文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 企業・経営理念体系について
当社グループは2019年に策定したグループビジョンのもと、2019~2021年度の中期経営計画を終えました。この度、2022年2月21日に発表しましたパーパスを企業理念と共に上位概念とし、ビジョン、バリューとあわせて企業・経営理念体系を改定し、今後も、社会の経済価値・生活価値を高めることに貢献する企業グループとして、さらなる業績の拡大と企業価値向上を目指してまいります。
① 企業理念
足下に種を蒔き続ける
「足下に種を蒔き続ける」は、当社グループが創業時から掲げている企業理念です。全社員が企業理念、経営方針、行動指針を理解し、日々の事業活動のベクトルを合わせるために、社員全員に経営方針書、行動指針書を配布し、社員全員が幾度となく繰り返し読み込んでおります。本企業理念は経営方針書の冒頭に記載があり、社員のDNAとなっています。
② パーパス
変化の先頭に立ち、
最先端のその先にある技と知を探索し、
未来を描き“今”を創る。
私たち、マクニカは、未来予測が困難な時代において、
地球環境・社会の変化を先読みし、その変化の先頭に立ち、失敗を恐れず、
ワクワク楽しみながら、挑戦心を持った開拓者「ファーストペンギン」であり続ける。
最先端のその先にあるまだ誰も知らない、
指数関数的に進化していく世界中の技:先端テクノロジーと、
知:インテリジェンスを探索し、その種を足下に蒔き続け、育て、つなぎ、つむぐ。
快適で信頼できる持続可能な未来ビジョンを構想し、
あらゆる業種・業界のプロフェッショナルと私たちの技と知を新結合する事で、
解像度の高いソリューションを“今”に、きちんと実装し、
その実現にとことんこだわり、情熱をもって新たな価値を創りあげる。
明るく・楽しく・元気よく!!
私たちは、皆さまと共に、笑顔あふれる、豊かな未来に向けて、終わりなき成功へと寄り添い、伴走します。
上位概念として新たに「パーパス」を制定いたしました。この「パーパス」は、過去、現在、未来の事業を通じ、普遍的に共通する当社グループの「志」を表すものです。当社グループは、新しい技術をどこよりも早く探し出し、磨きこむ目利き力を駆使して、最先端の半導体、電子デバイス、ネットワーク、サイバーセキュリティ商品を提供してまいりました。近年は、これらの経験と知見を活かし、新しい領域へ活動の幅を広げ、事業活動を行っております。当社グループは、今後も最先端の技(テクノロジー)と知(インテリジェンス)をつなぎ、未来構想力と解像度の高い実装力を併せ持った共創パートナーとして、未来社会の発展に貢献する企業を目指していく所存です。
③ ビジョン:Vision2030
サービス・ソリューションカンパニーは、これまで50年にわたるグループの成長を支えてきた高付加価値ディストリビューションのビジネスモデルを拡大しながら、その強みを生かした新しいビジネスモデルであるサービス・ソリューションモデルへと変革していくことで目指す絵姿です。
サービス・ソリューションモデルは、半導体、ネットワーク事業で培ってきたCyberとPhysicalの強みの融合、創業時から最先端の技と知を追い求め種を蒔き続けてきた先進性、昨今急拡大している共創パートナー、研究機関をはじめ、従来のサプライヤ、お客様、官公庁やM&A等によるグループ会社などによって大きく広がるエコパートナーを組み合わせることで、当社グループと当社グループのエコパートナーにしか出来ない、高付加価値のサービス・ソリューションを提供していくものです。
従来の当社グループのビジネスはその大部分がBtoBで完結するものでしたが、今後はソリューションのカバレージをコンシューマにまで広げ、社会価値と経済価値を両立させるサービス・ソリューションを提供してまいります。

④ バリュー
Trust Excitement Aggressiveness Move Stretch
当社グループのバリュー「T.E.A.M.S」は、社員が日々判断や行動に迷った際に立ち返る価値観をまとめたものです。社員全員がバリューに基づきベクトルを一つにすることで、質の高いチームワークが実現し、未来を切り開くエネルギーと勢いを生み出します。
⑤ ブランドスローガン
「Co.Tomorrowing」は、「ともに未来を創っていく」ことを意味しています。
(2) サスティナビリティ基本方針の策定について
当社グループは以下のとおりサスティナビリティ基本方針を策定し、社会の課題解決と持続的成長に取り組んでまいります。
① サスティナビリティ基本方針
当社グループは地球環境や社会課題への対応を経営方針の最重要事項のひとつとして捉え、当社グループのパーパスである「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描き“今”を創る。」ための活動に邁進します。
a. 重要課題を特定し、社会課題の解決と持続可能な社会に貢献するビジネス推進と事業投資マネジメント
事業活動を通じての社会、環境への貢献と企業価値の向上に努めます。
b. 環境・人権に配慮したグローバル経営の推進とサプライチェーンの強化
環境保全、人権と労働の基本的権利に配慮した経営を行います。仕入先、得意先に当社グループのサスティナビリティの考え方を理解してもらったバリューチェーンの構築を目指し、また、世界各国の文化、慣習などの理解と公正かつ誠実な事業活動を行います。
c. 社会からの信頼づくりとガバナンス・リスクマネジメント体制の強化
正確、明瞭、タイムリーな情報開示とステークホルダーとの対話をいたします。不正などが発生せず、持続可能な経営が実現できるガバナンス体制の構築と強化を行います。
d. サスティナビリティ推進に向けた社員の教育・啓発
全ての社員がサスティナビリティを推進する責務を負っていることから、社員に対してサスティナビリティ推進に関する教育、啓発活動を行います。
② マテリアリティ(重要課題)と経営・事業活動の関係性
当社グループは社会、ステークホルダーにとって重要度が高く、且つ当社グループの経営インパクトも大きいと考える以下のマテリアリティを特定いたしました。
a. 顧客課題の解決を通じ経済の発展に寄与する
Cyber Physical System(CPS)セキュリティ事業を通じ、情報化社会における情報セキュリティの強化に貢献します。また、スマートファクトリー事業を通じ、代替えリソースによる労働力確保などの顧客課題の解決に注力してまいります。
