第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積もりが必要になる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積もりは不確実性をともなうため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

当社連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及び当該経営成績等に関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

外食業界の市場規模は今後も大きな伸びは期待できない状況が続くものと見られ、加えて顧客嗜好の多様化が進み、今後ますます企業間の競争は激しくなると認識しております。

外食産業におきましては、感染症対策の緩和等により人流が回復傾向にあるものの、円安やウクライナ情勢の長期化を起因とした原材料、エネルギー価格の高止まりと、それに伴う物価上昇による実質賃金の長期的な低下が解消されない状況に加え、慢性的な人手不足が続くなど、経営環境は依然として厳しい状況が続いております。

このような経営環境のもと、下記に掲げる事項を、対処すべき重要な課題としており、課題解決に向けて積極的に取り組んでまいります。

 

(1) 店舗事業について

オペレーションの効率化を通じ、人時生産性の向上に特に注力して努めてまいりましたが、今後はより収益力の高い新業態の展開・開発に努めていきます。また、従業員の採用と教育を強化し、安定した接客サービス、安心安全と収益性を両立した魅力ある店舗づくりを目指します。

 

(2) 卸売事業について

グループの持つ、安心安全のプラットフォームの高付加価値を活かし、国内販売に関しては、商社や飲食店が集まる食品展示会への出展や取引先の紹介依頼を強化し、取引先開拓を図り、取り扱い高増加に努めていきます。

また、海外販売に関しては、取引高を増加させるべく、東アジアのみならずアジア全体に販路の対象を拡大し、収益力向上を目指します。

 

(3) 加工事業について

これまで魚介類の受託加工事業に取り組んで参りましたが、収支の改善には至りませんでした。今後は店舗事業向けのセントラルキッチンとしての稼働を強化すると共に、製造した牡蠣加工品の外部販売先を模索し、収支を改善して参ります。

 

(4) 浄化事業について

当社グループが持つ安全安心のプラットフォームしての根幹を担う事業でありますが、今後は設備の拡張を進め、特許技術である牡蠣の畜養方法を活用する等して、これまで牡蠣の供給が不安定になっていた時期の安定供給を目指します。

 

(5) 再生可能エネルギー事業について

 当社における中核事業である飲食事業及び牡蠣関連の事業は維持した上で、更なる当社の中長期的な企業価値の向上を実現するため、2024年1月から新規事業として取り組んで参りました。当連結会計年度においては、収益の計上はありませんしたが、中長期的に当社の成長軸の一つとなるよう、引き続き投資を行っていく方針であります。

 

(6) 人材の確保と育成及び定着化について

当社は、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、優秀な人材の確保と育成及び定着化が今後の当社の成長にあたって不可欠であると認識しております。

引き続き、将来の幹部人材の育成のため、若手採用を行って参りますと共に、外国籍の特定技能人材の採用を積極的に進めて参ります。また、国内外の環境が大きく変化する中、高い専門性を持ち、様々な課題に対処し、進化させることができる人材育成が必須と認識しております。従いまして、従業員の能力が最大限に発揮できる環境作りや研修制度を充実させる方針です。

 

(7) 衛生管理の強化、徹底について

当社グループは、各店舗、各センターや拠点では、衛生管理マニュアルに基づく衛生管理の徹底を行っております。また、定期的に本社衛生管理部門の人員による抜き打ち監査や外部検査機関による検査を実施しております。さらにノロウイルス検査に関しては、当社浄化センターへの牡蠣の入荷時及び出荷時における二重検査を行っております。

今後も、全従業員の健康管理に努め、お客様、お取引先様に安心・安全に利用していただけるよう、更なる衛生管理体制の強化を行っていく方針です。

 

(8) 内部統制の強化について

当社は、株主の皆様をはじめとするステークホルダーに信頼され、支持される企業となるために、コーポレート・ガバナンスの強化が不可欠であると考えております。そのため、権限に基づく意思決定の明確化、内部監査及び監査等委員会の監査並びに監査法人による監査との連携を強化するほか、全従業員に対して、継続的な啓蒙、教育活動を行っていく方針です。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

