文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの企業理念は『ミッション』・『ビジョン』・『バリュー』という3つの要素で構成されています。創業の原点であり、これからも不変である理念をもとに、社会に対して果たすべき使命(ミッション)、将来的な展望(ビジョン)、それらを実現するためのバリューを社員全員が共有・実践することで、永続的にその事業価値を発揮することができます。
■ミッション
空間インフラのもっと快適・ずっと安心を提供すること
■ビジョン
国内はじめ東南アジアにおいて、安心・快適な空間のインフラを技術・データ・ITでプロデュースする会社
■バリュー
社員一人ひとりがオーナーシップと勇気・挑戦の心と他者への尊敬の念を胸にして、ひたむきに仕事に向き合い、ステークホルダーの幸せに貢献する
2022年7月11日に公表いたしました中期経営計画では、2030年の当社の目指す姿として「安心・快適な空間のインフラを技術・データ・ITでプロデュース(クリエイト)する会社」を掲げております。
当社グループは、安定した利益率の確保と財務体質の強化を目指して経営努力をしてまいります。具体的には売上高及び営業利益の継続的な伸長と営業利益率及びROEの上昇を目指します。なお、2025年度を初年度とする3カ年の中期経営計画において、最終年度の2027年度(2028年5月期)に、経営成績として売上高32,650百万円、営業利益2,200百万円、営業利益率6.7%、ROE18.0%を目指しております。
2025年7月15日に「中期経営計画2026-2028[人の三機]~『ビジョン2030』実現に向けた成長加速~」を公表いたしました。ここに記載のとおり、本中期の3カ年を「成長加速期」と位置し、人的資本への積極的な投資を通じて、人財価値の最大化と事業拡大の両立を図ります。また、本中期期間において、当社グループは下記戦略に取り組んでまいります。
①「人の三機」人財育成・教育の強化
「人が育つことで、サービスが育ち、会社が成長する」という成長原則を前提に、人財に焦点を当てた戦略を構築します。そのうえで、サービス品質の向上と企業成長の好循環を生み出す人財活用により、人財価値の最大化に取り組みます。
②事業規模の拡大強化
メンテナンスサービス事業では地域への展開を進め、トータルメンテナンスサービス事業・環境事業・医療事業では新しい市場の開拓を進めていきます。また、それぞれの事業の特性に合わせた成長戦略を進めることで、バランスのとれた事業構成の実現を目指します。
③提案営業力の高度化
顧客管理データと案件情報の統合や、商談進捗管理・予実差異分析の仕組みを整備し、効率的で継続的な営業活動を実現します。あわせて、サービスエンジニア同席型営業の標準化により、受注力の向上と顧客満足度の向上を図ります。
④DX推進による収益性向上
デジタル技術やAI(人工知能)・業務効率化ツールの活用により、顧客接点強化と現場業務改善に取り組みます。
⑤資本効率重視の経営の実現
株主資本コストを上回る安定的なリターンの確保に向けて、人財教育への投資やその他投資、株主還元(配当額)などのキャピタルアロケーションを定めるとともに、IR活動の強化や将来構想の発信にも注力します。
当社グループには、設立当初よりメーカー指定店としての「空調メンテナンスサービス」と、そこで培われた技術力をもとに、直接お客様を開拓して空調機器も含めた施設の付帯設備のメンテナンスを一括で受託し、ファシリティマネジメントを行い施設の資産価値を高める「トータルメンテナンスサービス」、そしてインバータ化等、環境改善にも貢献する「省エネサービス」があります。今後、当社グループがさらなる成長を遂げるためには、24時間365日稼働しているコールセンターに蓄積された技術力やメンテナンスノウハウを活かすことにより事業拡大を図るとともに、基幹システムによる業務プロセスの改善等により、業務効率化を進め、利益率を向上させることが必要となります。そのため、次の項目を当社の対処すべき課題として認識しております。
① トータルメンテナンスサービスの品質向上
トータルメンテナンスサービス事業の成長を図るためには、コールセンター及び事業部門の効率化と品質向上が不可欠です。そのために、コールセンターのオペレーターの知識・対応力向上のための徹底した教育・指導を継続的に行ってまいります。また、多様なメンテナンスサービスを迅速に提供するために管理業務等の標準化も行っております。さらに、当社は全国のパートナーとの連携によりサービスを提供しておりますが、サービスの品質・顧客の満足度向上のためには、パートナーの新規開拓及びサービスレベルの維持・向上が重要な経営課題であると認識しております。パートナーの新規開拓を行う専属部署を中心に、継続してパートナーの技術力やサービス品質の確認や教育等を実施することにより、今後もサービスレベルの向上に努めてまいります。
② 新たな環境ビジネスの創出
当社グループは、空調の省エネ化に関する専門的なノウハウを有していますが、今後は省エネ商材の範囲を拡大し、環境・省エネビジネスの事業拡大を図ることが課題であると認識しております。そのために、環境・省エネビジネスを他企業とのアライアンスなどを通じて空調以外の設備機器やメンテナンスから派生する設備全体の省エネ化に関する領域にも広げ、当社グループの新たな成長ドライバーにしていきたいと考えております。
