揃えている優位性や購入者の購買意欲につながる会員プログラムの実施など、特色ある自社サイトの構築を行い、売り上げ規模の拡大及び収益性の向上に取り組んでまいります。
④海外事業部門
全世界的な原料の不足や価格高騰する現状に対して、当社の特徴である現地生産者と直接繋がっている利点を活かし、アサイーやカカオに限らず様々なフルーツにおいて、当社にしかできないソリューションを提供することで、売上拡大を図ってまいります。また、その先にあるアグロフォレストリーを中心としたサステナブルマッチングプラットフォーム化に向けた取り組みを進めてまいります。
⑤調達・生産・物流管理(サプライチェーンマネジメント)部門
天候リスクに左右されない安定供給を行うための対策として複数航路の確保や、出荷時期の調整などに取り組んでまいります。さらに、在庫の有効活用及び原料調達のコントロールに加え、取引先選定及び在庫回転の管理強化を徹底してまいります。
また、エネルギー価格高騰の影響による値上げ要請や、物流に関する問題は当社のみならず業界全体が抱えておりますが、原材料の見直しや配送効率の改善により、費用負担の削減を図ってまいります。
⑥開発部門
「ナチュラル・新鮮・おいしい・本物」をモットーとした、より安心・安全で安定した品質管理を徹底してまいります。
さらに、より利便性の高い商品の開発のみならず、アサイーのパイオニアでありリーディングカンパニーとして活用方法を拡大させるメニュー開発やアサイーの従来の価値訴求に加え、アマゾンフルーツを活用したアプリケーション開発にも力を入れており、次期のさらなる拡販に向けて準備を進めております。
また、引き続きアサイーが持つ可能性を探求し、研究機関と協同で価値向上を促進させるための研究を行い、中長期的な事業拡大の基盤となるエビデンスを積み上げてまいります。
⑦経営管理部門
当社は「経済と環境が共存共栄する持続可能な社会の実現」を企業コンセプトに、創業以来、事業活動を通じて地域社会への貢献を着実に実践して参りました。もとより「自然資本主義」の考えは先駆的企業と自負しておりますが、脱炭素社会、循環型社会の取り組みなど、社会課題に対して企業の役割は重要性が増しております。
経営戦略と人材戦略の連動を図り、当社の進む方向性や戦略を共有し、日々の生産性を上げ、組織体制を構築することで、ESG及びSDGsと当社事業活動の関連を意識し、ネイチャーポジティブを実現しながら持続的に成長する企業を目指してまいります。
持続可能な社会を創る
アグロフォレストリーの多様性を考えれば、当社がアサイーやアマゾンフルーツを消費するだけでは十分と言えません。アグロフォレストリーの森には、それ以外にもさまざまな産物が眠っています。それらをバランス良く消費していくことが、森の再生と発展にとって極めて重要です。しかし、当社だけではこの多様な産物を使用するのは至難の業です。
ゴムを例にとりますと、当社にゴムを使用した製品はありませんが、自動車メーカーなどではゴムを原材料とすることが可能です。このように、他業界の企業に声をかけ、森の多様な産物をバランス良く消費することで、よりサステナブルに森が再生できるのです。この理想がグリーンアライアンスです。
(1)ガバナンス
当社は、経営者が会社全体の財政状況、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している様々なリスクに対し、経営に関する重要事項について十分に審議のうえ、的確かつ迅速な意思決定ができるよう、原則として月1回の取締役会の開催に加え、取締役(社外取締役を除く)及び社長が指名するゼネラルマネージャー及びシニアマネージャー等により構成された経営会議を週1回開催しております。経営会議では、経営戦略に関わる事項ならびに各部門の重要な執行案件について報告及び審議を行い、経営会議に付議された議案のうち必要なものは取締役会に上程されます。
また、当社では、気候変動問題はサステナビリティに関わる重要な課題の1つと考え、取締役会における監督とサステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、サステナビリティに関わるゼネラルマネージャー及びシニアマネージャーで構成された、サステナブルチームを新たに新設いたしました。
取締役会は、気候変動問題、SDGsの重点課題を含むサステナビリティに関わる取り組みに対し、年1回以上、サステナビリティ委員会より報告を受け、進捗状況の監督・評価を行うとともに、適切に方針・取り組みの見直しを行います。
サステナビリティ委員会は、当社代表取締役社長を委員長とし、気候変動問題をはじめ、サステナビリティに関する最新動向の調査・研究、進捗状況の確認と取り組み方針についての審議を行い、取締役会へ報告・提案を行います。
サステナブルチームは、取締役会やサステナビリティ委員会で決定された方針や取り組みを実行すると共に、サステナビリティレポートを作成し、ステークホルダーの皆様へ向けて開示しております。
(2)戦略
自然環境と共存し、森を再生しながらその恵みを収穫するアグロフォレストリー農業をビジネスと連結させるという発想が、当社の出発点です。アグロフォレストリーは素晴らしい農法ですが、それだけでは販売力が無いため農家の収入につながらず、持続できずに終わってしまいます。その産物を当社が買い上げることで農家は収入を得て、アグロフォレストリーが持続可能になるのです。すなわち、良い農業が持続する(=良い食品が消費者の口に入る)には、良い農業をする人たちに収益がもたらされる必要があります。
当社は経済の力、マーケティングの力でより良い農業の持続発展に貢献します。当社の経営は、より良い農業を実施する現地の人たちにとって、召し上がるお客様にとって、将来の世代にとって、そしてもちろん当社にとって「良い」ものを生み出していくことを目指しております。
活動のテーマとする大きな柱
①市場側からのアグロフォレストリーの普及促進
市場側からアグロフォレストリーの発展を促すことで、生産地の所得格差の緩和、森林破壊の抑制、生物多様性の回復、気候変動への対策などのSDGsの達成に貢献できるよう活動してまいります。
②アサイーやアマゾンフルーツの機能性活用による健康サポート
当社が扱うアサイーやアマゾンフルーツは、天然のサプリメントの如く機能性が期待されるものも多く、日々の体調管理における活用を訴求し人々の健康的な生活の実現を促進しています。
③エコをベースとした取り組み
自社の事業においても、持続可能な原材料の調達や環境負荷の低減などに取り組み、より環境に優しい経営を目指しています。
人的資本経営の取り組み
会社のパーパスと個人のパーパスのすり合わせを行い、仕事の本質を「時間の提供」から「価値の創出」と考える企業文化への転換を目指しております。一人一人の活動の結果、残業時間についても減少傾向となっております。
多様性の推進については、『ダイバーシティ&インクルージョン』を掲げ、組織改革を推進しております。特に「男女」について、女性役職者比率が向上しており、2025年3月期からは新たに「男性の産休取得」と「男女の性別役割分担の見直し」を目標に掲げ、さらに本質的な取り組みにも着手してまいりました。「年代」についても、世代の多様性を受け入れ、当社創業から20年が経過しておりますが、2026年3月期には、平均年齢が下がる見込みとなっております。
