文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「サイエンスとエンジニアリングで21世紀の課題を解決する」ことを企業理念とし、「パーソナライズ」という切り口で、デジタルマーケティングソリューションを提供する事業を行うことで、人々が求める情報(商品やサービス)と“出くわす”体験を提供することを目指しております。
この方針のもと、「株主」「顧客」「社員」等全てのステークホルダーの視点に立った経営を行い、当社グループの企業価値の最大化を目指しております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、適時・適確な判断による事業展開を可能にするため、目標とする経営指標は特に設けておりません。しかしながら、当社グループは、業容を拡大し、経営基盤を安定化させるため、収益率の向上を経営課題と認識しております。
(3) 経営環境
当社グループが関連するインターネット広告市場における広告費は2兆2,290億円(前年比5.9%増)となり、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日本の総広告費は前年を大きく下回りましたが、インターネット広告費は、社会のデジタル化の加速が追い風となり、前年を上回りました。2020年のインターネット広告媒体費のうち、当社グループが関わる運用型広告費は1兆4,558億円(前年比9.7%増)となり、前年に続き、大規模プラットフォーマーを中心に高成長となりました。(出典:株式会社電通「2020年日本の広告費」2021年2月25日)
このような環境のなか、当社は、パーソナライズ・エンジン「デクワス」をコアとするパーソナライズ・レコメンドサービスや、ネット広告のパーソナライズ・アドサービス、及び来店促進のためのデジタルナレッジマネジメントサービス(以下「DKMサービス」)等を提供し、顧客企業のマーケティング活動支援に積極的に取り組んでおります。
パーソナライズ・アドサービスについては、競争力向上及び業容拡大のため、2020年3月にデクワス株式会社の株式を90%取得後、本年6月には同社株式を100%取得し完全子会社化しました。
パーソナライズ・レコメンドサービスについては、ECサイト内検索連動広告やOMO領域での協業を目指して、ZETA株式会社と2020年1月に資本業務提携を行い、顧客への営業活動や新サービスの開発での連携に取り組んでまいりましたが、お互いの経営資源及び技術開発力の相互活用や顧客基盤の拡大、機動的な事業戦略を策定する経営体制の確立を進めるため、2021年7月に当社を株式交換完全親会社、ZETA株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換を行い、企業結合を行いました。ビッグデータ解析と多数の広告在庫を取り扱う広告配信基盤に強みを持つ当社と、ユーザーに良質な購買体験を提供し顧客満足度を高めるソリューション提供で実績のあるZETA株式会社の企業結合により、両社の強みを活かしながら企業価値の向上を目指してまいります。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
まず、既存の「デクワス」ソリューションにおいては、時代のニーズに合わせた機能強化・アップデートを行い、併せて業務の効率化等により、収益力を高め、安定的かつ継続的な収益基盤として強化・発展させてまいります。
また、新たに当社グループに加わったZETA株式会社の「ZETA CX」ソリューションと「デクワス」ソリューションの積極的な連携・融合を進め、デジタルマーケティングソリューション市場におけるプレゼンスの向上を目指すとともに、両ソリューションのシナジーを高めることによる超過収益力の向上に取り組んでまいります。
集客に強みを持つ「デクワス」と、コンバージョン向上に強みを持つ「ZETA」の連携で、今までより成長性の高い事業収益基盤を確立し、当社グループが長年培ってきた人工知能技術に関する研究の成果を活用・実用化した新規事業・サービス開発に積極的に取り組み、法人向けソリューション事業に加えて自社事業の立ち上げと発展を目指してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが、今後も持続的に成長して企業価値を高めるために対処すべき課題として認識している事項は、以下の通りであります。
① サービスに関する課題
a. 適切な事業領域の選択
市場におけるデジタルマーケティングソリューションの需要を正しく把握し、当社グループの強みが活かせる、かつ市場の競合が少ない事業領域の選択を常に追求し続け、また当社グループの各製品・ソリューションのシナジーが最大化できる事業ポートフォリオを持つことが、グループの企業価値の向上のためには必要不可欠です。
b. データの管理と活用
当社グループは、膨大な行動履歴を集積し、これを元に各種パーソナライズの実現及び広告の配信の最適化等のサービスの提供を行っております。今後より一層の成長が見込まれるこれらの有用なデータをどう管理し、またどのようなテクノロジーを活用して有用な推論を行い、企業のサービスの向上に貢献できるかが重要となってきます。
c. OMO戦略
今後より一層、消費者に行動におけるオンラインとオフラインという分け方は意味がなくなり、いかにシームレスな体験を提供できるかが、各企業においては重要となってきます。
店舗におけるデジタルマーケティングの活用はまだまだECなどのネットサービスに比較すると遅れている部分が多く、そうしたギャップをいかに埋めるかが重要であり、またそうしたテーマに対する取り組みがいわゆる「OMO(オー・エム・オー=Online Merges with Offline)」と呼ばれる事業領域となります。
