文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針、経営環境
当社グループは、独立系エレクトロニクス専門商社として、エレクトロニクス市場の黎明期からインターネットの普及が日常の生活空間の隅々に行きわたり、社会に欠かせない存在となった現在まで世界の最先端の商品・技術を提供することを自らの使命としてきました。また、変化の激しいエレクトロニクス・情報通信業界にあって、当社グループは単なる商品の物流を担当する専門商社ではなく、テクニカル・サポートを行う技術サービス提供会社として、競合他社との差別化、位置づけの明確化を図ってまいりました。
昨今の当社グループを取り巻く環境並びに今後の見通しにつきましては、国内外における通信インフラ設備を始めとした設備投資の動向、スマートフォン、サーバー、民生機器、自動車、産業機器等を中心として、中長期的には需給バランスの変動による好不況は避けられません。また、米中貿易摩擦の影響、仕入先の合従連衡を背景とした半導体商社間の競争激化、さらに国内においては商社間で買収、統合などの再編が発生しており、大きな環境変化を迎えております。IT産業におきましては、不正アクセスによる個人情報の大量流出や仮想通貨取引市場における仮想通貨の流出など、世界的に高度化したサイバー攻撃の被害が拡大する等セキュリティリスクが高まっております。一方、労働人口の減少や生産性向上に伴う労働の自動化等により、ロボットやAI等の新たなテクノロジーの活用が大きく期待されております。また、昨今の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が、さまざま企業の活動や人々の生活に大きな影響を及ぼしております。今後はアフターコロナに向けて、一層の自動化や無人化、働き方改革推進が加速するものと思われます。
このような環境の中、今後、当社グループが成長と同時に、より収益性を高めるには今がグループ経営の転換期と考えております。当社グループの強みである技術力をさらに深化させ、「技術商社」の枠を超えた価値そのものを創造するデマンドクリエーション(需要創造)型企業として、付加価値を高める経営を目指すと同時に、得意先や仕入先がグローバル展開を加速する中で、当社グループもグローバルの観点から戦略を強化してまいります。さらに、「変化の先頭に立ち、あらゆるモノをつなぐことで、世界中の人々にとって幸せな未来社会をつくる」を新たなミッションとし、これまで培ってきた目利き力とハードウェアからソフトウェア・サービスまでの技術力をベースに、AI/IoTソリューションや自動運転等の新しい分野へも果敢に取り組みを開始しております。当社グループは、引き続き最先端のテクノロジーとインテリジェンスをつなぐことで、ウィズコロナ、アフターコロナのニューノーマル時代に向け、様々な社会課題に対してサービス/ソリューションを提供する存在として、社会の経済価値・生活価値を高めることに貢献する企業グループを目指し、さらなる業績の拡大と企業価値を向上させていく所存であります。
以上を踏まえ、グループビジョン、2019~2021年度新中期経営計画及び経営目標を策定し、推進してまいりました。
■グループビジョン
<ミッション>
私たちは、変化の先頭に立ち、あらゆるモノをつなぐことで、世界中の人々にとって幸せな未来社会をつくります。
<ビジョン>
私たちは、社会の可能性を拡張し、活気ある明日を創造するための最良の共創者になります。
<バリュー>
私たちの価値は、最先端のテクノロジーとインテリジェンスをつなぐ力、社員一人ひとりの自立と熱意、そしてチーム力にあります。
<ブランド・スローガン>
Co.Tomorrowing
■中期経営計画(2019~2021年度)
① 成長戦略
a. 半導体事業
国内市場では引き続き車載及び産業機器市場を中心にシェアを拡大していくとともに、海外市場ではM&Aを行う等グローバルにおけるポジションを確立してまいります。また、半導体を応用したハードウェア、ソフトウェアそしてソリューションを含めた幅広い提案を行うことで付加価値の高いビジネスも同時に追求していきます。
b. ネットワーク事業
当社グループが有する高度なセキュリティ対策ノウハウを外部からのサイバーリスクだけでなく、エンドポイントセキュリティや内部からの不正等の脅威など、より広い領域に適用・拡大していく戦略を遂行しております。さらに、セキュリティビジネスは、急速に市場が成長しているIoT製品向けへ対象市場を広げるとともに、ASEAN市場においても独自の高度なセキュリティ技術サービスを提供することにより、圧倒的に優位なポジションを確立してまいります。また、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを支援するためのビッグデータ分析基盤の活用やAIを始めとしたDXソリューションを強化していきます。
② 新規付加価値事業戦略
