当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
〔経営方針〕
(1)会社の経営の基本方針
当社は、2015年10月1日に株式会社肥後銀行(以下、「肥後銀行」という。)と株式会社鹿児島銀行(以下、「鹿児島銀行」という。)との経営統合に伴い、共同株式移転により設立いたしました。両行の地元を中心とした九州での存在感を更に発揮できる盤石な経営基盤を確立することで、広域化した新たな地域密着型ビジネスモデルを創造し、地元との信頼関係を更に強化するとともに経営の効率化を促進し、企業価値を高め、地域価値共創グループとして活力あふれる地域社会の実現に積極的に貢献してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、2030年度を見据えたビジョンとして「お客様、地域、社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化」を掲げ、そのために3年間ですべきことを、第3次グループ中期経営計画(計画期間:2021年4月1日~2024年3月31日)として策定し、取り組んでまいりました。
(第3次グループ中期経営計画の概要)
1.ビジョン:お客様・地域・社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化
2.名 称:第3次グループ中期経営計画「改革」
3.計画期間:3年(2021年4月~2024年3月)
4.基本方針:地域価値共創グループの実現に向けた改革
5.基本戦略・戦略の柱
6.グループKPI
※1 お客様向けサービス業務利益:貸出金平残×預貸金利鞘+役務収益等利益-経費
※2 役務利益比率:役務等利益÷コア業務粗利益(業務粗利益-国債等債券損益)
第3次グループ中期経営計画の最終年度となる2023年度において、当社グループが実施した主な施策は次のとおりです。
地域総合金融機能の深化
<新常態における金融コンサルティング力の強化>
2024年1月よりNISA(少額投資非課税制度)が抜本的に拡充・恒久化され、貯蓄から資産形成への流れが加速する中で、当社グループはNISAを活用したお客様の資産形成支援に積極的に取り組んでおります。NISA専用ダイヤルの開設や各種お客様向けセミナーの開催、当社グループ会社と連携したキャンペーンの展開など、グループ一体となり取り組んだ結果、当社グループのNISA口座数は約13万2千口座(2024年3月末)と、2023年度の1年間で約4万8千口座増加いたしました。
また、高齢化社会の進展を背景に高まる相続・資産承継ニーズに対応するため、銀行本体での信託業務を2019年4月より開始しており、信託契約件数は年々増加しております。信託銀行との連携などによる信託業務の専門人材育成にも注力しております。
<金融機能の高度化による地域産業成長支援>
お取引先の創業期から成長期、安定・成熟期、又は新事業展開などの事業ステージや課題に応じた様々な金融支援を行っております。
肥後銀行では、大学発ベンチャー・スタートアップ企業の創出拡大を目的として、肥銀キャピタルと共同で「肥銀大学発ベンチャーシード投資事業有限責任組合」(愛称:肥銀シードファンド)を設立いたしました。また、熊本大学キャンパス内に「肥銀アントレプレナーサポートオフィス」を開設し、熱い想いを持ち起業を目指す研究者や創業間もない皆様を支援してまいります。さらに、持続可能な地域社会の実現と発展に貢献するため、日本M&Aセンターホールディングスと玉山ベンチャーキャピタルとの3社共同出資により、M&Aアドバイザリー業務を行う「九州M&Aアドバイザーズ株式会社」を2024年4月に設立いたしました。
鹿児島銀行では、後継者不在企業に対し、地域に根ざした金融機関と税理士法人が一丸となって円滑な事業承継を実現させることを目的とし、鹿児島県内4先の税理士法人と「事業承継支援に関する連携協定」を締結いたしました。また、お客様の重要な経営課題である事業承継ニーズに対する新たなソリューションメニューの提供を目的として、投資事業有限責任組合(ファンド)の組成・運営を通じたマジョリティ投資などを行う投資専門子会社「株式会社かぎん共創投資」を2023年11月に設立いたしました。
地域産業振興機能の拡充
<地域との協働による課題解決実践>
半導体受託生産世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)の日本で初めての生産拠点である熊本工場が2024年2月に完成し、第2工場も熊本県内に建設されることが発表されております。
肥後銀行では、2023年6月に台北駐在員事務所を開設し、TSMC進出を機に日台相互のグローバルニーズに対して、現地でのリアルタイムな情報やネットワークの提供によりお客様の輸出入や進出ニーズなどの課題解決を直接支援しております。また、台湾への理解を深め、幅広い分野における産業連携及び人的交流の推進、並びに台湾とのビジネス機会創出を目的に、2023年7月に鹿児島銀行や玉山銀行(台湾)などとの共催で「日台経済交流シンポジウム in 熊本」を開催いたしました。
さらに、九州・沖縄での半導体関連産業を起点とする経済成長に、より具体的かつ能動的に貢献するため、2024年1月に鹿児島銀行や福岡銀行などの九州・沖縄の地方銀行11行で「新生シリコンアイランド九州」の実現に向けた九州・沖縄地銀連携協定を締結いたしました。
<地域商社機能の強化・創造>
当社は、従来の金融の枠組みを超えて地域産業振興にかかる課題解決に主体的に取り組むため、2023年4月に地域商社事業を営む子会社「株式会社九州みらいCreation」を設立し、同年6月にECモール「よかもーる」をオープンいたしました。「よかもーる」は南九州の魅力的な逸品を幅広く取り扱い、2024年3月末で商材数は約300品、会員数は約7千名と拡大しております。また、海外ビジネス支援事業では、ポテンシャルの高い熊本県、鹿児島県、宮崎県の農林水産物を中心とした輸出拡大支援に取り組んでおり、これまで香港やマレーシアへの販路先紹介や貿易実務支援を通じた新たな需要を創出しております。
人づくりとエンゲージメント向上
<価値共創を実現する人づくり>
地域価値共創グループへの進化に向け、金融に特化した基本的な育成はもとより、幅広い分野の専門性を高める研修や、グループ横断的な人材の配置、外部企業への派遣等を実施しております。
特徴的な取り組みとしては、地域価値共創を担う人材育成のため、地域の課題解決につながる新規事業立案に向けた研修プログラムを「学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学」と連携して実施しております。さらに、デジタル分野において、データサイエンティストの育成を目的とした「データコンペティション研修」を実施いたしました。また、グループで共通化した自宅学習支援システム(eラーニング)で、リベラルアーツ等の様々なコンテンツを充実させ、従業員の自律的成長を支援しております。
<多様性の尊重と働きがいの向上>
物価上昇等の社会状況への対応、従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材の確保等を目的として、ベースアップを含む5%以上の賃金の引き上げを2年連続で実施しております。なお、採用競争力強化による多様な人材の確保等を目的に、2025年4月まで3年連続で初任給の引き上げを実施いたします。
また、従業員がいきいきとやりがいをもって働き、お客様の信頼と期待に応え、地域とともに成長し、活力あふれる地域社会の実現に貢献できるよう、肥後銀行、鹿児島銀行の頭取を健康経営責任者として、従業員一人ひとりのこころと体の健康増進に取り組み、健康経営を実践しております。2023年度は、肥後銀行、鹿児島銀行ともに経済産業省による健康経営優良法人認定制度に基づく健康経営優良法人に認定され、肥後銀行は「ホワイト500」として認定されております。
KFGグループの従業員約5,500名を対象に実施しているエンゲージメント調査結果は業界平均対比で良好なスコアとなっており、スコア良好店に関する情報の発信、スコア低位店への臨店支援、マネジメント層全員を対象とした研修等を継続的に実施しております。さらに、入社5年以内の若年層に対しては「個」に寄り添うことを目的に別途エンゲージメント調査を実施し、結果を踏まえた個別フォローを実施しております。
