第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」「人間尊重、人間中心の経営」を企業理念とし、広く産業とくらしを支え、社会に貢献できる人、そして、自分を必要としてくれる社会に対して感謝の気持ちを持つことができる人、そういう幸せな人を育て、真に人間が働く喜びを味わえる企業経営を行うことを、経営の基本方針としております。

 

 (2) 目標とする経営指標

 当社グループは、安定的な成長を目指すため収益性を意識した経営が重要との観点から「売上高経常利益率」を重視しており、また資本効率を高め企業価値の向上を図る観点から「ROE(自己資本当期純利益率)」を重視しております。

 

 (3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和され、回復の兆しがみられたものの、新たな変異株による感染再拡大の懸念やロシアのウクライナ侵攻の影響による資源価格や物価上昇、為替相場の急激な変動等により、引続き景気の先行きは不透明な状況が続いております。

中長期的には、当社グループの主要顧客が関連する自動車産業においてCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)への流れが加速することが予測されており、特に電動化については、世界的な環境保全への関心の高まりから対応が急ピッチで進んでおり、各自動車メーカーにおける電動化戦略の具体化や電動車のラインアップ拡充がより一層進むことが予想され、当社グループとしてもその変化への対応が強く求められます。

また5G(次世代通信規格)やIoT、AIの普及、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展等により当社グループが関連する半導体等の市場は世界的に拡大が続くものと考えられます。

日本を取り巻く環境としては少子高齢化・人口減少による市場縮小や人材確保の競争激化、SDGsに代表される持続可能な社会形成への意識の高まり、コロナ禍を契機とした事業構造・生活様式の変化、デジタル化の一層の推進など様々な変化が予測されております。

このような環境のもと2021年度(2022年3月期)からの3ヵ年を対象期間とした中期経営計画で掲げた筋肉質な企業体質への転換、中長期の成長基盤の構築を目指し、1.生産性向上・業務効率化、2.次世代自動車への対応・拡販、3.新成長エンジンの創出、4.海外事業の強化を主要な経営課題と捉え、優先的に課題解決に取り組んでまいります。また当社は、株式会社東京証券取引所の市場区分の再編において市場コンセプトと当社ビジョンが合致するものであると判断し、プライム市場を選択いたしました。現状では上場維持基準に適合していないことから、上場維持基準への対応も優先的に取り組むべき課題と捉えております。 

 

1.生産性向上・業務効率化

 生産性向上につきましては、生産部門において多品種少量生産における標準時間の設定や工程の見える化等を通じた生産管理の強化、現場改善等を組み合わせた生産性の向上と、それを効果的、継続的に行うための仕組みづくりに加えて、一部作業の自動化・省人化を実施しております。生産現場での効率化によって生じた生産余力を活用して外注品の内製化を実施する等、中期経営計画の目標に沿ったコストダウンを進めております。

 業務効率化につきましては、グループウェアの刷新やITを活用した営業手法の導入、ペーパーレスに向けた取り組みを進めました。現状ではプロジェクトチームでの新基幹システム刷新に向けた取り組みを実施しております。

 また、熊本新冶金棟建設による生産性向上や自立型人財の育成に努め、筋肉質な企業体質への転換を図っております。

 

 

2.次世代自動車への対応・拡販

 次世代自動車の普及に伴う市場ニーズの変化に対応するため、マーケティングを専門とする組織の立ち上げにより情報収集力や分析力を強化するとともに、その結果を販売・生産・研究開発部門で共有し、三位一体で新材料、新製品の開発、生産、拡販等を行っております。モーターコア、電池関連製品の拡販を目指し、新材料の積極的な投入やコスト削減のための生産体制の構築等を進めました。その結果としましては、車載用二次電池やモーターコア、マグネット向けの金型及び金型素材の売上拡大に繋げることができております。

 今後につきましては、各自動車メーカーにおける電動化戦略の具体化や電動車のラインアップ拡充がより一層進むことが予想されるため、顧客の要望に引き続き迅速に対応することで顧客の信頼を勝ち取ってまいります。

 

3.新成長エンジンの創出

 市場ニーズを先取りした高付加価値製品の創出のため、新技術の開発や既存製品の新たな需要喚起に関するプロジェクト等の立ち上げ、コア技術の抽出等を行うとともに、外部機関との協働やM&A、業務提携の検討を積極的に推進しております。

 その結果としましては、超硬合金の主原料であるタングステンやコバルトの使用量を大幅に削減した新しい合金(サステロイ)等の開発に成功しております。

 今後につきましては、ターゲット顧客への積極的な試作品投入や新事業分野等についてM&A、業務提携の検討を積極的に進めてまいります。

 

4.海外事業の強化

 ローカル人財の育成やオンラインを活用した販売活動の推進、中国における販売拠点の拡大、海外製造拠点の生産性等の向上による競争力強化等に注力し、アジア地域を中心とした海外市場の成長を取り込むことによって、海外売上高の拡大を目指してまいります。

