第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「社員の生活を守り、且つ社会に貢献する」の経営理念のもと、「顧客起点」を企業理念の中核としてサービスを提供しております。変化の激しい経営環境にあって、中期経営方針を「付加価値の追求と変化対応への取り組みから、経営の安定成長を目指す」として、事業に取り組んでおります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、事業の発展を通じて、企業価値の継続的向上を目指しております。売上高成長率、営業利益率および経常利益率の向上、1株当たり当期純利益の向上、高水準でのROEの維持に努めてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 次の戦略で、中期経営方針の実現をめざします。

 

①5つの基本的な事業戦略

  ・リノベーション(既存事業の改革による事業基盤の強化・安定化)

  ・イノベーション(自社商品を軸とした新しい価値創造)

  ・競合から協業へ(協業による事業拡大)

  ・開発からサービスへ(サービス視点での事業拡大)

  ・人材調達・人材育成(採って育てる)

 

②「分散(部分最適)と集中(全体最適)」の組織戦略

  ・カンパニー制による部分最適の推進(変化対応・専門特化・経営者育成)

  ・本部制/営業統括機能による全体最適の推進(統制・統括・コラボレーション)

 

③今後の具体的なビジネス展開

 「事業基盤の安定化」と「成長要素の強化」の2軸に力を入れてまいります。

  「事業基盤の安定化」

   ・経営資源を成長分野で且つ得意領域の分野に傾斜配分

   ・安定収益基盤で成長著しい運用サポート事業を拡充

  「成長要素の強化」

   ・システムレジリエンス思想によるセキュリティ商品のファミリー化と拡販、同思想に基づき、WebARGUSの機能向上並びにIoT版WebARGUSの適用領域の拡大、外部サイバーセキュリティ企業との協業によるトータルサイバーセキュリティサービスの提供

   ・Excel業務イノベーションプラットフォームである「xoBlos」や各種RPAやERP製品とシームレスに連携する機能を備えた商品などの販売促進

   ・新たな自社商品への開発投資

 

(4)経営環境

 我が国経済全般については、2025年7月に内閣府より ―景気は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、緩やかに回復している。― 「先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。」という先行き見通しが出されています。

 一方、国外では、米国の通商・経済政策の動向が世界経済に影響を及ぼしているほか、地政学リスクも継続しており、世界経済の先行きは依然として不透明な状況となっています。

 当社が属する情報サービス産業では、AI、IoT、クラウドコンピューティング、ビッグデータ分析、量子コンピューティングなどの先端技術が引き続き発展しており、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)は今後も加速するものと見込まれています。特に、生成AI関連の技術革新が著しく、その活用が各業種・業務に広がりを見せており、新たなサービスの創出が進展することが予想されています。

 このような環境のもと、当社は、不透明な経済情勢や技術革新の加速といった変化に対し、強みである変化対応力を活かし、果敢に挑戦してまいります。

 

(5)会社の対処すべき課題

 当社グループは経営の安定化と成長性を目指すために、次の課題を継続的に対処してまいります。

 

①収益力の強化について

 付加価値の追求と変化対応への幅広い取り組みにより、現業の業容拡大を図ってまいります。また、市場ニーズに対応した商品を継続的に開発販売することにより、技術者数に依存しない新たな高収益モデルを確立してまいります。

 

②人材の確保と育成について

 当社の継続的な発展を実現するためには、優秀な人材の確保と社員一人ひとりの成長を支える育成の強化が必要であると認識しております。しかしながら少子化が進む中、新卒、即戦力である中途採用及び協力会社からの技術者確保が厳しくなっております。このような状況の中、以下の取り組みを推進してまいります。

・社員の定着、社員満足度向上のための環境作り

・優秀な外注要員の安定的な調達を図るための協力会社との紐帯強化

・地方拠点(松山市、仙台市、函館市、北斗市)を活かした地元志向の優秀な人材の採用・育成による、あらゆる仕事に対応するIT多目的センターの構築及びこの地方モデルの他の新たな地域への展開

・相乗効果を発揮できると期待される会社との積極的なM&A

・専門性と実務力の向上を図るため、集合研修の充実やeラーニングの活用による継続的なスキルアップ支援

 

③価格競争への対応について

顧客のコスト競争力の追求は依然として続いており、国内市場の競争は厳しさを増しております。当社は、顧客の求めるQCD(注1)を提供することで、顧客満足度を上げる取り組みを行っております。その中で、技術者の付加価値を向上させ、顧客にとって無くてはならない立ち位置を築き、価格競争に巻き込まれない対応を図ってまいります。

一方、地方拠点のIT多目的センターを活用した「高度ニアショア開発」(注2)により、低価格競争への対応も図ってまいります。

 

(*1)顧客の求めるQCDとは、高品質(Quality)、低価格(Cost)、短納期(Delivery)を意味します。

(*2)「高度ニアショア開発」とは、国内の地方拠点において、付加価値の高い技術者集団によって行うコストパフォーマンスの高い開発方式です。

 

④内部管理体制の強化について

 継続的な成長を続けることができる企業体質の確立に向けて、リスク管理や業務運営効率化のための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。業容の拡大に合わせ、内部統制システムの適切な運用と整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するため、継続的に体制強化に取り組んでまいります。

 

⑤プロジェクトマネジメントの強化について

 下記プロジェクトマネジメント強化の取り組みを通して、不採算案件の抑制に努め、収益性と顧客満足度の向上を図ってまいります。

・一定規模以上の案件を対象に、開発プロセスの重要なフェーズごとにプロジェクトレビューを実施

・品質管理部門にて、プロジェクト開発における実行可能性検証、進捗管理、品質管理、リスク管理等全般を統括

・品質管理部門による受注段階からのレビュー強化によるリスクの早期発見と品質・プロジェクト管理の徹底

・プロジェクトマネージャの育成

・パートナー企業との関係強化

・顧客折衝力の強化

 

⑥景気動向に影響されない収益基盤の確立について

 ソフトウエア開発事業においては、主な顧客と定期的な情報交換を行うことで、安定的な仕事の確保を行い、景気動向に左右されにくい収益基盤の構築を図ってまいります。

 また、景気の変動を受けにくい運用サポート事業や維持保守業務(注3)の領域に注力し、業務知識の深耕と顧客に寄り添った行動を進め、顧客の信頼を獲得することで事業の拡大を図ってまいります。

 なお、当社は海外との直接取引は少ないものの、一部顧客である車載関連メーカーが、米国の関税政策等の国際的な経済政策の影響を受ける可能性があるため、今後の外部環境の変化に注視し、柔軟に対応してまいります。

 

(*3)維持保守業務とは、開発後にシステムを安定稼働させるため継続的に障害対応や機能改善を行う業務です。

 

