文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションを掲げ、「iPSC再生医薬品を活用し、世界中の患者さんに治癒と希望を届ける。世界中に承認販売まで自社で行う体制を構築し、全ての人からRespectを受けるバイオ企業を確立する。」というビジョンに沿って、iPS細胞等の優れた幹細胞技術をもって、世界中の難治性疾患の罹患者に対して新たな治療法を届けるべく、研究開発から製造販売承認の取得、製造・販売までを自社、関係会社及び提携会社において実現する体制の確立を目指し、事業を進めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループの体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発推進には、多額の開発資金が必要となるため、当該製品が上市されるまでは研究開発費を中心に先行投資が続くものと想定しております。当社は、新たな提携・多面的な資金源の確保による財務の安定化を目指しており、早期の製品の上市に向け開発計画の着実な進捗に目標を置き事業を推進してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは上記(1)記載のミッション・ビジョンを実現するため
①短期戦略:3年程で日本国内において、承認の目途が立つ開発パイプラインであり、当社グループの経営基盤強化(収益体制、製造研究開発販売体制)に資する開発品
②長期戦略:世界でデファクトスタンダードの地位を築く革新的基盤技術
という事業拡大戦略に基づき、①で得られたノウハウ・収益を②へ戦略的に投資し、持続的な成長を果たすという、ハイブリッド戦略を推し進めております。
まずは、短期戦略に基づき2016年に導入した体性幹細胞再生医薬品分野におけるパイプラインHLCM051の早期承認を目指し、現在脳梗塞急性期及びARDSを対象疾患とした治験を実施し、その結果をもって規制当局と協議を進めております。
一方、長期戦略の柱であるiPSC再生医薬品の実用化にむけては、第一に遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞の作製にむけた研究活動など、再生医療の産業化に向けて必要な次世代の技術プラットフォームの確立を目指してまいります。また、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のNK細胞(eNK®細胞)を用いて、固形がんを対象にした次世代がん免疫療法の研究を進めております。さらに、加齢黄斑変性に対する治療法の開発を住友ファーマとともに進めており、治験に向けた準備を進めています。
また、当社はバイオ領域の投資に特化した米国Saisei Ventures LLCを設立し、国内外のバイオ領域への成長資金の提供と投資回収によるリターンのみならず、情報収集を通じて当社パイプラインに貢献する技術や他ベンチャーとの連携を期待しています。
当社グループは、患者さんのアンメットメディカルニーズの高い適応疾患領域における複数かつ多層的な開発戦略により、リスク低減を行い、企業価値の向上を目指します。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 既存パイプラインの開発推進
当社グループは、法改正で新設された、再生医療等製品に対する早期承認制度を活用し、日本国内においていち早く再生医薬品の承認を獲得すべく、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野にて開発を進めております。共同開発パートナーや提携先、治験実施施設等とのスムーズな連携により、着実に開発を進めることが課題と考えております。
② 開発におけるアライアンス体制の強化について
再生医療業界においては、常に新しい発見が重ねられており、目覚ましい技術の進展が見られます。またグローバル規模の製薬企業も再生・細胞医療に新たな可能性を見出し、企業買収等によって参入を図っています。このような競争環境のなか、当社グループは、世界でデファクトスタンダードの地位を築く可能性のある革新的なプラットフォーム技術の取得が重要と考えております。国際的な情報ネットワークを一層強化し、国内外の公的研究機関や企業等から新規技術・ノウハウを積極的に取り入れ、強固な提携関係を築くことが課題と考えております。
③ 資金調達・管理
当社グループのようなバイオテクノロジー企業は、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。そのため研究開発資金の確保は重要課題の1つであると考えております。
体性幹細胞再生医薬品分野において当初見込んでいた申請スケジュールに遅延が発生したことにより、今後の研究開発の継続に向けた事業体制の最適化に向け、経営資源の配分、固定費削減を中心とした合理化施策の継続的な実施を講じております。体性幹細胞再生医薬品分野、iPSC再生医薬品分野における固形がんを対象としたeNK®細胞、CAR-eNK®細胞のパイプラインにおいて特に経営資源を集中して研究開発を進め、2023年度においては、現在保有している資金から事業資金への充当額は約27億円となる見込みです。さらにいずれのパイプラインにおいても、自社開発のみならず、国内外の有力製薬企業との連携等を目指し、社外のパートナーとの共同開発や提携の実現が重要と考えております。
以上に加え、iPSC細胞株(ユニバーサルドナーセル)の提供等による収入、既存パイプラインの開発進捗による共同開発先からのマイルストン収入や、承認取得による早期の売上計上を目指すほか、リスクの分散や資金調達の多様性確保のため、新規提携先からの契約一時金やマイルストン収入、金融機関等からの借入、株式市場からの資金獲得、補助金等多面的な資金源の検討も必要と考えております。
④ 人材の獲得
再生医療という新しい産業を創生し、グローバルリーディング企業を目指し成長を続けるためには、人材が最も重要であると考えます。新しい産業を牽引できるポテンシャルの高い人材を世界中から確保し、活躍できる場を提供することが課題と考えております。
<新型コロナウイルス感染拡大に対処する取り組み>
社員の安全を最優先としながら、当社グループのミッションである「『生きる』を増やす。爆発的に。」を達成するため、感染防止対策を行い必要な業務を継続しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループではこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また当社グループに関連するリスクをすべて網羅するものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野のリスク
① 開発期間が長期にわたることに伴う損失の計上と追加の資金調達の可能性について
当社は、iPSC再生医薬品分野に加えて、2016年1月より体性幹細胞再生医薬品分野においても研究開発を進めており、当社の両分野の今後の研究開発の進展及び事業展開の成否に依拠しています。
体性幹細胞再生医薬品分野のパイプラインHLCM051は、アサシス社の開発する幹細胞製品MultiStem®を用いて脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象疾患とするもので、法改正で新設された早期承認制度に基づいた承認の取得も想定し、治験を実施いたしました。
またiPSC再生医薬品は、前臨床試験段階であり、製品の上市までにはさらなる段階が必要となります。