 その結果としましては、タイの製造販売子会社を中心に売上を拡大しており、中国市場においては新たな拠点設置準備を進めております。

 今後につきましては、グループ全体における海外事業の強化の重要性を鑑み、グループでの組織体制の見直しを含めた海外事業の強化策を積極的に推し進めてまいります。

 

5.プライム市場の上場維持基準への適合

 当社は、株式会社東京証券取引所の市場区分の再編において、プライム市場を選択しております。しかしながら、「1日平均売買代金」については基準を充たしておらず、2026年12月までに上場維持基準を充たすために取組を進めてまいります。基準への適合のためには企業価値の向上が不可欠であると捉えており、上記1.~4.の施策を実施していくことにより企業価値の向上に努めてまいります。またIR活動の強化による知名度の向上や投資家に対する信頼性・期待感の醸成を図ることに加え、株主還元の充実や流通株式数の増加にも取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ基本方針について

 ①サステナビリティ基本方針の考え方

 当社グループは、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」、「人間尊重、人間中心の経営」の企業理念のもと、世界中の人々から信頼される品性ある企業グループ並びに企業人となることを目指しております。
 そして、当社グループの基本的な考え方(私たちが大切にする価値観)である「報恩感謝」「和」「創造と革新」「誠実」「質実剛健」を基礎とし、当社グループの製品を提供し続けることで、企業価値の向上と持続可能な社会の発展に貢献することを基本的な方針としております。

 

②サステナビリティ基本方針
  a.環境
 [自然環境配慮]
  私たちは、事業活動が自然の恩恵を受け成立していることに感謝し、
  ・新たな技術・製品の創造と革新で、人と地球環境を大切にする社会の実現に貢献します。
  ・持続可能な社会の実現にむけて温室効果ガスの削減に努めます。
  ・資源利用と環境影響の削減を両立させるため、資源を大切に使います。

 

b.社会
 [人権]
  私たちは、企業理念である人間尊重と私たちが大切にする価値観である和の考えのもと、
  ・企業活動で関わる全ての人々の人権を尊重し、直接的間接的にも人権侵害に加担しません。
  ・あらゆる形態の強制労働や児童労働の排除、また雇用と職業における差別をしません。

 

 [労働環境]
  私たちは企業理念である人間中心の経営を実践すべく、
  ・生産性・働きがい向上に繋がる柔軟な働き方、職場環境を築きます。
  ・多様性を尊重し、国籍・性別・年齢などの区別なく活躍できる企業を目指します。
  ・結社の自由を含め、従業員の権利を最大限尊重します。

 

c.ガバナンス
 [ガバナンス強化]
  私たちは、コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方に沿って、
  ・ステークホルダーとの充実したコミュニケーションを通じて経営の透明性を確保し、信頼度を高めます。

 

 [腐敗防止]
  私たちは、誠実な企業グループ・企業人としての責任を果たし
  ・強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止に取り組みます。

 

③サステナビリティ全般に関するガバナンス

 サステナビリティに関する基本方針等の大きな枠組みについては、取締役会での議論を経て決定されております。また、サステナビリティに関する活動を強化する目的で、サステナビリティに関する施策の立案や推進を専門に行う「サステナビリティ推進室」を設置いたしました。さらに、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進するため、経営陣を構成員に含むサステナビリティ委員会を設置する予定となっております。

 

④サステナビリティ全般に関するリスク管理

 当社グループは、リスクマネジメント基本規程にてリスク管理方法を定めております。また、リスクマネジメントについて、効果的かつ円滑な運営及び適切な指導を行うために、社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しております。本委員会は定期的に開催され、重要リスクの特定・評価を行っております。
 重要リスクは、影響度と発生可能性の2軸から、リスクマップを作成し、決定されております。決定された重要リスクは、取締役会にて承認された後、その対応のために、所管部署によって必要に応じて事業所及び子会社へ指示が出されています。サステナビリティに関するリスクについても、このような全社的なリスク管理方法に統合され、管理されております。

 

(2)気候変動に関する取組について

①ガバナンス

 当社グループは、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」ことを掲げ、より良い社会の形成と企業の持続可能な発展のため、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に対する活動を積極的に進めております。この度、 取締役会における議論を経て、サステナビリティに関する施策の立案や推進を専門に行う「サステナビリティ推進室」を設置いたしました。さらに、サステナビリティの観点を踏まえた経営を推進するため、経営陣を構成員に含むサステナビリティ委員会の設置に向けた検討を進めてまいります。

 現状、サステナビリティ推進室では、気候変動対応についても重要議題の一つとして議論しており、検討内容は経営会議、取締役会に報告され、グループ全体の経営に反映されております。

 