③ サービス内製化の強化
当社グループは、利益率向上や事業拡大のために、多種多様な設備機器に関するメンテナンスノウハウの向上を図る必要があります。当社研修センターでは、メンテナンスの技術研修を行うための実機を設置し、社内のメンテナンスエンジニアのレベルに応じた研修・指導を行っております。また、研修・指導により社内のメンテナンスエンジニアが設備・設計から施工・配置、メンテナンスまでのサービスを担う多能工化を推進し、更なる事業拡大を図ってまいります。
④ 営業体制の強化
当社グループのお客様は、多店舗・多棟展開企業である小売業、飲食業、イベント施設、医療・介護・福祉施設と多岐にわたっており、それぞれのお客様のニーズを的確に把握できる専門知識の高い営業力が必要となります。そのために、部門ごとに分かれていた営業組織を集約し、空調メンテナンスサービスや、トータルメンテナンスサービス、省エネビジネスといった、複数のサービス提案ができる営業体制を強化してまいりました。また、営業部門は、引き続き提案先の業界構造や課題を分析しターゲットを明確化することで、お客様のニーズや課題を的確に捉えソリューション活動を推進し、お客様満足度を向上させてまいります。
⑤ ITシステムの競争力の強化
当社グループは、システムにより店舗構造や業態により課題が異なるトータルメンテナンスサービスの情報を一元管理し、メンテナンスサービスの品質の向上や省エネ提案の強化を行い、管理業務の効率化を図ることが重要課題であると認識しております。今後も必要なIT投資を行い、競合他社との差別化を図ってまいります。
⑥ 海外事業収益力の強化
当社は、国内で蓄積されたメンテナンスノウハウや省エネ提案を海外へ展開することで、新たな市場でシェアを広げていく必要があると考えております。そのために、グループ内の経営資源配分の最適化を進めるとともに、顧客基盤の開拓やアライアンスを通じた新商材開発などの事業支援を行ってまいります。
⑦ サステナビリティ経営の強化
当社は企業価値向上のため、人的資本の拡充、気候変動リスクへの対応、ガバナンスの強化などに取り組むべきであると考えております。当社は、メンテナンスエンジニアを中心とした労働集約型のビジネスであり、人的資本に関する取り組みを重要な経営戦略と位置づけております。当社の企業理念を具現化でき、付加価値が高いサービスを提供できる優秀なエンジニア等を多く確保するため、公平でより戦略的な人事制度を推進してまいります。また、今後、気候変動リスクやガバナンス等のテーマについても、一層取り組みを強化してまいります。
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは異なる可能性があります。また、考え方及び取り組みにおいては、必ずしも当社グループの全ての会社で行われているものではありません。
当社は、「社員一人ひとりがオーナーシップと勇気・挑戦の心と他者への尊敬の念を胸にして、ひたむきに仕事に向き合い、ステークホルダーの幸せに貢献する」をVALUEとして、「空間インフラのもっと快適・ずっと安心を提供すること」というMISSIONに基づいた事業活動により社会的価値を生み出し、その結果としての成長と拡大を目指しております。
当社グループは、全てのステークホルダーの期待に応えられるよう、迅速かつ公正な意思決定を行う必要があると認識しております。
その認識に基づいて、執行役員以上で構成された「経営会議」を毎月1回以上実施、「内部統制委員会」を年1回以上実施し、サステナビリティを含む経営戦略や中期経営計画の達成等に必要な施策の協議、及び決議執行を行っております。また、経営会議において協議及び決議された事項については、その内容に応じて社内取締役、そして当社のガバナンス充実に向けた助言や問題提起が期待できる複数の社外取締役により構成された「取締役会」にて意思決定がなされます。
上記体制より、当社グループのリスク及び機会を含めたサステナビリティに関する統制及び監督を行い、ガバナンスの質を高めるよう努力しております。
詳細は、
当社グループは、「空間インフラのもっと快適・ずっと安心を提供すること」というMISSIONを、社会的責任および価値創造と考えております。空調メンテナンスに始まり、建屋全体のトータルメンテナンス、不測の事態から守る予防保全、省エネ・省コスト提案にも積極的に取り組むことで、お客様にとって快適な環境を維持できると考えます。こういった活動の結果、CO2排出量の抑制などカーボンニュートラルへの第一歩に繋がり、持続可能な社会の実現となります。
人財の育成及び社内環境整備に関する方針
当社の中期経営計画「中期経営計画2026-2028[人の三機]~『ビジョン2030』実現に向けた成長加速~」において、人的投資・人財育成は柱の一つであり、達成には必要不可欠な要素であると考えております。また、日本国全体においては、労働生産人口の減少および高齢化により、若年世代の安定的かつ継続的な採用維持、シニア世代のスキルアップと適切な活用が全ての業種業界で課題となっております。これらの課題を踏まえ、本項目では当社が考える人的資本の拡充方針、そして取り組みを5つの項目に分類いたしました。
人財の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
1.「人財の育成」
