当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当中間連結会計期間(2025年4月1日~2025年9月30日)は、2025年4月の米国による相互関税措置の発表を受け日経平均株価が一時急落したものの、その後の利下げや関税リスクの低下を背景に最高値を更新するなど、東京証券取引所による市場構造改革や資本効率改善への期待の高まりを追い風に、海外機関投資家からの日本株式市場への評価が一段と高まりました。一方、我が国の上場企業を標的とするアクティビストの活動も一層活発化・多様化しており、本年6月の株主総会後もアクティビストの活動は継続しており、株主提案や公開キャンペーンに加えて、公開買付けに介入する動きも見られるなど、資本政策や企業再編を巡る攻防は一段と激しさを増しています。また、アクティビストは自らの保有比率を積み増しながら影響力を高め、MBOや非公開化、事業ポートフォリオの見直しを促す提案を通じて様々なExit機会を探るケースが増加しております。
こうした中、当中間連結会計期間の売上高は前年同期に比べ5.5%増加の3,083百万円、営業利益は同21.4%増加の631百万円、経常利益は同21.8%増加の637百万円、親会社株主に帰属する中間純利益は同24.4%増加の443百万円と増収増益となりました。
アクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等に係る有事対応案件*1については、前年同期に比べ1.3%減少の1,094百万円となりました。一方、実質株主判明調査等の平時対応案件*2については、資本市場の信任獲得を目的とした株主対応、資本政策の見直し、中期経営計画の再構築、資本リスクマネジメントなど、企業価値向上に向けた主体的な取り組みを強化する上場企業の動きが広がる中、実質株主判明調査やエクイティ・コンサルティング業務の新規受託や既存顧客からの追加受託が大幅に増加し、前年同期に比べ9.6%増加の1,989百万円となりました。
我が国の資本市場においては、一連のガバナンス改革やスチュワードシップ・コードの浸透を背景に、政策保有株式の縮減が加速度的に進む中、親子上場の解消や非公開化、業界再編の動きが広がりを見せています。こうした潮流を好機と捉え、アクティビストは活動を一段と強めており、株主提案やパブリックキャンペーンにとどまらず、TOBへの介入や再編を狙った買い上がりといった働きかけも大幅に増加しています。とりわけTOBを巡っては、価格引上げや期間延長を求める事例が増加しており、価格水準や株主意思の確認、合理的な下限設定など、より精緻で適切な判断が一層求められる状況となっています。さらに、アクティビストの流入を契機とする企業再編や非公開化提案に加え、国内外のストラテジックバイヤー(事業会社)による「同意なき買収提案」の増加も見込まれ、経営支配権を巡る資本リスクは着実に高まりを見せています。
まさに当社グループが基軸として掲げる「Power of Equity®*3(株式議決権の力)」という基軸概念の通り、株主の圧力が企業の持続性や経営構造を大きく左右する局面がより一層顕在化しています。こうした環境下において、有事対応における迅速性と実効性を兼ね備えた対応力、データオリエンティッドな唯一無二のデータベース、Proxy・TOB・M&Aに精通したプロフェッショナル集団など、金融グループに属さない完全独立系アドバイザーとして、当社グループの特長が発揮される局面が増加しており、専門性の高い唯一無二のコンサルティングサービスの必要性が、あらためて強く認識されつつあるものと捉えております。
当社グループは、引き続き議決権の力を軸に資本市場の健全な発展に貢献すべく、アクティビストサイドにつかないプロキシー・アドバイザリーを基盤に、独立系エクイティ・コンサルティングおよびフィナンシャル・アドバイザリーを両輪とする専門家集団として、上場企業の持続的成長と企業価値向上を支援してまいります。
*1 有事対応案件;アクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等の有事局面のPA業務やFA業務の対応を行う案件。
*2 平時対応案件;実質株主判明調査、議決権分析、企業防衛・企業価値向上等に関連する、平時局面のエクイティ・コンサルティング業務を行う案件。
*3 Power of Equity®;「Power of Equity」は、当社子会社株式会社アイ・アールジャパンの登録商標です
(登録第6196294号)。
(2)売上高のサービス別の状況
当社グループの事業領域は「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」であり、単一セグメントであります。サービス別に売上高の概要を示すと次のとおりであります。
≪サービス別の売上高の概要≫
(a) 当中間連結会計期間の大型プロジェクト(50百万円以上)と通常プロジェクト(50百万円未満)の内訳
(b) 当中間連結会計期間の大型プロジェクト(50百万円以上)の種類、及び売上金額
当中間連結会計期間の大型プロジェクト(50百万円以上)は、前年同期に比べ36.5%減少の430百万円となりました。通常プロジェクト(50百万円未満)は、お客様との強固な信頼関係にもとづくエクイティ・コンサルティングに関する年間リテーナー契約含め新規・追加のプロジェクト受託が増加しており、前期同期に比べ18.1%増加の2,653百万円となりました。
(c) 当中間連結会計期間の有事対応案件と平時対応案件の内訳
