当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
〔経営方針〕
(1)会社の経営の基本方針
当社は、2015年10月1日に株式会社肥後銀行(以下、「肥後銀行」という。)と株式会社鹿児島銀行(以下、「鹿児島銀行」という。)との経営統合に伴い、共同株式移転により設立いたしました。両行の地元を中心とした九州での存在感を更に発揮できる盤石な経営基盤を確立することで、広域化した新たな地域密着型ビジネスモデルを創造し、地元との信頼関係を更に強化するとともに経営の効率化を促進し、企業価値を高め、地域価値共創グループとして活力あふれる地域社会の実現に積極的に貢献してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、2015年10月の設立以来、「協働」ステージ、「融合」ステージと歩み、2021年4月には、総合金融グループから地域価値共創グループに進化する10年間の計画を掲げ、これを共創ステージと定めました。また、2024年4月からは、共創ステージの第1章「改革」に続く第2章として、第4次グループ中期経営計画「躍進」(計画期間:2024年4月1日~2027年3月31日)をスタートさせ、地域価値共創グループへの進化に向けて取り組んでおります。
(第4次グループ中期経営計画の概要)
1.ビジョン:お客様・地域・社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化
2.名 称:第4次グループ中期経営計画「躍進」
3.計画期間:3年(2024年4月~2027年3月)
4.基本方針:地域価値共創グループ実現へ向けての躍進
5.基本戦略・戦略の柱
6.主な経営指標・KPI
<財務指標>
※1 顧客向けサービス業務利益:貸出金平残×預貸金利回り差+役務収益等利益-経費
第4次グループ中期経営計画の初年度となる2024年度において、当社グループが実施した主な施策は次のとおりです。
未来を創る地域価値提供の取り組み加速
<新たな事業への挑戦・事業領域の拡充>
従来の金融の枠組みを超えて地域産業振興にかかる課題解決に主体的に取り組むため、2023年4月に地域商社事業を営む当社子会社「株式会社九州みらいCreation」を設立し、開業2周年を迎えました。ECモール「よかもーる」では南九州の魅力的な逸品を幅広く取り扱い、取扱商材は2025年3月末で約700品、会員数は約32,000名と拡大しております。
2021年12月より取扱開始したスマートフォンアプリ「Hugmeg(ハグメグ)」は、自治体や地域企業との価値共創を実現する「地域のデジタルプラットフォーム」を目指し、金融機能に留まらず地域課題の解決や生活の質向上に繋がる機能を随時拡充しております。2025年3月末でのダウンロード数は約128,000件と多くのお客様にご利用いただいております。
また、肥後銀行では、フードロスや在庫ロスなど様々なロスの解消を目指すため、実証実験を経て、2025年2月より「地域のロス解消事業」を開始いたしました。ロスを地域で消費する新たなプラットフォーム「かせする」を構築し、2025年3月末時点で約11,000ユーザー、約90事業者にご参加いただいております。
<地域・お客様起点のソリューション提供>
多様化・高度化する事業ニーズに対して、グループ一体となり様々な課題解決支援を行っております。
肥後銀行では、株式会社日本M&Aセンターホールディングス、玉山ベンチャーキャピタルと3社共同出資により、M&A事業会社「九州M&Aアドバイザーズ株式会社」を設立し、2025年1月には福岡市のソフトウェア受託開発事業会社「マイクロコート株式会社」と東京都の東証グロース市場上場「株式会社BlueMeme」の資本業務提携を支援いたしました。
鹿児島銀行では、2023年11月に設立いたしました「株式会社かぎん共創投資」において、九州地方で餃子の製造・販売を行う「ぎょうざの丸岡グループ」と資本業務提携を行いました。
また、九州FG証券では、株式上場を目指すお客様を支援する「IPO支援業務」の取り組みも強化しており、2024年5月に東京証券取引所「TOKYO PRO Market」のJ-Adviser資格、また2024年8月に福岡証券取引所「Fukuoka PRO Market」のF-Adviserの資格を取得いたしました。
地域経済の成長に向けたコア事業の強化
<地域産業の成長支援強化>
半導体受託生産世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)の日本初の生産拠点であるJASM熊本第1工場は2024年12月より量産を開始しました。また、第2工場も2025年内に建設着工を予定しており、2027年度末までの稼働開始を目指しています。
肥後銀行では、「電子デバイス関連産業プロジェクトチーム」を中心に、サプライチェーン参入機会の創出、台湾企業の進出支援や取引拡大支援、またビジネスマッチング提案力強化などに積極的に取り組んでいます。半導体関連産業への融資実績は2022年4月から2025年3月までの累計で約2,631億円、サプライチェーン参入支援企業数は2025年3月時点で11社となり、引き続き新生シリコンアイランド九州の実現に向け取り組んでまいります。
また、九州・沖縄・山口の地銀13行による「九州・沖縄地銀連携協定(愛称:Q-BASS)」は発足後1年が経過し、肥後銀行、鹿児島銀行も様々な活動を実施しております。2024年12月には台湾で「半導体セミナー」「日台半導体企業の個別商談会」「日台企業交流会」を他地銀とともに開催し、個別商談会では日本側から30社、台湾側から33社が参加し、商談件数は140件となりました。
<ライフプランコンサルティングの深化>
NISA(少額投資非課税制度)の抜本的な拡充・恒久化、また物価高等による資産形成ニーズが高まる中、当社グループは肥後銀行、鹿児島銀行と九州FG証券が適切に連携し、お客様の資産形成支援に積極的に取り組んでおります。「株式会社九州みらいCreation」と連携したキャンペーンの展開、お客様の資産運用に役立つセミナーや資産運用フェアなどを実施しており、九州FG証券の預り資産残高は2025年3月時点で約3,800億円と1年間で約300億円増加いたしました。
また、高齢化社会を踏まえた相続・資産承継ニーズに対応するため、九州の地方銀行グループとしては初の取り組みとなる銀行本体での信託業務を2019年4月より開始しており、信託契約件数は年々増加しております。信託銀行との連携などによる信託業務の専門人材育成にも注力しております。
引き続きお客様の属性・ライフイベント等に応じたワンストップコンサルティング実践を通し、お客様の未来の資産の創造・承継に貢献してまいります。
持続的成長に向けた強固な経営基盤の確立
<価値共創を実現する人づくり>
地域価値共創グループへの進化に向け、金融に特化した基本的な育成はもとより、幅広い分野の専門性を高める研修や、グループ横断的な人材の配置、外部企業への派遣等を実施しております。
特徴的な施策としては、グループ全体を対象に地域の課題解決に繋がる新規事業立案に向けた研修プログラムを「学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学」と連携して実施しております。また、デジタル分野においても、データサイエンティストを育成するために、プログラミングについてチームで協力しながら実践的に学習する「データコンペティション研修」を実施いたしました。
物価上昇等の経済環境への対応、従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材の確保等を目的として、ベースアップを含む5%以上の賃金の引き上げを3年連続で実施しております。なお、初任給の引き上げについても3年連続で実施しております。
LGBTQを含む様々なマイノリティの方々の人権を尊重し、多様な家族のあり方に対応できる企業風土の醸成に努めております。その一環として、2025年4月より「パートナーシップ制度」を導入し、従業員の同性パートナーに法律婚による配偶者と同等の福利厚生や規程を一部適用可能としました。
KFGグループの従業員約5,500名を対象に実施しているエンゲージメント調査結果は、業界平均対比で良好なスコアとなっており、スコア良好店に関する情報の発信、スコア低位店への臨店支援、マネジメント層全員を対象とした研修の実施等を継続的に行っております。さらに、入社5年以内の若年層に対しては「個」に寄り添うことを目的に、結果を踏まえた個別フォローを実施しております。
<DXにかかる先進的な取り組み>
地域におけるキャッシュレスへの取り組みとして、熊本では「くまモンのICカード」、鹿児島ではキャッシュレス決済アプリ「Payどん」の機能拡大を継続的に行っております。
肥後銀行では、非対面チャネルの機能拡充への取組みとして、2024年3月の「肥後銀行アプリ」のサービス開始に続き、2025年6月にバーチャルプリペイドカードによるタッチ決済に対応するスマートフォンアプリ「くまモン!Pay」をリリースいたしました。今後、QRコード決済・デジタル商品券等の機能サービスを順次追加する予定です。
