当事業年度におけるわが国の経済は、消費税増税と急激な円安の影響がみられるものの、政府や日銀による経済•金融政策を背景とした企業収益の改善により、景気は緩やかな回復基調にあります。
当社が関連するインターネット広告市場においては、平成26年の広告費(注)が1兆519億円(前年同期比12.1%増)となるなど引き続き堅調な成長が続いております。
(注)株式会社電通「2014年日本の広告費」平成27年2月24日
このような環境のなかで、当社は、パーソナライズ・エンジン「デクワス」をコアとする各サービスを提供し、顧客企業のマーケティング活動支援に取り組んでまいりました。
当事業年度におきましては、パーソナライズ・アドサービスが引き続き成長を牽引しました。特に平成27年1月にサービスの提供を開始したスマートフォンを含むマルチデバイスでの広告配信が可能な「アイレコ」の受注が堅調に推移し、事業拡大に貢献するという結果に現れました。
しかしながら、パーソナライズ・アドサービスにおいて、(ⅰ)当初計画で見込んでいた案件の失注並びに(ⅱ)大型顧客のマーケティング方針の変更が行われたことに起因する広告出稿額の大幅減少及び成果報酬型広告における成果報酬の発生条件の変更等により、当初の計画どおりに進捗するには至りませんでした。
上記を踏まえ、大型顧客・案件の獲得に注力した結果、第4四半期において、大型案件の受注に成功いたしましたが、一部については、さらに交渉を継続することになった等の理由により、売上の減少を完全に挽回するには至りませんでした。
費用面では、来期以降に受注が見込まれる大型案件・オムニチャネル関連市場向けサービスに対応するための営業要員及びエンジニアへの積極的な人材投資並びに海外向けサービス及びオムニチャネル関連市場向けサービスに向けた費用を先行投資したことによる費用を計上したため、第3四半期以降に推進した原価及び販管費の削減では、上記の減収を埋めきることができませんでした。また、株式公開に関連する費用を営業外費用として計上し、本社移転に関連する費用を特別損失として計上いたしました。
以上の結果、当事業年度(平成26年7月1日~平成27年6月30日)の売上高は 963,312千円(前年同期比73.4%増)、売上総利益は329,650千円(前年同期比181.7%増)、営業利益は49,207千円(前年同期は96,636 千円の営業損失)、経常利益は34,314千円(前年同期は97,132千円の経常損失)、 当期純利益は21,680千円(前年同期は98,606千円の当期純損失)となりました。
当社は、単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。
サービス別の状況は、次のとおりであります。
① パーソナライズ・レコメンドサービス
パーソナライズ・レコメンドサービスについては、安定した顧客基盤を確保していることから、売上は、堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は142,285千円となりました。
② パーソナライズ・アドサービス
パーソナライズ・アドサービスについては、平成27年1月にサービスの提供を開始したスマートフォンを含むマルチデバイスでの広告配信が可能な「アイレコ」の受注が堅調に推移したものの、大型顧客のマーケティング方針の変更が行われたことに起因する売上の減少の影響を完全に払拭するには至りませんでした。
この結果、売上高は821,026千円となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、668,519千円増加の773,824千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、14,040千円となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益27,952千円、減価償却費22,659千円によるもの、主な減少要因は、売上債権の増加102,552千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、136,146千円となりました。主な要因は、定期預金の預入による支出80,000千円、有形固定資産の取得による支出29,914千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、790,170千円となりました。主な要因は、株式の発行による収入836,444千円によるものであります。
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。なお、当社は単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
サービス区分別 | 当事業年度 (自 平成26年7月1日 至 平成27年6月30日) | 前年同期比 |
パーソナライズ・レコメンドサービス(千円) | 142,285 | 5.8 |
パーソナライズ・アドサービス(千円) | 821,026 | 95.0 |
合計 | 963,312 | 73.4 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前事業年度 (自 平成25年7月1日 至 平成26年6月30日) | 当事業年度 (自 平成26年7月1日 至 平成27年6月30日) | ||
金額 (千円) | 割合 (%) | 金額 (千円) | 割合 (%) | |
㈱リクルート住まいカンパニー | 92,685 | 16.7 | 153,435 | 15.9 |