中長期の成長を促すため、当社は人財に対して積極的かつ計画的な投資を行います。短中期では、社員全体のリーダーシップ、コミュニケーション能力、課題解決能力、戦略性&実行完遂力などを磨くための教育を施します。また、新人事制度・改定表彰制度をはじめとし、近年フルモデルチェンジした各種の評価制度により、個々人の横断的な活躍を促進いたします。これにより、中長期では各部門の組織力が強化され、業務の効率化が進み、生産性の向上に繋がると判断いたします。
2.「ダイバーシティとインクルージョン」
加速するビジネスのグローバル化に備え、人種や文化の違いによる差別を撤廃すると同時に、性別・年齢・障がい・国籍等を問わず多様性を受け容れることが重要であると判断いたします。それに併せて、育児や介護休業の取得を推進することにより、お互いが他者への尊敬を胸にして、ひたむきに仕事に向き合える体制の実現を目指します。直近の取り組みとして、社内表彰における『ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞』、『ダイバーシティ賞』の創設が挙げられます。
また、当社の女性管理職比率は2025年5月期末時点で『8.1%』となっております。設備メンテナンスを主たる事業とする当社では、管理部門における女性管理職登用に注力しており、同部門内での女性管理比率は『25.9%』となっております。
内閣府主導の「女性版骨太の方針2023」において、①2025年を目途に、女性役員を1名以上選任するよう努める ②2030年までに、女性役員の比率を30%以上とすることを目指す、との記載がありますが、前者は既に達成、女性役員比率は2025年5月期末時点で『11.1%』となっております。今後も女性管理職比率、女性役員比率は共に適切な比率を目指し、拡充を進めます。
3.「社員の健康と安全の確保 ~ワーク・イン・ライフへの取り組み~」
従業員が心身ともに健康であること。これは、当社が担う最低限の責務であると同時に、更なる生産性向上への最適解と考えます。個人へ過度な負担を強いることなく、プライベートと仕事の両方を充実させるための取り組みを行い、社員の安全と健康を確保いたします。この考えの基、当社では働き方改革と健康経営のダブル改革に取り組み、社員の心理的安全性を追求してきました。
2022年1月に、代表取締役社長の北越達男を健康管理最高責任者(CHO)として「三機サービス健康宣言」を公示して以来、その実現に取り組んでおります。その活動内容と成果が認められ、2025年3月、経済産業省及び日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度における「健康経営優良法人2025 ホワイト500(大規模法人部門)」に認定されると同時に、経済産業省と東京証券取引所が共同で主催する「健康経営銘柄 2025」にも選定されました。「健康経営優良法人」への選定は3年連続、「ホワイト500(大規模法人部門)」の認定は2年連続となります。今後もこの認定結果を維持できるよう、社員の健康と安全の確保に尽力いたします。
4.「人財の確保と定着」
当社が求める人財を確保するため、中長期の採用ビジョンを明確にした上で、時代に則した柔軟な方法を模索いたします。また、あらゆる可能性を排除せず、エンゲージメントの向上に努め、社員との雇用関係維持を目指します。ただ、エンゲージメントに関しての定義や目標値に関して、本項目では記載いたしません。
5.「労働環境の公平化」
働き方の多様化と不平不満の解消を目指し、労働慣行と児童強制労働の撤廃、公平な賃金制度、福利厚生の充実化を図ることにより、従業員の納得感を高め、ひたむきに仕事に向き合えるような労働環境の公平化を目指します。2025年5月期末時点において、児童強制労働が当社の営む事業へ関わることはないと認識しており、今後もそれを堅持いたします。
当社は、事業の存続を最優先とした上で安定的成長を適えるため、内部統制委員会を設置し、適時の協議を行っております。当委員会は定例で年1回以上開催しており、当社の存続と安定的成長を適えるため、阻害要因となるものをリスクとして洗い出し、その中で特に対応すべきリスクを代表取締役社長に提言するとともに、リスクの進捗状況のモニタリングを行っております。
当社は、「空間インフラのもっと快適・ずっと安心を提供すること」というMISSIONを、社会的責任および価値創造と考えております。また、保守、修繕、工事といった循環型ビジネスモデルにおいては、積極的な省エネ提案が随所に含まれており、地球環境負荷の低減に貢献できるものと考えております。中長期的には、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)に則した情報開示も検討しております。ただ、現時点において、特定の指標や目標について本項目では記載いたしません。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、全てのリスクを網羅したものではありません。
当社グループの事業は、設備の修繕や機器の入替工事が集中する第2四半期及び第4四半期連結会計期間に売上が伸びる傾向が強く、一方で販売費及び一般管理費などの固定費は、ほぼ恒常的に発生するため利益が著しく偏るという季節的変動リスクがあります。第48期の第2四半期及び第4四半期連結会計期間の営業利益合計は1,156,862千円であり、同連結会計年度の営業利益1,020,734千円の113.3%となっております。
