第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針及び経営環境等

① 経営方針

当社は「グローバルな競争社会で成長発展していくために、常に将来を見通し、大胆に変化していく。」を経営方針としております。いまや鶏卵といえども国内情勢だけを見て経営判断できる時代ではなくなったと認識しております。国内、国外の動向を把握し、常に10年後の近未来を予測し、過去、現在の仕事のやり方に固執することなく積極的かつ大胆に変化していく事が肝要です。

 

② 経営環境

当事業年度における日本経済は、依然として終結の目途が立たないロシアによるウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー、資源相場の高止まりや米国金利引き上げに伴う円安により企業物価指数、消費者物価指数は高止まり、実質賃金は今年3月まで12か月連続減少を続けています。一方新型コロナウイルス感染症は今年に入り徐々に感染者が減少、昨年秋以降の外国人の入国規制の緩和もあり、輸送業、観光業、飲食業等を中心に本格的な景気回復局面に入りつつあります。

鶏卵業界におきましては、昨年10月に今シーズンはじめての鳥インフルエンザ感染が国内の農場で確認されて以降、感染拡大に歯止めがかからず、3月末までに感染事例は82例、1,600万羽近い採卵鶏が淘汰されております。この影響を受け、当事業年度平均鶏卵相場は、北海道Mサイズが1キロ280円21銭と前年比58円11銭高、東京Mサイズは1キロ250円74銭と前年比35円50銭高となりました。

この様な状況下当社としましては、引き続き当社としての競争優位の源泉となっている小売店への直接販売や農場生産成績の改善、差別化卵の販売比率の引き上げ等を通じて当社収益構造の強化を図ってまいります。

 

(2)経営戦略等

① 事業領域の拡大

当社の持続的成長のため、引き続き事業領域の拡大に注力してまいります。当社は既に昨年秋より宮城県にある農場で生産した平飼い卵を関東、東海、東北、北海道において販売開始しておりますが、本年度は当該卵の業務用需要開拓、海外市場への輸出に取り組んでまいります。さらに同農場で製造される発酵鶏糞肥料の東南アジア向け輸出にも取り組んでまいります。

 

② 相場に左右されない収益体質の構築

鶏卵は相場商品であり、このため当社収益も相場動向に左右されやすい収益構造になりがちです。当社は相場に左右されない収益体質構築のため、販売価格が比較的安定し、相場の影響を受けにくい「付加価値卵」(各種栄養成分を強化した卵、アニマルウェルフェアを意識した平飼い卵)の生産、拡販に引き続き注力してまいります。

 

③ 農場生産成績向上による鶏卵生産コストの引き下げ

生産コストの引き下げはメーカーでもある当社にとって永遠の取り組み課題です。最新技術を導入した鶏舎への建替え、飼料成分・飼育環境の改良、徹底した防疫対策を通じ、鶏卵生産成績の向上とコスト削減に取り組んでまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社の事業は製品の定価販売が可能な製造業と異なり、製品たる鶏卵、原料である飼料ともその価格が相場に大きく左右されます。このため売上高総利益率等の指標を計画や経営上の目標とすることはかえって経営の本質を見誤る危険性を含んでいるため、事業計画上これらの指標に目標を設定しておりません。代わりに各事業毎の事業成績目標の達成状況を判断するため、産卵率、平均卵重、飼料要求率(卵を産むためにどれだけの餌が必要かを示す指標)、一人一時間当たり製造量(パック詰め等作業)、相場差(販売単価と鶏卵相場の価格差)等の生産・製造・販売に関連する指標を当社では重視しており、結果として売上高総利益率の改善につながるような事業活動を行っております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 高病原性鳥インフルエンザ感染防止対策の徹底

 当社は残念ながら今年4月に千歳農場での高病原性鳥インフルエンザの感染が確認され、約70万羽の鶏の淘汰を行い、結果として株主様、取引先様、消費者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしました。今回の事故を教訓に農場における感染防止策を再点検し、再発防止に最大限の対策を打ってまいります。さらに当社大規模農場である札幌、千歳農場においては、農場の一か所で感染が確認された場合でもその影響を最小限にとどめるため、農場の分割管理を検討してまいります。

 

② 原料コストの高騰に伴う適正な鶏卵販売価格への改定

ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的な原料価格高騰に伴う国内飼料価格、エネルギーコスト、物流費の高騰には終息の兆しが見えません。当社としては生産コスト引き下げに全力を挙げるとともに、自社努力のみでは吸収できないコスト増に対応するために当社取引先に対しては原料事情を丁寧に説明し理解を求めたうえで、引き続き鶏卵販売価格の改定を進めてまいります。