当社は、多様な人材を確保し、その多様性を認め合い一体となって働くことを目指しております。
(1)リスク管理
当社において、リスク管理は事業を継続していく上で最重要課題であると共に、最大の機会であると考えております。実際に当事業年度において供給面では、原料供給元でもあるブラジルのアマゾン川や、日本輸入の際の航路となっているパナマ運河の水位が低下し、干ばつが起こる中で、輸入計画にも大きな狂いが生じ、店頭での欠品・品薄が発生する結果となりました。これらの要因となっている急激な気候変動は、我々の事業の根幹でもあるアグロフォレストリーの重要性を改めて感じさせる出来事であり、引き続き経済と環境が共存共栄する持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
前述の出来事以降、当社ではリスクモニタリングを行うなどして、気候変動関連のリスクを含めて、リスクマネジメントを統括して管理しております。一方で、影響度と発生確率でリスクの重要度を判断する従来型のリスク管理手法だけでは、気候変動リスクの把握には十分ではない場合もあると判断し、起こる可能性はわからないものの、起きた場合に事業に極めて大きな影響を与えるリスクについては、シナリオを設定して分析・評価することで、重要リスクを抽出・検討することといたしました。リスク管理のプロセスは、リスクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けをしたうえで、委員会等で回避・軽減・移転・保有などの対策を決定、進捗管理をし、重要なリスクについては定期的に取締役会に報告しております。
また、当社は、自然に関する企業のリスク管理と開示の枠組みを構築するために設立されたTNFDへの参画をしております。TNFDの考え方に基づき、シナリオ分析を行い、事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略へ盛り込む活動を実施してまいります。今後も財務への影響を検証するなど充実させる予定であり、サステナビリティ委員会と内部統制委員で、気候関連のリスク(物理リスク及び移行リスク)を管理していきます。
(2)指標及び目標
フルッタフルッタは2030年までにアグロフォレストリー原料の使用を通して累計450,000トン(注1)のCO₂削減を目指します。
フルッタフルッタでは、アグロフォレストリーの多様性栽培に関わることで、これまで経済の通例であったモノカルチャー栽培が如何に自然と逆行する手法であったかを痛感させられてきました。そして、従来の農業が自然資本(注2)を搾取する経済活動であったのに対し、アグロフォレストリーは 自然資本を保全し回復させる未来型の農法といえます。従来の産業を中心としていた資本主義に対し、限りある自然資本を中心に据えたのが「自然資本主義」です。その生産性の改善と回復に重点を置いた新しい資本主義といえます。 私たちは、事業活動を通してアグロフォレストリーの発展に貢献していく中で、アグロフォレストリーの概念ともいえる「自然と共に生きる」を広め、この新しい経済メカニズムを日本国内及び世界に提唱し、経済と環境が共存共栄する持続可能な社会を実現することを目指し、上記目標設定と致しました。
(注1)目標値は、中長期計画で見越している2031年3月期までの売上高(取引高)から算出したアグロフォレストリー原料の調達量に基づき、そこから得られるCO₂削減量を創業時から累計して算出しています。なお、現時点では65,000tを削減している見込みです。
(注2)自然資本:植物、動物、土壌、鉱物、水、大気など、自然によって形成される資源のこと。
以下において、当社の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社は、これらのリスク発声の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社の外的要因による事項もあり、当社株式に関する投資判断は本項及び本書中の本校以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は現時点において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
① 事業内容に関するリスク
(a)アマゾンフルーツ仕入のCAMTAへの依存について
当社は2002年12月に初回の締結が行われ、その後2021年10月に最新の更新が行われたCAMTAとの取引基本契約により、CAMTAが生産するアサイー及びその他のフルーツの冷凍パルプの日本における独占販売権及び米国、オーストラリア、中国、韓国、ニュージーランド及びオセアニア諸国において商品を販売する権利を有しております。
当社は同取引基本契約に基づき、当社が扱うアサイーを含むアマゾンフルーツ冷凍パルプについて全てをCAMTAから購入する義務を負っており、当社の製商品のほとんどに、それらアマゾンフルーツ冷凍パルプが用いられております。
当社の製商品にはこれらのアマゾンフルーツに他の果物等を加えるため、2025年3月期の当社の製品売上原価のうち材料費に占めるCAMTAからの仕入金額は7割以上、商品売上原価のうち商品仕入高に占めるCAMTAからの仕入金額は9割以上となっております。
このように、現時点での当社の事業活動は、同取引基本契約に基づくCAMTAからのアマゾンフルーツ仕入を前提とし行われております。
同取引基本契約の有効期限は、更新日より5年間(現契約は2026年10月まで)となっております。また、その更新は両者間において更新に異議がない場合は、自動的に5年間の契約延長がなされることとなっており、契約解除条項は存在しません。
当社は創業時よりCAMTAとの絆を大切にしてまいりました。当社は本社から年数回CAMTAを訪問する等CAMTAとの良好な関係維持に努めつつ、品質の確認、生産・財務状況の確認等を行っております。また、アサイー冷凍パルプの購買にあたっては、同取引基本契約に基づいて、毎年個別購買契約を締結し、購入数量の確保及び価格の安定化を図っております。
今後においても、原料の安定確保のためCAMTAとの関係強化を図ってまいりますが、CAMTAとの関係の変化、取引縮小、原料等の価格引き上げ、本地域における自然災害などがあり、CAMTAからアサイー等を計画通りに仕入れることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(b)売上高におけるアサイーの依存について
当社の売上高実績に占めるアサイー関連事業の売上高(当社全体の売上高からカカオ豆の卸販売や、アサイー以外の冷凍フルーツパルプの販売といった、アサイーに直接関係しない事業分を除いた売上高)の割合は、2025年3月期において9割以上となっております。
