第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

・経営理念

当社は、「先進のテクノロジーと最適な選択で成功を共有する」を経営理念としております。

①私たちは一歩先ゆく確かな技術で、最も信頼されるパートナーを目指します

②確かな技術力のある社員が、常に先進のテクノロジーとその価値を追求し、お客様にとっての最適を探求します

③先進技術の追求による期待を超えるチャレンジと、お客様にとってのベストを誠実に探究することによる信頼の両輪で、お客様を成功に導き、その成功をステークホルダーと享受します

 

・経営方針

 当社は、「信頼されるパートナーへ」をスローガンに、「安定的な高成長」、「品質の向上」、「成長分野へのチャレンジ」を積極的に推進しております。

 

・経営環境

 当社は成長著しいクラウド関連市場の可能性に早くから注目し、クラウド業界のリーディングカンパニーとして確立したノウハウと実績により業績を伸ばしてまいりました。特に、セールスフォースの導入に関しては、国内で最も初期からインテグレーションを行ってきたことで、導入実績もセールスフォース認定資格エンジニア数も国内トップクラスの実績を有しております。企業におけるセールスフォースの導入及び、IaaSとしてのAWSの活用が積極的に行われてきたことで、当社グループが事業を行うパブリッククラウド市場は引き続き成長を続けております。

 

・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は以下の事項を重要課題と捉え、その対応に取り組んでまいります。

 

① クラウド市場の急拡大に合わせた優秀な人材の確保

 クラウド市場の急拡大に伴い、クラウドシステムを構築する技術を有する優秀な人材の確保は最重要課題であります。顧客企業からの大規模かつ要求水準の高い案件に関しましては、クラウドシステムの構築の経験・スキルが不可欠であるため、引き続き、採用と技術力向上のための施策を推し進めてまいります。特にSalesforceを中心としたクラウドシステムの構築は、当社グループの一番の強みでもあるため、「Salesforce 認定資格」の取得については、上級資格取得者に対して報奨金を支給するなど、積極的に取得を推し進めております。

 

② Salesforce市場への依存

 当社グループのビジネスは、従来からSalesforce関連事業に特化し、Salesforce市場の拡大とともに成長してまいりました。同市場への依存は、当面の間高水準で推移していくと予想されます。したがって、Salesforce市場に変化が生じた場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 中長期的にはSalesforce以外のクラウドサービス関連売上を高めていく必要があると考えており、新たな成長の柱としてAWS事業、データ活用コンサルティング事業、ERP事業、SAP関連事業、量子コンピューティング事業等の新規事業に取り組んでおります。

 

③ グローバルな事業展開の促進

 当社グループでは、製品事業において国内市場における継続的なシェアの拡大を図っておりますが、中長期的な視点から当社グループの更なる成長を図るとき、海外市場への進出が重要であると考え、今後クラウド市場の成長が期待されるアジア地域においてはタイに法人を設立しております。

 

④ 安定した収益基盤の強化

 当社グループの成長には、これまでソリューション事業における受託開発案件が大きく寄与してまいりましたが、安定した収益を見込めるクラウドライセンス販売、製品事業、保守サービスを強化していくことが今後の安定した収益基盤の構築につながるものと考えております。

 

⑤ 経営管理体制の強化

 当社は、市場動向、競合企業、顧客ニーズ等の変化に対して速やかにかつ柔軟に対応できる組織を運営するため、経営管理体制の更なる強化に努めてまいります。また、企業価値を継続的に向上させるため、内部統制の更なる強化、法令遵守の徹底に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次の通りです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 当社グループは、ミッション・ビジョンの実現、サステナビリティに関する方針及び重要事項等については、取締役や執行役員等で構成する経営会議や取締役会にて審議・議論を行っております。また、これら議論を重ねることで、事業活動を通じて社会が抱える課題に取り組み、より良い社会の仕組み作りに貢献することを理念とし、その実現のため、私たちは常に先進のテクノロジーとその価値を追究し続け、お客様企業、パートナー企業、株主、社員、地域社会など、全てのステークホルダーとともに、よりよい未来を創造していく考えです。

 

(1)ガバナンス

 当社グループはサステナビリティをグループ全体の経営課題として明確に位置づけ、重要課題(マテリアリティ)に対する取組みを推進するために、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を2021年12月に設置し、取締役会の監督のもと、以下3点のサステナビリティ推進事項に取り組んでおります。また、サステナビリティ委員会は、取締役会に対しサステナビリティに関する状況を定期的に報告し、その指示・助言を受けることとしております。なお、当連結会計年度内におきましても、取締役会に対し、年2回の報告を行っております。

[サステナビリティ推進事項]

