平山グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において平山グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
平山グループは、「全社員の一心同体経営」及び「仕事から得られる心の利益を大切にする」という2つの経営理念を基に、人に付いた技術で日本のものづくりを支援し、設備と敷地を持たない製造業や人材輩出企業に進化していく上で、以下の3つの経営方針を掲げております。
1.社会的存在価値のある尊敬される企業になるための社内環境及び事業を構築する。
2.人材育成と製造技術・ノウハウの結集により新たな高付加価値サービスを提供する。
3.人材会社から製造支援会社・人材教育会社へ、国内サービスからグローバルサービスへ転換する。
以上の方針のもと、平山グループは、取り組むべき目標(SDGs宣言(注))として、国籍、性別や障がい等と関係なく、すべての人に安心して就労できる雇用環境を確保していくことを目指しております。このため、管理職の多様性を重視し、女性・外国人・中途採用者の区別なく管理職へ登用しております。
また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成と社内環境整備を今後も積極的に進めてまいります。
(注)持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2015年9月国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であります。17のゴール・169のターゲットから構成され、世界中から貧困をなくし、地球を保護し、すべての人類が平和と豊かさを享受するための目標となります。株式会社平山ホールディングスでは、一般社団法人日本SDGs協会から「SDGs事業認定」を受けております。
(2)経営環境と中長期的な経営戦略
2030年におけるありたい姿『VISION HIRAYAMA 2030』と2025年6月期から2027年6月期までの中期経営計画『ファーストステージ』を策定し、2024年7月1日よりスタートしました。『ファーストステージ』は、平山グループとしての2030年のありたい姿『製造支援企業として、独自のサービスを常に開発するグローバルオンリー1企業を目指す VISION HIRAYAMA 2030』の実現に向けて、変革し成長を続ける3年間と位置付け、成長戦略として『設備と敷地を持たない製造業』というサステナビリティを推進し、『高度人材不足』という社会的課題に対し、人材教育を行うことで解決し、『稼ぐ力』の強化を図ります。また、より強靭な経営基盤を整備しつつ、M&A(合併・買収)とAlliance(提携)を推進し、採用強化と業容の拡大を行い、企業価値のさらなる向上を目指してまいります。
外部環境は、以下の市場予測を前提としております。
・製造請負・製造派遣の市場規模拡大:2026年度見込2.6兆円市場へ(2022年度比109.9%、年平均2.4%増)
・技術者派遣の市場規模拡大:2026年度1.52兆円市場へ(2022年度比124.7%、年平均5.7%増)
・海外からの引き合い増加:ASEAN ADB(アジア開発銀行)は2025年4.7%成長を予測
ただし、リスクとして、コロナ禍の再拡大、米中貿易戦争及び米国金融引締め政策による世界景況悪化とそれに伴う1ドル100円を切る急速な超円高への為替変動等も念頭に置いております。
具体的な施策は、以下のとおりであります。
社会価値と利益の共創による企業価値のさらなる向上を目指し、「稼ぐ力の強化、高収益構造への転換」「M&A(合併・買収)及びAlliance(提携)戦略の推進」「経営基盤の強靭化」を進めます。
■稼ぐ力の強化、高収益構造への転換
収益の柱である医療、自動車関連等インソーシング・派遣事業に積極的に経営資源を投下していく一方、半導体生産、設備保全等の人材配置を強化し、将来を見据えた事業拡充を進めます。また、現場改善コンサルティング事業及び技術者派遣事業を強化します。海外での生産における人材の配置及び海外人材の国内受け入れ、配置、サポートに伴うサービス提供等、現在行っているこれらの事業をより有機的にインソーシング・派遣事業とともに提供することで多様な顧客ニーズに対応いたします。各事業の成長戦略を遂行し収益性向上を図るとともに、将来の成長の柱となるAIを活用したサービス拡大や新規事業を推進します。
■M&A(合併・買収)及びAlliance(提携)戦略の推進
製造請負派遣業界は、売上高上位企業群の寡占化比率が低く、サービスを提供する中小事業者が多い業界であります。現在、これら中小事業者の担い手が高齢化するとともに高度化する顧客ニーズに対応できず、事業承継の打診が多くなってきており、寡占化が進みつつあります。また、多様化する顧客ニーズに対応するため、当社が手掛けていない専門性の高い分野があります。このような状況に対処すべく、当社はさらにM&A(合併・買収)を推進してまいります。その際、投資指標として、ROIC(投下資本利益率)を活用し、効率性を重視し進めてまいります。
一方、日本国内における採用環境は、非常に厳しくなっており、採用範囲を広くする必要性があります。そのため、Alliance(提携)を推進し、採用を強化いたします。
■経営基盤の強靭化
各事業における安定的なサービス提供に向けて、人材の採用、育成、配置、サポートを行い、外部環境が激しく変化した際にも事業継続できる強靭な経営基盤を構築します。働きやすく、積極的にキャリア形成ができる働き手から選ばれる企業集団を目指します。また、人的資本活用の基盤を整備し、各事業の成長ステージに合わせた人材の育成と配置を推進します。同時に、デジタル技術を取り入れ、継続的に業務改革を進め効率化し、利益を生む体制を構築します。
(3)目標とする経営指標
平山グループの目標とする経営指標につきましては、売上高営業利益率を重視し、中長期的に6%を経営目標と掲げて進めてまいります。
中期経営計画(2025年6月期~2027年6月期)『ファーストステージ』 経営指標
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2027年6月期 |
2030年6月期 |
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財務指標 |
売上高 |
460億円 |
600億円 |
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営業利益 |
22億円 |
36億円 |
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営業利益率 |
