(1)経営方針
当社グループは「HOUSE TECH COMPANYとして住宅のプラットフォーマーを目指す」ことをビジョンとし、「サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす」というミッションを掲げ、「暮らしを変える、世界を変える、未来をつくる。」というスローガンのもと、企業活動を行っております。
当社グループでは、2023年8月10日に2026年6月期を最終年度とする中期経営計画を公表し、戸建プラットフォーマーを目指すべく以下の方針を掲げております。
基本方針
1.戸建プラットフォーマーへ加速化(さまざまな住宅ソリューションサービスを全国の工務店・ビルダーに
提供していく)
2.戸建住宅事業におけるエリア・顧客層・販売チャネルの拡大と利益率の改善・拡大(住宅版SPAモデルの
再構築)
3.「家」を再定義する―未来の家をつくる―(3Dプリンターハウスの開発・販売)
(2)現中期経営計画数値目標及び進捗状況
当社グループは、現中期経営計画の数値目標として、事業の成長性及び収益性を重視し、売上高、営業利益、ROEを設定しております。現中期経営計画の初年度にあたる2024年6月期の実績値等は以下のとおりです。
現中期経営計画数値目標及び進捗状況
(3)持続的な成長の実現に向けたSDGsへの取組
当社グループは2021年3月24日に当社の取り組みを明文化した「SDGs宣言」を公表しております。当社は創業以来、「住まい」を通してお客様の豊かな暮らしの実現に貢献してきました。当社は、持続可能な開発目標であるSDGsの趣旨に賛同し、企業としての利益創出の最大化と社会的課題の解決の両方を追求してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
住宅業界におきましては、戸建住宅需要の低下により企業間の競争が激化しております。さらにインフレや円安の影響による住宅資材価格の高騰、人件費の上昇などにより利益に影響を及ぼすことも考えられます。
このような事業環境のもと、当社グループではハウステックカンパニーとして、「マイホームロボ事業」や「IPライセンス事業」などの戸建プラットフォーム事業の事業拡大を推進し、収益構造の多角化を目指してまいります。さらに3Dプリンター建設市場の市場規模の急速な拡大に対応するため、3Dプリンターハウス事業への積極的な投資を促進いたします。また、当社グループ全体で気候変動リスクへの取り組みを促進し、脱炭素社会に向け行動してまいります。具体的な課題に対しての取り組みは以下の通りです。
① 住宅資材高騰に対する対応
世界的なインフレや円安により住宅資材価格が高騰していますが、仕入れの安定及び供給の確保を最優先に取り組んでまいります。そのため仕入れルートの複数化に努めリスクヘッジを進めます。
② デジタルマーケティングの強化
いわゆるアフターコロナにおけるライフスタイルの変化に対応すべく、デジタル分野への投資を積極的に進めてまいります。デジタル集客の多様化を進めるべく、特にYouTubeチャンネルの育成・投資を推進し、一戸建て・新築・平屋・注文住宅等のカテゴリーでのトップチャンネルを目指してまいります。
③ 収益の安定化・多様化への取り組み
当社グループは戸建住宅事業をメインに事業を行っておりますが、今後はそこで培ったノウハウを生かしサブスクリプション型工務店支援サービス「マイホームロボ」事業や異業種コラボによるIPライセンス事業などに取り組んでまいります。これにより収益の安定化・多角化を目指します。
④ 大工職人や協力施工業者の減少への対応
大工職人や協力施工業者の数は年々減少しており、今後不足することが予想されます。そこで当社では施工能力の向上を図るため各業種の自社内製化を進めてまいります。
⑤ 気候変動への取り組み
カーボンニュートラルに向けて当社グループではZEHの推進及びカーボンフットプリントへの取り組みを行ってまいります。
⑥3Dプリンターハウス事業への積極投資
3Dプリンター建設市場の急拡大に対応するため、当社グループでは3Dプリンターハウス事業へ積極的に投資し、研究開発及び特許取得を推進してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
気候変動への取り組みとTCFDへの対応として、当社は、CO2排出量削減による脱炭素社会の実現に寄与するため、2022年9月にカーボンニュートラル宣言及び達成のための取り組みについて発表し、同時にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。
今後もTCFDの考え方に基づいてシナリオ分析を行い、事業活動に与えるリスクと機会を抽出し、経営戦略に盛り込み、財務への影響などを検証してまいります。
当社は、気候変動を含むSDGs達成を重要課題と認識し、2021年3月のSDGs宣言に伴い、SDGs委員会を設立しました。カーボンニュートラル宣言後の2023年1月にサステナブル推進室を設立し、SDGs委員会をサステナブル推進委員会へ名称変更し、代表取締役社長も含め各部署の担当者と定期的に取り組み状況について審議しています。
(2)戦略