京セラコミュニケーションシステム㈱ | 73,945 | 13.3 | 152,604 | 15.8 |
楽天㈱ | 63,704 | 11.5 | 49,606 | 5.1 |
㈱ニッセン | 88,792 | 16.0 | 33,373 | 3.5 |
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当社が、今後も持続的に成長して企業価値を高めるために対処すべき課題として認識している事項は、次のとおりであります。
(1) サービスに関する課題
① ビッグデータの活用
運用型ディスプレイ広告サービスは、昨今の革新的な技術を活用してビッグデータを集積及び分析することで、顧客の問題解決を図り、さらには業務の付加価値を高めるものであります。それゆえ、今後急速に市場が拡大すると当社は予想しております。また、ビッグデータの活用により、顧客の商品やサービスの質の向上、あるいは製品開発における効率化が図られるものと期待されております。
一方、株式会社野村総合研究所の「ビッグデータの利活用に関する企業アンケート結果」(平成24年12月25日公表)によると、ビッグデータを利用していない理由として、「ビジネスとして具体的に何に活用するかが明確でない」、「投資対効果の説明が難しい」、「担当者のスキルや人数が不足」、「ビジネスとデータ分析の両視点で戦略を考えられる人材がいない」等があげられております。当社としては、企業のニーズや規模に合わせたビッグデータの活用手法の提案や商品開発を進めていくことが重要課題と認識しており、今後も展示会やセミナー、メディアの活用等を継続的に取り組んでいく方針であります。
② データベース管理の効率化
当社は、平成27年6月末時点で、月間約60億ページビュー相当の行動履歴を集積し、これを基に最適な広告の配信を行っています。そのため、データベースの維持管理には膨大な数のサーバーの管理運用が求められます。このデータベースの維持管理に関して、効率化及びより少ないコストでより高い効果を生み出すような管理運用を実施することが重要な経営課題となっております。この点につきましては、目的に応じたサーバースペックの効率化等、日々改善の努力を継続していく方針であります。
③ データ集積の速度の向上と自動化
情報の集積及び分析において可能な限り人手を介さず自動化することは、サービスを向上させるとともに、損益分岐点を大幅に引き下げ、利益率を向上させます。このために、データ集積の速度の向上と自動化は、他社とのサービスの差別化の観点及び利益率向上の観点からも重要な経営課題となっております。この点につきましては、日々改善の努力を継続していく方針であります。
④ アライアンスパートナー戦略
オンライン上の行動履歴だけでなく、実店舗のポイントカードの会員データやPOSデータなど存在するあらゆるデータを統合して経営に活かすというニーズとその市場が拡がるにつれて、オンラインとオフラインのデータを統合して分析したいというニーズが生まれてきております。そのため、アクセス解析ツール、BI、CRM、SFA、SIer等(注)との連携を早期に行う必要があると考えております。それゆえに、これまで想定していない分野においても、PC・スマートフォン・タブレットでの行動履歴を活用したいというニーズが生まれることが想定されますので、そのような分野を素早く察知し、それらの分野への影響力を持つパートナーとのアライアンスを行っていく方針であります。
(注)BI(Business Intelligence)
企業の業務システムの一種で、業務システムなどに蓄積された膨大なデータを分析・加工し、意思決定に活用できるような形式にまとめるものです。
CRM(Customer Relationship Management)
顧客満足度を向上させるために、顧客との関係を構築することに力点を置く経営手法のことです。
SFA(Sales Force Automation)
営業支援を目指したシステムです。
SIer
個別のサブシステムを集めて1つにまとめ上げ、それぞれの機能が正しく働くように完成させる「システムインテグレーション」を行う企業の総称です。
⑤ スマートフォン・タブレット分野への進出
当社のサービスは、PCにおいての広告がメインでありましたが、スマートフォンの普及が進み、機能も進化し、スマートフォンで買い物を行ったり、賃貸物件を検索するなど今までPCで行っていた消費行動をスマートフォン・タブレットで行う層が急速に増えてまいりました。そこで当社では、平成27年1月にスマートフォンを含むマルチデバイスでの広告配信が可能な「アイレコ」の提供を開始いたしましたが、今後も、スマートフォン・タブレットに対応したサービスを展開していく方針であります。
⑥ 海外戦略
当社は、インドネシアを中心に東南アジア各国においてサービスを既に提供しておりますが、まだ売上に占める影響は軽微であります。当社としては、地域特性を考慮して、顧客ニーズに応える形でサービスを展開していく方針であります。
⑦ オムニチャネル支援事業
当社が考える「オムニチャネル戦略」とは、消費者にどのチャネル(ECや実店舗などの販売経路)で買ったのかという意識をさせずに、新しい買物のスタイルを生み出す取組みを指しております。EC運営企業が「O2O」(オー・ツー・オー=Online to Offline)と呼ばれるネットから実店舗へ送客を行う販促活動を活発化させておりますが、これも当社では、「オムニチャネル戦略」の一つと考えております。当社は、平成26年2月に開始した「デクワス.POD」を皮切りに、紙におすすめの商品情報を印刷しておすすめするというオフラインの市場にも事業対象を拡げてまいりました。「オムニチャネル戦略」については、大手の小売業各社も注目しており、消費者目線で、消費者が最もオーダーしやすい場所でオーダーし、最も買いやすい場所に誘導するという戦略を積極的に展開するなか、当社も顧客のニーズに応えるべく、事業化を進めていく方針であります。