将来に向けて収益性の高い企業へと転換していくために、第三の新しい付加価値事業を創出し、事業ポートフォリオをチェンジしていきます。IoTソリューション、自動運転ソリューション、サービスロボット等の新規事業を付加価値ビジネスとして確立することを目指します。また、今後の戦略上キーとなるAI関連事業では、データサイエンティストのリソースと当社グループの強みである世界中の最先端技術の提供をコアコンピテンスに展開してまいります。
③ さらなる業務効率及び資産効率の改善と経営システム基盤への投資
持続的な売上成長を通じた利益の最大化を目指し、重複している業務などを精査、売上成長に伴う固定費比率を低下させ、多様化するビジネスモデルに対応した基幹システムにおいては、ERP、SCM、CRMに一体感を持たせた統合プラットフォームを構築、また、商権移管、車載ビジネスの拡大や生産中止品の確保により、在庫水準が高まっている中、取扱商品ごとにより適正な在庫水準を見極め、さらに、関係会社間での取引を見直し、発注、受入、供給にまたがるサプライチェーン全体のリードタイムの短縮などを行うことで資産効率の改善にもつながります。これらを実現する経営システム基盤を強化、構築するために投資を行っていきます。
④ 経営目標及び財務・資本施策
a. 経営数値目標
売上高 6,500億円以上
当期純利益 130億円以上
ROE 9.0%以上
営業キャッシュ・フロー 3年間累積100億円以上
2021年度が、2019年度~2021年度中期経営計画における最終会計年度となりますが、提出日現在において、上記の経営指標に変更はありません。新型コロナウイルスの更なる拡大、米中貿易摩擦や半導体供給不足など不安定な環境は見込まれますが、前述の戦略を遂行していき、目標達成に向けて邁進してまいります。
b. 財務・資本施策
・営業キャッシュ・フローの創出
当社グループの成長に欠かせないM&A、新規事業創出、IT基盤構築などに対して投資を行っていく上で、これらの投資を支えるのはキャッシュ・フローの創出が欠かせません。本中期経営計画においては、3年間累積100億円超の営業キャッシュ・フロー創出を目指しておりますが、税金等調整前当期純利益の拡大と在庫削減に努めた結果、2019年度及び2020年度連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローの累積額は838億円となりました。引き続き売上高を拡大し、成長を続けながらも継続的なキャッシュ・フローの創出を目指してまいります。
・ファイナンスに関する方針
事業から創出したキャッシュを原資として、重点領域に投資を計画していくほか、事業の拡大に必要な資金調達は有利子負債を主体に行い、貸越枠を有効に利用し健全かつ適切な手元流動性を維持してまいります。
⑤ 株主還元について
配当による直接的な還元と自己株式取得も視野に入れた中長期的な株価上昇によるトータルリターンを目指します。また、配当金の決定にあたっては、配当性向30%を指標とした安定配当を行ってまいります。
(2) 対処すべき課題
① 新規付加価値事業戦略の加速に向けて
当社は、2021年10月1日を効力発生日(予定)として当社の完全子会社である株式会社マクニカ(以下、マクニカ)を吸収合併存続会社として、マクニカネットワークス株式会社(以下、マクニカネットワークス)を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを決議いたしました。
今回の合併の背景としましては、当社は、より高度な社会を実現するためには、あらゆる社会システムの効率化、異業種間の共創、新産業の創出等が必要であり、これらを実現するためのキーとなるのがCPS(Cyber Physical System)であると考えております。CPSとは、実世界(フィジカル空間)にある様々なデータを収集し、サイバー空間で大規模データ処理などのデジタル技術を駆使して分析し、活用しやすい情報や知識にすることで、産業の活性化や社会問題の解決を図っていくものです。
当社グループは半導体事業、ネットワーク事業を主としておりますが、半導体事業で培ったセンシングデバイス(半導体)を通じた実世界のデータを収集する経験及び知見とネットワーク事業における強みであるサイバー空間のデータを収集・分析、知識化する能力を融合することで、このCPSを実現し、当社独自のプラットフォームを構築できると考えております。この度の合併は、当社グループの中に資産として存在する半導体事業におけるセンサーやアナログ技術、ネットワーク事業におけるネットワークインフラ、セキュリティ、ソフトウェア等のスキル、経験、そしてここ数年注力しているIoT、AI、デジタルトランスフォーメーション(DX)のコンサルティング能力やソリューション提供能力を掛け合わせることで実世界とサイバー空間の両方に強みをもつ企業として、半導体事業、ネットワーク事業に次ぐ、付加価値の高い新たなサービス・ソリューションモデルの創出をより加速させることが目的となります。さらに当社グループのこれらの強みを支えるデジタル、アナログ、エッジコンピューティング等のハードウェア技術者、ネットワーク及びセキュリティ・エンジニア、ソフトウェア開発者、そしてAI、DX人材を流動化、融合させ、社会やあらゆる産業へサービス・ソリューションを提供し、イノベーションを生み出す当社独自の企業カルチャーを創出できると確信しております。
