第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)綿半の歴史と経営方針

 1500年代、「合」の旗印を掲げた織田信長の武将の一人は、民家臣とともに力を合わせ、地域を守り、地域の発展に邁進しておりました。本能寺の変の後は、民家臣の生活を守るために刀を捨て、綿商いを始めました。これが「綿半」の始まりです。

 明治の世の大変動時には、綿から鉄へ変革を遂げました。ここが分岐点となり、金物販売からホームセンター・スーパーセンター・インターネット通販へ変革した小売事業、建材販売から下請工事、メーカーへ発展した建設事業に分かれました。時代の変化に合わせて輸入販売を行う貿易事業も開始し、現在の3事業が形成されております。このように綿半は常に時代の流れを読み、形を変え、多様性ある企業グループへ変革を続けてまいりました。

 これらの歴史を背景に、当社は力を合わせ、分かち合い、響き合う「合才の精神」を経営理念に掲げ、1500年代から現在に至るまで経営者と社員の隔てなく、社員全員による企業を目指しております。また、「絶え間なき暮らしの変革」を事業理念に、時代の変化に対応し、地域社会の活性化と人々のより良い地球環境と生活環境構築のために邁進しております。

 綿半グループでは、未来を担う子どもたちのために持続可能な社会の実現に取組んでおり、SDGsの達成に意欲的な長野県の企業として、「長野県SDGs推進企業」に登録されております。子どもたちの成長が地域の発展に繋がるという想いから、1953年に始めた奨学金制度を皮切りに、子どもたちの教育支援や、事業活動を通して、地域社会の活性化等に取組んでおります。

 また、環境への取組みとして、店舗に「綿半リサイクルステーション」を設置しております。ペットボトルや缶、古紙を資源として回収し、再びペットボトルや紙製品等にリサイクルしております。プラスチック使用量削減にも取組んでおり、お客さまのマイバッグ持参を推進するため、オリジナルエコバッグを開発するなど、店舗で使用するレジ袋の削減を図っております。

 綿半グループでは、これからも、子どもたちの未来のために持続可能な社会の実現に取組んでまいります。

 

 

(2)経営環境と綿半のめざす姿

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、経済活動と個人消費が停滞し、総じて厳しい事業環境で推移いたしました。感染拡大の波が断続的に訪れるなど、依然として収束時期が見通せず、先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況の中、経営理念である「合才の精神」に基づき、人々の暮らしに寄り添う企業を目指すべく、中期経営計画(2019年5月10日公表)として「時代の変化に対応し、景気に左右されない安定・成長性のある事業構造を創り上げる」を掲げました。数値目標としては、2022年3月期に売上高1,200億円、経常利益32億円と定めました。

 また、企業規模の拡大のみを追求するのではなく、合才の精神による横連携により、収益性の向上を目指しております。

 経営指標としては、売上高経常利益率を指針として定めております。事業の成長・差別化・高収益化を図り、長期的には5%以上を目標としております。

 なお、当連結会計年度における売上高経常利益率は、3.1%でした。

 

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2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

ROE

11.6%

11.5%

10.0%

11.5%

自己資本比率

23.9%

24.7%

25.4%

29.8%

 

 

(3)対処すべき課題と戦略の実施状況

①グループ全体の取組み

 AI、ロボット化、МaaS等、第4次産業革命の到来により、世の中は急激な変化が予想されております。また、新型コロナウイルス感染症の流行による働き方の変化も起こるとともに、女性や高齢者、外国人労働者など労働者属性の多様化も進んでおります。

 当社は働き方改革が提唱される以前から、テレワーク制度やフレックス制度、パパ産休の導入や、それに伴うデジタル化にいち早く取組み、生産性向上を図ってきました。今後も加速する世の中の変化に対応するため、さらなるICT化と時代に沿った人的資源管理施策に取組んでまいります。

 

○ICT化のさらなる推進による事業価値の向上

・適切かつ迅速な情報共有の仕組み化及び、情報通信技術の活用のためICT室の設置

・グループ会社間、取引先との協働、連携体制の構築

・働き方改革に向けたICT関連の整備

 