OMOはO2O(オー・ツー・オー=Online to Offline 又は Offline to Online)やオムニチャネルをさらに発展させた概念であり、今後の各企業におけるCX(カスタマー・エクスペリエンス=Customer experience)の向上において最重要な分野の一つであると考えております。
d. 人工知能技術への投資
近年、特にDeep Learning(深層学習)の登場を皮切りに、人工知能技術による従来課題の解決及び将来の応用可能性に注目が集まっています。設立以来、当社では人工知能技術に関する研究を行い、その研究成果を当社のサービスにおいて活用・実用化してまいりましたが、同分野において更なる技術革新や新規サービスを創出するため、 産学官を含む様々な機関と連携する等取り組んでいく方針であります。
② 組織能力等に関する課題
a. マーケティング
デジタルマーケティングソリューションを提供していく上で、重要なのが当社グループ自体のマーケティングです。当社グループ自体のマーケティングを積極的に行うことで収益力を向上させ、それによって得られた超過収益をさらに投資していくことで、正の事業成長のスパイラルを獲得することが、より良いサービス・ソリューションの提供を行う上でも必要不可欠です。
b. 優秀な人材の確保
適切な事業領域の選択、競争力の高い製品・サービスの開発・提供、効率の良いマーケティングの実践等を行う上では、優秀な人材候補を確保し続けることは最重要な経営課題の一つです。
当社の企業風土を固定せず、当社グループにおける社員全員の価値を最大化できるような企業へと、経営陣も含めた企業文化の最適化を追求しつづけ、常により良い組織へと変貌をし続けることが、変化の激しいデジタルマーケティング事業領域においては重要であると考えます。
人材採用においては、採用時点のスキルだけではなく将来獲得するであろうスキルを重視し、当社グループ全体における教育・育成の質を向上していく予定です。
c. 経営管理体制の構築
当社グループが継続的に成長をコントロールし、顧客に対して安定してサービスを提供し続けていくためには、継続的な内部統制の整備、強化に取り組んでいくことも必要と考えております。当社グループは、組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように内部統制の整備、強化、見直しを行っていく方針であります。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日時点において、当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に係るリスクについて
① インターネット広告市場について
近年、インターネット広告市場は拡大傾向にあり、2020年のインターネット広告費はテレビメディア広告費を超え、2兆円を超えました。
しかしながら、インターネットの普及に伴う環境整備やその利用に関する新たな規制の導入、技術革新、その他予期せぬ要因等により、インターネット市場における業界環境が変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② アドテクノロジー業界について
インターネット広告市場では、広告の表示方法や販売手法など広告の効果を向上させるための様々な取組みや技術の導入が行われております。当社グループも配信システムの改善、新たな機能の追加などを行うことにより、競争力の維持・強化に努めております。しかしながら、インターネット広告における新たな手法や新たな技術が出現した場合、当社グループが提供している広告配信システムの競争力が著しく低下することにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 業界における技術革新について
インターネット関連分野における技術革新は著しく進展しております。インターネットを利用して事業を運営している会社は、常に業界動向、技術革新、顧客ニーズの変化等に即座に対応する必要があります。技術革新によるスマートフォンやタブレットの急速な普及のようにユーザーの利用環境が変化することも予想され、当社グループがこのような環境変化への対応に時間を要した場合には、競争力の低下を招き、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的規制について
現時点において、当社グループの提供するサービスに関連して、事業継続に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しております。しかし、インターネットの利用者及び事業者を規制対象とする法令、行政指導、その他の規制等が制定された場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの運用型ディスプレイ広告を行う際に、成果のトラッキング及び不正行為防止のために使用している技術(Cookieの使用等)が規制、制限された場合には、代替手段の開発に多額の投資が必要となり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 有害コンテンツを含む広告及びパートナーサイトに対する規制について
当社グループが運営している運用型ディスプレイ広告サービスは、広告主の募集において、サービス申込時に審査を行うなど、規約を設けて手続面での管理を実施しております。また、申込み時だけでなくその後も当社グループの社員がサイトの内容など規約の遵守状況を定期的にモニターする体制をとっており、規約に違反する行為が見られた場合には、警告や契約解除などの措置をとっております。