4.8% |
6.0% |
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ROE |
20%超 |
24%超 |
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サステナビリティ指標 |
正社員採用者数 |
4,000名 |
5,000名 |
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就労者数 |
12,000名 |
15,000名 |
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設備投資額 |
1億円 |
1億円 |
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配当方針及び配当性向 |
総還元性向50%以内 配当性向40%超※ |
同左 |
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※これまでは配当性向30%超としておりました。
(注1)売上高には、M&A(合併・買収)による売上高は含まれておりません。
(注2)正社員採用者数及び就労者数は、インソーシング・派遣事業及び技術者派遣事業セグメントの人数です。
具体的手法として、平山グループが主力事業としている国内製造業向けインソーシング・派遣事業において、既存インソーシング取引先との契約範囲の拡大や既存製造派遣取引先のインソーシング化を推進するとともに、自社管理業務及び既存インソーシング取引先業務の両面で強力に改善を進めることにより、売上原価・販売管理費を抑制し、売上高営業利益率の向上に努めてまいります。
また、持続的な発展のためには、限られた経営資源を有効に活用することが重要であります。平山グループは、資本効率の向上を図るため、ROIC(投下資本利益率)を活用し、資本コストを意識した経営を行っております。取組みにあたっては、全事業を、インソーシング(請負)・派遣事業、技術者派遣事業、海外事業及びその他事業とセグメント別に区分し、それぞれの位置づけに応じた戦略の立案・実行・見直しを進めるとともに全体最適の観点から事業ポートフォリオの見直しを進めてまいります。
(平山グループの事業ポートフォリオマネジメント)
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分 野 |
課 題 |
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基盤事業 |
インソーシング(請負)・派遣事業 |
・請負化の推進、生産性の改善 ・採用強化、定着 ・営業力強化 |
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収益改善事業 |
海外事業、その他事業(コンサルティング事業) |
・海外事業の効率化推進 ・コンサルティング事業はコロナ禍に対応したWEB化推進 |
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成長事業 |
技術者派遣事業、その他事業(外国人雇用管理サポート事業) |
・技術者の採用、定着 ・営業力強化 ・外国人雇用管理サポート事業は技能実習生のみならず特定技能配置への対応 |
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2022年以降、日本の社会全体が人材不足感の状況にあることから、すべての職種において、新規採用のための募集賃金が上昇しております。特に飲食店や宿泊施設の深刻な人手不足による賃金上昇が、製造業界の賃金と採用コストにも影響を及ぼしていると考えられます。
平山グループにおいても、上記の要因と同一労働・同一賃金が浸透したことで、自動車や半導体業界の業績は低調にもかかわらず派遣単価の高止まりの傾向が継続しております。また、エンジニアにとどまらず、製造オペレーターも毎年賃金が上昇する状況が続いております。一方、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展に伴い、製造派遣の領域で「技能系」と「技術系」人材に求められるスキルが重複(オーバーラップ)しつつあり、現場を熟知し、かつ、システム(情報と制御)に精通した人材の需要が増加しております。
このような環境下においては、自社の技術研修センターで顧客の需要に合わせたカスタマイズ教育を行い、顧客にとって付加価値の高い人材を輩出できる企業が先行して成長するものと推測できます。
このため、常に企業体力の強化を図り教育に経営資源を集中させていくことが重要であると考えております。
また、既存の研修センターの更なる充実を図るとともに新たな研修センターを設立することで、半導体業界の製造設備の保守・保全を担えるフィールドエンジニアを育成し、ハイエンドな人材として派遣できる体制を整えます。
平山グループは「エンジニア・ファースト」の精神を貫き、10年先を見据え、社員が現場で働きながら、同時に教育や自己研鑽によりキャリアアップを図るという、理想的な仕組みを確立することを優先課題として取り組みます。
① 採用力の強化
刻一刻と変化する需要に迅速に対応するため、採用力強化が重要課題となっております。平山グループは、コストパフォーマンスの良い地方テレビCM等のメディア活用、SNSの活用、ネットワーク採用等を強化し、企業イメージの向上を図るとともに、採用ルートを多様化して、採用コストの抑制に努めます。
新卒・中途採用において同業他社とも連携し採用ネットワークを全国に張り巡らせながら、深く地域にも密着できる組織を構築して採用力を強化します。
加えて、給与面以外の福利厚生の拡充や、働きがいのある職場づくりに今後もより一層注力します。
② 教育の強化と定着率の向上
平山グループ全体で、生産設備の保守・保全やスマートファクトリー化を担う「フィールドエンジニア」の育成を引き続き強化します。
あらゆる分野でエンジニアが不足しており、未経験者に加え、微経験者(工業高校卒業生など)の採用も強化して、機械・電気・情報技術など、全方位のエンジニア教育を推進します。教育において重要なことは、エンジニア一人ひとりに対して将来のキャリアプランが見える教育を提供することであります。そのためにキャリアカウンセラーが一人ひとりに寄り添い、時代の変化を捉えつつ必要なスキルが習得できるようにキャリアパスを適正かつ明確にすることで定着率の向上につなげます。
③ 請負事業の強化