当社としましては、アサイービジネスの一層の拡大に注力する一方、アサイー以外のアマゾンフルーツを用いた商品の開発、販売等にも取り組み、当社全体としての事業の拡大を図っております。世界的な消費者の「健康志向」「本物志向」という潮流の中でアサイー認知度が急激に向上したことなどから、最近においてアサイー関連市場は拡大しましたが、消費者の嗜好の変化等によってアサイー関連市場の大幅な縮小を余儀なくされる等、予期せぬ事態が発生した場合、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(c)アサイーの仕入について
当社は、アサイー及びアサイーを原料とした製品販売を主体としており、安定的なアサイーの確保のための灌水設備等の現地投資や、他のアマゾンフルーツの売上比率の向上などを検討し、リスク低減を図っております。しかしながら、天候不順等によるアサイー価格の高騰、品質劣化等により、アサイーを適正価格で仕入れることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(d)食の安全性について
当社の仕入先であるCAMTAは栽培から製造まで一貫して品質管理を行っており、それ以外の原料・外注委託については、当社が品質の確認を行っております。また、表示についても当社で確認するとともに、保健所等の行政機関に対しても確認を依頼しております。しかしながら、万が一大規模な商品回収を実施した場合、もしくは当社の商品に直接の問題がない場合であっても、食品業界全体やブラジル産食品、アサイー等に対する風評などにより当社商品に影響がある場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(e) 健康機能性表示取得について
アサイーの造血機能研究は造血に関わるメカニズムを解明し、臨床試験や関与成分の追加研究により、最終的に機能性表示取得を目指していますが、臨床試験や研究結果によっては取得できない可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(f)競合について
当社は、“経済が環境を復元させる事業モデルの構築~グリーンエコノミーの実現~”を企業コンセプトとし、アマゾンフルーツをわが国に普及、拡大すべく事業を展開しておりますが、フルーツ飲料を含む飲料市場においては、大手企業を含む多くの企業が事業展開していることもあり、今後有力な競合先が現れる可能性があります。今後、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(g)為替相場の変動について
当社は、CAMTA及び海外OEM工場への製商品代金の支払いはドル建てで行っており、為替相場の変動の影響を受けております。直物為替等の活用により、為替リスクを回避する努力を行っておりますが、業容の拡大に応じて適時にすべての為替リスクをヘッジできる保証はなく、為替相場の変動が短期間に乱高下した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(h)訴訟に関するリスクについて
当社は、研究開発をはじめその事業活動において第三者の知的財産権を侵害することのないように細心の注意を払っております。しかしながら、知的財産権を侵害したとして第三者から不測の訴訟を提起され、その結果によって損失が発生する場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(i)情報の漏えい等に関するリスクについて
当社は、事業運営に必要な、お客様を含む個人情報や経営にかかわる重要情報等の機密情報を多数保有しております。当社は、これらの情報管理の重要性を十分認識し、JAPHICマークも取得しております。また、従業員に対する教育の実施など、システム管理を含めた適切な対策を実施しております。しかしながら、現時点で予期しえない不正アクセスやコンピューターウィルスの感染等による機密情報の漏えい、改ざん、消失等が起こった場合は、当社の信用失墜に繋がり、今後の営業活動に影響を及ぼし、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 事業体制に関するリスク
(a)代表者への依存について
当社の創業者であり、事業推進者である代表取締役の長澤誠は、経営方針や経営戦略等、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。
当社においては、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、執行役員制度の導入等により権限移譲を進めておりますが、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(b)小規模組織であることについて
当事業年度末現在における当社組織は、取締役3名(うち社外取締役1名)、監査役3名(うち社外監査役2名)、従業員31名の小規模な組織であり、内部管理体制や業務執行体制はこの規模に応じた組織で対応しております。このため、業容拡大に応じた人員を確保できず役職員による業務遂行に支障が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ その他のリスク
株式の希薄化に関するリスク
当社は、2023年11月13日開催の取締役会において、第11回乃至第13回新株予約権並びに第14回及び第15回新株予約権の発行決議を行っており、行使期限を2030年12月17日としており、2025年3月末時点で未行使の新株予約権が合計で551,800個となっております。それまでに本新株予約権の行使による発行株式合計55,180,000株が発行されることとなります。
本新株予約権の行使により、当社普通株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化し、当社株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
④継続企業の前提に関する重要事象等について
当社は、前会計年度末において、継続して営業損失、経常損失、当期純損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりました。
このため、当社は以下の各施策によって、事業面及び財務面の安定化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいりました。
①徹底的なコスト管理・コスト削減
新型コロナウイルス感染症の全世界的な感染拡大が顕在化した2021年3月期以降、販売費及び一般管理費の見直しを行っており、倉庫料、荷造運賃費を一定の率内に収める変動費のコスト管理に加えて、広告宣伝費の費用対効果を再測定したコスト削減など固定費の圧縮を行ってまいりました。今後も、売上高に見合った販売費及び一般管理費となるよう引き続きコストコントロールを実行してまいります。
②成長するアサイー市場に向けた取り組み
