第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、以下の経営理念(「MISSION」、「VISION」及び「VALUE」)に基づいて事業を推進してまいります。

(MISSION)

社会貢献とビジネスを両立する

 

(VISION)

世界中の”やりたい”を叶える

 

(VALUE)

Integrity(高潔な倫理観を持ち、誠実かつ公正に業務を遂行する)

Visionary(理想から妥協せず、社会公益性の高い事業の創出にリスクを恐れず挑戦する)

Flexibility(市場や社会情勢の変化に対応する柔軟性を持ち、常に最適な手段を選択する)

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループが重視している経営指標は、収益であります。収益を継続的に成長させることにより、企業価値の向上を実現してまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループにおける主な事業であるオンライン旅行会社(OTA)に係る事業については、世界的に優位性のある地位の確立を目指しております。今後はさらにサービスの拡充及びシステムの改善を進めてお客様の利便性向上や業務効率化を意識した取り組みを強化して、世界中で信頼される「Global OTA」を目指してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和され、経済活動や社会活動が正常化に向かう一方、ロシアのウクライナ侵攻の長期化による資源・エネルギー価格の高騰に加え、世界的なインフレに対する欧米諸国での政策金利の引き上げや、それに伴う大幅な為替変動など、世界経済の先行きに未だに不透明な状況が継続しております。

また、中期的には当社グループの中核をなす旅行業につきましては、店舗を中心とした営業を展開する既存の大手旅行会社に加え、インターネットを中心としたOTAの成長、そしてLCCを含めた直販を拡大する航空会社等との競争がさらに激しくなると思われます。そのような中、当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

 

① 海外への事業拡大

当社グループでは、国内市場における継続的な事業の拡大を図っておりますが、当社グループが更なる成長を遂げるためには、新型コロナウイルス感染症の収束を前提として、海外への事業拡大が必要不可欠であると考えております。

特に東南アジア諸国では、日本以上にLCCのシェアが拡大しており、今後もシェアが拡大するものと予想されております。当社がこれらのLCC全ての路線を取り扱うためには、海外航空券の仕入先であるホールセラーが提供しているAPIだけでは対応できないことから、各国のLCCのAPIに個別接続する必要があります。

当社グループでは、これらの状況に対処するため、国内で培った技術力やノウハウを活かし、堅牢なシステム構築を図ってまいります。

 

② グローバル人材の採用

当社グループは、国内市場のみならず、世界各国の旅行商品の取り扱いを充実させることによって国際競争力を高め、更なる事業拡大を図る方針であります。このため、当社としましては、外国人顧客向けのオペレーターや、国内外の優秀な人材を確保することが重要と認識しており、社内における研修制度の充実や語学の堪能な人材の採用強化に取り組んでまいります。

 

③ 新サービスの展開

多様化する顧客のニーズに応えるため、当社グループは常に新しいサービスを提供することを検討し、実施しております。また、当社グループは、民泊の運営やオフショア開発などの新規事業領域への参入も積極的に進めております。

 今後も既存サービスの充実に加えて、当社グループが有するサイト運営能力、サービス開発力等を活かして、航空券のみならず様々な新サービスを展開することによって、既存顧客への付加価値を提供するとともに、新規顧客の獲得を図ってまいります。

 

④ 顧客に対して提供する情報の量及び質の向上

インターネット等を利用することによって顧客自身が様々な媒体から様々な情報を入手することが容易となっていることから、旅行に対する顧客のニーズは多様化し、旅行会社に対する要望も高くなっております。このような状況に対して、当社としましては、顧客一人一人のニーズにマッチした情報提供を行ってまいります。

 

⑤ 認知度の向上

当社が運営するサイトを多くの顧客に利用していただくためには、サイトの認知度をさらに向上させることが必要不可欠であると考えております。このため、様々な媒体を活用した効果的な広告宣伝、Webマーケティング技術の有効活用等を実施することで認知度の向上に努めてまいります。

 