このため、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野において、実際に上市されるまでは収益が上がらず、損失を計上し続ける見込みとなっております。また、当社の体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発には多額の資金が必要となることから、当社は追加の資金調達を行う可能性があります。このように、当社が想定しない追加の費用が発生したり、資金調達が想定通り行えない場合には、当社グループ(当社及び当社の関係会社)の経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、HLCM051を先行して上市させることにより、その販売からの収益を、iPSC再生医薬品分野の開発に充てるハイブリッド戦略を展開しております。脳梗塞急性期及びARDSを対象とした医薬品の開発について規制当局と協議を進めております。
② 特定の提携先への依存について
当社は、HLCR011の開発に関して、住友ファーマとの間で共同開発契約、実施許諾契約及び合弁契約を締結し、これらの契約を前提に国内におけるRPE細胞製品の開発計画を立てております。また、HLCM051に関しては、アサシス社とのライセンス契約に基づき治験を実施しております。HLCM051の商用製造に関しては、医薬品製造受託機関(CMO)に対して当社から製造委託を行う予定です。今後、アサシス社の財政状態が著しく悪化した場合やCMOの製造・供給体制になんらかの支障が生じた場合、HLCM051の開発又は販売計画が大幅に遅れる、あるいは継続が困難となる可能性があります。
さらに、これらの契約は、相手先企業の経営方針の変更等の当社がコントロールし得ない何らかの事情により、期間満了前に終了する可能性が全くないとはいえません。これらの契約が終了した場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、HLCM051の開発を進めるにあたり、アサシス社との提携関係を強化して協力体制を築くことを目的として、同社の株式を保有しております。
③ 技術革新と競合について
当社が実施しているiPSC再生医薬品に係る研究開発の領域は、国内のみならず、世界的にも注目を集めている研究分野であるため、新しい知識や技術が発見されイノベーションが生まれやすい分野であります。ES細胞由来の細胞医薬品を含め、様々な治療法の開発が進展しているところであります。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、すでに様々な研究開発が進んでおり、より実現性の高い技術革新が行われる可能性があります。
これらの周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手が、当社の保有している知的財産権等を上回る新技術を開発し、関連特許を取得する場合や先行して上市した場合、また、当社グループで実施している再生医療分野に関する最新業界動向の収集・分析が不十分で環境変化への迅速な対応ができない場合などには、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、大学や公的研究機関と連携し、常に最先端の技術開発に取り組んでおります。
④ 再生医療等製品に関する法規制について
2014年11月に施行された医薬品医療機器等法(以下、薬機法と言います。)は、医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供を図るものであり、体性幹細胞/iPSC再生医薬品を含む再生医療等製品について早期承認制度に基づいた条件及び期限付承認制度を新設しております。この制度下での承認実績は既にあるものの、他家iPS細胞を由来とする製品はいまだ実績がないことから、他の細胞由来の製品とは異なる検証が必要となる可能性も考えられます。また、かかる薬機法を含む再生医療等製品に関する法規制については、技術の革新の状況や予期し得ない事態の発生等に対応して、継続的に見直しがなされる可能性があります。法規制の追加や法改正の内容如何によっては、これまで認められてきた品質管理基準を上回る品質管理が求められる等の理由によって、多額の設備投資や追加の開発費用が必要となり、また当社の想定よりも多数の試験が求められた場合、開発スケジュールが大幅に遅れるなどの事態が生じる可能性があります。このような場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、そうした見直しにいち早く対応すべく情報収集、関係規制当局との相談、社内体制の整備等に努めております。
⑤ 体性幹細胞/iPSC再生医薬品の製品特性について
体性幹細胞/iPSC再生医薬品は、ヒト細胞・組織を原材料とした細胞を人体へ移植・投与するという特性上、原材料の安全性に関するリスクや、様々な予期せぬ副作用・医療事故の発生などの可能性があり、そのために法制度上も厳しい規制がなされております。今後予期せぬ事態が発生する可能性を完全に防ぐことは難しく、そうした事態が発生した場合には当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、そうした規制に対応し、事故を防止するためにも、再生医療分野における知見を有する人材や薬事制度に精通した専門家に関与いただくなど様々な施策を講じております。
⑥ 製造・販売体制の構築に関する不確実性について
当社の体性幹細胞/iPSC再生医薬品事業は、研究開発活動において成果をあげることにとどまらず、その後の製造及び販売についても事業として展開していくことを視野に入れております。しかしながら、医薬品の開発には、多種多様な技術が必要となり、今後、何らかの理由で製造方法の確立、製造体制の構築等が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、提携先企業等とともに細胞の大量培養技術の開発など製造方法の確立に向けて注力しております。
販売体制については、当社単独で販売体制を構築するのか、あるいは製薬企業等との提携により販売体制を構築するのか、その方針はいまだ決定しておりません。今後、体制構築に何らかの障害が生じ、当社の計画より遅れた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発中の製品の上市に先立ち、営業・マーケティング組織の立ち上げ、国内医療用医薬品等卸売大手との契約締結など、販売開始に向けた準備を始めています。
⑦ 海外での事業展開について
当社グループは、当社の開発するiPSC再生医薬品が、国内のみならず、世界各国の難治性疾患の罹患者の方々にとって需要のあるものであると考えております。このため、海外子会社の設立等といった形で海外展開に向けた取組みを進めております。
しかしながら、海外における特有の法的規制や取引慣行により、必要な業務提携や組織体制の構築に困難が伴うなど、当社グループの事業展開が何らかの制約を受ける可能性もあり、その場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 治験の実施について
当社は、将来的に、iPSC再生医薬品分野において治験の実施を検討しております。一般的に治験の実施において、いまだ再生医療等製品の治験実施例は多くはないことから、治験に必要とされる患者を適切に確保できないこと、治験実施施設における各種手続きが計画通り進行しないこと等の様々な要因によって遅延する可能性があります。さらに、安全性に関する許容できない問題が生じた場合や、期待した有効性を確認できない場合には、開発を中止するリスクがあります。
このような場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)やアメリカ食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)とも事前に相談し、綿密な計画を立て、治験を実施してまいります。
⑨ 治験データの解析・評価結果、承認申請の不確実性について