鹿児島銀行では、鹿児島県内の各自治体や商店街、地域企業などと連携して「Payどん」によるデジタル地域振興券の発行事業を拡大しております。引き続き自治体と連携した子育て支援給付事業など、地域経済活性化に取り組んでまいります。また、2025年7月には、個人顧客向けに口座開設など実店舗同様の手続を可能とする新「かぎんアプリ」の提供を予定しております。
さらに、営業店窓口におけるお客様の書類記入の負担軽減や、手続き時間、待ち時間短縮への取り組みとして、肥後銀行及び鹿児島銀行で「店頭タブレット」を導入しております。また、住宅ローンや事業性のお借入れにおいて、紙の契約書への記入や押印に代わりPDFファイルへの電子署名により、契約手続きが完了する「電子契約サービス」を導入しております。お客様のパソコンやスマートフォンでお手続きが可能で営業時間外でも契約内容のご確認や電子署名を行うことができます。ペーパーレス化を進めることにより、生産性が大幅に向上しております。
加えて、業務効率化及び生産性向上を目的に生成AIの導入も行っており、具体的には文章校正・添削、議事録作成、ソースコード作成、銀行業務にかかる事務手続きの問い合わせ等へ活用しております。今後は生産性の向上を図るとともに、適正なリスク対策を講じながら有効活用してまいります。
KFGビジネスモデルの変革
<統合と独自性>
第4次グループ中期経営計画では、グループとして統合する分野を明確にしております。
DX分野では、基幹系システムの統合に向け、プロジェクトチームを中心に議論を開始しており、「地域・お客様、ステークホルダーへの提供価値の向上」の観点から、次世代システムのあるべき姿を検討のうえ、2025年度中に具体案を策定することを予定しております。また、ガバナンス、人的資本の分野においても、機能集約や体制・枠組み等の統一を図ることで、効率性と専門性を追求してまいります。
〔経営環境及び対処すべき課題〕
当社グループの地元である中・南九州においては、恒常的に生産年齢人口が首都圏・都市圏へ流出しており、少子高齢化の加速、市場規模の縮小など、構造的な問題を抱えております。一方で、半導体受託生産世界最大手であるTSMCの熊本進出が、九州各地の経済に与えるインパクトは大きく、地域経済へプラスに寄与することが期待されております。
金融業界においては、今後見込まれる金利上昇局面への対応や他の金融機関等との競合などに加え、DXやSDGsといった多様化するお客様の課題やニーズへの対応も求められております。このような経営環境の中、当社グループは、「その地域にどのような地銀があるかによって、その地域の未来が変わる」との考えのもと、新たな事業への挑戦や事業領域の拡充を通じて、持続可能な地域社会の実現に貢献していくことが、役割であり使命であると認識しております。引き続き、「地域価値共創グループ」への進化に向け、グループ一丸となって取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティ全般
当社グループは、2019年2月に「サステナビリティ宣言」および肥後銀行と鹿児島銀行において「サステナビリティ全体構想」を策定の上、グループ全体の意思統一を図るとともに、持続可能な地域社会の実現に向けて主体的に取り組んでおります。
「サステナビリティ宣言」
「サステナビリティ関連規程体系」

「サステナビリティ優先課題」
第4次グループ中期経営計画策定にあたり、重要課題の検討・見直しを行い、中長期的にお客様・地域・当社グループに最も影響を与える「サステナビリティ優先課題」6項目を抽出いたしました。

〔サステナビリティ優先課題の特定のプロセス〕
<Step1:優先課題候補の抽出>
<Step2:優先課題の特定>
<Step3:優先課題の決定>
(1)「ガバナンス」
当社グループは、持続可能な地域社会と自社の価値創造の実現に向けて、サステナビリティに関わる取り組みの管理・推進体制を強化しております。
管理面において、サステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティに関わる取り組みの進捗状況の報告を3か月毎に行っております。サステナビリティ推進委員会は、委員長を代表取締役社長、副委員長を経営企画部担当役員とし、委員は代表取締役、常務以上の執行役員、全部長で構成され、監査部長ならびに監査等委員のオブザーバー出席の下、サステナビリティ関連のリスク及び機会の報告ならびに議論を行っております。また、サステナビリティに関わる各種方針や新たな施策の検討にあたっては、グループ経営執行会議にて協議・審議の上、決定しております。サステナビリティ推進委員会における報告事項とグループ経営執行会議における審議事項は、年1回以上定期的に取締役会へ報告・決議し、取締役会からの監督を受けております。また、スキル・マトリックスにおいて取締役のスキルを選定し、サステナビリティ関連の知識・経験・能力を有する取締役が職務を遂行しております。推進面において、当社にサステナビリティ統括室、肥後銀行と鹿児島銀行にサステナビリティ推進室を設置し、グループ各社は緊密に連携することで、全社横断的なサステナビリティの浸透と推進を行っております。
(2)「戦略」
①気候変動に関する事項
当社グループは、サステナビリティ優先課題の一つに「気候変動対策」を掲げています。これまでに、2019年6月にTCFD提言へ賛同、2020年9月にUNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が提唱するPRB(責任銀行原則)に署名し、サステナブルファイナンスの推進に努め、2024年7月のPRB報告書ならびにESG投融資実行額(うち国際原則に準拠したサステナブルファイナンス商品)について監査法人による保証を得ております。また、2025年4月温室効果ガス排出量データにおける第三者認証を取得するなど、一連のサステナビリティの取り組みについて、透明性ある開示に努めております。
A.リスクと機会
当社グループは、気候変動に起因するリスクが、事業運営、戦略、財務計画に影響を与えることを認識しております。シナリオ分析などを活用した気候関連のリスク管理に取り組むと同時に、脱炭素社会の実現に向け、お客様の温室効果ガス排出量削減やエネルギー効率向上に向けた投融資(サステナブルファイナンス)を事業機会と捉え、環境負荷軽減を目的とした金融面ならびにコンサルティングなどの非金融面での取り組みを積極的に展開しております。
肥後銀行では、2024年10月に預金総額の一定割合を環境団体等に寄付する法人のお客様向けの「サステナビリティ定期預金」、2025年1月に個人のお客様向けの「サステナビリティ定期預金」、2025年4月にお預かりした預金を再生可能エネルギー等の融資に資金を充当する「肥後銀行グリーン預金」の取扱を開始いたしました。
また鹿児島銀行では、脱炭素先行地域である鹿児島県日置市において、2024年9月締結した「脱炭素先行地域づくり事業の円滑な実施に向けた日置市のサポートに関する契約」にもとづき、ファイナンスを通した一貫した支援を実施しております。
気候変動対応をビジネス機会と捉え、投融資をはじめとするソリューションを提供するとともに、資金の流れを気候変動対応へ転換することに取り組んでおります。
B.移行計画の策定
脱炭素社会の実現に関して重要な役割を担う地域価値共創グループとして、Scope1・2における2030年度までのカーボンニュートラル(算定範囲:当社及び当社100%出資子会社)の達成を目指すとともに、地域・お客様の脱炭素を促進するための移行戦略を策定しております。
当社グループでは、2023年度より、「Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)」の基準に準じて全事業性融資先のCO2排出量を算定・開示しております。事業性融資先の排出量を分析するとともに、肥後銀行では、CO2排出量算定システム「炭削くん」を開発・提供し、お客様のCO2排出量の算定及び削減支援を実施しております。2025年3月現在で、累計4,000先を超えるお客様にご利用いただいています。
加えて、脱炭素社会の実現には、自治体と連携が不可欠であるとの考えのもと、肥後銀行では、2024年11月に産学官金の連携による「芦北地域におけるアマモ場等の再生に関する連携協定」を締結し、ブルーカーボンクレジットの創出に向けた活動を開始いたしました。
鹿児島銀行では、2024年4月に産学官金の連携による「鹿児島県畜産業におけるGX推進及び産業振興に向けた連携協定」を締結いたしました。鹿児島県の基幹産業である畜産業の脱炭素化を図るべく、牛から排出される温室効果ガスの削減及び生産コストの低減・生産性向上に向けた取り組みを進めております。
今後も、グループ全体での知見を深め、移行戦略の遂行を通して、地域・お客様とともに脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。


C.シナリオ分析
