文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
再生医療業界においては、国内にて新たな再生医療等製品の承認が相次ぎました。2018年12月に条件及び期限付きで承認された、患者自身から採取した骨髄由来間葉系幹細胞による脊髄損傷の治療薬に続き、2019年3月には国内で初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法及び遺伝子治療用製品も承認されました。
一方米国では、2019年2月、遺伝子編集されたiPS細胞を用いて作製された免疫細胞による治験の実施に関して世界で初めて認められ、iPS細胞技術と遺伝子編集技術の組み合わせによる新たな細胞治療法の臨床応用が始まろうとしています。
このような状況のもと、当社は体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において開発を推進いたしました。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療法の承認取得にむけ、それぞれ治験を実施しております。
iPSC再生医薬品分野においては、眼科分野及び肝疾患分野を中心に開発を進めております。
眼科分野では、iPS細胞由来網膜色素上皮細胞(以下、RPE細胞と言います。)を用いた治療法開発に向けて、国内外において開発を進めました。
肝疾患分野においては、公立大学法人横浜市立大学(以下、横浜市立大学と言います。)と、肝臓原基の製造に向けた共同研究を行っております。
以上の結果、当第1四半期累計期間の経営成績は、営業損失は993百万円(前年同期は553百万円の営業損失)、経常損失は995百万円(前年同期は551百万円の経常損失)、四半期純損失は896百万円(前年同期は553百万円の四半期純損失)となりました。
(2)財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前事業年度末と比べて1,555百万円減少し、10,771百万円となりました。これは、現金及び預金が1,389百万円減少したことなどによるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べて136百万円増加し、2,789百万円となりました。これは、投資有価証券が79百万円、長期前払費用が32百万円増加したことなどによるものであります。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べて592百万円減少し、1,030百万円となりました。これは、未払金が206百万円、前受金が354百万円減少したことなどによるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べて28百万円減少し、2,546百万円となりました。これは、長期借入金が27百万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べて798百万円減少し、9,984百万円となりました。これは、四半期純損失896百万円を計上したことなどによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期累計期間においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において開発体制を強化したほか、以下のとおり研究開発を推進いたしました。
当第1四半期累計期間における研究開発費の総額は、777百万円(前年同期は367百万円)であります。なお、当該費用は、国内におけるRPE細胞製品の共同開発先である大日本住友製薬株式会社(以下、大日本住友製薬と言います。)による開発費用の負担分を控除した後の金額になります。
①体性幹細胞再生医薬品分野
当第1四半期累計期間において、Athersys, Inc.(以下、アサシス社と言います。)の開発する幹細胞製品MultiStem®を用いた日本国内における脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する治療法の開発を進めました。
脳梗塞急性期に対する治療法開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施しております。2019年3月には、日本脳卒中学会学術集会の開催期間中に、TREASURE研究会を開催し、治験実施施設の先生方との情報交換を行いました。
ARDSに対する治療法開発においては、肺炎を原因としたARDS患者を対象とした、有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施しており、2019年4月より被験者組み入れが開始となりました。なお、本試験は全国20施設程度の医療機関で実施する予定です。
また2019年1月、アサシス社より、同社が欧米において実施したARDS患者に対するMultiStemの安全性と有効性を探索する第Ⅰ/Ⅱ相試験に関し、当該試験によりARDS患者に対するMultiStemの安全性及び忍容性は良好であることが確認され、さらに、プラセボ対照二重盲検試験として実施された第Ⅱa相試験では、死亡率、28日間のうち人工呼吸器を使用しなかった日数及び28日間のうちICU管理が不要であった日数、といった指標においてMultiStem投与群に改善傾向が見られたことが発表されました。
②iPSC再生医薬品分野
当第1四半期累計期間において、眼科分野及び肝疾患分野での開発を進めました。
<眼科分野>
iPS細胞由来RPE細胞を用いた治療法開発にむけて治験への準備を国内外にて進めてまいりました。
国内においては、大日本住友製薬との共同開発のもと、治験開始に必要な安全性データの取得を行い、規制当局との相談を重ねております。大日本住友製薬との合弁会社である株式会社サイレジェンにおいては、大日本住友製薬の建設した再生・細胞医薬製造プラントSMaRT内の施設において、製造体制の構築に向けた準備を進めております。
海外においては、欧米での治験に使用することを想定して製造したiPS細胞のマスターセルバンクを用いて、米国眼科研究所(NEI)との共同研究開発を進めております。
<肝疾患分野>
横浜市立大学との、機能的なヒト臓器を創り出す3次元臓器に関する共同研究では、肝臓原基の製造に向けて共同研究を進めております。肝臓原基は、肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系幹細胞と、血管をつくりだす血管内皮細胞に混合して培養することで形成されますが、これらの構成細胞の機能評価や品質規格に関してデータ取得を進めたほか、大量培養法、細胞凍結法、移植法の開発を進めております。
<次世代に向けた研究活動>
遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞に関する研究活動のほか、iPS細胞技術と遺伝子編集技術を組み合わせた次世代がん免疫細胞の作製にむけた取り組みを開始しております。
なお、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績の記載を省略しております。