ガバナンス

気候変動は、地球温暖化による海水温の上昇等により、水産資源にも少なからず影響を与えております。当社が主に取り扱っている牡蠣についても、例外ではありません。

従いまして、敏速な状況把握及び対策の実施を目的に、毎週イノベーション会議を実施しております。当該会議体は、代表取締役社長、各子会社の事業責任者及び購買担当者が出席し、当社の仕入先の牡蠣の生育状況を共有し、必要な対策・中長期的な戦略等を協議しております。また、取締役会にも適宜必要な内容を報告しております。

 

戦略

牡蠣の安定した供給体制の構築

地球温暖化による海水温上昇等による要因から、一部地域での生育不良等も発生しており、短期的には、一部地域の生産者に依存せず、牡蠣の仕入先の分散化を進めております。また、小口の生産者から要望があれば、全量買い取りの提案を行う等、生産者と中長期的に共存できる関係構築に努めております。また、今後は牡蠣仕入れ担当者を増員し、新たな生産者との取引開始を進めてまいります。

 

人材の多様性を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループの競争力は現場の「人材」であり、人材の「材」は「財」であるという認識のもと、人材育成を強化してまいります。具体的には、従前から「接客」「料理」「ワイン」等の研修は実施しておりましたが、今後は当該研修に加えて、牡蠣のプロフェッショナルを目指すべく、当社の牡蠣浄化センターや牡蠣養殖現場での研修会を実施し、現場社員の牡蠣に関する知識を向上してまいります。加えて、従業員の経営への参加意識を高めるため、業績に応じたボーナスの支給やストックオプションの配布を検討してまいります。

また、多様性に富んだ組織として最大限力を発揮するため、積極的に外国籍の従業員を採用し、国籍問わず適材適所の登用を行ってまいります。

 

リスク管理

気候変動に関するリスク管理につきましては、上述ガバナンスに記載したイノベーション会議において、牡蠣の生育状況を敏速に共有し、対策を講じることができる体制を構築しております。また、全社的なリスク管理は、代表取締役社長、社外取締役を除く取締役、グループ子会社の取締役社長、内部監査室長及び人事総務部長で構成されるリスクマネジメント委員会にて行っております。

 

指標及び目標

牡蠣の安定した供給体制の構築に関する指標及び目標

当社の当事業年度の生牡蠣の仕入先は68社でしたが、2年以内に80社にすることを目指します。

 

人材の多様性を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標及び目標

当社の浄化センター(富山県入善町)では、海洋深層水で満たされた水槽内で牡蠣を蓄養し、牡蠣自体の生態活動の結果により、厚生労働省の指定する基準よりも厳しく規定している自社基準をクリアする生食用の牡蠣に仕上げております。当該設備で、店舗事業の現場社員に対して、研修を実施することにより、牡蠣に関する知識の向上を図っております。2025年3月時点では研修参加率は100%となっております。

2025年3月期以降も中途採用者に対する研修を開催し、引き継ぎ現場社員の牡蠣のプロフェッショナル化を目指していきます。

また、2026年3月期には30名の外国籍社員を採用予定であります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下のとおり記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に取り組む方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

なお、本項記載のうち将来に関する事項は、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではなく、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状況の変化について

当社グループは、牡蠣を主体とするレストランであるオイスターバーの店舗事業を中心に展開しており、日本国内の景気変動の影響等が、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。特に、物価上昇等に起因する個人消費の減速、原材料価格・人件費・賃料・水道光熱費・物流費等の上昇が、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 各種法的規制について

① 食品衛生管理について

当社グループは、店舗事業につきましては、「食品衛生法」に基づき、所管保健所より飲食店営業許可を受けて、全ての店舗に食品衛生責任者を配置しております。衛生管理マニュアルに基づき厳格な衛生管理と品質管理を徹底しておりますが、食中毒などの衛生問題が発生した場合には、食材等の廃棄処分、営業許可の取消し、営業の禁止もしくは一定期間の営業停止処分、被害者からの損害賠償請求等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

卸売事業につきましては、「食品衛生法」に基づき、所管保健所より魚介類販売許可を受けて、直営店舗及び一般飲食店への卸売販売を行っております。同免許は、子会社である株式会社海洋深層水かきセンターの富山入善センターで取得しておりますが、万一許可が取り消された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