当社グループでは、サービスを提供する際に規約等により独自の基準を設けており、法令や公序良俗に反する広告及び掲載されているコンテンツを排除するように規制並びに管理をしております。また、当該規制の対象となる広告並びにパートナーサイトの内容については「特定商取引に関する法律」等を念頭におき、広告主が運営するWebサイトの内容について定期的な確認を行い、当社グループの基準に反する広告コンテンツ等が存在している場合は、広告主に対して警告を行い排除に努めております。当社グループが行った警告に従わない場合は契約の解除等の対策を行っております。しかしながら、広告主が法令や公序良俗に反する広告や商品・サービスの提供、コンテンツの掲載を継続した場合には、当社グループの信用が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競合サービスについて
当社グループは、インターネット広告市場を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては、多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。今後、十分な差別化や機能向上等が行えなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による経済的影響
新型コロナウイルス感染症については、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が2021年1月以降も断続的に発令され、当社グループの本社所在地である東京都は、2021年9月時点の新型コロナウイルス感染症の感染状況に関する「総括コメント」において依然として「感染が拡大しており、感染の再拡大の危険性が高い」と発表しております。
当社グループでは、全社員を対象とした在宅勤務の活用など事業活動を継続しつつ新型コロナウイルス感染症拡大防止のための措置を講じておりますが、今後も新型コロナウイルス感染症拡大が終息せず当社グループにおいて集団感染等が発生した場合や、外出自粛や営業自粛による国内経済の停滞が長期にわたる場合は、事業活動の中断や著しい縮小を余儀なくされ、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営体制に係るリスクについて
① 特定取引先の依存について
当社グループは株式会社リクルートへの売上高が2021年6月期売上高に対して41.4%となっております。同社との関係性は良好でありますが、同社の経営施策や同社を取り巻く事業環境の変化、取引条件の変更などにより取引が大きく減少することによって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定人物への依存及び人材確保に係るリスクについて
当社グループでは、事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、当社グループの業務に支障をきたすおそれがあります。また当社グループでは、代表取締役を含む役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している従業員が、各部門の経営、業務執行について重要な役割を果たしており、特定の分野についてはこれらの人物のノウハウに依存している面があります。このため当社グループでは、特定の人物に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織及び技術スタッフの強化を図っておりますが、これらの役職員が何らかの理由で退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について
当社グループは、今後の事業展開や成長を支えるためにも内部管理体制のより一層の充実を図っていく予定であります。
今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針ではありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ オペレーションリスクについて
当社グループの各サービスでは、顧客企業の商品マスタや物件情報等を日々取り扱っており、煩雑で件数も膨大になります。それに付随する、オペレーション上のミスが発生する可能性があります。当社グループでは、ミスの軽減を図るため、システムでの管理により、業務基盤の整備を進めておりますが、事務処理における事故・不正等が起きた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報セキュリティー管理について
当社グループは、当社グループサービスの提供にあたり会員情報や銀行口座の情報等の個人情報を取得及び利用しておりません。しかしながら、取引データの管理や、グループ内における顧客企業等の情報及び個人情報についてもその取扱いには細心の注意を払い、法令を遵守するほか入退室管理、ハードウェアやネットワーク管理について最大限の取組みを行っております。しかしながら、以上のような当社グループの努力にもかかわらず、万一、外部からの不正アクセスなどにより情報の外部流出等が発生した場合には、当社グループへの損害賠償の請求や当社グループの社会的信用の失墜等によって、当社グループの事業や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産権について
当社グループは、当社グループの提供するサービスの基礎をなす技術やビジネスモデルについて、特許権を出願し取得するとともに、各種の商標を登録しております。しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。一方で、当社グループの事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社グループに対する訴訟やクレーム等が発生し、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 設備及びネットワークの安定性について