b. 安全安心で快適な暮らしを創る
ヘルスケア事業を通じ、個人に最適化された個別化医療、予防医療の発展に貢献してまいります。また、スマートシティ/モビリティ事業を通じ、安全で安心できる生活環境の整備や地域社会の活性化にも寄与してまいります。
c. 持続可能な地球環境を創る
サーキュラーエコノミー事業を通じ、カーボンニュートラルの実現、再生可能な資源を活用した循環型社会の実現に貢献いたします。また、フード・アグリテック事業を通じ、生活基盤の強化による食料の安定供給を実現してまいります。
そして、これら3つのマテリアリティに共通して、最先端半導体の提供やIT商材の提供を通じて、産業と技術革新の基盤の創造に取り組んでまいります。
(注) スマートファクトリー事業、CPSセキュリティ事業、スマートシティ/モビリティ事業、ヘルスケア事業、サーキュラーエコノミー事業、フード・アグリテック事業とは、サービス・ソリューションモデルにおける事業テーマであります。

d. 経営・事業のレジリエンスを強化する
以下の3つのテーマのもとに経営のレジリエンスを強化してまいります。
・ガバナンスとリスクマネジメント強化
・ダイバーシティ&インクルージョン(人的資本の最大化)
・ステークホルダーとの対話の強化
(3) 長期経営目標について
2030年度の長期経営目標として、社会価値と経済価値(企業価値)の両立を目指してまいります。社会価値としては①顧客課題の解決を通じ経済発展に寄与する、②安全安心で快適な暮らしを創る、③持続可能な地球環境を創る、の3つのマテリアリティ、経済価値として、現在の高付加価値ディストリビューションモデルに加え、サービス・ソリューションモデルを強化し、高収益・リカーリング型の収益構造への変革を図り、連結売上高1.3兆円以上、連結営業利益1,000億円以上、連結営業利益率7.5%以上、連結ROE15.0%以上を実現し、事業の持続的な成長を目指します。
(注) 1 連結営業利益は半導体事業、ネットワーク事業、サービス・ソリューションモデルの3つの柱で1,000億円以上の目標であります。
2 連結ROEは期末時点の連結自己資本(純資産から非支配株主分を除いたもの)を利用して算出しております。
Vision2030、長期経営目標の達成からバックキャストし、2022~2024年度、2025~2027年度、2028~2030年度の3つの中期経営計画を、それぞれ経営資源融合フェーズ、専門性強化フェーズ、経営資源統合フェーズと位置付けて取り組んでまいります。
前段階として、前期経営計画(2019~2021年度)におきまして、富士エレクトロニクス株式会社、マクニカネットワークス株式会社を株式会社マクニカに吸収合併し、経営資源を株式会社マクニカに集めてまいりました。
経営資源融合フェーズ(2022~2024年度)においては、半導体事業部門とネットワーク事業部門の組織間連携を強化するとともに、得意先、仕入先、様々なパートナーを当社グループ全体で共有します。当社グループのCyberとPhysicalの強みをはじめ、あらゆる経営資源の融合を図ることで、サービス・ソリューションモデルの基礎となるサービス及びCPSプラットフォームの開発を進めます。
専門性強化フェーズ(2025~2027年度)においては、それぞれの領域(例えばモビリティ、スマートファクトリー、ヘルスケア)において専門性を高め、サービスの強化及びサービス間の連携を図ります。
経営資源統合フェーズ(2028~2030年度)においては、領域をまたがるサービス、データの連携を強化し、サービスの統合を図り、業界、業際の標準プラットフォームとして事業の安定化を図ります。

(4) 中期経営計画について
① 前中期経営計画(2019~2021年度)の振り返り
a. 成長戦略
イ 半導体事業
売上においては2018年度470,338百万円から2021年度678,602百万円に、CAGR13.0%の成長。営業利益においては2018年度9,459百万円から2021年度27,499百万円にCAGR42.7%の成長。
主要戦略(グローバルM&A、新規デザイン、商権拡大、新規付加価値ソリューション)の全てで売上成長を実現しました。産業機器、コンピュータ、車載など幅広い分野でアナログIC、その他標準IC、メモリーなどが大幅に増加しました。
・グローバルポジションの確立
2019年に産業機器市場を得意とする台湾のANSWER TECHNOLOGY CO., LTD.の株式を取得し、2021年度から連結子会社といたしました。
・半導体を応用した付加価値ソリューション
携帯基地局や大手クラウドサービスプロバイダー向けにネットワーク商品の販売が増加しました。また、ものづくりコンサルティングや当社独自製品、ソフトウェアを組み合わせたソリューション開発を多数リリースいたしました。
ロ ネットワーク事業
売上においては2018年度54,118百万円から2021年度83,333百万円に、CAGR15.5%の成長。営業利益においては2018年度5,726百万円から2021年度9,082百万円にCAGR16.6%の成長。
主要戦略(セキュリティ、デジタルソリューション、グローバル)の全てで売上成長を実現しました。
・セキュリティ
ゲートウェイ型商品が減少した半面、エンドポイント、クラウド関連商品・サービスが伸び、加えて、様々な商材の拡大により成長しました。
・デジタルソリューション
買い切り型からサブスクリプション型サービスへの移行を進めながら、市場シェア拡大と領域拡大で成長しました。また、自社サービスもリリースし、ビジネスを拡大しています。
・グローバル
既存地域で国内ネットワーク部門とのシナジーによる成長に加え、新規進出国(インド、オーストラリア)の立ち上がりにより成長しました。
b. 新規付加価値事業戦略
半導体を応用した付加価値ソリューションは目標以上に成長しましたが、新規付加価値事業は実績面では未達でした。当初の4テーマ①IoTソリューション、②自動運転ソリューション、③サービスロボット、④macnica.aiを事業開発の要素へと位置付けを変更し、解決すべき社会課題のバックキャストに基づき、6つの事業テーマを設定しました。高付加価値ディストリビューションのビジネスモデルで市場に参入し、各市場で必要な専門性・パートナーを獲得、その上で自社製品・自社サービスを開発していく戦略にシフトしました。実績はまだ小さいものの、多くのパートナーの獲得に成功し、10以上の自社サービスをリリースしました。
