(1) 経営方針・経営戦略等
「動物にも人間と同じような高度な医療を受けさせたい」というニーズが、飼い主の間で年々高まっています。
当社グループは、このような社会のニーズに応え、動物医療を通じて広く社会に貢献するとともに、企業価値並びに株主価値の増大を図ることを経営方針としております。
当社グループは、当該経営方針に基づき、新技術の導入、設備の充実を図ることにより顧客満足度を高めるとともに、全国的に拠点を展開することを中長期的な経営目標としております。
なお、創業以来当社の基本となっている経営理念は以下の3つであります。
① 高度医療(二次診療)
地域の動物病院と連携して「高度医療(二次診療)」を提供する
② 臨床研究
動物医療の現場で直接役に立つ「臨床研究」にチャレンジする
③ 人材育成
動物医療の現場を支える「人材育成」に力を注ぐ
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、「初診数」(新規に受け入れた症例数)を最も重要な経営指標であると考えております。
これは、当社グループがこれまでに行った診療サービスに対する飼い主及び一次診療施設の満足度が現れたものと認識しており、役職員一同「初診数」を増やすことを目標に業務にまい進しております。また、初診数増加の結果としての「売上高」、「経常利益」も重視しております。
(3) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等
当社グループが属する動物医療業界におきましては、犬飼育頭数は減少傾向にあるものの、猫飼育頭数は増加しており、全体として横ばい圏で推移しております。動物1頭あたりの医療費を含む支出額は増加を続けております。また、犬猫の高齢化に伴い、疾病が多様化する中で飼い主の動物医療に対する多様化・高度化要請は高まってきております。
このような状況の下、当社グループといたしましては、二次診療施設として顧客のニーズに応えられるよう、以下の具体的な課題に取り組んでまいります。
① 質の高い動物医療サービスの提供
「高度医療」を実践する施設として、新技術の積極的な導入、診療技術の向上、設備の充実を図ることにより、より高品質な医療を提供できるように努めてまいります。また、診療受入れの迅速化や、ホスピタリティの向上など、「サービス業」としての品質を向上させることで顧客満足度を高めてまいります。
② 二次診療施設の展開
できる限り多くの顧客にあまねくサービスを提供するために、二次診療施設を大阪をはじめとする全国主要都市に展開してまいります。
③ 人材の確保と育成
当社グループが継続的な発展を実現するために必要となる優秀な人材を確保するため、給与・賞与水準の向上、福利厚生の充実等、待遇面の改善を図り、採用を積極的に行うとともに、技術面のみならず、人物面・サービス面についての研修を充実させる等の人材育成にも、一層努めてまいります。
④ 動物医療への貢献
学会等における発表、獣医師会と協力したセミナーの開催を活発に行うとともに、診療・非診療分野における大学等との共同研究を積極的に展開し、動物医療の発展に貢献してまいります。
⑤ 事業領域の拡大
動物医療業界における総合的企業を目指し、飼い主や一次診療施設の利便性を高めるシステムの開発・販売を進めつつ、M&Aも活用した事業領域の拡大を図ってまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社事業の継続的な発展を実現させるためには、コーポレート・ガバナンス機能を強化し、社会的信用を維持・向上させていくことが重要であると認識しております。
コーポレート・ガバナンスに関しては、内部監査室による定期的モニタリングの実施と監査等委員会や監査法人との良好な意思疎通を図ることにより適切に運用しておりますが、経営の適切性や健全性を確保しつつ、全社的に効率化された組織体制の構築に向けて、さらなる内部管理体制の強化に取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項及び具現化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する情報開示の観点から、積極的に記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1) 事業環境に由来するリスク
① 事業環境の変化について
当社グループは、動物医療関連事業を主たる事業領域としていることから、飼育動物の頭数の影響を大きく受けると考えられます。飼育動物の頭数は、人口動態、景気動向等の影響を受けると考えられ、一部の調査におきましては近年は横ばい圏で推移しております。一方で動物の平均寿命は伸びてきており、高齢化による疾病が多様化していること、ペット保険の加入率が増加傾向にあること、動物1頭あたりにかける飼育費(診療費を含む)が増加傾向にあること等から、当社グループが手掛ける「動物の高度医療」に対するニーズはむしろ高まっていると認識しております。しかし上記の事業環境が悪化した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループが主たる事業領域としている動物医療業界におきましては、動物病院の数は増加傾向にあります。その大部分は地域に密着した病院(一次診療施設)であり、当社グループのような一次診療施設から紹介を受ける診療施設(二次診療施設)は、人的資源及び多額の資金を必要とすることから比較的参入障壁が高いと思われ、これまでのところ急速に増加しているとは認識しておりません。また、当社グループは多くの専門診療科を有するいわゆる総合診療施設を志向しており、複数の専門診療科の連携によって患者動物に最適な診療サービスを提供することで、他の二次診療施設との差別化を図っております。
現行の画像診断施設におきましても、当社の豊富な診療ノウハウの導入及び積極的な設備投資により、顧客のニーズに沿ったサービスの向上を図ってまいります。
しかしながら、今後当社グループが十分な差別化やサービス向上を図れなかった場合や、新規参入等により競争が激化し、診療数の減少が進んだ場合等には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新型コロナウイルス感染症について