当社は、現在、体性幹細胞再生医薬品分野において治験を実施しております。一般的に治験データの解析・評価結果において、その結果の確たる予測は困難であり、当社の予期せぬ結果となることも想定されます。また、承認申請において、PMDAとの相談の経過によっては、当社の想定どおりに進捗せず、同様に当社が想定するスケジュールどおりに行うことができない可能性があります。このような場合、当社グループの今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、継続的にPMDAと相談を続けながら、製造・販売承認申請に向けた準備を進めております。
⑩ 投資に関するリスク
当社グループでは、常に最先端の技術開発に取り組み、周辺領域を含め当事業に参入している企業や潜在的な競争相手に先んじるため、関連する技術や特許を保有する企業に対して投資やM&A等(買収、合併、事業譲渡・譲受)という形で提携を進める可能性があります。また、これらとは別に、当社はSaisei Ventures LLCを通じて、国内外のバイオ領域に成長資金となる投資を行っております。
提携先または投資先において予期せぬ問題が生じた場合や、予想通りに研究開発が進まない場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、提携先の選定やその投資価額の妥当性等において、第三者機関の評価を得たうえで慎重に進めております。
(2)医薬品の研究開発一般に関するリスク
① 薬価に係る法規制の改正等について
世界的な医療費抑制の流れの中で、薬価に係る法規制の改正により当社が想定している製品価値よりも低い薬価・保険償還価格となった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 製造物責任について
当社が開発した医薬品が健康被害等を引き起こした場合、治験、製造、販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負う可能性があり、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)人材及び組織に関するリスク
① 特定の個人への依存について
当社グループは、小規模な組織であります。また、代表執行役社長CEOである鍵本忠尚は、研究開発や経営方針、戦略の決定、提携先との関係構築等、当社グループの事業活動において重要な役割を果たしております。当社グループでは、過度に特定の人物に依存しない組織的な経営体制の強化を進めておりますが、何らかの理由により、鍵本忠尚が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 社内管理体制について
当社グループの行う事業の性質上、他の役員及び従業員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分も大きく、今後、当社グループの業務の拡大に応じて人員の増強や社内管理体制の充実を図っていく方針でありますが、想定どおりに人材の確保ができない場合や人材の流出が生じた場合、又は社内管理体制に不備が生じた場合には、研究開発の推進や社外との連携関係の構築に支障が生じ、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他の事業リスク
① 大学等公的研究機関との関係について
当社では、これまで、公的研究機関との連携や特許実施許諾契約の締結等を通じて、積極的な研究開発活動を実施して参りました。しかしながら、国立大学の法人化により大学の知的財産権に関する意識も変化しつつあるため、特許実施許諾契約の新規締結や更新が困難となる等の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について
当社グループの事業を遂行していく中で、第三者が有する知的財産権を使用することがあります。当社グループでは適法な手続きのもとに知的財産権を使用することとしておりますが、第三者の知的財産権に関連して係争が生じる可能性もあります。当社グループでは、第三者の知的財産権に抵触することを回避するため、調査、検討及び評価等を随時実施し、必要に応じて遅滞なく実施許諾契約(ライセンス契約)を締結しておりますが、今後、事業の拡大とともにこのようなリスクは増大するものと思われます。
当社グループは、知的財産権に関する管理体制をより強化していく方針でありますが、訴訟等が提起された場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが有する知的財産権が第三者により侵害される可能性もあります。当社グループとしては、このような場合には当社グループの知的財産権保護のために必要な法的措置を検討していく方針ですが、費用対効果や第三者から特許無効審判等を提起される可能性なども勘案し、あえて法的措置に踏み切らない可能性も否定できず、その場合、当該第三者が当社グループと競合する事業を行う可能性も否定できないことから、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 風評上の問題の発生について
当社グループは、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、当社グループに関してマスコミ報道などにおいて事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 災害等の発生に関する不確実性について
当社グループが事業活動を行っている地域において、自然災害や火災等の事故災害等が発生した場合、当社グループの設備等に大きな被害を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 資金繰りについて
当社グループのようなバイオテクノロジー企業においては、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社グループとしましては、新規に模索している提携先からの契約一時金及びマイルストン収入や補助金の活用、金融機関等からの借入を実施することで資金確保に努め、必要に応じて増資による資金調達を実施する方針でありますが、何らかの理由によりこうした資金の確保が進まなかった場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 配当政策について
当社グループは創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、現時点においては繰越利益剰余金がマイナスであるため、当分の間は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。
⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、役員及び従業員等に対し、モチベーションの向上を目的に新株予約権を付与しております。また、パイプライン開発や新技術開発等の資金需要に対応するため、新株予約権付社債を発行しております。
これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、2022年12月31日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は、4,584,388株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計の7.3%に相当しております。
⑧ 為替変動のリスク
当社は、海外に子会社を設立しており、今後、海外企業とのライセンス契約の締結、海外での研究開発活動等において外貨建取引が増加する可能性があります。急激な為替変動によって為替リスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 新型コロナウイルス感染症によるリスク
当社従業員や臨床試験委託先の従業員の新型コロナウイルス感染症の罹患等による要員不足により、当社の実施する治験の進捗に遅れが生じる等、当社の開発スケジュール及び今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