平山グループは、製造派遣契約から製造請負契約への転換を強みとしております。一方、人材派遣業界全体では、定着率の悪化への対応が喫緊の課題となっております。多くの派遣社員を採用しても、習熟度が向上しないまま退職し、現場の生産性が安定しないのが実態であります。現場オペレーションの煩雑さと習熟度が上がらないという問題に直面したことで、派遣会社から請負会社への転換、つまり平山グループに一括で依頼する顧客が増加傾向にあります。
ベテラン社員、新卒社員、外国人技能実習生の混成チームなど、人材の最適な組み合わせのポートフォリオを提供できる会社が、国内でのものづくりの競争優位を堅持できることは明白であります。
このような競争力にこそ商機があり、新工場立ち上げ案件の獲得や既存取引の長期継続につながります。「現場責任を負う」という請負事業を中心・基盤に置いた「ものづくり支援企業」という平山グループの強みが発揮できる好機といえます。
また、顧客先工場の課題を的確に捉え、自社開発のAIツールや作業適正化システムを導入しており、これにより労災予防や品質向上などの課題を解決しております。加えて、顧客企業との共同開発でスマートファクトリー化を実現するなど請負の新たな事業展開を目指しております。
④ 技術者派遣事業の拡大
社会全体で進行するDX化の進展に伴い、IT・AI分野での技術者も不足しているため、派遣需要も拡大が続いております。平山グループは市場拡大に対応するため、引き続き新領域の高スキル技術者の派遣事業に、より一層注力します。ハードウエアに実装させるソフトウエアを開発できるのは、ハードウエアに精通したエンジニアであります。そのため、平山グループは、エンジニアがフィールドワークを支援するソフトウエア開発に携わることができる研修環境を速やかに実現することを目指します。
派遣社員の地位向上とプライドの醸成を図るために、働く環境や待遇を改善することが平山グループの責務であると認識しております。
⑤ 外国人材採用・活用と女性比率の向上
日本国内においては、今後も少子高齢化による生産年齢人口の減少は継続し、人材採用は年々困難になることが容易に推測できます。
持続的な成長を実現するためには、外国人材の採用や活用を拡充することが必要不可欠であると認識しております。外国人材に安定した雇用と教育を提供することで、日本で安心して生活し、就労できる環境を提供してまいります。
一方、女性の雇用も特に重視しており、現在の女性比率をさらに向上させるため、バイオや化学の新事業領域を開拓して、女性の新しい職場を創出する計画を進めております。
⑥ 海外事業の強化
主力となるタイの派遣事業においては、継続的に間接部門の効率化を図ることで、筋肉質な事業運営ができております。大規模な投資をするのではなく、効率的なオペレーションを拡大し、事業のスリム化を図ることにより、黒字を維持し適正利益を創出しております。黒字体質が継続できている間に、利益率の高い日本のビジネスモデルを横展開できるかが海外事業の課題であります。
⑦ その他事業の強化
顧客企業の工場改善コンサルティングのワンストップサービスは、順調に受注が拡大しております。資源不足と半導体不足によるリスクヘッジから、顧客企業は、重要部品や材料の中国での生産から国内への回帰をさらに進展させております。実際に、平山グループへの新規工場開設や新規ラインの立上げ、工場増設等に関連するコンサルティング依頼が増えております。これら拡大しつつある需要に対応するためには、コンサルタントを拡充することが課題であり、現在拡充計画を進めております。
また、株式会社平山グローバルサポーターを中心に、特定技能と技能実習の在留資格を持つ外国人を雇用する企業や、民間の人材派遣会社、登録支援機関などの就労支援機関に向け、外国人雇用管理サービスを展開しております。
平山グループは、このサービス内容を顧客向け及び外国人材向けに、さらに充実させ、成長を加速してまいります。
⑧ グループ会社の連携とコーポレートガバナンスの強化
企業倫理・コンプライアンスに関し、役員、社員が共通の認識を持ち、公正で的確な意思決定を行う風土を醸成する仕組みの構築に加えて、透明性のある管理体制を整備・維持することで、内部管理体制の強化及びコーポレートガバナンスの充実に努めます。
グループ各社のコンプライアンス経営を担保すべくホールディングスによるマネジメント力を向上させ、ガバナンスを強化します。グループ共通のIT基盤を構築してDXを迅速に推進するため、情報システム人材を拡充しました。同時にロボット研究も推進し、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)導入により間接部門の業務プロセスの効率化と透明性の担保を図ります。
平山グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において平山グループが判断したものです。
(1)ガバナンス
平山グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、「経営理念」である「全社員の一心同体経営」、「仕事から得られる心の利益を大切にする」を追求し、継続的な企業価値の向上を達成するために、意思決定の迅速化、経営責任の明確化、コンプライアンス体制の充実・強化及び適時・適切な情報開示などを通じて、株主をはじめとするすべてのステークホルダーからの信頼を得ることであります。平山グループでは取締役及び執行役員によりサステナビリティ関連のリスク及び機会が識別され、取締役会において報告・議論されるとともに、取締役会がサステナビリティに関する課題の監督を行う責任を持ちます。
(2)戦略
平山グループは経営方針にもあるように、人が最も重要な資産であり、その価値を高める人材育成が平山グループの企業価値を高める非常に重要な戦略であると位置づけております。「設備と敷地を持たない製造業」、「人に付いた技術で日本のモノづくりを支援する」をコンセプトに人材育成に邁進してまいりました。平山グループは製造業への派遣・請負にとどまらず、今後はサービス業への派遣・請負をさらに拡大し、外国人の活躍が期待される新たな業界に進出することで、あらゆる企業の人材需要に応えてまいります。
さらに当社の子会社である株式会社平山LACCにおいては、障がいのある方の雇用の促進と安定に取り組んでおり、企業の社会的責任の一環として、障がいをお持ちの方々に雇用機会の場所を提供するとともに、その能力を十分に発揮していただきながら安心して就労できる環境を提供しております。さらにこの事業を事業として成立させることが、持続可能な社会に大きく貢献できるものと確信しております。
(3)リスク管理