当社グループは新型コロナウイルス感染症につきまして、従業員とその家族、来院する飼い主の安全確保、感染拡大防止に最優先に取り組んでおります。
当社グループが事業を展開する神奈川県、愛知県、東京都及び埼玉県におきまして、動物病院は「社会生活を維持する上で必要な施設」に分類され、事業の継続を要請されてきたことや、動物の二次診療サービスは比較的急を要するものが多いことから、新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響は、現時点では限定的であると見込んでおります。
上記の見込みは、新型コロナウイルスの感染症拡大が、2020年7月頃から徐々に収束に向かうことを前提としておりますが、感染症拡大が一般的な予想以上に長期化する場合には、以下のリスクが想定され、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
イ.当社グループ役職員が感染するリスク
当社グループ役職員が感染した場合、消毒などに必要な期間や、病院の運営に必要な職員が確保できなくなる場合等、病院の休業を余儀なくされる可能性があります。
ロ.消費動向に関するリスク
感染拡大の長期化に伴い、わが国の景気が大きく低迷した場合、個人の消費マインドの冷え込み等により、患者数が低下する可能性があります。
(2) 事業内容に由来するリスク
① 診療サービスの過誤について
当社グループは、提供する動物医療サービスの品質管理に細心の注意を払っておりますが、提供するサービスに過誤が生じるリスクがあります。その場合、当社グループは、サービスの過誤が原因で生じた損失に対する責任を追及される可能性があります。さらに、サービスに過誤が生じたことにより社会的評価が低下した場合は、当社グループのサービスに対するニーズが低下する可能性があります。これらの場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 診療動物間での感染症の流行について
当社グループでは、患者動物の感染症についても、診察時に患者動物の感染の有無の確認を行うことや感染症にかかった患者動物用の入院室を有していること等、厳重に対応しておりますが、患者動物の間で犬ジステンパー感染症、ケンネルコフ、猫のウイルス性上部気道感染症などの感染症が流行したことにより当社グループの社会的評価が低下した場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 施設の展開及び設備投資について
当社グループは日本の各地に積極的に施設(病院等)の展開を推進していく予定です。当社グループがサービスを提供していなかった地域に新たに施設を開設した場合、通常、顧客は徐々に増加してまいりますが、開設する地域によっては損益分岐点を上回るまでには相応の時間を要するため、開設からある程度の期間は赤字を計上する可能性があります。
また、既存施設においても、今後の顧客増加に備えるため、あるいは医療サービスの品質の向上を図るため、継続的な医療機器等の設備投資が必要であると認識しています。施設の新設や設備投資を行ったものの、顧客数、症例数が想定を下回った場合には、稼働率が低下することになり、減価償却費等の費用の増加を吸収できず、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的規制及び知的財産等に関するリスクについて
① 法的リスク
当社グループの動物医療関連事業につきましては、「獣医師法」、「獣医療法」、その他法令により規制を受けておりますが、今後、それらの法令の改廃または新たな規制が設けられる場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点においては、行政処分に該当する事象は発生していないものと認識しております。
イ.獣医師法
獣医師法では、獣医師の任務、免許の取得、免許の取消・業務の停止、義務等について定められており、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.獣医療法
獣医療法は、飼育動物の診療施設の開設及び管理に関し必要な事項並びに獣医療を提供する体制の整備のために必要な事項を定めること等により、適切な獣医療の確保を図ることを目的とした法律であり、診療施設の構造設備の基準、診療施設の管理、獣医療を提供する体制の整備のための基本方針等について定められており、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ハ.その他法令、及び法令改正対応
前記獣医師法・獣医療法を始め当社グループが運営する事業に関係する法令改正については、管理部企画課を中心に情報収集を行っており、各部署において必要に応じた対応を行っています。
特に農林水産省より「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」(第四次の基本方針/2020年5月27日付)が公表され、当社グループの主な事業分野である小動物分野における獣医療に関して、「獣医師の養成と獣医療技術に関する研修体制の体系的な整備」、「小動物診療におけるチーム獣医療提供体制の充実」、「小動物分野の獣医療に対する監視指導体制の整備及び獣医療に関する相談窓口の明確化」等を図ることとされております。この基本方針に基づく法改正等の動向により、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当基本方針に沿うものとして2019年6月に制定された「愛玩動物看護師法」は、今後ますます重要性が増していくことが想定される愛玩動物を対象とした動物看護師の資質向上・業務の適正を図ることを目的に、愛玩動物看護師の国家資格化を定める法律です。同法により、遅くとも2023年までに最初の国家試験が行われますが、当社グループが実践している獣医師と動物看護師の役割分担と連携を通じた「チーム獣医療」の提供の体制を充実させるため、同資格を取得する取組を推進してまいります。