01 事業を通じた取り組み

‐先進のテクノロジーや様々な働き方改革を推進・活用することで、クラウドシステム導入支援事業を通じた地球環境の負荷低減に貢献してまいります。

02 子どもと地域の未来に対する取り組み

‐全国にサテライトオフィスを設立し、その地域での雇用創出だけではなく、小学校・高校・高専/専門学校/大学におけるIT教育支援活動にも取組むことで子どもたちへのIT教育支援、また、地域の発展にも貢献してまいります。

03 企業活動を通じた取り組み

‐性別・国籍・年齢等に関係なく、従業員が自分らしく活躍できる環境整備に取り組んでまいります。また、従業員の成長支援を目的とした研修・育成にも注力してまいります。

 

(2)戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 当社グループは、既存事業の更なる拡大及び新たな価値創造の実現のためには、基盤となる人的資本の充実、特に採用・育成・定着が重要課題であると捉えております。採用・能力開発・人材評価等の各人事施策においては、経営戦略に照らし、当社が求める人物像を明確なコンピテンシーモデルとして設定した上で、公正性・納得性の高い評価制度を構築するよう努めております。また、育成面においては、当社オリジナルの教育カリキュラムの開発、資格支援制度の充実化を図り、継続的な人材育成に取り組んでおります。

 加えて、当社グループでは、テレワーク勤務、フレックスタイム制度などにより柔軟な働き方を可能とするなど、これら施策の土台となる「職場環境」の整備にも注力し、そのうえで採用・定着・育成の各施策の拡充に取り組むことで、人的資本投資における効果の最大化を図ってまいります。

 これらの取り組みを通じ、社員一人一人の成長が組織の成長を促す好循環を生み出すことで、多様性の確保、従業員エンゲージメントの向上を図りつつ、新たなサービス開発及び、それらによるソリューション提案力の強化に繋げてまいります。

 また、多様性の確保については、性別、年齢、国籍等の属性に関わらない優秀な人材の採用及び社員育成が必要不可欠であり、これら人材の管理職への登用に関しても同様の考えです。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、不測の事態又は危機の発生に備え、「リスク管理規程」を定め、当該規程に基づきリスク管理を行っております。かつ、取締役会を通じてリスク及び機会の識別・評価・管理体制を整えることで、リスク回避にも努めてまいります。

 また、外部環境の影響を受けやすいサステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ委員会と連携し、リスク評価、対応策の検討・協議を行っております。

 これら取締役会やサステナビリティ委員会に加えて、状況に応じては外部専門家(弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等)からアドバイスを受けられる体制を整えるとともに、内部監査及び監査役による監査を通じて、潜在的なリスクを早期発見することに努めております。

 

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記「(2)戦略」にございます人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針内に記載しております継続的な人材育成および多様性の確保について、次の指標を用いております。また、現時点において具体的な目標を定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示につきましては今後の課題として検討してまいります。当該指標に関する実績は次の通りです。

 なお、各指標データに関しましては、当社グループは多岐にわたる業種を展開しており、業種ごとに求められるサステナビリティ指標が異なるため、統合的な指標の設定が困難であることから、一部の指標を除き、その集計対象範囲は提出会社である株式会社テラスカイとさせていただいております。今後は、これらの課題を解決し、より包括的なデータ収集と統一的な基準の確立を目指し、連結会社ベースでの指標開示を進める予定です。

指標

実績

集計対象

グループ総従業員におけるクラウド資格取得者延べ人数(注)1

1,864

連結会社

新卒入社者のSalesforce基本資格合格率

92.0

提出会社

総従業員数に占める女性労働者の割合

26.9

提出会社

管理職に占める女性労働者の割合

9.0

提出会社

男性労働者の育児休業取得率

60.0

提出会社

労働者の男女の賃金の差異 全労働者

75.0

提出会社

労働者の男女の賃金の差異 正規雇用労働者

79.1

提出会社

労働者の男女の賃金の差異 パート・有期労働者

103.3

提出会社

IT教育支援活動 開催授業数(小学校・高校・専門/高専/大学)

42

提出会社

(注)1.グループには、当社及び関係会社のクラウド資格取得者数を含んでおります。また、認定資格を複数保有している従業員がいるため、認定資格を保有するグループの在籍従業員数と資格保有者数は一致しておりません。

2.集計対象における「連結会社」の範囲は、ソリューション事業を主たる事業としている下記の会社を対象としております。

株式会社テラスカイ、(子会社)株式会社スカイ365、株式会社BeeX、TerraSky (Thailand) Co., Ltd.、株式会社リベルスカイ、株式会社DiceWorks、(持分法適用関連会社)株式会社キットアライブ

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下へ記載しております。また、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、必ずしも事業上のリスクに該当しない場合においても投資者への積極的な情報開示の観点から記載しておりますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅しているものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合には当該リスクによる影響が最小限となるよう対応に努める方針であります。