当社はカーボンニュートラル宣言に基づき、CO2排出量削減に取り組んでまいりました。2020年度のCO2排出量はグループ合計70,056t-CO2(Scope1:492t-CO2、Scope2:147t-CO2、Scope3:69,417t-CO2)であり、Scope1については2030年度までに実質100%削減、Scope2については2025年度までに実質100%削減、Scope3については2050年度までに実質50%削減(2020年度比、対売上比)という目標を設定しました。
2023年度のCO2排出量につきましては、グループ合計63,645t-CO2(Scope1:626t-CO2、Scope2:435t-CO2、Scope3:62,583t-CO2)となっており、合計で2020年度比90.8%と削減が図れており、対売上比におきましても削減(2020年度比48.5%)が図れております。一方Scope2におきましては、2023年8月よりグループ化した幸の国木材工業株式会社の電力の再エネ化が図れていないため、2020年度比296%と増加しており、早急に再エネ由来電力への切り替えを行う予定です。
当初の目標達成のため、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した「4℃シナリオ(注1)」、「2℃シナリオ(注2)」、さらに2018年の特別報告における「1.5℃シナリオ(注3)」を考慮し、下記の通り事業活動に与える気候関連リスク(移行リスクおよび物理リスク)と機会を抽出し、対応してまいります。
(注1)4℃シナリオ:産業革命前と比較して4℃前後上昇するシナリオ
(注2)2℃シナリオ:産業革命前と比較して21世紀末に世界平均気温の上昇幅が2℃未満に抑えられるシナリオ
(注3)1.5℃シナリオ:産業革命前と比較して21世紀末に世界平均気温の上昇幅が1.5℃未満に抑えられるシナリオ
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社は、SDGs達成を目標にしておりますが、その達成のために以下の経営理念や人材育成方針等を掲げております。
当社グループは経営理念として「何事においてもお客様を第一と考え、世界中に感動を与えるものを発信し、お客様の夢の実現に貢献していくこと」を目指しており、その実現のために以下の項目を経営ビジョン等として掲げております。また、女性・外国人・中途採用者等の多様な人材の活躍が会社の持続的成長及び企業価値の向上に不可欠であるとの認識のもと、積極的な採用活動に取り組んでおります。
VISION
HOUSE TECH COMPANYとして住宅のプラットフォーマーを目指す
MISSION
サステナブル&テクノロジーで住まいにイノベーションを起こす
SLOGAN
暮らしを変える、世界を変える、未来をつくる
当社が事業を行う戸建住宅市場は、新型コロナウイルス感染拡大の余波によるウッドショックによる木材価格高騰を皮切りに、自然災害やサプライチェーンのひっ迫など、世界的な外部環境の目まぐるしい変化が生じております。木材以外の建築用原材料も例外ではなく、価格は全般的に高騰し、インフレ圧力の上昇が続くなど先行きの不透明な状態が続いており、企業にはその変化への対応が求められております。また、当社としても経営ビジョンに掲げる「戸建プラットフォーマー」を目指すべく、今後はそこで培ったノウハウを生かしサブスクリプション型工務店支援サービス「マイホームロボ」事業や異業種コラボによるIPライセンス事業などに取り組んでおります。
そのような中、当社として、最大の経営資源である人材については、新たな事業を推進する経験を有し、かつ市場の変化に柔軟に対応できる人材の確保が重要であります。そのために、これまでは新卒社員を中心に行っていた採用活動について、中途採用者の比率を拡大させることで人材の確保に努めております。また、既存事業の成長基盤を強固なものとするためには、人材育成が重要でありますので、当社社員のキャリア形成を促進するため、ジョブ型雇用への移行を進めております。
さらに、当社の中長期的な成長や事業領域の拡大を支える高度専門人材の確保及び次世代の経営を担う人材の育成につなげられるよう、当社取締役会でも定期的に議論の場を設けております。
(4)リスク管理
当社はサステナブル推進委員会で、上記「(2)戦略」に記載した気候関連のリスクを管理しています。リスク管理のプロセスは、リスクの識別・評価を行い、発生頻度やインパクトから優先順位付けした上で、回避・軽減・移転・保有などの対策を決定し、進捗管理を行います。
<移行リスク(脱炭素社会への移行に伴い発生するリスク)>
<物理リスク(気候変動による災害など物理的影響に関連するリスク)>
(注4)CP:Carbon Pricingの略。炭素税や排出量取引により炭素に価格付けを行うこと。
(注5)排出される二酸化炭素などの温室効果ガスを、他の場所での温室効果ガス削減・吸収活動で埋め合わせるという
考え方。
(注6)Carbon Foot Printの略。商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体
を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して表示する仕組み。
(注7)Life Cycle Assessmentの略。商品やサービスの原料調達から、生産・流通、さらには廃棄・リサイクルに至る