c. さらなる業務効率および資産効率の改善と経営システム基盤への投資
2019年度から開始した業務整理とシステム基盤整備は計画どおり進行し以下を実現しました。
・営業、需給及び受発注業務などの標準化と効率化
・経営情報と営業活動の可視化
d. 経営目標及び財務・資本施策
(注) 連結ROEは期末時点の連結自己資本(純資産から非支配株主分を除いたもの)を利用して算出しております。
② 当社グループを取り巻く環境
当社グループは、独立系エレクトロニクス専門商社として、エレクトロニクス市場の黎明期からスマートフォンなどの高度な情報端末が日常の生活空間の隅々に行きわたり、社会に欠かせない存在となった現在まで世界の最先端の商品・技術を提供することを自らの使命としてきました。また、変化の激しいエレクトロニクス・情報通信業界にあって、当社グループは単なる商品の物流を担当する専門商社ではなく、顧客課題に対しての的確な提案、お客様が使いこなして頂くためのテクニカルサポートを行う技術サービス提供会社として、競合他社との差別化、位置づけの明確化を図ってまいりました。
昨今の当社グループを取り巻く環境並びに今後の見通しにつきましては、国内外における通信インフラ設備を始めとした設備投資の動向、スマートフォン、サーバー、民生機器、自動車、産業機器などを中心として、中期的には需給バランスの変動による好不況は避けられません。また、米中貿易摩擦の影響、ロシアを巡る国際情勢の変動、仕入先の合従連衝を背景とした半導体商社間の競争激化、さらに国内においては商社間で買収、統合などの再編が発生しており、大きな環境変化を迎えております。IT産業におきましては、不正アクセスによる個人情報の大量流出や身代金を要求するランサムウェアの大量拡散など、世界的に高度化したサイバー攻撃の被害が拡大する等、セキュリティリスクが高まっております。一方、労働人口の減少や生産性向上に伴う労働の自動化等の社会課題により、ロボットやAI等の活用が大きく期待されております。また、新型コロナウィルス感染症の脅威が長期化することで、さまざまな企業の活動や人々の生活に大きな影響を及ぼしております。今後は自動化や無人化、働き方改革などの加速が本格化するものと思われます。
このような環境の中、今後、当社グループが成長と同時に、より収益性を高めるためにグループ経営の変革を図っております。「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描いて“今”を創る。」というパーパスのもと、当社グループの強みである優れたコンセプトや技術を見極める目利き力、未来構想力、実装力をさらに尖鋭化させ、CyberとPhysicalをつなげ、「技術商社」の枠を超えた価値そのものを創造するサービス・ソリューションカンパニーとして、様々な社会課題の解決に貢献してまいります。そして、社会価値と経済価値を両立し、高い付加価値を創造する経営を目指してまいります。
以上を踏まえ、2022~2024年度中期経営計画及び経営目標を策定し、推進してまいります。
③ 中期経営計画
a. 経営目標
(注) 1 連結ROEは期末時点の連結自己資本(純資産から非支配株主分を除いたもの)を利用して算出しております。
2 運転資本回転率 = 年間売上高 ÷ 運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)
b. 事業戦略
・半導体事業の成長戦略
半導体事業においては①成長ドメインにおけるシェアの拡大、②半導体の技と知を活かした付加価値ソリューションのディストリビューションの拡大、③長期的な成長に向けたIoT関連、エナジーハーベスト関連、環境関連などを中心とした新規商材の開拓、④グローバルでの事業拡大を行います。
・ネットワーク事業の成長戦略
ネットワーク事業においては①セキュリティビジネスにおいて既存ターゲットセグメントでのシェア拡大と、ターゲットセグメントの拡大、②BigDataビジネスにおいてAI関連を中心としたソリューションの拡大、③DXを含むアプリケーションビジネスの拡大、④グローバルでの事業拡大を行います。
・サービス・ソリューションモデルのビジネス開発
従来新事業として取り組んでいた事業について、サービス・ソリューションモデルとして更なる強化を図ります。サービス・ソリューションモデルにおいては、①「マテリアリティと事業テーマの関係性」に記載のとおり、スマートファクトリー、CPSセキュリティ、スマートシティ/モビリティ、ヘルスケア、サーキュラーエコノミー、フード・アグリテックの6つの事業テーマにおいて、社会課題を解決するソリューションの開発、社会実装を推進、②サービス・ソリューションの事業基盤となるCPS(Cyber Physical System)プラットフォームの拡大、③社内の人材開発およびパートナーの開拓により長期的な成長に必要なケイパビリティの獲得を行います。
c. 経営基盤強化
Vision2030の実現に向けて経営のレジリエンスを強化します。
・リスクマネジメントの強化
グループ全体のリスクマネジメント体制及び活動を強化していくことと同時に、適切にリスクテイクができる仕組みを構築していきます。また、気候変動問題に関してTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づいた開示を行います。
・IT/DX戦略
前中期経営計画期間に導入した次世代システムの活用を進めることで業務効率の向上を図ってまいります。また、次世代システムでカバーできない領域においても更なる効率化のためのDXを推進してまいります。
・人的資本の最大化
人的資本を最大化するために、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、働き方改革、人材育成を重点的に強化・推進してまいります。
・財務戦略
当社グループは、地球環境問題や様々な社会課題に対応しながら持続的成長と中長期の企業価値の向上を実現することを目指し、将来の成長に必要なCPS(Cyber Physical System)、AI、また自社オリジナルサービス等の無形資産投資およびM&Aなどの投資を優先いたします。そのために必要な資金は、事業活動による利益と運転資本回転率の改善から生まれるキャッシュ及び有利子負債を主体とした資金調達から創出します。