② 情報管理に関するリスク
顧客や取引先の個人情報や機密情報を保護することは、企業としての信頼の根幹をなすものと認識しております。当社グループでは、社内管理体制を整備し、従業員に対する情報管理やセキュリティ教育等、情報の保護について様々な対策を推進しておりますが、万一、情報の漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、顧客等に対する賠償責任が発生する等、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産等に関するリスク
当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しないように取組んでおります。当社グループは、本書提出日現在において、第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されたり、またそのような通知を受けておりません。しかしながら、今後当該事業分野において第三者の権利が成立した場合または認識していない権利が既に成立している場合は、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性並びに使用料等の対価の支払が発生する可能性があります。また、当社グループが使用する商標権が、第三者より侵害された場合には当社グループのブランドイメージが低下する可能性がある他、解決までに多くの時間と費用を要する可能性があります。それらの場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他のリスク
① 人材の確保及び育成について
当社グループにおいて専門性の高い獣医師をはじめとする優秀な人材の確保、育成及び定着は今後の業容拡大のための重要課題であります。これまで、給与・賞与支給水準の向上、退職金制度の創設などの待遇改善に努めてまいりました。また、新入社員及び中途入社社員に対する研修や、リーダー層となる中堅社員への幹部教育を通じ、将来を担う優秀な人材の育成に努め、社内研修・カンファレンス、症例報告会、学会発表の指導等を通じて役職員間のコミュニケーションを図ることで、定着率の向上を図っております。
しかしながら必要とする人材を採用できない場合、また採用、育成した役職員が当社の事業に寄与しなかった場合、あるいは育成した役職員が社外に流出した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長である平尾秀博は、経営方針及び事業戦略等を決定するとともに、診療現場の運営にも携わっており、当社グループのビジネス全般について重要な役割を果たしております。
当社グループは、経営ノウハウの共有、権限移譲や組織の整備などにより、同氏に過度に依存しない事業体制の構築に努めてまいりますが、今後何らかの理由で同氏が業務を執行することが困難となった場合は、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 自然災害・火災・事故への対応について
地震、風水害等の自然災害により、事務所・設備・社員とその家族等に被害が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績等が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループは安全を第一とし、労使間において安全衛生委員会を設けて、安全対策の推進、安全教育の実施等を行っておりますが、万一、重大な労働災害、事故等が発生した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 有利子負債依存度について
当社グループは、設備投資費用や運転資金に必要な資金を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債が3,404,177千円(2020年3月末現在)、有利子負債依存度が57.4%と高い状況にあります。現状は借り換えも含め順調に調達ができておりますが、今後、金利水準が上昇した場合や計画どおりに資金調達ができなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図りつつ、株主への利益の還元を検討する方針でありますが、
通期業績、財政状態及びその他の状況の変化によっては、利益還元に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 潜在株式について
当社は、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権(以下、「ストック・オプション」といいます。)を付与しており、今後も新たなストック・オプションの付与を検討する可能性があります。当期末におけるストック・オプションによる潜在株式数は109,000株であり、当期末の発行済株式総数の4.5%に相当いたします。このストック・オプションが行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、株式市場で売却された場合は、需給バランスに変動が生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 財務制限条項について
当社が複数の金融機関との間で締結している借入にかかわる契約の一部には、財務制限条項が定められております。今後、当社の経営成績が著しく悪化するなどして財務制限条項に抵触した場合、借入先金融機関の請求により当該借入についての期限の利益を喪失し、一括返済を求められるなどして、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、横ばい圏で推移しておりましたが、消費税率引き上げや新型コロナウイルス感染症の影響で年度末にかけて急速に悪化しました。鉱工業生産は、海外経済の減速や世界的なIT需要の減退に伴う輸出の低迷などから弱い動きが続いております。企業収益は製造業を中心に悪化しました。設備投資は、堅調に推移してきましたが、企業収益の悪化を受けて年度後半は弱い動きとなりました。個人消費は、消費税率引き上げや、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各種イベントの中止、外出自粛の影響などから落ち込んでおります。なお、政府は2020年3月の月例経済報告で景気の基調判断を下方修正しました。