平山グループは、ビジネスの特性上、多くのお客様に従業員を派遣していることから、現場におけるトラブル対応を重視しており、「労務災害報告」の運用を徹底しております。これはリスクが顕在化した際に経営者、管理職クラスにまずは速報として周知すること、その後、リスクが顕在化した要因分析、類似のリスクに対する注意喚起等を含めた報告書の作成、さらに拠点毎に設置されている安全衛生委員会における共有を通して、横展開・全従業員との共有を図るものであります。また、重要性が高い案件については取締役会に報告され、サステナビリティに関するリスクを含むより重要なリスクについては、取締役会において監督されることとなります。
また、働くことにより「ウェル・ビーイング」(幸福・健康)になる「健やかさのキャリア」を構築できることが重要であり、従業員の健康、特に心の健康を守るため、以下の施策を実施しリスクヘッジに努めております。
・ HAio(労働災害防止のためのAI安全支援ツール)の利用強化(「労働災害を防止するAI安全支援ツールHAio(ハイオ)特許取得」によるサービスの提供)
・ EAP-メンタル支援「ココロケアサポート」(訪問型相談支援)の利用の展開中
(4)指標及び目標
平山グループは、中途採用者の積極採用や女性の管理職割合の向上等の取組を進めており、前記「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3)目標とする経営指標」に掲記した表の「サステナビリティ指標」の項に、中期経営計画の指標として設定した数値を記載しております。今後、取締役会において、人材の育成及び社内環境整備の方針に関するさらなる指標の策定に向けた議論を行い、指標及び目標の開示を検討してまいります。
平山グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。平山グループは、これらのリスクの存在を理解した上で、当該リスクを極力回避するための最大限の努力をいたします。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において平山グループが判断したものであります。
(1)大規模な自然災害と日本経済の動向等による影響
平山グループは、地震、台風、洪水、火災等の災害、地球規模の気候変動の進行による影響を受けた場合、また、戦争、テロ行為、コンピューターウイルスによる攻撃等が起こった場合やそれにより情報システム及び通信ネットワークの停止や誤作動が発生した場合、さらにコロナ禍の再拡大やインフルエンザ等の感染症が流行した場合、平山グループの事業活動が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、景気変動や社会環境の変化に伴い顧客企業からの人材需要が減少した場合や顧客企業の製造拠点の海外移管等により業績に大きな影響を与える可能性があります。
(2)法的規制等について
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業は、顧客構内での製造請負と製造派遣で構成されております。製造請負については、現時点では請負自体を規制する法律はありませんが、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する労働省告示第37号で示される労働者派遣との区分に則って取り組んでおり、コンプライアンスを確実に遵守した製造請負を推進しております。
平山グループの事業は、労働基準法、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)をはじめとする労働関係法令及びその他関係法令の規制を受けております。2015年9月には改正労働者派遣法が施行され、派遣需要の裾野は確実に広がりましたが、派遣元事業主には一層の雇用責任が求められることになりました。そのため、内部監査室が全国各支店を監査し関連諸法令の遵守状況を日々監視しております。
平山グループは、コンプライアンスを経営方針の最重要事項と位置付け、関係法令の教育、指導、管理、監督体制の強化等に努めておりますが、関連諸法令に違反するような事象が発生した場合には、労働局等所轄監督官庁により平山グループ及び取引先に対し是正勧告、業務改善命令、事業停止命令、事業許可取消等の処分が下され、平山グループの業績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
平山グループの許可状況
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会社名 |
許可の名称 |
監督官庁 |
許可番号 |
取得年月日 |
有効期限 |
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株式会社平山 |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派13-310767 |
2018年7月1日 |
2026年6月30日 |
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有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-309562 |
2018年7月1日 |
2026年6月30日 |
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株式会社トップエンジニアリング |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派13-040276 |
1995年4月1日 |
2028年3月31日 |
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有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-040317 |
2000年6月1日 |
2026年5月31日 |
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FUNtoFUN株式会社 |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派13-312372 |
2018年10月1日 |
2026年9月30日 |
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有料職業紹介事業 |
厚生労働省 |
13-ユ-309971 |
2018年10月1日 |
2026年9月30日 |
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株式会社平山GL |
労働者派遣事業 |
厚生労働省 |
派40-301124 |
2018年3月1日 |
2026年2月28日 |