 

(1)経営環境の変化について

 当社グループのビジネスは、企業を主要顧客としております。これまでは、企業の旺盛なIT投資需要を背景に事業を拡大してまいりました。しかしながら、今後国内外の政治経済情勢等の理由により景気が悪化し、企業がIT投資を抑制するような局面へ移行する場合には、新規顧客数の減少や既存顧客からの受注減少等で、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制について

 当社グループは、個人情報の保護に関する法律、下請代金支払遅延等防止法、電気通信事業法等の各種法令や指針、ガイドライン等による規制を受けております。社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備・強化しておりますが、不測の事態により、万が一、当該規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受けた場合、あるいは今後これらの法令等の強化や新たな法令等の策定により当社グループの事業が制約を受ける場合においては、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。

 また、クラウドサービスに係る法令等は国内外で常に更新されているほか、解釈について未だ確立されていない法令等も存在する為、常に最新情報を収集し、関連法案を遵守して参ります。

 

(3)為替相場の変動について

 当社グループでは、Amazon Web Services, Inc.との取引に関して米ドル建てで決済を行っております。米ドル/円の為替相場に変動がある場合、売上高及び仕入高がともに影響を受ける可能性があります。

 しかしながら、急激な為替変動に直面した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。その為、必要に応じて為替予約等のヘッジ策を講じてリスクの極小化に努めておりますが、これにより完全に為替リスクが回避される保障はございません。

 

(4)技術革新について

 当社グループが事業展開しているIT市場では、技術革新に伴う需要動向の変化のスピードが非常に早く、IT関連企業はその変化に柔軟かつ迅速に対応する必要があります。当社グループにおいても、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や変化する需要へ迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、当社グループが変化への対応に遅れることで案件の失注や契約数の減少が生じた場合、あるいは変化への対応にシステム投資や人件費等について多額の費用を要する場合は、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)クラウド市場の動向について

 当社グループが事業を展開しているクラウド市場では、企業のDXの実現に有効であることから急速な成長を続けております。当社グループは、この成長傾向が今後も継続することを見込んでおり、積極的な事業展開を計画しています。

 しかしながら、今後国内外の政治経済情勢や景気動向等の理由で企業によるDX投資への意欲が後退するような場合、あるいはクラウド市場の成長鈍化が予期せず生じる場合には、当社グループの受注件数が減少する可能性があり、現時点で見込む売上成長が実現できず当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)市場及び顧客ニーズの把握について

 当社グループの属するIT市場における技術革新はめざましく、市場及び顧客需要の急激な変化に伴いサービスや技術は多様化しております。このような変化を的確に把握する体制を整えているものの、万が一、顧客需要を満たす新たなサービスや技術を提供できない場合には、競争力が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)競合について

 当社グループ事業の中核を占めるSalesforce関連ビジネスにおける競合は、「Salesforce関連の競合」と「Salesforce関連以外の競合」(若しくは、「Salesforce事業領域内の競合」と「Salesforce事業領域以外の競合」とする)が存在いたします。

Salesforce関連の競合

当社グループは、設立の初期段階からSalesforceパートナー企業としてSalesforce関連事業を展開しており、プロジェクト導入実績並びに、エンジニア育成システム及び採用活動の強化によるハイスキルエンジニア数に基づく、確実な受注・構築力を強みとしております。現状において、当社グループのこれらの強みはSalesforce関連事業で優位性を保っていると判断しておりますが、競合他社が当社グループを上回る販売能力及び技術力の急激な向上や、予期しないサービス・製品の提供があった場合、あるいは類似サービス・製品における価格競争の激化が生じた場合は、案件の失注や契約数の減少が生じる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

Salesforce関連以外の競合

当社グループが展開しているSalesforce事業に類似した、営業支援(SFA)・顧客関係管理(CRM)サービスは国内外に存在しています。Salesforce類似サービスの躍進や新たなサービスの登場により、Salesforceサービスが競合他社との差別化を優位に図ることができない場合には、案件の失注や契約数の減少が生じる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)事業領域拡大に伴うリスクについて

 当社グループは、「一歩先ゆく確かな技術で、もっとも信頼されるパートナーに」というビジョンの基、確かな技術力を基盤とした先進技術を追求することでお客様にとってのベストを提供し続けております。今後も新たな製品開発に加え、子会社・関連会社の設立、提携を含むM&A等によって事業領域の拡大を図っていく方針です。しかしながらこれらを実現するために、採用数の増加や育成強化による人件費増加及び設備増強や事業開発による投資費用増加等の追加支出が見込まれ、これらの事業が安定的に収益を生み出すまでに一定程度の時間を要することが考えられます。さらに、競合他社との優位性確保に向けた価格競争激化に伴う収益性の低下や人件費や開発費等の費用を増加させる可能性があります。また、海外へ事業展開を行っていく上で、各国の法令、規制、政治、社会情勢、為替変動、競合環境をはじめとした潜在的リスクに対処できないことも想定されます。適切な人員配置等により経営の効率化を図り、収益性の向上を目指す方針でありますが、当社グループのビジネスが想定どおりに進捗しない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)新会社設立、M&A、資本業務提携について

