第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「サイエンスとエンジニアリングで21世紀の課題を解決する」ことを企業理念とし、テクノロジーを活用したデジタルマーケティングソリューションで国内トップの座を目指し、企業と消費者のエンゲージメントを高めて幸福な購買体験を実現するための取り組みを進めております。

この方針のもと、「株主」「顧客」「社員」等全てのステークホルダーの視点に立った経営を行い、当社グループの企業価値の最大化を目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、適時・適確な判断による事業展開を可能にするため、目標とする経営指標は特に設けておりません。しかしながら、当社グループは、業容を拡大し、経営基盤を安定化させるため、収益率の向上を経営課題と認識しております。

 

(3) 経営環境

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の全面解除に伴う行動制限の緩和並びにワクチン接種率の上昇に伴い景気回復の兆しが見えつつありましたが、本年7月以降の感染症の再拡大や世界的な原油価格の高騰が個人消費にも影響を与えるなど、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

 一方で当社グループが手掛けるデジタルマーケティングソリューション事業領域は、国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進によるデジタル化の加速や、巣ごもり・在宅需要を背景に通販系消費が拡大し、2021年のインターネット広告費は2.7兆円(出典:株式会社電通「2021年日本の広告費」2022年2月24日)と高成長を維持し、2024年度には3.3兆円まで拡大(出典:株式会社矢野経済研究所「インターネット広告市場規模推移と予測」)すると予測されます

ネット広告サービスについては、2021年6月にデクワス株式会社株式を100%取得し完全子会社化し、同社の有する「デクワス」ソリューションや「KANADE」DSPを通じて広告主のブランド認知拡大や潜在顧客の発掘に貢献するデジタル広告配信サービスを行っております。本サービスは広告需要の影響は受けるものの、当社グループにおいては新型コロナウイルス感染症に対応する消費財等の広告需要及び首都圏不動産需要の高まりを受けて広告配信案件が順調に推移したことで、業績は前連結会計年度と比べ大きく伸長しました。

 CX改善サービスについては、2021年7月に当社を株式交換完全親会社、ZETA株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換を行い、企業結合を行いました。同社が有する「ZETA CX」ソリューションは、顧客が運営する「ECサイト」の検索エンジンの性能を高め、利用するユーザーの購買体験や意欲を高めることに貢献するサービスを行っております。本サービスはライセンス販売を主としており、ソリューション提供後は継続して使用いただく傾向が強いため、安定的な収益が見込まれます。当社グループのうち、「ZETA CX」ソリューションの契約継続率は95%と高水準を維持しており、当連結会計年度から当社グループの連結の範囲に加わったことで、前連結会計年度と比べ業績は大きく伸長しました。

 OMO推進サービスは、米国のクラウドプラットフォーム「Yext Knowledge Engine」を使用し、顧客の企業情報(新商品や新規店舗の開店情報等)を正確に管理、最適化してユーザーに発信するDKMサービスを行っております。本サービスはそれを利用するユーザーが新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりによる外出規制により使用割合が減少したため全体として需要は低調に推移しておりますが、新型コロナウイルス感染症の広がりが収束傾向に向かい、ユーザーの行動規制が緩和されれば需要が伸長するものと思われます。当社グループにおいても業績の推移は低調ではありますが、既存の大手顧客からの新規受注もいただき始めたため、業績は前連結会計年度と比べ上回りました。

 

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

 既存の「デクワス」ソリューションにおいては、時代のニーズに合わせた機能強化・アップデートを行い、併せて業務の効率化等により、収益力を高め、安定的かつ継続的な収益基盤として強化・発展させてまいります。

また、新たに当社グループに加わったZETA株式会社の「ZETA CX」ソリューションと「デクワス」ソリューションの積極的な連携・融合を進め、デジタルマーケティングソリューション市場におけるプレゼンスの向上を目指すとともに、両ソリューションのシナジーを高めることによる超過収益力の向上に取り組んでまいります。

 集客に強みを持つ「デクワス」と、コンバージョン向上に強みを持つ「ZETA」の連携で、今までより成長性の高い事業収益基盤を確立し、当社グループが長年培ってきた人工知能技術に関する研究の成果を活用・実用化した新規事業・サービス開発に積極的に取り組み、法人向けソリューション事業に加えて自社事業の立ち上げと発展を目指してまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが、今後も持続的に成長して企業価値を高めるために対処すべき課題として認識している事項は、以下の通りであります。

 