当社グループでは、気候変動リスクとして「物理的リスク」「移行リスク」を認識し、事業における気候変動の影響を具体的に把握するため、肥後銀行、鹿児島銀行において2050年までのシナリオ分析を実施し、シナリオ分析の高度化、精緻化を行いました。
<物理的リスク>
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の4℃シナリオ(RCP8.5シナリオ)を前提とし、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、九州で特に発生確率の高い水災による信用コストへの影響を試算しました。
具体的には、事業性融資先の水災などによる肥後銀行と鹿児島銀行が設定している担保不動産の損傷に起因する価値毀損の推計結果(直接影響)及び建物の損傷に起因するお客様の事業停滞日数の推計結果(間接影響)、ならびに2024年度は住宅ローン先の担保価値毀損の推計結果(直接影響)を加え、2050年までの信用コストの増加額は最大で67億円程度という結果になりました。
※国土交通省が公表するハザードマップ及び「治水経済調査マニュアル」を使用し、資産ごとの浸水深及び浸水深に応じた被害額を算定しております。
<移行リスク>
TCFD提言にて定義されるエネルギーセクターに、2024年度は運輸セクターを新たに加え、移行リスクの定量化をいたしました。具体的には、選定したセクターにおける当社グループの融資先について、炭素税やエネルギー価格及び製品構成の変化による融資先の営業費用への影響、および需要の増減に伴う売上への影響から、信用コストの増加額を試算しました。2050年までの信用コストの増加額は単年度最大で183億円程度という結果となりました。今後も、分析対象の拡大、シナリオ分析を通じて移行リスクの把握を図ってまいります。
※IEA(国際エネルギー機関)による2050年ネットゼロ排出シナリオ(NZE2050)を参照しております。
ただし、NZE2050シナリオにはない日本のシナリオデータについては、必要に応じて表明宣言シナリオ(APS)等により補完しております。
D.炭素関連資産
当社グループの貸出金に占める炭素関連セクターの割合は以下のとおりです。
※TCFD提言及び日本標準産業分類並びに肥後銀行・鹿児島銀行の業種コード等を用いて分類
[エネルギー]石油及びガス、石炭、電力ユーティリティ
(再生可能エネルギー発電者、独立系発電事業者、水道事業者を除く)
[運輸]航空貨物、旅客空輸、海上輸送、鉄道輸送、トラックサービス、自動車及び部品
[素材・建築物]金属・鉱業、化学、建設資材、資本財、不動産管理・開発
[農業・食料・林産物]飲料、農業、加工食品・加工肉、製紙・林業製品
E.物理的リスク・移行リスクを踏まえた当社グループの主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で気候変動に伴うリスクと機会の分析を行っております。
<気候変動に伴うリスクと機会>
②生物多様性に関する事項
当社グループは、中・南九州の自然豊かな地域に位置しています。気候変動とならび自然資本や生物多様性への対応は、私たちにとって重要な課題であると認識しております。2022年8月に「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フォーラム」に参画し、2024年1月に「TNFD Adopter」へ登録いたしました。また、2024年4月に、グループにおける自然資本・生物多様性への取り組み推進のため「生物多様性保全方針」を制定いたしました。
A.自社拠点の自然との接点
当社グループにおける自然との関わりを把握するため、主な事業基盤のうち熊本県と鹿児島県における物理的な水リスクや生物多様性における重要度などが高い地域への分布状況を分析いたしました。水リスクに関する分析の結果、同地域に立地している自社の営業拠点に水の物理的リスクが高い地域が存在しないことを確認しました(下図:分析のイメージ)。引き続き、TNFD提言に沿って「優先地域」の特定・評価に向けた取り組みを進めてまいります。
<熊本県・鹿児島県における営業拠点の分布状況から見る自然関連のリスク分析※>

※ World Resources InstituteのAqueductプラットフォームから取得した水ストレスデータを加工して利用(https://www.wri.org/applications/aqueduct)
B.ポートフォリオにおける依存と影響
当社グループの事業活動と自然資本の関係を依存とインパクトという観点で整理するため、ヒートマップの作成を行い、19セクターの分析を行いました。分析の結果、水関連に着目した場合、生態系サービスへの依存関係においては「洪水緩和」「水供給」などへの依存が、自然資本への影響関係においては「水質汚染物質」「水使用量」への影響が比較的高いことがわかりました。
<ENCORE分析の実施>


※ENCOREとは多くの金融機関が開示に向けて生物多様性・自然資本の分析に用いるグローバルルールのこと。
C.当社グループ事業における重要業種の特定
気候・自然関連のリスクは業種ごとに影響度が大きく異なるため、業種別の分析を行いました。当社グループでは、取引先企業の気候・自然への依存とインパクト・当社グループの融資残高のエクスポージャーを業種ごとに数値化し、マッピングを実施しております。
<業種ごとの依存・インパクトとエクスポージャー(グループ全体)>

さらに業種ごとの依存・インパクトとエクスポージャー分析を実施した結果、地域の基幹産業である「農林漁業」、「観光業(宿泊・飲食業等)」の依存と影響度合いに着目しました。なお、ビジネスにおける土地利用の転換の加速・水需要の増大といった幅広い業種に影響を与える「水」に焦点を置いた分析も進めております。
D.自然・産業特性の分析
前述B.C.の結果を踏まえ、当社グループにおける地盤の自然・産業特性と要注意地域について主要エリアである「熊本県」「鹿児島県」を分析いたしました。
<熊本県の分析結果>
熊本県の自然特性と産業特性について自治体の戦略や報告書等を基に調査した結果、熊本県は、特に地下水資源が非常に豊富であるという地域特性を有していること、水を多量に使用する産業の集積や急速な都市化が近年注目を集めていることから、「豊かな地下水資源と依存・インパクトの集中」という点に着目しました。
白川中流域は大半を農地や山林が占めており、エリアにおける地下水プールへの寄与が大きい地域です。農林業によりもたらされる豊富な地下水資源(淡水供給サービス)にあらゆるセクターや地域住民が依存しています。一方で、近年は離農や耕作放棄などに伴う里地・里山の荒廃が課題となっており、農林業の衰退に伴う管理放棄は地下水にとっても負のインパクトになることが懸念されます。また、大量の水を必要とする製造業においては地下水資源に対して甚大なインパクトをもたらす可能性があるほか、産業集積に伴う急速な都市化(土地利用の変化)によるインパクトも懸念されます。地下水資源の減少により、産業や地域社会にも波及し、地域地盤の安定性が損なわれる可能性があります。
<鹿児島県の分析結果>
鹿児島県の自然特性と産業特性について自治体の戦略や報告書等を基に調査した結果、鹿児島県では多様な気候や世界自然遺産等の景観といった自然特性や、自然や飲食を目的とした観光業(宿泊・飲食業等)が盛んであるとの産業特性があります。中でも島しょ部では世界自然遺産である「屋久島」と「奄美大島及び徳之島」では、屋久杉やサンゴ、マングローブなど、地域の生態系による景観といった観光資源が文化的サービスやレクレーションを行う場を提供しており、それらの自然を目的として訪れた観光客の人数が増えることで、ゴミの廃棄等による汚染、踏圧や騒音による生態系のかく乱、意図しない侵略的外来種の持ち込みなどインパクトを与え、それが結果的に依存している生態系サービスの毀損につながる可能性があります。
E.自然資本・生物多様性に関する主なリスクと機会
短期(3年以内)、中期(3~10年)、長期(10年以上)の時間軸で生物多様性に伴うリスクと機会の分析を行っております。
F.当社グループにおける事業としての取り組み
現在、熊本県においては、ビジネスにおける土地利用の転換の加速や水需要の増大により、地下水涵養量の減少が懸念されています。そのような中、肥後銀行では2025年3月に産学金協働の「熊本ウォーターポジティブ・アクション」を始動しました。企業の自発的なグリーンインフラの設置を支援しながら、自然クレジット(※)の原則にもとづき、グリーンインフラがもつ地下水涵養量等の価値をクレジット化する革新的な金融手法の研究開発を進めております。
また、生物多様性に関しては、JBIBや30by30アライアンスなど各種イニシアティブへ参画し、業種の垣根を越えた情報交換に努めております。今後も、長年取り組んでいる水資源涵養事業などの環境保全活動等を通じた地域貢献を継続するとともに、引き続きTNFD提言で推奨されているLEAPアプローチを用い分析を進め、事業活動を通じた自然資本・生物多様性への依存と影響、リスクと機会を認識し、TNFDの開示推奨事項(ガバナンス・戦略・リスクとインパクトの管理・指標と目標)に沿った開示の準備とともに施策の検討を進め、透明性のある開示に努めてまいります。