○時代に沿った人的資源管理施策の実行

・次世代経営者育成研修や新規事業研究会等グループ共通研修の継続

・ライフサイクルステージやライフスタイルに合わせた働き方改革の継続

・事業特性と個々人のキャリアパスに即した専門研修の拡大

・ITスキルや英語力、創造力、対人関係能力など未来に必要なスキルや能力の開発

 

②各事業の取組み

<小売事業>

 小売事業では、業種・業態を超えた販売競争が激化する中、店舗の強みを強化し、リアル店舗の存在価値を高める必要性があると捉えております。そこで「グループ内連携による生産性の向上と独自性のある価値の創出」を戦略に掲げ、リアル店舗とインターネット通販を2本柱としてそれぞれの施策を進めてまいります。

 

■リアル店舗の施策

○鮮度向上の取組み

 鮮魚は直接仕入の漁港を開拓するとともに、店内にはいけすを設置し、獲れたての魚を生きたままお客さまへ提供する体制を拡大してまいります。

 青果は、市場内に自社青果センターを設置し、バイヤーが厳選した商品を各店舗へ出荷することで、一層の鮮度向上を図ってまいります。

 

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○一店舗一経営

 アウトドアやガーデニング等のイベント開催のほか、ホテルやレストランなどで腕を磨いてきたシェフを採用し、鮮度の高い食材で店内調理したお料理の販売を行うなど、店舗それぞれがお客さまの声を拾い、地域特性を活かした店舗づくりを引続き展開してまいります。

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○出店・改装について

 今後の出店については、出店用地の確保や許認可の取得に長期の時間を要することから、居抜き物件の活用やM&Aを推進し、売場面積の拡大を図ってまいります。また、既存のホームセンターにおいてもガーデニング等の強みをさらに強化しながら食品を導入し、スーパーセンターへのリニューアルを進めてまいります。

 

■インターネット通販の施策

○販売網の拡大と物流サービスの拡充

 株式会社綿半ドットコムのインターネット通販サイト「PCボンバー」の販売ノウハウを活用するとともに、株式会社サイエンスホームとも連携し、仕入を共有化することで住宅建材の品揃えを拡充し、販売網を拡大してまいります。

 また、首都圏において、自社で大型家電や家具の配送から取付までを行うサービスを実施してまいります。

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<建設事業>

 建設事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2021年3月期の受注が大幅に減少したことを受け、上期の業績は悪化が見込まれるなど、厳しい事業環境が続くものと予測しております。そこで、独自の技術力を活かした製品開発を推進し、グループ内の相互連携を強化することを目的に次の施策を進めてまいります。

 

○今後の不況にも対応できる体制整備

 カンパニー制を導入し、ソリューションズ、鐵構、コンストラクションの3つの分野に、「木造住宅」を加えて再構築いたしました。カンパニー毎に独自の技術力を活かした製品開発を推進するとともに、迅速で柔軟性の高い経営判断で収益力の強化を図ってまいります。

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○工場の自動化による生産性の向上

 将来の人手不足に対応し、鉄構工場に梁鉄骨の組立・溶接を自動で行うロボットを導入いたしました。今後は工場を拡張し、一層の収益性向上に努めてまいります。

 また、CADセンターとの連携を強化し、設計から製造まで効率的な物件管理を行うことで生産性の向上を図ってまいります。

 

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<貿易事業>

 貿易事業は、新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式の変化の影響を受けて化粧品市場が縮小する中、収益性向上のためには新たな取扱商品を増やし、販路を拡大する必要性があると捉えております。そこで「既存の顧客・取引先リレーションを活かした事業の垂直・水平拡大」を戦略に掲げ、それぞれの施策を進めてまいります。

 

 