②戦略

 a.気候変動による事業への影響の分析

 気候変動による事業への影響を明らかにするため、2つのシナリオ(積極的な政策により気温上昇を抑える1.5℃シナリオと、限定的な政策により気候変動が進む4℃シナリオ)を用いてシナリオ分析を実施しております。各シナリオにて、分析のために参考にしたシナリオは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)から報告されているRCPシナリオ及び、IEA(国際エネルギー機関)から報告されているシナリオになります。RCPシナリオは、気候変動による物理的な影響(物理リスク)の分析のために参考にし、IEAのシナリオは脱炭素経済への移行に伴う影響(移行リスク)の分析のために参考にしております(表1)。また、分析における時間軸は、2050年カーボンニュートラルを達成するために重要な時点とされている2030年を設定いたしました。

 

表1:シナリオ分析で参考にした気候変動シナリオ

 

政策により気温上昇が抑えられる世界

気温上昇・気候変動が進む世界

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

概要

2100年の気温上昇が19世紀後半から1.5℃に抑えられるシナリオ。炭素税など脱炭素社会への移行に伴う影響(移行リスク)を受ける。物理リスクの影響は4℃シナリオに比べ相対的に小さい。

2100年の気温上昇が19世紀後半から4℃上昇するシナリオ。災害など気候変動による物理的な影響(物理リスク)を受ける。気候変動に関する規制強化は行われず、移行リスクの影響は小さい。

参考シナリオ

移行

IEA Net Zero Emission by 2050(NZE)
IEA Sustainable Development Scenario(SDS)

IEA Stated Polices Scenario(STEPS)

物理

IPCC RCP 2.6

IPCC RCP 8.5

 

 ※1.5℃シナリオの情報がない場合は、2℃シナリオに分類される参考シナリオを使用

 

b.分析結果と対応

 〈1.5℃シナリオ〉

 1.5℃シナリオでは、炭素税など気候変動に対する政策・法規制の推進など、脱炭素社会への移行に伴う影響が起きることが予想されております。当社事業へのリスクとしては、炭素税の導入やレアメタル価格の上昇による調達コストの増加が挙げられました。そのため、再生可能エネルギーの導入や設備の省エネルギー化などGHG排出量削減のための取り組み及び製品設計による省資源化や新規合金の開発など資源価格高騰への対応を進めております。一方で、機会としては、電気自動車をはじめとする次世代自動車関連製品の売上増加が挙げられました。現在、中期経営計画において次世代自動車用の製品の販売計画を策定しております。

〈4℃シナリオ〉

 4℃シナリオでは、異常気象の激甚化などの気候変動による物理的な影響が発生することが予想されています。当社のリスクとしても、異常気象がもたらす災害発生時における製造所の被災による製品販売の停止や、サプライヤーと顧客の被災による影響が挙げられました。現状、当社としては、海岸付近の製造所における防潮堤の設置や、BCP対応の強化を進めており、異常気象による事業へのリスク低減を進めております。

 

表2:シナリオ分析結果

気候関連問題による影響
(リスク・機会)

想定される事象

重要度評価

自社の対応

1.5℃
シナリオ

4℃
シナリオ

脱炭素経済への移行に伴う影響

リスク

炭素価格の

導入

・炭素税や排出量取引など、炭素価格の導入
 により、GHG排出量に応じて、課税や排
 出枠購入などのコストが発生する。

・再生可能エネルギーの導入
・EV車の導入
・空調の省エネタイプへの更新
・LEDの導入
・生産効率向上による電力消費の削減
・工場外壁での断熱材の利用
・デマンドの監視によるピーク電力の抑制
・生産条件の見直し
・ISO14001の取得

再エネ・
省エネ政策の
導入

・再エネ調達に係る費用が増加する。
・省エネ政策の強化に伴い、設備の高効率化
 が必要となった場合、設備の更新などによ
 って支出が増加する。

情報開示義務

・自動車や電池関連の製品について、製品あ
 たりのCO₂排出量の算定(CFP)が要
 請され、対応費用が発生する。
・CFP算定要請未対応の場合に商品選好か
 ら除外され売上が減少する。

・専門部署の設置

・効率的なデータ取集体制の確立

省エネ・
低炭素技術の
拡大

・内燃機関自動車の需要低下により売上が減
 少する。

・次世代自動車用製品の拡販

次世代技術の
進展

・製造工程を大幅短縮し省エネに資する3D
 プリンタ技術の進展により、部品製造にお
 ける金型の需要が低下し、売上が減少す
 る。

・新規事業の探索

原材料コスト
の変化

・脱炭素製品の需要増加に伴う資源価格の高
 騰により、超硬合金の原材料コストが高騰
 する。

・脱タングステン合金など新規材料の開発
・省レアメタルに資する製品設計の検討
・金属屑やスクラップの回収

調達先からの
評判変化

・環境への取組が消極的な場合に、調達先が
 取引へ消極的な態度をとることが想定さ
 れ、原材料の調達が難航する可能性が発生
 する。

・TCFDなどの情報開示による自社取組
 のアピール

機会

低炭素技術の
進展

・EVの普及により、EV関連製品の売上が
 増加する。

・次世代自動車用の製品の販売計画の策定

次世代技術の
進展

・3Dプリンタ技術の活用による金型製作時
 の省資源化が進むことで、収益率が向上す
 る。

・3Dプリンタ導入の検討

原材料コスト
の変化

・脱タングステン合金など新規材料の開発を
 実現した場合、資源価格高騰に対するレジ
 リエンス性を発揮することができる。

・技術開発の促進

顧客・投資家
の評判変化

・環境への取組が積極的な場合、新規顧客の
 増加や投融資機会の増加につながる。

・TCFDなどの情報開示による自社取組
 のアピール

 