⑦技術革新への対応について

 近年、生成AIをはじめとする先端技術の進展が著しく、その活用はさまざまな業種・業務に広がりを見せています。こうした技術の進化は、新たなサービスやビジネスモデルの創出を促進するとともに、産業構造の変革をもたらす可能性があり、当社においても、この流れを的確に捉え、新たな技術の研究開発を強化して取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、当社が掲げる企業理念に基づいて行う経営が、当社グループの永続的な成長と持続可能(サステナブル)な社会の実現につながるものと認識しています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

◆企業理念

 

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 当社のロゴマークは、無限階段がついた立方体の集合体となっています。

 この集合体こそが、当社そのものであり、立方体一つひとつが社員一人ひとりを表しています。

 立方体の6つの面は、全社員が共有し、大切と考える6つの価値を表しています。

 この価値をお客様、会社、社員の3層で言葉に表したのが、当社の企業理念です。

 当社の企業理念の第一は「顧客起点」であり、お客様のニーズをしっかりとらえ、業界動向・市場動向を踏まえつつ、当社が得意とする技術領域をミックスして、お客様のビジネスの価値を高めるための提案をしていくことが企業の存在意義であります。

 企業理念の第二に、社員の「育成」「コミュニケーション」を掲げており、社員の技術力向上とコンピテンシー(優れた成果を創出する個人の能力・行動特性)を高めることが、事業を支える必須事項になります。

 企業理念の第三に、「付加価値の向上」「熱い情熱をもつ」「目的・目標をもつ」を掲げており、社員ひとりひとりが個々で成長することが企業の成長につながります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関するガバナンス体制について、代表取締役社長を議長とする取締役会において、気候変動に伴うリスクと機会の管理および評価を含めたサステナビリティ課題の管理・監督を行うこととしております。

 なお、2024年9月に取締役副社長を委員長とし、事業本部および管理本部から委員を選出して、サステナブル委員会を立ち上げました。今後、当委員会においては、サステナビリティ関連の各種情報を収集し、施策の立案・展開・進捗管理を行うとともに、リスク管理の強化および機会を効果的に活用するための統制活動を推進してまいります。

 

(2)戦略

 当社グループは、課題・マテリアリティを以下の通りに設定し、それぞれ取り組みを行っています。

課題

マテリアリティ

環境

環境課題に関する意識の醸成

社会資本

顧客のプライバシーおよびデータ保護

地域社会への貢献

人的資本

従業員の働きがい醸成、教育・育成制度

従業員の健康と安全

従業員の多様性・参画

ビジネスモデル&イノベーション

競争力強化に向けた取り組み・イノベーション

サプライチェーンマネジメント

◆環境

◎環境課題に関する意識の醸成

①認識

 持続可能な社会を目指すうえで、地球環境保全に向けた気候変動問題の解決は国際的な重要課題であると認識しています。

 「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」「世界の温室効果ガス(GHG)排出量をピークアウトさせ、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と吸収量のバランスをとる」の2つを世界共通の長期目標とした2015年のパリ協定を批准した日本政府も「2030年 GHG排出量 2013年比46%削減」「2050年 カーボンニュートラル実現」を宣言しました。

 脱炭素社会への移行は、持続可能な社会への貢献を目指す当社グループにとっても責任をもって取り組むべき重要な課題であると認識しています。

 

 当社グループでは、気候変動による平均気温の上昇と、それに伴う社会情勢の変化や災害リスクを重要視し、対策を進めることとしています。

その一環として、気候変動がもたらす短期・中期・長期それぞれの「リスク」と「機会」を特定し、シナリオ分析を実施しています。

シナリオとしては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つを参照しました。

これは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル, Intergovernmental Panel on Climate Change)第6次報告書やCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)でみられるように、産業革命期からの地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑える水準で取り組みが国際的に求められている点を考慮しています。

今回、政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートを参考に、気候変動がもたらす移行リスク(政策・法規制、市場、評判)、物理リスク(急性、慢性)、ならびに気候変動への適切な対応による機会(製品及びサービス、市場、レジリエンス)について、網羅的な検討を行いました。

 

イ.シナリオの前提

リスク種類

設定シナリオ

参照シナリオ

概要

移行リスク

1.5℃シナリオ

国際エネルギー機関(IEA), 「World Energy Outlook 2022」Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZEシナリオ)

21世紀までの平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ。

持続可能な発展を実現するため、大胆な政策や技術革新が起こり、その分脱炭素社会への移行にともなう社会変化が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。

物理的リスク

4℃シナリオ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC), 「IPCC第6次評価報告書(AR6)SSP5-8シナリオ」

21世紀までの平均気温の上昇が4℃程度上昇する。

成り行き任せに近く、社会の変化は起こらないが、気候変動に伴う異常気象や災害が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。

 

ロ.シナリオ分析の対象範囲

項目

シナリオ分析対象範囲

地域

日本国内

対象事業範囲

全事業

企業範囲

連結対象

時間軸の定義

短期:2025年頃まで、中期:2030年頃まで、長期:2050年頃まで

 

 

ハ.シナリオ分析結果

<リスク>

区分

リスク項目

時間軸

影響

政策・法規則

炭素税の導入

中期

Scope1,2の排出に対し、炭素税負担が求められることによる伴うコストが増加するリスク

設備投資の増加

中期

GHG排出量削減に伴い、自社設備/オフィスにおける省エネ対応のための設備投資コストが増加するリスク

技術

企業イメージの低下

中期

サービスの開発・提供の推進を含む、脱炭素に関する技術開発不足と判断された場合の企業ブランドイメージが毀損するリスク

市場

再エネ料金負担の増加

中期

オフィス・データセンターにおける再エネ化に伴う電気料金の負担が増加するリスク

取引先からの選定

中期

気候変動対応の遅れにより、大手の取引先企業が競合他社に移行してしまうリスク

EV対応需要の増加

中期

CO2削減のためのEVの普及にともない、対応するソフトウエア技術の習得が遅れることによってシェアが低下するリスク

評判

ステークホルダーからの評判低下

中期

気候変動対応が不十分の場合、顧客、投資家、金融機関、従業員といった各ステークホルダーからの評価が低下し、人材採用コストや資金調達コストが増加するリスク

急性物理的

サプライチェーンの寸断

中・長期

サプライチェーンの寸断により、子会社が取り扱う事務機器が納品できなくなるリスク。

洪水・台風の被害

中・長期

サービス提供に関わる事務機器在庫等のハードウェアへの物理的損害による損失リスク

交通機関の麻痺

中・長期

エネルギー供給停止や交通機関のマヒによって客先に人材が移動できないことによる業務停止リスク

慢性物理的

空調料金の増加

中・長期

オフィスやデータセンターの冷房設備の稼働が高まり、電気料金の負担が増加するリスク

感染症の蔓延

中・長期

感染症の蔓延により稼働人材が減少することによる売上減少のリスク

 