○原薬製造の安定化・高品質化

 主力商品であるヒト尿由来の不妊治療薬は、安定的に高品質な原料を精製するために製造方法を見直してまいります。

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○取扱原薬数の拡大

 医薬品原薬や添加剤の輸入品目拡大、研究所製品・医薬品の輸出を視野に、人員体制の強化を図り、新原料の市場への投入準備を積極的に推進してまいります。

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○自然派オーガニック商品の拡販

 化粧品だけでなく食品にも幅を広げて継続的に自然派オーガニック商品の開拓を進めてまいります。

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(4)今後の発展に向けて

 創業1,000年へ向けて、常に時代の先を読み、既存事業との関係性が高い事業領域への展開や、既存事業の販路拡大、ノウハウ転用による事業展開を図るなど、引き続き事業ポートフォリオの変革に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において綿半グループが判断したものであります。

(1)取引先の信用リスク

 綿半グループでは、取引先の財政状態・業績等に応じた与信枠を設定するとともに、継続的に信用状態の把握を行い、信用リスクの回避には最大限の注意を払っております。しかしながら、予期していない取引先の経営破綻等により債権の回収不能が発生した場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)有利子負債のリスク

 綿半グループでは、ホームセンターの増設などの設備投資を継続しており、主に金融機関からの借入金を充当してまいりました。この結果、2021年3月31日現在の有利子負債は152億84百万円となっております。現時点では金融機関との関係が良好であることから必要な資金の調達に懸念はありませんが、将来、経営成績の急激な悪化や社会環境及び金融情勢に大きな変動等、何らかの理由により金融機関との関係が悪化して資金調達に支障が生じ、もしくは金利が上昇した場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)人材の確保及び育成リスク

 綿半グループでは、今後の業容拡大のために優秀な人材の確保及びその育成が急務となっております。綿半グループは採用を積極的に行うことにより、優秀な人材の確保に努めるとともに、社内研修制度の充実を図り、人材育成に注力してまいります。しかしながら、人材の確保及び育成が不十分である場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)法的規制のリスク

 綿半グループの行う事業のうち、小売事業では大規模小売店舗立地法・食品衛生法、建設事業では建設業法・建築基準法、貿易事業では薬機法など多くの規制を受けております。

 コンプライアンス経営を最重要課題として認識し、綿半グループ一丸となって法令遵守体制を推進しておりますが、各種法令に違反した事実が認められた場合、各種許認可の取消し、事業の停止等の罰則を受ける場合があります。また、今後の各種法令の新設・改正への対応に際し費用負担が生じる可能性があります。

 これらの場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)訴訟のリスク

 綿半グループでは、現段階において業績に重大な影響を及ぼす訴訟等を提起されている事実はありません。しかしながら、綿半グループの事業運営において、契約不適合責任、工場、工事現場における事故や労働災害等予期せぬトラブル・問題が発生した場合、これらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合には、訴訟内容や損害賠償額及びその結果等により、綿半グループの社会的信用に影響を及ぼすほか、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)M&Aのリスク

 綿半グループでは、事業強化や業容拡大を目的として、M&Aを行っております。買収時に発生したのれんをその対象会社の超過収益力として認識しておりますが、外部の経営環境の悪化等により、買収後の実績が取得時に見込んだ将来計画と乖離した場合には、超過収益力の毀損を認識してのれんや関係会社株式を減損するリスクがあります。そのため、当社では外部の経営環境の変化等を注視するとともに、対象会社を含むグループ各社の業績等を毎月把握して将来計画との比較分析を行い、必要に応じて施策を立案・実行しております。

 しかしながら、外部の経営環境の変化等により、対象会社の業績が取得時に見込んだ将来計画から大幅に乖離し、のれんの残存償却年数に対応する割引前将来キャッシュ・フローの総額がのれんの帳簿価額を下回る場合や、1株当たりの純資産額もしくは買収時において認識した超過収益力を反映させて実質価額が取得原価に比べて50%以上低下した場合には、のれんや関係会社株式の減損の認識が必要となる可能性があります。

(7)カントリーリスク

 綿半グループでは、諸外国からの輸入商品の取扱い、製造委託など海外取引を行うほか、ミャンマーにおいて駐車場事業を展開しており、諸外国政府による規制や法令の改正、政治的、経済的な不安定さに起因したカントリーリスクが存在します。2021年2月ミャンマー国軍によるクーデターが発生し、同国内は非常事態宣言下にあることから、現地の状況を注視しながら従業員の安全を最優先に対応しております。カントリーリスクに対しては、案件ごとにその回避策を講じてリスク管理に努めておりますが、これらカントリーリスクを完全に回避できるものではなく、リスクが顕在化した場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)自然災害のリスク