⑥ 顧客の利便性向上

当社グループはPC及びスマートフォンによる販売を行っておりますが、特にスマートフォンからの申込みが増加しており、今後もさらに増加するものと予想されております。このため、当社としましては、スマートフォンに対応した検索機能や予約機能等を充実させ、顧客の利便性向上に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループの経営理念である①社会貢献とビジネスを両立する(MISSION)、②世界中の”やりたい”を叶える(VISION)、③Integrity:高潔な倫理観を持ち、誠実かつ公正に業務を遂行する、Visionary:理想から妥協せず、社会公益性の高い事業の創出にリスクを恐れず挑戦する、Flexibility:市場や社会情勢の変化に対応する柔軟性を持ち、常に最適な手段を選択する(VALUE)に基づき、持続可能な社会の実現に向けて貢献すること、また自らも成長発展することを目指してまいります。

このような当社グループの経営理念を踏まえた上での目指すべき方向性から、当社グループのコーポレート・ガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりとしております。サステナビリティ関連のリスク及び機会に対するガバナンス体制についても、この体制のもとで運営しており、取締役会をサステナビリティ全般に関する最終的な監督の責任と権限を有する機関としております。

また、適切にサステナビリティに関するリスクを把握する観点から、効果的な内部監査機能の充実を図るために社長直轄の内部監査室を設置しております。

長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても今後さらに取締役会で議論していきます。

 

(2) 戦略

① サステナビリティに関する戦略

短期、中期及び長期にわたり当社及び当社グループの経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組のうち、重要なものについては「② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載のとおり、当社グループのVISIONである「世界中の”やりたい”を叶える」ために多様性ある人材の採用が不可欠であることから、人的資本の確保及び維持と考えております。このためにダイバーシティの高い人材採用を行う必要があり、日本国内だけでなく、海外人材も積極的に採用を行うとともに、国籍・宗教に関わらず、入社の機会を提供できる環境整備も構築していきます。このような人的資本の確保及びその維持を通じて、グローバル領域への進出を行うための戦略の形成、新規サービスの創出、サービス成長戦略に基づいたPDCAが可能となるものと考えております。

 

② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループのうち一部の連結子会社を除く主要な会社については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)会社の経営の基本方針」の理念に基づき、性別、国籍を問わず優秀な人材を採用、登用しております。また、人材の育成に関しては以下の観点で世界水準での人材育成を志向しております。

・中長期的な組織の生産性を上げるため、英語学習支援/活用機会の提供

・経営陣による全社教育・新規事業提案会実施による経営者視点を持つ人材の創出

・海外子会社含むグループ会社間の人材交流を活発化して組織人材の多様な経験値獲得を促進

 

 

(3) リスク管理

当社グループでは、サステナビリティについての問題は重要課題であると認識しており、取締役会が最終的なモニタリング・監督を行うこととしております。サステナビリティに関するリスクを含めた事業上のリスクについてはリスク管理委員会が適宜リスクを把握するとともに常勤役員による議論・検討・分析を行った上で、重要なリスクとして認識された場合は最終的なモニタリング・監督を行う取締役会に報告することがあります。

当社グループが現時点で認識しているサステナビリティ関連のリスクのうち事業上のリスクについては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載されている通りであります。

 

 

(4) 指標及び目標

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

当社グループにおいては上述した通り多様性のある人材を採用することが持続可能な社会の実現及び当社グループの持続的な発展の観点から重要であると認識していることから「外国人比率」を指標として採用しております。当連結会計年度末における当該指標に係る目標及び実績につきましては以下のとおりとなります。

また、当社グループがサステナビリティ関連に関する取り組みについて重要な役割を果たすと考えられる女性役員の割合につきましては「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2)役員の状況」に記載のとおりであります。

指標

目標

実績

外国人比率

61

51

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下において、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 旅行市場について

旅行市場は、国内では観光庁主導のもと市場拡大へ向けた様々な施策が行われております。当社グループは、日本及び急速に成長するアジアをはじめとする世界の旅行市場は今後も中長期的に拡大していくものと想定しております。

