第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、また前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大による事業への影響の可能性については、引き続き注視してまいります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

新型コロナウイルスの世界的な流行は未だ続いており、我が国においても2021年1月に政府から2度目の緊急事態宣言が発令され、医療、経済など社会活動が再び制限される状況になりました。このような中、医療従事者や高齢者を優先とした新型コロナウイルスワクチンの接種が開始されましたが、2021年4月には主要都市に3度目の緊急事態宣言が発令され、感染の終息に向けて依然として先が見通せない状態が続いております。製薬業界においては、引き続き新型コロナウイルスワクチンの研究開発並びに新型コロナウイルスに由来する重症肺炎を対象とした治療薬の臨床試験が国内外において進められています。

一方、再生医療分野では、2021年2月、3月には難治性の血液がんの疾患を対象としたキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法が相次いで承認され、これにより国内で承認された再生医療等製品は11品目となりました。

このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進いたしました。

体性幹細胞再生医薬品分野においては、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療法の承認取得に向け、それぞれ治験を実施しております。

iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell: 以下、UDCと言います。)を用いた新たな治療薬の研究、ナチュラルキラー細胞(以下、NK細胞と言います。)を用いた次世代がん免疫に関する研究、眼科分野及び肝疾患分野での研究開発を進めております。

また、2021年1月からは、米国Saisei Ventures LLCを通じ、いくつかの有望なベンチャー企業への投資活動を開始いたしました。さらに、2021年2月には体性幹細胞再生医薬品HLCM051の製造販売承認の取得後、速やかに販売活動を開始するため、SPLine株式会社と医薬品販売に関する取引基本契約を締結いたしました。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上収益は9百万円(前年同期比35.2%増)、営業損失は1,405百万円(前年同期は930百万円の営業損失)、税引前四半期損失は1,033百万円(前年同期は1,274百万円の税引前四半期損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は1,029百万円(前年同期は1,263百万円の親会社の所有者に帰属する四半期損失)となりました。

 

(2)財政状態の状況

① 資産、負債及び資本の状況

(資産)

当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ999百万円減少し、22,172百万円となりました。流動資産は1,616百万円減少し、13,390百万円となりました。主な要因は、現金及び現金同等物の減少1,645百万円であります。非流動資産は617百万円増加し、8,782百万円となりました。主な要因は、その他の金融資産の増加549百万円であります。

(負債)

当第1四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ271百万円減少し、15,050百万円となりました。流動負債は459百万円減少し、2,227百万円となりました。主な要因は、その他の金融負債の減少510百万円であります。非流動負債は188百万円増加し、12,823百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金の増加120百万円であります。

(資本)

当第1四半期連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末に比べて729百万円減少し、7,123百万円となりました。主な要因は、四半期損失1,029百万円の計上及びその他の資本の構成要素の増加273百万円であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、資金といいます。)は、前連結会計年度末と比べて1,645百万円減少し12,279百万円となりました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は1,310百万円(前年同期は863百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前四半期損失1,033百万円、金融収益513百万円及び金融費用140百万円の計上等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は320百万円(前年同期は96百万円の資金の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出72百万円及び投資有価証券の取得による支出246百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は30百万円(前年同期は64百万円の資金の獲得)となりました。これは、リース負債の返済による支出30百万円によるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当第1四半期連結累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期連結累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。

 

(6)研究開発活動

当第1四半期連結累計期間においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進いたしました。

当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、841百万円(前年同期は652百万円)であります。

 

① 体性幹細胞再生医薬品分野

当第1四半期連結累計期間において、体性幹細胞再生医薬品HLCM051(米国Athersys,Inc.の開発した幹細胞製品MultiStem®)を用いて、日本国内における脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する治療法の開発を進めました。

脳梗塞急性期に対する治療法開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施しており、全国40施設強の医療機関で臨床試験を進めております。

ARDSに対する治療法開発においては、肺炎を原因疾患としたARDS患者を対象とした、有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を全国20施設強の医療機関で実施し、2021年3月に患者組み入れを完了いたしました。また、2020年4月に、ONE-BRIDGE試験内に新型コロナウイルス由来の肺炎を原因疾患とするARDS患者を対象に安全性の検討を行う評価対象群を追加しておりましたが、2020年8月に患者組み入れを完了しております。今後は、治験登録患者の経過観察期間を経てデータ解析・評価等の実施を予定しております。なお、ARDSを対象としたHLCM051は、2019年11月に希少疾病用再生医療等製品として指定されております。

当第1四半期連結累計期間においても、依然新型コロナウイルス感染症の影響が上記治験実施施設においてもみられ、治験の進行スケジュールに遅れが発生しました。引き続き治験実施施設との連携を図りながら、できるだけ早い段階での治験完了に向け継続して取り組んでおります。

 

② iPSC再生医薬品分野

当第1四半期連結累計期間において、iPSCプラットフォーム、がん免疫、眼科分野及び肝疾患分野での研究開発を進めました。

<iPSCプラットフォーム>

遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、UDCに関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製する事で拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療等製品を開発するための次世代技術プラットフォームの開発を目指しております。

2020年10月にはヒトへの臨床応用も可能なレベルの臨床株が完成し、適応疾患を含む具体的な臨床応用に向けた研究を進めております。

<がん免疫>

遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のNK細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫療法の研究を進めております。これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたNK細胞を大量かつ安定的に作製することによる、次世代がん免疫療法を創出すべく自社研究を進めております。

本分野では、2020年6月、国立研究開発法人国立がん研究センター(以下、国立がん研究センターと言います。)と共同研究契約を締結いたしました。他家iPS細胞由来遺伝子編集NK細胞が抗腫瘍効果を発揮する固形がんの特徴を明確にすることを目的に、国立がん研究センターが保有するPDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍 組織移植片)を用いて、NK細胞が認識する数種類の分子の発現状況を検討しております。

<眼科分野>

iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞を用いた治療法開発に向けて治験への準備を進めてまいりました。2019年6月、大日本住友製薬株式会社との共同開発体制の変更を決定し、現在は同社が主体となって治験の準備が進められております。

<肝疾患分野>

横浜市立大学との、機能的なヒト臓器を創り出す3次元臓器に関する共同研究では、肝臓原基の製造に向けて共同研究を進めております。肝臓原基は、肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間葉系幹細胞と、血管をつくりだす血管内皮細胞に混合して培養することで形成されますが、これらの構成細胞及び形成された肝臓原基の機能評価や品質規格に関してデータ取得を進めたほか、大量培養法、細胞凍結法、移植法の開発を進めております。

 

なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 以下の表は、当第1四半期連結会計期間末現在の当社グループの開発品並びにその適応症、市場、開発段階及び進捗状況を示しております。

 

<体性幹細胞再生医薬品分野>

0102010_001.png

 

<iPSC再生医薬品分野>

0102010_002.png

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第1四半期連結会計期間において、新たに締結した重要な契約等の決定又は締結等はありません。