 大地震、風水害等の大規模災害や重篤な感染症が流行した場合には、資産の毀損、人的被害等により正常な事業活動の継続が困難となり、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)パンデミックによるリスク

 綿半グループでは、新型コロナウイルス等の感染症に対して、お客さま、取引先及び社員の安全を第一に考え、また更なる感染拡大を防ぐために、WHO並びに各国保健行政の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域への渡航・出張の原則禁止、多くのお客さまにお集まりいただくイベントの休止や制限、間接部門を中心としたテレワーク対応や従業員のマスク着用義務化、店舗出入口へのアルコール消毒液の設置、レジ前シールドの設置等を実施しております。

 今後、更に新型コロナウイルス等の感染症が拡大・長期化し、国内全体の景気悪化及び経済活動の低迷した場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)出退店に伴うリスク

 小売事業におきましては、店舗に多額の設備投資が必要であることから、1店舗ごとに慎重な調査を行った上で出店を行っております。また、既存店舗の活性化を図るため、定期的にリニューアル等を行っております。これらの設備投資は、店舗の収益力の低下等により減損損失となる可能性があり、退店に至った場合には、契約上保証金等の全部もしくは一部が返還されない可能性があります。

 さらに、土地等所有者である法人、個人との契約等により、店舗用に賃借している土地等の継続的使用が困難となることも考えられます。これらの場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)固定資産の減損に係るリスク

 綿半グループが保有している固定資産のうち、主として多店舗展開している小売事業において、店舗ごとに固定資産を計上しているため、商圏環境の変化等により市場価格の著しい下落や店舗の収益性の低下により減損損失の兆候を認識し、減損損失を計上するリスクがあります。

 そのため、月次決算において、売上高、客数、客単価、買上点数の推移を確認するとともに個店ごとの損益を注視しております。店舗損益が悪化傾向にある店舗に対しては適時に改善施策を立案・実行するなど、店舗単位の利益管理に注力しております。

 綿半グループが保有する資産の市場価格の著しい下落、予期せぬ商圏環境の変化や競合の激化等による店舗の収益性低下により、減損損失の認識が必要となった場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)同業他社との競合のリスク

 小売事業におきましては、顧客獲得策の一環として、品揃えを充実させた大型の店舗の出店を進めているホームセンターもございます。また、スーパーやドラッグストアなどとの業態を超えた競合も激化しております。

 綿半グループでは、長野県を中心としたドミナント戦略を採っておりますが、綿半グループの出店エリアに他のホームセンターや他業態の出店が増加した場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(13)気象条件のリスク

 小売事業におきましては、冷暖房機器、園芸用品などの季節商品やレジャー用品を取り扱っております。これらの商品の売れ行きは、天候に大きく左右されるため、天候不良が続いた場合には、売上が減少し、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)国内建設市場の縮小のリスク

 建設事業におきましては、国や地方公共団体等による公共投資及び民間企業による設備投資の動向に大きく影響を受けます。綿半グループはコスト削減、技術力強化、競争力の強化に努めておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、今後、公共建設需要及び民間建設需要が予想以上に抑制され、国内建設市場が一段と縮小した場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そこで、独自の技術力を生かした製品開発を推進し、収益力の強化を図ってまいります。

(15)建材価格等の高騰のリスク

 建設事業におきましては、建設鋼材、セメントをはじめとする建材価格が上昇した場合、工事原価の増加は避けられません。また、職人の確保が難しくなった場合は、想定を上回る外注費の支払が必要になる可能性があります。これらの工事原価の増加分を工事請負金額に転嫁できない場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)不採算工事発生によるリスク