 

③ 平飼い卵の生産・販売

 当社はアニマルウェルフェアへの取り組みの一つとして昨年秋より宮城県において生産した平飼い卵の関東、東海、東北、北海道での販売を開始していますが、本年度はさらに販売数量を増加させるとともに、業務用ユーザーの開拓、海外への輸出にも取り組んでまいります。

 

④ SDGsへの取組

未来に責任ある企業としてSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みは避けて通れない課題と認識しております。当社は既に農場で発生する鶏糞を発酵鶏糞ペレット化する肥料工場を稼働させ、鶏糞の農地還元を行っておりますが、ロシアのウクライナ侵攻による世界的な肥料価格の高騰を踏まえ、本年度は当該製品の東南アジア向け輸出に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 21世紀を生きる企業として子供たちの未来のために地球の環境を守ることは最優先課題です。この課題に取り組むため、当社は「環境方針」を定め、「かけがえのない星=地球を将来にわたってまもっていくために」(当社環境方針から抜粋)、家畜排せつ物の適切な処理、排水の適切な処理、産業廃棄物の削減を3つの基本方針として定めていますが、その中でも特に上場畜産会社として「鶏糞処理」をサステナビリティ上の最優先課題と認識しており、そのガバナンス、戦略、リスク管理、指標/目標は以下の通りであります。

 人的資本への取り組みは、当社としてのサステナビリティを中から支える重要課題であり、これに関する戦略、及び指標/目標も合わせ記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社が北海道及び東北で保有する9つの農場から発生する鶏糞の処理については農場部門の責任者たる生産本部長がその管理責任者となっております。組織としてのモニタリング、ガバナンス体制としては、内部監査室長が年に最低1回各農場における鶏糞処理状況を視察し、その結果を最低年一回取締役会に報告することとし、その際問題があれば取締役会から対応指示を行います。

 

(2)戦略

①サステナビリティに関する戦略

 当社農場で発生する鶏糞については農地還元による処理を基本とし、8つの農場の内近隣に農地がある7農場においては生鶏糞、または発酵鶏糞を近隣農家に提供することで農地還元を実行しております。

 近隣に農家が少ない1農場については、農場内に発酵鶏糞ペレット肥料製造工場を設置、製品はホームセンターや肥料卸へ外部販売を行うとともに、本年度より本格的に東南アジアへの輸出に取り組んでまいります。

 

②人的資本に関する戦略

当社は人材育成方針、社内環境整備方針を以下の通り定めております。

 

人材育成方針

 優秀人材の獲得・定着、年功序列を排した能力評価によるリーダー層の創出

 挑戦・失敗ともに成長の糧とできる人材育成のための指導・支援の仕組みの充実

 先取・オリジナルなアイデア発想のための職員個人の能力開発への支援強化

 

社内環境整備方針

 ダイバーシティ推進への取組による新たな発想の醸成

 身体的・精神的健康の確保、労働安全衛生水準の向上

 コンプライアンスへの取り組み強化

 

(3)リスク管理

鶏糞処理に係るリスクの特定、評価、管理方法は以下の通りです。

リスクの特定:鶏糞が処理できず、在庫として農場に積みあがること。大雨等で農場外に流れ出すこと

リスクの評価:農場内で鶏糞在庫を一定数量内に抑えることができているか

リスクの管理:農場ごとに毎月月末に鶏糞在庫数量と外部還元数量を本部長宛報告

 

(4)指標及び目標

 鶏糞処理については農地還元率を指標とし、目標は全農場で100%農地還元(外部販売を含む)とします。産業廃棄物としての処理は行わず、100%農地還元を達成することで循環型社会の形成に貢献します。

 

 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は以下の通りです。

 

人材の育成に関する指標

①社員定着率(入社3年以内) 目標:全社員90%、新卒社員80% 実績:全社員72%、新卒社員60%

目標達成のための施策:適材適所の人事異動、研修の拡充、年間休日増加等の福利厚生の充実を通じ従業員満足度を向上させ、定着率アップを図る。

 

②研修への投資(一人当たりの研修費用) 目標:20千円 実績:5千円

目標達成のための施策:階層別研修の拡充、資格取得に対する支援と通信教育参加者の増加を図る。

社内環境整備に関する指標

①障害者雇用率 目標:5% 実績:3.72%

目標達成のための施策:既に法定雇用率2.3%を超えているが、今後もサポート体制の整備された職場での特別支援学校等からの新規採用を継続し、障害者を含めたより多様性ある職場作りを進める。