当中間連結会計期間のアクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等に係る有事対応案件については、前年同期に比べ1.3%減少の1,094百万円となりました。
当中間連結会計期間の実質株主判明調査等の平時対応案件においては、前年同期に比べ9.6%増加の1,989百万円となりました。昨年度の下期以降は、お客様との強固な信頼関係にもとづくエクイティ・コンサルティングに関する年間リテーナー契約含め新規・追加のプロジェクト受託が増加しております。
証券代行事業においては、受託決定済み企業は2025年9月30日時点で83社、管理株主数は479,363名となりました(前年同期の受託決定済み企業は64社、管理株主数は396,739名)。株式会社SMBC信託銀行との証券代行業務に関する連携を図り、従来の証券代行機関とは一線を画し、革新的なサービスを展開することで、時代のニーズに応えた証券代行サービスを継続してまいります。
① IR・SRコンサルティング
SRアドバイザリー(実質株主判明調査、議決権賛否シミュレーション、コーポレート・ガバナンス改善、取締役会実効性評価、株主還元を含む資本政策等)、プロキシー・アドバイザリー(PA:委任状争奪における全ての戦略立案と実行、臨時株主総会の招集と対応、委任状回収・集計等)、フィナンシャル・アドバイザリー(FA:敵対的TOB対応、自社株TOB、TOB応諾シミュレーション、M&A及びMBOの全ての戦略立案・エクゼキューション等)、証券代行事業等を中心とする当社グループの中核的サービスです。
当中間連結会計期間のIR・SRコンサルティングの売上高は、前年同期に比べ6.2%増加の2,914百万円となりました。
② ディスクロージャーコンサルティング
ツールコンサルティング(アニュアルレポート・統合報告書・株主通信等、IR活動において必要とする各種情報開示資料の企画・作成支援)及びリーガルドキュメンテーションサービス(企業再編やM&A時における各種英文開示書類の作成や和文資料の英訳等)を提供するサービスです。
当中間連結会計期間のディスクロージャーコンサルティングの売上高は、前年同期に比べ5.9%減少の125百万円となりました。
③ データベース・その他
大量保有報告書や国内・海外公募投信における株式の組み入れ状況等を提供する「Stock Watch」、IR活動総合サポートシステム「IR-Pro」、IR説明会への参加受付や参加者の管理等を上場企業が一括実施することが可能な「アナリストネットワーク」等をWEB上で提供するサービスです。また、個人株主向けアンケートサービス「株主ひろば」を展開しております。
当中間連結会計期間のデータベース・その他の売上高は、前年同期に比べ5.0%減少の43百万円となりました。
(3)財政状態の分析
① 資産
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ228百万円増加し、7,129百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加650百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少264百万円、その他(流動資産)の減少127百万円等によるものであります。
② 負債
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ41百万円減少し、1,244百万円となりました。主な要因は、契約負債の増加45百万円、その他(流動負債)の減少58百万円、賞与引当金の減少22百万円等によるものであります。
③ 純資産
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ270百万円増加し、5,884百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する中間純利益による利益剰余金の増加443百万円、配当による利益剰余金の減少177百万円等によるものであります。
(4)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ650百万円増加し、4,804百万円となりました。当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローは以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動の結果得られた資金は982百万円(前年同期は461百万円の獲得)となりました。
主な内訳は、税金等調整前中間純利益637百万円、売上債権及び契約資産の減少264百万円、法人税等の支払額196百万円、減価償却費170百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動の結果使用した資金は153百万円(前年同期は121百万円の使用)となりました。
支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出129百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動の結果使用した資金は177百万円(前年同期は266百万円の使用)となりました。
支出の内訳は、配当金の支払額177百万円によるものであります。
当中間連結会計期間において、重要な契約等の決定又は締結等はありません。