・株主還元方針
当社グループは、経営環境や各事業年度の連結業績および目標とするROE(15.0%)などを勘案しながら、連結自己資本配当率(DOE)4.0%を目安として安定的かつ継続的な配当を実施するとともに、機動的な株主還元の手段として資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を実施し、総還元性向30~50%を目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 外部・内部経営環境に関するリスク
① シリコンサイクル・需給バランス・景気変動の影響について
当社グループの属する半導体業界はシリコンサイクルと呼ばれる好不況のサイクルが存在し、浮き沈みを繰り返していると言われています。これは、半導体市況の上昇局面では、多くの企業が一斉に生産設備の増強を計画し、その後、生産も同時に行われるため、供給過剰が発生して製品価格が下落し、売上高の減少・停滞が発生するものです。一方、不況となれば一斉に投資に抑制がかかり、その後には供給不足となって価格下落がとまるとともに稼働率が上がって再び好況となります。当社グループは、このような半導体業界特有のサイクルによる好不況の影響を受ける可能性があります。また、当社は顧客、仕入先と常に最新情報の共有などを行っておりますが、昨今のように、このようなサイクルとは別に当社グループが取り扱う半導体の需要の変化や半導体の供給力の変化、または、半導体が搭載される製品の価格やライフサイクルの変化などによって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 仕入先との関係について
当社グループは、最先端の技術・商品などを有する国内外の様々な企業を仕入先としております。それら仕入先とは、代理店契約などを締結し、緊密な関係を維持しておりますが、仕入先がM&Aに遭遇したり、仕入先自体の代理店政策の見直しにより代理店再編成が生じた場合は、商権に変更が生じるなど業績に影響を与える可能性があります。また、半導体及びIT・セキュリティ業界は、技術革新の激しい業界でありますが、仕入先の商品開発力が著しく低下し、商品の競争力に優位性が保てない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 新規仕入先の継続的な発掘について
当社グループは国内外の最先端の技術力を持ち、競争力の高い商品・サービスを有した企業をいち早く発掘し、代理店契約を締結することで商品ラインナップを拡大・強化してまいりました。これらの企業の獲得競争は激しいものとなっており、仮にこのような新規仕入先の継続的な発掘が困難になった場合は、当社グループの事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
④ 高度な技術力の維持と人材確保について
当社グループの属する半導体及びIT・セキュリティ業界は、技術革新の激しい業界にあり、今後の成長及び収益性の向上は半導体、セキュリティ、AI、デジタル技術などの高度な専門性に基づくソリューションを顧客の課題に応じて提供することが重要となります。このような価値を顧客に提供するには、社内の技術力を高め、優秀な人材を採用、育成することが必要になります。近年特に優秀な技術者の獲得競争は激しいものとなっており、当社グループは優秀な技術者の確保に注力しておりますが、仮に十分な技術者を採用できない場合や優秀な技術者が流出した場合には、事業計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ カントリーリスク
当社グループはアジアを中心として世界22の国と地域に拠点を設置しております。事業展開する海外各国において、 法律・規制の大きな変化、政治・経済状況の急激な変化、テロや戦争、知的財産権訴訟、疾病といった予測し難い事態が生じ、事業活動に大きな影響を受け、事業継続が困難になった場合、海外での事業活動の停滞や不測の事態による損害の発生等、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
(2) 財務リスク
① 為替相場変動の影響について
当社グループのビジネスにおきましては、2022年3月期の国内仕入額に占めるドル建比率は86.6%、海外も含めた販売額に占めるドル建比率が49.0%と外貨建比率が高いことから、為替相場変動が当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。すなわち、ドル建の販売に対しては売上高の変動、ドル建の仕入に対しては売上原価の変動、さらにこれらに係る債権債務の発生時から決済時迄の為替相場変動による営業外損益発生の可能性があります。また、米国主要仕入先との取引では、仕入値引を仕入の実施から数か月後の販売時に決済する取引条件としており、この間仕入値引に相当する債権額が変動する可能性があります。加えて、当社グループは、連結財務諸表を海外子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成しているため、為替相場変動による換算リスクを負っています。当社グループは、輸出入取引で生じる外貨建債権債務をヘッジしておりますが、かかる為替リスクを完全に払拭することはできず、為替相場変動が当社グループの当期純利益に影響を及ぼす可能性があります。
② 棚卸資産廃棄及び棚卸資産評価の影響について
当社グループのビジネスにおきましては、顧客からの所要数、納期などの要求に迅速に対応するため数ヶ月分の棚卸資産を確保しております。当社グループでは、棚卸資産額を適正に保つため商品が搭載される最終製品の需要予測、顧客の所要数量及び受注状況を考慮しながら、仕入先への発注を調整するなどして棚卸資産を管理しております。しかしながら急激な顧客の所要数量の変動、また、生産中止品や保守用在庫として確保していた商品が、当初見込んでいた顧客所要数量より差異が生じる際は、廃棄、又は資産価値評価の見直しを必要とする可能性があります。このような場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業投資リスクについて