 建設事業におきましては、工事進行基準による収益認識が大部分を占めております。工事契約では、必要となる原材料や人員、完成するまでの期間等を検討し、その結果に基づいて、工事収益総額及び工事原価総額の見積りを行っております。設計内容の変更による契約金額の変更や原材料価格の変動等が収益認識に影響を与えるため、追加原価が発生した場合に不採算工事が発生するリスクがあります。そのため、毎月の会議体により工事進捗度管理、利益管理プロセスとして工事単位ごとの収支管理を行い、工事原価総額の見積りにおいても、最新の情報に基づいた見積りを行い、関連する内部統制を整備・運用しております。

 工事進行基準による収益認識は会計上の見積りの不確実性を伴っており、工事途中の設計変更や原材料価格の高騰など、見積りの前提が変わることにより、不採算工事が発生した場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(17)重大事故発生のリスク

 建設事業におきましては、工場及び建設現場においては、毎月安全パトロールを実施し、不具合箇所の是正指導に努めています。また、重大災害発生の可能性のある工種については、施工計画書にてチェックを行い、法に則った安全な実施工を行えるよう指導し、安全衛生管理、工程管理には細心の注意を払っております。人的もしくは施工物に関する重大な事故が発生した場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(18)為替リスク

 貿易事業におきましては、主として外貨建の輸入取引を行っておりますが、外貨建の取引について為替変動リスクにさらされていることから、為替予約等のデリバティブを活用したヘッジ取引により、この為替変動リスクの軽減に努めております。しかしながら、ヘッジ取引によりこの為替変動リスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動により綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(19)仕入のリスク

 貿易事業におきましては、諸外国からの輸入取引を行っておりますが、商品及び原材料の一部には特定の国や取引先にその供給を依存している品目があります。これらの中には、植物原料又はヒト由来物質の原料があることから、その海外生産国において、自然災害、異常気象、伝染病の発生など、何らかの理由により生産環境に問題が生じる場合、これらの供給が停止又は遅延になる可能性があります。その場合には、綿半グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における綿半グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、経済活動と個人消費が停滞し、総じて厳しい事業環境で推移いたしました。感染拡大の波が断続的に訪れるなど、依然として収束時期が見通せず、先行き不透明な状況が続いております。

綿半グループが関係する事業環境のうち、小売事業では、外出自粛やテレワークの推進等により、消費者の生活様式に大きな変化がみられ、巣ごもり需要が発生するなど、生活必需品を中心として売上は好調に推移しました。一方で、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況の中で、社会活動の自粛が長期化しております。企業収益や雇用環境の悪化、消費マインドの冷え込みによる個人消費の低迷が懸念されるなど、先行きが見通し難い事業環境が続いております。

建設事業では、県をまたぐ移動が制限されたほか、対面での営業活動の制約により、受注環境が停滞しました。加えて、先行き不透明な経済環境を背景に、民間設備投資は、計画先送りや投資規模が縮小され、減少傾向が続くなど引続き注視が必要な事業環境となっております。

貿易事業では、出入国規制や船便等の遅れ、一部の国においては輸出規制を行うなど、国際物流が大きく乱れ、商品や原材料の輸入へも影響が生じました。ワクチン開発が進捗し、各国で接種が開始されるなど、経済活動の正常化へ向けた動きが進みつつありますが、依然として収束の兆しが見えない中、厳しい事業環境が続いております。

このような事業環境下におきまして、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ33億80百万円減少し、589億6百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ50億77百万円減少し、413億72百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ16億96百万円増加し、175億33百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は1,147億90百万円(前期比4.5%減)、営業利益は32億82百万円(同24.5%増)、経常利益は35億27百万円(同25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19億19百万円(同26.3%増)となりました。

 

 当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<小売事業>

小売事業では、新型コロナウイルス感染症拡大により生活様式が大きく変化する中、感染予防の徹底を図り、社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保、セルフレジの増設、チラシ・集客イベントの削減など、お客さま・従業員の安心・安全を確保することを最優先に営業活動を継続してまいりました。