なお、上記の許可について、事業停止、許可取消等となる事由は労働者派遣法第14条及び職業安定法第32条に定められております。本書提出日現在において平山グループが認識している限り、平山グループにはこれら事業停止、許可取消等の事由に該当する事実はありません。
(3)取引先企業の生産変動について
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業における製造請負及び製造派遣では、取引先メーカーの生産状況に合わせたサービスを提供しております。平山グループは、取引先メーカーの意向に従って増産・減産するといった生産変動に対応することで、メーカー側のコスト構造をより変動費化する役割を担っております。現在、平山グループの最も取引量の多い取引先業種は、医療機器・医薬品等を扱う精密機器分野のメーカーですが、当該分野の企業は、国内に留まらず全世界に製品を出荷しており、出荷先の景気動向が生産数量に大きな影響を及ぼす状況となっているため、頻繁に生産変動が生じております。さらに、取引先メーカーは、為替変動、コストダウン要請等の課題も抱えており、グローバルな視点で生産拠点の最適化を模索しているため、生産拠点自体の統廃合も戦略的・機動的に行われております。
こうした取引先の生産動向の変化や生産拠点戦略の変更等は、今後も規模の大小を問わず常に生じるものと考えられます。取引先企業の大規模かつ急激な生産変動が生じた場合には、平山グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
このような取引先企業の生産変動に伴うリスクに対応するため、平山グループの強みである派遣契約から請負契約への転換を推進することにより、より安定した契約関係の維持・構築を進めております。
(4)特定の取引先への依存について
平山グループは、テルモ株式会社の国内工場に対し製造請負及び製造派遣を行っており、平山グループの最近2連結会計年度における総売上高に占める同社に対する売上高の割合は、下表のとおり高い水準にあります。
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相手先 |
第58期 連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
第59期 連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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テルモ株式会社 |
4,852,693 |
13.8 |
4,974,616 |
13.7 |
現状において、平山グループは、同社とは良好な取引関係を維持しておりますが、何らかの要因により取引関係に問題が生じた場合、あるいは同社の生産動向の変化や事業方針の変更等があった場合には、平山グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、この他にも、平山グループは同社の関係会社と取引がありますが、取引金額は僅少であり重要性が乏しいため、記載を省略しております。
このような特定の取引先への依存に伴うリスクに対応するため、新たな高付加価値サービスを提供するものづくり支援オンリーワン企業に向けて諸施策を策定し顧客の拡大に取り組んでおります。
(5)人材の確保及びその維持にかかる業績への影響について
平山グループの主たる事業においては、顧客企業及び自社運営の請負事業所が必要とする人材を採用・育成し、必要なときに必要な人材を供給する必要があります。
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業においては、ものづくりに深く取り組む現場での社員確保が必要であり、そのために必要な施策を的確に展開しております。
さらに、採用過程において、募集広告に関し総合的な分析による効率的な投資を行うとともに、採用担当者に対して徹底した教育を行うことにより良質な人材採用につなげ、応募から採用、そして入社に至るすべての過程で就労意欲を高められるよう、取引先及び平山グループが必要とする人材確保に努めております。
しかしながら、当該施策を行っても、平山グループの求める人材の確保が計画通りに進まない場合には、売上機会の喪失、原価率の上昇、販売管理費の上昇等により、平山グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、平山グループの人材戦略として、新卒正社員を主軸とした無期雇用社員数の増加を掲げており、請負化推進の基本戦略にもつながっております。しかしながら、大規模な経済活動の後退局面が生じた場合においては、結果的に平山グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)社会保険料率の変化について
平山グループは多数の従業員を抱えており、社会保険の加入義務があります。今後社会保険料の料率が上昇した場合には、平山グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)労働災害等のリスクについて
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業は、取引先メーカーの工場内において、製造請負及び製造派遣を行っております。取引先メーカーの工場内で行う製造請負は、取引先メーカーとの業務請負契約によって生産量や生産期限、品質あるいは取引先企業の備品管理といった領域まで責任を負っております。一方、製造派遣は法律上、人材を取引先メーカーに派遣し、派遣した人員の指揮命令等の労務管理が派遣先に委ねられる形態となっております。
製造請負の取引形態と製造派遣の取引形態では、業務を遂行する現場社員が労働災害に見舞われた場合の責任主体が異なり、製造派遣では取引先メーカーがその損害についての責任を負うのに対し、製造請負においては平山グループが責任を負うこととなります。
労働災害に関しては、基本的に労働保険の適用範囲内で解決されるものと考えておりますが、平山グループの瑕疵が原因で発生した労働災害において、被災者が労働保険の適用を超えて補償を要求する等、訴訟問題に発展した場合には、平山グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような労働災害等のリスクに対応するため、「安全衛生管理規程」において安全衛生管理の基本方針等を策定するとともに、「リスクアセスメント管理」を徹底することで、未然の災害防止策を講じ、グループ各社で実施すべき管理教育の内容等をそれぞれ定めております。
(8)顧客及び個人情報の管理について