<機会>

区分

機会項目

時間軸

影響

リソースの効率化

エネルギーの効率利用

中・長期

GHG排出削減やエネルギーの効率的利用に向けたICT活用によるサービスの需要増

製品およびサービス

クラウド志向の促進

中・長期

クラウド志向が進むことによるクラウドの需要増

市場

リモートワークの増加

中・長期

気温上昇にともなう在宅勤務・ワーケーション普及等、顧客企業の就業環境の変化によって、セキュリティ製品の需要が増加する

BCP対策・DX化の進展

中・長期

企業のBCP対策・DX化の進展に合わせたシステム需要が増加する

ステークホルダーからの評判

中・長期

環境対応に積極的な姿勢を示すことで、主要取引先やエンドユーザーからの信頼が強化される

レジリエンス

EV対応需要の増加

中・長期

CO2削減のためのEVの普及にともない、対応するソフトウエア技術を活用した販売機会が増加する

 

 

②現状・取り組み

イ.温室効果ガス(GHG)排出量の把握

 当社グループは、2024/6月期よりScope1・2・3のCO2排出量を算定しています。算定にあたっては、GHGプロトコルに基づき、国内外の全拠点を対象としています。

項目

2024/6月期(t-CO2)

2025/6月期(t-CO2)

Scope1(注1)

110

103

Scope2(注2)

327

333

Scope3(注3)

8,850

10,868

(注)1.事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセスを含む)

2.他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

3.Scope1・2以外の間接排出で、事業者の活動に関連する他社の排出

 

ロ.ペーパーレス化の推進

 主にバックオフィス部門にて不要なもの、データ化ができるものを識別し、可能な限りペーパーレス化を図っています。また、電子契約アウトソーシングサービス「DD-CONNECT」をはじめとした当社製品の使用は、当社グループ及び導入先のペーパーレス促進にも寄与しています。

 

ハ.テナントとしてのビル管理会社とのエンゲージメント

 当社では、テナントとして入居するオフィスの電力利用状況についても電力使用量及び温室効果ガス排出に関する意識を有することが重要であると考え、ビル管理会社に温室効果ガス排出量の削減目標および施策などをヒアリングし、以下のような回答を得ています。

 

削減目標

*エネルギー消費量の削減目標に従い、短期的には毎年1%の原単位の低減を目標とする。

*エネルギー消費量の削減目標に従い、中長期的には2021年~2025年の5年間で5%の原単位の低減を目標とする。

取り組み

<ビルオーナーとしての取り組み>

*共用部照明のLED化実施

*専有部照明のLED化実施

*空調設備更新を実施

<入居者への働きかけ>

*毎月の請求書に電気使用量明細を添付し、節電の呼びかけ

再生エネルギーの使用

現在、再生可能エネルギーは使用していない。

 

ニ.新幹線利用時のCO₂削減に向けたGreenEX活用

 当社は、環境負荷低減の取組みの一つとして、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社が提供する、CO2排出量実質ゼロ化のサービス「GreenEX」を導入いたしました。

 「GreenEX」は、エクスプレス予約法人会員が東海道・山陽・九州新幹線を使用し、移動した場合のCO2排出量を実質ゼロとするサービスです。

「GreenEX」のスキーム

(イ) JR各社が電力会社からCO2フリー電気(※)を購入

(ロ) GreenEXを契約している法人の新幹線利用分に対してCO2フリー電気を充当

(ハ)JR各社が法人に対して新幹線移動サービスを提供

(ニ) 法人がGreenEX利用料を支払い

(ホ)JR各社が法人に対してCO2削減効果の証書発行

※CO2フリー電気:太陽光発電など、発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギー電源由来の非化石証書を付与した電気

 

ホ.その他

 オフィスにおける適切な室温管理、節電(スペース不使用時の消灯など)を周知徹底しています。

 

◆社会資本

◎顧客のプライバシーおよびデータ保護

①認識

 プライバシーの保護が不十分だと、顧客からの信頼が失われ、ブランドイメージが損なわれるだけでなく、最悪の場合、訴訟を起こされるリスクもあります。一方で、法令を遵守し、高いデータ保護基準を満たすことで、競争優位性を確保することができます。

②現状・取り組み

 個人情報保護に関する法令およびその他の規範を遵守するため、個人情報を含む多種多様な情報を大量に取扱う情報サービス業の特性を踏まえ、ルール及び体制を確立し、適切な実施運用に努めています。

 そのため、「個人情報の取扱い(取得・利用・提供)告知書」「個人番号及び特定個人情報の適正な取扱いに関する基本方針」から成る個人情報保護方針を定め、これを実行し維持することを宣言しています。

 2007年4月にプライバシーマークを取得しました。

 

◎地域社会への貢献

①認識

 当社グループは、企業の社会的責任(CSR)を果たすことが期待されており、地域社会への貢献を通じて地域経済の発展や社会的信頼の構築に寄与することが求められていると認識しています。また、地域社会に貢献することで地元人材の確保や知名度の向上が期待でき、これが長期的なビジネスの安定と成長に繋がると考えています。

②現状・取り組み

 2013年4月、創業者の出身地である愛媛県に、ビジネスソリューション事業とコンピュータ販売事業を行うカンパニーである愛媛カンパニーを設立しました。

 四国の新卒を中心に人材を採用しており、2025年6月末現在の従業員数は79名で、大学や専門学校などと長い時間をかけて強固な関係を構築しています。

 また、Jリーグ所属のサッカーチーム愛媛FCを運営する株式会社 愛媛FCの企業理念である「地域経済の活性化に貢献する」「サッカーを通じて、全国に愛媛の情報を発信する」に共感し、愛媛FC・愛媛FCレディースのスポンサーとなっています。

 

◆人的資本

 当社グループは、人的資本を企業の持続的成長に不可欠な要素と考えており、これを軽視することは競争力の喪失や社員のモチベーション・満足度の低下、さらには離職率の増加につながるリスクがあると認識しています。そのため、企業理念において「育成」を重要な役割として掲げ、社員の技術力向上とコンピテンシー(成果を創出する個人の能力・行動特性)の強化に努めることとしています。

 

 中期経営計画では「経営基盤の確立」を基本戦略とし、会社の財産である社員を増やし育成する「人的価値の向上」を主要施策として掲げています。新卒採用、中途採用の積極化、教育、研修制度の拡充・体系化、資格取得報奨制度(プロジェクトマネジメント資格、クラウド資格、ERP資格及びAI資格等)の拡充を推進しています。

 さらに自発的なサークル活動(ランニング同好会、バスケ同好会等)や課外活動を支援しています。今後も全ての社員のエンゲージメント向上に向け、「育成」の機会の充実を目指します。

 

 なお、人的資本に関わる指標については、各連結子会社で制度が異なり、また、連結従業員数の8割強を提出会社が占めていることから、その重要性を踏まえ、提出会社の数値で記載しております。