KFGビジネスモデルの確立
<SDGs・ESGの先駆的取り組み>
当社グループは、気候変動や自然資本を含む環境問題への対応を重要課題として認識しております。地域社会の脱炭素化を積極的に推進するため、2023年3月に「KFGカーボンニュートラル宣言」を公表いたしました。当社グループ(KFG及びKFG100%出資子会社)のCO2排出量のうち、スコープ1(ガソリン・都市ガス使用等による排出量)・スコープ2(電力使用による排出量)について、2030年までにカーボンニュートラル(ネットゼロ)の達成を目指してまいります。
また、地域・お客様のカーボンニュートラル実現のため、肥後銀行において、CO2排出量算定システム「Zero-Carbon-System(通称:炭削くん)」を開発し、2024年1月よりサービスの提供を開始いたしました。さらに、肥後銀行では、地域の脱炭素化を進めるため、2024年1月に再生可能エネルギー事業子会社「株式会社KSエナジー」を設立いたしました。ヒト・モノ・カネ・グリーンエネルギーの域内好循環を生み出し、地域のカーボンニュートラル・脱炭素化の実現に積極的に貢献してまいります。
また、当社グループは、自然関連の財務情報を開示する枠組みの開発・提供を目指すイニシアチブ「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラム」に参画し、2024年1月にTNFD提言の早期採用企業に登録いたしました。今後、事業を通じた自然資本・生物多様性への依存と影響、リスクと機会を認識し、透明性のある開示を行ってまいります。
デジタル社会に向けたDX推進
<新たな体験・サービスの提供>
地域におけるキャッシュレスへの取り組みとして、熊本では「くまモンのICカード」、鹿児島ではキャッシュレス決済アプリ「Payどん」の機能拡大などを継続的に行っております。
鹿児島銀行では、鹿児島県内の各自治体や商店街などと連携して「Payどん」によるデジタル地域振興券の発行に積極的に取り組んでおります。また、2023年度には鹿児島銀行の「Payどん」を活用したキャッシュレス事業に鹿児島の地域金融機関である南日本銀行、鹿児島相互信用金庫、鹿児島信用金庫の3行庫が参画いたしました。4行庫が協力していくことにより、キャッシュレスの一段の普及とともに地域内における資金循環を促進し、地域のさらなる経済活性化に取り組んでまいります。
肥後銀行では、非対面チャネルの機能拡充への取り組みとして、2024年3月に新「肥後銀行アプリ」のサービスを開始いたしました。従来の通帳アプリの機能である入出金明細の確認等に加え、インターネットバンキングとのスムーズな連携など、サービスを拡充しております。
<プロセス改革による生産性向上>
銀行業務における生産性向上への取り組みとして、肥後銀行及び鹿児島銀行では、店頭タブレットを導入しております。お客様が店頭タブレットへ入力いただいた情報を銀行内のシステムに自動連携することにより、行員によるシステム入力作業の省力化とペーパーレス化を実現しております。2023年度も機能追加及び機能改善を実施し、さらなる生産性の向上とお客様の利便性向上を実現いたしました。
加えて、業務効率化および生産性向上を目的に生成AIの活用にも取り組み、業務における生成AI活用が有効な事例を調査し、その正確性や効率性、実効性を検証しております。
〔経営環境及び対処すべき課題〕
当社グループの地元である中・南九州においては、恒常的に生産年齢人口が首都圏・都市圏へ流出しており、少子高齢化の加速、市場規模の縮小など、構造的な問題を抱えております。
一方で、半導体受託生産世界最大手のTSMCの熊本進出による九州各地の経済に与えるインパクトは大きく、地域経済に対してプラスに寄与することが見込まれます。
金融業界においては、今後見込まれる金利上昇局面への対応、事業の多角化が進む他の金融機関等との競合などに加え、DXやSDGsといった多様化するお客様の課題やニーズへの対応も求められております。
〔第3次グループ中期経営計画における結果と課題〕
2021年度からスタートした第3次グループ中期経営計画「改革」では、2030年度を見据えたビジョンとして掲げる「お客様、地域、社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化」を目指し、ビジネスモデルを変えることに取り組んでまいりました。その結果、当期純利益は堅調に推移し、その他の指標項目についても概ね計画どおりの成果を上げることができました。当社グループは今後、ビジョンの実現に向けた取り組みを加速させ、地域価値共創グループの基盤を構築する必要があると認識しております。
〔第4次グループ中期経営計画〕
当社グループは、2015年10月の設立以来、「協働」ステージ、「融合」ステージと歩み、2021年4月には、総合金融グループから地域価値共創グループに進化する10年間の計画を掲げ、これを共創ステージと定めました。共創ステージの第1章は「改革」でしたが、それに続く第2章として、第4次グループ中期経営計画「躍進」(計画期間:2024年4月1日~2027年3月31日)を策定いたしました。
<概要>
1.ビジョン:お客様・地域・社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化
2.名 称:第4次グループ中期経営計画「躍進」
3.計画期間:3年(2024年4月1日~2027年3月31日)
4.基本方針:地域価値共創グループの実現に向けた躍進
5.基本戦略・戦略の柱
6.主な経営指標・KPI
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティ全般
当社グループは、2019年2月に「サステナビリティ宣言」を策定し、肥後銀行と鹿児島銀行において「サステナビリティ全体構想」を策定の上、グループ全体の意思統一を図るとともに、持続可能な地域社会の実現に向けて主体的に取り組んでおります。
「サステナビリティ宣言」
「サステナビリティ関連規程体系」

「サステナビリティ優先課題」
第4次グループ中期経営計画策定にあたり、「サステナビリティ・マテリアリティ」の見直しを行い、中長期的にお客様・地域・当社グループに最も影響を与える社会課題6項目を抽出いたしました。併せて、社内理解を深めるため、「サステナビリティ優先課題」に呼称を変更いたしました。

〔サステナビリティ優先課題の特定のプロセス〕
<Step1:優先課題候補の抽出>
<Step2:優先課題の特定>
<Step3:優先課題の決定>
(1)「ガバナンス」
当社グループは、持続可能な地域社会と自社の価値創造の実現に向けて、SDGsに関わる取り組みの管理・推進体制を強化しております。
管理面において、サステナビリティ推進委員会を設置し、SDGsに関わる取り組みの進捗状況の報告を3か月毎に行っております。サステナビリティ推進委員会は、委員長を代表取締役社長、副委員長を経営企画部担当役員とし、委員は代表取締役、常務以上の執行役員、全部長で構成され、監査部長ならびに監査等委員のオブザーバー出席の下、報告ならびに議論を行っております。また、SDGsに関わる新たな施策等については、グループ経営執行会議にて十分協議・審議した上で決定しております。サステナビリティ推進委員会における報告事項とグループ経営執行会議における審議事項は、定期的に取締役会へ報告・決議し、取締役会からの監督を受けております。推進面において、当社にサステナビリティ統括室、肥後銀行と鹿児島銀行にサステナビリティ推進室を設置し、グループ各社は緊密に連携し、全社横断的なSDGsの浸透と推進を行っております。
(2)「戦略」
①気候変動に関する事項
当社グループは、気候変動を含む環境課題を経営の重要課題として捉えており、2019年6月にTCFD提言への賛同を表明し、ホームページや統合報告書にて透明性のある開示に努めております。また、SDGsと事業の整合性を高めるために、2020年9月よりUNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が提唱するPRB(責任銀行原則)に署名し、サステナブルファイナンスの推進に努めております。
A.リスクと機会