アサイーの世界市場規模は2023年時点で約10億米ドルと評価されており、約12.5%の年平均成長率で成長し、2036年までに約40億米ドルに達すると予測されています。中でも、特にアジア太平洋地域におけるアサイーの市場規模は、大幅な成長が予測されており、2036年末までに最大10億米ドルの市場規模に達すると予想されています。成長に寄与する主な要因は、政府の支援政策に支えられたヘルスケア及び製薬分野の急速な拡大です。(注1)また、日本市場においても、近年のコロナ禍を経て、アサイーの健康価値が再注目され、アサイー市場の再活性の兆しが見えていると考えております。当社は、日本におけるアサイーを用いた事業の先駆者として、日本国内におけるさらなる拡大はもちろんのこと、今後はアジアを中心とした世界に向けて、アサイーを中心としたアマゾンフルーツの健康価値の啓蒙普及活動を行うとともに、アサイーを中心としたアマゾンフルーツの原料・製品を販売していき、アジアにおけるメインプレイヤーとなることを目指した結果、当会計年度の売上高において前年同期比226.2%を達成いたしました。
(注1) 「世界のアサイ ベリー市場に関する調査レポート:予測2024-2036年」SDKI.Inc.
③資金の確保
当会計年度末における現金及び預金は1,886,776千円と、前会計年度末比1,509,051千円増加しております。資本増強のため、2023年12月に第11回乃至第13回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行並びに第14回及び第15回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、当会計年度において第11回新株予約権及び第15回新株予約権の権利行使により1,683,777千円を調達し、当該新株予約権については行使完了いたしました。これにより、当該会計年度末における純資産は2,955,961千円となり、前会計年度末比1,980,184千円増加しております。
以上の対応策の実施により、現時点において継続的な営業損失、経常損失、当期純損失は解消し、重要な資金繰りの懸念も解消されております。また、当社が主力とするアサイー市場におきましても、引き続き盛り上がりをみせており、当社の業績は拡大傾向にあります。
従いまして、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象等は解消されたと判断しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a 財政状態
当事業年度末の資産の残高は、前事業年度末より1,903百万円増加して、3,547百万円となりました。
当事業年度末の負債の残高は、前事業年度末より76百万円減少して、592百万円となりました。
当事業年度末の純資産の残高は、前事業年度より1,980百万円増加して、2,955百万円となりました。
b 経営成績
当事業年度の事業成績は、売上高、売上総利益、販売管理費を事業成績の指標として掲げておりましたが、各指標において当初の計画を達成し、売上高、売上総利益について、前年比で増収、黒字化となりました。
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(単位:千円) |
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前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減額 |
増減率 |
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売上高 |
1,136,859 |
2,549,465 |
1,412,605 |
124.2% |
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売上原価 |
780,455 |
1,589,328 |
808,873 |
103.6% |
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売上総利益 |
356,404 |
960,136 |
603,732 |
169.4% |
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販売費及び一般管理費 |
619,493 |
730,492 |
110,999 |
17.9% |
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営業利益又は営業損失(△) |
△263,088 |
229,643 |
492,732 |
- |
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経常利益又は経常損失(△) |
△306,982 |
234,275 |
541,258 |
- |
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当期純利益又は当期純損失(△) |
△306,442 |
270,978 |
577,421 |
- |
売上高は2,549,465千円(前年同期比224.2%)と大幅な増収となりました。これはアサイー関連商品が引き続き好調であること、大手外食企業での原料採用が進んだこと及びECサイトの売上拡大が大きく貢献しております。原料不足の反省から大幅増量にて実施した2025年度向け新規調達が完了したことで、新規収穫のアサイー原料が国内へ到着し、商品供給量の回復、在庫の確保が進みました。十分な供給量の回復により、国内外食店舗でのアサイー需要増加及びアサイーを自宅で日常的な食事とすることでの需要増加に応えたことで、一層顕著に表れております。
また、主力の冷凍アサイーピューレやお家でシリーズ、フルッタアサイーシリーズが、健康志向の高まりやサステナブルな消費への関心の高まりを背景に、小売およびECチャネルを中心に販売を大きく伸ばしております。この背景の一部にも、前述のアサイー人気の火付け役と同じく、自らの行動で環境や社会課題の解決に貢献するといった志向が強いZ世代のサステナブル・エシカル消費が関係しており、消費のあり方を変えようとする力が、当社ビジネスの後押しとなっております。
今後もこれらの盛り上がりを見せる国内需要を確実に捉えつつ、主力商品であるアサイーの拡販、事業の根幹であるアグロフォレストリーのプラットフォーム化に向けて、コアビジネスの強化・拡大を図ってまいります。
売上原価は、1,589,328千円(前年同期比203.6%)となりましたが、売上高の増加に伴うものであり、売上総利益は960,136千円(前年同期度比269.4%)と大幅に増加いたしました。
販売費及び一般管理費は730,492千円(前年同期比17.9%増)となりました。これは、売上高増加に伴い物流コスト(倉庫料、荷造運賃発送費)が95,202千円増加しましたが、物流コストの上昇が続く中で、在庫回転率の上昇に伴い倉庫料を圧縮することができ、売上高の増加率と比較すると抑制的な範囲に留まっております。
これらの結果、営業利益は229,643千円(前会計年度は263,088千円の営業損失)、経常利益は234,275千円(前会計年度は306,982千円の経常損失)、当期純利益は270,978千円(前会計年度は306,442千円の当期純損失)と、いずれも黒字転換を達成いたしました。