 

 

気候関連問題による影響
(リスク・機会)

想定される事象

重要度評価

自社の対応

1.5℃
シナリオ

4℃
シナリオ

気候変動による物理的な影響

リスク

異常気象の
激甚化
海面上昇

・台風や洪水など自然災害の増加により、自
 社設備が被災する可能性が増加する。
・調達先の被災により、納期の遅延や代替品
 確保などの対応が発生する。
・顧客の被災による購買力の低下により、売
 上が減少する。

・自社のBCP対応
・防潮堤の設置
・分散型調達

平均気温の
上昇

・気温上昇により、夏季における空調費が増
 加する。

・工場外壁での断熱材の利用

 

 

 

③リスク管理

 当社グループは、リスクマネジメント基本規程にてリスク管理方法を定めており、「(1)サステナビリティ基本方針について ④サステナビリティ全般に関するリスク管理」に記載の方法でリスク管理を行っております。

 

④指標と目標

 当社グループは、サステナビリティの観点を踏まえた経営の進捗や、気候変動に対する政策等の影響を評価・管理するために、温室効果ガス排出量を指標として設定しており、2030年度に2018年度比で38%以上削減することを目標として掲げております。今後は、目標達成にむけて、自社設備の省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。

 

表3:温室効果ガス排出量(t)

 

 

2018年度

2022年度

自社の活動によるGHG排出(Scope1+Scope2)

18,838

16,080

(内訳)

Scope1(燃料の使用による直接排出)

2,031

1,961

Scope2(電力の使用による間接排出)

16,807

14,119

 

対象範囲:冨士ダイスグループ

 

※2022年度の排出量に関しては、2023年6月時点の排出係数を使用しております。

 今後、排出係数は更新される可能性があります。

 

(3)人的資本に関する取組

 ①人的資本に関する戦略(人財育成方針、社内環境整備の方針)

 当社グループは人の成長が企業の成長の源泉であるという考えのもと、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」「人間尊重、人間中心の経営」を企業理念として掲げ、広く産業とくらしを支え、社会に貢献できる人、そして、自分を必要としてくれる社会に対して感謝の気持ちを持つことができる人財を育てることを目指しております。

 このような企業理念に沿った人財を育成することに加え、これからの不確実な環境において中長期における持続的な成長を果たすため、当事者意識を持ち、環境の変化に対応できる人財を継続的に輩出するために自立型人財の育成を目指しております。

 これらの人財育成を達成するため、教育研修の提供、自主性・チャレンジ精神の重視、安全で健康的な職場環境の整備をしております。

 

 

【人財育成方針】

 a.企業理念に沿った人財の育成

 b.自立型人財(やることを決める、決めたことをやる、チームとして働く)の育成

 

【社内環境整備の方針】

 企業理念に沿った人財の育成及び自立型人財の育成を可能とするため、具体的には以下の環境を整備しております。

 また、当社グループでは、性別・経歴・国籍・文化的背景等を区別せず、知識や資質、業績、経験等を総合的に勘案し、経験者や外国人等の人財を登用しており、当社グループ内の多様性の確保を図ることとしております。

 

a.教育研修の提供

 従業員が企業理念を理解するための教育研修や、自らのキャリアを描き、自身の能力や技術を磨いて、成長へとつなげられるよう能力を向上するための教育研修の機会を提供します。

 

b.自主性・チャレンジ精神の重視

 従業員の自主性とチャレンジ精神を大切にし、組織とともに成長していくことを目指します。またチャレンジ精神のある従業員を評価するため、処遇面における公正性、透明性を確保します。

 

  c.安全・安心で働きがいのある職場環境の整備

 従業員の安全と健康を確保し、働きがいのある職場を重視します。また職場における良好なコミュニケーションを確保し、従業員一人ひとりの心と身体の健康保持・増進に取り組みます。

 

②指標と目標

 当社グループでは、上記「人財育成方針」、「社内環境整備の方針」について、次の指標を用いております。また当該指標に関する目標は次のとおりであります。

 なお、これらの指標については、当社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

企業理念研修(集合研修)

年80回

0回※1

管理職に占める女性労働者の割合

3.6%

2.5%

スキルアップ研修の実施

延べ335人

延べ434人

自立型人財育成研修

延べ72人

延べ108人

ストレスチェック高受検率維持

90%

99.8%

労働災害発生件数

0件

9件

 