当社グループは、気候変動に起因するリスクが、事業運営、戦略、財務計画に影響を与えることを認識しております。シナリオ分析などを活用した気候関連のリスク管理に取り組むと同時に、脱炭素社会の実現に向け、お客様の温室効果ガス排出量削減やエネルギー効率向上に向けた投融資(サステナブルファイナンス)を事業機会と捉え、環境負荷軽減を目的とした金融面での取り組みを積極的に展開してまいります。
B.移行計画の策定


地域の脱炭素社会の実現に関して重要な役割を担う地域価値共創グループとして、Scope1・2における2030年度までのカーボンニュートラル(算定範囲:当社及び当社100%出資子会社)の達成を目指しております。
また、グループ内の取り組み・施策に加え、地域・お客様の脱炭素支援に向けた移行戦略の策定を行いました。
2023年度は環境省のポートフォリオ・カーボン分析支援事業に採択され、投融資先のCO2排出量の総量の分析・把握を行い、高排出セクターである畜産セクターを想定した移行戦略の検討を行いました。
なお、投融資先のCO2排出量の算定にあたっては、2022年5月に加盟した国際イニシアティブ「Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)」の基準に則り、引き続き開示の充実に取り組んでまいります。
肥後銀行においては、2024年1月に100%出資の再生可能エネルギー事業子会社として株式会社KSエナジーを設立しました。また、CO2排出量算定システム「Zero-Carbon-System(通称:炭削くん」)」を開発し、サービスの提供を開始しております。
また、鹿児島銀行では、2024年4月に産学官金の連携による「鹿児島県畜産業におけるGX推進及び産業振興に向けた連携協定」を締結し、牛から排出される温室効果ガスの削減及び生産コストの低減・生産性向上に向けた取り組みを進めております。
脱炭素をはじめとする環境課題に対してグループ全体での知見を深め、今後も地域ならびにお客様のCO2排出量の可視化と削減に向けた取り組みを進めてまいります。
C.シナリオ分析
事業における気候変動の影響を具体的に把握するため、肥後銀行、鹿児島銀行において2050年までのシナリオ分析を実施し、グループ全体でシナリオ分析の高度化、精緻化を行いました。
気候関連リスクとして、「物理的リスク」と「移行リスク」を認識し、「物理的リスク」では水災など異常気象に伴う資産の毀損による信用コストの増大、「移行リスク」では気候変動に伴う規制強化や消費嗜好の変化などにより影響を受けるお客様に対する信用コストの増大を想定しております。
<物理的リスク>
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提とし、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、九州で特に発生確率の高い水災による信用コストへの影響を試算しました。
水災などによる肥後銀行と鹿児島銀行が設定している担保不動産の損傷に起因する価値毀損の推計結果(直接影響)及び建物の損傷に起因するお客様の事業停滞日数の推計結果(間接影響)から、2050年までの信用コストの増加額は最大で66億円程度という結果になりました。
※1 国土交通省が公表するハザードマップ及び「治水経済調査マニュアル」を使用し、資産ごとの浸水深及び浸水深に応じた被害額を算定しております。
※2 IPCCによるRCP8.5シナリオ等を参照しています。
<移行リスク>
TCFD提言にて定義されるエネルギーセクターにおいて、移行リスクの定量化を実施いたしました。選定したセクターにおける当社グループの融資先について、炭素税やエネルギー価格及び製品構成の変化による融資先の営業費用への影響、および需要の増減に伴う売上への影響から、信用コストの増加額を試算しました。2050年までの信用コストの増加額は単年度最大で146億円程度という結果となりました。今後は、分析対象の拡大を通じて移行リスクの精緻化を図ってまいります。
※IEA(国際エネルギー機関)による2050年ネットゼロ排出シナリオ(NZE2050)を参照しております。
ただし、NZE2050シナリオにはない日本のシナリオデータについては、必要に応じて表明宣言シナリオ(APS)等により補完しております。
D.炭素関連資産
当社グループの貸出金に占める炭素関連セクターの割合は以下のとおりです。
※TCFD提言及び日本標準産業分類並びに肥後銀行・鹿児島銀行の業種コード等を用いて分類
[エネルギー]石油及びガス、石炭、電力ユーティリティ
(再生可能エネルギー発電者、独立系発電事業者、水道事業者を除く)
[運輸]航空貨物、旅客空輸、海上輸送、鉄道輸送、トラックサービス、自動車及び部品
[素材・建築物]金属・鉱業、化学、建設資材、資本財、不動産管理・開発
[農業・食料・林産物]飲料、農業、加工食品・加工肉、製紙・林業製品
E.物理的リスク・移行リスクを踏まえた当社グループの主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で気候変動に伴うリスクと機会の分析を行っております。
②生物多様性に関する事項
当社グループは、2022年9月に「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラム」に参画し、2024年1月にTNFD提言の早期採用企業へ登録いたしました。また、2024年4月に、グループにおける自然資本・生物多様性への取り組み推進のため「生物多様性保全方針」を制定いたしました。また、生物多様性を身近に感じる機会の提供として、グループ共通スマートフォンアプリ「Hugmeg(ハグメグ)」において、株式会社バイオームが提供するいきものコレクションアプリ「Biome」との連携企画『南九州いきものクエスト』を2024年4月から7月に実施しています。
当社グループの事業活動と自然資本の関係を依存と影響という観点で整理するため、ENCOREツールを用い、11セクターの分析を行いました。分析の結果、生態系サービスへの依存関係においては「地下水」「地表水」「水質」「洪水・暴風抑制」への依存が、自然資本への影響関係においては、「GHG排出量」「水質汚染物質」「水の利用」への影響が大きいことがわかりました。今後は、TNFD提言で推奨されているLEAPアプローチを用い分析を進めてまいります。
<ENCORE分析の実施>


現在、熊本県においては、ビジネスにおける土地利用の転換の加速や水需要の増大により、地下水涵養量の減少が懸念されています。そのような中、肥後銀行では、ウォーターポジティブ実現のための科学に基づくシナリオの見える化とネイチャーファイナンスのメカニズム開発に関する有識者の勉強会に参加しております。
また、生物多様性に関しては、JBIBや30by30アライアンスなど各種イニシアティブへ参画し、業種の垣根を越えた情報交換に努めております。今後も、長年取り組んでいる水資源涵養事業などの環境保全活動等を通じた地域貢献を継続するとともに、事業活動を通じた自然資本・生物多様性への依存と影響、リスクと機会を認識し、施策の検討と透明性のある開示に努めてまいります。
③人的資本に関する事項
<人材育成方針>
(主な取組み)
・地域総合金融事業の深化に向けた人材育成
役職・業務分野に応じ金融業務能力の向上を図るため「年次・役職別研修」をはじめ、金融コンサルティング、事業再生支援、市場運用等の「業務別研修」を行い、金融機能の徹底した深化・強化に向けて人材の育成に取り組んでおります。
・地域価値共創事業の拡充のための人材育成
地域とともに成長し、活力あふれる地域社会の実現に向け、グループ一体で地域価値共創分野における人材の育成に取り組んでおります。
・デジタル社会に向けたDX推進を担う人材の育成
デジタル社会への環境変化に対応した資質・能力を育み、地域のデジタル化・高付加価値化をけん引する人材の育成に取り組んでおります。
・KFGビジネスモデル確立に向けた人材育成
事業展開が加速し、変化への対応が求められる中で、多様な価値観を持つ人材をまとめるリーダーや、次世代の当社収益基盤となる事業のリスク管理を担える人材の計画的育成に取り組んでおります。
・第四次グループ中期経営計画においては、上記人材育成方針の下、「未来のKFGグループを支える人材ポートフォリオの構築」をテーマに、各種施策を実施してまいります。

<社内環境整備方針>
(主な取組み)
・多様性の尊重とはたらきがいの向上