②成長戦略概況
当事業年度、当社は短・中期的な成長戦略の柱として、① アサイーの事業展開、② サステナブルマッチングプラットフォームの2つの成長戦略を掲げて取り組みを進めてまいりました。2025年6月20日に公表した「事業計画及び成長可能性に関する事項成長戦略」の計画に沿って実施しております。
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短中期成長戦略 |
主要取組みの内容(一部抜粋) |
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1 アサイーの事業展開 |
アサイー及びアマゾンフルーツの原材料調達 |
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2 サステナブルマッチングプラットフォーム構築 |
プラットフォームの開発、プロモーション |
(a) アサイーの事業展開
当社の2025年3月期の売上高が2,549百万円(前年度比224.2%)と伸長していることも示すようにアサイーの国内需要が大幅に増加しております。当社は本格的な国内市場の拡大を業績拡大のチャンスと捉え、さらなる販売、商品拡充の強化を図っており、これに伴い今後潤沢な原料の仕入れが不可欠となっております。大手企業とのコラボなどによりアサイーの国内需要増に伴い原料の必要量が増加していることに加え、原料の仕入単価が上昇していること、また、輸入元であるCAMTA(ブラジル連邦共和国パラー州のトメアス総合農業協同組合)に十分な在庫を確保してもらうためには、先立つCAMTAから生産者への支払いが増加するため、CAMTAに対して当社の年間の仕入予定額のうち一定額を前金で支払うことが必要となることから、アサイー原材料の仕入資金の増加が見込まれます。
また、当社は、アサイー以外のアマゾンフルーツについても販売を強化してまいります。例として、アマゾン産のピタヤ(レッドドラゴンフルーツ)にザクロをブレンドした『ピタヤスムージー』を2025年3月下旬より全国の小売店、量販店にて順次発売を開始しております。ピタヤの世界市場規模は2023年時点で約43億米ドルと評価されており、約5.0%の年平均成長率で成長し、2032年までに約66億米ドルに達すると予測されています。世界のピタヤ市場には健康志向の消費者、特に世界のピタヤ消費者の60%を締めるミレニアル世代とZ世代の間で需要が前例のないほど高まっているとされています。
また、ピタヤ以外のアマゾンフルーツについてもアサイーボウルと掛け合わせて使用する提案により販売を強化することを検討しております。大手飲食店においてもアサイー×グアバの商品が販売されるなど、今後拡大が見込まれます。
(b) サステナブルマッチングプラットフォーム構築
アグロフォレストリーを 「ネイチャーポジティブ」と「CO₂削減」を両立させるソリューションと位置づけ、事業を通じて課題解決に向け貢献してまいります。その一環として、アグロフォレストリーで栽培された作物をはじめとした、サステナブル商材に特化して取引するサステナブルマッチングプラットフォームの開発を行う予定です。プラットフォーム内では、現状当社が取り扱っております約40品の商材だけでなく、プロモーションを行い他社にもプラットフォームで出店していただくことで、サステナブルに関連する他社の商材も取り揃えることを想定しており、最終的には「サステナブルに関連するものはここに来れば揃う」と認識されるプラットフォームとしていくことを目指しております。COP30が2025年12月にブラジルのパラ州の州都ベレンでの開催されることが決まり、アグロフォレストリーがサステナブルソーシングとして国際的に注目される可能性も高くなっている中で、民間企業として、サステナブルマッチングプラットフォームの構築及び稼働 を実現させることで、海外においては2030年に7,294億ドル(約102兆円)に達する見通しとなっている海外エシカル食品市場において約500億円、国内においては2030年には2兆6,556億円~6兆円に達する見通しとなっている国内サステナブルフード市場において約200億円の合計約700億円の取引高を2031年3月期までに達成することを目標とし、その取引高から得られるプラットフォーム利用料を収益としていきたいと考えております。
③資本政策の進捗
当社は、EVO FUND(Cayman Islands、代表者:マイケル・ラーチ、リチャード・チゾム)との資本政策をすすめたことで、新株予約権の行使等も含めた資本政策により財務基盤の安定化に取り組んでまいります。今後も引き続き有効と考えられる施策につきましては、積極的に実施してまいります。
④事業別の取組み
当社は輸入食品製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。事業別の売上高は次のとおりであります。
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(単位;千円) |
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前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減額 |
増減率 |
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リテール事業部門 |
548,788 |
1,096,471 |
547,683 |
99.8% |
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業務用事業部門 |
417,665 |
1,132,658 |
714,992 |
171.2% |
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DM事業部門(注1) |
151,676 |
301,860 |
150,183 |
99.0% |
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海外事業部門 |
18,729 |
18,475 |
△254 |
△1.4% |
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合計 |
1,136,859 |
2,549,465 |
1,412,605 |
124.2% |
ⅰ.リテール事業部門
スーパーマーケットを中心とした小売店について、上半期はお家でアサイーシリーズのフラッグシップモデルとなるカップ入りアサイーボウルの「お家でアサイーボウルプレミアム」の新商品が好調に推移する一方で、下半期においては冷凍アサイーピューレやお家でアサイーボウル、フルッタアサイーシリーズが好調に推移し、売上高に大きく貢献しました。
家庭で簡単にアサイーを楽しめることを促進して、アサイーをさらに日常の中に取り入れる動きを加速させる取り組みとして、アサイーとヨーグルトの組み合わせを積極的に提案しクロスセルの販売を実現させるべく、スムージーを「飲む」だけでなく「食べる」目的でも訴求を行ってまいります。