②労働災害発生件数 目標:重大災害0件、軽微災害0件 実績:重大災害5件、軽微災害7件

目標達成のための施策:職場での自主的活動を支援(研修ツールの導入等)するとともに定期的に安全衛生委員会を開催、リスクアセスメントによる労働環境の整備・改善、ヒヤリハットの共有等を通じてより安全な職場環境を構築していく。

 

 女性管理職比率、男性育児休業等取得率、男女賃金格差については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 鶏卵相場の変動性

 当社は鶏卵を主力商品として生産及び販売しており、鶏卵相場の変動によるリスクにさらされております。当社では、相場変動リスクを軽減するため、鶏卵相場に左右されない固定単価での販売可能な特殊卵へのシフトを進めてきた結果、鶏卵販売重量の約40%が特殊卵となっております。また、鶏卵相場の変動に対する負担増が軽減される卵価安定基金制度(注)があり、これに加入(積立て)しております。しかしながら、国内の需要バランスが崩れ供給過剰となり、鶏卵相場の低迷が長期にわたった場合は、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(注) 鶏卵生産者経営安定対策事業(通称 卵価安定基金制度)について

 本制度は卵価低落時に価格差補填交付金を交付することによって鶏卵生産者の経営の安定を図るもので現在は一般社団法人日本養鶏協会が事業主体となっています。

 まず、毎年「補填基準価格」が決められますが、2022年度(2022年4月~2023年3月)は209円となっております。「標準取引価格」(JA全農たまご株式会社の東日本営業所(東京相場)と同西日本営業所(大阪相場)の加重平均取引価格…取引の実績)が補填基準価格を下回った場合、下回った価格の90%が交付される仕組みです。加入者はキロ当たり5円程度の積立てを行います。また、支給額の16.7%は国からの補助金となります。

 卵価安定基金支払及び卵価安定基金収入は販売費及び一般管理費で処理しております。

 

② 業績の季節変動について

 当社の売上高及び営業利益は上述の通り、鶏卵相場の推移によって大きく変動します。例年、鶏卵相場は1月の初市で大きく下落しますが2月にかけて上昇し、4月までは比較的高値圏で推移し、5月の連休以降は下落傾向になり、夏場にかけてかなり下落し、8月後半から9月にかけて上昇し、10~12月の需要期に高値推移という一定のリズムの季節変動性を持っています。

 この要因は気候の良くなる春先から一羽あたりの産卵が向上する反面、暑い夏場に向けて外食産業や一般家庭の消費が減退し、供給過剰になるためです。逆に、秋から冬にかけて卵価は高くなりますが、これは鍋物、クリスマスケーキなどに代表される冬季食品の伸びによる需要の増加のためです。

 このような鶏卵相場特有の季節的変動のため、業績の比重が下期に高く、当社の利益は第3四半期累計期間に偏重する傾向があります。

 

③ 原料価格の変動

 当社の鶏卵生産の原価の60%程度は飼料費であります。飼料価格は、作況、船運賃、為替変動や世界的な需要動向に左右されるため、当社では自社の研究鶏舎において飼料コスト低減のために給餌方法の試験を実施しております。飼料コストの低減を研究することによって、飼料価格の上昇を吸収し生産原価の低減に努めております。また、飼料価格の変動に対する負担増が軽減される飼料安定基金制度(注)があり、これに加入(積立て)しております。しかしながら、飼料価格が大きく上昇し十分なコスト削減ができなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(注) 配合飼料価格差補填事業(通称 飼料安定基金制度)について

 本制度は原料価格に起因する配合飼料価格の変動によって生ずる畜産経営者の損失を補てんすることにより畜産経営の安定を図るもので、現在は一般社団法人全日本配合飼料価格畜産安定基金と一般社団法人全国配合飼料供給安定基金が事業主体となっています。

 当社が加入している全日本配合飼料価格畜産安定基金を例にとると生産者がトン当たり600円、配合飼料製造会社がトン当たり1,200円(2022年度)を積立てます。そして、当該四半期の配合飼料の輸入原料価格が直前1年間に係る配合飼料輸入原料価格の平均価格を上回るとき、その上回る額を限度として補てん金が交付されます。

 飼料安定基金支払及び飼料安定基金収入は製造原価で処理しております。

 