① サービスに関する課題

a. 適切な事業領域の選択

 Cookie規制等の諸問題の対処としてIDソリューションの対応や、Cookieを使わない広告商品の開発など市場におけるデジタルマーケティングソリューションの需要を正しく把握し、当社グループの強みが活かせる、かつ市場の競合が少ない事業領域の選択を常に追求し続け、また当社グループの各製品・ソリューションのシナジーが最大化できる事業ポートフォリオを持つことが、グループの企業価値の向上のためには必要不可欠です。

 

b. データの管理と活用

 当社グループは、膨大な行動履歴を集積し、これを元に各種パーソナライズの実現及び広告の配信の最適化等のサービスの提供を行っております。また、新しく当社グループに加わったZETA株式会社は膨大な検索履歴やレビューデータを有しております。今後より一層の需要が見込まれるこれらの有用なデータをどう管理し、またどのようなテクノロジーを活用して有用な推論を行い、企業のサービスの向上に貢献できるかが重要となってきます。

 

c. OMO戦略

 今後より一層、消費者に行動におけるオンラインとオフラインという分け方は意味がなくなり、いかにシームレスな体験を提供できるかが、各企業においては重要となってきます。

 店舗におけるデジタルマーケティングの活用はまだまだECなどのネットサービスに比較すると遅れている部分が多く、そうしたギャップをいかに埋めるかが重要であり、またそうしたテーマに対する取り組みがいわゆる「OMO(オー・エム・オー=Online Merges with Offline)」と呼ばれる事業領域となります。

OMOはO2O(オー・ツー・オー=Online to Offline 又は Offline to Online)やオムニチャネルをさらに発展させた概念であり、今後の各企業におけるCX(カスタマー・エクスペリエンス=Customer experience)の向上において最重要な分野の一つであると考えております。

 

d. 検索履歴やレビューデータの活用に関する投資

ECサイト等ではユーザーによるクチコミやスタッフの投稿などのUGCの活用が加速するとともに、単なる購買の場だけでなくメディアとしての役割が高まりつつあり、こうしたUGCデータを集合知として活用していくことは、今後のECサイト等におけるCX向上にとっては必須と考えられています。

またCookie規制の動向などにより今後リターゲティング広告が難しくなることが予測されるため、サイトとしてのオーガニックな流入を高めていくことはこれまで以上に重要な課題となってきます。当社グループでは今後、同分野において更なる技術革新や新規サービスを創出するため、産学官を含む様々な機関と連携する等取り組んでいく方針であります。

 

 

② 組織能力等に関する課題

a. マーケティング

 デジタルマーケティングソリューションを提供していく上で、重要なのが当社グループ自体のマーケティングです。当社グループ自体のマーケティングを積極的に行うことで収益力を向上させ、それによって得られた超過収益をさらに投資していくことで、正の事業成長のスパイラルを獲得することが、より良いサービス・ソリューションの提供を行う上でも必要不可欠です。

 

b. 優秀な人材の確保

 適切な事業領域の選択、競争力の高い製品・サービスの開発・提供、効率の良いマーケティングの実践等を行う上では、優秀な人材候補を確保し続けることは最重要な経営課題の一つです。

 当社の企業風土を固定せず、当社グループにおける社員全員の価値を最大化できるような企業へと、経営陣も含めた企業文化の最適化を追求しつづけ、常により良い組織へと変貌をし続けることが、変化の激しいデジタルマーケティング事業領域においては重要であると考えます。

 人材採用においては、採用時点のスキルだけではなく将来獲得するであろうスキルを重視し、当社グループ全体における教育・育成の質を向上していく予定です。

 

c. 経営管理体制の構築

 当社グループが継続的に成長をコントロールし、顧客に対して安定してサービスを提供し続けていくためには、継続的な内部統制の整備、強化に取り組んでいくことも必要と考えております。当社グループは、当社をコーポレート機能に特化し、デクワス株式会社、ZETA株式会社を事業会社として各事業・各サービスに応じて運営することで組織強化・効率化を図っております。

 今後も組織が健全かつ有効、効率的に運営されるように内部統制の整備、強化、見直しを行っていく方針であります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因には、以下のようなものがあります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。

なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日時点において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に係るリスクについて

① インターネット広告市場について

近年、インターネット広告市場は拡大傾向にあり、2020年のインターネット広告費はテレビメディア広告費を超え、2兆円を超えました。

しかしながら、インターネットの普及に伴う環境整備やその利用に関する新たな規制の導入、技術革新、その他予期せぬ要因等により、インターネット市場における業界環境が変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② アドテクノロジー業界について