までの一連のライフサイクルにおける環境負荷を、定量的に算定するための手法
当社の環境活動は、事業活動におけるCO2排出量において、Scope1は2030年度までに100%削減(2020年度比)、Scope2は2025年度までに100%削減(2020年度比)、Scope3は2050年度までに50%削減(2020年度比、対売上比)という目標を掲げております。
これらの目標達成のために、28期においては新築施工物件の太陽光パネル設置率75%を目標とし(26期設置率72.6%)、Scope3を削減してまいります。
また、環境に配慮した建築資材の使用などを検討し、CFPの削減を図ってまいります。
Scope1:自社の燃料使用に伴う直接排出(主にガソリン)
Scope2:他社から共有されたエネルギーの使用に伴う間接排出(主に電気)
Scope3:商品・サービスの購入やサプライチェーン全体の間接排出
(6)人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社及び当社グループにおける人材育成及び多様性の確保に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は、以下のとおりとなります。
なお、連結グループに属する全ての会社による集計が困難又は妥当ではない指標については、一部の会社を集計の対象から除外しております。
(注)集計対象となる会社の範囲については、以下のとおりとなります。
A・・・当社
B・・・当社及び連結対象子会社。但し、障がい者雇用率は、従業員数を踏まえ当社のみを対象とする
当社グループの事業展開上のリスク要因となり、かつ投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主な事項は、次のとおりであります。
いずれも当社の判断により積極的に開示するものであり、一部リスク情報に該当しない、または当社グループが必ずしもリスクとして認識していない事項も含まれております。
なお、将来に関する事項については、当連結会計年度末現在における当社独自の判断によるものであります。
当社グループは熊本県、福岡県、佐賀県、大分県、千葉県、神奈川県の一部地域において事業展開をしております。そのため当該地域の経済状況、金利動向、地価の動向、住宅需給の動向、雇用情勢等が、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが行う戸建住宅事業は、年末及び当連結会計年度末に引渡しが集中する傾向にあります。
そのため当社では、12月、6月に業績が偏重する可能性があります。
当社の各四半期連結会計期間別の業績推移は、次のとおりであります。
当社グループは、住宅の建築工事を外部業者に発注しております。外注先は、その経営状態、技術力、評判及び反社会的勢力該当の有無などを調査して選定しております。今後、営業地域の拡大や受注件数の増加により、外注先を適時に確保できなかった場合、または外注先の倒産等に伴う代替業者との調整による工事遅延等が発生した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは高額になりがちな注文住宅を、お客様にとって魅力ある価格で提供するため、原材料・資材の仕入先を複数確保し、仕入価格の抑制に努めております。しかしながら、世界的な木材需要の高まりを受けた木材価格の高騰(ウッドショック)をはじめとした原材料・資材の需要増加、または価格の高騰に伴い、それらの仕入価格が上昇した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは建築工事現場では、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を推進しております。具体的には、社内に安全衛生委員会を設置し、日常的な安全教育等の啓発活動を実施するほか、建築部工事管理課による安全パトロールの実施等、事故を未然に防止するための安全管理を徹底しております。しかしながら、何らかの事由により重大な労働災害が発生した場合、当社グループの労働安全衛生管理体制に対しての信用が損なわれ、受注活動等に制約を受けるなど、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、開発用地の仕入れ、物件の早期販売に取り組んでおります。しかしながら、急激な景気の悪化、金利の上昇、不動産関連税制の改廃の影響により、販売が計画どおりに進まなかった場合には、完成在庫が滞留し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2019年7月4日)の適用により、正味売却価額が取得価額よりも下落し、販売用不動産、仕掛販売用不動産の評価損が計上された場合、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主に熊本県、福岡県及び神奈川県で用地を取得しております。同地域で競業他社との用地取得競争が激化した場合、同地域において優良な用地を計画どおりに取得できなかった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではマイホームロボ事業やIPライセンス事業のサービスを展開していますが、当初の計画通り進まない場合には当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが行う戸建住宅事業は、火災・地震・台風等大規模な自然災害の影響を受けやすい事業といえます。