平山グループは、取引先メーカーの生産計画や新製品の開発及び製造にかかわる機密性の高い情報に接することがあります。平山グループは「顧客情報管理規程」において、社員が職務上知り得た顧客企業の情報の取扱いについて必要な事項を定め、適正な情報管理を行うための体制を整えております。
また、採用活動時の個人情報管理面では、採用試験合否結果後の履歴書等の保管及び廃棄について、面接前に個人情報取扱いに関する同意書を交わして進める等、個人毎の情報管理の徹底を図っております。また、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)が始まり、これまでより一層の管理責任が求められることになりました。
平山グループは、全社員を対象とした継続的な教育を実施し、厳正な管理を行っておりますが、個人情報等の漏洩や不正使用などの事態が生じた場合、損害賠償請求や社会的信用失墜等により平山グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)事業投資及び海外事業展開に関するリスク
平山グループは、成長発展を促進するための手段として、同業又は製造業、コンサルティング業を中心にM&Aを検討してまいります。そのために、多額の資金需要が発生する可能性があるほか、その投資が必ずしも見込みどおりに進展せず、平山グループの業績に貢献するまでに時間を要する可能性があります。
また、日本国内の長期的経済環境は、人口減少による購買力の低下で経済力が弱体化し、国内マーケットの規模は確実に縮小していく一方、海外市場、特にアジアでの人口は増加しており、消費拡大が見込まれております。現在平山グループの事業活動は日本国内を中心に行われておりますが、持続的に成長を実現するためにも、アジアを中心として更なる海外事業の拡大が重要なテーマと考えております。しかしながら、これら海外での事業展開を推進していくにあたり、為替リスクに加え、売掛金の回収や取引先との関係構築等の面で現地商慣習により様々な障害を受ける可能性があり、また、テロ行為等の政情不安や、宗教観などの違いによる労使関係の悪化等、政治的・法的なリスクが存在します。
これらのことから海外事業の拡大では、投資資金の回収や利益の実現までには一定の期間が必要と考えております。しかし、その結果として、所要の成果があげられなかった場合や投資した資金が回収不能となった場合等には、平山グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような事業投資等のリスクに対応するため、外部専門機関によるデューデリジェンスや市場予測等の客観的調査をもとに、取締役会での十分な議論を通じた意思決定プロセスを経て投資判断を行うことでリスクの低減に努めております。
(10)請負化推進にかかる請負事業者責任
平山グループの主力事業であるインソーシング・派遣事業は、製造請負及び製造派遣の2本の柱で構成されております。その主たる事業である製造請負について、当社の現場改善コンサルタントと連携し付加価値の高い製造請負サービスを各種ものづくり企業に提供してまいりました。また、長年の取組みの中、製造請負事業改善推進協議会から平山グループの請負事業所が「製造請負優良適正事業者」第1号として認定されました。
平山グループの製造請負事業は、前述の現場改善コンサルタントが生産特性を詳細に分析し、最善の生産プロセスを具現化しております。しかしながら、製造派遣事業と比較して利益率が高い分、リスクも高く、不良品の発生や、顧客企業の設備の破損等への責任は、平山グループの業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(11)潜在株式について
平山グループは、役員及び従業員等に対して、業績向上に対する意欲や士気を高めるため、ストックオプションによる新株予約権を発行しております。2025年6月30日現在、新株予約権による潜在株式総数は28,800株であり、発行済株式総数8,149,200株の0.4%に相当します。
平山グループでは、今後も将来にわたって平山グループの成長に大きな貢献が期待できる役員及び社員には、新株予約権の付与を行っていく方針でありますが、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、当社株式の株価の状況によっては、需給バランスの変動が発生し、当社株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
なお、ストックオプションの詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における平山グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、2025年7月1日発表の全国企業短期経済観測調査(短観)に見られるとおり、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回の3月調査(プラス12)から小幅に改善しプラス13となりました。大企業製造業の景況感の改善は2四半期ぶりで、いわゆるトランプ関税(以下「米国の関税措置」という。)に伴う不確実性が業況の下押しとなる一方、価格転嫁の進展で企業収益が好調なことが全体を押し上げました。大企業非製造業のDIは前回調査(プラス35)から小幅に悪化してプラス34で、2四半期ぶりに悪化しました。円高によるインバウンド(訪日外国人)の需要減退が見られる分野もあり、小売りは3ポイント悪化しプラス18でした。
一方、2025年5月の完全失業率は2.5%、有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍でした。人手不足の状況は変わらないなか、長引くインフレの影響で新たな収入源を求める人が増えております。
このような環境下において、平山グループは、タイでの生産が停滞する一方、国内の生産回復需要を取り込み、前年同期比で増収増益を確保しました。インソーシング・派遣事業(「インソーシング」とは構内作業請負をいう。以下同じ。)が業績を牽引し、新規・既存顧客からの受注が増加するとともに、前期に連結子会社化した株式会社平山GL(旧ブリヂストングリーンランドスケープ株式会社。以下「平山GL社」という。)において、前期に要したグループ化に伴う諸費用がなくなったこと、平山グループが得意とする現場改善により生産効率が改善したこと等が増収増益に寄与しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高36,220,268千円(前期比2.6%増)、営業利益1,270,461千円(前期比13.5%増)、経常利益は為替差益29,191千円等を計上したことから1,300,315千円(前期比11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等432,414千円等を計上し、858,156千円(前期比13.3%増)となりました。