※自然の保全、回復、適切な管理活動からもたらされる、生態系や生物多様性への測定可能なプラス成果のこと。
③人的資本に関する事項
当社グループは、パーパス、九州フィナンシャルグループ人権方針及び「お客様、地域、社員とともに、より良い未来を創造する『地域価値共創グループ』への進化」というビジョンに基づき、2023年5月に人材育成方針と社内環境整備方針を定めました。
第4次グループ中期経営計画においては、伝統的銀行領域や総合金融サービス領域などの「地域経済の成長に向けたコア事業」の強化と並行して、新たな事業への挑戦、事業領域の拡充といった「未来を創る地域価値提供の取り組み」を加速してまいります。
その実現に向けて、当社グループの事業の進化及び事業戦略を遂行する「人材」が重要なファクターとなることから、人事部門としては第4次グループ中期経営計画においても、継続して従業員エンゲージメントを高め、価値を創造する人材の育成・確保や働きがいの充実を通じて、多様性と主体性を備える集団形成を図ってまいります。
<人材育成方針>
第4次グループ中期経営計画の策定にあたり、2030年度の『地域価値共創グループ実現』に向け、法人コンサル領域8分野(SDGs、医療・介護、農林水産業、国際ビジネス支援など)、個人コンサル領域2分野(信託推進・管理)、コーポレート領域4分野(環境、ファシリティマネジメントなど)、IT分野、マーケット分野の合計16分野について、目指す姿に必要な人材(To be)を策定し、現状(As is)を把握しました。
上記人材育成方針の下、「未来のKFGグループを支える人材ポートフォリオの構築」をテーマに、各専門分野で活躍できる専門的な知識・スキル・経験・実績を有する人材の育成・確保に向けて、戦略的な適材配置の実践や専門性の高い公的資格の取得支援等に取り組んでおります。

<社内環境整備方針>
・第4次グループ中期経営計画においては、上記社内環境整備方針の下、「多様な人材が活躍する働きやすい職場環境の構築」をテーマに各種施策を実施してまいります。

肥後銀行及び鹿児島銀行は、ともに頭取を「健康経営責任者」として、健康保険組合等とも連携し、課題解決に向けた「健康経営戦略マップ」を策定して、健康経営推進に取り組んでおります。2024年度は、両銀行ともに経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定され、肥後銀行はホワイト500として認定されております。
(3)「リスク管理」
当社グループは、気候変動や生物多様性、人権をはじめとするサステナビリティに関連するリスクを認識しております。認識したリスクについては、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会にて協議の上、必要に応じて、グループ経営執行会議、取締役会に報告し、監督・指導を受けております。
①気候変動に関するリスク
当社グループはシナリオ分析の結果を踏まえ、気候変動リスクは当社グループの財務に影響を与える可能性があることを認識しており、以下のような取り組みを行っております。
A.リスク資本配賦について
気候変動リスクを「外的要因に関するリスク」の一つとして捉え、2023年度より信用リスク算定時のストレスシナリオに物理的リスクを追加しております。想定シナリオ発生時の物理的リスクにおける資本の十分性を確認しております。
B.投融資について
投融資に際しては、石炭火力発電・森林伐採事業など気候変動に負の影響を与える可能性が高い事業については「サステナブル投融資方針」において原則取り組まない方針を掲げております。融資等の審査においても、第一線の営業店及び融資審査を行う融資関連部がチェックを行い、気候変動への影響を加味した融資判断を行っております。
今後、グループ横断的にシナリオ分析を深化し、気候変動リスクの定量化およびリスク管理の高度化に向けて取り組んでまいります。
②生物多様性に関するリスクとインパクトの管理
生物多様性を含む自然資本関連の課題は、気候変動と同様に重要であると認識しております。ヒートマップ分析やポートフォリオ分析によるリスクとインパクトを認識することにより、影響軽減と機会の拡大に努めてまいります。
・投融資について
投融資に際しては、「サステナブル投融資方針」において水資源や森林資源、絶滅危惧種の保護など生物多様性保全に資する事業などへの投融資に積極的に取り組み、原生林や生態系の破壊など環境への甚大な影響が懸念される森林伐採事業など環境や社会に対して負の影響を与える可能性が高い事業については、原則取り組まない方針を掲げております。
③人権に関するリスク
当社グループでは、2022年に人権方針を制定し、グループ各社の役職員やお客様、サプライヤーの皆様に対する人権を尊重するとともに、人権に配慮した事業活動を行うことを公表しています。2023年度に人権方針に基づく人権デュー・ディリジェンスを行い、2024年5月に「調達ガイドライン」を制定、サプライヤーの皆様に対する期待事項を公表いたしました。また、当社グループにおける外部委託先に対して、ESGへの取組状況についてアンケート方式でのヒアリングを行いました。また、自社の役職員を対象とした「アンコンシャスバイアス」をテーマとした勉強会を実施するなど、人権・多様性尊重に対する意識醸成を図っております。2025年2月には、お客様との良好な関係性を構築するとともに、役職員が安心して働くことができる就業環境を守るため、「カスタマーハラスメント対応方針」を制定いたしました。今後も定期的に人権デュー・ディリジェンスを行い、すべてのライツホルダーの人権に配慮した事業活動に努めてまいります。
(4)「指標及び目標」
①気候変動に関する指標と目標
※2024年度実績内訳:SDGsコンサル733件、SDGs登録支援制度28件、SDGs宣言書作成支援サービス81件、
脱炭素セミナー件数977件
<CO2排出量>
※算定範囲:当社及び当社の100%出資子会社
※算定範囲:当社、肥後銀行、鹿児島銀行
目標対象:Scope1、Scope2、Scope3のカテゴリー1(一部除く)、3、4、5、12
※Scope3:カテゴリー1(一部除く)、3、4、5、12
2024年度は、2019年度比△14.0%(目標△11.0%)の削減となりました。
〔削減に向けた具体的な取り組み〕
・定時退行とテレワーク推進
・適切な空調運用の徹底
・ペーパレスの推進(WEB通帳の推進やタブレットの活用等)
・経費管理の徹底
・電力プランの変更(再エネプランへの変更)や太陽光設備の設置経費管理の徹底
・高効率設備の導入経費管理の徹底
※算定範囲:当社、肥後銀行、鹿児島銀行
※CO2排出量の計算はGHGプロトコルに準拠し、環境省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基準ガイドライン」「排出原単位データベースVer.3.4」「電気事業者別排出係数」を使用しております。
※Scope3のカテゴリー8、9、10、11、13、14は、CO2排出量はゼロとなっております。
※2023年度の排出量実績については第三者機関(一般社団法人日本品質保証機構)による認証を取得しております。
※カテゴリー15について
・算出範囲:「国内の上場株式及び社債」「事業性融資先」
・算出方法:PCAF提唱の計測手法を使用の上算出
「国内の上場株式及び社債」
2025年3月末時点における当社グループの投資残高及び算出時点における投資先の直近期の開示データ(連結ベースのCO2排出量・財務情報)を使用。当社グループの投資額(時価ベース)に対する算出割合は70.9%、PCAF定義による加重平均データクオリティスコア1.20。
「事業性融資先」
算定にあたっては、融資先が属するセクター平均値の「売上高あたりの排出量」(炭素強度)に売上高を乗じるトップダウン分析と融資先が開示する排出量を用いるボトムアップ分析で算出。PCAF定義による加重平均データクオリティスコア3.42。
今後は、融資先に対するCO2排出量計測支援等によりボトムアップ分析による算定を進め、精緻化に取り組んでまいります。なお、算出範囲の拡大や算出手法の変更等により、CO2排出量が増減する可能性があります。
②人材育成に関する指標と目標
・人材育成方針に関する事項
<専門人材プール充足率>
第4次グループ中期経営計画の策定にあたり、2030年の『地域価値共創グループ実現』(ありたい姿)からバックキャストして、「未来を創る地域価値提供の取り組み加速」、「地域経済の成長に向けたコア事業の強化」を担う2026年の専門人材ポートフォリオ(To be)を策定しました。法人コンサルティング、個人コンサルティング、IT・DX、マーケット、コーポレートの分野における専門人材プールの充足を目指し、人材育成と採用活動を実施してまいります。
<資格取得奨励金制度交付>