新型コロナウイルス感染症の流行は欧米を中心とした海外においては終息の兆しを見せ、我が国においても3年ぶりに行動制限のない年末・年始を迎えました。日常生活はコロナ前の状況へと戻りつつあるものの、年明け以降国内での感染者数及び死者数の増加が見られ、予断を許さない状況が続きました。製薬業界においては11月に国産初となる新型コロナウイルス治療薬が緊急承認され、本疾患に対する社会的な認識は、医療資源の制約はあるものの、治療・共存可能な疾病へと変化が見られます。
再生医療分野では、2022年を通じてアカデミアによるiPS細胞を用いた研究や治験の進捗が見られた一方、細胞医薬品における新たな上市品目は依然少なく、その新薬開発の難しさが浮き彫りになりました。
このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進いたしました。
体性幹細胞再生医薬品分野においては、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬の承認取得に向け、それぞれの治験結果に基づき、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と承認申請に向けた協議を継続しています。
iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(以下、eNK®細胞と言います。)を用いた次世代がん免疫に関する研究を進めております。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、ユニバーサルドナーセル(Universal Donor Cell:以下、UDCと言います。)を用いた新たな治療薬の研究や細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めており、海外企業とのライセンス契約の締結をはじめ、国内外の企業・研究機関にUDCやiPS細胞を提供し様々な疾患への適応可能性について評価を進めています。
体性幹細胞再生医薬品分野においては当初見込んでいた申請スケジュールに遅延が発生し、今後の研究活動の継続に向けた事業体制の適正化に向け、経営資源の再配分、固定費削減を中心とした合理化施策の実施、財務基盤の強化を目指した資金調達等に取り組みました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,939百万円減少し、15,033百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,676百万円減少し、10,650百万円となりました。
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ4,263百万円減少し、4,382百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上収益は90百万円(前期比120.1%増)、営業損失は5,179百万円(前期は5,384百万円の営業損失)、税引前当期損失は5,330百万円(前期は4,462百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は5,169百万円(前期は4,910百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて7,879百万円減少し、7,247百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は4,601百万円(前期は5,089百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前当期損失5,330百万円、減価償却費及び償却費386百万円、金融収益346百万円及び金融費用500百万円の計上等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は909百万円(前期は736百万円の資金の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出207百万円及び投資有価証券の取得による支出605百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は2,502百万円(前期は6,988百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、新株予約権付社債の償還による支出5,000百万円及び新株の発行による収入2,220百万円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当社は、医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
医薬品事業 |
90 |
120.1 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
住友ファーマ株式会社 |
27 |
66.9 |
54 |
59.7 |
|
Tune Therapeutics, Inc. |
- |
- |
17 |
19.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,939百万円減少し、15,033百万円となりました。
流動資産は7,967百万円減少し、8,462百万円となりました。主な要因は、当期損失の計上、新株予約権付社債の償還等による現金及び現金同等物の減少7,879百万円であります。非流動資産は972百万円減少し、6,571百万円となりました。主な要因は、Athersys,Inc.の株式の公正価値が下落したこと等によるその他の金融資産の減少879百万円であります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,676百万円減少し、10,650百万円となりました。
流動負債は2,234百万円減少し、3,808百万円となりました。主な要因は、新株予約権付社債の償還、借入金の返済期日が1年以内になったことによる非流動負債から流動負債への表示区分の変更等による社債及び借入金の減少1,735百万円であります。非流動負債は2,442百万円減少し、6,842百万円となりました。主な要因は、上記と同様に借入金の表示区分の変更等による社債及び借入金の減少2,930百万円であります。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ4,263百万円減少し、4,382百万円となりました。主な要因は、当期損失5,170百万円の計上であります。
③ 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は90百万円(前連結会計年度比120.1%増)となりました。当社が認識している売上収益は、主に実施許諾契約等に基づく契約一時金及びマイルストン収入に関するものであります。当社におけるiPS細胞株(ユニバーサルドナーセル)の提供等により前連結会計年度と比較して売上収益が増加しております。
(研究開発費、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度においては、前連結会計年度に引き続き、体性幹細胞再生医薬品分野における脳梗塞急性期及びARDSに対する治療薬、iPSC再生医薬品分野におけるがん免疫療法を中心とした既存パイプラインの研究開発が進捗した結果、研究開発費は3,808百万円(前連結会計年度比2.9%増)となり、一方、販売費及び一般管理費は固定費削減の施策等により1,449百万円(前連結会計年度比15.8%減)となりました。
(営業損失)