※1 当事業年度における企業理念研修(集合研修)については、新型コロナウイルス感染予防対策のため

   中止いたしました。なお、代替措置として各事業所の状況に合わせて可能な範囲で企業理念研修を

   実施いたしました。

 

3 【事業等のリスク】

 当社グループの事業において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあると考えており、グループの運営にあたり注意を払っております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 市場動向の変化に関するリスク

 当社グループの販売品目の多くは生産財であり、設備投資需要等に大きく影響を受けます。

 当社グループ及び当社グループの顧客が事業を展開する国・地域の景気が減速・後退する場合は、設備投資需要の低下等をもたらし、その結果、当社グループが提供する製品又はサービスの受注・売上が減少するなど、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (2) 原材料の調達に関するリスク

 当社グループの主力製品である超硬工具は、産出地や生産量が限定されるタングステンカーバイド、コバルト等といった稀少な金属を原材料としております。

 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

 ・原料相場が大きく高騰した場合のリスク

 ・為替が大きく変動した場合のリスク

 ・戦争、暴動、テロ、伝染病、自然災害による社会的混乱

 タングステンカーバイド、コバルトの需給が世界的に逼迫して原料相場が高騰した場合、あるいは為替が円安になった場合、原材料費が上昇し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 またタングステンカーバイドの調達はそのほとんどを中国からの輸入に、コバルトは粗原料をアフリカでの産出、中間原料の製錬を中国での生産に依存しております。中国やアフリカの政治・経済情勢等の変化、社会的混乱が発生し、生産の停止、物流の停滞等によりタングステンカーバイド及びコバルトが調達できなくなった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、前述のリスクへの対応策として一定量の原材料在庫を社内に保有すると共に、原材料調達連絡会を定期的に開催し、関連部署間による各種課題の情報共有や具体的な対応策の検討等を行っております。さらに、原材料の調達先を対象にCSR調査を実施し、紛争鉱物への対応や環境への配慮等の社会的責任の観点も踏まえ、調達先との連携を強化するとともに、継続的な新規調達先の検討等、原材料の安定調達に向けた活動を行っております。

 

 (3) 国際的活動及び海外進出に関するリスク

 当社グループでは、中期経営計画における成長戦略の一つとして、海外事業の強化に取り組んでおります。海外での事業展開に関しては、為替リスクに加え、政情不安や金融不安、紛争の発生、感染症の蔓延等による経済活動の停滞及び停止、文化や商習慣の違い、特有の法制度や予想しがたい投資規制・税制変更、技能者の不足や労務費上昇、知的財産権保護制度の未整備等に関するリスクがあります。

 当社グループでは、アジアを中心に海外での生産・販売拠点を構築し、海外リスクに留意したグローバルな事業展開を進めておりますが、各国の政治・経済・法制度等の急激な変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (4) 協力会社に関するリスク

 当社グループは製品の製造において協力会社にその加工の全てもしくは一部を委託しており、総製造費用に対する外注費の割合は約1割を占めております。現時点では優良な協力会社が多数あるものの、事業環境の悪化による外注費の値上がり、景気低迷による協力会社の経営破綻、協力会社の後継者不足による事業の廃止などのリスクがあります。これらのリスクに当社グループが対処できない場合には、外注費の増加、外注していた工程の内製化による設備投資の増加や製造原価の高騰により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこれらのリスクに対応するため、今までどおり協力会社との良好な関係を維持しつつ、特に重要度の高い協力会社とは、協働して安定的かつ継続的な生産体制を構築しております。

 

 (5) 災害に関するリスク

 当社グループでは、地震、台風等の自然災害や感染症の蔓延、大規模事故等による操業停止をせざるを得ないような事態の発生に備え、自然災害を想定した防災訓練、社員の安否確認訓練を定期的に行うとともに、防災設備の設置、火災保険への加入、必要物資の備蓄、BCP(事業継続計画)の策定等の対策を講じております。災害の発生に対しては、緊急連絡体制を通じて、国内外の拠点や関係会社と連携するしくみを構築しており、代表取締役社長を本部長とする対策本部を速やかに設置し、BCP(事業継続計画)が実行できる体制を整えております。

 しかしながら、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損、ライフライン・輸送ルート・情報インフラの寸断等による操業の停止、といった不測の事態が発生した場合、顧客への製品供給に支障をきたすこと等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (6) 環境問題に関するリスク