当社グループの事業領域が拡大するなか、従業員の多様で高度な知識習得を通じたサービス品質向上が重要であることから、アップスキリングの促進を目的としたキャリアアップ支援金の支給に加え、自己啓発に取組む従業員に対するインセンティブとして、資格取得奨励金制度を導入しております。
<キャリアチャレンジ>
キャリア形成に関し自ら手を挙げ、チャレンジできる機会として、銀行内・グループ内の部署での勤務に加え、グループ外への研修出向について公募する制度を実施しております。2024年度は肥後銀行・鹿児島銀行で合計33名が希望するポストに合格し、自ら選んだ新しいキャリアをスタートしております。
・社内環境整備方針に関する事項
<エンゲージメントスコア>
従業員の心理的安全性を確保し、ワークエンゲージメントを向上させることが、業務品質・生産性を高めると同時に、働きがいに繋がるものと考え、2021年度より当社グループの従業員約5,500名を対象に株式会社アトラエの提供する「Wevox」を用いてエンゲージメント調査を実施しております。
ワークエンゲージメントの向上に向けて、スコア良好店における取組みの情報発信、スコア低位店への臨店支援、マネジメント層全員を対象とした研修等を継続的に実施しております。
<若年層離職率>
入社5年以内の若年層に対して、エンゲージメント調査の結果を踏まえ、一人ひとりに寄り添ったフォローを実施する等、離職防止に取組んでおります。
※対応する年度の入社者数に占める累計退職者数の割合を記載しております。
<副業実施者数>
従業員が様々な経験に挑戦できる機会を設けることで、職場内だけでは得られない成長を実現するとともに、多様な価値観をもたらし、新たなイノベーションの創出や地域貢献につなげることを目的に「副業制度」を導入しております。現在、45名が自らのスキルを活用し、スポーツイベント企画など様々な副業を実施しております。
<女性管理職比率>
更なる女性の活躍を支援し、すべての女性が意欲を持ち、キャリアの継続と能力の発揮を可能とする職場環境の実現に取組んでおります。
※算定対象:当社及び当社の直接子会社(肥後銀行、鹿児島銀行、九州FG証券、九州デジタルソリューションズ、九州会計サービス、九州みらいCreation)
<男性育児休業取得率>
男性の家事・育児への参画を通じて、仕事と家庭を両立する同僚を理解し支え合って働く組織風土の醸成を図るため、男性従業員の育児休業取得率100%を継続しています。
また、2022年4月より「出生時育児休業」(産後パパ育休)を開始し、育児休業(出生時育児休業を含む)について5営業日以上の取得を原則とし、男性がより一層積極的に育児に参画できるような環境整備に努めております。
なお、法令にもとづく男性育児休業取得率の実績については「
<働き方改革に関する取組み>
生産性向上に向けた時差勤務制度や健康維持のための勤務間インターバルなど様々な制度を導入しております。
また、働き方改革のみならず災害や緊急事態に備えたBCP(事業継続計画)の観点からもテレワークの体制を整備し、新型コロナウイルス感染症対応における勤務体制移行時には大きな効果を発揮しました。
さらに、性別に関係なく柔軟な発想力や創造力を発揮しやすい企業風土などを目指してビジネス・オフィスカジュアルを導入しております。
働き方改革に加え、脱炭素社会実現に向けた取組みとして、事業所内等の照明を週2回終業時間に消灯する「ライトダウン運動」を2022年度より実施しております。今後も業務効率化・生産性向上による更なる働き方改革を進め、ワークインライフの実現を目指してまいります。
<ファイナンシャル・ウェルネス>
従業員の資産形成支援を目的として、従業員持株会制度、選択型DC、財形貯蓄制度を導入しております。2022年3月に肥後銀行従業員持株会と鹿児島銀行従業員持株会を九州フィナンシャルグループ従業員持株会へ統合し、加入対象を当社グループ全従業員に拡大しました。会員の拠出金に対して10%の奨励金を付与しております。その他、従業員の生活資金や住宅資金等について貸付を行う行友会(肥後銀行)・互助会(鹿児島銀行)貸付制度も整えております。
<賃上げ>
物価上昇など社会状況への対応ならびに従業員のエンゲージメント向上、優秀な人材の確保を目的に、当社グループは5%以上の賃上げ方針(2025年度)を決定し、各社へ要請いたしました。なお、各社の賃上げ率は以下のとおりです。※定期昇給分を含んで記載しております。
<初任給引き上げ>
当社および肥後銀行、鹿児島銀行は採用力の強化を目的に、4年連続で初任給の引き上げを実施いたします。
※大卒で転居をともなうエリアフリー総合職の場合
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)持株会社のリスク
持株会社である当社は、その収入の大部分を当社が直接保有している銀行子会社から受領する配当金及び経営管理料に依存しております。一定の状況下では、様々な規制上または契約上の制限等により、当該銀行子会社が当社に支払う配当金が制限される可能性があります。また、銀行子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等を支払えない状況が生じた場合、当社株主に対し配当を支払えなくなる可能性があります。
(2)信用リスク
①不良債権の状況
当社グループにおいては、国内外の経済動向変化、あるいは与信先の経営状況変化(業況悪化、企業不祥事発生による信頼失墜、再建計画達成遅延等)、担保資産価値の下落等により、当初予想した不良債権残高及び総与信費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは個々の与信先の信用状況を継続的にモニタリングするとともに、特定企業グループ・業種への与信集中状況を定期的にモニタリングするポートフォリオ管理を行っております。特に一定水準以上のリスクを有する与信先については事業再建計画の策定支援を行うとともに計画進捗状況のモニタリング徹底等により、貸出資産の健全性についても良好な水準を維持しております。
②貸倒引当金の状況
当社グループでは、貸倒損失の発生状況や貸出先の状況、不動産・有価証券等担保の価値などに基づいて貸倒引当金を計上しておりますが、予想損失額算出の前提条件と比較して、著しい経済状態の悪化や不動産価格の下落などが生じた場合は、貸倒引当金の積み増しを行う必要があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③権利行使の困難性
不動産、有価証券等の流動性の欠如または価格の下落により、担保権を設定した不動産などの換金や、貸出先の保有する資産に対して強制執行ができない場合、信用コストが増加するとともに不良債権処理が進まない可能性があります。
(3)自己資本比率に関するリスク
当社グループは、連結自己資本比率を「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第20号)に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。また、当社の連結子会社である株式会社肥後銀行、株式会社鹿児島銀行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。
当社グループの自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部または、一部の停止等命令を受けることとなります。
当社グループの自己資本比率に影響を与える要因には以下のものなどが含まれます。
・債務者の信用力の悪化に際して生じうる総与信費用の増加
・有価証券の時価の下落に伴う減損処理の増加
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
なお、連結自己資本比率(国内基準)については、高水準を維持しております。
(4)市場リスク
①金利変動リスク
当社グループの資産及び負債は、主要業務である貸出金、有価証券及び預金で形成されており、主たる収益源は資金運用利回りと資金調達利回りとの利鞘による資金利益収入であります。したがって、金利変動等が発生した場合は、利鞘も変動するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、リスクリターン最適化のために金利変動リスクを定量的に把握・評価し、必要に応じ事前ないし事後に適切な対応を行う方針としております。
②為替変動リスク
当社グループは国際部門の運用・調達手段として、外貨コールローンや外貨コールマネー等の外貨建取引による資産及び負債を保有しており、少なからず為替レートの変動の影響を受けます。外貨建の資産と負債の額が通貨毎に同額で相殺されない場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響する可能性があります。ただし、このような事態を未然に防止するため、持高は売持・買持均衡を基本に調整を行っており、収益への影響は限定的なものになると思われます。
③価格変動リスク