 

◎従業員の働き甲斐醸成、教育・育成制度

①教育・育成制度

 「人的資本強化」のため、以下のような研修制度を運用しています。

イ.新入社員研修

 翌年4月1日入社予定の内定者に対し、10月から2月にかけプログラミングの基礎、PC操作、ビジネスマナーなどを身に付けてもらうための入社前研修を実施しています(書籍、参考資料配布等による各人での知識習得、メールによる課題提出及び当社会議室での集合研修)。

 4月の入社後は4~5月に集合研修を行い、ビジョン、社会的な存在意義、未来像、各カンパニーの役割・事業内容など「DITとはどんな会社なのか」を、社長の市川をはじめ、各カンパニーの社長が講師となって説明しています。また、入社前研修をベースにしたJava、C言語などコンピュータ言語やITインフラ知識など業務知識の本格的な習得を目指します。

 6月からは各カンパニーに配属され、カンパニーごとのカリキュラムに沿い、OJTトレーナーの指導の下、OJTで仕事を覚えていきます。

 翌年2月には各カンパニーでのOJT研修の発表会を実施し、各自がその時点までの到達点を確認し、以降の成長に向けた目標や課題を設定します。

 新卒社員の戦力化に向け、入社前研修から1年5か月にわたり、フォローアップします。

ロ.年次研修

1年次研修

IT業界についての理解、IT業界における自身のミッションを明確にする。

2年次研修

ある程度の経験を積んだ上で、今後の自身の成長の道筋、キャリアパスを考える。

3年次研修

部下が付き、OJTトレーナーとなる場合も、上手なコミュニケーションを取りながらのプロジェクトの進め方を身に付ける。

ハ.管理職育成研修

初級リーダー研修

組織人として必要な基礎的教養、現場リーダーに求められる基本的能力の理解、管理職としての基盤的知識の習得を目指します。

中級リーダー研修

上級管理職と現場リーダーの中間に位置し、部下リーダーを介して複数の組織を率いるリーダーに求められる基本的能力の理解を目指します。

上級リーダー研修

自己完結的かつ大規模組織を率い、それらの組織の方針決定等を行うリーダーに求められる基本的能力の理解を目指します。

ニ.eラーニング研修

 社員の自律的な能力開発を支援する施策の一環として、全社員が利用可能なeラーニングを導入しています。これにより、時間・場所に制約されずに学習できる環境を整備し、継続的なスキル向上を推進しています。

 

◎従業員の健康と安全

①健康経営の推進

 企業理念の第一は「顧客起点」であり、顧客のニーズや業界動向・市場動向を的確に捉え、自社が得意とする技術領域をミックスして、顧客のビジネスの価値を高めるための提案をしていくことが重要であると考えています。

 そのためには社員が心身ともに健康で充実感を持って取り組める職場環境が必要であり、常に社員の健康状態を観察すると共に職場環境の改善を図っています。

 健康経営の一環として、長時間労働を抑制するためのアラート、改善指示、検診義務化を図り、有給休暇を取得しやすいよう有給休暇取得奨励日を設定し、また、取得状況を管理しています。

 また、従業員が安心して働ける職場環境の整備に取り組んでおり、その一環として、福利厚生の充実度を評価する「ハタラクエール」制度において「福利厚生推進法人」の認定を取得しています。

 

②メンタルヘルスケア

 全社員を対象に1年に1度アンケートを実施して社員のメンタルヘルスの状況の把握に努めています。

 メンタルヘルスに不調を抱える社員に対しては、社内に常駐する公認心理師による相談窓口を設置し、専門的な心理アセスメントやカウンセリングを通じて、社員の心身の健康維持および職場での安心・安全な就労環境の確保に努めています。

 

③ハラスメント防止

 ハラスメントに関する講習会や研修を実施し、ハラスメント防止の意識醸成に努めているほか、全社員を対象にアンケートを年2回実施し、状況把握に努めています。

 問題案件については会社が顧問の社労士と共に対応を協議し、対象者に対し状況の聴取・確認、指導を行っています。

 情報を把握し適切な対応を取ることで、問題案件の件数は減少傾向にあります。

 

④労働基準法等就労関連法令に準拠した社内規程の整備、運用

 就労関連法令に準拠した社内規程の整備、運用を行っています。

 

◎従業員の多様性・参画

 ダイバーシティが謳われる前から年齢や性別に拘らず、実績のある社員は責任ある管理職へ登用するとともに、女性が働きやすい環境や制度を整えてきました。

 今後もシニアの活用、ジェンダー平等はもとより、育児時短勤務など社員の様々な事情に合わせた多様な働き方を取り入れ、働きやすい職場環境作りを推進します。

 

*女性の登用

 2025年6月末現在の女性管理職は9名、管理職に占める割合は7.8%。今後も能力ある女性を積極的に管理職に登用し、2027年までに女性管理職比率20%とすることを目指します。

 

*外国人の登用

 外国人の採用は、新卒採用を中心に行っており、2025年6月末現在10名で当社の従業員の1%未満ですが、今後も新卒、中途を問わず、能力のある人材については積極的に採用を行っていきます。

 

*障がい者雇用の推進
 障がい者の採用も積極的に行っており、入社後も安心して働ける環境づくりに取り組んでおります。

 

◆ビジネスモデル&イノベーション

 当社グループは、変化の激しい市場環境において持続的な成長を実現するためには、競争力の強化とイノベーションの推進、そして効果的なサプライチェーンマネジメントが不可欠であると考えています。

 

◎競争力強化に向けた取り組み・イノベーション

①人材の採用・育成・離職防止

 人材を確保し、育成することが最重要課題であると認識し、採用・育成・離職防止に取り組んでいます。

 採用については、中期目標として毎期100名程度を定常的に採用すべく、新卒中心に採用活動を強化しています。また、地方拠点を活用した人材の確保に加え、M&Aによる人材の確保にも取り組んで行きます。

 育成については、上記の研修制度と並行し、リーダーが中心となってプロジェクトを推進する過程で、サブリーダー、中堅、若手を指導、教育するというOJTを中心に据えています。また、常に新しい市場や技術のトレンドを追いかけ投資を行って人材を振り向けていきます。全社的なレベルアップを図り、ITに関する各種資格取得を会社として更にバックアップしていきます。

 離職防止については、給与水準のアップを図ると共に、カンパニー制の強みを生かし、小さい組織体系で社員同士のコミュニケーションを図ることで離職率低下に努めています。

②知的財産の強化

 中期経営計画で「商品力強化」を基本戦略としており、時代のニーズに適合する商品開発に継続して取組むことで、研究開発・特許等の知的財産への投資を推進しています。

 

◎サプライチェーンマネジメント

 重要なステークホルダーである協力企業の選定に際しては、機密保持、セキュリティルールの遵守、セキュリティ監査実施、反社会的勢力排除のため、管理規程を制定し、選定基準、選定プロセス等を定めることによりコンプライアンスや情報セキュリティ等の法令遵守に努めており、現状約250社と取引しています。