また、シーンを問わず毎日飲みやすいスムージーとして、新たに、アマゾン産のピタヤ(レッドドラゴンフルーツ)にザクロをブレンドした『ピタヤスムージー』を2025年3月下旬より全国の小売店、量販店にて順次発売いたしました。レッドピタヤは見た目の華やかさとともに特有の栄養素が含まれることから、近年世界ではスーパーフードとして注目が集まっております。世界のピタヤ市場は2032年までに約100億円の収益を生み出すと予測されており、アサイーに並ぶ可能性を持つ商品であると位置づけております。
これらの結果、当会計年度のリテール事業部門の売上高は1,096,471千円(前年同期比199.8%)となりました。
ⅱ.業務用事業部門
個店向けの業務用通販サイトBIZWEBの売上高は前年同期比387.5%と伸長し、アサイーボウルやスムージーのベースとして活用されている商品やアサイーグロッソアイスを中心に大きく貢献いたしました。
外食部門においてはアサイーがあらゆる素材と組み合わせやすいことから、当社原料及び商品を採用する動きが一層顕著に表れております。
2025年1月には株式会社ロック・フィールドが運営するジューススタンドの「ベジテリア」では、2024年10月に発売された「アサイー&ベリー」に続く第2段として、「アサイーバナナ&ヨーグルト」のが発売されました。
タリーズコーヒージャパン株式会社からは、植物性ミルクの代表格である豆乳を使用したドリンクシリーズの一つとして2025年3月に「豆乳アサイーバナナスワークル」が発売され、アサイーとプラントベースフードとの相性の良さを示しております。
前述2社のようなアサイーをドリンクベースとして使用するのみではなく、他の素材と組み合わせるソースとしての採用例もうまれております。株式会社ドトールコーヒーでは「アサイーヨーグルン」に当社の濃厚なアサイーがソースとして採用され、食事がわりとなるアサイー×ヨーグルトの展開が行われております。
また、コロワイドグループが運営するかっぱ寿司では、2024年11月に間限定で展開された第1弾の「サステナスイーツ」が多くの反響を呼んだことで第2段の販売が開始されました。第2段では当社のピンクグァバも採用され、アサイーの国内需要の盛り上がりが引き続いていることだけでなく、CO₂削減に対するお客様の意識の高まりに応えるために、当社事業の根幹であるアグロフォレストリー原料及び商品を各企業が採用する関心の高さがうかがえます。当社の強みであるメニュー開発力を武器に、アサイーやアマゾンフルーツを活用したメニュー提案など積極的なアプローチを行っており、今後も店舗でのオペレーション効率と品質・味の安定を考慮した、より使いやすい商品の開発のみならず、アサイーのパイオニアでありリーディングカンパニーとして各店舗での活用方法を拡大させるメニュー及び販促提案を提供することで、業務用の軸をさらに拡大させてまいります。
メーカー向け原料販売については、引き続く市場の盛り上がりによって自社品から他社品へと広がりをみせており、アサイー5倍濃縮エキスやフリーズドライパウダーなどサステナブル原料に関する問い合わせは日に日に増加しております。前述の「CO2削減マーク」の他社製品への使用事例を武器に、近年特に重要な課題となっている「責任ある調達(サステナブル調達)」に対応した付加価値型原料としてさらなる拡大に努めてまいります。
これらの結果、当会計年度の業務用事業部門の売上高は1,132,658千円(前年同期比271.2%)となりました。
ⅲ.ダイレクト・マーケティング事業部門(DM事業部門)
一部商品においては、出荷制限を設けながらの販売となっておりましたが、原材料調達が進み、供給体制が整ったことで安定供給による販売拡大が示されております。商品をお得にお届けする継続購入施策などを行っている自社ECサイトの売上高は前年同期比295.1%と伸長し、お家でシリーズ大ヒット商品である「お家でアサイーボウル」を7日間セットにした「お家でアサイーボウル7パック」が売上高に大きく貢献いたしました。
また、近年、女性の健康課題に特化した製品やサービス「フェムテック」への注目が高まっています。お家でシリーズの中でアサイーと並ぶ姉妹品でありヒット商品となっている「お家でピタヤボウル」と新商品である「ピタヤスムージー」によってピタヤがもつ鮮やかな色と豊富な栄養素のポテンシャルを最大限に活かし、QOL向上に貢献する新たな価値提供のアプローチを行ってまいります。
この結果、当会計年度のダイレクトマーケティング事業部門全体の売上高は301,860千円(前年同期比199.0%)となりました。
ⅳ.海外事業部門
引き続き全世界的なカカオ豆原料の不足や、カカオ先物価格が高騰する上昇基調の状況となっておりますが、当社のカカオビジネスはCO₂削減量の観点からも大きな役割を担っているため、当社の特徴である現地生産者と直接繋がっているという利点を活かし、引き続きCAMTAと協力しながら安定的な供給に向けて取り組んでまいります。
また、近年、次世代型食料供給産業に注目が集まる中で、近い将来、アグロフォレストリーが国際機関の目指す「温暖化ガス削減」や「ネイチャーポジティブ」の数少ない成功事例となり得ることを鑑み、2025年11月のCOP30に向けて、アグロフォレストリーを中心としたサステナブルマッチングプラットフォーム化に向けた取り組みを進めております。当社にしかできないソリューションを提供することで、売上拡大を図ってまいります。
この結果、海外事業部門の当会計年度の売上高は18,475千円(前年同期比98.6%)となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,509,051千円増加し、当事業年度末には1,886,776千円になりました。
なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果使用した資金は436,553千円(前事業年度は248,809千円の使用)となりました。
これは主に、仕入債務の増加161,177千円と税引前当期純利益234,275千円がある一方で、棚卸資産の増加619,716千円及び売上債権の増加155,908千円の計上があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果得られた資金は584,912千円(前事業年度は35,659千円の獲得)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入589,104千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は1,358,842千円(前事業年度は339,447千円の獲得)となりました。
これは主に、社債の償還による支出300,000千円及び資金調達費用の支払いによる支出24,933千円がある一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,683,777千円があったこと等によるものであります。
⑥生産、受注及び販売の実績