当社グループは、国債等の債券や市場価格のある株式等の有価証券を保有しており、将来、債券の利回りが上昇する場合や、株価が下落する場合には保有する有価証券に評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは所定のリスクリミットや損失限度額等の範囲内にリスクをコントロールし、総合損益や時価、リスク量等定量的なモニタリングを日次で実施しております。
(単位:億円)
(単位:億円)
(5)流動性リスク
当社グループの財務内容の悪化等により、必要な資金確保が困難になり資金繰りに支障をきたす場合や、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、市場の混乱等により市場において有価証券売買取引ができなくなったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは、日次、週次、月次にて資金繰り状況を把握・分析し必要に応じて適切な市場調達を実施しております。また不測の事態に備え資金繰り逼迫度に応じて、各々の局面において迅速な対応が行えるよう、対応策や報告連絡体制を定めております。
(6)オペレーショナル・リスク
①事務リスク
当社グループにおいて、事務上の事故、不正・不祥事、事務処理体制の不備に起因する不適切な事務等が発生した場合、当社グループの業務や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは、事務の堅確性を維持するために、諸規程に基づく正確な事務取扱いの徹底、事務処理の集中化、システム化を図っております。
②システムリスク
当社グループにおいて、万が一システム障害等が発生した場合、当社グループの業務や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは、コンピュータシステムの安全性及び正当性を維持するため、システムリスク管理方針やバックアップ体制を整備しており、さらに災害・障害等に備えた危機管理計画を定めて不測の事態に対応できるよう万全を期しております。
③サイバーセキュリティ・リスク
当社グループにおいて、サイバー攻撃によるサービス停止や情報漏洩、不正送金等が発生した場合、それに伴う損害賠償や行政処分、風評の発生等により当社グループの業務運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは、当社グループが直面する様々なサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウィルス感染等の脅威に対し当社グループ各社の保有するリスクの規模・特性に応じた適切なサイバーセキュリティ・リスク管理に努めています。具体的にはCISO(最高情報セキュリティ責任者)のもと、関連部署で組織されたCSIRT(コンピューター・セキュリティ・インシデント・レスポンス・チーム)を設置し、管理体制の整備や被害拡大防止に取り組んでおります。
④法務リスク
当社グループにおいて、法令解釈の相違、法的手続の不備、法令等に違反する行為等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは、法令等遵守の徹底や法的な確認を厳格に実施することにより法務リスクの軽減に努めております。
⑤人的リスク
当社グループにおいて、人事処遇や労働時間管理などの人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題などに関連する重大な訴訟などが発生した場合、社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥有形資産リスク
当社グループにおいて、大地震や未曽有の大型台風及び豪雨など大規模自然災害の発生や資産管理の瑕疵等により、当社グループの店舗、システムセンター等の施設の毀損が発生することで当社グループの業務の全部または一部が継続困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは業務継続規程を制定し、これらの事象が当社グループの経営、業務遂行に重大な影響を及ぼすと判断した場合には、社長を本部長とした対策本部を設置し、迅速かつ適切な対応を図る態勢としております。
⑦風評リスク
当社グループに対する報道、記事、噂などにより、地域、お取引先及び投資家等の間で、事実と異なる風説や風評によって評判が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧情報資産リスク
当社グループにおいては、膨大な顧客情報を保有しているため、顧客情報や経営情報等の漏洩、紛失、改ざん、不正利用等が発生し、当社グループの信用低下等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは情報管理に関する内部管理体制の整備により、情報資産の厳正な管理に努めております。
(7)コンプライアンスに関するリスク
法令等を遵守できなかった場合、当社グループの業務や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各種法令等及びその解釈は将来変更される可能性があり、その内容によっては、当社グループの業務や業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループは、各種法令に加え、社会規範を遵守するようコンプライアンスの徹底を経営の最重要事項と位置付け、グループ共通の基本方針・規程等の整備、社長を委員長とするコンプライアンス・顧客保護等委員会での当社グループのコンプライアンス管理状況等に関する協議・報告、具体的な実践計画としてコンプライアンス・プログラムの策定等コンプライアンス態勢の強化に取り組んでおります。
(8)マネー・ローンダリング等防止に関するリスク
不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合、不測の損失の発生や信用失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を未然に防止するため、当社グループでは、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融対策を経営の重要課題の一つとして位置づけ、グループ共通の基本方針・規程等の整備、取引時確認の徹底、システム等による異常取引の検知、疑わしい取引の届出等を行いマネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融対策に取り組んでおります。
(9)法的規制に関するリスク
当社グループは、現時点の法令・規制等に従い業務を運営しておりますが、将来において法律、規則、政策、実務慣行、解釈等の変更が行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)退職給付債務に関するリスク
当社グループは、従業員の退職に備えて退職給付に係る負債を計上しております。当該負債の計算基礎となる退職給付債務の割引率を変更した場合や、年金資産の時価が下落した場合には、数理計算上の差異の発生や退職給付費用の増加により、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(単位:億円)
(11)固定資産の減損会計に関するリスク
当社グループが所有する固定資産については、使用目的の変更、今後の地価動向等及び対象となる固定資産の収益状況等により、減損処理に伴う損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)繰延税金資産に関するリスク
繰延税金資産は、現時点の会計基準に基づき計上しておりますが、今後会計基準に何らかの変更があり、繰延税金資産の計上に何らかの制限が課された場合、あるいは繰延税金資産の一部または全部の回収が出来ないと判断される場合は、繰延税金資産は取り崩しとなり、当社グループの業績や自己資本比率に影響を及ぼす可能性があります。
(単位:億円)
(13)競合に関するリスク
金融業界を取り巻く環境が厳しくなるなか、県境を越えた金融機関の競争は激化しております。
当社グループの主要な営業基盤である熊本県、鹿児島県及び宮崎県では、ゆうちょ銀行、メガバンク及び他の地域金融機関等との競合など、事業環境はますます激しくなっております。
当社グループが、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
〔経営環境〕
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)のわが国経済は、日本銀行の17年ぶりの利上げ実施や、公示地価上昇率や春闘賃上げ率はバブル期以来の伸びなど、インフレ経済への回帰が見られました。