(2) 組織能力等に関する課題
① マーケティング
当社のサービスの質を向上させていくためには、当社及び当社のサービスについての認知度の向上が必要です。当社では積極的にマーケティング活動を行うことによって、当社のサービス活用の提案をしていく方針であります。
② 優秀な人材の確保
規模の拡大及び成長のためには、当社の企業風土に合った専門性を有する人材の採用と既存社員の能力及びスキルの底上げが重要な課題と考えます。また、社員全員が企業理念、経営方針を理解することが必要です。当社は優秀な人材の採用を行っていくと同時に、計画的に社員に対して当社の経験とノウハウに基づく多様かつ有益な研修を実施していく等、人材の育成に取り組んでいく方針であります。
③ 経営管理体制の構築
当社が継続的に成長をコントロールし、顧客に対して安定してサービスを提供し続けていくためには、継続的な内部統制の整備、強化に取り組んでいくことも必要と考えております。当社は、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように内部統制の整備、強化及び見直しを行っていく方針であります。
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日時点において、当社が判断したものであります。
(1) 事業環境に係るリスクについて
① インターネット広告市場について
近年、インターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネットはテレビに次ぐ広告媒体となっております。特に、当社の主力事業である運用型ディスプレイ広告(DSPなど)の市場規模は急速に拡大しており、当社の業績も拡大傾向にあります。
しかしながら、インターネットの普及に伴う環境整備やその利用に関する新たな規制の導入、技術革新、その他予期せぬ要因等により、インターネット市場における業界環境が変化した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② アドテクノロジー業界について
インターネット広告市場では、広告の表示方法や販売手法など広告の効果を向上させるための様々な取組みや技術の導入が行われております。当社も配信システムの改善、新たな機能の追加などを行うことにより、競争力の維持・強化に努めております。しかしながら、インターネット広告における新たな手法や新たな技術が出現した場合、当社が提供している広告配信システムの競争力が著しく低下することにより、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 業界における技術革新について
インターネット関連分野における技術革新は著しく進展しております。インターネットを利用して事業を運営している会社は、常に業界動向、技術革新、顧客ニーズの変化等に即座に対応する必要があります。技術革新によるスマートフォンやタブレットの急速な普及のようにユーザーの利用環境が変化する事も予想され、当社がこのような環境変化への対応に時間を要した場合には、競争力の低下を招き、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的規制について
現時点において、当社の主力事業である運用型ディスプレイ広告サービスに関連して、事業継続に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しております。しかし、インターネットの利用者及び事業者を規制対象とする法令、行政指導、その他の規制等が制定された場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社の運用型ディスプレイ広告を行う際に、成果のトラッキング及び不正行為防止のために使用している技術(Cookieの使用等)が規制、制限された場合には、代替手段の開発に多額の投資が必要となり、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 有害コンテンツを含む広告及びパートナーサイトに対する規制について
当社が運営している運用型ディスプレイ広告サービスは、広告主の募集において、サービス申込時に審査を行うなど、規約を設けて手続面での管理を実施しております。また、申込み時だけでなくその後も当社の社員がサイトの内容など規約の遵守状況を定期的にモニターする体制をとっており、規約に違反する行為が見られた場合には、警告や契約解除などの措置をとっております。
当社では、サービスを提供する際に規約等により独自の基準を設けており、法令や公序良俗に反する広告及び掲載されているコンテンツを排除するように規制並びに管理をしております。また、当該規制の対象となる広告並びにパートナーサイトの内容については「特定商取引に関する法律」等を念頭におき、広告主が運営するWebサイトの内容について定期的な確認を行い、当社の基準に反する広告コンテンツ等が存在している場合は、広告主に対して警告を行い排除に努めております。当社が行なった警告に従わない場合は契約の解除等の対策を行っております。しかしながら、広告主が法令や公序良俗に反する広告や商品・サービスの提供、コンテンツの掲載を継続した場合には、当社の信用が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競合サービスについて