 加えて、独占禁止法における役務の委託取引における優越的地位の濫用にあたることがないよう、パートナー推進部が取引状況をチェックしています。

 また、プロダクトソリューション事業においては、アライアンス先、販売パートナーとのWin-Winの関係を構築することにより、事業推進を図っています。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、事業継続リスクを含めた事業を取り巻くさまざまなリスク及び機会に対して管理を行うこととしております。この取組みの的確な実践を可能とすることを目的にリスク管理規程を定めており、同規程に基づいて設置したリスク管理委員会を通じて全社的・総合的なリスク管理を推進・実施しております。リスク管理委員会は、経営企画部門担当取締役が委員長となり、各事業部門の責任者を委員とするメンバーで構成されており、定期開催に加えて、重要なリスクについては必要に応じて追加開催し、リスク事象の確認・評価・対応方針の決定等を行っています。さらに、2024年9月にはサステナブル委員会を新たに立ち上げ、気候変動などのサステナビリティ関連リスクに関する議論を行い、その内容をリスク管理委員会と共有する体制を整えました。

 

(4)指標及び目標

 環境に関わる指標につきましては、経営を行う上で一部計測はしておりますが、当社が今後、目標とする指標について現在検討中です。決定した段階で速やかに公表してまいります。

 また、人的資本に関わる指標につきましては、女性の活躍の場を広げるため、下記指標を掲げております。

指標

実績(2025年6月期)

目標

女性管理職比率

7.8

2027年までに20

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の投資判断上、有用であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項も慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクのすべてを網羅するものではありません。

 

(1)市場環境に関するリスクについて
①必要な技術の確保について
 当業界においては、技術革新のスピードが速いため、先進のノウハウと開発環境を保有し、かつそれらを継続的に進化させていく必要があります。当社グループにおいては、常に新しい技術を利用したシステム構築に挑戦しており、迅速な環境変化に対応できるよう技術者の採用・教育、開発環境の整備等を進めておりますが、当社グループの想定を超える技術革新等による著しい環境変化等が生じた場合は、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
②価格競争激化の可能性について
 当業界においては、技術者の不足や人件費の高騰に伴い、安価な労働力を大量に得られる等の理由から、“オフショア開発”を行う企業があります。“オフショア開発”とは、システム開発・運用管理などを海外の事業者や海外子会社に委託することです。現在、アジア諸国企業の日本進出も始まっており、今後価格競争が一層激化することが予測されます。当社グループはこうした状況に対し、営業力や技術力の強化、生産性向上等により対応する所存でありますが、予想以上に競争が激化した場合には当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

③国際的な経済政策等の影響について

 国際的な経済政策や貿易摩擦、関税措置、地政学的リスク、資本市場の変動などの外部環境の変化は、顧客企業の投資判断や開発需要に影響を及ぼす可能性があります。特に、自動車業界に代表される輸出産業においては、関税政策の変更が事業環境に大きな影響を与えるおそれがあり、その結果として当社グループの受注動向や業績に波及する可能性があります。

 

(2)当社グループ事業に関するリスクについて
①人材の確保、育成について
 当社グループのビジネスソリューション事業及びエンベデッドソリューション事業においては、人材、特に情報処理技術者の能力や資質に大きく依存しております。当業界においては、国内外の競合各社との厳しい競争に直面しており、当社グループは人材こそが他社との差別化戦略のキーであると位置付け、有能なプロ集団としての技術者、業務ノウハウの保有者、管理者等の確保・育成に努めております。しかし、そうした人材の確保・育成が計画通り行えなかった場合、当社グループが受注した案件に対応し得る十分な体制を確保できなくなり、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

②契約形態の変更について
 当社グループのソフトウエア開発事業における顧客との契約形態には、請負契約と派遣契約とがあり、業務の実態に合わせて適切な契約形態を選択しておりますが、派遣契約の場合、顧客の事業場における外部委託の活用が出来ません。当社グループの契約全体に占める派遣契約の割合が増加した場合、技術者の確保に支障が生じ、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
③不採算プロジェクトについて
 当社グループの受託ソフトウエア開発では、業務の性質により受注時に開発規模等を正確に見積もることが困難な場合や受注後の諸条件の変更により、プロジェクトの採算が悪化する場合があります。
また、当社グループの提供するソフトウエア製品・サービスにおいて、不具合(バグ)の発生やサービス不良等の品質上の問題により手直し等の追加コストの発生や損害賠償が発生する可能性があります。
これらは、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
④売上原価について
 当社グループの売上原価の大部分は、技術者に係る人件費・外注費で構成されております。当社グループ社員の人件費は固定費であり、当社グループの受注量が急減して稼働率が低下した場合においても、それに応じて技術者に係る人件費が減少するわけではなく、当社グループの収益性が悪化する可能性があります。
また、業界全体で技術者不足が発生した場合、協力会社(外部委託先)から単価の値上げを求められる可能性があります。
 当該値上げ分を顧客への販売単価に転嫁できなかった場合、当社グループの収益性に影響を与える可能性があります。

 

(3)その他のリスクについて
①知的財産権の保護に関するリスクについて
 近年、当業界においては、自社技術保護のための特許申請が増加する傾向にあります。このような環境において、当社グループも自社技術保護、他社との差別化及び競争力のあるサービスを永続的に提供するために、知的財産権の取得・保護活動を行っていく所存であります。当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めており、現時点において侵害はないものと認識しておりますが、将来において第三者の知的財産権への侵害が生じてしまう可能性は否定できません。当社グループがサービスを提供する上で第三者の知的財産権を侵害していることが発覚した場合、当社グループへの損害賠償請求、信用の低下により、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループの知的財産について第三者によって侵害される可能性もあります。このような場合には、かかる侵害者に対する訴訟及びその他防衛策を講じる為、経営資源を割くことを余儀なくされる事態が生じ、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
②個人情報・機密情報漏えいに関するリスクについて
 当社グループは、業務に関連して顧客や取引先の個人情報及び機密情報を取り扱う場合があります。
 情報管理に関する全社的な取り組みとして、情報管理規程をはじめとする諸規程を制定するとともに、社員及び協力会社社員に対しても年1回以上のセキュリティ教育による情報管理への意識向上等の施策を実施しております。また、個人情報につきましては、個人情報保護方針の公表、プライバシーマーク認証の取得等、個人情報漏えいの防止に努めております。
 しかしながら、万が一、個人情報・機密情報が外部に漏えいするような事態となった場合には、当社グループの信用失墜による売上の減少又は損害賠償による費用の発生等により、当社グループの事業活動及び業績に影響をおよぼす可能性があります。なお、当社グループは業務の一部について外部委託の活用をしており、協力会社(外部委託先)に対しても一定水準の管理体制を求めております。しかしながら、協力会社(外部委託先)による情報漏えいが発生した場合、それが協力会社(外部委託先)に起因するものであっても、当社グループの信用の失墜、損害賠償の請求等が発生する可能性があり、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
③情報システムトラブルについて
 当社グループは、社内のコンピュータシステムに関して、クラウドサービスの利用やバックアップ体制を確立することによる災害対策を講じておりますが、地震や火災などの災害、コンピュータ・ウィルス、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの中断や停止など、現段階では予測不可能な事由によりシステムトラブルが生じた場合、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
④投融資について
 当社グループでは、将来的な事業との相乗効果や関係強化を期待して、顧客企業や協力会社(外部委託先)等に対し、投資や融資を実施する場合があります。投融資を実施するにあたっては、事前に調査・検討を行っておりますが、事前に期待した効果が得られない可能性があります。また、投融資先の業績が悪化した場合、減損処理が必要となる可能性があり、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当期の経営成績の概況

