当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、また前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による事業への影響については、現在実施中の治験への患者組入れペースに鈍化がみられることから、治験の進捗が影響を受ける可能性があり、引き続き事業及び業績への影響を精査してまいります。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、当社グループは当第1四半期連結累計期間から、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前第1四半期連結累計期間及び前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
(1)経営成績の状況
新型コロナウイルスが世界的に流行し、我が国においても4月に政府の緊急事態宣言が発令されるなど、健康・福祉、医療、経済、あらゆる社会活動が制限されている状況にあります。特に、医療分野においては、診療現場の対応能力を超えた患者数の拡大が懸念されるなか、抗インフルエンザ薬による新型コロナウイルスを対象とした治験が開始されるなど、治療薬・新薬の開発が早急に求められています。
再生医療分野では、2020年1月、大阪大学の澤教授らの研究グループが、医師主導治験において、虚血性心筋症の患者さんへ国内1例目となる他家iPS細胞から作製した心筋細胞シートの移植を行いました。2月には、慶應義塾大学の福田教授らの研究グループによる、難治性重症心不全の患者さんへの自家iPS細胞由来再生心筋球の移植に関する臨床応用計画も発表され、深刻なドナー不足にある疾患に対する新たな治療法の可能性が高まりつつあります。
このような状況のもと、当社は体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において開発を推進いたしました。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療法の承認取得にむけ、それぞれ治験を実施しております。
iPSC再生医薬品分野においては、眼科分野及び肝疾患分野での開発の他、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞の作製、NK細胞を用いた次世代がん免疫分野にむけた研究活動も進めております。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上収益は7百万円(前年同期比93.7%減)、営業損失は930百万円(前年同期は923百万円の営業損失)、税引前四半期損失は1,274百万円(前年同期は937百万円の税引前四半期損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は1,263百万円(前年同期は937百万円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。
(2)財政状態の状況
①資産、負債及び資本の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末と比べて1,056百万円減少し、18,320百万円となりました。これは、現金及び現金同等物が896百万円減少したことなどによるものであります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,999百万円増加し、10,216百万円となりました。これは、その他の金融資産が3,674百万円増加したことなどによるものであります。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて869百万円増加し、2,834百万円となりました。これは、営業債務及びその他の債務が693百万円増加したことなどによるものであります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,056百万円増加し、12,342百万円となりました。これは、リース負債が256百万円、繰延税金負債が653百万円増加したことなどによるものであります。
(資本)
資本は、前連結会計年度末に比べて1,017百万円増加し、13,361百万円となりました。これは、その他の資本の構成要素が2,170百万円増加した一方で、四半期損失1,264百万円を計上したことなどによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、資金といいます。)は、前連結会計年度末と比べて896百万円減少し、17,399百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は863百万円となりました(前年同期は1,354百万円の資金の使用)。これは主に、税引前四半期損失1,274百万円の計上、金融費用333百万円の計上、営業債権及びその他の債権の減少121百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は96百万円となりました(前年同期は13百万円の資金の使用)。これは、有形固定資産の取得による支出27百万円、敷金及び保証金の差入による支出67百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は64百万円となりました(前年同期は44百万円の資金の使用)。これは、リース負債の返済による支出27百万円、新株の発行による収入91百万円等があったことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進いたしました。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、652百万円(前年同期は783百万円)であります。
①体性幹細胞再生医薬品分野
当第1四半期連結累計期間において、Athersys, Inc.(以下、アサシス社と言います。)の開発する幹細胞製品MultiStem®を用いた日本国内における脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する治療法の開発を進めました。
脳梗塞急性期に対する治療法開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施しております。全国40施設強の医療機関で臨床試験を進めております。
ARDSに対する治療法開発においては、肺炎を原因としたARDS患者を対象とした、有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施しており、全国25施設強の医療機関で臨床試験を推進しております。2019年11月には、ARDSを対象とした希少疾病用再生医療等製品として厚生労働大臣より指定されました。
また、2020年4月、ONE-BRIDGE試験内にあらたに評価対象群を追加し、新型コロナウイルス由来の肺炎を原因疾患とするARDS患者を症例として組み入れ、安全性の検討を行うよう試験プロトコルの変更を行いました。
②iPSC再生医薬品分野
当第1四半期連結累計期間において、眼科分野、肝疾患分野及びがん免疫分野での開発を進めました。
<眼科分野>
iPS細胞由来RPE細胞を用いた治療法開発にむけて治験への準備を国内外にて進めてまいりました。
2019年6月、大日本住友製薬株式会社(以下、大日本住友製薬と言います。)との共同開発体制の変更を決定し、今後同社が主体となって治験が進められることとなりました。同社との合弁会社である株式会社サイレジェンでは、大日本住友製薬の建設した再生・細胞医薬製造プラントSMaRT内の施設において、製造体制の構築に向けた準備を進めております。
海外においては、欧米での治験に使用することを想定して製造したiPS細胞のマスターセルバンクを用いて、米国眼科研究所(NEI)との共同研究開発を進めております。
<肝疾患分野>
横浜市立大学との、機能的なヒト臓器を創り出す3次元臓器に関する共同研究では、肝臓原基の製造に向けて共同研究を進めております。肝臓原基は、肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系幹細胞と、血管をつくりだす血管内皮細胞に混合して培養することで形成されますが、これらの構成細胞及び形成された肝臓原基の機能評価や品質規格に関してデータ取得を進めたほか、大量培養法、細胞凍結法、移植法の開発を進めております。
<がん免疫分野>
遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のNK細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫細胞療法の研究を進めております。これまで当社が培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたNK細胞を大量かつ安定的に作製することによる、次世代がん免疫療法を創出すべく自社研究開発を進めております。
<次世代に向けた研究活動>
遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞に関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製する事で拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療製品を開発するための次世代技術プラットフォームの開発を目指しております。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当第1四半期連結会計期間において、新たに締結した重要な契約等の決定又は締結等はありません。