④ 卵価安定基金制度及び飼料安定基金制度の基金不足

 養鶏経営の健全な発展を目的として、既述の通り卵価安定基金制度と飼料安定基金制度の仕組みが形成されています。

 当社も、同制度が相場の変動及び飼料価格の変動に対する負担増が軽減される仕組みとなっていることから、これらの安定基金制度に加入(積立て)しております。しかしながら、これらの基金制度は、卵価低迷又は飼料価格高騰が長期化する場合には基金不足により充分に機能せず、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新型コロナウイルスの影響について

 2020年以降感染が拡大した新型コロナウイルス感染症とそれに伴う緊急事態宣言、まん延防止等重点措置は、鶏卵消費にとっても大きなマイナスの影響を与え鶏卵相場の下落要因となりました。今年に入り感染症は沈静化の様相を示し、5月には感染症法上の分類が5類となり、その影響は徐々に薄れてきております。しかしながら、もし再び感染者やそれに伴う死者が急増し、まん延防止等重点措置を含む緊急対策が実施された場合には、相場の急落を通じて当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業活動に関するリスク

① 単品経営(鶏卵依存)

 当社の売上のほとんどは鶏卵販売が占めており、かつ上述の(1)①において記載のとおり、相場商品であることから、利益は鶏卵相場により大きく変動する可能性があります。当社としては、鶏卵生産コスト低減のため、自社研究鶏舎において生産性向上のための様々な研究の実施により有効な研究結果を一般鶏舎に適用し、鶏卵相場が低迷しても利益を計上できるような体質づくりを進めております。しかしながら、これらの対策を上回る価格変動が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 食品の安全・衛生問題について

 当社におきましては、安全・安心で高品質な製品を提供するために最新鋭設備の導入や製品の品質管理、従業員への衛生教育を行うなど、衛生問題には万全の注意を払っております。卵が原因であるサルモネラ食中毒は我が国では近年大きく減少しておりますが、生で食べる食品であるため食中毒のリスクを完全に排除することはできません。道内におきましては、健康な雛を当社農場で育成し、かつ鶏舎単位で雛をすべて入れ替えるオールイン・オールアウト方式を採用し、鳥獣の侵入を防ぐウインドレス鶏舎での育成を実施しております。成鶏舎におきましてもウインドレス鶏舎にてHACCP手法を取入れた飼養管理をする他、GP工場においてパッキングする前に卵殻の塩素殺菌等を実施するなど様々なサルモネラ対策を実施しております。しかしながら、今後、偶発的な事由によるものも含めて、当社製品を起因とした安全衛生問題が発生する可能性があり、もし発生した場合は当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 鳥インフルエンザ発生による殺処分、移動制限等

 当社は鳥インフルエンザ防止のため様々な衛生対策を策定し厳重に実施管理してきましたが、残念ながら今年4月に千歳農場にて感染が確認され、70万羽近くの採卵鶏を淘汰いたしました。当社としても今回の感染を踏まえ、感染防止対策にはより一層注力して参りますが、今後とも感染リスクを100%排除することは出来ません。

 当社の成鶏で鳥インフルエンザが発生した場合、原則として鶏は殺処分となり、淘汰した羽数に対応した鶏卵供給力が減少します。感染前の供給力に戻るまでには1年程度の時間がかかることから、この間の売上減少を通じて当社の経営、財政状況に大きな影響を及ぼすことになります。

 当社の育成農場に鳥インフルエンザが感染した場合、当社は育成農場を予め分散して建設しているため生産機能が全滅することはありませんが、育成農場から成鶏農場への大雛供給に支障を来たし、生産計画に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また当社農場の近隣で鳥インフルエンザが発生した場合、近隣農場は一時的に鶏や鶏卵の移動制限を受けるため、その間出荷が出来なくなる可能性があります。

 

 

④ 鶏糞処理

 家畜の糞尿処理については「家畜排せつ物の管理適正化及び利用の促進に関する法律」により適切に処理することとなっています。家畜排せつ物は不適切な管理によって、環境問題の発生源となりうる側面を有する一方で、堆肥化など適切な処理を施すことによって土地改良資材や肥料としての有効活用が期待され貴重な資源としての側面も有するものといえます。当社では鶏の排せつ物がこの対象となり、鶏糞のほとんどは肥料として近隣農家へ無償で譲渡しております。

 しかしながら鶏糞処理が円滑に行われなければ当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制によるリスク