災害の状況によっては、建物の点検や応急措置などの初動活動や被災した建築現場の修復に加え、支援活動等により多額の臨時費用の発生や建築現場の資材・部材等の確保が困難になる可能性があります。このため万一に備えて各種保険への加入や耐震性能の高い住宅仕様の研究・開発に努めておりますが、予測を超えた事態が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症等の感染症、伝染病の流行等による不測の事態が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
住宅業界は、事業を行うための許認可など新規参入に係る障壁はあるものの、大手ハウスメーカーから個人事業主に至るまで大小さまざまな競合他社が多数存在しており、競合は一段と激化する傾向にあります。当社グループでは、徹底した管理に基づくコスト削減による原資をもとに品質改善を行うとともに、お客様のニーズに沿った商品開発を積極的に行うなど競合対策を講じておりますが、競合他社の動向によっては、事業計画の遂行に問題が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが行う戸建住宅事業は、建築基準法をはじめ、建設業法、宅地建物取引業法、都市計画法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、建築士法、労働安全衛生法、消費者契約法、景品表示法など多くの法律、法令や自治体の定める条例等による法規制を受けております。当社では、法的規制の遵守を徹底しており、現時点において当該許認可等が取消しとなる事由は発生しておりませんが、将来において業者規制の強化や費用負担を招きかねない法令等の大幅改正や、何らかの理由により免許、登録、許可が取り消し等になった場合には、当社の事業活動が大幅に制約されることとなり、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(株式会社Lib Work)
(タクエーホーム株式会社)
当社グループが行う戸建住宅事業は、住宅の品質確保の促進等に関する法律により新築住宅の構造上の主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分は10年の瑕疵担保責任を負うことを義務づけられています。
当社グループは、同法に基づいて2008年10月より、株式会社日本住宅保証検査機構の住宅瑕疵担保責任保険「JIOわが家の保険」に、タクエーホーム株式会社は、2014年11月17日より、株式会社ハウスジーメンの住宅瑕疵担保責任保険に加入しております。当該保険の加入に当たっては、同機構が定める技術的基準に適合していることが要件であり、同社が指定する第三者機関による現場検査を受け、適合証明(性能評価)を受ける必要があります。このため当社グループは、設計、施工、監理の充実をはかり、品質に万全を期すとともに、引渡後のアフターサービスに関しても誠実な対応を心がけております。しかし、当社グループの住宅の品質に重大な瑕疵や不備が認められた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、ネットの会員登録も含む住宅見学会来場者リストや住宅購入顧客等の個人情報を保有しております。これらの情報管理については、「個人情報の保護に関する法律」に基づき社内規程の整備、管理体制の構築、外部からの侵入防止対策の実施等を講じるとともに、従業員等に対し個人情報保護に係る啓発活動を実施し、その漏洩や不正使用の未然防止に努めております。しかしながら、人為的なミスや何らかの不正な方法等により当社グループが保有する個人情報が漏洩した場合には、当社グループの信用力の低下や損害賠償の請求等によって業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループには、現段階において業績に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟の事実や顧客との大きなトラブルはありません。しかしながら、当社グループが請け負う住宅、不動産において、瑕疵等の発生、または工事期間中に近隣からクレーム等が発生した場合、これらに起因する訴訟その他の請求が発生する可能性があります。当社グループは、施工に関して品質管理の徹底と近隣への配慮に努めておりますが、訴訟等が発生した場合には、これに対応するために多額の費用が発生するとともに、当社グループの信用を大きく毀損する恐れもあり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの代表取締役社長である瀬口力は、最高経営責任者として経営方針や戦略の決定、事業推進において中心的役割を果たしております。同氏に過度に依存しない経営体制の構築のため、職務権限の委譲、会議体の整備や人員の採用等により社内組織の強化に努めておりますが、同氏が何らかの理由により当社グループの経営に携わることが困難になった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが行う戸建住宅事業には、広範囲の専門的知識や資格を有した人材が不可欠であります。