当連結会計年度においては、売上収益を90百万円計上した一方、研究開発費3,808百万円、販売費及び一般管理費1,449百万円、その他の収益10百万円、その他の費用22百万円を計上した結果、営業損失は5,179百万円(前連結会計年度は5,384百万円の営業損失)となりました。
(当期損失)
当連結会計年度においては、有価証券評価益162百万円、デリバティブ評価益183百万円が発生したこと等により、346百万円を金融収益に計上いたしました。また、社債利息375百万円(うち335百万円は償却原価法による計上)、借入金及びリース負債に係る支払利息44百万円、及びデリバティブ評価損53百万円が発生したこと等により、500百万円を金融費用に計上いたしました。さらに、持分法による投資利益3百万円、法人所得税費用を△160百万円計上した結果、当期損失は5,170百万円(前連結会計年度は4,911百万円の当期損失)となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは事業活動の維持・拡大に必要な資金を安定的に確保するとともに、資金需要に応じた資金調達を行うことを基本的な方針としております。当連結会計年度においては、主に既存パイプラインを進捗させるための研究開発活動に伴う営業活動によるキャッシュ・フローは4,601百万円の支出となりました。また、連結子会社であるSaisei Bioventures, L.P.における投資有価証券の取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローは909百万円の支出となりました。さらに、行使価額修正条項付新株予約権の行使等による新株式の発行や新株予約権付社債の償還等の結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、2,502百万円の支出となりました。これらが資金の主な動きとなり、その結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、7,247百万円となりました。キャッシュ・フローの状況については「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(1)再生医薬品分野に関する重要な契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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iPSアカデミアジャパン株式会社 |
実施権許諾契約 |
2013年2月1日 |
2013年2月1日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・網膜変性疾患の治療用途に使用するため、iPS細胞に由来する網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する細胞製品を開発、製造、使用、販売するための特許権の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
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iPSアカデミアジャパン株式会社 |
人工多能性幹細胞(iPS細胞)使用に関する特許実施許諾契約 |
2015年3月12日 |
2015年3月12日から2024年3月11日まで |
・国内外非営利機関及び/又はiPSアカデミアジャパン株式会社から提供されたiPS細胞を日本において研究目的で使用するための特許権の非独占的通常実施権を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
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国立研究開発法人理化学研究所 |
特許実施許諾契約 |
2013年3月28日 |
2013年3月28日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・多能性幹細胞由来網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療製品を全世界で開発・製造・製造委託・使用・販売・販売委託するための特許権及びノウハウの再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
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公立大学法人横浜市立大学 |
特許実施許諾契約 |
2014年10月24日 |
2014年10月24日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・多能性幹細胞に由来する細胞又はヒト組織より分離された細胞を有効成分として含む再生医療製品を全世界で研究、開発、製造、使用、販売、輸出入等を行うための特許出願等の再実施許諾権付独占的通常実施権を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
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株式会社ニコン |
業務・資本提携契約 |
2017年2月22日 |
期限の定めなし |
・再生医療分野における新規シーズの探索・開発の推進及び新規シーズを通じた相互の成長可能性の追求を目的とした契約。 ・当社は、株式会社ニコンに対して細胞製造に係る画像評価、細胞受託製造などに関するシーズの情報を提供し、他方、株式会社ニコンより細胞製造に係る画像評価における協力及び細胞製造受託に係る開発支援を受ける。 ・当社は、株式会社ニコンに対して第三者割当方式によって当社普通株式を付与した。 |
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株式会社ニコン |
合意書 |
2019年7月10日 |
2019年7月10日から2024年7月30日まで |
・2017年2月22日付の業務・資本提携契約に関し、再生医療分野における提携内容を拡大した。 ・当社は、株式会社ニコンに対して第三者割当方式による無担保転換社債型新株予約権付社債を割当てた。 |
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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大日本住友製薬株式会社 |
共同開発契約 |
2019年6月13日 |
2019年6月13日から共同開発行為が終了するまで |
・滲出型加齢黄斑変性、萎縮型加齢黄斑変性、網膜色素変性症その他共同開発委員会において合意した疾患を適応症として、iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞を再生医療等製品とした製造販売承認の取得及び販売を目的として締結された2013年12月2日付の大日本住友製薬株式会社との共同開発契約に関し、以下の変更等を目的として新たな共同開発契約を締結した。 - 共同開発における両社の分担業務につき、主として臨床試験の実施主体を当社から大日本住友製薬株式会社へと変更し、これに伴い他の分担業務についても変更した。 - 製造販売承認申請は臨床試験の結果に基づき大日本住友製薬株式会社及び当社がそれぞれ検討する。 - 開発費分担の枠組みを変更した。 |
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大日本住友製薬株式会社 |
実施許諾契約 |
2019年6月13日 |
2019年6月13日から2039年6月12日まで |
