当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(以下、当社及びSanBio, Inc.(米国カリフォルニア州オークランド市)の2社を指します。)が判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績
日本の再生医療業界においては、2014年11月に施行された再生医療安全性確保法及び改正薬事法によって、再生医療の産業促進が進むなか、2025年7月末までに21品目が再生医療等製品としての製造販売承認を取得しました。また、米国においては、2016年12月に可決された21st Century Cures Act(21世紀治療法)のもと、重篤な疾患の治療を目的とした再生医療製品の迅速承認を可能とするRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy)指定制度が設けられました。2021年にはRMAT指定品目として初のBLA(Biologics License Application)承認取得を含むRMAT指定3品目がBLA承認を取得し、2025年にはRMAT指定1品目がBLA承認を取得しました。このように、日本及び米国において再生医療の実用化は引き続き着実に進展しています。
このような環境のもと当社グループは、アンメットメディカルニーズが高い中枢神経系疾患を主な対象とし、当社グループ独自の細胞治療薬SB623の事業化を目指して、研究開発を進めてきました。
SB623慢性期外傷性脳損傷プログラム(以下、「本プログラム」)については、日本を含む国際共同フェーズ2臨床試験(被験者61名)にて、2018年11月に「SB623の投与群は、コントロール群と比較して、統計学的に有意な運動機能の改善を認め主要評価項目を達成」という良好な結果を得て、2019年4月には、国内で厚生労働省より再生医療等製品として先駆け審査指定制度の対象品目の指定を受けました。以降、当該指定の枠組みにおいて、2022年3月に再生医療等製品製造販売承認申請を行い、2024年7月に、本プログラムは、外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善治療薬「アクーゴ®脳内移植用注」(以下、「アクーゴ®」)として、日本における条件及び期限付き製造販売承認を取得しました。その後、この承認条件の一つである同等性/同質性を確認するために2回程度の市販品製造の適合を得る目的で製造を行い、既に2回の製造で、規格試験、特性解析にて全ての基準値を満たし、適合と判断されています。これを受け、2025年6月に、アクーゴ®の製造販売承認事項について、一部変更承認申請を完了しました。今後は当局の審査、部会を経て、2026年1月期下半期(2025年8月~2026年1月)に承認取得となることを想定しています。その後、薬価収載を経た上で、アクーゴ®の発売を予定しています。また、国内でのアクーゴ®の普及を活発化させ、そのなかで、二つ目の承認条件である7年間の製造販売承認期限内に製造販売後臨床試験等を実施し、本承認を取得する計画です。
このように、国内事業に経営資源を集中させ取り組んできたことにより、アクーゴ®の上市に向けては順調に進捗しています。このような状況下において、前期より中長期成長戦略の重要な柱と掲げている「原点回帰」のコンセプトをより意識して取り組んでまいります。具体的には、患者数が多い米国市場で、慢性期脳梗塞と慢性期外傷性脳損傷の2つの疾患をターゲットに事業活動を進めていきます。慢性期外傷性脳損傷においては、日本でのアクーゴ®の実績を基に、既に米国規制当局と臨床試験の協議を再開しています。また、慢性期脳梗塞における新たな臨床試験の実施に向けても、日米の規制当局との協議を進める予定です。当社は「日本発の再生医療を世界へ」という創業時から変わらぬビジョンに原点回帰し、再生医療分野のグローバルリーダーとなることを実現する過程において、企業価値最大化を図ってまいります。
このような状況のなか、当中間連結会計期間は、アクーゴ®の製造販売承認事項一部変更承認取得に関連する費用が主なものとなり、研究開発費1,346百万円を計上した結果、営業損失は1,888百万円(前中間連結会計期間は営業損失1,571百万円)となりました。一方、為替相場の変動による為替差損が発生したため、営業外費用として為替差損518百万円を計上し、経常損失は2,481百万円(前中間連結会計期間は経常損失1,186百万円)、親会社株主に帰属する中間純損失は1,997百万円(前中間連結会計期間は親会社株主に帰属する中間純損失1,309百万円)となりました。また、当中間連結会計期間においては、銀行とのコミットメントラインの締結、新株式及び転換社債の発行による資金調達を実施しました。今後も、適切な時期に最適な手段による資金調達を行うことにより、健全な財政状態を維持していきます。
当社グループは他家幹細胞を用いた細胞治療薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しています。
②財政状態
(流動資産)
当中間連結会計期間末の流動資産の残高は、3,111百万円(前連結会計年度末は3,335百万円)となり、前連結会計年度末に比べて223百万円減少いたしました。これは、現金及び預金が183百万円減少したことが主な要因であります。
(固定資産)
当中間連結会計期間末の固定資産の残高は、107百万円(前連結会計年度末は111百万円)となり、前連結会計年度末に比べて4百万円減少いたしました。
(流動負債)
当中間連結会計期間末の流動負債の残高は、493百万円(前連結会計年度末は732百万円)となり、前連結会計年度末に比べて238百万円減少いたしました。これは、未払費用が274百万円減少したことが主な要因であります。
(固定負債)
当中間連結会計期間末の固定負債の残高は、1,431百万円(前連結会計年度末は952百万円)となり、前連結会計年度末に比べて479百万円増加いたしました。これは、長期借入金が129百万円、繰延税金負債が485百万円減少した一方で、転換社債型新株予約権付社債が1,093百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産合計は、1,294百万円(前連結会計年度末は1,762百万円)となり、前連結会計年度末に比べて468百万円減少いたしました。これは、第三者割当による新株式の発行及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ512百万円増加したこと、為替換算調整勘定が495百万円増加した一方で、親会社株主に帰属する中間純損失1,997百万円を計上したことが主な要因であります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,372百万円(前連結会計年度末は2,853百万円)となり、前連結会計年度に比べて480百万円減少いたしました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において営業活動の結果使用した資金は2,052百万円(前中間連結会計期間は1,703百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失2,481百万円、為替差損521百万円、未払費用の減少額264百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において投資活動の結果使用した資金は301百万円(前中間連結会計期間は3百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出400百万円、定期預金の払戻による収入100百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において財務活動の結果獲得した資金は1,895百万円(前中間連結会計期間は340百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出134百万円、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入1,080百万円、株式の発行による収入975百万円によるものであります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、1,346百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。