 当社グループでは、製品の製造・検査等において、化学物質や毒劇物の使用及び保管管理を行っており、事業活動を行っていく中で地球温暖化、大気汚染、水質汚濁、産業廃棄物、有害物質、土壌汚染などに関する様々な環境法令の適用を受けております。生産活動の中では有害物質の漏洩防止及び適法適切な廃棄処理を徹底し、環境被害の発生防止に努めておりますが、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化したり、化学物質が社外へ流出する事故等が万が一発生した場合には、社会的信用の失墜、補償・対策費用の支出、生産活動の停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループでは、SDGsへの取り組みを推進するための体制構築を目的としたプロジェクトを2021年4月に発足し、2023年3月までの期間活動してまいりました。本プロジェクトでは、当社グループのサステナビリティ基本方針の策定や優先課題の選定、実現可能性を考慮したCO₂排出量削減目標値の検討及び従業員への周知教育等を中心に行い、環境問題やSDGsへの対応を推進するための基盤を構築いたしました。今後につきましては、当社内にサステナビリティ推進室を新設し、当社グループ全体で課題解決に向けた活動を推進してまいります。

 

 (7) 人財の育成及び確保に関するリスク

 当社グループは人を中心とした経営を実践しており、中長期的な成長は優秀かつ多様な人財を確保・育成し、適材適所の配置を実現することに大きく依拠しております。当社グループでは事業運営上必要な人財を採用し、その雇用の継続に努めていますが、

・適切な時期に優秀な人財を必要な事業領域において計画通り採用することができない

・事業活動を進める上で必要となる知識・スキル・能力を有した人財を適切な時期及び規模で育成できない

・優秀な人財が社外に流出してしまう

等により、中長期的な視点から当社グループの事業目的の達成が困難となり、その結果、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グル-プでは、中期経営計画の基本コンセプトの一つとして「筋肉質な企業体質への転換」を掲げていますが、これらを実現するためには自立型人財の育成が不可欠であると考えております。そのため、階層別教育研修プログラムを導入し、各階層のスキルマップに沿った研修の充実を図り、体系的かつ継続的な人財育成に取り組んでおります。また、多様なライフスタイルに応じたワークライフバランスの実現に向け、フレックスタイムや時間単位年休の導入等、各種労働環境の整備を進めており、多様な人財を確保するための活動を推進しております。

 

 (8) 財務リスク

①棚卸資産の価値下落

 当社グループが保有している棚卸資産については、主として、個別法に基づく原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により評価しております。従って、原料相場の高騰や稼働率の低下により製品原価が売価を上回る可能性があり、この場合、収益性の低下による評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②投資有価証券の時価下落

 当社グループが保有する投資有価証券は全て政策保有株式であり、種々の目的のために保有しておりますが、保有する意義や合理性が認められなくなった場合には取引先企業との十分な対話を経た上で縮減する方針としております。当連結会計年度末の連結貸借対照表において、279百万円を計上しておりますが、当該株式の時価が帳簿価額を著しく下回ることとなった場合、評価損の計上が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③繰延税金資産の計上

 当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかしながら、今後課税所得の見積り等に大きな変更が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しが発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④固定資産の価値下落

 当社グループでは、生産能力や生産性の向上等のため製造設備などの設備投資を継続的に行っており、その結果、当連結会計年度末の連結貸借対照表において、有形固定資産を9,724百万円計上しております。当該有形固定資産については固定資産の減損に係る会計基準等に従い、資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合は減損テストを行い、当該資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識しております。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤生産拠点の集約

 当社グループでは、生産体制・生産品種の最適化による成長力・収益力の強化を目的として、生産拠点の集約や自動化・省力化の促進等を複合的に実施しております。この過程において、固定資産除売却損や減損損失が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (9) 紛争及び訴訟等に関するリスク

 当社グループは、法務及び知的財産担当部署等において、契約や特許等をはじめとする知的財産権に関する紛争・訴訟等に対し予防措置を講じておりますが、国内及び海外での事業活動に関連して、法的な紛争・訴訟の対象となる可能性があります。これらの事態が発生した場合には、訴訟費用や損害賠償費用等の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、第三者の知的財産権の侵害が発生しないよう、法務及び知的財産担当部署において、啓蒙や教育を定期的に行い、社内管理体制の強化に努めております。

 

 (10) 情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、事業遂行に関連して多くの顧客情報や機密情報を有しております。これらの情報については、外部流出や破壊、改ざん等が発生しないよう厳格な管理体制を構築し、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策、情報の取扱い等に関する規程類の整備や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、予期せぬ事態により、情報流出や破壊もしくは改ざん又は情報システムの停止等が引き起こされる可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合には、社会的信用の失墜、損害賠償等の費用の発生、業務の停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和され、回復の兆しがみられたものの、新たな変異株による感染再拡大の懸念やロシアのウクライナ侵攻の影響による資源価格や物価の上昇、為替相場の急激な変動等により、引続き景気の先行きは不透明な状況が続いております。

上記のような経済の状況において、当社製品の主な市場であります超硬耐摩耗工具の出荷額は、359億円(対前年度比4億円増・1.2%増)と2021年度を上回りました。

こうした状況の中、当社グループは中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の2年目となる2022年度(2023年3月期)について、「革新」を年度方針に掲げ、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めるとともに、成長戦略である1.生産性向上・業務効率化、2.次世代自動車への対応・拡販、3.新成長エンジンの創出、4.海外事業の強化の諸施策に取り組んでまいりました。