・2019年6月13日付の共同開発契約の趣旨に従い、2013年12月2日付の大日本住友製薬株式会社との実施許諾契約における許諾対価算定基準の変更を行った。 ・開発マイルストンとして網膜色素上皮細胞製品の開発の進捗により、総額10億円の実施料の支払いを受ける。 ・日本における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の独占的通常実施権(第三者から非独占的通常実施権を受けているものについては非独占的通常実施権)を大日本住友製薬株式会社に許諾する。 ・日本を除く全世界における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を大日本住友製薬株式会社に許諾する。 ・全世界における疾患の予防又は治療のためのその他の再生医療等製品の研究、開発、製造、使用、販売、輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を大日本住友製薬株式会社に許諾する。 |
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大日本住友製薬株式会社 |
合弁契約 |
2019年6月13日 |
2019年6月13日から当社又は大日本住友製薬株式会社のいずれかが株式会社サイレジェンの株式の全てを保有しなくなった日又は同社を解散し清算結了登記をした日まで |
・株式会社サイレジェンの設立及び運営に関して締結された2013年12月2日付の大日本住友製薬株式会社との合弁契約につき、2019年6月13日付の共同開発契約の趣旨に従い、以下の変更を行った。 - 当社と大日本住友製薬株式会社の両社が製造販売承認申請を行う場合、株式会社サイレジェンに網膜色素上皮細胞製品の製造等を委託する。 |
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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大日本住友製薬株式会社、株式会社サイレジェン |
共同実施許諾契約 |
2019年6月13日 |
2019年6月13日から2019年6月13日付の大日本住友製薬株式会社との実施許諾契約が終了するまで |
・大日本住友製薬株式会社と締結した2019年6月13日付共同開発契約及び実施許諾契約の趣旨に従い、2014年5月28日付の共同実施許諾契約における以下の変更を行った。 - 株式会社サイレジェンが大日本住友製薬株式会社及び当社に対し許諾の対価として支払う、正味売上高に対する料率を変更した。 ・日本における眼疾患の予防又は治療を目的とする網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する再生医療等製品の研究・開発・製造・使用・販売・輸出入等を行うための特許権等の非独占的通常実施権を、大日本住友製薬株式会社及び当社が共同で株式会社サイレジェンに許諾する。 |
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Athersys,Inc.、 ABT Holding Company |
License Agreement |
2016年1月8日 |
2016年1月8日から許諾対象となる特許権等が消滅するまで |
・以下に係る国内における開発・販売等に関する再実施許諾権付独占実施権について当社が許諾を受ける。 (1)幹細胞製品MultiStem®を用いた脳梗塞に対する細胞治療医薬品 (2) 多能性前駆生体細胞を使用して作製された器官芽を用いた肝疾患に対する細胞治療医薬品 ・許諾の対価として、当社は一定の実施料を支払う。 |
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Athersys,Inc. |
SECURITIES PURCHASE AGREEMENT |
2018年3月13日 |
期限の定めなし |
・Athersys社株式を1,200万株取得した。 |
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Athersys,Inc. |
INVESTOR RIGHTS AGREEMENT |
2018年3月14日 |
期限の定めなし |
・Athersys社取締役を指名する権利を取得した。 |
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Athersys,Inc.、 ABT Holding Company |
COLLABORATION EXPANSION AGREEMENT |
2018年6月6日 |
2018年6月6日から、右記各ライセンス契約の終了時、又は当社からの20百万米ドルの支払及び取得対価のうち10百万米ドルの将来のマイルストンへの充当が完了し、iPS細胞由来製品とMultiStem®との併用療法の他地域に関する優先交渉期間が満了した時のいずれか早い時まで |
・下記THIRD AMENDMENT TO LICENSE AGREEMENT、OPHTH LICENSE AGREEMENT及びCOMBINATION PRODUCT LICENSE AGREEMENTに基づくライセンス権取得等の対価として、20百万米ドルを支払う。うち10百万米ドルはエスクローへ預託された預託金を充当する。 ・取得対価のうち10百万米ドルについては、脳梗塞又は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の開発が成功した際に、当社からの支払義務が発生するマイルストンから減額される。 |
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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Athersys,Inc.、 ABT Holding Company |
THIRD AMENDMENT TO LICENSE AGREEMENT |
2018年6月6日 |
右記License Agreementの契約開始日である2016年1月8日から対象となる特許権等が消滅するまで |
・2016年1月8日にAthersys,Inc.及びABT Holding Companyとの間に締結したLicense Agreement上のオプション権を行使して以下の独占的ライセンス権を取得した。 (1)急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の日本国内における開発・販売 (2)臓器原基全適応のMultiStem®を併用したグローバルにおける開発・販売 ・許諾の対価として一定の実施料を支払う。 |
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Athersys,Inc.、 ABT Holding Company |
OPHTH LICENSE AGREEMENT |
2018年6月6日 |
2018年6月6日から、対象となる特許権等の消滅時又は製品販売開始から10年後のいずれか遅い時まで |
・MultiStem®単体での眼科疾患治療法、及びiPS/ES細胞由来眼科製品とMultiStem®を併用した療法のグローバルにおける開発・販売のための独占的ライセンス権を取得した。 ・許諾の対価として一定の実施料を支払う。 |
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Athersys,Inc.、 ABT Holding Company |
COMBINATION PRODUCT LICENSE AGREEMENT |
2018年6月6日 |
2018年6月6日から、対象となる特許権等の消滅時又は製品販売開始から10年後のいずれか遅い時まで |
・iPS細胞由来製品とMultiStem®を併用した療法(対象臓器に制限あり)の日本国内における開発・販売のための独占的ライセンス権を取得した。 ・許諾の対価として一定の実施料を支払う。 |