 当連結会計年度(2024年7月1日~2025年6月30日)における経営環境は、政府による賃上げ促進策や投資減税などの経済政策もあり、緩やかな回復基調が続きましたが、エネルギーや食料品の価格上昇、人手不足に伴うコスト増などが続く中で、米国の不規則な通商政策が重なり、先行き不透明な状況が続きました。

 

 当社が属する情報サービス産業においては、2025年7月1日に公表された日銀短観(6月調査)による2025年度ソフトウエア投資計画(全産業・全規模合計)が、2024年度と比較し、12.4%増であり、引き続き好調なソフトウエア投資が続いていることが示されています。

 

 当社グループにとりましても、DXの実現を加速するAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、既存システムのクラウドシステムへの移行、システム開発のスピードアップを実現するローコード開発等の進展により、ビジネス参入機会の増加と事業領域の拡大につながりました。

 また、深刻化するサイバーセキュリティ問題に対して、2025年3月5日には経済産業省より「サイバーセキュリティ産業振興戦略」が公表されるなど、社会全体でサイバーセキュリティ対策強化が求められています。さらに、物価高騰に伴う人件費の上昇により「業務効率化」へのニーズも一段と高まっており、これらの課題に対して有効なソリューションを提供する当社グループにとって追い風となる状況が続いております。

 

 このような環境のもと、当社グループでは、「5つの事業戦略」を掲げ、積極的な取り組みを継続しております

 

  ・リノベーション(既存事業の改革による事業基盤の拡大・安定化)

  ・イノベーション(自社商品を軸とした新しい価値創造)

  ・競合から協業へ(協業による事業拡大)

  ・開発からサービスへ(サービス視点での事業拡大)

  ・人材調達・人材育成(採って育てる)

 

なお、当社は2024年8月9日に新中期経営計画(2024年度~2026年度)を発表しました。

新中期経営計画では、当社の企業理念と存在意義の結びつきをPurposeとして『「進歩」を続けるデジタル社会(変化)をITの力(対応力)で支え、人々の生活を豊かに。』と表現し、全社一丸となって成長していくことを掲げました。

 

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また、引き続き、2030年ビジョンとして「信頼され、選ばれるDITブランド」の構築を掲げると共に「売上高500億円(フィフティbillion)、営業利益50億円(フィフティhundred million)、配当性向50%(フィフティpercent)以上」を示す新たなスローガン「50(フィフティ)、50(フィフティ)、50(フィフティ)超えへの挑戦!」を掲げ、目標達成に向けて全力で挑戦してまいります。

 

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この2030年ビジョンの実現ステップとして、当期2025年6月期から2027年6月期までの期間を、事業構造改革の推進時に新たに認識された課題に対応すると共に、Purpose経営を推進し、事業スタイルを確立させ、事業全般を成長軌道に乗せる「成長軌道の実現」の期間とし、また、2028年6月期から2030年6月期の期間を、Purposeを定着させ、全てのステークホルダーから信頼され、選ばれる「DITブランドの確立」の期間としています。

 

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■2025年6月期業績概要

 当連結会計年度の売上・利益は、ともに旺盛な需要に対応し、過去最高の業績となりました。

 

 当連結会計年度は、社員の処遇改善(平均9%の昇給)や、M&Aに伴うのれん償却額、パートナー単価の向上などによりコストが大幅に増加しました。しかしながら、旺盛な需要とM&Aの効果により、これらのコスト増を十分に吸収し、売上高・利益ともに大幅な増加を達成し、収益基盤を一層強化することができました。

 

以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高24,159,035千円(前期比21.5%増)、営業利益3,013,992千円(同24.3%増)、経常利益3,027,785千円(同25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,178,368千円(同29.1%増)となり、15期連続の増収増益を達成しました。

 

 セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 なお、以下の事業別売上高、セグメント利益(営業利益)は、セグメント間の内部取引相殺前の数値であります。

 

①ソフトウエア開発事業

 ビジネスソリューション事業分野(業務システム開発、運用サポート)は、前々年度に発生した不採算案件に伴う引き継ぎ作業を前年度第1四半期に実施していた影響が一巡し、売上・利益ともに前年を大きく上回りました。

 業務システム開発では、金融系案件への回帰戦略が成果を上げ、公共、通信、製造系案件も伸展し、更に2024年2月にM&Aにより当社グループに加入したシステム・プロダクト株式会社の売上も加わったことから、大幅な増収増益を達成しました。特に、利益面では、当第3四半期まで続いた公共系高単価案件が大きく貢献しました。

 運用サポートでは、クラウド系インフラ構築領域が伸びるなど着実に業務領域を広げているものの、Salesforceなどの新サービス展開が遅れ気味であることから、売上は伸ばすことができたものの、利益面については微増にとどまりました。

 

 エンベデッドソリューション事業分野(組込みシステム開発、組込みシステム検証)は、第4四半期に入ってからは、米国の通商政策の影響が一部顕在化し、事業環境にやや不確実性が生じる場面も見られましたが、売上・利益を大幅に伸ばすことができました。

 組込みシステム開発では、半導体関連分野で一時的な調整局面により微増にとどまったものの、車載向けの研究開発案件や家電などIoT関連分野が堅調に推移し、売上・利益ともに前年を上回りました。

 組込みシステム検証においては、大手部品メーカーから車載IVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテインメント)案件を受注するとともに、大手製造会社とAIによるテストPoC(概念実証)を実施するなど、事業領域の拡大が進み、売上・利益ともに前年を大幅に上回りました。

 

 プロダクトソリューション事業分野は、サブスクリプションライセンスの積上げ、電子契約サービス関連の周辺開発の売上増、更に2024年2月にM&Aにより当社グループに加入した株式会社ジャングルの連結により、売上・利益ともに順調に伸ばすことができました。

 