当社は輸入食品製造販売事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。また、当社は、複数の事業部門で同一種類の商品を取り扱うため、生産実績及び商品仕入実績については、商品群別に記載をしております。
(a)生産実績
当事業年度の生産実績を商品群別に示すと次のとおりであります。
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商品群の名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前事業年度比(%) |
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チルド商品(千円) |
681,151 |
155.1 |
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冷凍商品(千円) |
423,294 |
338.7 |
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常温商品(千円) |
41,224 |
121.7 |
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合計(千円) |
1,145,670 |
191.6 |
(b)商品仕入実績
当事業年度の商品仕入実績を商品群別に示すと次のとおりであります。
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商品群の名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前事業年度比(%) |
|
チルド商品(千円) |
- |
- |
|
冷凍商品(千円) |
663,419 |
446.3 |
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常温商品(千円) |
47 |
152.4 |
|
合計(千円) |
663,466 |
446.2 |
(c)受注実績
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(d)販売実績
当事業年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
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事業部門の名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前事業年度比(%) |
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リテール事業部門(千円) |
1,096,471 |
199.8 |
|
業務用事業部門(千円) |
1,132,658 |
271.19 |
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DM事業部門(千円)(注1) |
301,860 |
199.02 |
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海外事業部門(千円) |
18,475 |
98.64 |
|
合計(千円) |
2,549,465 |
224.26 |
(注1)ダイレクト・マーケティング事業部門
当事業年度の販売実績を商品群別に示すと次のとおりであります。
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商品群の名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前事業年度比(%) |
|
チルド商品(千円) |
912,312 |
156.2 |
|
冷凍商品(千円) |
1,550,667 |
327.1 |
|
常温商品(千円) |
86,485 |
110.0 |
|
合計(千円) |
2,549,465 |
224.3 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります
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相手先 |
前事業年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
三菱食品㈱ |
132,238 |
11.63 |
400,286 |
15.70 |
|
タリーズコーヒージャパン㈱ |
105,816 |
9.31 |
226,038 |
8.87 |
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用後の数値としております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。その詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は2,549,465千円(前事業年度比124.2%増)となりました。
主な要因として、全ての事業部門で売上高が増加したことによるものであります。
また、各事業部門の当社売上高に占める割合は、リテール事業部門が43.0%、業務用事業部門が44.4%、
DM事業部門が11.8%、海外事業部門が0.7%となっております。
(売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、前事業年度より603,732千円増加し、売上総利益960,136千円となり、売上総利益率は前事業年度より169.4%の増加となりました。
主な要因として、当事業年度においては、想定以上の円安による影響と、欠品・品薄の対策として立ち上げた国内製造による加工費の増加により、売上高の伸長率と比べると、売上総利益の伸長率は鈍化したことで低下しました。
(営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度より110,999千円増加し、703,492千円(前事業年度比17.9%増)となり、売上高販管費率については、25.8ポイント減少し、28.6%となりました。
主な要因として、売上高増加に伴い物流コスト(倉庫料、荷造運賃発送費)が95,202千円の増加となっておりますが、物流コストの上昇が続く中で、在庫回転率の上昇に伴い倉庫料を圧縮することができたことにより、売上高伸長率に比例した一定の率内に抑えることができております。
結果として、営業利益は229,643千円(前事業年度は営業損失263,088千円)となりました。
(経常利益)
当事業年度における営業外収益は、前事業年度より23,232千円増加し、25,348千円(前事業年度比1,097.8%増)となりました。営業外費用は、前事業年度より25,293千円減少し、20,716千円(前事業年度比54.9%減)となりました。