超硬製工具類では、一部の半導体関連需要が続いたことにより、関連工具の販売が堅調に推移しました。また、熱間圧延ロールの販売が市況の変化等により低調となりましたが、売上高は4,571百万円(前連結会計年度比5.2%増)となりました。

超硬製金型類では、自動車の電動化に関連する需要が続いたことにより、車載電池用金型の販売が好調に推移しました。また、光学素子成型用金型や製缶金型の販売も堅調に推移した結果、売上高は4,219百万円(前連結会計年度比5.9%増)となりました。

その他の超硬製品では、中国向け素材販売が景気低迷の影響を受け低調に推移したものの、一部の半導体関連需要が継続し関連する製品の販売が堅調に推移した結果、売上高は4,261百万円(前連結会計年度比0.1%増)となりました。

超硬以外の製品では、セラミックス工具の販売が堅調に推移したものの、自動車部品用鋼製金型や引抜鋼管の売上が低調に推移した結果、売上高は4,127百万円(前連結会計年度比3.8%減)となりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は17,179百万円(前連結会計年度比1.8%増)となりました。利益につきましては、営業利益は1,150百万円(前連結会計年度比3.3%増)、経常利益は1,225百万円(前連結会計年度比1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,292百万円(前連結会計年度比63.4%増)となりました。

なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 (資産の部)

当連結会計年度末の資産の部は、26,253百万円(前連結会計年度末25,380百万円)となり、872百万円増加いたしました。流動資産は15,724百万円(前連結会計年度末15,331百万円)となり、393百万円増加いたしました。これは主に、仕掛品が187百万円増加、原材料及び貯蔵品が277百万円増加したことによるものであります。また、固定資産は10,528百万円(前連結会計年度末10,048百万円)となり、479百万円増加いたしました。これは主に、建設仮勘定が1,158百万円増加したものの、機械装置及び運搬具(純額)が287百万円減少、繰延税金資産が225百万円減少したことによるものであります。 

 

 (負債の部)

当連結会計年度末の負債の部は、5,860百万円(前連結会計年度末6,076百万円)となり、216百万円減少いたしました。流動負債は4,197百万円(前連結会計年度末4,383百万円)となり、186百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が157百万円減少、未払法人税等が148百万円減少したことによるものであります。また、固定負債は1,662百万円(前連結会計年度末1,692百万円)となり、29百万円減少いたしました。

 

 (純資産の部)

当連結会計年度末の純資産の部は、20,392百万円(前連結会計年度末19,303百万円)となり、1,088百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,292百万円増加、剰余金の配当により利益剰余金が435百万円減少したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ324百万円減少し、7,193百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益1,835百万円、減価償却費920百万円、固定資産売却損益631百万円、法人税等の支払額498百万円、棚卸資産の増加額468百万円の計上などにより775百万円の収入(前年同期は2,009百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産の取得による支出1,329百万円、有形固定資産の売却による収入697百万円などにより712百万円の支出(前年同期は468百万円の支出)となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは62百万円の収入(前年同期は1,541百万円の収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払額435百万円などにより453百万円の支出(前年同期は456百万円の支出)となりました。 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績 

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

耐摩耗工具関連事業

12,501

100.4

 

(注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。

      2.金額は当期製品製造原価によっております。 

 

 b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

耐摩耗工具関連事業

17,654

104.1

2,644

121.9

 

(注)当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。

 

 

 c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。

製品区分

販売高(百万円)

前年同期比(%)

超硬製工具類

4,571

105.2

超硬製金型類

4,219

105.9

その他の超硬製品

4,261

100.1

超硬以外の製品

4,127

96.2

合計

17,179

101.8

 

(注)当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績等は、売上高は17,179百万円、営業利益は1,150百万円、経常利益は1,225百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,292百万円となりました。

当連結会計年度の売上高は、超硬製工具類につきましては、一部の半導体関連需要が続いたことにより、関連工具の販売が堅調に推移しました。超硬製金型類につきましては、車載電池用金型の販売が好調に推移し、光学素子成型用金型や製缶金型の販売も堅調に推移しました。その他の超硬製品につきましては、中国向け素材販売が景気低迷の影響を受け低調に推移したものの、一部の半導体関連需要が継続し関連する製品の販売が堅調に推移しました。超硬以外の製品につきましては、セラミックス工具の販売が堅調に推移したものの、自動車部品用鋼製金型や引抜鋼管の売上が低調に推移し、前年を下回りました。この結果、連結売上高は17,179百万円(前連結会計年度比1.8%増、目標比1.0%減)となりました。

また、当社グループは中長期的な成長に向けて海外売上の拡大を目標としており、引き続き経済成長が見込まれるアジア地域を中心に積極的な販売活動を行い、海外売上高は3,395百万円(前連結会計年度比4.9%増)、アジア地域への売上高は2,989百万円(前連結会計年度比3.6%増)となり、海外売上高及びアジア地域への売上高ともに増加いたしました。