 サイバーセキュリティビジネスについては、WebARGUS(*1)の既存顧客からのライセンス売上が着実に増加し、売上・利益ともに前年を上回りました。また、当社独自で脆弱性診断サービスを開始したほか、情報セキュリティで最大の脅威となっているランサムウェア攻撃等から重要データを確実に保護するセキュリティ製品「WebARGUS(ウェブアルゴス) for Ransomware(ランサムウェア)」に関しては、機能面を強化した新バージョン「Sentinel ARGUS(センチネルアルゴス)」をリリースしました。さらに、中規模企業向けのセキュリティ商材に追加料金なしでサイバーセキュリティ保険を自動付帯する新サービスの提供を開始するなど、商品ラインナップの充実も進みました。

 業務効率化ビジネスについては、xoBlos(*2)の前期から積み上げていたリード顧客の取り込みが進展し、売上・利益ともに前年を上回りました。

 アフターコロナの時代において、リモートワークの普及に伴いニーズが高まった電子契約のアウトソーシング型サービス「DD-CONNECT」(ディ・ディ・コネクト)は、住宅建設業界を中心にSI開発を含めて売上が伸長しました。

 また、株式会社ジャングルは、市場ニーズの高い以下の製品を開拓して販売しており、特に「筆ぐるめ」については、年賀状離れが進む中でも、季節的な特需により大きく貢献しました。

 

・「Data Migration Box」は、法人向けの商材として、オンプレミスからクラウド、クラウドから他のクラウドへの高速データ移行ツールで、ジャングルが独占販売権を所持しております。

・「DiskDeleter」は、USBメモリ型のデータ消去ソフトで、ジャングルが著作権を所持しており、導入実績は10,000社超になります。

・「PDF –Xchange Editor」は、PDFファイルを自由に編集できる多機能型PDF統合ソフトで、ジャングルが「プラチナリセラー」として販売しています。

・「筆ぐるめ」は、富士ソフト株式会社が開発・販売する年賀状やハガキ作成ソフトで、購入は 全国の量販店やジャングルの運営する「筆ぐるめ公式ストア」からとなっています。

 

 これらの結果、ソフトウエア開発事業の売上高は23,294,442千円(前期比21.6%増)、セグメント利益は2,934,416千円(同24.0%増)となりました。

 

  (*1)Webセキュリティソリューション「WebARGUS(ウェブアルゴス)」は、ウェブサイ卜等の改ざんを発生と同時に検知し、瞬時に元の正常な状態に復元できる、新しい方式のセキュリティソリューションです。改ざんの瞬間検知・瞬間復旧により、悪質な未知のサイバー攻撃の被害から企業のウェブサイト等を守ると同時に、改ざんされたサイトを通じたウイルス感染などの被害拡大を防ぎます。

  (*2)Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos(ゾブロス)」は、Excelベースの非効率な業務を自動化します。これにより短期間で劇的に業務を効率化することができます。(Excel®は、米国Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。)

 

②システム販売事業

 カシオヒューマンシステムズ株式会社製の中小企業向け業務・経営支援システム「楽一」を主力とするシステム販売ビジネスにおいては、前年度の「インボイス制度」や「電子帳簿保存法改正に伴う電子データ取引データ保管の義務化」に伴う需要の反動減を見越し、第2四半期に北陸地方に拠点を持つ楽一販売代理店から事業を承継しました。この施策が功を奏し、売上高および利益は前年度を上回りました。

 

 これらの結果、システム販売事業の売上高は909,474千円(前期比22.7%増)、セグメント利益は79,565千円(同36.1%増)となりました。

 

(2)当期の財政状態の概況

当連結会計年度における資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。

①流動資産

前連結会計年度末に比べ937,616千円増加し、9,474,059千円となりました。これは、主に現金及び預金が738,364千円並びに受取手形及び売掛金が303,236千円それぞれ増加し、契約資産が146,854千円減少したことによるものです。

②固定資産

前連結会計年度末に比べ116,219千円増加し、1,797,063千円となりました。これは、主に投資有価証券が365,687千円増加し、のれんが163,608千円、繰延税金資産が70,073千円それぞれ減少したことによるものです。

③流動負債

前連結会計年度末に比べ117,569千円増加し、2,791,520千円となりました。これは、主に買掛金が123,798千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が22,260千円減少したことによるものです。

④固定負債

前連結会計年度末に比べ187,650千円減少し、297,375千円となりました。これは、主に長期借入金が179,580千円減少したことによるものです。

⑤純資産

前連結会計年度末に比べ1,123,916千円増加し、8,182,226千円となりました。これは、主に利益剰余金が1,387,260千円、自己株式が484,126千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(3)当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ830,808千円増加し、5,337,753千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。

 

 ①営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上(3,027,865千円)、法人税等の支払額による支出(842,512千円)などにより2,394,103千円の収入(前連結会計年度は1,741,683千円の収入)となりました。

 

 ②投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入(96,242千円)、投資有価証券の取得による支出(27,400千円)、事業譲受による支出(17,373千円)、などにより10,944千円の収入(前連結会計年度は595,613千円の支出)となりました。

 

 ③財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額による支出(790,886千円)、自己株式の取得による支出(488,529千円)などにより1,546,191千円の支出(前連結会計年度は804,712千円の支出)となりました。

 

(4)生産、受注及び販売の実額

 ①生産実績

 当社グループの事業には生産に該当する事項がないため、記載を省略しております。

 

  ②受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウエア開発事業

23,862,444

118.2

5,351,396

111.9

システム販売事業

928,492

130.6

150,505

170.3

合計

24,790,936

118.6

5,501,901

113.0

 

  ③販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年7月1日

至 2025年6月30日)

前年同期比(%)

ソフトウエア開発事業(千円)

23,292,677

121.6

システム販売事業(千円)

866,358

118.9

合計(千円)

24,159,035

121.5

 (注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

[経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析]

 

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社グループはこの見積りを行うに当たり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

(2)経営成績の分析

①売上高、売上原価(売上総利益)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ4,270,791千円増加し、24,159,035千円となりました。また、売上総利益は、前連結会計年度に比べ1,200,755千円増加し、6,145,789千円となりました。

これは主に以下の理由によるものです。

イ.ビジネスソリューション事業(業務システム開発)

金融系案件への回帰戦略が成果を上げたほか、公共、通信、製造系案件も伸長しました。さらに、2024年2月にM&Aにより当社グループに加わったシステム・プロダクト株式会社の売上の寄与により、大幅な増収増益を達成しました。

ロ.ビジネスソリューション事業(運用サポート事業)

クラウド系インフラ構築領域の拡大などにより、着実に業務領域を広げました。一方で、Salesforceなどの新サービス展開がやや遅れたため、売上の伸びは緩やかにとどまり、利益も微増にとどまりました。

ハ.エンベデッドソリューション事業(組込みシステム開発)