当社グループが属する動物医療業界におきましては、犬飼育頭数は減少傾向にあるものの、猫飼育頭数は増加しており、全体としては微増で推移しております。動物1頭あたりの医療費を含む支出額は増加を続けております。また、犬猫の高齢化に伴い、疾病が多様化する中で飼い主の動物医療に対する多様化・高度化要請は高まってきております。
当連結会計年度におきましては、当社グループは、飼い主のかかりつけ動物病院(一次診療施設)と連携して飼い主のニーズに沿った高度医療(二次診療)を実践するとともに、当社グループにとっての営業活動としての位置づけである、診療実績を発表するための学会報告や、獣医師向けセミナー開催を積極的に行うことにより、動物医療業界における信頼の獲得、認知度の向上と、それに伴う紹介症例数の増加に努めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であり、全体として初診数(新規に受け入れた症例数)は6,476件(前連結会計年度比7.4%増)、総診療数(初診数と再診数の合計)は25,307件(前連結会計年度比6.2%増)、手術数は1,977件(前連結会計年度比9.7%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,734,051千円(前連結会計年度比6.6%増)、営業利益430,685千円(前連結会計年度比8.4%増)、経常利益450,969千円(前連結会計年度比11.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益312,818千円(前連結会計年度比6.1%増)と増収増益となりました。
なお、株主への利益還元と資本効率の向上及び経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とするため、2020年3月から5月にかけて、自己株式の取得を行いました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動による資金の増加537,979千円、投資活動による資金の減少93,455千円、財務活動による資金の減少445,593千円の結果、前連結会計年度末に比べ1,069千円減少し、1,149,278千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、537,979千円(前連結会計年度比27.4%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益451,648千円、減価償却費217,946千円、未払消費税等の減少50,892千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、93,455千円(前連結会計年度比13.7%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出68,909千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、445,593千円(前連結会計年度比63.1%増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入100,000千円、及び長期借入金の返済による支出530,189千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
動物医療関連事業の性格上、受注の記載になじまないため、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
当社グループは、動物医療関連事業の単一セグメントであります。当連結会計年度の販売実績を売上種類別に示すと、次の通りであります。
|
売上種類の名称 |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
二次診療サービス(千円) |
2,231,421 |
107.24 |
|
画像診断サービス(千円) |
490,164 |
103.55 |
|
その他(千円) |
12,465 |
129.34 |
|
合計(千円) |
2,734,051 |
106.65 |
(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループは、この連結財務諸表の作成に当たって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は5,928,743千円となり、前連結会計年度末と比べて159,485千円減少いたしました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ、15,906千円減少し、1,464,508千円となりました。これは主に前払費用の減少によるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、143,579千円減少し、4,464,235千円となりました。これは主に減価償却によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は3,794,846千円となり、前連結会計年度末と比べて464,524千円減少いたしました。