したがって事業拡大を図るうえで、優秀な人材を適切な時期に確保するとともに、その人材の育成に努める必要がありますが、これらが不調に終わった場合には当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、戸建住宅事業において自社ポータルサイトやYouTubeチャンネルを通じて効率的に集客を行っております。通信障害、コンピュータウイルス感染、電力供給の状況等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2020年7月1日付でタクエーホーム株式会社の全株式を、また2023年7月3日付で幸の国木材工業株式会社の全株式をそれぞれ取得し、子会社といたしました。企業買収に伴い発生したのれんを連結貸借対照表に計上しております。当該のれんについては、将来の収益力を適正に反映しているものと判断していますが、事業の展開等が計画通りに進まない場合、会計基準に基づいたのれんの減損処理を行う必要が生じ、当社グループ事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、世界的なインフレや地政学的リスクの影響を受けつつも、緩やかな回復基調を示しました。特に観光業の復調や輸出の増加が経済成長を支え、国内消費が徐々に持ち直しの傾向にある一方で、記録的な円安水準や物価高による原材料価格の高止まりなどコスト負担の増加が景況感を下押しする要因となり、景気は足踏みする状態が続きました。住宅業界におきましては、原材料価格の高騰から弱含んでおります。国土交通省発表の2023年7月から2024年6月までの新設着工数(全国の持家)は216,164戸(前年比10%減)となりました。
このような環境の中、当社グループは中期経営計画「NEXT STAGE 2026」を策定し、新たなステージに向けた3つの基本方針とKPIを定め、邁進しました。まず基本方針の「戸建プラットフォーマーへ加速化」についてですが、「マイホームロボ」と「IPライセンス」の2事業を推進しました。「マイホームロボ」は、AI(人工知能)の急速な進化に伴うシステム開発のバージョンアップを優先しておりますが、IPライセンスは計画通りの業績進捗となりました。今後はさらなる拡大を目指してまいります。続いて「戸建住宅事業におけるエリア・顧客層・販売チャネルの拡大と利益率の改善」についてですが、デジタル集客は前年比147%と好調に推移し、効率的な集客と広告宣伝費の削減に大きく貢献しました。ファン化マーケティングであるYouTubeチャンネル「Lib Work ch」は登録者数9万人を突破し、当初KPIとしていた10万人登録が目前となりました。特にショート動画及びTikTokが堅調であり、視聴者からの反響にて建売物件の販売に成功しております。また、オウンドメディア「リブタイムズ」は、Yahoo!Japanトップページのタイムラインに加えて、さらに若年層から強く支持されているLINE NEWSへの掲載連携も開始され、より多くの住宅購入検討者に向けた情報配信を実現しました。続いてエリア拡大については、国内最大級の敷地面積を誇る「イオンモール幕張新都心」に異業種コラボレーションしたAfternoon Tea HOUSEのモデルハウス出店を行ったほか、熊本県最大級の「イオンモール熊本」へ出店を決定しました。今後も全国のショッピングモールへの出店を進め、異業種コラボを活用した顧客層の拡大と来店したお客様が楽しめる体験型のモデルハウス展開を進めてまいります。最後に、「3Dプリンターハウスの開発・販売」については、国内初の土を主原料とした3Dプリンターモデルハウス「Lib Earth House “modelA”」を完成させ、一般公開しました。建設用3Dプリンターを所有し、革新的な住宅商品を開発しているハウスメーカーは当社だけであり、強い差別化になると考えております。今後はLDKやトイレ、バス、居室などを設けた約100㎡の本格的モデルハウスを完成させ、一般発売へと加速させます。
依然インフレによる製造原価の高止まりが継続しておりますが、幸の国木材工業株式会社の買収による木材原価の削減や工事現場を取り巻くDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が貢献し、原価が削減され利益率改善に寄与しました。また事業成長のための積極的な開発投資、エリア拡大のための設備投資や人材採用等により、販売費及び一般管理費は膨らんでいるものの、前述の効率的なデジタル戦略による広告宣伝費の削減や異業種コラボ商品での明確な差別化による販売価格の転嫁も奏功し、V字回復を実現しました。
この結果、当連結会計年度におきましては、売上高は15,435,172千円(前年同期比8.8%増)、営業利益は495,802千円(前年同期比65.7%増)、経常利益は598,350千円(前年同期比90.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は387,574千円(前年同期比123.3%増)となりました。