 当社グループは、拡大するクラウド市場における需要への対応及び事業領域拡大のため、新会社設立、M&A、資本業務提携を有効な手段の一つであると位置づけております。

 上記の手段については、対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを検討した上で実施しておりますが、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査において把握できない問題が生じた場合や、事業展開が計画通りに進まない場合には、投下資本の回収が困難になること等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)特定クラウド基盤事業者への依存について

 当社グループのソリューション事業は、Salesforceに関連したインテグレーションが中心であり、製品事業は、Salesforce上で機能する製品の開発・販売を行っております。したがって、当社グループの成長はSalesforceの市場の拡大に大きく依存しております。

 こうした現状を踏まえ、AWSやGCPへの領域の拡大、量子コンピューティング事業、MSP事業、データ活用コンサルティング事業等の新たな事業展開に努めておりますが、Salesforceの市場規模が縮小する場合や、米Salesforce社の経営戦略において当社グループの事業へ影響を与えるような変更が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)不採算プロジェクトの発生について

 当社グループは、各プロジェクトの難易度等から想定される工数に基づいて見積りを作成し、適正な利益率を確保した上でプロジェクトを受注しております。顧客の要求に応じた仕様での開発において、想定した工数に乖離が生じないよう、要員管理・進捗管理・予算管理を行っておりますが、予期せぬ不具合の発生等により開発工数が大幅に増加し、不採算プロジェクトが発生する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)売上計上時期の期ずれについて

 当社グループのソリューション事業の一部においては、進捗度に基づく収益計上の基礎となる見積総原価又は見積総工数をプロジェクトごとに算定しております。各プロジェクトで要員管理・進捗管理・予算管理を行っておりますが、予期し得ない不具合の発生等により、開発工数が大幅に増加し、不採算プロジェクトが発生するような場合には、売上原価が増加することで、その結果進捗度が変動する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)組織体制について

 2025年2月28日現在、当社グループの従業員数は合計1,404名となっております。内部管理体制については事業規模に応じた適切な体制となっておりますが、今後の事業拡大に合わせて内部管理に係る人員の確保及び体制の強化が順調に進まなかった場合、社内の業務推進に支障をきたす可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)代表者への依存について

 当社グループの代表取締役CEO社長である佐藤秀哉は、当社グループの創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は当社グループの事業展開において事業戦略の策定や、業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。

 当社グループは、経営管理体制の強化や経営幹部の育成等により、同氏への過度な依存の脱却に努めておりますが、現状においては未だ同氏に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により同氏が当社グループにおける業務遂行の継続が困難となるような場合には、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)人材の確保について

 当社グループが提供しておりますサービスは、従業員(エンジニア)の技術力に拠るところが大きく、Salesforce認定資格を保持する従業員等を安定的に確保することが重要と認識しております。そのため当社グループは、従業員等の採用及び教育を継続的に行っておりますが、従業員等の採用及び教育が計画通り進まない場合や優秀な人材流出が止まらなくなる場合には、サービスの円滑な提供や積極的な受注活動が出来ず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)外注先の確保について

 当社グループのソリューション事業では、必要に応じてシステムの設計及び構築等において、協力会社に外注しております。

 現状において、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、万が一、協力会社による技術力及び技術者の提供が困難となった場合、あるいは外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供や積極的な受注活動が出来ず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)システムトラブルについて

 当社グループの事業は、クラウドという特性上インターネットを経由する必要があることから、インターネットに接続するための通信ネットワークに依存しております。安定的なサービス提供のため、サーバー設備等の強化や社内体制の整備を行っておりますが、アクセス数の急激な増加に伴う負荷の拡大や、自然災害及び事故などによる予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)クラウド基盤のシステム障害について

 当社グループの事業は、クラウド基盤事業者が提供する各種サービスにおいて、インターネットを介して顧客企業へ提供することを前提としております。したがって、自然災害や事故などの不測の事態が発生し、万が一、クラウド基盤自体にシステム障害が起こるような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、障害に対して迅速に対応するためのシステム運用管理体制を整備し、システムの稼働状況の監視及び障害検出に関する管理体制においても強化を図り、障害発生の未然防止及び障害発生時の影響最小化に努めております。

 

 