流動負債は840,856千円となり、前連結会計年度末に比べ49,576千円減少いたしました。これは主に未払消費税等が減少したことによるものであります。また、固定負債は2,953,989千円となり、前連結会計年度末に比べ414,947千円減少いたしました。これは主に長期借入金の返済によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は2,133,897千円となり、前連結会計年度末と比べて305,038千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益312,818千円によるものであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、2,734,051千円(前連結会計年度比6.6%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、売上の増加等により、1,726,017千円(前連結会計年度比5.2%増)となりました。
この結果、売上総利益は1,008,033千円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、577,348千円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。
この結果、営業利益430,685千円(前連結会計年度比8.4%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度においては、家賃収入等の営業外収益46,319千円、支払利息等の営業外費用26,035千円を計上しております。
この結果、経常利益は450,969千円(前連結会計年度比11.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益は451,648千円(前連結会計年度比15.5%増)となりました。法人税等を133,184千円、法人税等調整額を5,645千円計上した結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は312,818千円(前連結会計年度比6.1%増)となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
d.経営戦略の現状と見通し
年初より世界各地で新型コロナウイルス感染症拡大が続いており、経済活動は世界規模で大きく制限されております。当社グループは、従業員とその家族、来院する飼い主の安全確保、感染拡大防止に最優先に取り組んでおります。
当社グループが事業を展開する神奈川県、愛知県、東京都及び埼玉県におきまして、動物病院は「社会生活を維持する上で必要な施設」に分類され、事業の継続を要請されていることや、動物の二次診療サービスは比較的急を要するものが多いことから、新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響は、現時点では限定的であると見込んでおります。
一方、症例実績を発表する場である学会や各種セミナーの開催が当面困難な状況となるなど、マイナスの影響もありますが、当社グループは、日頃の診療活動を通じた一次診療施設とのコミュニケーション強化を継続することによって、初診数の増加(当連結会計年度比3%程度)を図ってまいります。なお、新型コロナウイルスの感染症拡大は、2020年7月頃から徐々に収束に向かうことを前提としております。
大阪病院(仮称)につきましては、引き続き2021年秋頃の開院を目指し準備を続けてまいりますが、その一環として、診療を行う獣医師や動物看護師などの増員を図る計画であります。優秀な人材確保につながる大学・専門学校・各種団体との関係性強化や人脈形成に努めるとともに、積極的な採用活動を行ってまいります。
中長期的に、動物医療業界における総合的な企業となるべく、飼い主や一次診療施設の利便性を高めるシステムの開発・販売を進めつつ、M&Aも活用した事業領域の拡大にもチャレンジしてまいります。
e.経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善な経営戦略の立案、施策の実施に努めておりますが、流動的な市場環境においても継続的に利益を確保するため、顧客満足度及び社会貢献度の高い医療サービスを提供し続けることが重要と認識しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの必要資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。
今後の資金需要のうち、主なものは、新病院の開業や既存病院における新医療機器導入等の設備投資や、M&A等の戦略的投資等であります。
これらの資金については、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定でありますが、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関から借入を行う等の資金調達を実行してまいります。
なお、現在開業を準備しております大阪病院(仮称)の建物、医療機器等に充当する設備投資資金につきましては、主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しており、現在必要とされる資金の水準を満たす流動性を確保しております。
該当事項はありません。
当社グループでは、動物医療に関する企業からの受託開発を行っております。
医薬品、飼料、医療機器の研究開発に関して、当社の豊富な臨床症例を背景に、各種企業で開発された医薬品、医療機器の認可に必要な治験業務を受託することにより、広く社会に貢献しております。また、豊富ながん症例を対象に遺伝子解析を行っており、新規薬剤開発に必要なデータの集積に努めております。なお、受託開発については当連結会計年度における研究開発費はありません。
また、当社グループでは、活動量計「プラスサイクル」を動物医療分野における新技術進展に活用するため、大学や研究機関との共同研究を推進して参りましたが、当連結会計年度においては販売活動中心の事業フェーズに移行したため、研究開発費はありません。
なお、当社グループは動物医療関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。