インターネットは重要な社会基盤として社会全般に浸透してきており、そのネットワークは継続的に拡大を続けております。そのため、当社グループの設備及びネットワークは24時間稼動、年中無休での運用が求められております。当社グループは、運用型ディスプレイ広告の運営サービスを提供し、また成果の集計管理をシステムを通じて提供しております。システムに支障が生じることは、サービス全般の停止を意味するため、設備及びネットワークの監視や冗長化、定期的なデータのバックアップなど、障害の発生防止に努めております。
しかしながら、地震、火事などの災害のほか、コンピュータウイルスやハッカーなどの行為、ハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミスによるもの、その他予期せぬ重大な事象の発生により、万一、当社グループの設備又はネットワークが利用できなくなった場合には、サービス停止に伴う信用の低下を引き起こし、顧客の解約はもちろん今後の新規顧客の獲得に影響が生じることが考えられ、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 成果報酬型の料金体系について
パーソナライズ・アドサービスの成果報酬型の料金体系で課金を行う案件において、パーソナライズ・エンジン「デクワス」がユーザーの行動履歴などの情報を収集し解析する学習期間が必要となり、顧客企業と契約した成果が出るまでは、顧客企業から得られる売上よりも当社グループが買い付ける広告枠費が多くなるという現象が発生するケースがあります。
広告枠費については、当社グループでも日々管理をしているものの、その結果として損失が発生し、損失が膨らむと、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他
① ストック・オプションによる株式価値の希薄化について
当社は、役職員の業績向上に対する意欲や士気を高めるため、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は72,756株であり、発行済株式総数の2.29%に相当しております。これらのストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。
② 配当政策について
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しており、事業基盤の整備状況、今後の事業展開、業績や財政状態などを総合的に勘案したうえ、配当を検討していきたいと考えております。これからしばらくの期間については、既存事業領域はもちろんのこと、更にその周辺領域においても魅力的な事業機会が存在する、又は新たに発見できると考えており、当面は更なる成長に向けたサービスの拡充、組織の構築などに投資を行うことが株主価値の最大化に資すると考え、その原資となる内部留保の充実を基本方針とする考えであります。
③ 税務上の繰越欠損金について
当社グループには、本書提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。
そうした場合、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
④ マイナスの利益剰余金を計上していることについて
当社グループには、第16期連結会計年度末において、利益剰余金が△1,331,031千円存在しております。
当社グループは、毎期確実に利益を計上することを目指して、利益剰余金のマイナスを早期に解消することを経営の最優先課題と認識しておりますが、事業の進捗が計画どおりに進まない場合、解消までに時間を要する可能性があります。
⑤ M&Aによる減損損失の計上について
当社グループは、自社で行う新規事業の開発に加えて、M&A及び他社との業務提携を通じて、新規事業の開発・育成及び既存事業の拡大を推進しております。新規事業を開始するにあたっては、相応の先行投資を必要としたり、当該事業に固有のリスク要因が発生する場合があります。また、M&A及び他社との業務提携にあたっては、期待通りの効果を生まず戦略目的を達成できない場合や、実行後に未認識の債務やレピュテーションリスクが顕在化する場合があります。さらに、景気の後退や為替の著しい変動、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等によりM&Aで取得した企業の収益性が当初計画より著しく低下した場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。
これらの場合には、当社グループが戦略上意図した新規事業の開発・育成及び既存事業の拡大を実現することができず、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあり、個人消費のサービス支出など一部で弱さが増しております。
先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、持ち直しの動きが期待されます。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要があります。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
広告業界におきましては、2020年の広告市場の総広告費は6兆1,594億円(前年比11.2%減)、当社グループが関連するインターネット広告市場における広告費は2兆2,290億円(前年比5.9%増)となり、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日本の総広告費は前年を大きく下回りましたが、インターネット広告費は、社会のデジタル化の加速が追い風となり、前年を上回りました。2020年のインターネット広告媒体費のうち、当社グループが関わる運用型広告費は1兆4,558億円(前年比9.7%増)となり、前年に続き、大規模プラットフォーマーを中心に高成長となりました。(出典:株式会社電通「2020年日本の広告費」2021年2月25日)