多様化する個人の価値観やライフスタイルの変化に対応するため、ライフイベントに応じた働き方の選択肢や家庭と仕事の両立支援を拡充することで、従業員一人ひとりが主体的にキャリアパスを描くことができる環境を提供してまいります。
・多様な学習と挑戦機会の提供
従業員一人ひとりの自律的成長を支援するため、時間や場所にとらわれない多様な学習機会を積極的に提供するとともに、従業員自らが手を挙げて、多様なフィールドにチャレンジする機会を提供し、新しいことへの挑戦や成長意欲を支援する体制を整備してまいります。
・こころと体の健康増進支援
従業員がいきいきとやりがいをもって働き、お客様の信頼と期待に応え、地域とともに成長し、活力あふれる地域社会の実現に貢献できるよう、従業員一人ひとりのこころと体の健康増進に取組み、健康経営を実践してまいります。
肥後銀行及び鹿児島銀行は、ともに頭取を「健康経営責任者」として、健康保険組合等とも連携し、課題解決に向けた「健康経営戦略マップ」を策定して、健康経営推進に取り組んでおります。
※2023年度は、肥後銀行、鹿児島銀行ともに経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定され、肥後銀行はホワイト500として認定されております。
・第四次グループ中期経営計画においては、上記社内環境整備方針の下、「多様な人材が活躍する働きやすい職場環境の構築」をテーマに各種施策を実施してまいります。

(3)「リスク管理」
当社グループは、気候変動や人権をはじめとするサステナビリティに関連するリスクを認識しております。
認識したリスクについては、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会にて報告の上、必要に応じて、グループ経営執行会議、取締役会で協議することで管理しております。
①気候変動に関するリスク
当社グループはシナリオ分析の結果を踏まえ、気候変動リスクは当社グループの財務に影響を与える可能性があることを認識しており、以下のような取り組みを行っております。
・リスク資本配賦について
気候変動リスクを「外的要因に関するリスク」の一つとして捉え、2023年度より信用リスク算定時のストレスシナリオに物理的リスクを追加しております。想定シナリオ発生時の物理的リスクにおける資本の十分性を確認しております。
・投融資について
投融資に際しては、石炭火力発電・森林伐採事業など気候変動に負の影響を与える可能性が高い事業については「サステナブル投融資方針」において原則取り組まない方針を掲げております。融資等の審査においても、第一線の営業店及び融資審査を行う融資関連部がチェックを行い、気候変動への影響を加味した融資判断を行っております。今後、グループ横断的にシナリオ分析を深化し、気候変動リスクの定量化及びリスク管理の高度化に向けて取り組んでまいります。また、投融資におけるエネルギー等炭素関連事業をはじめとしたセクター別の対応方針を協議してまいります。
②人権に関するリスク
当社グループでは、2022年に人権方針を制定し、グループ各社の役職員やお客様、サプライヤーの皆様に対する人権を尊重するとともに、人権に配慮した事業活動を行うことを公表しています。2023年度は、人権方針に基づき人権デューディリジェンスを実施し、グループ内における人権への負の影響の特定・評価を行いました。グループ内の人権侵害に対する発生状況を確認し、整備を要する規程等を洗い出しました。調査結果を受け、テクノロジー・AIに関する人権問題やサプライチェーン上の人権問題に対応する規程等を整備しております。特に、サプライチェーン上の人権に対する対応として「調達ガイドライン」を制定し、サプライヤーの皆様に対する期待事項を公表いたしました。今後はサプライヤーの皆様へのアンケート実施など、サプライヤーの皆様と協働した取り組みを進めてまいります。また、社内においては「ビジネスと人権」をテーマに勉強会を実施し、人権に関する意識醸成を図っております。今後も継続的に人権デューディリジェンスを行い、改善に向けた取り組みを進めてまいります。
(4)「指標及び目標」
①気候変動に関する指標と目標
<ESG投融資>
<コンサルティング>
<CO2排出量>
※算定範囲:当社及び当社の100%出資子会社
※算定範囲:当社、肥後銀行、鹿児島銀行
目標対象:Scope1、Scope2、Scope3のカテゴリー1(一部除く)、3、4、5、12
※Scope3:カテゴリー1(一部除く)、3、4、5、12
2023年度は、2019年度比△10%の削減目標に対し、実績△15.0%と目標を達成いたしました。
<削減に向けた具体的な取り組み>
・定時退行とテレワーク推進
・空調設定温度の運用徹底
・ペーパレスに向けた取り組み(WEB通帳の推進やタブレットの活用等)
・経費管理の徹底
※算定範囲:当社、肥後銀行、鹿児島銀行
※CO2排出量の計算はGHGプロトコルに準拠し、環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基準ガイドライン」「排出原単位データベースVer.3.3」「電気事業者別排出係数」を使用しております。
※Scope3のカテゴリー8、9、10、11、13、14は、CO2排出量はゼロとなっております。
(カテゴリー15 TCFD18分類別内訳)
※カテゴリー15について
・算出範囲:「国内の上場株式及び社債」「全事業性融資先」
・算出方法:PCAF提唱の計測手法を使用の上算出
「国内の上場株式及び社債」
2024年3月末時点における当社グループの投資残高及び算出時点における投資先の直近期の開示データ(連結ベースのCO2排出量・財務情報)を使用。当社グループの投資額(時価ベース)に対する算出割合は78.0%、PCAF定義によるデータ品質はスコア2相当
「事業性融資先」
融資先が属するセクター平均値の「売上高あたりの排出量」(炭素強度)に売上高を乗じて排出量をトップダウン分析で算出。PCAF定義によるデータ品質はスコア4相当
今後は、融資先に対するCO2排出量計測支援等によりボトムアップ分析による算定を進め、精緻化に取り組んでまいります。なお、算出範囲の拡大や算出手法の変更等により、CO2排出量が増減する可能性があります。
②人材育成に関する指標と目標
・人材育成方針に関する事項
<専門人材プール充足率>
第四次グループ中期経営計画の策定にあたり、2030年の『地域価値共創グループ実現』(ありたい姿)からバックキャストして、「未来を創る地域価値提供の取り組み加速」、「地域経済の成長に向けたコア事業の強化」を担う2026年の専門人材ポートフォリオ(To be)を策定しました。法人コンサルティング、個人コンサルティング、IT・DX、マーケット、コーポレートの分野における専門人材プールの充足を目指し、人材育成と採用活動を実施してまいります。
<資格取得奨励金制度交付>
当社グループの事業領域が拡大するなか、従業員の多様で高度な知識習得を通じたサービス品質向上が重要であることから、自己啓発に取組む従業員に対するインセンティブとして、資格取得奨励金制度を導入しております。
<キャリアチャレンジ>
キャリア形成に関し自ら手を挙げ、チャレンジできる機会として、銀行内・グループ内の部署での勤務に加え、グループ外への研修出向について公募する制度を実施しております。
・社内環境整備方針に関する事項
<エンゲージメントスコア>
2021年度より当社グループの従業員約5,500名を対象に株式会社アトラエの提供する「Wevox」を用いてエンゲージメント調査を実施しております。
<若年層離職率>
エンゲージメント調査結果にもとづき、スコア良好店における取組み事例を月1回の頻度でグループ全体へ情報発信し、スコア低位店に対しては臨店支援を行い、個別にエンゲージメント向上策を策定するなどの改善施策を実施しております。入社5年目までの若年層に対しては別途エンゲージメント調査を実施し、のべ282名に対し個別フォローを行うなど離職防止に取組んでおります。
※2019~2023年入行者数に占める2019~2023年入行者の累計退職者数の割合を記載しております。
<副業実施者数>
従業員が様々な経験に挑戦できる機会を設けることで、職場内だけでは得られない成長を実現するとともに、多様な価値観をもたらし、新たなイノベーションの創出や地域貢献につなげることを目的に「副業制度」を導入しております。現在、約40名が自らのスキルを活用し、スポーツイベント企画など様々な副業を実施しております。