(19)知的財産権について

 当社グループはこれまで、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差し止めの請求を受けたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないものと認識しております。当社グループは、第三者の特許権その他の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償の負担が生じる可能性があります。当社グループが属するクラウド市場において知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、当社グループの事業に関連する知的財産権について第三者の特許取得が認められた場合、あるいは将来特許取得が認められた場合は、当社グループの事業遂行の必要上これらの特許権者に対してライセンス料を負担する等の対応を余儀無くされる可能性があります。このような損害賠償及びライセンス料の多額の負担が生じた場合、当社グループの事業運営が立ち行かなくなり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、このようなリスクが顕在化する可能性は低いと認識しておりますが、第三者の知的財産権の侵害が生じないよう、社内担当部門で慎重に調査を行っております。また、必要に応じて専門家と連携を取りリスクの軽減を図っております。

 

(20)訴訟等について

 当社グループは現在、第三者との間で重要な訴訟問題が発生した事実はありません。しかしながら、当社グループに対して訴訟を提起され、訴訟結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは内部統制を整備しコンプライアンスの強化に努めています。

 

(21)情報管理体制について

 当社グループは、業務を通じて多数の顧客の情報資産を取り扱っております。情報セキュリティ基本方針を策定し、役職員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施しているほか、ISO27001の認証を取得するなど、情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22)配当政策について

 当社グループは、将来の事業拡大を見据え財務基盤の強化を優先している為、現時点において配当等の還元策は実施しておりませんが、株主還元を重要な経営課題と位置付けております。したがって、今後は内部留保を確保しつつ、財政状態及び経営成績等を総合的に判断したうえで、配当政策の検討を行っていきたいと考えております。ただし、現時点では配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては未定であります。

 

(23)一般的な債権回収リスクについて

 当社グループ取引先の業績不振等により信用状況が悪化し、特に取引額が大きい場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の概要

①経営成績及び財政状態の状況

経営成績の状況

 当連結会計年度の業績は、売上高24,709,987千円(前年同期比29.1%増)、営業利益1,452,172千円(前年同期比177.8%増)、経常利益1,603,866千円(前年同期比144.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,018,427千円(前年同期比239.4%増)となりました。

 

(セグメント業績)

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

(ソリューション事業)

 当連結会計年度におけるソリューション事業の売上高は、当社によるSalesforceの導入開発事業、株式会社BeeXが行うSAPのクラウド・マイグレーション事業及び、クラウドエンジニア派遣の株式会社テラスカイ・テクノロジーズの業績が拡大したことで、22,946,392千円(前年同期比30.1%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、量子コンピュータ(注4)関連の研究開発を行う株式会社Quemixと、TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(タイ法人)の営業損失を取り込みながら、2,927,969千円(前年同期比41.1%増)となりました。

 

(製品事業)

 当連結会計年度における製品事業は、「mitoco(ミトコ)」を始めとする当社の全製品のサブスクリプション売上が対前年比で増加いたしました。結果として売上高は、1,973,891千円(前年同期比17.2%増)となりました。セグメント損失(営業損失)は、引き続き「mitoco ERP」等へ積極投資していることにより、68,714千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)190,010千円)となりました。

 

(売上高)

 当連結会計年度の経営成績は、売上高24,709,987千円(前年同期比29.1%増)となりました。なお、セグメント別の要因は以下のとおりであります。

 

(ソリューション事業)

 当社によるSalesforceの導入開発事業、株式会社BeeXが行うSAPのクラウド・マイグレーション事業及び、クラウドエンジニア派遣の株式会社テラスカイ・テクノロジーズの業績が拡大したことで、22,946,392千円(前年同期比30.1%増)となりました。

 

(製品事業)

 「mitoco(ミトコ)」を始めとする当社の全製品のサブスクリプション売上が対前年比で増加いたしました。結果として売上高は、1,973,891千円(前年同期比17.2%増)となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は、各事業区分損益及び調整額△1,407,083千円の結果、1,452,172千円(前年同期比177.8%増)となりました。なお、事業区分別の要因は以下のとおりであります。

 

(ソリューション事業)

 当連結会計年度におけるソリューション事業の営業利益は、量子コンピュータ(注4)関連の研究開発を行う株式会社Quemixと、TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(タイ法人)の営業損失を取り込みながら、2,927,969千円(前年同期比41.1%増)となりました。

 

(製品事業)

 当連結会計年度における製品事業の営業損失は、引き続き「mitoco ERP」等へ積極投資していることにより、68,714千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)190,010千円)となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度において、受取配当金17,151千円、受取手数料34,531千円、助成金収入18,102千円及び持分法による投資利益55,849千円を主因として、営業外収益は、153,221千円となりました。一方で、支払利息1,527千円により、営業外費用は、1,527千円となりました。これらの結果、経常利益は、1,603,866千円(前年同期比144.7%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度において、法人税等合計461,487千円により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,018,427千円(前年同期比239.4%増)となりました。