しかしながら、日本を含めて世界的な感染症の発生・蔓延、天候の変動、及び景気の悪化等により社会的に消費者の旅行に対する意欲が減退した場合、テロや戦争などの世界情勢の変化や自然災害、事故等による観光インフラへの被害が起きた場合、急激な為替相場変動による世界情勢の混乱等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 電子商取引の普及について

世界における電子商取引は、インターネットの普及及びスマートフォンやタブレット型端末機器の普及による利便性の向上に伴い市場規模が拡大し、当社グループでは今後も電子商取引が発展するものと考えております。

国内旅行会社のインターネット販売比率は上昇傾向にあり、アメリカ旅行市場でもオンラインの販売比率は高い傾向にあります。当社グループは、今後も当該傾向は継続し、益々インターネット販売比率が高まっていくものと見込んでおります。

しかしながら、電子商取引に関する新たな規制の導入や何らかの予期せぬ要因により、当社グループの期待どおりに電子商取引の普及が進まない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 競合他社の影響について

当社グループと同様に世界市場にはオンラインを中心とした旅行事業を営んでいる有力な競合企業が存在しております。当社グループは独自仕入ルートによる現地ツアーの充実、多言語化によるサイトの差別化等の取り組みを行っております。

しかしながら、有力な競合企業が、その資本力、営業力等を現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組み、当社の想定している以上に競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 航空会社のコミッションカットについて

航空会社は、旅行業者を通じて航空券を販売する際、旅行会社に対して一定のコミッションを支払っております。一方、航空会社自身でも消費者に対して直接航空券の販売を行っておりますが、近年、その割合を高めており、将来的には、旅行業者を通じて販売する際に支払うコミッションが変更される可能性があります。

当社グループの場合においても、仕入先である旅行業者を通じてコミッションの支払いを受けており、営業収益に寄与しております。そのため、これらのコミッションの動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) システム障害について

当社グループのサービス提供は主にインターネット環境において行われております。そのため、当社グループはサービスの安定供給を図るためのセキュリティ対策と、コンピューターウイルス等の侵入やハッカーによる妨害等を回避するために必要と思われる対策をとっております。

しかしながら、あらゆる可能性を想定して対策を施すことは困難であり、当社グループの想定しないシステム障害やサービスの妨害行為等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 個人情報保護について

当社グループは、当社グループのサービスを提供するに当たり、顧客の個人情報(氏名、メールアドレス、生年月日、性別、住所、電話番号、販売状況等)を取得し、サーバに記録しております。

これらの個人情報の管理は、当社グループにとって重要な責務と考え、顧客に安心かつ快適にサービスを利用してもらうため、顧客のプライバシーとその保護について「プライバシーポリシー」、「個人情報保護管理規程」を定め、最大限に注意を払い管理しております。

しかしながら、これらの情報が何らかの理由によって外部に流出した結果、当社グループの信用力の低下を招いた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 割引運賃を利用した航空券の取り扱いについて

一部の航空会社では、普通運賃のほかに、普通運賃よりも低価格の料金体系による航空券を各種設定しており、当社が顧客から得る取扱手数料は航空券により異なっております。当社はこれらの普通運賃より低価格な料金体系による各種割引航空券を取り扱うことにより収益性の向上を図っております。ただし、各航空会社の方針変更等により、これら割引航空券の流通量が著しく減少し、当社グループが十分に確保できない場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 投資事業に関するリスク

① 株式市況等による保有株式への影響について

当社グループでは投資先企業の株式公開などによって株式市況等の影響を受ける有価証券を保有しております。

投資事業においては株式公開後に株式等の売却によって投資回収を図ることがあり、株式公開後の株価水準や株式市場動向等を勘案しつつ、株式等を段階的に売却いたします。そのため、投資先企業が株式公開した場合であっても、株式等を保有している間に、株式市場の低迷や投資先企業の株式の出来高減少、投資先企業の業績低迷等によって、保有する株式等の価格下落や流動性が低下し保有株式等の売却による損失発生や評価損の発生、もしくは長期間売却ができない状況に陥る可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