なお、当社グループは戸建住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,886,110千円増加し、11,741,338千円となりました。
流動資産については、前連結会計年度末に比べ2,299,032千円増加し、9,744,741千円となりました。主な内
訳は、仕掛販売用不動産の減少928,687千円があった一方で、現金及び預金の増加2,453,113千円、販売用不動
産の増加629,162千円によるものであります。
また、固定資産については、展示場新設等、M&Aによる資産の取得により前連結会計年度末に比べ
587,077千円増加し、1,996,596千円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,630,707千円増加し、7,170,737千円となりました。
流動負債については、前連結会計年度末に比べ321,533千円増加し、5,178,286千円となり、主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金の増加149,659千円、未払法人税等の増加187,011千円によるものであります。
また、固定負債については、前連結会計年度末に比べ1,309,174千円増加し、1,992,451千円となりました。主な内訳は、長期借入金の増加1,253,309千円であります。
当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ1,255,402千円増加し、4,570,600千円となり
ました。主な要因は、公募増資による資本金及び資本準備金の増加613,468千円、自己株式処分による自己株式
の減少392,904千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加387,574千円、剰余金の配
当による利益剰余金の減少145,332千円によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して2,475,113千円増加し、3,778,388千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,102,950千円(前年同期は1,559,862千円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益613,772千円の計上、棚卸資産の減少367,198千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は923,324千円(前年同期は334,168千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出338,691千円、連結の範囲変更を伴う子会社株式の取得による支出743,431千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は2,290,682千円(前年同期は903,447千円の獲得)となりました。これは短期借入れによる収入3,019,530千円、短期借入金の返済による支出3,084,160千円、長期借入れによる収入1,650,000千円、長期借入金の返済による支出247,032千円、株式の発行による収入603,201千円、自己株式の処分による収入499,625千円、配当金の支払額145,401千円等があったことによるものであります。
当社グループは、注文住宅及び建売住宅の企画、設計、販売、施工、監理を主な事業内容とする戸建住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業部門別に記載しております。
当社が営む事業では生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
ハ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度においては、記録的な円安水準や物価高の影響で景気は足踏みする状態が続いており、住宅業界においても弱含んでいる一方で、異業種コラボ商品での明確な差別化による販売価格の転嫁も功を奏し、売上高は15,435,172千円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度においては、依然インフレによる資材価格高騰の影響を受けておりますが、幸の国木材工業株式会社の買収による木材原価の削減や、工事現場を取り巻くDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が貢献し、原価が削減され利益率改善に寄与しました。また、前連結会計年度に引き続きエリア拡大のため設備投資や人材投資を積極的に実施しました。以上の結果、売上原価は、11,716,640千円、販売費及び一般管理費は3,222,729千円となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は495,802千円となりました。
(経常利益)