当連結会計年度の営業利益は、原材料高等によるコスト増加の影響があったものの、売上高の増加に加え、生産性向上や価格改定等により営業利益は1,150百万円(前連結会計年度比3.3%増、目標比0.9%増)となりました。

当連結会計年度の経常利益は、営業利益が対前連結会計年度、対目標ともに上回り、1,225百万円(前連結会計年度比1.9%増、目標比97.2%増)となりました。これに伴い当社グループが重視する経営指標の一つであります売上高経常利益率は7.1%となり、当連結会計年度の目標であった7.0%を0.1ポイント上回りました。

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は固定資産の譲渡による特別利益を計上したことにより、1,292百万円(前連結会計年度比63.4%増、目標比57.6%増)となり、対前連結会計年度、対目標ともに上回る結果となりました。

これに伴い、当社グループが重視する経営指標の一つでありますROE(自己資本当期純利益率)は6.5%となり、当連結会計年度の目標であった4.2%を2.3ポイント上回りました。

当連結会計年度におきましては、資源価格や物価上昇等コスト増加に対応すべく価格改定を進めるとともに、生産効率向上・製造原価低減の各種施策を進めた結果、当社グループの重視する経営指標である売上高経常利益率、ROEともに目標を上回りました。

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおり、筋肉質な企業体質への転換、中長期の成長基盤の構築を目指して、生産性向上・業務効率化、次世代自動車への対応・拡販、新成長エンジンの創出、海外事業の強化の諸施策についてなお一層努めてまいります。

なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えております。

当社グループは事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており、また、健全な財政状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金についても調達することが可能と考えております。またコミットメントライン契約により、自然災害等の緊急時も含め流動性を担保できるよう備えております。

当社におけるコミットメントライン契約の状況につきましては、以下のとおりであります。

コミットメントライン契約 10億円(当連結会計年度末の借入実行残高はありません)

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(a)仕掛品(完成粉末を除く)の評価

仕掛品(完成粉末を除く)の評価に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(b)繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより行っております。

収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し見積っており、また中期経営計画の見積期間を超える期間の課税所得については、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

(c)退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率、予想昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等の様々な計算基礎があります。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定は加重平均期間アプローチによる方法により算出しております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(6)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

(d)減損会計における将来キャッシュ・フロー

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。

当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※8 減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(1百万円)を計上いたしました。回収可能価額は正味売却価額により算定しております。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、連結財務諸表を作成している当社のみが行っており、当社開発センターがその担当部署となっております。

当社グループにおける研究開発の基本方針は、顧客のニーズに応える工具・金型材料の研究開発と加工技術の研究開発からなる製品化であり、現行の事業品目のみならず新規事業分野への展開を目指した研究開発を行っております。

基本方針のもと、材料の研究開発に関しては、粉末冶金技術を基軸とした超硬合金素材、セラミックス素材及び機能性複合材料に関する研究開発を行っております。一方、加工技術に関する研究開発は、主に超硬合金素材の加工精度向上、加工効率改善及び新規設備を用いた新たな加工方法の構築を目的とした研究開発を行っております。

当連結会計年度の研究開発活動は、超硬合金材料素材の研究開発においては、中期経営計画に示した重要施策の一つである「次世代自動車への対応・拡販」に関連して、EV車に搭載される駆動モーターの部品(コア)成型金型用超硬合金材料の開発、同じく重要施策「新成長エンジンの創出」に基づき省タングステン・コバルト材料の開発に関する研究開発等を、加工技術の研究開発においては、同じく「新成長エンジンの創出」に基づき、医療分析デバイス用成型金型等の高精度品に対する微細加工技術開発により、一定の成果をあげることができました。

 

・駆動モーターの部品成型向け金型用超硬合金材料の開発及び市場投入

モーター部品の材料である電磁鋼板の成型加工用金型材料には、硬さ、破壊靭性、及び耐摩耗性が求められています。これらを高次元でバランスさせた新材料(VG48)を開発、市場投入しました。

・省タングステン・コバルト材料の開発

希少金属であるタングステンやコバルトを90%削減し、環境に配慮した新材料サステロイ(ST60)を開発しました。この材料は、鋼より軽量でありながら、超硬合金に迫る硬さ・靭性を実現しております。

・医療分析デバイス用成型金型の加工技術開発

医療分析デバイスの一つであるマイクロ流路チップの成型金型に求められる精度は数マイクロメートルであり、高度な加工技術を必要とします。当社微細加工技術開発により、当該金型の作製が可能となりました。

 

今後につきましては、粉末冶金技術を駆使した新材料、又は超精密加工技術の研究開発を進め、それにより得られる開発製品を通じて、次世代自動車、環境・エネルギー、医療デバイス等の成長分野への参入により、当社グループの事業領域拡大を進めてまいります。

なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した費用は288百万円であります。

当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。