インターネット広告市場では、広告の表示方法や販売手法など広告の効果を向上させるための様々な取組みや技術の導入が行われております。当社グループも配信システムの改善、新たな機能の追加などを行うことにより、競争力の維持・強化に努めております。しかしながら、インターネット広告における新たな手法や新たな技術が出現した場合、当社グループが提供している広告配信システムの競争力が著しく低下することにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 業界における技術革新について

インターネット関連分野における技術革新は著しく進展しております。インターネットを利用して事業を運営している会社は、常に業界動向、技術革新、顧客ニーズの変化等に即座に対応する必要があります。技術革新によるスマートフォンやタブレットの急速な普及のようにユーザーの利用環境が変化することも予想され、当社グループがこのような環境変化への対応に時間を要した場合には、競争力の低下を招き、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 法的規制について

現時点において、当社グループの提供するサービスに関連して、事業継続に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しております。しかし、インターネットの利用者及び事業者を規制対象とする法令、行政指導、その他の規制等が制定された場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの運用型ディスプレイ広告を行う際に、成果のトラッキング及び不正行為防止のために使用している技術(Cookieの使用等)が規制、制限された場合には、代替手段の開発に多額の投資が必要となり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 有害コンテンツを含む広告及びパートナーサイトに対する規制について

当社グループが運営している運用型ディスプレイ広告サービスは、広告主の募集において、サービス申込時に審査を行うなど、規約を設けて手続面での管理を実施しております。また、申込み時だけでなくその後も当社グループの社員がサイトの内容など規約の遵守状況を定期的にモニターする体制をとっており、規約に違反する行為が見られた場合には、警告や契約解除などの措置をとっております。

当社グループでは、サービスを提供する際に規約等により独自の基準を設けており、法令や公序良俗に反する広告及び掲載されているコンテンツを排除するように規制並びに管理をしております。また、当該規制の対象となる広告並びにパートナーサイトの内容については「特定商取引に関する法律」等を念頭におき、広告主が運営するWebサイトの内容について定期的な確認を行い、当社グループの基準に反する広告コンテンツ等が存在している場合は、広告主に対して警告を行い排除に努めております。当社グループが行った警告に従わない場合は契約の解除等の対策を行っております。しかしながら、広告主が法令や公序良俗に反する広告や商品・サービスの提供、コンテンツの掲載を継続した場合には、当社グループの信用が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 競合サービスについて

当社グループは、インターネット広告市場を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては、多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。今後、十分な差別化や機能向上等が行えなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による経済的影響

新型コロナウイルス感染症については、2022年8月末時点において当社グループの本社所在地である東京都の新規感染者数が15,428人と前週比31.9%減少と一時期のピークより若干減少傾向となり、このまま収束にむかいつつあることが期待されます。

当社ループでは、全社員を対象とした在宅勤務の活用など事業活動を継続しつつ新型コロナウイルス感染症拡大防止のための措置を講じておりますが、今後も新型コロナウイルス感染症拡大が終息せず当社グループにおいて集団感染等が発生した場合や、外出自粛や営業自粛による国内経済の停滞が長期にわたる場合は、事業活動の中断や著しい縮小を余儀なくされ、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業運営体制に係るリスクについて

① 特定取引先の依存について

当社グループの売上高のうち、株式会社リクルートへの売上高は2022年6月期売上高に対して23.7%となっており、全体の約4分の1を占めております。同社との関係性は良好でありますが、同社の経営施策や同社を取り巻く事業環境の変化、取引条件の変更などにより取引が大きく減少することによって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定人物への依存及び人材確保に係るリスクについて

当社グループでは、事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難になった場合や、人材が外部に流出した場合には、当社グループの業務に支障をきたすおそれがあります。また当社グループでは、代表取締役を含む役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している従業員が、各部門の経営、業務執行について重要な役割を果たしており、特定の分野についてはこれらの人物のノウハウに依存している面があります。このため当社グループでは、特定の人物に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織及び技術スタッフの強化を図っておりますが、これらの役職員が何らかの理由で退任、退職し、後任者の採用が困難になった場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 内部管理体制について

当社グループは、今後の事業展開や成長を支えるためにも内部管理体制のより一層の充実を図っていく予定であります。

今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針ではありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ オペレーションリスクについて