セグメント別の業績の概況は、次のとおりです。
(インソーシング・派遣事業)
インソーシング・派遣事業につきましては、医療機器関連及び電子デバイス関連からの受注が堅調に進み、増収となりました。物流関連、旅客業関連等においては、引き続き旺盛なインバウンド需要があり、既存取引先からの追加発注のみならず新規受注も好調でした。また、既存顧客企業のなかには、製造派遣から請負化への転換が図られた取引先も複数ありました。なお、前述したように、前期に連結子会社化した平山GL社も増収に寄与しております。
利益面では、多くの顧客企業に2024年10月の最低賃金改定に伴う派遣単価上昇の理解を得られたことや製造請負事業所各所において現場改善活動が実り収益改善ができたこと及び平山GL社の寄与により増益となりました。その一方で、今後の成長を見据えて、顧客ニーズが強い高単価受注案件への人員配置及びハイエンド技能人材教育の強化を行うため、募集費等を戦略的に使用するとともに、新たな拠点や研修センターの追加設置、2025年新卒の初任給上昇や採用担当者及び教育人材の拡充に伴う関連費用が増加しました。
採用面では、2024年新卒採用者が定着し生産の安定に寄与する一方、中途採用では、サービス産業の復調等業況の改善に伴い採用環境が前期に増して厳しく、費用増となりました。これに対し、平山グループは、コストパフォーマンスの良い地方テレビCM等のメディア活用、SNSの活用、ネットワーク採用等の強化による企業イメージの向上を図るとともに、採用ルートの多様化等により採用強化を行っております。また、新卒・中途採用費用及び労務費は、物価上昇や給与引上げ等により上昇傾向にあるものの、顧客企業に理解を求め、収益改善に努めております。
この結果、売上高は29,386,234千円(前期比3.9%増)、セグメント利益は1,849,338千円(前期比14.2%増)となりました。
(技術者派遣事業)
技術者派遣事業につきましては、主要顧客である大手製造業の一部において、中長期的な技術開発投資が継続している状況にあります。この動きに伴い、車載関連や精密機器の制御組込ソフトウェア、生産設備関連、生産技術業務を中心とした受注案件が増加しております。また、防衛産業における航空機とその搭載システムの新規開発が進むことにより、組込ソフトエンジニアや電気エンジニアを中心とした需要は依然として旺盛です。この傾向は、航空機産業全体に広がることが予測されます。
WEB系IT業界においては、慢性的な技術者不足が続いている状況にあります。しかし、ニーズに対し未経験者や若手ITエンジニアが過剰となる傾向が見られるため、現状に応じた柔軟な対応が求められる状況にあります。
製造業界全体をミクロ的な視点で見ますと、とりわけ自動車業界ではメーカー各社間で好不調の格差が顕著に表れております。このため、市場動向を単に業界単位で把握するのではなく、個々の企業における市況を的確に把握することが一層重要になってきております。他方、製造業界全体をマクロ的な視点で見ますと、技術者不足は依然として継続している状況にあります。平山グループではこの課題に対応すべく、ターゲット顧客を適切に選定し、若手の未経験者や微経験者に実務経験を段階的に積ませることでスキルアップを促進しております。このプロセスを通して市場価値の向上を図り、派遣単価の上昇を実現し、収益向上に寄与しております。また、米国の関税措置の影響は現時点では限定的に留まっておりますが、今後の人員調整の動向を注視しながら、柔軟かつ継続的な人材提案に取り組んでまいります。
人材採用に関しては、中長期的な成長を見据えた採用活動を強化しております。新卒・中途を問わず、メーカー各社や競合他社による採用活動が活発化しているため、技術者確保競争が激化している状況にあります。このため、平山グループでは採用部門の体制強化を進めるとともに、メディアを活用した広告展開や、新たな母集団形成ルートの開拓を通して採用力の向上に努めております。また、微経験者や未経験者を含む若手中途採用者の増加を背景に、社内研修をさらに充実させ、技術者のスキルアップと市場価値の向上を積極的に支援するとともに、待機者の早期配属を実現することで稼働率向上にも取り組んでおります。加えて、幅広い技術分野での技術者不足に対処するため、優秀な外国籍人材の積極採用も継続的に推進しております。
この結果、売上高は3,099,576千円(前期比5.4%増)、セグメント利益は、既に派遣済みではあるものの、若手IT系エンジニア配属に時間を要したことから100,578千円(前期比19.8%減)となりました。
(海外事業)
海外事業につきましては、主力のタイにおいて、製造業生産指数(MPI)が、前年同四半期比で、2024年4~6月期は0.2%減、2024年7~9月期は1.1%減、2024年10~12月期は1.8%減、2025年1~3月期は1.6%減となり景気は停滞しております。主要産業である自動車生産では、前年同四半期比で、2024年4~6月期は16.3%減、2024年7~9月期は21.0%減、2024年10~12月期は25.3%減、2025年1~3月期は15.2%減でした。このような環境下、タイにおける平山グループの派遣従業員数は、2025年3月時点で2,134名(前年同月比19.4%減)となったものの、ローコストでのオペレーションに継続して努めてきたことから黒字を確保しましたが、さらにコスト削減を図り収益改善に努めております。
この結果、売上高は2,408,744千円(前期比16.4%減)、セグメント利益は59,258千円(前期比27.2%減)となりました。
(注) 海外事業につきましては、2024年4月~2025年3月期実績を3ヶ月遅れで当連結会計年度に計上しております。
(その他事業)
その他事業につきましては、国内外の現場改善に係るコンサルティングや海外企業及び教育機関からの研修案件が増加しました。また、DX推進のためのシステムの刷新や工場立ち上げ支援案件が増加しました。
利益面では、外国人エンジニア及び技能実習生の配置が進んだことから、外国人雇用管理サポート事業の寄与により増益となりました。また、株式会社平和鉄工所についても、中型製品の受注や製造が順調だったこと、大手重電からの小型製品の製作依頼が多数入ったこと等もあり収益に寄与しております。
この結果、売上高は1,325,713千円(前期比10.6%増)、セグメント利益は370,762千円(前期比23.6%増)となりました。