② サスティナビリティ経営の推進
2021年度より、当社の中にサスティナビリティ推進委員会を設置し、グループ事業会社の中心となる株式会社マクニカにサスティナビリティ推進プロジェクトを設立します。このプロジェクトでは当社の代表取締役社長が陣頭指揮をとり、サスティナビリティ経営の推進に必要な部門の責任者から構成され、当社の強みや企業文化を活かした当社らしいESG経営を推進し、環境、社会、そして未来に貢献できる企業を目指してまいります。
③ 新型コロナウイルス対応
国内において拡大を続ける新型コロナウイルス感染症につきましては、当社グループでは、得意先、仕入先、その他取引先及び社員とその家族の安全、安心、健康を第一に考え、行政等の指針に従った感染防止の徹底をはじめ、海外への、及び海外からの渡航の禁止、国内における不要不急の移動の禁止、展示会、セミナー、研修など人が集まる形式での参加と開催の原則禁止、また、全社員は原則テレワーク(在宅勤務)を実施しております。そのような状況の中、仕入先から最新の製品の供給状況、得意先の生産状況など最新の情報取集を行い、また、オンラインでの営業活動やマーケティング活動などを積極的に行っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 外部・内部経営環境に関するリスク
① シリコンサイクル・景気変動の影響について
当社グループの属する半導体業界はシリコンサイクルと呼ばれる好不況のサイクルが存在し、浮き沈みを繰り返していると言われます。これは、半導体市況の上昇局面では、多くの企業が一斉に生産設備の増強を計画し、その後、生産も同時に行われるため、供給過剰が発生して製品価格が下落し、売上高の減少・停滞が発生するものです。一方、不況となれば一斉に投資に抑制がかかり、その後には供給不足となって価格下落が止まるとともに稼働率が上がって再び好況となります。当社グループは、このような半導体業界特有のサイクルによる好不況の影響を受ける可能性があります。また、このようなサイクルとは別に当社グループが取り扱う半導体の需要の変化や半導体が搭載される製品の価格やライフサイクルの変化などによって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 仕入先との関係について
当社グループは、最先端の技術・商品等を有する国内外の様々な企業を仕入先としております。それら仕入先とは、代理店契約等を締結し、緊密な関係を維持しておりますが、仕入先がM&Aに遭遇したり、仕入先自体の代理店政策の見直しにより代理店再編成が生じた場合は、商権に変更が生じるなど業績に影響を与える可能性があります。また、半導体及びネットワーク業界は、技術革新の激しい業界でありますが、仕入先の商品開発力が著しく低下し、商品の競争力に優位性が保てない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 新規仕入先の継続的な発掘について
当社グループは国内外の最先端の技術力を持ち、競争力の高い商品・サービスを有した企業をいち早く発掘し、代理店契約を締結することで商品ラインナップを拡大・強化してまいりました。これら企業の獲得競争は激しいものとなっており、仮にこのような新規仕入先の継続的な発掘が困難になった場合は、当社グループの事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
④ 高度な技術力の維持と人材確保について
当社グループの属する半導体及びネットワーク業界は、技術革新の激しい業界にあり、今後の成長及び収益性の向上は半導体、セキュリティ、AI、デジタル技術などの高度な専門性に基づくソリューションを顧客の課題に応じて提供することが重要となります。このような価値を顧客に提供するには、社内の技術力を高め、優秀な人材を採用、育成することが必要となります。近年特に優秀な技術者の獲得競争は激しいものとなっており、当社グループは優秀な技術者の確保に注力しておりますが、仮に充分な技術者を採用できない場合や優秀な技術者が流出した場合には、事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 財務リスク
① 為替相場変動の影響について
当社グループのビジネスにおきましては、2021年3月期の国内仕入額に占めるドル建比率は88.9%、海外も含めた販売額に占めるドル建比率が47.1%と外貨建比率が高いことから、為替相場変動が当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。すなわち、ドル建の販売に対しては売上高の変動、ドル建の仕入に対しては売上原価の変動、さらにこれらに係る債権債務の発生時から決済時迄の為替相場変動による営業外損益発生の可能性があります。また、米国主要仕入先との取引では、仕入値引を仕入の実施から数か月後の販売時に決済する取引条件としており、この間仕入値引に相当する債権額が変動する可能性があります。加えて、当社グループは、連結財務諸表を海外子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成しているため、為替相場変動による換算リスクを負っています。当社グループは、輸出入取引で生じる外貨建債権債務をヘッジしておりますが、かかる為替リスクを完全に払拭することはできず、為替相場変動が当社グループの当期純利益に影響を及ぼす可能性があります。