当社は、インターネット広告市場を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては、多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。今後、十分な差別化や機能向上等が行えなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営体制に係るリスクについて
① 特定人物への依存及び人材確保に係るリスクについて
当社では、事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。また当社では、代表取締役を含む役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している従業員が、各部門の経営、業務執行について重要な役割を果たしており、特定の分野についてはこれらの人物のノウハウに依存している面があります。このため当社では、特定の人物に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織及び技術スタッフの強化を図っておりますが、これらの役職員が何らかの理由で退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社の事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制について
当社は、平成17年8月に設立し、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業展開や成長を支えるためにも内部管理体制のより一層の充実を図っていく予定であります。
今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針ではありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合、当社の事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ オペレーションリスクについて
当社の各サービスでは、顧客企業の商品マスタや物件情報等を日々取り扱っており、煩雑で件数も膨大になります。それに付随する、オペレーション上のミスが発生する可能性があります。当社では、ミスの軽減を図るため、システムでの管理により、業務基盤の整備を進めておりますが、事務処理における事故・不正等が起きた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報セキュリティー管理について
当社は、レコメンデーションサービス及び運用型ディスプレイ広告サービスの提供にあたり会員情報や銀行口座の情報等の個人情報を取得及び利用しておりません。しかしながら、取引データの管理や、社内における顧客企業等の情報及び個人情報についてもその取扱いには細心の注意を払い、法令を遵守するほか入退室管理、ハードウェアやネットワーク管理について最大限の取組みを行っております。しかしながら、以上のような当社の努力にもかかわらず、万一、外部からの不正アクセスなどにより情報の外部流出等が発生した場合には、当社への損害賠償の請求や当社の社会的信用の失墜等によって、当社の事業や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 知的財産権について
当社は、当社の提供するサービスの基礎をなす技術やビジネスモデルについて、特許権を出願し取得するとともに、各種の商標を登録しております。しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。一方で、当社の事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社に対する訴訟やクレーム等が発生し、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社では、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ スマートフォン分野への事業展開について
今後はスマートフォンの利用が活発化するものと見込まれております。当社としてもPC向けサービスのスマートフォン対応を進めておりますが、インターネットのスマートフォンでの利用が大きく拡大した場合、PCからのサービス利用と同等の利用者数や利用時間を獲得できない可能性があります。その場合には当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 設備及びネットワークの安定性について
インターネットは重要な社会基盤として社会全般に浸透してきており、そのネットワークは継続的に拡大を続けております。そのため、当社の設備及びネットワークは24時間稼動、年中無休での運用が求められております。当社は、運用型ディスプレイ広告の運営サービスを提供し、また成果の集計管理をシステムを通じて提供しております。システムに支障が生じることは、サービス全般の停止を意味するため、設備及びネットワークの監視や冗長化、定期的なデータのバックアップなど、障害の発生防止に努めております。