② 労働関連法令について

当社グループは、店舗や浄化センターにおいて多数の短期間労働者を雇用しておりますが、これら短時間労働者の厚生年金などの社会保険適用範囲の拡大実施により、当社グループの社会保険料負担が増大すること等によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 主要食材(牡蠣)への依存について

当社グループは、主力食材を牡蠣という特定食材に依存し、かつ、生牡蠣がメインとなるオイスターバー店舗の売上構成比が高い状況にあります。したがいまして、ノロウイルス等の疫病発生、食品衛生問題等によるブランド毀損、風評被害による消費控えなどの変化が発生した場合、牡蠣の販売数量低下により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4) 出退店政策について

当社グループは、直営店舗による店舗展開を行っており、2025年3月31日現在、27店舗の営業を行っております。出店は高い集客が見込める都心部、主要ターミナル駅周辺にて実施しておりますが、新規出店におきましては、立地条件、賃貸条件、店舗の採算性などを勘案して出店を決定しているため、すべての条件に合致する物件が確保できない可能性があります。また、出店にかかわる賃貸借契約のほとんどが定期建物賃貸借契約となっており、採算性が確保されている店舗につきましても、期間満了により退店する可能性があります。店舗採算が不採算による退店を含めて、退店の際には減損損失の計上、各種契約の解除による違約金、退店時の原状回復費用等が想定以上に発生する可能性があります。これらが生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)フランチャイズ店の店舗展開について

当社グループは加盟社との間で「フランチャイズ契約」を締結し、店舗展開を行っております。当社グループは同契約により、加盟者に対し、スーパーバイザー等を通じて、店舗運営指導や経営支援等を行っております。しかし、当社グループの指導や支援の及ばない範囲で、加盟店において当社グループ事業の評判に悪影響を及ぼすような事態が発生した場合には、当社グループ及びブランドに悪影響を与え、当社グループの事業等の影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 差入敷金について

当社グループの店舗は賃借により出店等を行うことを基本方針としており、全ての店舗において敷金を差し入れております。この敷金は、退店時には貸主から返還されることになっておりますが、貸主の財政状態の悪化等により、差入敷金の一部又は全部が返還されない場合があり、これらが生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 減損損失について

当社グループは、今後とも収益性の向上に努める所存でありますが、店舗業績の不振や加工食品の販売不振等により、固定資産の減損会計による損失を計上することとなった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 特定仕入先への依存について

当社グループは、主要食材である牡蠣について、全国各地の生産者・漁協から直接仕入を行っております。当社グループとしましては、高品質の牡蠣の仕入が継続してできるよう生産者と一体となった養殖に取り組み、リスク分散を図っていく方針であります。しかしながら、天候不順をはじめ、海域の汚染状況など自然環境の悪化などにより、必要な牡蠣が十分に確保できなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 人材の確保及び育成について

当社グループは、優秀な人材の継続的な確保が重要な経営課題であります。このため、当社グループは、採用の仕組みを整え人材確保に努めるとともに、教育による育成を行っております。しかしながら、十分な人材の確保及び育成ができない場合、新規事業開発の遅れ、店舗での接客サービスの低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10) 新規事業の展開について

当社グループは、店舗事業が主力でありますが、牡蠣という食材を通じて収入源の多チャネル化を図るため、EC通販などを展開しております。加工におきましては、岩手県大槌町において、海産物の委託加工や牡蠣の加工食品を製造する工場を稼動させ早期の収益化を目指しております。しかしながら、計画通りに進捗しなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、今後は、再生可能エネルギーなど複数の成長軸をもった持続的成長の実現と企業価値の向上を図って参ります。

(11) 商標管理について

当社グループは、「8th SEA OYSTERBar」、「オイスターテーブル」などの複数の店舗ブランドをはじめとする商標権の登録を行っております。当社グループが保有する商標について、第三者の商標権等を侵害している事実はありませんが、第三者の商標権を侵害していると認定され、その結果、使用差し止め、使用料、損害賠償等の支払いを請求された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(12) 個人情報の保護について