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公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 |
細胞処理施設B1にかかる設備・機器等の整備に関する業務委託契約 |
2021年6月7日 |
2020年9月7日から委託料の支払いが完了する日まで |
・GCTP(再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)及びGMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)に準拠した再生医療等製品の治験製品の製造が可能な細胞処理施設にかかる設備・機器等の整備を委託する。 ・当社は委託業務の対価として委託料を支払う。 |
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iPSアカデミアジャパン株式会社 |
特許実施許諾契約 |
2021年6月24日 |
2020年9月15日から許諾を受けた特許権全ての満了日まで |
・2013年2月1日付実施権許諾契約において当社に許諾されたiPS細胞に由来する網膜色素上皮細胞を有効成分として含有する細胞製品を開発、製造、使用、販売するための特許権の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)の許諾分野追加に伴い、当社に対し新たに非独占的通常実施権を許諾する。 ・当社は許諾の対価として、一定の実施料を支払う。 |
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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Athersys,Inc.、 ABT Holding Company |
Comprehensive Framework Agreement/ Fourth Amendment to Initial License Agreement |
2021年8月5日 |
2016年1月8日付License Agreementの許諾対象となる特許権等が消滅するまで |
・2016年1月8日付License Agreementを修正し、以下を定める。 (1)当社が株式会社ニコン・セル・イノベーション、他の当社指定の医薬品製造受託機関(CMO)に対して急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び脳梗塞の治療薬を日本で販売するための商用生産を委託できる権利を設定する。 (2)製造ライセンスの取得に基づき、日本国内向け治療薬の商用製造に関わる試験用及び製造キャパシティの拡張等に際し、その費用の一部を当社が負担する。本製造に関する負担額の一部は、将来脳梗塞及びARDSに関して開発が成功した際に当社からアサシス社への支払い義務が発生するマイルストン金等から減額する。 (3)アサシス社は当社指定のCMOへ3D培養技術を移管する義務を負う。 (4)脳梗塞及びARDS以外に新たな適応疾患(最大2疾患)を対象とした治療薬の日本での開発・製造・販売に関する独占的実施権を当社に許諾する。 (5)新たな3D培養技術応用を含める製造体制確立に応じた製造マイルストンとして、今後最大で合計8百万米ドルを支払う。 |
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Athersys, Inc. |
Common Stock Purchase Warrant (ARDS) |
2021年8月5日 |
2026年7月31日まで |
・2026年7月末までに当社が日本でARDS治療薬の承認を取得する又はアサシス社が買収等される場合に、アサシス社の株式を最大300万株取得できる権利(ワラント)を取得した。 |
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Athersys, Inc. |
Common Stock Purchase Warrant (Stroke) |
2021年8月5日 |
2026年7月31日まで |
・2026年7月末までに当社が日本で脳梗塞治療薬の承認を取得する又はアサシス社が買収等される場合に、アサシス社の株式を最大700万株取得できる権利(ワラント)を取得した。 |
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Athersys, Inc. |
Amendment to Investor Rights Agreement |
2021年8月5日 |
期限の定めなし |
・2018年3月14日付Investor Rights Agreementを修正し、当社がアサシス社の株式を15%以上取得した場合に当社がアサシス社の取締役を追加1名(計2名)指名できる権利を放棄した。 |
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国立大学法人広島大学 |
共同研究契約 |
2021年10月1日 |
2023年12月31日まで |
・他家iPS細胞由来NK細胞を用いて肝細胞がんに対する抗腫瘍効果をin vitroで特性解析した後に、担がんヒト肝細胞キメラマウスなどの動物モデルで評価する。 ・当社は研究経費を支払う。 |
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株式会社セルファイバ |
特許等ライセンス契約 |
2022年3月23日 |
許諾対象となる特許権等が消滅するまで |
・ファイバ形成装置を使用した製品の研究、開発、製造、使用、販売等するための特許権等の非独占的通常実施権(再実施許諾権を含む。)を当社に対して許諾する。 ・許諾の対価として、当社は契約締結時に一時金として50百万円(税抜)を支払うとともに、将来的に一定の実施料を支払う。 |
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国立大学法人東京大学 |
共同研究契約 |
2022年4月1日 |
2023年3月31日まで |
・iPS細胞等からヒト臓器を創出するためのオルガノイド技術の開発を行い、肝臓原基の製造法を確立する。 ・当社は研究経費を支払う。 |
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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国立研究開発法人国立がん研究センター |
共同研究契約 |
2022年5月10日 |
2023年12月31日まで |
・国立がん研究センターが保有するPDXを用いてeNK®細胞の抗腫瘍効果などを評価する。 ・当社は研究経費を支払う。 |
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RxCell Inc. |
License Agreement |
2022年9月21日 |
期限の定めなし |
・RxCell社が網膜前駆細胞、神経細胞、その他当社と競合しない特定の3種類の細胞を作製・販売するために、当社のGMPグレードの商業用iPS細胞株の一つを提供し非独占的に使用する権利を許諾する。 ・許諾の対価として、当社は契約締結時に一時金として50万米ドルを受け取るとともに、将来的に一定の実施料を受け取る。 |
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佐竹マルチミクス株式会社 |
資本業務提携契約 |
2022年10月18日 |
2023年9月30日 |