半導体関連分野では一時的な調整局面があったものの、車載向けの研究開発案件や家電などのIoT関連分野は堅調に推移し、売上・利益ともに前年を上回りました。

ニ.エンベデッドソリューション事業(組込みシステム検証)

大手部品メーカーから車載IVI(In-Vehicle Infotainment:車載インフォテインメント)案件を受注したほか、大手製造会社とAIによるテストPoC(概念実証)を実施するなど事業領域の拡大が進み、売上・利益ともに前年を大きく上回りました。

ホ.プロダクトソリューション事業

サブスクリプションライセンスの積み上げや電子契約サービス関連の開発が伸長したほか、2024年2月にM&Aにより当社グループに加わった株式会社ジャングルの連結効果も寄与し、売上・利益ともに順調に拡大しました。

ヘ.システム販売事業

前年度の制度改正需要の反動減を見越して第2四半期に北陸地方の楽一販売代理店から事業を承継した結果、売上・利益ともに前年を上回りました。

 

②販売費及び一般管理費(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ611,680千円増加し、3,131,797千円となりました。これは主に、M&Aにより当社グループに加わった2社に係るのれん償却費の増加などによるものです。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ589,075千円増加し、3,013,992千円となりました。

 

③営業外損益(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は受取利息及び配当金、助成金収入等の計上により39,998千円となり、営業外費用は支払手数料、事務所移転費用等の計上により26,205千円となりました。この結果、当連結会計年度における経常利益は3,027,785千円となりました。

 

④特別損益(税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度において、投資有価証券の売却による利益80千円があり、税金等調整前当期純利益は3,027,865千円となりました。

 

⑤親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における税金費用は、法人税、住民税及び事業税に税効果会計適用に伴う法人税等調整額を併せ839,774千円となりました。

以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ491,444千円増加し、2,178,368千円となりました。

 

(3)財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)当期の財政状態の概況に記載のとおりであります。

なお、利益剰余金の増加により純資産額は増加し、自己資本比率は71.6%となりました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](3)当期のキャッシュ・フローの概況に記載のとおりであります。

なお、当社は営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、運転資金は基本的には手元資金でまかなえると考えております。

また、投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、固定資産の取得等による支出があったものの、定期預金の払戻による収入があったため、全体として増加しました。

財務活動によるキャッシュ・フローの主な支出は、自己株式の取得による支出、配当金の支払額で、配当性向は50%以上を目標としております。

当座借越契約及びリボルビング・クレジット・ファシリティ契約により、急な運転資金増加にも対応できると考えておりますが、M&Aや大幅な人員増加、設備投資等が必要となった場合には、改めて借入実行等を適宜判断してまいります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2021年6月期

2022年6月期

2023年6月期

2024年6月期

2025年6月期

自己資本比率(%)

70.9

72.3

73.5

68.1

71.6

時価ベースの

自己資本比率(%)

465.4

271.2

293.6

272.4

313.2

キャッシュ・フロー対

有利子負債比率(年)

0.0

0.0

0.0

0.1

0.0

インタレスト・

カバレッジ・レシオ(倍)

3,081.9

3,124.9

2,322.0

1,300.9

1,574.7

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 

(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業の発展を通じて企業価値の継続的向上を目指しており、売上高成長率、営業利益率、経常利益率、1株当たりの当期純利益およびROE(自己資本利益率)を重要な経営指標と位置付け、その向上及び高水準での維持に努めてまいります。

2025年6月期につきましては、これら全ての経営指標において当初計画を上回りました。また、ROE(自己資本利益率)については、25%を大きく超過して達成することが出来ました。

 

指標(2025年6月期)

当初計画

実績

当初計画比

売上高

 

22,000百万円

24,159百万円

2,159百万円 (9.8%増)

営業利益

営業利益率

2,600百万円

11.8%

3,013百万円

12.5%

413百万円 (15.9%増)

0.7ポイント増

経常利益

経常利益率

2,600百万円

11.8%

3,027百万円

12.5%

427百万円 (16.5%増)

0.7ポイント増

1株当たり当期純利益

 

120.70円

147.38円

26.68円 (22.1%増)

ROE(自己資本利益率)

 

25%以上

29.0%

4.0%増

 

(6)経営戦略の現状と見通し

当社の経営戦略につきましては、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載のとおり、「5つの事業戦略」に基づいており、引き続き「事業基盤の安定化」と「成長要素の強化」の2軸の事業推進により経営の安定と成長に注力してまいります。

なお、当社は2024年8月9日に中期経営計画(2024年度~2026年度)を発表しました。

本中期経営計画では、当社の企業理念と存在意義の結びつきをPurposeとして『「進化」を続けるデジタル社会(変化)をITの力(対応力)で支え、人々の生活を豊かに。』と表現し、全社一丸となって成長していくことを掲げました。2030年に向けて「信頼され、選ばれるDITブランド」の構築とともに「売上高500億円、営業利益50億円、配当性向50%以上」の目標達成に向けて、本中期計画(2024年度~2026年度)においては、『成長軌道の実現』の期間として事業を推進してまいります。

 

5【重要な契約等】

 当連結会計年度において、下記リボルビング・クレジット・ファシリティ契約を維持しております。

 

1.リボルビング・クレジット・ファシリティ契約締結の目的

 当社は、2030年ビジョンとして、全てのステークホルダーから信頼され、選ばれる「DITブランド」の確立を目指しております。

 その目標に向け、成長を可能にする会社作り、仕組み作りを推進し、事業力を蓄積してまいりました。今後、事業スタイルを確立させ、事業全般を成長軌道に乗せ、さらに成長していくため、引き続き運転資金の確保を目的として、当該リボルビング・クレジット・ファシリティ契約を維持しております。

 

2.リボルビング・クレジット・ファシリティ契約の概要

(1)

契約

リボルビング・クレジット・ファシリティ契約

(2)

総貸付限度額

40億円

(3)

契約締結日

2024年2月26日

(4)

契約期間

2024年2月29日~2027年2月26日

(5)

エージェント

株式会社三菱UFJ銀行

(6)

参加金融機関

株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、

株式会社りそな銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社横浜銀行

(7)

担保・保証

無担保・無保証

 

3.財務制限条項

 上記の契約については、財務制限条項が付されております。詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]」(1)連結財務諸表「注記事項」(連結貸借対照表関係)及び2[財務諸表等]」(1)財務諸表「注記事項」(貸借対照表関係)に記載しております。

 

6【研究開発活動】

 当社は、ソフトウエア開発事業セグメントにおいて、自社商品の改良による新商品の開発や、業務提携先等との新商品・新技術の研究開発に継続して取り組んでおります。

 一方、当期は既存製品のアップデートや機能改善を通じて品質向上・競争力維持を図る取組みは継続的に行っておりますが、新製品の創出を目的とした研究開発活動は実施していないため、会計基準上の研究開発費の計上はありません。