当社グループは、既存事業における確固たるポジションの確立やグローバルに拡大していくためにM&Aを行い、子会社化を進めてきました。また、継続的な成長を目指し、既存事業だけでなく、AI、ヘルスケアといった新規事業分野の企業への出資も行っております。これらの出資に関しては、出資の妥当性・適正性について事業開発委員会の審議・検討を経て経営会議または取締役会で決定し、継続的にそれら企業の業績モニタリングを行っております。しかしながら、出資先企業の価値または株式の市場価値が低迷した場合には、当社グループが投資金額の全部もしくは相当部分を失うことがあります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的及びその他リスク
① 当社が影響下にある法規制について
当社グループは、半導体・集積回路などの最先端の電子部品およびネットワーク関連商品・セキュリティ関連製品などの情報通信機器の輸出入を行っているため、輸出関連法規や関連諸規定の影響下にあります。当社グループでは、安全保障貿易管理を適切に実施するため、わが国の「外国為替及び外国貿易法(外為法)」に基づく輸出関連法規や関連諸規定を遵守しております。取扱商品の輸出に際しては、仕入先メーカーと協力のうえ「該否判定」を実施するほか、「仕向地、需要者、用途、取引経路等」の把握にも努めておりますが、需要者を通じて懸念国に迂回輸出され、軍事用途製品の一部に転用される可能性もあります。
当社グループとしましては、海外の需要者に対しても、①軍事的用途に使用しないこと②安全保障貿易に関する法令・関連諸規定、国際条約等を遵守することを規定した確認証を提出して頂くよう求め、リスクの軽減に最大限努めておりますが、万一、当社グループの取引商品が予期せぬ需要者、用途で使用された場合、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 情報セキュリティについて
当社グループは、当社が提供する商品・サービスの販売活動を通じて、顧客企業が保有する個人情報などの各種機密情報を知り得る場合があります。このような状況に置いて、サイバー攻撃、もしくは人為的な過失等により、サービス停止、機密情報の漏洩・改ざん・紛失等が発生する可能性があります。当社では最先端のサイバーセキュリティ対策製品を導入し、システムがサイバー攻撃を検知した際には、即座に分析・対応できる組織を構成しております。また、社員への教育や啓蒙は継続的に実施することで、リスクの軽減に最大限努めております。しかし、このような取組みにもかかわらず、情報漏洩等が発生した場合に、顧客企業などからの損害賠償請求や、当社グループへの信頼喪失を招くことで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 求償リスクについて
当社グループの取扱商品及びサービスは、業務の性格上、顧客企業の様々な製品・サービスに使用されておりますので、製品不良等の問題により、当社グループが損害賠償を負う可能性があります。当社グループでは、契約書、取扱商品のクレームに対する仕入先メーカーとの連携及び協力等により、リスクの予防・軽減に最大限努めておりますが、このような対策にもかかわらず、重大な問題が発生した場合には、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 自然災害のリスクに関して
大規模地震、津波、台風等の自然災害や重大な感染症の流行等などが発生した等により、当社グループ及び取引先において、事業活動の停止、生産中止、サプライチェーンの混乱などが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウィルス感染症につきましては、引き続き状況を注視し、行政等の指針に従い、対応しておりますが、事態が再度悪化し、感染拡大の収束が見られない場合は、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概況
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症(以下、COVID-19)の拡大と縮小に合わせ経済活動の制限と緩和が繰り返される中、景気は緩やかに持ち直しています。世界経済におきましては、ワクチン接種率の増加に伴い、欧米諸国では回復の兆しがみえたものの、原材料・エネルギー価格の高騰、中国でのCOVID-19の再拡大によるロックダウン等による経済減速懸念、ロシア連邦によるウクライナ侵攻の影響など、先行き不透明な状況が続いております。
当社の属するエレクトロニクス産業におきましては、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化やデジタル関連需要の増加を背景に、期を通じて半導体の需要は高い水準で推移しました。産業機器市場におきましては、半導体への設備投資が加速し各種半導体製造装置の需要が拡大、製造業の自動化・高度化を目的としたFA機器や工作機械など幅広い分野で市場が成長しました。また、通信インフラ市場やコンピュータ市場では、第5世代移動通信システム(5G)や人工知能(AI)システムのクラウド化を背景に、スマートフォンやデータセンター等も増加しメモリーなどの需要が拡大しました。車載市場では、半導体不足による生産調整が発生していますが、より高度な自動化・脱炭素化向けに、電装化やEV(電気自動車)化の動きが加速しました。IT産業におきましては、企業のデジタル化への取り組みを背景に、IT投資の回復基調が継続しています。高い利便性を提供するクラウドサービスの利活用が進んでいる一方で、クラウドへの移行にあたっては情報流出等の懸念から包括的なセキュリティ対策を講じることが重要になっています。加えて、リモートワークの定着により、社内システムと社外との境界防御に依存しないセキュリティ対策や、高度なセキュリティ人材不足を背景に運用性の高いセキュリティサービスへの需要が高まっています。また、企業のセキュリティ対策が拡充されていく中で、インターネットに面している脆弱なシステムを対象とする攻撃が見られるようになっており、アタックサーフェイス(攻撃対象面)の管理に注目が高まっています。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は761,823百万円(前年同期比37.5%増)、営業利益は36,707百万円(前年同期比95.6%増)、経常利益は35,487百万円(前年同期比116.4%増)、第1四半期にて当社の持分法適用会社であった台湾法人ANSWER TECHNOLOGY CO., LTD.の株式を追加取得し、連結子会社化したことに伴い、従前から保有する持分を当該追加取得時の時価で再評価する事による評価差益(段階取得に係る差益) 1,918百万円を特別利益として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては25,798百万円(前年同期比137.2%増)となりました。
セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。
当事業におきましては、半導体不足や材料不足、原材料の高騰などサプライチェーンの混乱が続いているものの、世界的な半導体需要の増加を背景に、各市場にて大きく伸長しました。当社グループがターゲット市場として特に注力している産業機器市場は、生産の自動化・高度化を目的としたFA機器をはじめ、半導体製造装置、計測機器、医療機器など各分野が成長し、アナログ製品やその他標準IC等の幅広い商品を提供したことで売上が大幅に拡大しました。車載市場は、半導体不足による生産調整がありましたが、当社グループの仕入先との強固な関係性を活かし、アナログ製品やその他標準IC、ASSPなどが好調に推移しました。通信インフラやコンピュータ市場は、5Gやクラウド化を背景にデータセンター向けにメモリーの売上が伸長し、民生機器市場は、エンターテインメント機器向けにアナログ製品を中心に販売が進み、OA・周辺機器市場もコロナ禍で需要が落ち込んだオフィス向け複合プリンター向けにASSPなどが回復しました。
これらの結果、同事業の当連結会計年度の売上高は678,602百万円(前年同期比41.0%増)、営業利益は産業機器向けの売上構成比率の増加等により収益性が改善し27,499百万円(前年同期比184.7%増)となりました。
当事業におきましては、ソフトウェアは、境界防御に依存しないセキュリティ対策として、当社グループの主力のエンドポイントセキュリティ関連商品やクラウドゲートウェイセキュリティ関連商品等の販売が大企業や官公庁を中心に継続し、加えて、業務効率化等を目的としたクラウドサービス関連商品の拡販強化により、売上が大幅に伸長しました。一方、ハードウェアは、セキュリティ運用の効率化や内部不正対策を目的としたセキュリティマネジメント関連商品等が伸長したものの、一昨年のCOVID-19の感染拡大に伴うリモートアクセスを目的としたゲートウェイセキュリティ関連商品の特需の反動減等により、売上が減少しました。
これらの結果、同事業の当連結会計年度の売上高は83,333百万円(前年同期比14.0%増)、営業利益は9,082百万円(前年同期比2.3%増)となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ91,632百万円増加となりました。これは主に売掛金が35,813百万円、商品が53,882百万円、その他の流動資産が2,487百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,360百万円増加となりました。これは主に投資有価証券が5,296百万円減少したものの、のれんが1,622百万円、その他の無形資産が4,096百万円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ52,897百万円増加となりました。これは主に支払手形及び買掛金が18,254百万円、短期借入金が21,403百万円、未払金が6,747百万円、未払法人税等が4,305百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ6,341百万円増加となりました。これは主に長期借入金が5,175百万円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ33,754百万円増加となりました。これは主に、利益剰余金が21,756百万円、為替換算調整勘定が6,425百万円、非支配株主持分が5,805百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の25,438百万円に比べ339百万円減少し、25,099百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは15,534百万円の減少 (前連結会計年度は、38,076百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益37,081百万円の計上、仕入債務の増加及び未払金の増加があったものの、売上債権の増加及び棚卸資産の増加があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,653百万円の減少 (前連結会計年度は、2,181百万円の減少)となりました。これは主に連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入があったものの、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは14,368百万円の増加 (前連結会計年度は、26,189百万円の減少)となりました。これは主に配当金の支払いがあったものの、短期借入金及び長期借入金の純増があったことによるものです。
③ 仕入、受注及び販売の実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、集積回路及び電子デバイスその他事業の仕入高が著しく増加している要因は、「(1) 経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりビジネスの拡大、ANSWER TECHNOLOGY CO., LTD.を連結子会社化した事によります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 当連結会計年度において、集積回路及び電子デバイスその他事業の受注高、受注残高が著しく増加している要因は、 「(1) 経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりビジネスの拡大、ANSWER TECHNOLOGY CO., LTD.