こうした経済環境のもと、日米金利差等を背景とした円安を追い風に輸出関連企業の業績が伸び、7月に日経平均株価が史上最高値となる42,000円台を記録しました。一方、8月には米ハイテク株の急落や円高の進行により、日経平均株価は過去最大の下落幅を記録しましたが、米FRBの利下げなどで次第に落着きを取り戻しました。年明け以降は、2025年4月から本格化するトランプ政権の貿易政策が世界景気を下押しさせるとの懸念が膨らみ、3年ぶりに年度末の終値が前年度末を下回りました。為替相場は、好調な米経済指標と日銀の緩和政策継続から7月に1ドル161円台まで円安が進行しました。その後、一旦は円高傾向となったものの、堅調に推移する米経済とトランプ大統領への期待から年末にかけて再び円安基調となりました。年明け以降は、米国の景気後退懸念と日銀の利上げ観測により円高が進行しました。
地元経済におきましては、サービス消費を中心とした個人消費や外国人観光客の増加などによるインバウンド需要が回復しました。また、企業においては、原材料やエネルギー価格の上昇でコスト高となる一方、価格転嫁による売り上げ増加もあり、全体としては緩やかに回復しました。
〔財政状態及び経営成績の状況〕
当連結会計年度末における財政状態につきましては、総資産は現金預け金の減少等により、前連結会計年度末比2,436億円減少し13兆2,776億円となり、純資産は前連結会計年度末比136億円減少し7,040億円となりました。
主要勘定の残高につきましては、預金は個人預金の増加等により、前連結会計年度末比241億円増加し10兆3,272億円、譲渡性預金は公共預金の増加等により、前連結会計年度末比1,018億円増加し2,522億円となりました。
貸出金は法人向け及び個人向けの増加等により、前連結会計年度末比2,154億円増加し9兆424億円となりました。
有価証券は国内債券の減少等により、前連結会計年度末比1,395億円減少し1兆8,644億円となりました。
当連結会計年度の経営成績につきましては、経常収益は、資金運用収益の増加等により、前連結会計年度比287億40百万円増加し2,512億92百万円となりました。
一方、経常費用は、その他業務費用の増加等により、前連結会計年度比241億87百万円増加し2,083億円となりました。
この結果、経常利益は前連結会計年度比45億53百万円増加し429億91百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比39億73百万円増加し303億68百万円となりました。
セグメント情報ごとの業績を示すと次のとおりであります。
a.銀行業
経常収益は前連結会計年度比254億46百万円増加し2,073億70百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比34億51百万円増加し416億68百万円となりました。
b.リース業
経常収益は前連結会計年度比14億55百万円増加し397億46百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比3億61百万円減少し16億96百万円となりました。
c.その他
経常収益は前連結会計年度比6億51百万円増加し131億69百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比28百万円減少し14億16百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加及び借用金の減少等により3,921億25百万円のマイナスとなりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の償還による収入等により776億77百万円のプラスとなりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により81億15百万円のマイナスとなりました。
以上により、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、1兆8,871億28百万円となりました。
資金運用収支は、前連結会計年度比97億69百万円増加して1,037億18百万円、信託報酬は、前連結会計年度比52百万円増加して2億6百万円、役務取引等収支は、前連結会計年度比7億77百万円増加して172億72百万円、特定取引収支は、前連結会計年度比40百万円減少して1億57百万円、その他業務収支は、前連結会計年度比83億96百万円減少して△137億35百万円となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引でありま
す。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2.資金調達費用は金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度2百万円、当連結会計年度17百万円)を控除して表
示しております。
3.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息額であります。
資金運用勘定は、平均残高が前連結会計年度比2兆431億45百万円増加して12兆9,200億92百万円となりました。利息は、前連結会計年度比152億69百万円増加して1,352億52百万円となりました。利回りは、前連結会計年度比0.05%低下して1.04%となりました。資金調達勘定は、平均残高が前連結会計年度比1,876億56百万円減少して12兆5,732億16百万円となりました。利息は、前連結会計年度比54億99百万円増加して315億34百万円となりました。利回りは、前連結会計年度比0.04%上昇して0.25%となりました。
① 国内業務部門
(注) 1.平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社の一部については、
月末毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除しております。また、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額
の平均残高(前連結会計年度10,354百万円、当連結会計年度23,014百万円)及び利息(前連結会計年度2百万円、当連結会計年度17百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
3.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息額(内書き)であります。
② 国際業務部門
(注) 1.( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息額(内書き)であります。
2.国際業務部門の外貨建取引の平均残高は月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェ
ンジ取引に適用する方式)により算出しております。
③ 合計
(注) 1.資金運用勘定は無利息預け金の平均残高を控除しております。また、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額
の平均残高(前連結会計年度10,354百万円、当連結会計年度23,014百万円)及び利息(前連結会計年度2百万円、当連結会計年度17百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
2.相殺消去額は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息額であります。
役務取引等収益は、前連結会計年度比18億91百万円増加して283億95百万円となりました。
役務取引等費用は、前連結会計年度比11億14百万円増加して111億23百万円となりました。
(注) 「国内業務部門」は連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
① 特定取引収益・費用の内訳
特定取引収益は、前連結会計年度比40百万円減少して1億57百万円となりました。
特定取引費用は、前連結会計年度比0百万円減少して当連結会計年度は該当ありません。
(注) 1.「国内業務部門」は連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引であります。
2.内訳科目はそれぞれの収益と費用を相殺し、収益が上回った場合には収益欄に、費用が上回った場合には費
用欄に、上回った純額を計上しております。
② 特定取引資産・負債の内訳(末残)
特定取引資産残高は、前連結会計年度比8百万円増加して26百万円となりました。
特定取引負債残高は、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに、該当ありません。
(注) 「国内業務部門」は連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引であります。