② たな卸資産廃棄及びたな卸資産評価の影響について
当社グループのビジネスにおきましては、顧客からの所要数、納期などの要求に迅速に対応するため数ヶ月分のたな卸資産を確保しております。当社グループでは、たな卸資産額を適正に保つため商品が搭載される最終製品の需要予測、顧客の所要数量及び受注状況を考慮しながら、仕入先への発注を調整するなどしてたな卸資産を管理しております。しかしながら急激な顧客の所要数量の変動、また、生産中止品や保守用在庫として確保していた商品が、当初見込んでいた顧客所要数量より差異が生じる際は、廃棄、又は資産価値評価の見直しを必要とする可能性があります。このような場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業投資リスクについて
当社グループは、既存事業における確固たるポジションの確立やグローバルに拡大していくためにM&Aを行い、子会社化を進めてきました。また、継続的な成長を目指し、既存事業だけでなく、AI、ヘルスケアといった新規事業分野の企業への出資も行っております。これらの出資に関しては、出資の妥当性・適正性について事業開発委員会の審議・検討を経て経営会議または取締役会で決定し、継続的にそれら企業の業績モニタリングを行っております。しかしながら、出資先企業の価値または株式の市場価値が低迷した場合には、当社グループが投資金額の全部もしくは相当部分を失うことがあります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的及びその他リスク
① 当社が影響下にある法規制について
当社グループは、半導体・集積回路などの最先端の電子部品及びネットワーク関連商品等の情報通信機器の輸出入を行っているため、輸出関連法規や関連諸規定の影響下にあります。当社グループでは、安全保障貿易管理を適切に実施するため、わが国の「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に基づく輸出関連法規や関連諸規定を遵守しております。取扱商品の輸出に際しては、仕入先メーカーと協力のうえ「該非判定」を実施するほか、「仕向地、需要者、用途、取引経路等」の把握にも努めておりますが、需要者を通じて懸念国に迂回輸出され、軍事的用途製品の一部に転用される可能性もあります。
当社グループとしましては、海外の需要者に対しても、①軍事的用途に使用しないこと②安全保障貿易に関する法令・関連諸規定、国際条約等を遵守することを規定した確認書を提出して頂くよう求め、リスクの軽減に最大限努めておりますが、万一、当社グループの取扱商品が予期せぬ需要者、用途で使用された場合、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 情報漏洩・流出について
当社グループは、業務の性格上、顧客企業の製品に関する仕様書を始めとした製品情報等を取り扱うこととなりますので、これらの情報が漏洩する危険性が考えられます。当社グループは、各事業会社において情報管理規程を整備し役職員への情報管理教育の徹底、また、取り外し可能媒体の使用制限、PC用の暗号化ソフトウェアや不正アクセス検知・防止機器等の導入などの措置を講じて情報漏洩を未然に防ぐこととしております。このような対策にもかかわらず、情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償を負う可能性があり、かつ社会的信用の失墜を招き、進行中のプロジェクトの継続にも支障が生じる可能性があります。
③ 求償リスクについて
当社グループの取り扱い商品及びサービスは、業務の性格上、顧客企業の様々な製品・サービスに使用されておりますので、製品不良等の問題により、当社グループが損害賠償を負う可能性があります。当社グループでは、契約書、取り扱い商品のクレームに対する仕入先メーカーとの連携及び協力等により、リスクの予防・軽減に最大限努めておりますが、このような対策にもかかわらず、重大な問題が発生した場合には、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 自然災害のリスクに関して
大規模地震、津波、台風等の自然災害や重大な感染症の流行等が発生した等により、当社グループ及び取引先において、事業活動の停止、生産中止、サプライチェーンの混乱などが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、引き続き状況を注視し、行政等の指針に従い、対応をしておりますが、事態の更なる長期化、感染拡大の収束が見られない場合は、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概況