<女性管理職比率>
更なる女性の活躍を支援し、すべての女性が意欲を持ち、キャリアの継続と能力の発揮を可能とする職場環境の実現に取組んでおります。
※算定対象:当社及び当社の直接子会社(肥後銀行、鹿児島銀行、九州FG証券、九州デジタルソリューションズ、九州会計サービス、九州みらいCreation)
<男性育児休業取得率>
男性の家事・育児への参画を通じて、仕事と家庭を両立する同僚を理解し支え合って働く組織風土の醸成を図るため、男性従業員の育児休業取得率100%を継続しています。
また、2022年10月の育児・介護休業法改正の趣旨に鑑み、2022年4月より「出生時育児休業」(産後パパ育休)を開始し、育児休業(出生時育児休業を含む)について5営業日以上の取得を原則とし、男性がより一層積極的に育児に参画できるような環境整備に努めております。
なお、法令にもとづく男性育児休業取得率の実績については「
<働き方改革に関する取組み>
生産性向上に向けた時差勤務制度や健康維持のための勤務間インターバルなど様々な制度を導入しております。
また、働き方改革のみならず災害や緊急事態に備えたBCP(事業継続計画)の観点からもテレワークの体制を整備し、新型コロナウイルス感染症対応における勤務体制移行時には大きな効果を発揮しました。
さらに、当社、鹿児島銀行、九州デジタルソリューションズは性別に関係なく柔軟な発想力や創造力を発揮しやすい企業風土などを目指してビジネス・オフィスカジュアルを導入しております(肥後銀行は本部にて一部導入)。
働き方改革に加え、脱炭素社会実現に向けた取組みとして、事業所内等の照明を週2回終業時間に消灯する「ライトダウン運動」を2022年度より実施しております。今後も業務効率化・生産性向上による更なる働き方改革を進め、ワークインライフの実現を目指してまいります。
<ファイナンシャル・ウェルネス>
従業員の資産形成支援を目的として、従業員持株会制度、選択型DC、財形貯蓄制度を導入しております。2022年3月に肥後銀行従業員持株会と鹿児島銀行従業員持株会を九州フィナンシャルグループ従業員持株会へ統合し、加入対象を当社グループ全従業員に拡大しました。会員の拠出金に対して10%の奨励金を付与しております。その他、従業員の生活資金や住宅資金等について貸付を行う行友会(肥後銀行)・互助会(鹿児島銀行)貸付制度も整えております。
<賃上げ>
物価上昇など社会状況への対応ならびに従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材の確保を目的に、当社グループは5%以上の賃上げ方針(2024年度)を決定し、各社へ要請しております。なお、各社の予定賃上げ率は以下のとおりです。※定期昇給分を含んで記載しております。
<初任給引き上げ>
肥後銀行、鹿児島銀行及び当社は採用力の強化を目的に、3年連続で初任給の引き上げを実施いたします。
※大卒で転居をともなうエリアフリー総合職の場合
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)持株会社のリスク
持株会社である当社は、その収入の大部分を当社が直接保有している銀行子会社から受領する配当金及び経営管理料に依存しております。一定の状況下では、様々な規制上または契約上の制限等により、当該銀行子会社が当社に支払う配当金が制限される可能性があります。また、銀行子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等を支払えない状況が生じた場合、当社株主に対し配当を支払えなくなる可能性があります。
(2)信用リスク
①不良債権の状況
当社グループにおいては、国内外の経済動向変化、あるいは与信先の経営状況変化(業況悪化、企業不祥事発生による信頼失墜、再建計画達成遅延等)、担保資産価値の下落等により、当初予想した不良債権残高及び総与信費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは個々の与信先の信用状況を継続的にモニタリングするとともに、特定企業グループ・業種への与信集中状況を定期的にモニタリングするポートフォリオ管理を行っております。特に一定水準以上のリスクを有する与信先については事業再建計画の策定支援を行うとともに計画進捗状況についてのモニタリング徹底等により、貸出資産の健全性についても良好な水準を維持しております。
②貸倒引当金の状況
当社グループでは、貸倒による損失の発生状況や貸出先の状況、不動産・有価証券等担保の価値などに基づいて貸倒引当金を計上しておりますが、予想損失額算出の前提条件と比較して、著しい経済状態の悪化や不動産価格の下落などが生じた場合は、貸倒引当金の積み増しを行わざるを得なくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③権利行使の困難性
不動産、有価証券等の流動性の欠如または価格の下落により、担保権を設定した不動産などを換金し、または貸出先の保有する資産に対して強制執行することが事実上できない可能性があります。この場合、信用コストが増加するとともに不良債権処理が進まない可能性があります。
(3)自己資本比率に関するリスク
当社グループは、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。また、当社の連結子会社である株式会社肥後銀行、株式会社鹿児島銀行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。
当社グループの自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部または、一部の停止等命令を受けることとなります。
当社グループの自己資本比率に影響を与える要因には以下のものなどが含まれます。
・債務者の信用力の悪化に際して生じうる総与信費用の増加
・有価証券の時価の下落に伴う減損処理の増加
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
なお、連結自己資本比率(国内基準)については、高水準を維持しております。
(4)市場リスク
①金利変動リスク
当社グループの資産及び負債は、主要業務である貸出金、有価証券及び預金で形成されており、主たる収益源は資金運用利回りと資金調達利回りとの利鞘による資金利益収入であります。したがって、金利変動等が発生した場合は、利鞘も変動するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、リスクリターン最適化のために金利変動リスクを定量的に把握・評価し、必要に応じ事前ないし事後に適切な対応を行う方針としております。
②為替変動リスク
当社グループは国際部門の運用・調達手段として、外貨コールローンや外貨コールマネー等の外貨建取引による資産及び負債を保有しており、少なからず為替レートの変動の影響を受けます。外貨建の資産と負債の額が通貨毎に同額で相殺されない場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響する可能性があります。ただし、このような事態を未然に防止するため、持高は売持・買持均衡を基本に調整を行っており、収益への影響は限定的なものになると思われます。
③価格変動リスク
当社グループは、国債等の債券や市場価格のある株式等の有価証券を保有しており、将来、債券の利回りが上昇する場合や、株価が下落する場合には保有する有価証券に評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは所定のリスクリミットや損失限度額等の範囲内にリスクをコントロールし、総合損益や時価、リスク量等定量的なモニタリングを日次で実施しております。
(単位:億円)
(単位:億円)
(5)流動性リスク
当社グループの財務内容の悪化等により、必要な資金確保が困難になり資金繰りに支障をきたす場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、市場の混乱等により市場において有価証券売買取引ができなくなったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは、日次、週次、月次にて資金繰り状況を把握・分析し必要に応じて適切な市場調達を実施しております。また不測の事態に備え資金繰り逼迫度に応じて、各々の局面において迅速な対応が行えるよう、対応策や報告連絡体制を定めております。