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1.「国内業務部門」は連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引であります。
ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2.流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3.定期性預金=定期預金+定期積金
(6)国内・国際業務部門別貸出金残高の状況
① 業種別貸出状況(末残・構成比)
(注) 「国内」とは、連結子会社であります。
② 外国政府等向け債権残高(国別)
前連結会計年度及び当連結会計年度ともに、該当ありません。
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1.「国内業務部門」は当社及び連結子会社の円建取引、「国際業務部門」は連結子会社の外貨建取引でありま
す。ただし、円建対非居住者取引等は国際業務部門に含めております。
2.「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(8)「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、肥後銀行及び鹿児島銀行の2行であります。
① 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)
(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度及び当連結会計年度の取扱残高はありません。
② 元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を、オペレーショナル・リスク相当額の算出においては標準的計測手法を、それぞれ採用しております。
連結(単体)自己資本比率(国内基準)
(単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、株式会社肥後銀行及び株式会社鹿児島銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1.破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2.危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3.要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4.正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額 (単位:億円)
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社としての業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容)
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。
〔経営成績等の状況に関する認識及び分析〕
1.連結経営成績
当社グループの連結経営成績につきましては以下のとおりです。
九州フィナンシャルグループ(連結)の損益の状況
(単位:百万円)
業務粗利益は、その他業務利益が減少したものの、資金利益が増加したことから、前連結会計年度比21億62百万円増加し1,076億19百万円となりました。
業務純益は、経費が増加したものの業務粗利益の増加等により、前連結会計年度比39億18百万円増加し264億91百万円となりました。
経常利益は、業務純益や株式等関係損益の増加等により、前連結会計年度比45億53百万円増加し429億91百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比39億73百万円増加し303億68百万円となりました。
2.子銀行における経営成績
当社グループの中核である株式会社肥後銀行(以下、肥後銀行)及び株式会社鹿児島銀行(以下、鹿児島銀行)の経営成績につきましては以下のとおりです。
子銀行(単体)の損益の状況(2025年3月期)
(単位:百万円)
(肥後銀行)
業務粗利益は、資金利益の増加等により、前年度比34億10百万円増加し491億3百万円となりました。
業務純益は、経費が増加したものの業務粗利益の増加等により、前年度比13億18百万円増加し102億7百万円となりました。
経常利益は、業務粗利益の増加等により、前年度比28億20百万円増加し221億89百万円となりました。
また、当期純利益は、前年度比20億1百万円増加し158億13百万円となりました。
(鹿児島銀行)
業務粗利益は、資金利益等は増加したものの、その他業務利益の減少等により、前年度比24億4百万円減少し485億99百万円となりました。
業務純益は、業務粗利益は減少したものの一般貸倒引当金繰入額の減少等により、前年度比24億11百万円増加し134億70百万円となりました。
経常利益は、与信費用の改善等により、前年度比6億30百万円増加し194億78百万円となりました。
また、当期純利益は、前年度比6億49百万円増加し140億15百万円となりました。
〔資本の財源及び資金の流動性〕
①資本の財源
当社グループの資本の財源の主なものは総預金(預金及び譲渡性預金)であります。
総預金は個人預金の増加等により、前連結会計年度末比1,260億円増加し10兆5,794億円となりました。
また、機動的な資金確保及び外貨資金調達のため、インターバンク市場等においてコールマネー、売現先及び債券レポ等を活用しております。
なお、2025年3月末の連結自己資本比率は、11.67%と国内基準の最低所要自己資本比率4%を大きく上回っております。
②資金の流動性
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△3,921億25百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは+776億77百万円及び財務活動によるキャッシュ・フローは△81億15百万円となった結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前年度比3,225億65百万円減少し、1兆8,871億28百万円となりました。資金の流動性につきましては、足元のキャッシュ・フローの状態は健全であり、潤沢な資金を確保しております。
連結キャッシュ・フローの状況 (単位:百万円)
③重要な資本的支出
該当事項はありません。
〔経営方針に照らした経営者による経営成績等の分析〕
当社は、第4次グループ中期経営計画(2024年4月~2027年3月)におきまして、指標目標として以下の項目を定め、計画最終年度である2027年3月期での達成を目指し、取り組んでおります。
第4次グループ中期経営計画の指標目標及び2025年3月期実績
※顧客向けサービス業務利益:貸出金平残×預貸金利回り差+役務収益等利益-経費
各項目につきましては、以下のとおりです。
(成長性)
A.貸出金平残
2025年3月期の2行合算での貸出金平残につきましては、法人及び個人向け貸出金を中心に増加し8兆9,430億円となりました。
B.預金・NCD平残
2025年3月期の2行合算での預金・NCD平残につきましては、個人預金を中心に増加し10兆5,552億円となりました。
(収益性)
A.当期純利益
2025年3月期の連結当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)につきましては、その他業務利益は減少したものの、資金利益の増加及び与信費用の改善等により、303億円となりました。
B.顧客向けサービス業務利益
2025年3月期の顧客向けサービス業務利益につきましては、経費は増加しましたが、貸出金平残の増加及び役務取引等利益の増加等により222億円となりました。
C.株主資本ROE
株主資本ROEにつきましては、連結当期純利益が増加したことにより4.5%となりました。
(効率性)
A.OHR
2025年3月期のOHRにつきましては、業務粗利益は増加したものの、経費の増加により74.9%となりました。
(健全性)
A.自己資本比率
2025年3月期の自己資本比率につきましては、有価証券の減少等によりリスク・アセットが減少したことから、11.67%となりました。10%以上を維持しており健全性を確保しております。
〔重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定〕
当社が連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「貸倒引当金の計上」であり、「第5 経理の状況」中、「1 連結財務諸表等」の「(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。