第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて変更があった事項は、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。また、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 事業等のリスク」の項目番号に対応したものです。

 

(4)その他の事業リスク

⑦新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、役員及び従業員等に対して、モチベーションの向上を目的に新株予約権を付与しております。

これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、2018年3月31日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は1,687,200株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計の3.3%に相当しております。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

 

(1)再生医薬品分野に関する重要な契約

相手方の名称

契約名称

契約締結日

契約期間

主な契約内容

株式会社ガイアバイオメディシン

資本・業務提携契約書

2018年2月13日

期限の定めなし

・当社の幹細胞技術と、株式会社ガイアバイオメディシンのNK細胞を中心とした癌免疫細胞療法の開発のシナジー効果を図るために提携すべく、同社の株式を取得した。

株式会社ガイアバイオメディシン

第4回新株予約権割当契約書

2018年2月13日

期限の定めなし

・上記提携関係をさらに強化することを可能とすべく、株式会社ガイアバイオメディシンの新株予約権を引き受けた。

Athersys,Inc.、

ABT Holding Company

LETTER OF INTENT FOR COLLABORATION EXPANSION

2018年3月13日

期限の定めなし

・ARDS及び外傷性疾患分野の日本国内における開発・販売、並びに全世界における臓器原基全適応でのMultiStemを併用した開発・販売、MultiStem単体での眼科疾患治療法開発・販売、及びiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞製品とMultiStem併用療法の開発・販売のための独占的ライセンス権を獲得するための基本合意を行った。

・中国における、急性期脳梗塞、ARDS及び外傷性疾患の開発・販売のための独占的オプション権獲得のための基本合意を行った。

ABT Holding Company

ESCROW AGREEMENT

2018年3月13日

期限の定めなし

・LETTER OF INTENT後に本契約を締結することとした場合のライセンス権等の対価の支払いのため、又は本契約を締結しないこととした場合のオプション権の行使(日本国内でのARDS、肝臓原基及び眼科疾患の開発・販売権)の対価の支払いのため、1,000万ドルを預託した。

Athersys,Inc.

SECURITIES PURCHASE AGREEMENT

2018年3月13日

期限の定めなし

・Athersys社株式を1,200万株取得した。

Athersys,Inc.

INVESTOR RIGHTS AGREEMENT

2018年3月14日

期限の定めなし

・Athersys社取締役を指名する権利を取得した。

Athersys,Inc.

COMMON STOCK PURCHASE WARRANT

2018年3月14日

期限の定めなし

・Athersys社株式を最大19.9%の持分比率まで取得することのできる権利を取得した。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

再生医療業界においては、2018年3月に第17回日本再生医療学会総会が開催され、「産官学民の知の結集」というテーマのもと、アカデミア、経済・産業界、行政など多様な立場から再生医療に関わる方々の成果が発表され、実用化に向けた様々な段階での取り組みが続けられています。

大手製薬企業による再生医療ベンチャーの買収や、再生医療等製品の製造に向けた工場の立ち上げ等の、産業体制確立にむけたニュースも複数発表されました。当社の日本国内におけるiPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞による加齢黄斑変性治療法の共同開発先である大日本住友製薬株式会社(以下、大日本住友製薬といいます。)においても、同年3月、大阪府吹田市に再生・細胞医薬製造プラントSMaRTが建設されました。当社と同社の合弁会社である株式会社サイレジェン(以下、サイレジェンといいます。)も同施設内において、製造体制の構築を進めております。

このような状況のもと、当社は体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において開発を推進いたしました。また、日本国内のみならず海外での臨床開発の実施及びアライアンスの強化のため、同年2月、米国に100%子会社としてHealios NA, Inc.を設立いたしました。

さらに、「『生きる』を増やす。爆発的に。」という当社ミッションの実現と企業価値の更なる向上に向けた戦略的投資を実施いたしました。

まず、同年2月に、株式会社ガイアバイオメディシン(以下、ガイアバイオメディシンといいます。)に対して、同社の株式及び新株予約権の一部を取得する戦略的投資を実施いたしました。ガイアバイオメディシンが強みとするNK細胞を中心とした癌免疫細胞療法の開発と、当社が得意とする幹細胞技術とのシナジー効果を企図した戦略的パートナーシップの構築を検討してまいります。

続いて同年3月には、幹細胞製品MultiStem®を用いた脳梗塞急性期を対象とした治療法開発のパートナー企業である米国Athersys, Inc.(以下、アサシス社といいます。)との提携関係強化のため、同社に対して約21百万ドルの戦略的投資を実施し、同社株式の8.7%を保有する筆頭株主となりました。さらに、同社の開発するMultiStemに関する独占的ライセンス権及びオプション権の拡大に関しての基本合意も締結し、本契約締結に向けた交渉を継続しております。これらの当社の積極的な事業活動は、以下のような事業拡大戦略に基づき進められております。