当社グループは、売上高の12.5%を株式会社ローソンが占めております(第48期実績)。現在、上記1社以外の取引先の拡大を行っておりますが、これらの主要な顧客との関係が悪化し、取引停止や失注が起こった場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、自社にメンテナンスエンジニアを抱えることで、多種多様な設備機器に関するメンテナンスを一括で行えることに強い競争力を保っております。一方で、特定分野で専門技術のあるパートナーに業務委託をすることにより、全国規模で安定したサービスの提供と利益を追求する戦略を推し進めております。顧客が求めるサービスクオリティを担保するために、専門性の高い技術を有する社員の雇用確保や人材育成が必要ですが、それらが計画どおりに進まず、期待する技術習得を達成できない場合や、専門技術のあるパートナーが開拓できないなどの理由により、サービス品質を保てない場合には、顧客の信頼を失い、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
メンテナンス市場には、大小様々な競合他社や施工業者、メーカー系列などのメンテナンス会社等が多数存在しています。当社グループも組織を補強し、社内でメンテナンスエンジニアを育成し、多種多様な機器への対応を可能とする高い技術力を提供することで競争力を強化していますが、業界再編や他機器メンテナンス会社からの新規参入、新たなメンテナンス技術の台頭により競争力が低下した場合、シェアが下がり当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。また、トータルメンテナンス事業における顧客が、自社設備のメンテナンス部門を新設したり、分社化や設立等によりメンテナンス会社を立ち上げたりすることで内製化が進められ、取引が停止となり、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、市場競争力及び内部統制力向上のために2019年9月に基幹システムを新規導入しております。費用対効果を考慮しつつ安定稼働に努め、システム会社と協業しリスクを分散させて保守管理をしておりますが、回線障害、不正アクセス、自然災害や事故などの想定外の事由によるサーバーダウンなどによりシステムに障害が発生した場合、請求作業の遅延などが生じ、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
国内外の当社グループ及び顧客やパートナー企業において、地震、台風などの自然災害や、人的・物的事故により、施設や機能の全てまたは一部が停止する事象が発生した場合、当社グループが提供している設備メンテナンス及び設備工事において、サービスを提供できないことで、損失が出る恐れがあります。また、当社グループでは、サービスマンの安全教育を徹底することにより事故防止に努めておりますが、万が一、重大な事故・労働災害などが発生した場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、海外において事業を展開しておりますが、次のようなリスクにより業績等に影響が生じる可能性があります。
① 社会・政治及び経済状況の変化又は治安の悪化
② 予期しない規制や各種税制の不利な変更又は課税
③ 異なる商習慣による取引先の信用リスク等
④ 労働環境の変化や人材確保・教育の難しさ
⑤ 為替リスク
これらのリスクを最小限に抑えるため、会計事務所等からも迅速に情報を入手し、いち早く対策が打てるよう努めておりますが、リスクの顕在化により、サービスの提供が困難になり、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
当社グループは、事業活動を遂行するにあたり、大気汚染、有害物質、廃棄物、製品リサイクル及び土壌・地下水汚染などに関する様々な環境関連法令の適用を受けており、環境に関連する費用負担や損害賠償責任が発生した場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。また、当社グループが関連する設備メンテナンス及び設備工事は、官公庁関連の案件については入札制度に参加しており、その参加資格条件に変更が生じた場合には、入札機会を失う可能性があります。また、官公庁案件において、民間への開放策である指定管理者制度などが導入され、管理運営者が変更となった場合には、当社グループが受注できなくなる可能性があります。これらにより、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