当社グループは、店舗事業において会員向けポイント還元やイベントなどを行い、会員の個人情報をデータとして蓄積しております。これらの情報については、「個人情報保護に関する法律」を遵守すべく、データへのアクセス制限や外部からの侵入を防止するための方策をとっております。また、「個人情報保護方針」や「個人情報管理規程」を制定し、個人情報を取り扱う関係者に対して情報漏洩防止の徹底を啓蒙しております。

しかしながら、内部管理体制の問題や外部からの侵入により、これらの情報が漏洩した場合には、信用低下や損害賠償等によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13) 売上高の季節変動について

当社グループは、牡蠣を主食材とする店舗事業及び卸売事業を展開しており、食材に対する消費者の認識上、冬場である11月から3月に売上が偏重する傾向にあります。また、仕入原価も需給バランスが落ち着く冬場の方が低減されることから、損益面でも下半期に大きく偏重する傾向にあります。

当社グループとしましては、夏場における岩牡蠣など、旬の牡蠣による新しい食べ方提案などにより需要の掘り起こしを図るとともに、加工事業などにより外食市場以外での収入源を確保することで、年間を通じて売上の平準化を目指していく方針としております。

 第25期(2025年3月期)における当社グループの四半期別売上高及び営業損失の構成は次のとおりであります。

区分

売上高(千円)

構成比(%)

営業利益又は

営業損失(千円)

構成比(%)

第1四半期

910,133

23.18

△45,208

△1,308.86

第2四半期

960,204

24.46

△25,774

△746.21

上期合計

1,870,337

47.64

△70,983

△2,055.10

第3四半期

1,138,812

29.01

95,827

2,774.38

第4四半期

917,077

23.36

△21,389

△619.25

下期合計

2,055,889

52.36

74,437

2,155.10

通期合計

3,926,227

100.00

3,454

100.00

 

 

(14) 自然災害等について

当社グループの27店舗は、全国に展開しておりますが、このうち16店舗を関東エリアで展開しております(2025年3月31日現在)。したがいまして、地震・台風などの自然災害や大雪などの局地的な気象状況の影響により、店舗の営業休止・縮小等、電力・ガス・水道等の使用制限及び消費者の消費意欲低下といった影響が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、天候不順に加えて、疫病のまん延により、営業制限等の経済的制約が発生した場合にも、売上の減少等の影響が見込まれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、当社再生可能エネルギー事業においては工事が太陽光発電所の工事が完了し、顧客への引き渡し後、電力会社との系統連系時に売上計上しております。従って、自然災害等の要因により工事が遅延し、引き渡しに支障が発生した場合や電力会社との系統連結が遅れた場合には、当該期間の売上高が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(注)系統連結とは、電力会社の電力系統に発電設備を接続することであります。

 

(15) 競合について

外食業界は、参入障壁が低く新規参入が多い一方で、少子高齢化の流れの中で外食市場全体は横這いという状況下で激しい競合状態が続いています。その中で当社グループは、取扱食材として極めて高いレベルでの安全性が求められる牡蠣を扱っていますが、その安全性は、ノウハウなどのソフト面のみならず、浄化施設を自社保有するハード面の両面を兼ね備えることで、競争優位性の確保を図っております。しかしながら、今後、当社グループと同レベルのソフト及びハード機能を持つ店舗が出現した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16) 配当政策について

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題の一つであると認識しており、利益配分につきましては、経営成績及び財政状態を見ながら、また一方で将来に備えた内部留保充実の必要性を勘案し、安定性の上に業績連動を加味した株主還元を実施することを基本方針としております。具体的には、連結配当性向30%を基準としつつ、仮に短期的な利益変動の大きな局面があった場合においても1株あたり10円を目安として配当を行うことにいたします。

 

(17) 継続企業の前提に関する重要事象等

  該当事項はありません。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、経済活動の正常化が進みました。一方でエネルギー価格の上昇や円安に伴う物価上昇、人手不足によるコスト増加など、国内における経済の見通しは依然として先行き不透明な状態が続いております。

外食産業におきましては、新型コロナウイルス感染症が経済活動に及ぼす影響が軽減され、外食需要は回復基調がみられます。しかし、食材の仕入価格や光熱費、人件費等の高騰に加え、コロナ禍におけるライフスタイルの変化によって、大人数の宴会需要や夜間の利用客が減少するなど、厳しい経営環境が続いております。