 

財政状態の状況

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末より2,202,905千円増加し、12,844,915千円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産の増加1,007,051千円及び現金及び預金の増加896,261千円によるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末より1,179,414千円減少し、6,625,175千円となりました。これは主に、投資有価証券の減少1,679,568千円によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末より1,302,191千円増加し、5,724,761千円となりました。これは主に、買掛金の増加350,428千円及び契約負債の増加395,332千円があったことによるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末より564,316千円減少し、905,784千円となりました。これは主に、繰延税金負債の減少558,706千円があったことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末より285,615千円増加し、12,839,545千円となりました。これは主に利益剰余金の増加1,018,427千円に対し、その他有価証券評価差額金の減少1,227,006千円があったことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、6,512,437千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における営業活動の結果、収入は1,558,523千円(前連結会計年度は671,801千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,633,721千円、減価償却費476,162千円、売上債権及び契約資産の増加1,006,594千円、契約負債の増加395,345千円及び法人税等の支払額230,882千円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における投資活動の結果、支出は1,008,785千円(前連結会計年度は894,609千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出168,238千円、無形固定資産の取得による支出730,352千円及び敷金及び保証金の差入による支出104,294千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における財務活動の結果、収入は345,438千円(前連結会計年度は59,696千円の支出)となりました。これは主に、非支配株主からの払込みによる収入350,295千円及び長期借入金の返済による支出23,122千円があったこと等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソリューション事業

23,571,750

134.9

4,247,696

145.8

(注)製品事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ソリューション事業

22,946,392

130.1

製品事業

1,973,891

117.2

合計

24,920,283

128.9

 

④主な取り組み

当連結会計年度の当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。

2024年3月

・「mitoco(ミトコ)」は株式会社セールスフォース・ジャパンが公開した「2023年人気のあったAppExchangeアプリランキング」で、「中小企業向け 売上TOP5」部門でランクインしました。

・子会社で量子コンピュータ(注4)の研究開発を行うベンチャー企業、株式会社Quemixの代表取締役 松下 雄一郎が、2024年4月1日付けで東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の特任准教授に就任しました。

2024年4月

・Salesforceと生成AIを組み合わせた新サービス「mitoco AI」の提供を開始しました。

・Salesforce Japan Partner Award 2024における「Industry of the Year」及び「Emerging Technology of the Year」を受賞しました。

・株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区)と資本業務提携契約を締結しました。

・公式YouTubeチャンネル「TerraSkyTV with 厚切りジェイソン」を開設しました。

・mitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2024 Spring」において、グループウェア部門で「High Performer」を受賞しました。

・就活サイト「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリア(本社:東京都渋谷区)主催、「ONE CAREER 就活クチコミアワード2024」のベンチャー部門において14位にランクインし、「Silver賞」を受賞しました。

2024年5月

・近年ニーズが高まるデータやAIの活用を支援するため、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するSalesforce Data Cloudに関し、「Salesforce Data Cloud+AIラボ」を設立しました。Data CloudやAIの知見を蓄積し、顧客企業に対してデータマネジメントを提案できる体制を整えます。

2024年6月

・子会社で量子コンピュータの研究開発を行うベンチャー企業、株式会社Quemixは、日経コンピュータ主催の「IT Japan Award 2024」にて、特別賞を受賞しました。量子コンピュータ領域で独自技術を持つ点に期待が集まり、特別賞の受賞に至りました。

2024年7月

・グループウェアmitoco(ミトコ)は、アイティクラウド株式会社主催の「ITreview Grid Award 2024 Summer」において、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。グループウェア部門での受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、9回連続となります。

・株式会社Quemixが、旭化成株式会社との新素材開発の検証実験において、誤り耐性量子コンピュータ(Fault Tolerant Quantum Computer)用アルゴリズムを用いた量子化学計算を、クオンティニュアム株式会社の提供するイオントラップ型量子コンピュータ上で実施いたしました。

・西日本支社 大阪支店を拡張のため移転いたしました。

2024年8月

・西日本支社 名古屋支店を拡張のため移転いたしました。

・秋田サテライトオフィス、松江サテライトオフィスを開設いたしました。U/Iターン人材採用や地元密着型のオフィス運営ノウハウを活かして積極的に社員を採用し、地域経済に貢献してまいります。

・VC子会社である株式会社テラスカイベンチャーズが運営する、「TSV1号投資事業有限責任組合」の投資先、株式会社オプロ(本社:東京都中央区)が、2024年8月21日、東京証券取引所グロース市場へ新規上場しました。