当社グループのメンテナンスサービスのうち、パナソニックグループ会社のメーカーサービス指定店としてのメンテナンスに関して、同社が製造・販売する大型空調機器が減少する場合には、当社のメンテナンス需要も減少し当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。また、当社グループのメンテナンスサービスの価格は、提示されるパナソニックグループ会社のメンテナンス料金表に基づき発注価格が決定されております。そのため、同料金表の改定により価格が大きく下落した場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度においては、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、急激な物価上昇、部分的な供給制約等が続き、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループを取り巻くメンテナンス業界におきましては、昨今のエネルギーコスト高騰に起因する設備維持管理費用の削減ニーズは高く推移しております。当社グループでは、お客様の設備状況に合わせてカスタマイズした省エネサービスを提案し、過剰なエネルギー消費を抑制することで、持続可能な社会の実現に貢献できる取り組みを進めております。
また、2022年7月11日付で公表した新中期経営計画(2023年5月期~2025年5月期)では、2030年の目指す姿として「安心・快適な空間のインフラを技術・データ・ITでプロデュース(クリエイト)する会社」を掲げた上で、2023年5月期からの3年間を収益基盤強化期と位置付けてまいりました。中期経営計画では、当社の提供するトータルメンテナンスサービス、環境ソリューションサービス及びメンテナンスサービスで保有する技術を、より広く、より深く、深化(進化)していくことが、当社のMISSIONである「空間インフラのもっと快適、ずっと安心な空間を提供すること」に繋がると考え、中期経営計画の最終年度である今期も、サービス拡充とさらなる領域拡大に注力してまいりました。
このような環境下において、当社グループは、長年培ってきたサービスエンジニアの技術力、ノウハウ、組織力を核にし、お客様の保有する建物の設備の修理や保全メンテナンスを広エリアで一括アウトソーシングしていただくトータルメンテナンスサービスや、データ分析に裏付けられた予防保全、省エネ設備更新等の事業拡大に注力してまいりました。また、これらと合わせて、当社保有の研修センターにおいて、実際に修理や導入される機器を用いた研修・指導を通し、社内のメンテナンスエンジニアが設備・設計やメンテナンス等のサービスを一貫して提供する多能工化の推進や新入社員の早期育成に取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,335,596千円増加し9,948,182千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ736,967千円増加し5,135,369千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ598,629千円増加し4,812,812千円となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高20,636,072千円(前年同期比6.2%増)、営業利益1,020,734千円(前年同期比38.6%増)、経常利益1,021,045千円(前年同期比34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益689,068千円(前年同期比47.3%増)となりました。
セグメント別の業績については、次のとおりであります。
メンテナンス事業におきましては、主に空調機器、厨房機器、電気設備及び給排水衛生設備等のあらゆる設備のメンテナンスを行っております。建設関連製品サービス事業におきましては、主に各種建物を対象とした金属製ドア・シャッター・サッシの製造及び販売、取付工事を行っております。
(注)調整額はセグメント間の内部売上高または振替高であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ464,963千円増加し1,942,107千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は前年同期に比べ174,091千円減少し864,578千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が1,050,002千円、仕入債務の増加額が337,132千円あった一方で、売上債権の増加額が735,617千円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は前年同期に比べ190,268千円減少し30,210千円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が39,020千円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は前年同期に比べ26,634千円増加し368,655千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が274,784千円、配当金の支払額が128,585千円あったことによるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.受注生産活動を伴うセグメントのみ記載しております。
2.金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)受注生産活動を伴うセグメントのみ記載しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、特に重要なものは以下のとおりであります。