このような環境の中、当社グループでは、原価低減、モバイルオーダーシステムの導入による少人数で運営できる体制作りに引き続き取り組むとともに、既存店舗のリニューアル、新規出店に加えて、大阪梅田にフランチャイズ店2号店をオープンするなど業態開発にも取り組みました。

しかしながら、牡蠣の最盛期である当第4四半期連結会計期間(2025年1月~3月)にかけて、ノロウイルスが蔓延し、当社の厳しい安全基準に満たした牡蠣の調達が十分にできず、また全国的な感染性胃腸炎の流行もあり、店舗事業、卸売事業とも、繁忙期に機会損失が発生しました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における総資産は3,340,295千円となり、前連結会計年度末と比較して1,104,613千円の増加となりました。

当連結会計年度末における負債は1,929,048千円となり、前連結会計年度末と比較して602,957千円の増加となりました。

当連結会計年度末における純資産は1,411,247千円となり、前連結会計年度末と比較して501,656千円増加しました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高3,926,227千円(前年同期比3.6%増)、営業利益3,454千円(前年同期比79.0%減)、経常利益2,008千円(前年同期比93.1%減)、親会社株主に帰属する当期純損失20,827千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失95,467千円)となりました。

 

なお、セグメントの概況は以下のとおりです。

従来、「浄化事業」については事業セグメントには該当しないものと判断しておりましたが、当連結会計年度より、経営管理上、「浄化事業」における損益管理を重視する方針になったことに伴い、マネジメント・アプローチの観点から「浄化事業」を「報告セグメント」に区分することといたしました。

また、2024年1月より開始しました太陽光発電所の権利売買事業を開始したことから、当連結会計年度より、「再生可能エネルギー事業」について、「報告セグメント」として新設いたしました。

以下の売上高の数値はセグメント間の取引消去前となっております。なお、セグメントと事業の内容の関係性は次のとおりです。

(a)「店舗事業」は、直営店舗事業、富山入善ヴィレッジ事業の店舗から構成されます。

(b)「卸売事業」は、当社の店舗事業を除く外部飲食店等への牡蠣関連の国内卸売事業となります。

(c)「加工事業] は、店舗事業のセントラルキッチン機能及び外部からの受託加工事業から構成されます。

(d)「浄化事業」は、清浄性の高い牡蠣を提供するための、富山県入善町内の浄化センターにおける牡蠣浄化事業となります。

(e)「再生可能エネルギー事業」は、2024年1月より開始しました太陽光発電所の権利売買事業となります。

(f)「その他」は、イベント事業及びECサイト事業から構成されます。

 

(a) 「店舗事業」

当連結会計年度においては、2024年4月に「8TH SEA OYSTER Bar横浜モアーズ店」(神奈川県横浜市)、2024年11月に「8TH SEA OYSTER Terrace東京トーチ店」(東京都千代田区)、2店舗をオープンし、FC2号店として2024年11月に「8TH SEA OYSTER Bar 梅田Nu茶屋町店」(大阪市北区)もオープンしました。また、「ザ・カーブ・ド・オイスター」と「なんばパークス店」のリニューアル工事も実施し、引き続き収益拡大に向けた出店・リニューアルを進める予定ですが、大阪・梅田エリアの店舗戦略見直し等により、2024年12月に「梅田ハービスエント店」を閉店することとなりました。この結果、2025年3月末現在の直営店舗数は27店舗、FC2店舗となっております。

一方、業績においては、前年と比べて当第3四半期連結累計期間までは順調に売上高を回復させることができましたが、当第4四半期連結会計期間において、ノロウイルスによる食中毒等の感染が発生し、一時的に稼働率が低下したことに加えて、将来に向けたスクラップ&ビルド(2店舗出店、1店舗退店)や業態変更(1店舗)を実施したこと等による営業コスト負担が増加した結果、増収減益となりました。

以上の結果、店舗事業における売上高3,324,291千円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益262,894千円(前年同期比28.3%減)となりました。