当社グループの各サービスでは、顧客企業の商品マスタや物件情報等を日々取り扱っており、煩雑で件数も膨大になります。それに付随する、オペレーション上のミスが発生する可能性があります。当社グループでは、ミスの軽減を図るため、システムでの管理により、業務基盤の整備を進めておりますが、事務処理における事故・不正等が起きた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 情報セキュリティー管理について

当社グループは、当社グループサービスの提供にあたり会員情報や銀行口座の情報等の個人情報を取得及び利用しておりません。しかしながら、取引データの管理や、グループ内における顧客企業等の情報及び個人情報についてもその取扱いには細心の注意を払い、法令を遵守するほか入退室管理、ハードウェアやネットワーク管理について最大限の取組みを行っております。しかしながら、以上のような当社グループの努力にもかかわらず、万一、外部からの不正アクセスなどにより情報の外部流出等が発生した場合には、当社グループへの損害賠償の請求や当社グループの社会的信用の失墜等によって、当社グループの事業や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産権について

当社グループは、当社グループの提供するサービスの基礎をなす技術やビジネスモデルについて、特許権を出願し取得するとともに、各種の商標を登録しております。しかし、現時点で権利取得に至っていない権利について、今後これらの権利を取得できるという確実性はありません。一方で、当社グループの事業分野において、国内外の各種事業者等が特許その他の知的財産権を取得した場合、その内容次第では、当社グループに対する訴訟やクレーム等が発生し、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に注意を払い事業活動を行っておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償又は使用差止めなどの請求を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 設備及びネットワークの安定性について

インターネットは重要な社会基盤として社会全般に浸透してきており、そのネットワークは継続的に拡大を続けております。そのため、当社グループの設備及びネットワークは24時間稼動、年中無休での運用が求められております。当社グループは、運用型ディスプレイ広告の運営サービスを提供し、また成果の集計管理をシステムを通じて提供しております。システムに支障が生じることは、サービス全般の停止を意味するため、設備及びネットワークの監視や冗長化、定期的なデータのバックアップなど、障害の発生防止に努めております。

しかしながら、地震、火事などの災害のほか、コンピュータウイルスやハッカーなどの行為、ハードウェア・ソフトウェアの不具合、人為的ミスによるもの、その他予期せぬ重大な事象の発生により、万一、当社グループの設備又はネットワークが利用できなくなった場合には、サービス停止に伴う信用の低下を引き起こし、顧客の解約はもちろん今後の新規顧客の獲得に影響が生じることが考えられ、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 成果報酬型の料金体系について

ネット広告サービスの成果報酬型の料金体系で課金を行う案件において、パーソナライズ・エンジン「デクワス」がユーザーの行動履歴などの情報を収集し解析する学習期間が必要となり、顧客企業と契約した成果が出るまでは、顧客企業から得られる売上よりも当社グループが買い付ける広告枠費が多くなるという現象が発生するケースがあります。

広告枠費については、当社グループでも日々管理をしているものの、その結果として損失が発生し、損失が膨らむと、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他

① ストック・オプションによる株式価値の希薄化について

当社は、役職員の業績向上に対する意欲や士気を高めるため、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は96,378株であり、発行済株式総数の1.5%に相当しております。これらのストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。

 

② 税務上の繰越欠損金について

当社グループには、本書提出日現在において多額の税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため繰越欠損金の期限が切れた場合には、課税所得の控除が受けられなくなります。

そうした場合、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

③ M&Aによる減損損失の計上について

当社グループは、自社で行う新規事業の開発に加えて、M&A及び他社との業務提携を通じて、新規事業の開発・育成及び既存事業の拡大を推進しております。新規事業を開始するにあたっては、相応の先行投資を必要としたり、当該事業に固有のリスク要因が発生する場合があります。また、M&A及び他社との業務提携にあたっては、期待通りの効果を生まず戦略目的を達成できない場合や、実行後に未認識の債務やレピュテーションリスクが顕在化する場合があります。さらに、景気の後退や為替の著しい変動、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等によりM&Aで取得した企業の収益性が当初計画より著しく低下した場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。

これらの場合には、当社グループが戦略上意図した新規事業の開発・育成及び既存事業の拡大を実現することができず、当社グループの事業活動及び業績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の全面解除に伴う行動制限の緩和並びにワクチン接種率の上昇に伴い景気回復の兆しが見えつつありましたが、本年7月以降の感染症の再拡大や世界的な原油価格の高騰が個人消費にも影響を与えるなど、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