① 短期戦略:3年程度で日本国内において承認の目途が立つ開発パイプラインであり、当社の経営基盤強化(収益体制、製造研究開発販売体制)に資する開発品の取得

② 長期戦略:世界でデファクトスタンダードの地位を築く革新的基盤技術の取得

①で得られたノウハウ・収益を②へ戦略的に投資し、持続的な成長を目指すというハイブリッド戦略を推し進めることで、当社の企業価値向上に貢献するものと考えております。

 

以上の結果、当第1四半期累計期間の業績は、営業損失は553百万円(前年同期は490百万円の営業損失)、経常損失は551百万円(前年同期は525百万円の経常損失)、四半期純損失は553百万円(前年同期は526百万円の四半期純損失)となりました。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前事業年度末と比べて3,337百万円減少し、15,950百万円となりました。これは、預け金が1,073百万円増加した一方で、現金及び預金が4,525百万円減少したことなどによるものであります。

固定資産は、前事業年度末に比べて2,464百万円増加し、2,873百万円となりました。これは、投資有価証券が2,442百万円増加したことなどによるものであります。

(負債)

流動負債は、前事業年度末に比べて1,652百万円増加し、2,953百万円となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金が2,000百万円増加したことなどによるものであります。

固定負債は、前事業年度末に比べて2,027百万円減少し、204百万円となりました。これは、長期借入金が2,043百万円減少したことなどによるものであります。

(純資産)

純資産は、前事業年度末に比べて497百万円減少し、15,666百万円となりました。これは、四半期純損失553百万円を計上したことなどによるものであります。

 

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はございません。

 

(5)研究開発活動

当第1四半期累計期間においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において開発体制を強化したほか、以下のとおり研究開発を推進いたしました。

当第1四半期累計期間における研究開発費の総額は、367百万円(前年同期は340百万円)であります。なお、当該費用は、国内における網膜色素上皮(RPE)細胞製品の共同開発先である大日本住友製薬による開発費用の負担分を控除した後の金額になります。

 

①体性幹細胞再生医薬品分野

当第1四半期累計期間において、アサシス社の開発する幹細胞製品MultiStemを用いた日本国内における脳梗塞急性期に対する治療法の承認取得に向け、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)の実施に努めました。2018年3月には、日本脳卒中学会学術集会の開催期間中に、TREASURE研究会を開催し、治験実施施設の先生方との情報交換を行いました。

 

②iPSC再生医薬品分野

当第1四半期累計期間において、iPS細胞由来RPE細胞を用いた加齢黄斑変性の治療法開発にむけて治験への準備を国内外にて進めてまいりました。

国内においては、当該製品の適応疾患である加齢黄斑変性の疾患モデル動物での有効性評価や、移植用デバイスの検討等を進めております。大日本住友製薬との合弁会社であるサイレジェンにおいては、大日本住友製薬が新たに大阪府吹田市に建設した再生・細胞医薬製造プラントSMaRT内の施設において、商用製造体制の構築に向けた準備を進めております。また、同年3月開催の第17回日本再生医療学会総会にて、シスメックス株式会社及び大日本住友製薬との共同研究開発に関して、他家iPS細胞由来の細胞移植における移植前検査方法の開発に向けた進捗を発表いたしました。

海外においては、RPE細胞の受託製造会社において、海外での治験に用いるRPE細胞の培養条件の最適化検討を進めてまいりました。また欧米での治験に使用することを想定したiPS細胞のマスターセルバンクの製造が完了し、同年2月に開催されたCell Therapy Manufacturing Asiaにて、当該iPS細胞マスターセルバンクのグローバルでの臨床活用の可能性につきポスター発表を行いました。

また、公立大学法人横浜市立大学(以下、横浜市立大学といいます。)との、機能的なヒト臓器を創り出す3次元臓器に関する共同研究では、肝臓原基の製造に向けて共同研究を進めております。肝臓原基は、肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系幹細胞と、血管をつくりだす血管内皮細胞に混合して培養することで形成されますが、これらの構成細胞の製造と品質に関してデータ取得を進めております。さらに、次世代のiPS細胞として期待される、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクの少ないiPS細胞の開発を目指し、米国Universal Cells, Inc.と同社の持つ遺伝子編集技術を基に共同研究を進めております。

 

なお、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しております。