このほか、投資先企業の株式公開前の一定期間に当該株式等を取得した場合、各証券取引所にて定めた継続保有期間中の継続保有が義務付けられており、継続保有期間中の株価下落等により収益の最大化を図れない可能性があります。

 

② 創業初期の未公開企業への投資を行うことについて

当社グループの投資事業は、投資成長が見込まれると判断した創業後間もない時期のベンチャー企業を中心として、投資を行っております。

ベンチャー企業の中でも創業後間もない企業は、業歴の短さから経営基盤が安定していないことが多く、その結果、当該企業の製品、商品、サービスの事業化が初期段階にあるため収益基盤が確立していない、急速な技術進歩に対応できる保証がない、創業者等の特定の人物に対する依存度が著しく高い等、多種多様のリスク要因を包含する場合があります。

当社グループでは、投資対象企業に応じて必要な審査手続きを経た上で投資判断を行っておりますが、投資後の投資先企業の経営上の問題や欠陥等が存在した場合には、投資先企業の企業価値低下や倒産等の可能性もあり、そのような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、創業初期の企業に対する投資については投資から売却による投資回収までの期間が長期にわたる傾向にあり、株式公開や他の事業会社等への譲渡等の実現時期を正確に予測することは困難であり、この実現を保証するものではありません。

 

(9) 既存事業拡充及び新規事業展開について

当社グループは今後、既存サイトの機能追加等及び現在の事業とシナジーが見込まれる分野への事業拡大を図っておりますが、安定して収益を生み出すには、一定の時間がかかることが予想されるため、結果として当社グループ全体の収益が一時的に悪化する可能性があります。また、これらの事業が必ずしも当社グループの目論見どおりに推移する保証はなく、その場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 海外の旅行商品の取り扱い開始について

当社グループは、海外現地ツアー、海外アクティビティ等、海外旅行商品の取り扱いを開始しており、国内のみならず海外の一般消費者を対象に販売を行っていく方針であります。

これら海外旅行商品が提供される現地においては、地域特性によるリスクが多岐にわたって存在し、当社グループは、旅行商品の安全性を考慮した上で海外旅行商品の取り扱いを進める方針でありますが、当社グループが予測困難なリスク等が発生し、当社グループの信用力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 広告宣伝費について

当社グループの事業において広告宣伝費は、広告を掲載することで集客が図られ、取扱高が増加することから、重要な投資であると認識しております。広告宣伝費の支出に関しては、広告効果を測定し、最適な広告宣伝を実施するよう努めておりますが、ウェブサイト内での検索結果や効果的な広告宣伝で売上高が大きく変動する場合があります。当社グループといたしましては、日常的に取扱高と広告宣伝費との効果を分析し、広告宣伝費の利用について適正に判断をしておりますが、市場動向、天候等の事由により、広告宣伝費に対する費用対効果を得られない場合等には、取扱高が減少したり、収益性を低下させる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 法的規制について
① 旅行業法

当社グループの運営しているオンライン旅行サイトは旅行業法第2条に定める旅行業に該当し、当社グループは、第一種旅行業者(東京都知事の管轄)の登録を行っております。

なお、第一種旅行業者の登録は5年ごとの更新が義務付けられており、現在保有している第一種旅行業者の登録の有効期限は2027年7月2日までとなっております。また、旅行業法第6条に登録の拒否、第12条の13に欠格条件、第12条の23及び第19条に登録の取消し等の要件が定められており、当該要件に抵触した場合には登録の取消しもしくは営業の停止等を命じられる可能性があります。当社グループには、現時点において登録の取消し等の事由となる事実はないと認識しておりますが、何らかの理由によりこの資格の登録拒否事由等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 古物営業法