・当社が開発するeNK®細胞を用いた再生医療等製品の製造に利用するための佐竹マルチミクス社の培養装置の改良に向けた検討を行う。 ・佐竹マルチミクス社は生産培養装置カスタマイズ全般及びそれに付随する支援業務を分担し、当社は、eNK®細胞の生産培養条件等に関する情報提供並びに培養評価を分担する。 ・当社は、佐竹マルチミクス社に対して第三者割当方式によって当社普通株式を付与した。 |
(2)その他重要な契約
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相手方の名称 |
契約名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
主な契約内容 |
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Nomura International plc、 SMBC Nikko Capital Markets Limited |
Purchase Agreement |
2021年9月15日 |
期間の定めなし |
・当社が発行する新株式につき、Nomura International plcを主幹事とし、SMBC Nikko Capital Markets Limitedを副幹事として、海外募集を行った。 |
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野村證券株式会社 |
第18回新株予約権買取契約証書 |
2022年7月28日 |
期限の定めなし |
・野村證券株式会社に対し、第三者割当により行使価額修正条項付新株予約権を発行した。 ・新株予約権行使可能期間は、2022年8月4日から2025年8月4日まで。 |
当連結会計年度においては、体性幹細胞再生医薬品、iPSC再生医薬品の各分野において、以下のとおり研究開発を推進いたしました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
(1)体性幹細胞再生医薬品分野
当連結会計年度において、体性幹細胞再生医薬品を用いて、日本国内における脳梗塞急性期及びARDSに対する治療薬(開発コード:HLCM051)の開発を進めました。
<炎症>
脳梗塞急性期に対する治療薬の開発においては、有効性及び安全性を検討するプラセボ対照二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(治験名称:TREASURE試験)を実施しました。2022年3月末にすべての治験登録患者の投与後365日後データの収集が完了し、同年5月に試験データの一部を解析し速報値を公表しました。その結果、主要評価項目は未達となりました。一方で、脳梗塞患者の日常生活における臨床的な改善を示す複数の指標を通じて、全般的に1年後の患者の日常生活自立の向上が示唆されました。データの詳細は、2022年10月にシンガポールで開催された第14回世界脳卒中学会、11月2日に日本で開催された第40回日本神経治療学会学術集会にて、治験医師より発表されました。現在、規制当局と申請に向けた協議を進めております。
ARDSに対する治療薬の開発においては、肺炎を原因疾患としたARDS患者を対象に、有効性及び安全性を検討する第Ⅱ相試験(治験名称:ONE-BRIDGE試験)を実施しました。2021年8月と11月に、ONE-BRIDGE試験におけるHLCM051投与後90日と180日の評価項目のデータの一部を発表し、有効性並びに安全性について良好な結果が示されました。これらを経て、3月末にPMDAと承認申請に向けての指導及び助言を受けるための再生医療等製品申請前相談を実施いたしました。その中で、本製品の有効性及び安全性に関する一定の合意は得られたものの、承認申請にあたってはデータ補強が必要との助言を受け、規制当局と協議を進めています。
(2)iPSC再生医薬品分野
当連結会計年度において、がん免疫療法(開発コード:HLCN061)、細胞置換療法に関する研究開発を進めました。
<がん免疫>
eNK®細胞を用いて、固形がんを対象にしたがん免疫療法の研究を進めています。これまで当社グループが培ってきたiPS細胞を取り扱う技術と遺伝子編集技術を用いることで、殺傷能力を高めたeNK®細胞の作製に成功しており、更に大量かつ安定的に作製する製造工程を開発するなど、次世代がん免疫療法を創出すべく自社研究を進めています。神戸医療イノベーションセンター内に、2022年7月、当社の自社管理による細胞加工製造用施設が本稼働し、eNK®細胞の治験製品の製造に向けた試作製造に着手いたしました。なお、上記施設にて使用する培養装置の供給元である佐竹マルチミクス株式会社と、2022年10月、培養装置の継続的改良と支援業務に関する資本業務提携契約を締結しました。
現在までの研究の成果としては、国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究において、複数種類のがん腫に由来するPDX(Patient-Derived Xenograft:患者腫瘍組織移植片)サンプルにより、eNK®細胞が認識する特定の分子候補の発現をRNAシーケンシングと免疫染色で確認しています。次のステップとして、PDXを用いてeNK®細胞の抗腫瘍効果などの評価を行う予定です。更に、国立大学法人広島大学大学院とeNK®細胞を用いた肝細胞がんに対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を、兵庫医科大学とeNK®細胞を用いた中皮腫に対するがん免疫細胞療法に関する共同研究を進めています。また、自社研究において、eNK®細胞が肺がんモデルマウスやヒト肝がんモデルマウスに対して抗腫瘍効果を有すること、生体におけるがんと同様の環境を有している肺がん患者由来のがんオルガノイド*1においても、同様に抗腫瘍効果があることを確認しております。なお、eNK®細胞を用いた治験の開始を目指し、PMDAとの相談を開始しています。
*1 生体内の組織・器官に極めて似た特徴を有している3次元的な構造をもつ組織・細胞
<細胞置換>
iPSCプラットフォームとして、遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクを低減する次世代iPS細胞、UDCに関する研究を進めております。患者の免疫細胞に認識されにくいiPS細胞を作製することで拒絶反応を抑制し、有効性と安全性を高めた再生医療等製品を開発するための次世代技術プラットフォームの確立を目指しております。現在、UDCの臨床株及びマスターセルバンクが完成し、様々な細胞に分化できる能力を有することの確認など具体的な臨床応用に向けた研究を進めております。細胞治療への応用としては、網膜を構成する細胞の1つで特に光に反応する視細胞に関し、UDCからの分化誘導が可能なことをカナダのバイオベンチャー企業であるSTEMAXONとの共同研究を通じて確認し、疾患動物モデルを用いた評価を進めています。また、国立研究開発法人国立国際医療研究センターと、血糖値に応じてインスリンを生産・分泌し血液中の糖の調整を担う膵臓β細胞に関し、UDCからの作製に成功しています。
眼科領域において、iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)を用いた治療法開発に向けて、現在、住友ファーマ株式会社と共同で、2023年3月までの治験開始を目指し準備を進めています。
肝疾患領域において、機能的なヒト臓器をつくり出す3次元臓器(開発コード:HLCL041)を用いた治療法開発に向けた研究を進めており、2022年4月より、国立大学法人東京大学医科学研究所再生医学分野と、肝疾患に対する肝臓原基*2を用いた治療法の実用化に向け、UDCを用いた肝臓原基の製造法確立を目的とした共同研究を開始しました。
*2 肝臓の基となる立体的な肝臓の原基。肝細胞に分化する前の肝前駆細胞を、細胞同士をつなぐ働きを持つ間
葉系細胞と、血管をつくり出す血管内皮細胞に混合して培養することで形成されます。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。