このような環境のなか、当社は、パーソナライズ・エンジン「デクワス」をコアとするパーソナライズ・レコメンドサービスや、ネット広告のパーソナライズ・アドサービス、及び来店促進のためのDKMサービスを提供し、顧客企業のマーケティング活動支援に積極的に取り組んでおります。
パーソナライズ・アドサービスについては、競争力向上及び業容拡大のため、2020年3月にデクワス株式会社の株式を90%取得後、本年6月には同社株式を100%取得し完全子会社化しました。デクワス株式会社は第1四半期連結会計期間においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響により売上が激減し、事業取得時の想定を大きく下回る業績となりましたが、第2四半期連結会計期間以降、売上は回復傾向にあります。また、同社へのシステム移行費用はピークを越え、第2四半期連結会計期間末には事業損益分岐点に達しました。
下半期連結会計期間(自2021年1月1日至2021年6月30日)においては、デクワス株式会社が損益分岐点を超えたことに加えて、パーソナライズ・アドサービス自体の売上も伸長したことから、すべての月で営業利益の黒字化を達成することができました。この分野は当社グループの技術的な強みを活かせる領域であり、近い将来に予想されているインターネット広告業界の変革に向け、イニシアティブを取るべく今後も研究開発を進めてまいります。
コスト面では、新規事業に関する投資や上記サービス分野へ計画通り投資しつつも、効率的な人員配置による労務費の削減等、全社的なコスト抑制の取り組みを継続いたしました。
この結果、当社についても下半期連結会計期間(自2021年1月1日至2021年6月30日)ではすべての月で営業利益の黒字化を達成し、第4四半期連結会計期間における当社グループの営業利益は17,203千円となりました。また、四半期純利益についても、単体ベース、連結ベースともに黒字化することが出来ました。
(参考値)当連結会計年度四半期毎の売上、利益実績
当社単体については、DKMサービスにおいて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、インバウンドの減少や緊急事態宣言発出による外出自粛などにより、実店舗の利用が減少する厳しい経済環境のなか、効率的な営業態勢により通年の当社単体の売上高に占める割合のうち、13.1%まで成長しました。
その結果、当連結会計年度における売上高は1,393,747千円(前連結会計年度比35.4%増)、営業損失は44,977千円(前連結会計年度は101,093千円の営業損失)、経常損失は43,694千円(前連結会計年度は99,509千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は55,197千円(前連結会計年度は137,129千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。サービス別の状況は、次のとおりであります。
パーソナライズ・レコメンドサービスは、前第4四半期連結会計期間から続く新型コロナウイルス感染症拡大の影響による企業のシステム投資の手控えや案件の長期化などもあり、売上高を伸ばすことはできませんでした。
この結果、売上高は120,857千円(前連結会計年度比11.4%減)となりました。
パーソナライズ・アドサービスは、前第4四半期連結会計期間より新たにDSP事業を取り込み、売上高を大幅に伸ばすことが出来ました。
この結果、売上高は1,110,817千円(前連結会計年度比51.2%増)となりました。
ソリューションビジネスについては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続く中、営業体制を強化したDKMサービスは売上高を35.1%増加させることができたものの、システムインテグレーションは需要の一時的な後退により、ソリューションビジネス全体の売上高は微増に留まりました。
この結果、売上高は162,072千円(前連結会計年度比2.6%増)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は1,393,747千円となり、前連結会計年度に比べ364,518千円増加しました。これは主にパーソナライズ・アドサービスにおいて、DSP事業の連結子会社化により売上高が伸長したことやDKMサービスの売上高比率が上昇したことによるものです。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は1,136,019千円となり、前連結会計年度に比べ273,561千円増加しました。これは主にパーソナライズ・アドサービスの業績拡大に伴う広告枠費や業務委託費の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は257,728千円(前連結会計年度比54.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は302,706千円となり、前連結会計年度に比べ34,840千円増加しました。これは主に社員数の増加による人件費の上昇および連結子会社化による通信費の増加によるものであります。
この結果、営業損失は44,977千円(前連結会計年度は101,093千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は2,612千円となりました。これは主に助成金収入によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は1,328千円となりました。これは主に為替差損によるものであります。
この結果、経常損失は43,694千円(前連結会計年度は99,509千円の経常損失)となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純損益)