(b) 「卸売事業」

当連結会計年度においては、商社や飲食店が集まる食品展示会への出展や取引先の紹介依頼を強化し、販売先数の拡大に尽力し、売上高は当第3四半期連結累計期間までは好調に推移していましたが、当第4四半期連結会計期間にノロウイルスの影響で、牡蠣の供給が不安定になるとともに、一時的に牡蠣の販売を停止する取引先も発生したことなどにより、機会損失が発生いたしました。

以上の結果、卸売事業における売上高457,110千円(前年同期比3.2%増)、セグメント利益114,922千円(前年同期比18.2%減)となりました。

(c) 「加工事業」

当連結会計年度においては、新たに蟹の加工事業に取り組みましたが、想定した加工量が確保できず、収益が悪化しました。

以上の結果、売上高109,385千円(前年同期比8.5%増)、セグメント損失59,252千円(前年同期はセグメント損失59,046千円)となりました。

(d)「浄化事業」

 当連結会計年度においては、収益の改善に向けて直営店舗に対する販売価格の見直しを行いました。以上の結果、売上高851,715千円(前年同期比2.2%増)、セグメント損失33,507千円(前年同期はセグメント損失132千円)となりました。

(e)「再生可能エネルギー事業」

当連結会計年度においては、太陽光発電所の販売先企業内での連系先が確定せず、結果として、次期以降に収益が計上される見通しとなりました。

なお、本セグメントは新規事業であるため、前年同期比は記載しておりません。

(f) 「その他」

当連結会計年度においては、イベント事業で売上が計上されたほか、ECサイト事業においても売上が計上されました。

以上の結果、その他の事業における売上高69,778千円(前年同期比7.3%減)、セグメント損失7,454千円(前年同期セグメント利益3,404千円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ364,751千円増加し、1,220,485千円となりました。
 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動により獲得した資金は128,591千円(前連結会計年度は、99,599千円の使用)となりました。これは主として、前渡金の増加623,581千円、前受金の増加618,088千円、減価償却費84,422千円、減損損失67,737千円等によるものです。

 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動から使用した資金は237,292千円(前連結会計年度は、313,835千円の使用)となりました。これは主として、店舗等の設備投資に伴う有形及び無形固定資産の取得による支出216,342千円、子会社株式の売却による支出25,634千円、敷金及び保証金の回収による収入20,547千円、敷金及び保証金の差入による支出16,435千円等によるものです。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動に獲得した資金は473,452千円(前連結会計年度は、65,128千円の使用)となりました。これは主として、株式の発行による収入487,295千円、長期借入金の返済による支出72,708千円、長期借入れによる収入50,000千円等によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a. 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

前年同期比(%)

店舗事業(千円)

1,127,511

 +4.88

卸売事業(千円)

300,018

△2.11

加工事業(千円)

102,829

 +2.71

浄化事業(千円)

604,146

再生可能エネルギー事業(千円)

その他(千円)

44,229

 +3.92

合計(千円)

2,178,735

 +42.94

 

(注) 金額は仕入価格であり、セグメント間の内部振替前の数値となります。

 

 

 

 b.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日

前年同期比(%)

店舗事業(千円)

3,324,291

 +3.89

卸売事業(千円)

457,110

 +3.22

加工事業(千円)

109,385

 +8.46

浄化事業(千円)

851,715

+2.24

再生可能エネルギー事業(千円)

その他(千円)

69,778

△7.30

合計(千円)

3,926,227

 +3.59

 

(注) 1.金額は販売価格であり、セグメント間の内部振替前の数値となります。

2.総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がありませんので、主要な販売先の記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。

その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 (資産の部)

当連結会計年度末における総資産は3,340,295千円となり、前連結会計年度末と比較して1,104,613千円の増加となりました。これは主として、前渡金が623,581千円増加し、現金及び預金が364,751千円増加し、固定資産が177,300千円増加し、未収入金が27,443千円減少したこと等によるものです。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は1,929,048千円となり、前連結会計年度末と比較して602,957千円の増加となりました。これは主として、前受金が618,088千円増加し、長期借入金が84,908千円減少し、資産除去債務が72,405千円増加したこと等によるものです。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は1,411,247千円となり、前連結会計年度末と比較して501,656千円増加しました。これは主として、資本金が246,625千円増加し、資本剰余金が246,625千円増加したこと等によるものです。