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する感染対策を行いながら徐々に経済活動が再開され、後半にかけては企業活動や経済活動に持ち直しの動きがみられました。また、一部の製造業では収益が回復し、設備投資に動きがみられるなど、明るい材料も出てきました。世界経済においては、ワクチン接種が開始された国々では経済の持ち直しが期待され、また、中国や台湾では、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い企業活動や経済活動の正常化がいち早く進み、需要が回復しています。しかしながら、ヨーロッパ、インドなどのその他地域では、新型コロナウイルス変異株の増加など予断を許さない状況が続いています。
当社の属するエレクトロニクス産業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大により、在宅勤務やオンライン授業など、新しいビジネススタイル、ライフスタイルの変化に対する需要の増加に伴い、PCやゲーム機器、5G関連設備、データセンター等が堅調に推移しました。産業機器市場におきましては、半導体製造装置や工作機械などの需要が回復してきました。車載市場は、新型コロナウイルスの影響から回復をしてきましたが、半導体不足による生産調整が発生しています。このように回復傾向がみられるものの、米中貿易摩擦や半導体供給不足、新型コロナウイルス変異株の増加などの影響により不透明な状況は続いています。一方で、自動運転バスやAIを活用した顔認証システム、血圧測定モニタリング、非接触体表面温度検知など新しいソリューションの導入もみられるようになりました。IT産業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大による事業継続のための緊急措置や業務効率化を目的としたリモートワークの増加、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化への取り組みにより、クラウドの利活用が一段と進み、クラウドサービス市場は伸長しました。また、企業の情報セキュリティへの投資意欲は堅調を維持しています。従来の境界防御中心のセキュリティ対策に加え、大規模なリモートワークにより企業ネットワークが逼迫し業務効率劣化の問題が表面化したことから、インターネット回線経由でクラウドサービスを直接利用するユーザーが増えたことにより、境界防御に依存しないセキュリティ対策への需要が高まっています。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は553,962百万円(前年同期比6.3%増)、売上高の増加に加え、感染対策のための在宅勤務やデジタル・セールス活動による販管費の抑制等もあり営業利益は18,769百万円(前年同期比29.9%増)、経常利益は持分法による投資損失2,693百万円を計上したものの、為替差益の発生及び支払利息が減少したこと等により16,399百万円(前年同期比48.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては10,875百万円(前年同期比93.1%増)となりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
当事業におきましては、産業機器市場は中国を中心とした5Gスマートフォンや自動車の電動化に向けたFA機器、半導体需要の増加による半導体製造装置向けにアナログ製品等が好調に推移しました。通信インフラ市場におきましては、引き続き中国の5Gやデータセンター向けにメモリーが堅調に推移し、国内向けは電子デバイスなどが拡大しました。民生機器市場につきましては、巣籠り需要の増加によりエンターテインメント機器の受注が引き続き好調でした。車載市場は、新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化に伴い低迷していましたが、中国需要の増加や自動車電動化の加速を背景に、年後半には着実な回復がありました。コンピュータ市場は、後半に大手クラウドサービスプロバイダー向けにメモリーや電子デバイスなどの販売増加がありました。
これらの結果、同事業の当連結会計年度の売上高は481,125百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益は9,658百万円(前年同期比38.1%増)となりました。
当事業におきましては、ハードウェアは新型コロナウイルス感染拡大の影響による在宅勤務やリモートワークの増加に伴い、リモートアクセス用途のネットワーク関連商品が伸長した他、金融機関や官公庁等の需要回復によりゲートウェイ型セキュリティ関連商品が前年比において成長しました。一方、ソフトウェアは、リモートワーク増加と業務効率化に伴ってクラウドの利活用が一段と進み、クラウド関連商品の導入が大幅に伸長したことに加え、自宅などリモートからのクラウドサービス等への接続が増加する中、境界防御に付加するエンドポイントセキュリティ関連商品が前年比において大きく伸長しました。