営業外収益は、受取手数料及び助成金収入などにより143,505千円となりました。また営業外費用は、支払利息及び公募増資による新株の発行に伴う株式交付費の計上などにより40,957千円となりました。この結果、当連結会計年度の経常利益は598,350千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、387,574千円となりました。
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループにおける資金需要の主なものは、販売用不動産の取得及び一般管理費などの運転資金、並びに常設展示場などの設備投資資金、その他新規事業投資資金があります。
当社グループは現在、これらの資金需要につきましては主に内部資金により充当しておりますが、資金の適正保有水準を維持するため、内部資金に加えて金融機関からの有利子負債による調達も一部行っております。当連結会計年度におきましては、46.6億円を借入金により調達した一方で、借入金33.3億円の返済を行いました。
また、当社グループは必要資金の安定的かつ機動的な調達を行うため取引金融機関と41億円の当座貸越契約を締結しております。
当社グループでは、住宅性能やデザイン性の向上による高品質高付加価値の住宅提供を行い収益の安定的な成長を目指すとともに、その基盤として一定の財務安全性の維持に努めてまいります。そのため、「自己資本当期純利益率」の向上を目標とし、派生する指標として、収益性の観点から「売上高経常利益率」、「棚卸資産回転期間」、財務安全性の観点から「自己資本比率」を重要な経営指標としております。当連結会計年度における「自己資本当期純利益率」は9.8%、「売上高経常利益率」は3.9%、「棚卸資産回転期間」は170日、「自己資本比率」は38.9%となりました。
今後の見通しにつきましては、日本銀行による追加利上げの決定を受け、住宅ローン金利引上げが懸念されます。そのため、戸建住宅市場の需給バランスを注視する必要があります。加えて建築資材を含めた全国的な物価高や人件費は、今後も継続するものと考えられます。
このような環境のなか、当社グループとしては、戸建住宅事業の推進に加えて、「中期経営計画NEXTSTAGE 2026」に掲げた「戸建プラットフォーマー」としての地位を確立することで、収益基盤の拡大化と安定化を進めてまいります。厳しい外部環境下においても当社グループの強みであるデジタルマーケティングは好調であり、集客数は増加を続けております。また、2023年7月に製材加工販売会社である幸の国木材工業株式会社を子会社化したことで、木材の安定供給を受けながら製造原価の削減を図りつつ販売費及び一般管理費の削減を行うことで、利益が確保できる体制を構築してきました。加えて、「戸建プラットフォーマー」としての事業である、設計プランの初期提案に特化した営業支援のサブスクリプションサービス「マイホームロボ」や、IP ライセンスサービス「niko and ... EDIT HOUSE」を全国の工務店・ビルダーに提供し、着実に契約加盟店を増やしております。
上記により、当社グループの連結業績予想は、売上高18,000百万円(前連結会計年度比16.6%増)、営業利益800百万円(同61.4%増)、経常利益810百万円(同35.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益440百万円(同13.5%増)を見込んでおります。
なお、当社は株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題の一つであると考えており、中長期的な事業展開に備えた内部留保の充実を図るとともに、安定的な配当の実施に努めていくことを基本方針としております。次期の1株当たり配当金は、普通配当1.6円を四半期毎に予定しており、年間配当は6.4円を予定しております。
該当事項はありません。
当社は、戸建住宅事業を生業としておりましたが、次世代の建設技術として注目されている「3Dプリンティング建設」を新規事業として推進することを決定いたしました。この技術は、3DCADなどによりデジタルデータで設計した建物を、建設用3Dプリンターを活用し、マテリアルを積層しながらダイナミックに立体造形するため、従来の建設手法に比べて大幅なコスト削減や工期短縮、そして環境負荷の軽減が可能であります。また日本をはじめ世界中で熟練工をはじめとした労働力不足が大きな社会的課題となっており、その解決策として世界中で注目を集めています。
世界の3Dプリンティング建設市場は、現在急速に拡大しており、2030年には100兆円以上の市場規模への成長が見込まれています。建築現場での立体造成が可能であることから「ゼロキロメートルハウス」とも呼ばれ、大幅な環境負荷の低減、省力化が可能であることに加え、意匠性や自由度の高いデザインが可能である点から、住宅をはじめ商業施設、さらには災害復興やインフラ整備など多岐にわたる分野での応用が期待されています。
当社が目指すのは、3Dプリンティング建設技術を活用した今までにない革新的な住宅の提供です。まずは「土」を主原料とした国内初の3Dプリンターハウス「Lib Earth House“modelA”」を2024年1月に完成させました。土は世界中どこでも入手可能な自然素材であり、解体後は自然に還すことができるため、産業廃棄物を大幅に減らすことができ、持続可能な世の中の実現に貢献できるものと考えます。
当連結会計年度の研究開発費は