 当社では、コンプライアンスを経営上の重要な課題と位置付け、その強化に努めておりますが、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することはできません。当社の事業活動が法令や規制に抵触するような事態が発生したり、予期せぬ法令や規制の新設・変更が行われたりした場合、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)自然災害のリスク

 当社では自然災害への対策として生産、製造、営業、管理の各部門ごとにBCPを作成しております。しかしながら地震、台風などの自然災害が発生し、当社の農場・GP工場が想定外の大規模な被害を受けた場合には、事業活動が停滞し、また損害を被った設備の修復のため多額の費用が発生するなど、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当社は2021年10月1日付で当社の完全子会社であった株式会社第一ポートリーファームを吸収合併(簡易合併・略式合併)したことに伴い、前第2四半期連結累計期間までは連結決算でありましたが、前第3四半期累計期間より非連結決算へ移行いたしました。そのため、比較分析について、2022年3月期の業績は、吸収合併した完全子会社の前第2四半期累計期間の業績を含んでおりません。また、2022年3月期における当期純利益には、吸収合併に伴う抱合せ株式消滅差益499百万円が含まれております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

(資産合計)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べて1,299百万円増加し16,849百万円となりました。

 流動資産は、前事業年度末に比べて1,915百万円増加し5,763百万円となりました。これは、主として現金及び預金が679百万円、売掛金が530百万円、未収入金が728百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

 固定資産は、前事業年度末に比べて616百万円減少し11,085百万円となりました。これは、主として繰延税金資産が248百万円増加した一方で、関係会社株式が180百万円減少した事に加え、減損損失の計上等により有形固定資産が543百万円減少したこと等によるものです。

 なお、当事業年度において実施いたしました設備投資の総額は1,664百万円であります。これらの資金は自己資金及び借入金でまかなっております。

 

(負債合計)

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べて707百万円増加し6,102百万円となりました。

 流動負債は、前事業年度末に比べて580百万円増加し3,988百万円となりました。これは、主として買掛金が362百万円、未払法人税等が405百万円増加した一方で、設備関係支払手形が133百万円、その他が91百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

 固定負債は、前事業年度末に比べて126百万円増加し2,113百万円となりました。これは主として長期借入金が132百万円増加したこと等によるものです。

 

(純資産合計)

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて592百万円増加し10,746百万円となりました。これは、主として剰余金の配当を126百万円計上し、その他有価証券の評価差額金が26百万円減少したものの、当期純利益を745百万円計上したこと等によるものです。

 

b.経営成績

 当事業年度における日本経済は、依然として終結の目途が立たないロシアによるウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー、資源相場の高止まりや米国金利引き上げに伴う円安により企業物価指数、消費者物価指数は高止まり、実質賃金は今年3月まで12か月連続減少を続けています。一方新型コロナウイルス感染症は今年に入り徐々に感染者が減少、昨年秋以降の外国人の入国規制の緩和もあり、輸送業、観光業、飲食業等を中心に本格的な景気回復局面に入りつつあります。

 鶏卵業界におきましては、昨年10月に今シーズンはじめての鳥インフルエンザ感染が国内の農場で確認されて以降、感染拡大に歯止めがかからず、3月末までに感染事例は82例、1,600万羽近い採卵鶏が淘汰されております。この影響を受け、当事業年度平均鶏卵相場は、北海道Mサイズが1キロ280円21銭と前年比58円11銭高、東京Mサイズは1キロ250円74銭と前年比35円50銭高となりました。

 当社は飼料価格の高騰を受けて当社鶏卵製品の売価改定に注力した結果、当事業年度の業績は、売上高は17,823百万円(前年同期比16.0%増)、営業利益は1,318百万円(前年同期比50.1%増)、経常利益は1,383百万円(前年同期比46.8%増)、当期純利益は745百万円(前年同期比37.4%減)となりました。なお、当社は第4四半期に当社が宮城県等に保有する農場、GP工場等で行う事業に関連する資産につき減損処理を行い、特別損失として1,069百万円を計上しております。減損損失の内容につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (損益計算書関係)」に記載のとおりであります。

 なお、当社は鶏卵事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、売上債権の増加や有形固定資産の取得による支出等の増加があったものの、減損損失1,069百万円計上後の税引前当期利益を1,209百万円計上したこと等により、前事業年度末に比べ679百万円増加し、当事業年度末には2,528百万円(前年同期比36.7%増)となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は2,519百万円(同37.2%増)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益1,209百万円、減価償却費1,139百万円、減損損失1,069百万円等の計上であり、主な減少要因は、売上債権の増加535百万円、法人税等の支払額306百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,820百万円(同131.9%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,920百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は19百万円(同98.0%減)となりました。これは主に長期借入による収入700百万円による資金の増加を、長期借入金の返済による支出569百万円、配当金の支払による支出126百万円等による資金の減少が上回ったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