しかしながら、地震、火事などの災害のほか、コンピュータウイルスやハッカーなどの行為、ハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミスによるもの、その他予期せぬ重大な事象の発生により、万一、当社の設備又はネットワークが利用できなくなった場合には、サービス停止に伴う信用の低下を引き起こし、顧客の解約はもちろん今後の新規顧客の獲得に影響が生じることが考えられ、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 京セラコミュニケーションシステム株式会社との関係について
当社と「デクワス.DSP」(現在は、名称変更をして、「KANADE DSP」)の共同開発を行いました京セラコミュニケーションシステム株式会社は、当社と業務提携を行っており、パーソナライズ・アドサービスにおいて共同で「KANADE DSP」のサービス開発・提供を行っております。平成27年6月期の「KANADE DSP」の売上全体に占める割合は、15.1%となっております。当社と京セラコミュニケーションシステム株式会社は良好な関係を築いており、現時点において当該会社との取引関係等に支障は生じていないものの、京セラコミュニケーションシステム株式会社の方針の変更等により、当社との業務提携が解消又は修正されたことにより当社との関係に変化が生じた場合には、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 成果報酬型の料金体系について
パーソナライズ・アドサービスの成果報酬型の料金体系で課金を行う案件において、パーソナライズ・エンジン「デクワス」がユーザーの行動履歴などの情報を収集し解析する学習期間が必要となり、顧客企業と契約した成果が出るまでは、顧客企業から得られる売上よりも当社が買い付ける広告枠費が多くなるという現象が発生するケースがあります。
広告枠費については、当社でも日々管理をしているものの、その結果として損失が発生し、損失が膨らむと、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他
① ストック・オプションによる株式価値の希薄化について
当社は、役職員の業績向上に対する意欲や士気を高めるため、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は209,694株であり、発行済株式総数の10.3%に相当しております。これらのストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。
② 資金使途について
平成26年12月19日付で、株式会社東京証券取引所マザーズ市場に上場したことに伴う、公募増資による調達資金の使途については、当社の展開するサービスの広告配信量及び取り扱うデータ量の増加に対応するためのサーバー等の設備、当社に蓄積させるデータを保管するデータセンターの利用料の増加及び通信回線料の増加への投資に充てるとともに、人員拡充に伴うオフィス移転及びオフィス構築費用及びインターネット広告市場の成長を背景として、インターネット広告等の受注件数拡大による売上の増加に伴い広告枠費用等も増加することから売上回収までの運転資金に充当する予定であります。なお、データセンターの利用料は、当社に蓄積されるデータが増加すればするほど、サーバーの増設が必要となり、結果としてデータセンターにおいてサーバーを保管する面積が必要となるため、利用料が増加するものであります。
しかしながら、急速に変化する経営環境に柔軟に対応するため、現時点における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。
③ 配当政策について
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しており、事業基盤の整備状況、今後の事業展開、業績や財政状態などを総合的に勘案したうえ、配当を検討していきたいと考えております。これからしばらくの期間については、既存事業領域はもちろんのこと、更にその周辺領域においても魅力的な事業機会が存在する、又は新たに発見できると考えており、当面は更なる成長に向けたサービスの拡充、組織の構築などに投資を行うことが株主価値の最大化に資すると考え、その原資となる内部留保の充実を基本方針とする考えであります。
④ 税務上の繰越欠損金について
当社は、第6期までは当期純損失を計上しており、第7期で初めて当期純利益が計上されたものの、第8期、第9期は当期純損失を計上し、第10期で再び当期純利益を計上したものの、本書提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。
そうした場合、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑤ マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて
第9期事業年度末の繰越利益剰余金は△528,484千円となっておりましたが、当事業年度は、当期純利益21,680千円を計上いたしました。その結果、第10期事業年度末の繰越利益剰余金は、△506,803千円となりました。
当社は、毎期確実に利益を計上することを目指して、繰越利益剰余金のマイナスを早期に解消することを経営の最優先課題と認識しておりますが、事業の進捗が計画どおりに進まない場合、解消までに時間を要する可能性があります。
当社が運用型ディスプレイ広告のシステム開発及び販売について締結した契約
相手先の名称 | 所在地 | 契約締結日 | 契約内容 | 契約期間 |