 

b.経営成績の分析

(a) 売上高

当連結会計年度の売上高は3,926,227千円(前連結会計年度比3.6%増加)となりました。当社グループの報告セグメントごとの内訳は、店舗事業が3,324,291千円、卸売事業が457,110千円、加工事業が109,385千円、浄化事業が851,715千円、その他69,778千円となっております。

店舗事業は、新型コロナウイルス感染症が経済活動に及ぼす影響が軽減され、外食需要は回復基調がみられます。しかし、食材の仕入価格や光熱費、人件費等の高騰に加え、コロナ禍におけるライフスタイルの変化によって、大人数の宴会需要や夜間の利用客が減少するなど、厳しい経営環境が続いております。

このような環境の中、当社グループでは、原価低減、モバイルオーダーシステムの導入による少人数で運営できる体制作りに引き続き取り組むとともに、既存店舗のリニューアル、新規出店に加えて、大阪梅田にフランチャイズ店2号店をオープンするなど業態開発にも取り組みました。

しかしながら、牡蠣の最盛期である当第4四半期連結会計期間(2025年1月~3月)にかけて、ノロウイルスが蔓延し、当社の厳しい安全基準に満たした牡蠣の調達が十分にできず、また全国的な感染性胃腸炎の流行もあり、店舗事業、卸売事業とも、繁忙期に機会損失が発生しました。

その結果、店舗事業の売上は前年対比3.9%の増加にとどまりました。

卸売事業についても、店舗事業と同様に、ノロウイルス蔓延の影響拡大及び全国的な感染性胃腸炎の流行等により、機会損失がありましたが、安心・安全の高付加価値戦略が評価され、取引先数も順調に伸ばすことができたことにより、前年対比3.2%の増加となりました。

加工事業は、新たに蟹の加工事業に取り組みしたが、想定した加工量が確保できず、売上高が前年対比8.5%の増加にとどまりました。

浄化事業については、収支の改善に向けて直営店舗に対する販売価格の見直しを行いました。

その結果、浄化事業の売上高は前年対比2.2%の増加となりました。

その他にも、浄化センター、陸上養殖の所在エリア内でのイベント事業に加え、ECサイト事業などで売上がございました。

(b) 営業利益

当連結会計年度の営業利益は3,454千円(前連結会計年度比79.0%減)となりました。

当社グループの報告セグメントごとの内容は、以下のとおりであります。

店舗事業 セグメント利益262,894千円(前連結会計年度比28.3%減

卸売事業 セグメント利益114,922千円(前連結会計年度比18.2%減

加工事業 セグメント損失59,252千円(前連結会計年度はセグメント損失59,046千円

浄化事業 セグメント損失33,507千円(前連結会計年度はセグメント損失132千円

その他 セグメント損失7,454千円となり、合計でセグメント利益277,603千円となっております(営業利益との差額は、全社費用となります)。

(c) 経常利益

当連結会計年度の経常利益は2,008千円(前連結会計年度比93.1%減)となりました。これは、主に営業外収益として受取協賛金3,219千円、営業外費用として借入れによる支払利息5,776千円を計上したことによるものです。

(d) 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は20,827千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失95,467千円)となりました。これは、減損損失67,737千円、子会社株式売却益42,464千円を計上したことによるものです。

 

c.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記しております。

 

 

5 【重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 (1) 研究開発戦略

当社グループの研究開発戦略は、「海洋深層水を用いたウイルスフリーの牡蠣の陸上養殖」を軸としておりました。ウイルスフリーの牡蠣の陸上養殖とは、ノロウイルスに代表される食中毒の原因となるウイルスに汚染されていない牡蠣を陸上養殖することです。

 

(2) 研究体制

 海洋深層水を用いた環境安全型ウイルスフリー牡蠣の陸上養殖は、連結子会社であった株式会社ジーオー・ファームにおいて行っており、外部の専門家や研究者の知見を取り入れながら研究を行っております。

 当社は2024年7月1日付にて株式会社ジーオー・ファームの全保有株式を株式会社グッドフィールドに譲渡した事に伴い、研究開発の取り組みを中止しております。

 

(3) 連結会計年度における研究開発費

  研究開発費の総額は13,740千円であります。