(6)オペレーショナル・リスク
①事務リスク
当社グループにおいて、事務上の事故、不正・不祥事、事務処理体制の不備に起因する不適切な事務等が発生した場合、当社グループの業務や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは、事務の堅確性を維持するために、諸規程に基づく正確な事務取扱いの徹底、事務処理の集中化、システム化を図っております。
②システムリスク
当社グループにおいて、万が一システム障害等が発生した場合、当社グループの業務や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは、コンピュータシステムの安全性及び正当性を維持するため、システムリスク管理方針やバックアップ体制を整備しており、さらに災害・障害等に備えた危機管理計画を定めて不測の事態に対応できるよう万全を期しております。
③サイバーセキュリティ・リスク
当社グループにおいて、サイバー攻撃によるサービス停止や情報漏洩、不正送金等が発生した場合、それに伴う損害賠償や行政処分、風評の発生等により当社グループの業務運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは、当社グループが直面する様々なサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルス感染等の脅威に対し当社グループ各社の保有するリスクの規模・特性に応じた適切なサイバーセキュリティ・リスク管理に努めています。具体的にはCISO(最高情報セキュリティ責任者)のもと、関連部署で組織されたCSIRT(コンピューター・セキュリティ・インシデント・レスポンス・チーム)を設置し、管理体制の整備や被害拡大防止に取り組んでおります。
④法務リスク
当社グループにおいては、法令解釈の相違、法的手続の不備、法令等に違反する行為等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは、法令等遵守の徹底や法的な確認を厳格に実施することにより法務リスクの軽減に努めております。
⑤人的リスク
当社グループにおいては、人事処遇や労働時間管理などの人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題などに関連する重大な訴訟などが発生した場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥有形資産リスク
当社グループにおいて、大地震や未曽有の大型台風及び豪雨など大規模自然災害の発生や資産管理の瑕疵等により、当社グループの店舗、システムセンター等の施設の毀損が発生することで当社グループの業務の全部または一部が継続困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは業務継続規程を制定し、これらの事象が当社グループの経営、業務遂行に重大な影響を及ぼすと判断した場合には、社長を本部長とした対策本部を設置し、迅速かつ適切な対応を図る態勢としております。
⑦風評リスク
当社グループに対する報道、記事、噂などにより、地域、お取引先及び投資家等の間で、事実と異なる風説や風評によって評判が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧情報資産リスク
当社グループにおいては、膨大な顧客情報を保有しているため、顧客情報や経営情報等の漏洩、紛失、改ざん、不正利用等が発生し、当社グループの信用低下等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは情報管理に関する内部管理体制の整備により、情報資産の厳正な管理に努めております。
(7)コンプライアンスに関するリスク
法令等を遵守できなかった場合、当社グループの業務や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各種法令等及びその解釈は将来変更される可能性があり、その内容によっては、当社グループの業務や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは、各種法令に加え、社会規範を遵守するようコンプライアンスの徹底を経営の最重要事項と位置付け、グループ共通の基本方針・規程等の整備、社長を委員長とするコンプライアンス・顧客保護等委員会での当社グループのコンプライアンス管理状況等に関する協議・報告、具体的な実践計画としてコンプライアンス・プログラムの策定等コンプライアンス態勢の強化に取り組んでおります。
(8)マネー・ローンダリング等防止に関するリスク
不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合、不測の損失の発生や信用失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融対策を経営の重要課題の一つとして位置づけ、グループ共通の基本方針・規程等の整備、取引時確認の徹底、システム等による異常取引の検知、疑わしい取引の届出等を行いマネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融対策に取り組んでおります。
(9)法的規制に関するリスク
当社グループは、現時点の法令・規制等に従い業務を運営しておりますが、将来において法律、規則、政策、実務慣行、解釈等の変更が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)退職給付債務に関するリスク
当社グループは、従業員の退職に備えて退職給付に係る負債を計上しております。当該負債の計算基礎となる退職給付債務の割引率を変更した場合や、年金資産の時価が下落した場合には、数理計算上の差異の発生や退職給付費用の増加により、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(単位:億円)
(11)固定資産の減損会計に関するリスク
当社グループが所有する固定資産については、使用目的の変更、今後の地価動向等及び対象となる固定資産の収益状況等により、減損処理に伴う損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)繰延税金資産に関するリスク
繰延税金資産は、現時点の会計基準に基づき計上しておりますが、今後会計基準に何らかの変更があり、繰延税金資産の計上に何らかの制限が課された場合、あるいは繰延税金資産の一部または全部の回収が出来ないと判断される場合は、繰延税金資産は取り崩しとなり、当社グループの業績や自己資本比率に影響を及ぼす可能性があります。
(単位:億円)
(13)競合に関するリスク
金融業界を取り巻く環境が厳しくなるなか、県境を越えた金融機関の競争は激化しております。
当社グループの主要な営業基盤である熊本県、鹿児島県及び宮崎県では、ゆうちょ銀行、メガバンク及び他の地域金融機関等との競合など、事業環境はますます激しくなっております。
当社グループが、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
〔経営環境〕
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い行動制限が無くなったことでサービス消費を中心とした個人消費やインバウンド需要が回復するとともに、自動車産業等の半導体不足が解消されたことで生産活動も回復したことから持ち直しの動きがみられました。また、価格転嫁や賃上げの動きも広がり、デフレ脱却に向けた動きがみられましたが、資材価格の高騰等の影響により設備投資や住宅投資がふるわず、人手不足により多くの産業で経済活動が制約されたことから景気回復は緩やかなものにとどまりました。
こうした経済環境のもと、日経平均株価は好調な米国経済に加え、半導体・自動車等の輸出関連企業の業績回復期待や新たな少額投資非課税制度(NISA)の開始に伴い高配当株に資金が流入するなどプラス要因が重なったことから、3月4日に初めて4万円台を付け、年度末も4万円台で終えました。