 一方で当社グループが手掛けるデジタルマーケティングソリューション事業領域は、国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進によるデジタル化の加速や、巣ごもり・在宅需要を背景に通販系消費が拡大し、2021年のインターネット広告費は2.7兆円(出典:株式会社電通「2021年日本の広告費」2022年2月24日)と高成長を維持し、2024年度には3.3兆円まで拡大(出典:株式会社矢野経済研究所「インターネット広告市場規模推移と予測」)すると予測されます。

 このような環境のなか、当社グループの当連結会計年度においては、株式交換によりZETA株式会社を連結子会社化したことで前連結会計年度と比べ業績が大きく伸長しました。特にCX改善サービスにおいてはZETA株式会社が連結の範囲に含まれることとなったことで業績が大きく伸び、当社グループの利益に大きく貢献しました。ZETA株式会社はECサイト内検索においてユーザーへの購買体験を高めるソリューション提供に強みを持ち、ECサイトへのソリューション提供後の契約継続率は95%と高いため、ストック型ビジネスとして安定的な収益が見込まれます。前連結会計年度まで当社とデクワス株式会社の業績はフロー型ビジネスのため広告需要に左右される傾向がありましたが、当連結会計年度よりストック型ビジネスであるZETA株式会社が連結の範囲に含まれることとなったことで、利益を生み出せる力が強固になりました。

 なお、ZETA株式会社の連結子会社化により生じたのれんの減損損失1,443,443千円を特別損失として計上いたしました。

 その結果、当連結会計年度における売上高は2,595,997千円(前連結会計年度比86.3%増)、営業利益は363,726千円(前連結会計年度は44,977千円の損失)、経常利益は354,833千円(前連結会計年度は43,694千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,146,458千円(前連結会計年度は55,197千円の損失)となりました。

 なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。主なサービス別の概況は次のとおりです。

 

①ネット広告サービス

 当サービスは、新型コロナウイルス感染症に対応する消費財等の広告需要及び首都圏不動産需要の高まりを受けて広告配信案件が順調に推移したことで、業績が前年度を大きく上回りました。当サービスは当社及び連結子会社のデクワスが主に手掛けており、広告需要の影響は受けるものの両社ともに個別の四半期会計期間の営業利益は前2021年6月期第3四半期より継続して黒字かつ拡大基調にあり、前連結会計年度と比べ大きく伸長しました。

 その結果、売上高は1,458,650千円(前連結会計年度比31.3%増)となりました。

 

②CX改善サービス

 当サービスは、当連結会計年度よりZETA株式会社を連結子会社化したことにより業績が前年度を大きく上回りました。ZETA株式会社が手掛ける「ZETA CX」シリーズの導入件数はネット通販売上高トップ100社のうち28社に及び、導入先への流通総額は3兆円にも及びます。(※) なお当連結会計年度は、ZETA株式会社取得日からの9ヶ月間(2021年9月~2022年5月)を連結の範囲に含めております。

 その結果、売上高は966,358千円(前連結会計年度比699.6%増)となりました。

(※)集計期間2021年6月~2022年5月

 

③OMO推進サービス

 当サービスは、DKMサービスが当連結会計年度の第3四半期より大手小売店舗の新規取引が開始したことや既存大手顧客先からの新規受注もあり、業績が前年度を上回りました。

 その結果、売上高は142,264千円(前連結会計年度比4.5%増)となりました

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は2,595,997千円となり、前連結会計年度に比べ1,202,249千円増加しました。これは主にZETA株式会社の連結子会社によりCX改善サービスの売上高比率が上昇したことによるものです。

 

(売上原価及び売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は1,476,941千円となり、前連結会計年度に比べ340,921千円増加しました。これは主に業績拡大に伴う広告枠費や業務委託費の増加によるものであります。

この結果、売上総利益は1,119,056千円(前連結会計年度比334.2%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業損益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は755,329千円となり、前連結会計年度に比べ452,623千円増加しました。これは主にZETA株式会社の連結子会社化に伴う人件費および広告宣伝費、業務委託費の増加によるものであります。

この結果、営業利益は363,726千円(前連結会計年度は44,977千円の営業損失)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常損益)

当連結会計年度の営業外収益は1,542千円となりました。これは主に助成金収入によるものであります。

当連結会計年度の営業外費用は10,435千円となりました。これは主に借入金や社債の支払利息によるものであります。

この結果、経常利益は354,833千円(前連結会計年度は43,694千円の経常損失)となりました。

 