店舗運営においては、シェフの店内調理によるグローサラントの導入、圧倒的な低価格で他店との差別化を図る「綿半の本気」、顧客の利便性向上のためのチャージ式プリペイドカード「goca(ゴウカ)」のサービスを全店舗に導入するなど、リアル店舗の存在価値を向上させる施策を実施いたしました。

物流においては、鮮魚の名古屋市場からの直送を開始するとともに、松本市と長野市に青果センターを構築いたしました。市場内にセンターを設けて品質チェックをした上で各店舗へ出荷するようにしたことで、青果の鮮度・品質を向上させ、地場産品を充実させました。2021年4月に一宮市にも開設いたしました。

また、インターネット通販にも注力しており、新しい施策として、法人向けに建設資材や事務用品、家電商品を低価格で提供するインターネット通販サイト「わたプロ」をオープンいたしました。

新規出店や店舗リニューアルの専門部署を新設し、フレッシュマーケット起店の新規出店や、中野店、万力店および富士河口湖店のスーパーセンター化など、店舗改装を加速いたしました。

さらに、家具インテリアのインターネット通販事業を行っているリグナ株式会社、地域密着型のドラッグストアを運営している株式会社ほしまん、組立家具の製造、卸売、インターネット通販事業を行っている大洋株式会社を連結子会社化するなど、グループの企業価値向上に努めてまいりました。

当連結会計年度における業績は、積極的な店舗改装、M&Aなどが寄与し、売上高は806億9百万円(前期比3.8%増)となりました。また、巣ごもり需要によりDIY用品、園芸用品等など、利益率の高い商品の売れ行きが好調であったことに加え、新たに構築した青果センターが原価低減にも寄与し、セグメント利益は25億67百万円(同58.2%増)となりました。

 

<建設事業>

建設事業では、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、計画先送りや投資規模縮小による影響が出たことに加えて、営業活動が制限される状況が生じたため、年間受注高が前期比25%減少いたしましたが、景気に左右されない体制整備に努めてまいりました。

営業活動では営業部門・製造部門の連携機能を強化し、限られた営業機会を受注につなげる提案型の営業施策を展開させることによって、厳しい環境ながら着実に受注獲得を積み重ねてまいりました。

また、大型案件ごとにプロジェクトチームを作り、工事工程と原価管理の体制を強化したほか、製造管理システム導入によって工場の工数を削減するなど、原価低減を徹底し採算性向上に努めてまいりました。

当連結会計年度における業績は、新型コロナウイルス感染症拡大による受注減を受け、とりわけ第4四半期以降の完成工事高が大幅に減少したことが影響し、売上高は278億30百万円(前期比24.5%減)となりました。また、セグメント利益は、工事の採算性が改善したことや営業活動制限に伴う経費の減少等が利益率改善に寄与し、9億40百万円(同14.0%減)となりました。

 

<貿易事業>

貿易事業では、新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式の変化の影響を受けて化粧品市場が縮小する一方、抗菌・巣ごもり関連の商品が伸長いたしました。また、医薬品の安定供給確保のための在庫積み増し要請に応えるなど、海外仕入先からの原料確保に努めました。

加えて、オーガニック原料検索サイト「TR ORGANIC Materials」(https://tr.organic-materials.com/)の立ち上げによる自然派商品の拡販、取扱原薬数の拡大に注力する一方で、原薬製造の安定化・高品質化に取組みました。

当連結会計年度における業績は、売上高は60億78百万円(前期比12.8%増)、セグメント利益は9億26百万円(同1.4%増)となりました。

 

<その他>

「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、不動産事業等を含んでおります。当連結会計年度における業績は、売上高は2億71百万円(前期比1.4%減)、セグメント利益は1億22百万円(同2.0%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は50億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億83百万円増加いたしました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果獲得した資金は、69億70百万円(前期は4億25百万円の使用)となりました。これは主に仕入債務の減少43億52百万円、法人税等の支払額19億16百万円があった一方、売上債権の減少61億96百万円、税金等調整前当期純利益32億64百万円、減価償却費15億0百万円、その他の資産の減少11億35百万円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は、16億59百万円(前期は20億65百万円の使用)となりました。これは主に固定資産の取得による支出11億1百万円、連結子会社株式取得による支出2億59百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は、28億27百万円(前期は19億28百万円の獲得)となりました。これは主に配当金の支払額3億35百万円、借入金の減少24億11百万円があったこと等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 綿半グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度