当連結会計年度末の財政状態の概況は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ64,033千円増加し、12,358,275千円となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、現金及び預金が113,167千円、受取手形及び売掛金が31,736千円、それぞれ増加した一方で、その他流動資産が185,239千円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ104,544千円減少し、10,579,973千円となりました。
当連結会計年度末の固定資産合計は、有形固定資産が82,716千円、無形固定資産が12,582千円、投資その他の資産が73,278千円、それぞれ増加したことにより、前連結会計年度末に比べ168,577千円増加し、1,778,301千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ476,457千円減少し、7,351,555千円となりました。
当連結会計年度末の流動負債は、未払法人税等が161,058千円、未払消費税等が25,016千円、それぞれ増加した一方で、未払金が485,163千円、短期借入金が30,000千円、それぞれ減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ311,510千円減少し、4,689,263千円となりました。
当連結会計年度末の固定負債は、退職給付に係る負債が153,736千円増加した一方、長期借入金が382,000千円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ164,947千円減少し、2,662,292千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、新株予約権の行使による株式の発行等により、資本金が12,620千円、資本剰余金が11,865千円、それぞれ増加したほか、親会社株主に帰属する当期純利益858,156千円を計上した一方で、配当金348,931千円の支払等があったことにより、前連結会計年度末に比べ540,491千円増加し、5,006,720千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ138,167
千円増加し、6,053,261千円となりました。
営業活動による資金の増加は、989,116千円となりました(前期は1,003,372千円の増加)。これは主として、税金等調整前当期純利益1,293,550千円の計上、退職給付に係る負債の増加153,736千円等の資金の増加があった一方で、未払金の減少491,628千円、法人税等の支払額258,769千円等の資金の減少があったことによります。
投資活動による資金の減少は、95,195千円となりました(前期は70,141千円の増加)。これは主として、敷金及び保証金の回収による収入45,389千円、定期預金の純減25,000千円等の資金の増加があったものの、有形固定資産の取得による支出65,543千円、無形固定資産の取得による支出31,965千円、敷金及び保証金の差入による支出57,326千円等の資金の減少があったことによります。
財務活動による資金の減少は、764,687千円となりました(前期は534,189千円の増加)。これは主として、短期借入れによる収入50,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入25,241千円の資金の増加があった一方で、長期借入金の返済による支出398,200千円、配当金の支払額348,733千円等の資金の減少があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
平山グループは、提供するサービスの大部分が請負業務又は派遣業務であるため、生産実績については記載を省略しております。
b.受注実績
平山グループは、提供するサービスの大部分が請負業務又は派遣業務であるため、受注実績については記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
インソーシング・派遣事業 |
29,386,234 |
3.9 |
|
技術者派遣事業 |
3,099,576 |
5.4 |
|
海外事業 |
2,408,744 |
△16.4 |
|
その他 |
1,325,713 |
10.6 |
|
合計 |
36,220,268 |
2.6 |
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
テルモ株式会社 |
4,852,693 |
13.8 |
4,974,616 |
13.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による平山グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
平山グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴い実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の分析は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
平山グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業活動における運転資金需要は、主として給与等の人件費及び人材確保のための社員募集費であります。また、設備資金需要としては、教育施設投資に加え、社内基幹システム、製造スタッフ管理システム及び採用サイト等の無形固定資産投資等であります。業容拡大を図るために事業買収(M&A)等の投資を行う場合、それに伴う資金需要の発生が見込まれます。必要な資金については自己資金及び借入金による資金調達を基本としております。
資金の流動性については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
なお、当連結会計年度の売上高営業利益率は3.5%となっており、中期的な目標としている4.8%に対しては改善途上であります。このギャップにつきましては、平山グループが主力事業としている国内製造業向けインソーシング・派遣事業において、インソーシングでは請負現場の改善による省人化により、派遣では大型派遣事業所との単価交渉を進めることにより、売上高営業利益率の改善に努めてまいります。
該当事項はありません。
重要な研究開発活動はありません。