当社グループは古物取扱業者として、許可を取得し販売業務を行っております。なお、古物商の許可に有効期限の定めはありません。また、古物営業法第4条に欠格事由、第6条に取消事由が定められており当該要件に抵触した場合には許可の取消しもしくは営業の停止等を命じられる可能性があります。当社グループには、現時点において許可の取消し等の事由となる事実はないと認識しておりますが、当該許可の取消し等を命じられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ その他法的規制

当社グループの行う旅行事業においては、「知的財産法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」等による法的規制を受けております。

また、投資事業においては、「会社法」、「租税法」、「金融商品取引法」等による法的規制を受けております。

当社グループは、社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備しておりますが、これら法令に違反する行為が行われた場合若しくは、やむを得ず遵守できなかった場合及び行政機関によって当社グループ事業に関わる法令等による規制の改廃や新設が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(13) 特許等知的財産権について

当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないように常に留意するとともに、必要に応じて外部弁護士・弁理士等を通じて調査しておりますが、第三者の知的財産権を侵害する結果が生じる可能性は皆無ではありません。

そのため、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求及び使用差止請求等の訴えを起こされ、結果として当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

さらに、システム開発でのオープンソースソフトウェアでは、予測できない理由などで知的財産権の利用に制約が発生する可能性があります。

 

(14) 訴訟発生リスクについて

当社グループでは、コンプライアンス規程及びリスクマネジメント規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無に関わらず、当社グループが扱う航空券やツアーにおいてトラブルが生じ、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 代表者への依存について

当社グループの代表取締役である中村俊一は当社グループの創業者であり、創業以来代表者を務めております。同氏は、インターネット関連事業に関連する豊富な知識と経験を有しており、当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

当社グループでは取締役会や定例の部門会議における役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を行うことが困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(16) 小規模組織であること並びに優秀な人材の確保及び育成について

当社グループは規模が小さく、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。

当社グループは、今後の事業拡大及び事業内容の多様化等に対応するために、人員の強化及び内部管理体制の充実を図る予定ではありますが、人材の採用等が予定どおり進まなかった場合、または既存の人材が社外に流出した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループは未だ成長途上にあり、会社運営を円滑に遂行する上で、優秀な人材を適切な時期に確保し、育成する必要があります。そのような人材が適切に確保できなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(17) 配当政策について

当社は、株主様への配当政策を最重要課題の一つと認識し、経営成績に裏付けされた配分を行うことを基本方針としております。

2024年6月期の期末配当金につきましては、上記方針に基づき、当期の業績、今後の事業展開等を総合的に勘案した結果として、1株当たり20円の配当を実施させていただきました。

なお、今後の配当実施の可能性及び実施額等については未定であります。

 

(18) のれんの減損に関するリスク

当社グループは2024年6月末時点で2,986百万円ののれんがございます。今後、取得した企業や事業の収益性が著しく低下し減損損失の計上が必要になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 新型感染症の発生・感染拡大のリスク

重大な新型感染症が発生・感染拡大した場合の被害増大は、当社グループが提供するサービス等の需要減退リスクになり得ます。さらに新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大時に実施されたような各国の出入国規制や日本国内における移動自粛要請により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、感染力が強い新型感染症が流行し、予想を超える従業員の罹患者の大量発生や毒性の変化が生じ強毒化した場合等は、事業継続面で影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 為替変動について

当社グループは、グローバルに事業を展開していますので、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が当社グループの財政状態及び業績等に影響を与える可能性があります。また今後、外貨建ての取引が増加し、当初想定した為替レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(21) 技術革新及び顧客ニーズについて

当社グループが事業展開を行うインターネット業界においては、技術革新や事業環境の変化のスピードが早く、顧客ニーズも多様化しております。当社グループが提供するサービスにおける技術革新の対応や、新サービスを要求する顧客への対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(22) ブランド及び風評被害について

当社グループは、サービスに対する信頼の毀損やコンプライアンス違反等がグループ全体のブランドに影響した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