地元経済におきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う大型イベントの再開などで人流が活性化し、サービス消費を中心とした個人消費や観光需要が回復しました。
また、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出に伴い半導体関連企業を中心に設備投資が高水準で推移しました。人手不足や物価高騰などの懸念材料はあるものの、全体としては緩やかに回復しました。
〔財政状態及び経営成績の状況〕
当連結会計年度末における財政状態につきましては、総資産は貸出金の増加等により、前連結会計年度末比3,397億円増加し13兆5,212億円となり、純資産は前連結会計年度末比653億円増加し7,176億円となりました。
主要勘定の残高につきましては、預金は個人預金の増加等により、前連結会計年度末比738億円増加し10兆3,030億円、譲渡性預金は法人預金の減少等により、前連結会計年度末比175億円減少し1,503億円となりました。
貸出金は法人向けの増加等により、前連結会計年度末比3,688億円増加し8兆8,270億円となりました。
有価証券は国内債券及びその他の証券の減少等により、前連結会計年度末比497億円減少し2兆39億円となりました。
当連結会計年度の経営成績につきましては、経常収益は、資金運用収益の増加等により、前連結会計年度比81億82百万円増加し2,225億51百万円となりました。
一方、経常費用は、資金調達費用の増加等により、前連結会計年度比53億41百万円増加し1,841億13百万円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度比28億41百万円増加し384億38百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比17億25百万円増加し263億94百万円となりました。
セグメント情報ごとの業績を示すと次のとおりであります。
a.銀行業
経常収益は前連結会計年度比72億85百万円増加し1,819億24百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比24億89百万円増加し382億17百万円となりました。
b.リース業
経常収益は前連結会計年度比4億83百万円減少し382億91百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比1億53百万円減少し20億57百万円となりました。
c.その他
経常収益は前連結会計年度比4億30百万円増加し125億18百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比8億53百万円減少し14億45百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加等により1,531億88百万円のマイナスとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入等により1,449億76百万円のプラスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により65億2百万円のマイナスとなりました。
以上により、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、2兆2,096億94百万円となりました。
資金運用収支は、前連結会計年度比29億45百万円減少して939億48百万円、信託報酬は、前連結会計年度比2百万円増加して1億53百万円、役務取引等収支は、前連結会計年度比1億32百万円減少して164億95百万円、特定取引収支は、前連結会計年度比5億44百万円減少して1億97百万円、その他業務収支は、前連結会計年度比69億61百万円増加して△53億38百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引でありま
す。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度2百万円)を控除して表
示しております。
3.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息額であります。
資金運用勘定は、平均残高が前連結会計年度比2,180億93百万円増加して10兆8,769億47百万円となりました。利息は、前連結会計年度比84億74百万円増加して1,199億83百万円となりました。利回りは、前連結会計年度比0.05%上昇して1.10%となりました。資金調達勘定は、平均残高が前連結会計年度比4,768億68百万円減少して12兆7,608億73百万円となりました。利息は、前連結会計年度比114億20百万円増加して260億34百万円となりました。利回りは、前連結会計年度比0.09%上昇して0.20%となりました。
① 国内業務部門
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社の一部については、
月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除しております。また、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額
の平均残高(前連結会計年度13,820百万円、当連結会計年度10,354百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度2百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
3.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息額(内書き)であります。
② 国際業務部門
(注) 1.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息額(内書き)であります。
2.国際業務部門の外貨建取引の平均残高は月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェ
ンジ取引に適用する方式)により算出しております。
③ 合計
(注) 1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除しております。また、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額
の平均残高(前連結会計年度13,820百万円、当連結会計年度10,354百万円)及び利息(前連結会計年度1百万円、当連結会計年度2百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息額であります。
役務取引等収益は、前連結会計年度比11億48百万円増加して265億3百万円となりました。
役務取引等費用は、前連結会計年度比12億81百万円増加して100億8百万円となりました。
(注) 「国内業務部門」は連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
① 特定取引収益・費用の内訳
特定取引収益は、前連結会計年度比5億44百万円減少して1億97百万円となりました。
特定取引費用は、前連結会計年度比0百万円増加して0百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引であります。
2.内訳科目はそれぞれの収益と費用を相殺し、収益が上回った場合には収益欄に、費用が上回った場合には費
用欄に、上回った純額を計上しております。
② 特定取引資産・負債の内訳(末残)
特定取引資産残高は、前連結会計年度比3百万円増加して17百万円となりました。
特定取引負債残高は、前連結会計年度比7百万円減少して該当ありません。
(注) 「国内業務部門」は連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引であります。