京セラコミュニケーションシステム株式会社 | 京都府京都市伏見区 | 平成27年6月1日 | 運用型ディスプレイ広告「KANADE DSP」へのエンジン提供及びその保守に関する業務提携 | 平成27年6月1日から平成29年5月31日まで以降 原則2年毎の自動更新 |
当社はユーザーのオンライン上の行動履歴を集積し、より精度の高い広告ターゲティング技術の開発を進めております。システムとしては、今までのPCだけでなく、急激なスマートフォン利用者の増加を背景に、スマートフォン及びタブレットをメインにユーザーの行動履歴を集積し、それを基に解析し、ターゲティング広告を行うものであります。現在の開発体制は、当社の研究グループの3名が推進しております。当事業年度における研究開発費は、10,094千円となります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において、当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
(2) 財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は前事業年度末より848,104千円増加し、1,071,113千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金の増加748,520千円、売掛金の増加102,552千円によるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は前事業年度末より45,237千円増加し、94,125千円となりました。その主な内訳は、有形固定資産の増加32,079千円によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は前事業年度末より40,275千円増加し、123,947千円となりました。その主な内訳は、買掛金の増加14,043千円、未払費用の増加12,937千円、未払消費税等の増加14,074千円によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は前事業年度末より19,399千円減少し、14,868千円となりました。その主な内訳は、長期借入金の減少28,750千円、資産除去債務の増加6,654千円、繰延税金負債の増加2,035千円によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は前事業年度末より872,465千円増加し、1,026,422千円となりました。その主な内訳は、資本金の増加425,392千円、資本剰余金の増加425,392千円、利益剰余金の増加21,680千円によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 1業績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
(4) 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は963,312千円となり、前年同期と比べ407,863千円増加しました。これは事業拡大に伴う売上の増加によるものであります。
(売上原価及び売上総利益)
当事業年度の売上原価は633,661千円となり、前年同期と比べ195,243千円増加しました。これは主に売上高の増加に伴う、広告枠の仕入れ、また人件費や経費が増加したことによるものであります。
この結果、売上総利益は329,650千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
当事業年度の販売費及一般管理費は280,442千円となり、前年同期と比べ66,776千円増加しました。これは主に、事業規模の拡大に伴う経費増加によるものであります。
この結果、営業利益は49,207千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
当事業年度の営業外収益は658千円となりました。これは主に受取利息、為替差益によるものであります。なお、営業外費用は15,551千円となり、主に株式公開費用によるものであります。
この結果、経常利益は34,314千円となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純損益)
当事業年度の特別利益の計上はなく、特別損失は6,362千円となり、これは本社移転費用によるものであります。また法人税、住民税及び住民税(法人税等調整額を含む)は6,271千円となり、これらの結果、当期純利益は21,680千円となりました。
(5) 利益配分に関する基本方針
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており、将来の企業成長と経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、株主に継続的に配当を行うことを基本方針としております。しかしながら、当社は成長過程にあり、株主への長期的な利益還元のためには、財務体質の強化と事業拡大のための投資等が当面の優先事項と捉え、現在、配当は実施しておりません。現時点において、配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社が今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は、「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。