2024年9月

・自社主催イベント『TerraSkyDay 2024 ―Fly Ahead to 2030 体感せよ、クラウドが作る新時代―』を、2024年10月3日(木)に開催しました。

・株式会社シナプスイノベーション(本社:大阪府大阪市)、株式会社チームスピリット(本社:東京都千代田区)と協力し、AIを活用した中堅企業向けクラウドERPの促進を目的に、「ERP Cloud 360コンソーシアム」を設立しました。「ERP Cloud 360コンソーシアム」は、Salesforce AppExchangeアプリケーションである各社の持つ業務に特化した製品を、「ERP Cloud 360」としてSalesforceプラットフォーム上に一元化することで、顧客企業の経営判断を迅速化する最適なERPソリューションを提供します。

・企業ではたらく人の健康管理を支援している株式会社ドクタートラストが提供する「ストレスチェック」において、働きやすい職場として1,158社中2位を獲得いたしました。テラスカイは、組織の信頼関係に着目した指標「TRUSTY SCORE(職場環境指数)」が良好であり、特に上司・同僚のサポートの充実や、職場の雰囲気が友好的であることが高く評価されました。

・Clarivate Plc(本社:英国ロンドン)と、日本国内のインプリパートナー契約を締結しました。本契約では、知財管理システム「IPfolio ™」の日本における導入プロジェクトに関するパートナーシップについて合意しました。両社は、IPfolio™を活用したエンド・ツー・エンドの知的財産ライフサイクル管理を顧客が円滑に運用・活用できるよう、導入支援を行ってまいります。

・SalesforceのAgentforceパートナーネットワークに参加し、Agentforce対応のmitoco Copilotを、リリースしました。

2024年10月

・株式会社九州テン(本社:福岡県福岡市)が、テラスカイが提供するSalesforceをプラットフォームとする会計システム「mitoco会計」を正式に採用したことを発表しました。

・グループウェアmitoco(ミトコ)は、アイティクラウド株式会社(本社:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2024 Fall」において、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。グループウェア部門での受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、10回連続となります。

・株式会社テラスカイ・テクノロジーズ(本社:東京都中央区)は、AWS(Amazon Web Services)とSalesforceの研修コースを新設しました。研修を通じてテラスカイ・テクノロジーズが保有するAWSやSalesforceの知見・ノウハウを提供し、顧客企業の内製化・DXを支援します。

2024年11月

・株式会社Quemixは、SCSK株式会社(本社:東京都江東区)と、今後の実用化が期待される量子コンピュータの社会実装に向けた研究開発の加速と材料計算市場での事業拡大を目的とした資本業務提携を締結しました。

2024年12月

・プロバスケットボールチーム「島根スサノオマジック」とオフィシャルパートナー契約を締結しました。同チームは、現在B1リーグの西地区に所属しています。

・VC子会社である株式会社テラスカイベンチャーズが運営する「TSV1号投資事業有限責任組合」の投資先、GVA TECH株式会社(本社所在地:東京都渋谷区)が、2024年12月26日東京証券取引所グロース市場へ新規上場しました。

・盛岡市と立地協定を締結しました。2025年8月に盛岡市内でサテライトオフィスの設立を予定しています。

2025年1月

・鹿児島県及び鹿児島市と立地協定を締結しました。本締結により、2025年8月に鹿児島市内でサテライトオフィスの設立を予定しています。

・グループウェア「mitoco(ミトコ)」は、アイティクラウド株式会社主催の「ITreview Grid Award 2025 Winter」において、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。グループウェア部門での受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、11回連続となります。

・ACCELQ, Inc.(本社:米国ダラス)と、日本国内の販売契約を締結しました。ACCELQの国内販売権を獲得するのは当社が初めてとなります。Salesforceを導入し内製開発を推進する企業や、Salesforce開発のシステム・インテグレーターを中心に積極的に提案・販売し、企業のシステム内製化ならびにDXを支援してまいります。

2025年2月

・株式会社Quemixは、QCWare(米国カリフォルニア州)との共同主催で、2025年5月15日・16日に「Q2B 2025 Tokyo」を開催することを発表しました。「Q2B」は量子コンピュータのビジネス応用に関する国際会議と展示会で、国内外の量子コンピュータベンダーと国内の研究者・政府関係者・エンドユーザー・投資家を繋ぐエコシステム創出の場として、パリ・シリコンバレー・東京で開催される世界的な会議です。

・株式会社テラスカイ・テクノロジーズが、2025年3月に東京都中央区日本橋に「リスキリングセンター」の開設を発表しました。当センターはSalesforceおよびAWS領域におけるエンジニアの育成に特化し、デジタル人材不足が深刻化する日本の社会課題の解決に貢献してまいります。

 

※用語解説

(注1)Tableau(タブロー):