(特別利益、特別損失及び当期純損益)

当連結会計年度の特別利益は6,252千円となりました。これは主に段階取得による差益によるものであります。

当連結会計年度の特別損失は1,450,084千円となりました。これはのれんを含む固定資産の減損損失によるものであります。

また法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は57,459千円となり、これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,146,458千円(前連結会計年度は55,197千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

(2) 財政状態

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末より1,770,233千円増加し、2,257,389千円となりました。その主な内訳は、主にZETA株式会社の連結子会社化により現金及び預金が1,503,686千円、売掛金が252,244千円、前払費用23,279千円が増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末より799,721千円増加し、828,004千円となりました。その主な内訳は、主にZETA株式会社の連結子会社化により有形固定資産が31,629千円、顧客関連資産が719,750千円、のれんが4,941千円、敷金が39,894千円増加したことによるものであります。

 

(繰延資産)

当連結会計年度末における繰延資産は、ZETA株式会社の連結子会社化により第1四半期連結会計期間より発生し、8,329千円となりました。その内訳は、ZETA株式会社の社債発行費によるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末より475,406千円増加し、681,896千円となりました。その主な内訳は、OMO推進サービスの伸長などによる契約負債(前連結会計年度は前受収益及び前受金の一部)が71,575千円増加したことや、主にZETA株式会社の連結子会社化により1年内返済予定の長期借入金及び1年内償還予定の社債が249,606千円、買掛金が21,846千円、未払金が23,421千円、未払費用が33,933千円、未払法人税等が47,534千円増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は前連結会計年度末より862,988千円増加し、891,748千円となりました。その主な内訳は、主にZETA株式会社の連結子会社化により長期借入金及び社債が612,084千円、顧客関連資産の計上に伴い発生した繰延税金負債が248,961千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は前連結会計年度末より1,239,889千円増加し、1,520,078千円となりました。その主な内訳は、欠損填補により資本金が734,980千円減少したこと及び利益剰余金が179,572千円増加したことや、ZETA株式会社の連結子会社化及び欠損填補により資本剰余金が1,795,297千円増加したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額1,128,178千円を加味した結果、1,503,686千円増加の1,749,304千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は283,258千円(前連結会計年度は89,752千円の支出)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失1,088,998千円、減損損失1,450,084千円、無形固定資産償却費80,250千円や売上債権の増加188,150千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、22,368千円(前連結会計年度は13,184千円の支出)となりました。主な要因は、ZETA株式会社の有形固定資産の取得による支出23,369千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は、114,617千円(前連結会計年度は24,999千円の収入)となりました。主な要因は、社債の発行による収入216,069千円および社債の償還による支出99,000千円によるものです。

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

② 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

サービス区分別

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比
(%)

ネット広告サービス(千円)

1,458,650

131.3

CX改善サービス(千円)

966,358

799.6

OMO推進サービス(千円)

142,264

104.5

その他(千円)

28,724

110.5

合計

2,595,997

186.3

 

 

(注)1.当連結会計年度よりサービスの名称を変更いたしました。その結果「パーソナライズ・アドサービス」  を「ネット広告サービス」に、「パーソナライズ・レコメンドサービス」を「CX改善サービス」に、「ソリューションビジネス」のうち「DKMサービス」を「OMO推進サービス」に、それ以外を「その他」にそれぞれ変更しております。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響はありません。なお前連結会計年度における「ソリューションビジネス」のうち「OMO推進サービス」に係る販売実績は136,080千円、それ以外の販売実績は25,992千円であります。

 

 2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

2022年6月30日)

金額 (千円)

割合 (%)

金額 (千円)

割合 (%)

㈱リクルート

577,185

41.4

615,894

23.7

 

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 企画・開発業務及び販売業務に関する提携について締結した契約

相手先の名称

所在地

契約締結日

契約内容

契約期間

クルーズ株式会社

東京都港区

2018年8月10日

商品・サービスの企画・開発及び販売に関する業務提携

2018年8月10日から

2020年8月31日まで

以降 原則1年毎の

自動更新

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、設立以来、人工知能技術に関する研究を行い、その研究成果を当社グループのサービスにおいて活用・実用化してまいりましたが、同分野において更なる技術革新や新規サービスを創出するため技術の開発を進めております。

当連結会計年度における研究開発費は、372千円となります。