の連結子会社化、半導体の供給リードタイム長期化に伴うものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社の属するエレクトロニクス業界は、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化やデジタル関連需要の増加を背景に、期を通じて半導体の需要は高い水準で推移しました。当社グループがターゲット市場として特に注力している産業機器市場におきましては、半導体への設備投資が加速し各種半導体製造装置の需要が拡大、製造業の自動化・高度化を目的としたFA機器や工作機械、計測機器や医療機器など幅広い分野で需要が拡大しました。また、通信インフラやコンピュータ市場は、第5世代移動通信システム(5G)や人工知能(AI)システムのクラウド化を背景に、スマートフォンやデータセンター等も増加しサーバーや通信設備の増強が進んでいます。車載市場は、半導体不足による生産調整が発生していますが、より高度な自動化・脱炭素化向けに、電装化やEV(電気自動車)化の動きが加速しました。IT産業におきましては、企業のデジタル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを背景に、IT投資の回復基調が継続しています。リモートワークが定着する中で、ロケーションに関わらない社内データへのアクセスや、社外の関係者とのデータ共有を安全に行うなど、企業の業務効率化や利便性の向上を提供するクラウドサービスの販売が大幅に伸長しました。クラウドへの移行にあたって包括的なセキュリティ対策を講じることが重要になっており、クラウドセキュリティゲートウェイやエンドポイントセキュリティ等の境界防御に依存しないセキュリティ対策製品の販売が伸長しました。このような経済環境下、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ37.5%増加の761,823百万円、営業利益は前連結会計年度に比べ95.6%増加の36,707百万円、経常利益は、116.4%増加の35,487百万円、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、第1四半期にて当社の持分法適用会社であった台湾法人ANSWER TECHNOLOGY CO., Ltd.の株式を追加取得し、連結子会社化したことに伴い、従前から保有する持ち分を当該追加取得時の時価で再評価する事による評価差益(段階取得に係る差益)を特別利益1,918百万円として計上した結果、前連結会計年度に比べ137.2%増加の25,798百万円となりました。
a. 売上高
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ37.5%増加の761,823百万円となりました。
集積回路及び電子デバイスその他事業におきましては、主力商品のPLDやアナログIC、その他標準ICは、幅広い産業機器向けに販売が進み、電動化が加速する車載向けに増加しました。メモリは、データの増加に伴いデータセンター向けサーバーの需要が増加し好調に推移しました。その結果、前連結会計年度に比べて41.0%増加の678,602百万円となりました。
ネットワーク事業におきましては、ハードウェアはセキュリティ運用の効率化や内部不正対策の目的としたセキュリティマネジメント関連商品等が伸長したものの、一昨年のCOVID-19の感染拡大に伴うリモートアクセスを目的としたゲートウェイセキュリティ関連商品の特需の反動減等により減少しました。ソフトウェアは、境界防御に依存しないセキュリティ対策として、エンドポイントセキュリティ関連商品やクラウドゲートウェイセキュリティ関連商品等の需要が大企業や官公庁を中心に継続し、加えて、業務効率化等を目的としたクラウドサービス関連商品の需要が持続したことから、大幅に伸長しました。その結果、前連結会計年度に比べて14.0%増加の83,333百万円となりました。
b. 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度の489,126百万円から37.2%増加し、671,104百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は88.1%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ17.2%増加し、54,010百万円となりました。なお、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は7.1%であります。
c. 営業利益
営業利益は、売上総利益の増加により、前連結会計年度の18,769百万円から95.6%増加し、36,707百万円となりました。
d. 営業外収益
営業外収益は、受取配当金183百万円及び為替差益295百万円の減少等により、前連結会計年度の1,257百万円から32.8%減少し、844百万円となりました。
e. 営業外費用
営業外費用は、持分法投資損失1,884百万円の減少等により、前連結会計年度の3,627百万円から43.1%減少し、2,064百万円となりました。
f. 経常利益
経常利益は、前連結会計年度の16,399百万円から116.4%増加し、35,487百万円となりました。
g. 特別利益
特別利益は、段階取得に係る差益1,918百万円の増加等により、前連結会計年度の206百万円から835.0%増加し、1,928百万円となりました。
h. 特別損失
特別損失は、関係会社株式評価損が166百万円減少したものの、投資有価証券評価損が172百万円増加したことにより、前連結会計年度の328百万円から1.8%増加し、334百万円となりました。
i. 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の16,277百万円から127.8%増加し、37,081百万円となりました。
j. 法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額
税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率は、前連結会計年度の28.2%から2.4%減少し、25.8%となりました。