Tableauは、直感的に誰でも手軽にデータの探索ができるデータ分析プラットフォーム。Salesforceは、営業支援ツール(SFA)と顧客関係性を管理するツール(CRM)の両方を備えており、Salesforceの営業支援と顧客管理にTableauのビジュアルデータ分析が加わることで、より強固なBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールとなる。

(注2)Agentforce(エージェントフォース):

セールスフォース社が提供するAIエージェントプラットフォーム。カスタマーサポートや営業、マーケティングなどの業務を効率化するために、自律的に行動しサポートしてくれるAIアシスタント。

(注3)クラウド・マイグレーション:

サーバーなどの機器を自社が管理する施設(ビルやデータセンターなど)で運用するITシステムの環境から、AWS(Amazon Web Services)、Google Cloud PlatformやMicrosoft Azureなどのパブリック・クラウドにシステムを移行すること。

(注4)量子コンピュータ:

量子力学の現象を情報処理技術に適用することで、従来型のコンピュータでは容易に解くことのできない複雑な計算を解くことができるコンピュータであり、量子ゲート方式と量子アニーリング方式の大きく2つに分類される。量子ゲート方式は、従来型のコンピュータの上位互換としての期待が高く、GoogleやIBMなどの大手ITベンダーやスタートアップがハードウェアの開発を進めている。量子アニーリング方式は、組み合わせ最適化問題を解くことに特化している。

 

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。

 

a.進捗度に基づく収益認識

 財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積り、当該進捗度に基づき収益を認識しております。

 進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した原価又は工数が、見積総原価又は見積総工数に占める割合に基づいて行っております。

 進捗度に基づく収益計上の基礎となる見積総原価又は見積総工数はプロジェクトごとに算定しております。各プロジェクトで要員管理・進捗管理・予算管理を行っておりますが、予期し得ない不具合の発生等により、開発工数が大幅に増加し、不採算プロジェクトが発生するような場合には、売上原価が増加することによりその結果進捗度が変動する可能性があり、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析

 経営成績等の分析については、「(1)経営成績等の概要」に記載しております。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金の流動性に関して、当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローにより1,558,523千円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローにより1,008,785千円減少、財務活動によるキャッシュ・フローにより345,438千円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ896,261千円増加し、6,512,437千円となりました。当社の主な資金需要は、ソリューション事業・製品事業に係る人件費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにソフトウェア制作にかかる投資、子会社設立による新規事業の立ち上げ、及びM&Aの実施等であります。これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄えるものと判断しておりますが、必要に応じ銀行借入等により対応してまいります。

 

d.経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループは、「クラウド世代のリーディング・カンパニー」を目指し、クラウド市場の発展に貢献することを当社グループの方向性として定めております。

 当社グループがこの方向性を目指し、日本トップレベルの技術力を維持し、クラウド環境における新しい変化を捉え、その市場のリーダーとなるためには、経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対して、弛まぬ努力をもって対処していかなければならないことを認識しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

重要な契約等

契約会社名

契約締結日

契約内容

契約期間

株式会社NTTデータ

(提出会社)

2024年4月12日

日本国内でのSalesforceマーケット向上、推進に関する資本業務提携

契約期間の定めなし

株式会社セゾンテクノロジー

(旧株式会社セゾン情報システムズ)

(提出会社)

2023年9月1日

データ連携ソフトウェアの商品化、販売権及び使用許諾権等に関するOEM販売

2023年9月1日から

最長2027年8月31日まで

株式会社セールスフォース・ジャパン

(旧株式会社セールスフォース・ドットコム)

(提出会社)

2014年9月30日

「Salesforce」のライセンス販売

2014年9月30日から

2017年9月29日まで

(双方の合意により更新)

Amazon Web Services, Inc.

(連結子会社)

2019年3月18日

AWSの販売契約

契約期間の定めなし

Microsoft Corporation

(連結子会社)

2019年12月16日

Azureの販売契約

終了されるまで有効に存続

Google Cloud Japan G.K.

(連結子会社)

2020年3月19日

Google Cloudの販売契約

終了されるまで有効に存続

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは2019年6月に量子コンピューター関連事業を行う株式会社Quemixを設立いたしました。量子コンピューターは現時点では未成熟なハードウェアであり実用的な課題を解くことはできませんが、近い将来の進化を前提とした場合、いままでのコンピューターで処理できなかった複雑な問題を解けるようになることが期待されています。株式会社Quemixではその到来に備え、アルゴリズム(量子コンピューターによる解法)の蓄積と、量子コンピューターを使い易くするソフトウェアの開発を目的とし、企業や大学との共同研究を推進し、その成果を元にした受託開発やコンサルティングを行っております。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は170,814千円であり、ソリューション事業に計上しております