また、ユーザーの根拠の乏しい風説などにより、当社グループ及びサービスの評判・信頼が傷つくとともに、サービスの信頼性が低下し、ユーザー数が減少する可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

  当社グループを取り巻く経営環境につきましては、観光庁「宿泊旅行統計調査」(確定値)によりますと、2023年の延べ宿泊者数は、6億1,747万人泊で前年比37.1%増、うち日本人延べ宿泊者数が4億9,972万人泊で前年比15.2%増、外国人延べ宿泊者数が1億1,775万人泊で前年比613.5%増となっており、業界全体としてコロナ禍前の水準となりました。

 このような事業環境のもと、当連結会計年度におきましては、収益は22,391,725千円(前年同期比11.8%増)、営業利益は1,547,395千円(前年同期比46.6%減)、税引前当期利益は1,440,890千円(前年同期比49.5%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は750,693千円(前年同期比58.9%減)となりました。

 

 各セグメントの業績は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、従来の「コンシューマ事業」を「旅行事業」に名称変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。

 

(旅行事業)

旅行事業につきましては、旅行需要の回復とそれに応じた広告宣伝費の増加により、当セグメントの収益は22,428,260千円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益は1,583,930千円(前年同期比43.6%減)となりました。

 

(投資事業)

 投資事業につきましては、投資先の業況を反映し、当セグメントの収益及び利益は△36,535千円(前年同期のセグメントの収益及び利益は、91,513千円)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の資産合計は29,735,683千円となり、前連結会計年度末と比べ6,193,690千円の増加となりました。

当連結会計年度末の負債合計は17,655,685千円となり、前連結会計年度末と比べ5,477,147千円の増加となりました。

当連結会計年度末の資本合計は12,079,998千円となり、前連結会計年度末と比べ716,543千円の増加となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より 3,002,897千円増加し、残高は17,007,750千円となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

当社グループは旅行商品やサービスの提供を行う旅行事業及び投資事業を営んでおり、生産実績及び受注実績がないため、仕入実績及び販売実績についての記載を行っております。

また、投資事業に関しては、事業の性質上、生産、受注及び販売の状況に馴染まないため、記載しておりません。

 

(1) 仕入実績

 

セグメントの名称

内訳

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前期比 (%)

旅行事業

航空券 (千円)

51,434,666

102.1

その他 (千円)

7,320,574

137.5

合計

58,755,240

105.5

 

 

(2) 販売実績

① 収益実績

 

セグメントの名称

内訳

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前期比 (%)

旅行事業

航空券 (千円)

11,250,886

97.5

その他 (千円)

11,177,373

133.1

合計

22,428,260

112.5

 

 

② 取扱高実績

 

セグメントの名称

内訳

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前期比 (%)

旅行事業

航空券 (千円)

62,685,553

101.2

その他 (千円)

15,904,076

134.1

合計

78,589,629

106.5

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの業績は、外部要因として世界情勢の変化、インターネット関連市場の動向、競合との競争、技術革新、法規制の変化、自然災害等の影響を受ける可能性があります。

また、内部要因として、システムや新サービスの開発、人材登用や人材育成、内部管理体制、システム障害等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がありますが、内部管理や組織体制の強化等によりこれらのリスク要因に対応するように努めております。なお、当社グループでは「社会貢献とビジネスを両立する」という企業理念(MISSON)を実現するため、当社グループのメインサービスである「skyticket」の認知向上と取り扱い商品の拡充及び利便性の向上を行うことが重要であると考えております。そのためには事業環境の変化に素早く対応できる組織体制の構築、システムの開発速度の向上及び安定性の確保、情報管理体制の強化等、組織としての健全性を高めていくことが経営上の課題であると認識しております。これらの課題に対応するために、当社グループの経営陣は、積極的な情報入手に努め、入手した情報を分析し、分析した情報に基づき、現在の事業環境を確認し、最善の経営方針を立案・実行するように努めております。

 

① 財政状態の分析

  (資産)