これらの結果、同事業の当連結会計年度の売上高は73,082百万円(前年同期比19.0%増)、営業利益は8,879百万円(前年同期比22.9%増)となりました。
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ7,015百万円増加となりました。これは主に商品が8,414百万円、その他の流動資産が8,377百万円減少したものの、現金及び預金が10,728百万円、受取手形及び売掛金が13,270百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ672百万円減少となりました。これは主に無形固定資産が1,094百万円増加したものの、関係会社株式の評価等により投資有価証券が2,095百万円減少したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ8,636百万円減少となりました。これは主に支払手形及び買掛金が14,521百万円増加したものの、短期借入金が26,507百万円減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ4,521百万円増加となりました。これは主に長期借入金が4,660百万円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ10,458百万円増加となりました。これは主に、利益剰余金が7,775百万円、為替換算調整勘定が2,278百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の14,680百万円に比べ10,757百万円増加し、25,438百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは38,076百万円の増加 (前連結会計年度は、45,770百万円の増加)となりました。これは主に売上債権の増加があったものの、税金等調整前当期純利益16,277百万円の計上、たな卸資産の減少、仕入債務の増加及びその他流動資産の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは2,181百万円の減少 (前連結会計年度は、8,919百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは26,189百万円の減少 (前連結会計年度は、35,797百万円の減少)となりました。これは主に長期借入による収入があったものの、短期借入金の純減、長期借入金の返済による支出、配当金の支払いによる支出があったことによるものです。
③ 仕入、受注及び販売の実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度において、集積回路及び電子デバイスその他事業の受注残が著しく増加している要因は、「(1) 経営成績等の状況の概況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりビジネスの拡大及び半導体の供給リードタイム長期化に伴うものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社の属するエレクトロニクス業界は、新型コロナウイルス感染拡大により、在宅勤務やオンライン授業などの増加に伴い、PCやゲーム機器、5G関連設備、データセンター等が堅調に推移しました。産業機器市場は、半導体製造装置や工作機械など幅広く需要が増加しました。車載市場は、新型コロナウイルスの影響から回復をしてきましたが、半導体不足による生産調整が発生しています。IT産業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大による事業継続のための緊急措置や業務効率化を目的としたリモートワークの増加、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化への取り組みにより、クラウドサービス市場は伸長しました。また、従来の境界防御中心のセキュリティ対策に加え、境界防御に依存しないセキュリティ対策への需要が高まっています。このような経済環境下、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ6.3%増加の553,962百万円、営業利益は、売上高の増加に加え、感染対策のための在宅勤務やデジタル・セールス活動による販管費の抑制等により前連結会計年度に比べ29.9%増加の18,769百万円、経常利益は、持分法による投資損失2,693百万円を計上したものの、為替差益の発生及び支払利息が減少したこと等により前連結会計年度に比べ48.1%増加の16,399百万円、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度に比べ93.1%増加の10,875百万円となりました。