(一定期間にわたり充足される工事請負契約における収益認識)
当社グループは、一定の要件を満たす工事案件について、履行義務の進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり収益を認識しております。当該収益は、工事原価総額を基礎として連結会計年度末までの実際発生原価額に応じた工事進捗度に工事収益総額を乗じて計上しております。工事案件ごとに継続的に工事原価総額や工事進捗度の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
1) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,333,669千円増加し8,367,577千円となりました。これは主に、現金及び預金が426,381千円、受取手形、売掛金及び契約資産が736,531千円がそれぞれ増加したことによるものです。
また、固定資産は、前連結会計年度末に比べ1,927千円増加し1,580,604千円となりました。これは主に、投資有価証券が37,677千円、繰延税金資産が16,724千円それぞれ増加した一方で、ソフトウエアが48,136千円減少したことによるものです。
これらの結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,335,596千円増加し9,948,182千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ933,832千円増加し4,454,444千円となりました。これは主に、支払手形及び工事未払金が336,214千円、未払法人税等が236,563千円それぞれ増加したことによるものです。
また、固定負債は、前連結会計年度末に比べ196,864千円減少し680,925千円となりました。これは主に、長期借入金が172,988千円減少したことによるものです。
これらの結果、当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ736,967千円増加し5,135,369千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ598,629千円増加し4,812,812千円となりました。これは主に、利益剰余金が560,408千円増加したことによるものです。
2) 経営成績
当連結会計年度につきましては、多店舗を展開する大手顧客を中心に修理が増加したのに加え、教育機関などへの空調機器の入替工事が好調に推移しました。一方、定期メンテナンスにおいては一部顧客の方針変更により受注額が減少し、売上高は20,636,072千円(前年同期比6.2%増)、売上総利益は4,693,980千円(前年同期比13.5%増)となりました。
また、販売費及び一般管理費は、今後控える大型総合メンテナンスの施工管理および販路拡大を見込んだ従業員の増加に伴う人件費の増加等により、3,673,245千円(前年同期比8.0%増)となりました。これらの結果、営業利益は1,020,734千円(前年同期比38.6%増)、経常利益は1,021,045千円(前年同期比34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は689,068千円(前年同期比47.3%増)となりました。
3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社企業グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社グループにとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施してまいります。
短期運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入や新株発行等を検討した上で調達しております。
当連結会計年度における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は475,300千円、現金及び現金同等物の残高は1,942,107千円となっております。
将来の成長のための内部留保については、人材の育成・獲得、ITシステム強化等の将来の事業展開の財源のための投資に資源を優先的に充当いたします。
中期経営計画の進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載しております。
e.目標とする経営指標の達成状況
当社グループは、安定した利益率の確保と財務体質の強化を目指し、売上高及び営業利益の継続的な伸長と営業利益率を目標としておりますが、その推移状況は下記のとおりです。
(注) 契約期間満了の3ヶ月前までにいずれからも書面による別段の意思表示がない場合、本契約は同一条件で1年間更新されるものとし、以後も同様とすることになっております。なお、1年ごとの更新は最長でも2027年3月31日までとなっておりますが、2027年4月1日以降についても継続契約を行うことができると考えております。
該当事項はありません。