 (自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前期比

(%)

建設事業(千円)

25,447,329

74.5

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.綿半グループでは建設事業以外は受注生産を行っておりません。

3.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

c.受注工事高、完成工事高及び繰越工事高の実績

建設事業における受注工事高、完成工事高及び繰越工事高の実績は、次のとおりであります。

期 別

前期繰越工事高

(千円)

当期受注工事高

(千円)

(千円)

当期完成工事高

(千円)

次期繰越工事高

(千円)

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

   至 2020年3月31日)

20,494,722

34,157,243

54,651,966

36,855,833

17,796,132

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

   至 2021年3月31日)

17,796,132

25,447,329

43,243,462

27,830,651

15,412,810

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.前連結会計年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にも係る増減額が含まれます。

3.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

4.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。

前事業年度

該当する相手先はありません。

当事業年度

株式会社SUBARU   3,063,932千円  11.0%

5.完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。

 前連結会計年度 完成工事高5億円以上の主なもの

(仮称)東郷セントラル計画新築工事 立体駐車場

(仮称)沖縄・豊崎タウンプロジェクト新築工事

三井アウトレットパーク横浜ベイサイド建替計画B地区立体駐車場

イオンモール川口新築工事

プレンティ西神新立体駐車場建設工事

 

 当連結会計年度 完成工事高5億円以上の主なもの

矢)立体駐車場・西門歩道橋設置工事

中外製薬横浜研究拠点施設建設工事

(仮称)LG Global R&D Center 建設プロジェクト

関東学院大学横浜都心キャンパスプロジェクト

プロロジスパーク草加プロジェクト(免震階)

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前期比

(%)

小売事業      (千円)

80,609,698

103.8

建設事業      (千円)

27,830,651

75.5

貿易事業      (千円)

6,078,887

112.8

報告セグメント計  (千円)

114,519,236

95.5

その他       (千円)

271,137

98.6

合計        (千円)

114,790,374

95.5

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

3.販売実績総額に対する割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績等の記載は省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による綿半グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において綿半グループが判断したものであります。

 

①財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

②経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

綿半グループは、合才の精神による横連携による収益性の向上を目指しており、事業の成長・差別化・高収益化を測定するための経営指標として、売上高経常利益率を指針に定めております。

当連結会計年度の実績につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境と綿半のめざす姿」に記載しております。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④経営戦略の現状と見通し

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性について

綿半グループの運転資金需要のうち主なものは、商品、建設資材等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。

綿半グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金及び投資資金は、営業活動によって得られた自己資金を充当し、不足する場合には金融機関からの借入により資金調達をしております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は152億84百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は50億40百万円となっております。

 

⑥重要な会計方針、見積り及び当該見積りに用いた仮定

綿半グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り及び仮定を用いております。これらの見積り等については、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は当該見積り等と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は、2021年6月10日開催の取締役会において、株式会社夢ハウスの全株式を取得し、連結子会社化することを決議し、同日付けで株式譲渡契約を締結いたしました。

 本件に関する詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

 綿半グループの研究開発は、建設事業及び貿易事業において推進されております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は108,901千円であります。

 

(1)建設事業

 綿半ソリューションズ株式会社は、自社・事業部の枠を超えた価値の創造を目指しております。開放感と断熱性を兼ね備えたアルミ大型断熱サッシ「GLAMO」等の製品ラインナップに、更なる付加価値を見出すべく独自の技術開発を継続しております。また、安全性、作業性の向上、コスト低減を図るべく製品や工法の改良を重ねております。

 当事業に係る研究開発費は36,168千円であります。

 

(2)貿易事業

 綿半トレーディング株式会社では、継続的に新商品の開拓や製造方法の開発を進めております。また、新商品として新規原料を国内に輸入して販売するために、成分分析検査を実施しております。

 当事業に係る研究開発費は72,732千円であります。