当連結会計年度末の総資産は29,735,683千円となり、前連結会計年度末と比べ6,193,690千円の増加となりました。増加の主な要因は、現金及び現金同等物並びにのれんが増加したことによるものであります。

 

 (負債)

当連結会計年度末の総負債は17,655,685千円となり、前連結会計年度末と比べ5,477,147千円の増加となりました。増加の主な要因は、社債及び借入金が増加したことによるものであります。

 

 (資本)

当連結会計年度末の資本は12,079,998千円となり、前連結会計年度末と比べ716,543千円の増加となりました。資本金765,102千円、資本剰余金751,272千円、利益剰余金585,168千円、非支配持分1,029,185千円の増加、自己株式2,467,848千円の減少によるものであります。

 

② 経営成績の分析

(収益)

当連結会計年度の収益は22,391,725千円(前年同期比11.8%増)となりました。これは主に、M&Aによる旅行商品の取り扱い増加に伴い、旅行関連事業の収益が増加したことによるものであります。

 

(営業総利益)

当連結会計年度の売上原価は7,320,574千円(前年同期比37.5%増)となりました。主にM&Aにより旅行商品の取り扱い増加があったものの円安の影響もあり収益及び売上原価が増加いたしました。

 この結果、当連結会計年度の営業総利益は15,071,150千円(前年同期比2.5%増)となりました。

 

(営業利益・税引前当期利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は13,517,092千円(前年同期比14.3%増)となりました。これは主に、M&Aや広告宣伝に積極的な投資を実施したことや子会社強化のための費用が増加したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度の営業利益は1,547,395千円(前年同期比46.6%減)、税引前当期利益は1,440,890千円(前年同期比49.5%減)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

当連結会計年度の法人所得税費用は745,936千円(前年同期比27.3%減)となりました。これは主に、前述のとおり税引前当期利益が減少したことによるものであります。

 この結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は750,693千円(前年同期比58.9%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末より3,002,897千円増加し、17,007,750千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローと要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金は、856,748千円(前連結会計年度は3,040,692千円)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期利益1,440,890千円によるものであり、支出の主な内容は、法人所得税の支払額△856,956千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金は、△295,231千円(前連結会計年度は△895,921千円)となりました。収入の主な内訳は、敷金及び保証金の回収による収入831,740千円、定期預金の純増減額254,038千円によるものであり、支出の主な内訳は、子会社株式の取得による支出△800,346千円、敷金及び保証金の差入による支出△485,551千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金は、2,382,047千円(前連結会計年度は△893,040千円)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入5,000,000千円、株式の発行による収入1,528,689千円であり、支出の主な内訳は、自己株式の取得による支出△2,480,026千円、長期借入金の返済による支出△1,130,358千円によるものであります。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び投資資金です。必要資金は自己資金の活用に加えて借入金により調達しております。資金調達に際しては、多様な調達手段から時機に応じて最適な手段を検討し、財源の確保及び資本コストの最適化を図り、財務水準の健全性に努めております。

 

(4) 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、収益の継続的な成長を考えております。当連結会計年度におきましては、収益220~230億円を目標といたしました。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(借入に関する契約)

当社は、株式会社旅工房の株式取得に係る資金の調達及び運転資金として、2023年10月11日開催の取締役会において、以下のとおり金融機関から資金調達を行うことを決議し、実行いたしました。

借入先

株式会社三菱UFJ銀行

株式会社みずほ銀行

借入金額

3,000百万円

2,000百万円

借入金利

固定金利

変動金利

借入実行日

2023年10月31日

2023年10月13日

借入期間

7年

5年

返済方法

元金均等

元金均等

担保の有無

なし

なし

財務制限条項

1.2024年6月決算期を初回とする各年度決算期の末日における連結貸借対照表において、純資産の部の合計額を、2023年6月決算期の年度決算期の末日における純資産の部の合計額の50%以上に維持すること。

2.2024年6月決算期を初回とする各年度決算期の末日における連結損益計算書において、営業損益の金額を2期連続して0円未満としないこと。

なし

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。