k. 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の10,875百万円から137.2%増加し、25,798百万円となりました。
a. 財政状態
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b. キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
c. 資金需要
当社グループの運転資金需要の主要なものは、売上の増加に伴う支払と回収のサイト差及び商品在庫の保有によるものです。サイト差については、主に海外の仕入先に支払う仕入代金のサイトが20日から50日程度なのに対し、国内外の得意先からの回収サイトは30日から150日程度と長くなっているのが主な要因であります。また商品在庫に関しては、得意先への納入期限に対応するために適正水準を保持しております。
d. 財務政策
当社グループにおける増加運転資金につきましては、内部資金、売上債権の流動化、金融機関からの借入及び増資等によって調達しております。グループ各社の必要資金は、主に親会社が資金調達をし、親会社から他のグループ企業に融資していく方針であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の報告数字に影響を与える見積りは、主として棚卸資産、貸倒引当金、投資の減損、繰延税金資産、賞与引当金、退職給付費用等であり、継続して評価を行っております。見積り及び判断については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a. 棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の保有日数、将来における需要や市場状況等に基づき、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には収益性の低下があるものとし、商品評価損を計上しております。実際の市況が当社グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
b. 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c. 投資の減損
当社グループは長期的な取引関係維持のために、特定の顧客、仕入先及び金融機関等に対する少数持分を保有しています。また新規仕入先の開拓を目的とした情報収集のために、投資事業有限責任組合及びそれに類する組合(金融商品取引法第2条第2項により有価証券とみなされるもの)等への出資をしています。これらには市場価格のある公開企業等への投資と市場価格のない未公開企業等への投資があります。市場価格のある投資につきましては、市場価格が取得原価に比べ50%以上下落した場合には無条件で減損処理を行い、30%以上50%未満下落した場合には個別に下落率の推移、発行体の財政状態等を勘案し、減損処理を行っております。
一方、市場価格のない投資の減損につきましては、実質価額が著しく低下した場合、合理的な事業計画等に基づき、回復可能性が認められない場合には実質価額まで減損処理を行っております。
また非連結の子会社及び関連会社の株式等についても、有価証券の評価方法に準じて処理を行っております。
当連結会計年度において減損処理を行い、投資有価証券評価損295百万円(市場価格のない株式等295百万円)を計上しております。今後も株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、評価損を計上する可能性があります。
d. 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得と慎重かつ実現可能性の高い継続的な経営計画を検討したうえで繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を回収又は解消できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上する可能性があります。
e. 賞与引当金
賞与引当金は、支給対象期間の業績に応じて支給見込額のうち当期に帰属する額を計上しておりますが、実際の支給額は支給時点における外部環境及び当社グループの状況を勘案のうえ決定されるため、実際の支給額が見積りと異なる場合には追加の費用計上が必要となる可能性があります。
f. 退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び直近の統計数値に基づいて算出される死亡率が含まれており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。近年の割引率の低下及び年金資産運用での損失は当社グループの年金費用に対して悪影響を及ぼします。
当社は、2015年4月1日付で、連結子会社である㈱マクニカとの間で経営管理・指導に関する経営指導契約、業務委託に関する契約を締結しております。
当社グループが締結している仕入先との主要な契約は、次のとおりであります。
当社グループの研究活動は、エンジニアリング・サービス・カンパニー(技術サービス提供会社)として、顧客の課題解決に対応するためのテクニカルサポート(技術支援)を中心としております。基礎技術(要素技術)に関する研究開発活動は行っておりませんが、最先端の規格に対応したソフトウェアの開発やボード、モジュールなどの企画・開発を行っております。また、サービス・ソリューションモデルの基礎となるサービス及びCPSプラットフォームの開発を進めております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 集積回路及び電子デバイスその他事業
集積回路及び電子デバイスその他事業では、リファレンスボードや組込みソフトウェアなどの開発を行ってまいりましたが、その実績をもとに当社グループ取扱商品に付加価値を提供するオリジナル・ボードや、IP、ソフトウェア、IoT関連等の開発及び販売を行い、当社グループの差別化に貢献しております。当該事業における当連結会計年度の研究開発費は
(2) ネットワーク事業
ネットワーク事業では、サービス・ソリューションモデルにて、サービスを提供するプラットフォームにおける認証技術の調査研究を行っております。当該事業における当連結会計年度の研究開発費は