レンダリング事業については当事業年度より事業を開始いたしております。

a.生産実績

 当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における生産実績は区分別に記載しております。

区分別

当事業年度(百万円)

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

鶏 卵

13,915

32.4

鶏糞肥料

127

144.0

レンダリング

256

食 品

102

12.3

その他

△100.0

合計

14,400

35.1

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.当事業年度において、鶏卵の生産実績に著しい変動がありました。これは、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的な原料価格高騰に伴う、国内飼料価格、エネルギーコスト、物流費の高騰等によるものです。

 

b.商品仕入実績

 当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における商品仕入実績は区分別に記載しております。

区分別

当事業年度(百万円)

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

鶏 卵

154

△92.1

食 品

156

26.6

その他

0

△6.6

合計

311

△85.0

 (注)金額は仕入価格によっております。

 

c.受注実績

 当社は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は区分別に記載しております。

区分別

当事業年度(百万円)

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

鶏 卵

17,413

15.4

鶏糞肥料

9

208.1

レンダリング

87

食 品

313

16.2

その他

0

20.6

合計

17,823

16.0

 (注)1.総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

2.当事業年度において、鶏卵の販売実績に著しい変動がありました。これは、国内の鳥インフルエンザ感染拡大により鶏卵相場が上昇したこと等によるものです。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 なお、当社は2021年10月1日付で当社の完全子会社であった株式会社第一ポートリーファームを吸収合併(簡易合併・略式合併)したことに伴い、前第2四半期連結累計期間までは連結決算でありましたが、前第3四半期累計期間より非連結決算へ移行いたしました。そのため、比較分析について、2022年3月期の業績は、吸収合併した完全子会社の前第2四半期累計期間の業績を含んでおりません。また、2022年3月期における当期純利益には、吸収合併に伴う抱合せ株式消滅差益499百万円が含まれております。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りです。

 鶏卵販売重量は前年同期比0.8%の減少、鶏卵相場はMサイズ平均の前年同期比北海道相場で26.2%、東京相場で16.5%上昇しました。その結果、売上高は前年同期比16.0%の増加の17,823百万円となりました。

 売上高総利益率は17.5%と前年同期比0.3ポイント改善しました。営業利益については、主に卵価相場の上昇により前年同期比440百万円増加の1,318百万円となりました。また、当期純利益は、当第4四半期に減損損失を1,069百万円を特別損失に計上したこと等から前年同期比445百万円減少し745百万円となりました。なお、減損損失の内容につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (損益計算書関係)」に記載のとおりであります。

 当社が経営管理上重視している道内市場占有率、販売重量、農場における飼料要求率、製造部門における稼働率等の管理指標はほぼ計画通りとなっており、当社の収益構造を支える基礎的な体力は維持されていると判断しております。

 今後については経営戦略に掲げた事業領域の拡大、付加価値卵の拡販、農場成績向上に加え、課題として掲げた納入単価の改定や物流の合理化によるコスト削減等を確実に実行し、当社収益構造の改善を達成してまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 資金需要動向については以下の通りです。

 当社の事業活動における運転資金需要の主なものは飼料費、初生雛費、大雛費、各事業についての一般管理費等があります。設備資金需要としては、鶏舎の建替え、GP工場の機械更新、情報処理投資等があります。

 資金調達及び流動性確保に関する認識は以下の通りです。

 当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入による資金調達を行っております。尚、当社のD/Eレシオは0.21と極めて低く、当面の資金調達余力に問題はないと認識しております。

 新型コロナウイルス感染症による当事業年度のキャッシュ・フローへの影響につきましては、「3 事業等のリスク (1)事業環境に関するリスク ⑤新型コロナウイルスの影響について」に記載の通りであります。また、鳥インフルエンザ感染による影響につきましては、「3 事業等のリスク (2)事業活動に関するリスク ③鳥インフルエンザ発生による殺処分、移動制限等」に記載の通りであります。特に鳥インフルエンザについては当社農場での感染の拡大や長期化の程度によっては当社のキャッシュ・イン・フローへの影響も避けられない可能性もありますが、当面は潤沢な内部留保もあり、資金調達に問題はないと認識しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。