a. 売上高
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ6.3%増加の553,962百万円となりました。
集積回路及び電子デバイスその他事業におきましては、主力商品のPLDやアナログICは、産業機器向けが好調に推移するなか、年後半には車載向けも回復し堅調に推移しました。その他標準ICは、自動車の電動化や工作機械向け等モーターの需要増加により増加しました。メモリは、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス影響による企業向けサーバー需要の一時的な低下を受け減少しました。ASSPは、通信端末向けの販売縮小により減少しました。その結果、前連結会計年度に比べて4.6%増加の481,125百万円となりました。
ネットワーク事業におきましては、ハードウェアは新型コロナウイルス感染拡大の影響によるリモートワークの増加に伴い、ネットワーク関連商品が伸長した他、金融機関や官公庁等の需要回復によりゲートウェイ型セキュリティ関連商品が成長しました。ソフトウェアは、リモートワーク増加と業務効率化に伴いクラウド関連商品の導入が大幅に伸長したことに加え、境界防御に付加するエンドポイントセキュリティ関連商品が大きく伸長しました。その結果、前連結会計年度に比べて19.0%増加の73,082百万円となりました。
b. 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度の461,302百万円から6.0%増加し、489,126百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は88.3%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1.4%増加し、46,066百万円となりました。なお、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は8.3%であります。
c. 営業利益
営業利益は、売上総利益の増加により、前連結会計年度の14,447百万円から29.9%増加し、18,769百万円となりました。
d. 営業外収益
営業外収益は、受取配当金187百万円及び為替差益295百万円の増加等により、前連結会計年度の605百万円から107.7%増加し、1,257百万円となりました。
e. 営業外費用
営業外費用は、持分法投資損失1,877百万円の増加があったものの、支払利息827百万円の減少及び為替差損670百万円の減少等により、前連結会計年度の3,980百万円から8.9%減少し、3,627百万円となりました。
f. 経常利益
経常利益は、前連結会計年度の11,072百万円から48.1%増加し、16,399百万円となりました。
g. 特別利益
特別利益は、前連結会計年度の128百万円から61.1%増加し、206百万円となりました。
h. 特別損失
特別損失は、投資有価証券評価損1,324百万円の減少等により前連結会計年度の1,492百万円から78.0%減少し、328百万円となりました。
i. 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の9,708百万円から67.7%増加し、16,277百万円となりました。
j. 法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額
税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率は、前連結会計年度の35.4%から7.2%減少し、28.2%となりました。
k. 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の5,633百万円から93.1%増加し、10,875百万円となりました。
a. 財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b. キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
c. 資金需要
当社グループの運転資金需要の主要なものは、売上の増加に伴う支払と回収のサイト差及び商品在庫の保有によるものです。サイト差については、主に海外の仕入先に支払う仕入代金のサイトが20日から50日程度なのに対し、国内外の得意先からの回収サイトは30日から150日程度と長くなっているのが主な要因であります。また商品在庫に関しては、得意先への納入期限に対応するために適正水準を保持しております。
d. 財務政策