当連結会計年度の特別損失は10,373千円となりました。これは、固定資産の減損損失によるものであります。また法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は1,130千円となり、これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は55,197千円(前連結会計年度は137,129千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(2) 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末より47,056千円減少し、487,155千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金の減少77,937千円、売掛金の増加12,964千円によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は前連結会計年度末より4,278千円増加し、28,283千円となりました。その内訳は、差入保証金の増加2,801千円、長期前払費用の増加1,467千円によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末より10,502千円減少し、206,489千円となりました。その主な内訳は、未払費用の減少19,799千円、1年内返済予定の長期借入金の増加2,550千円によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は前連結会計年度末より22,497千円増加し、28,759千円となりました。その主な内訳は、長期借入金の増加22,450千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末より54,773千円減少し、280,189千円となりました。その主な内訳は、利益剰余金の減少55,197千円によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、77,937千円減少の245,617千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は89,752千円(前連結会計年度は63,072千円の支出)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失54,067千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、13,184千円(前連結会計年度は9,899千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出10,373千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、24,999千円となりました。主な要因は、長期借入れによる収入25,000千円によるものであります。
なお、前連結会計年度においては、財務活動による資金の増減はありませんでした。
(4) 生産、受注及び販売の状況
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、従業員人件費のほか、営業費用及び法人税等の支払い等によるものであります。投資を目的とした資金需要につきましては、設備投資によるものであり、財務的資金需要はございません。
しかしながら、新型コロナ感染拡大に伴う今後の日本経済を取り巻く不透明さに備え、運転資金の予備的な確保のため本年2月より有利子負債による資金調達を行いました。本有利子負債を加えることで現状事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。
(6) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響についても、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
(7) 利益配分に関する基本方針
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており、将来の企業成長と経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、株主に継続的に配当を行うことを基本方針としております。しかしながら、当社は成長過程にあり、株主への長期的な利益還元のためには、財務体質の強化と事業拡大のための投資等が当面の優先事項と捉え、現在、配当は実施しておりません。現時点において、配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
(9) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。
当社は、2021年3月31日開催の取締役会決議に基づき、同日付で当社を株式交換完全親会社、ZETA株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換契約を締結し、当社及びZETAそれぞれの臨時株主総会において承認を得た上で、2021年7月1日を効力発生日として当該株式交換を行いました。
詳細は、「第4 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」(重要な後発事象)をご参照ください。
(2) 企画・開発業務及び販売業務に関する提携について締結した契約
当社グループでは、設立以来、人工知能技術に関する研究を行い、その研究成果を当社グループのサービスにおいて活用・実用化してまいりましたが、同分野において更なる技術革新や新規サービスを創出するため技術の開発を進めております。
当連結会計年度における研究開発費は、