主な要因として、円高の影響による外貨建債務の為替差益を24,353千円計上した一方で、成長投資に必要な資金調達に関する費用を17,452千円計上したことなどによるものであります。
結果として、経常利益234,275千円(前事業年度は経常損失306,982千円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純損失は、前事業年度より577,421千円増加し、当期純利益270,978千円(前事業年度は当期純損失306,442千円)となりました。
財政状態の分析
ⅰ 資産
当事業年度末における総資産の残高は、前事業年度末より1,903,425千円増加して、3,547,978千円となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、2,388,989千円増加して、3,404,526千円となりました。
この主な要因は、現金及び預金が1,509,051千円、商品及び製品が431,282千円、原材料及び貯蔵品が188,433千円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、485,564千円減少して、143,452千円となりました。
この主な要因は、当社が保有している株式会社REVOLUTION株式の投資有価証券が565,352千円減少したこと等によるものであります。
ⅱ 負債
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末より76,758千円減少して、592,017千円となりました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、76,767千円減少して、588,252千円となりました。
この主な要因は、買掛金が161,177千円増加した一方で、1年内償還予定の社債が300,000千円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、3,764千円となりました。
ⅲ 純資産
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末より1,980,184千円増加して、2,955,961千円となりました。
この主な要因は、当期純利益を270,978千円計上したこと、資本金が842,784千円、資本剰余金が842,784千円及びその他有価証券評価差額金が25,429千円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は83.2%(前事業年度末は59.1%)となりました。
キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキュッシュ・フローがマイナスという状況ではありますが、運連資金及び成長投資については、第11回乃至第15回新株予約権により調達しております。
当社の主な資金需要は、原材料の調達、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。
また、企業価値向上につながるM&A等、多額の投資を行う場合は、当事業年度において当期純利益が黒字へ転換したことにより、財務の健全性維持を勘案し、金融機関からの新たな借入れによる資金調達の可能性もあります。
資金の流動性については、引き続き調達した原材料在庫を営業活動により早期の資金化を図ることとしています。
当社の当事業年度末の資金は、前事業年度末に比べて1,509,051千円増加して1,886,776千円となりました。
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加161,177千円及び税引前当期純利益234,275千円の計上がある一方で、棚卸資産の増加619,716千円及び売上債権の増加155,908千円があったこと等で、436,553千円の使用(前事業年度は248,809千円の使用)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入589,104千円があったこと等で584,912千円の獲得(前事業年度は35,659千円の獲得)となりました。
財務活動によるキュッシュ・フローは、社債の償還による支出300,000千円及び資金調達費用の支払いによる支出24,933千円がある一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,683,777千円があったこと等で1,358,842千円の獲得(前事業年度は339,447千円の獲得)となりました。
当社の経営上重要な契約は、以下のとおりであります。
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相手先 |
国名 |
契約の名称 |
契約の主な内容 |
契約年月日 |
有効期限 |
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トメアス総合農業協同組合 (CAMTA) |
ブラジル |
BASIC SALES AGREEMENT |
アサイー及びその他のフルーツの冷凍パルプの日本における独占販売契約、及び米国、オーストラリア、中国、韓国、ニュージーランド及びオセアニア諸国において商品を販売する販売契約 |
2011年10月 |
契約締結日より5年 契約期間5年間満了後、異議のない場合自動更新 |
当社は、フルッタアサイーブランドの強化及びアサイーの再認知を主たるテーマとし、研究開発に取り組んでおります。各商品の原料別に強調できる栄養素に注力し、分析を進めております。
当事業年度の主な研究内容と開発商品は次のとおりであります。なお、当社は、輸入食品製造販売事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載はしておりません。当事業年度の研究開発費総額は、
1.アサイーの機能性研究
①造血機能研究
今までの研究結果で、マウスにアサイーを摂取させた結果、造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)の分泌が促され、赤血球数が増加することが判明しております。今後、原因物質を特定し、商品の付加価値へと繋げていく予定です。
②アサイーは「森の血液」。
代替肉の品質改善を目的とした有効成分に関する特許出願を行いました。この発明により、アサイーはフルーツや嗜好品に留まらない「一般食材」として発展する可能性が見いだされ、用途が飛躍的に拡大することを目的としております。
2.アサイーをはじめとするアマゾンフルーツピューレ販売強化への取組み
①アサイーをはじめとするアマゾンフルーツの原料の栄養素や機能を多くの方に知っていただき、ご提案させて頂く機能を開発本部内に導入致しました。
最適な使用方法を研究し、メニュー開発を行っております。
②アサイーピューレやアサイーオイル、クラリファイなどの新たな栄養訴求ができるよう、詳細な栄養成分の分析を進めております。
また、その他アマゾンフルーツも同様に進めて行く予定です。