当社グループにおける増加運転資金につきましては、内部資金、売上債権の流動化、金融機関からの借入及び増資等によって調達しております。グループ各社の必要資金は、主に親会社が資金調達をし、親会社から他のグループ企業に融資していく方針であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の報告数字に影響を与える見積りは、主としてたな卸資産、貸倒引当金、投資の減損、繰延税金資産、賞与引当金、退職給付費用等であり、継続して評価を行っております。見積り及び判断については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a. たな卸資産
当社グループは、たな卸資産の保有日数、将来における需要や市場状況等に基づき、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には収益性の低下があるものとし、商品評価損を計上しております。実際の市況が当社グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
b. 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c. 投資の減損
当社グループは長期的な取引関係維持のために、特定の顧客、仕入先及び金融機関等に対する少数持分を保有しています。また新規仕入先の開拓を目的とした情報収集のために、投資事業有限責任組合及びそれに類する組合(金融商品取引法第2条第2項により有価証券とみなされるもの)等への出資をしています。これらには時価のある公開企業等への投資と時価のない未公開企業等への投資があります。時価のある投資につきましては、時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には無条件で減損処理を行い、30%以上50%未満下落した場合には個別に下落率の推移、発行体の財政状態等を勘案し、減損処理を行っております。
一方、時価のない投資の減損につきましては、実質価額が著しく低下した場合、合理的な事業計画等に基づき、回復可能性が認められない場合には実質価額まで減損処理を行っております。
また非連結の子会社及び関連会社の株式等についても、有価証券の評価方法に準じて処理を行っております。
当連結会計年度において減損処理を行い、投資有価証券評価損123百万円(時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券123百万円)を計上しております。今後も株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、評価損を計上する可能性があります。
持分法適用会社への投資の評価については、「第5 経理の状況 注記事項 重要な会計上の見積り」をご参照ください。
d. 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得と慎重かつ実現可能性の高い継続的な経営計画を検討したうえで繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を回収又は解消できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上する可能性があります。
e. 賞与引当金
賞与引当金は、支給対象期間の業績に応じて支給見込額のうち当期に帰属する額を計上しておりますが、実際の支給額は支給時点における外部環境及び当社グループの状況を勘案のうえ決定されるため、実際の支給額が見積りと異なる場合には追加の費用計上が必要となる可能性があります。
f. 退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び直近の統計数値に基づいて算出される死亡率が含まれており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。近年の割引率の低下及び年金資産運用での損失は当社グループの年金費用に対して悪影響を及ぼします。
当社は、2015年4月1日付で、連結子会社である㈱マクニカとの間で経営管理・指導に関する経営指導契約、業務委託に関する契約を締結しております。
当社グループが締結している仕入先との主要な契約は、次のとおりであります。
当社グループの研究活動は、エンジニアリング・サービス・カンパニー(技術サービス提供会社)として、顧客の課題解決に対応するためのテクニカルサポート(技術支援)を中心としております。基礎技術(要素技術)に関する研究開発活動は行っておりませんが、最先端の規格に対応したソフトウェアの開発やボード、モジュールなどの企画・開発を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 集積回路及び電子デバイスその他事業
集積回路及び電子デバイスその他事業では、リファレンスボードや組込みソフトウェアなどの開発を行ってまいりましたが、その実績をもとに当社グループ取扱商品に付加価値を提供するオリジナル・ボードや、IP、ソフトウェア、IoT関連等の開発及び販売を行い、当社グループの差別化に貢献しております。当該事業における当連結会計年度の研究開発費は
(2) ネットワーク事業
該当事項はありません。