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1.「国内業務部門」は連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3.定期性預金=定期預金+定期積金
(6)国内・国際業務部門別貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 「国内」とは、連結子会社であります。
② 外国政府等向け債権残高(国別)
前連結会計年度及び当連結会計年度ともに、該当ありません。
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1.「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引でありま
す。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(8)「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、肥後銀行及び鹿児島銀行の2行であります。
① 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)
(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。
② 元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては基礎的手法を、それぞれ採用しております。
連結(単体)自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社肥後銀行及び株式会社鹿児島銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額 (単位:億円)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社としての業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容)
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
〔経営成績等の状況に関する認識及び分析〕
1.連結経営成績
当社グループの連結経営成績につきましては以下のとおりです。
九州フィナンシャルグループ(連結)の損益の状況
(単位:百万円)
業務粗利益は、資金利益等が減少したものの国債等債券損益の改善によるその他業務利益の増加により、前連結会計年度比33億40百万円増加し1,054億56百万円となりました。
業務純益は、業務粗利益が増加したものの経費及び一般貸倒引当金繰入額の増加等により、前連結会計年度比73億92百万円減少し225億72百万円となりました。
経常利益は、経費及び与信費用が増加したものの業務粗利益や株式等関係損益の増加等により、前連結会計年度比28億41百万円増加し384億38百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比17億25百万円増加し263億94百万円となりました。
2.子銀行における経営成績
当社グループの中核である株式会社肥後銀行(以下、肥後銀行)及び株式会社鹿児島銀行(以下、鹿児島銀行)の経営成績につきましては以下のとおりです。
子銀行(単体)の損益の状況(2024年3月期)
(単位:百万円)
(肥後銀行)
業務粗利益は、資金利益及び国債等債券損益の減少を主因とするその他業務利益の減少等により、前年度比65億62百万円減少し456億92百万円となりました。
業務純益は、業務粗利益の減少に加え経費の増加等により、前年度比90億97百万円減少し88億88百万円となりました。
経常利益は、株式等関係損益は増加したものの業務純益が減少したことから、前年度比13億7百万円減少し193億68百万円となりました。
また、当期純利益は、前年度比9億16百万円減少し138億12百万円となりました。
(鹿児島銀行)
業務粗利益は、国債等債券損益の増加を主因とするその他業務利益の増加等により、前年度比92億7百万円増加し510億4百万円となりました。
業務純益は、経費及び一般貸倒引当金繰入額は増加したものの業務粗利益の増加等により、前年度比11億39百万円増加し110億58百万円となりました。
経常利益は、業務純益の増加に加え株式等関係損益の増加等により、前年度比37億96百万円増加し188億48百万円となりました。
また、当期純利益は、前年度比28億54百万円増加し133億65百万円となりました。
〔資本の財源及び資金の流動性〕
①資本の財源
当社グループの資本の財源の主なものは総預金(預金及び譲渡性預金)であります。
総預金は個人預金の増加等により、前連結会計年度末比562億円増加し10兆4,534億円となりました。
また、機動的な資金確保及び外貨資金調達のため、インターバンク市場等においてコールマネー、売現先及び債券レポ等を活用しております。
なお、2024年3月末の連結自己資本比率は、11.17%と国内基準の最低所要自己資本比率4%を大きく上回っております。
②資金の流動性
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△1,531億88百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは+1,449億76百万円及び財務活動によるキャッシュ・フローは△65億2百万円となった結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前年度比147億4百万円減少し、2兆2,096億94百万円となりました。資金の流動性につきましては、足元のキャッシュ・フローの状態は健全であり、潤沢な資金を確保しております。
連結キャッシュ・フローの状況 (単位:百万円)
③重要な資本的支出
該当事項はありません。
〔経営方針に照らした経営者による経営成績等の分析〕
当社は、第3次グループ中期経営計画(2021年4月~2024年3月)におきまして、指標目標として以下の項目を定め、取り組みました。
第3次グループ中期経営計画の指標目標及び最終年度実績
※1 お客様向けサービス業務利益:貸出金平残×預貸金利鞘+役務収益等利益-経費
※2 役務利益比率:役務等利益÷コア業務粗利益(業務粗利益-国債等債券損益)
各項目につきましては、以下のとおりです。
(成長性)
A.貸出金平残
2024年3月期の2行合算での貸出金平残につきましては、全セクターで貸出金が増加し8兆7,031億円となりました。
B.預金・NCD平残
2024年3月期の2行合算での預金・NCD平残につきましては、個人預金を中心に増加し10兆4,534億円となりました。
(収益性)
A.当期純利益
2024年3月期の連結当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)につきましては、経費及び与信費用は増加したものの、その他業務利益及び株式等関係損益の増加等により、263億円となりました。
B.お客様向けサービス業務利益
2024年3月期のお客様向けサービス業務利益につきましては、228億円となりました。
C.株主資本ROE
株主資本ROEにつきましては、連結当期純利益が増加したことにより4.0%となりました。
(効率性)
A.OHR
2024年3月期のOHRにつきましては、業務粗利益は増加したものの、経費の増加により73.7%となりました。
(健全性)
A.自己資本比率
2024年3月期の自己資本比率につきましては、有価証券の減少等によりリスク・アセットが減少したことから、11.17%となりました。10%以上を維持しており健全性を確保しております。
〔重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定〕
当社が連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「貸倒引当金の計上」であり、「第5 経理の状況」中、「1 連結財務諸表等」の「(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。