第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「クレステックは企業として、社会に通用する企業を目指す。(情報の創造と提供により安心して暮らせる社会に貢献する)」、「クレステックの社員は、社会人として通用する人間を目指す。(グローバル社会から尊敬される人間を目指す)」を経営理念に揚げ、「情報創造企業」として、世界の人とヒト、人とモノを繋ぐコミュニケーションを創造することで、伝えたい情報にカタチを与え、世界中の人々の心に感動と喜びを創出し、楽しく安心して暮らせる社会の構築を目指します。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、新中期経営計画の基本方針に基づき、市場や顧客環境に依存せず、悠久の持続的成長を実現するための事業及び企業基盤の構築を図るため、以下の経営重点戦略に取り組んでまいります。

 ① 事業強化戦略

  1)グローバルネットワークの強化(事業分野、事業領域の拡大)

  2)川上・川下業務の強化及び深化

  3)創造性の高い事業への転換

 ② 体制強化戦略

  1)コーポレート・ガバナンスの強化

  2)人材育成とES(Employee Satisfaction)向上

  3)業務改善と生産性向上

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2017年8月31日に公表いたしました2020年6月期を最終年度とする新中期経営計画「CR Vision 2020」において、「成長に向けた企業基盤の確立」を基本方針とし、連結売上高180.0億円、連結営業利益10.8億円、連結営業利益率6.0%を経営数値目標として設定しております。

 しかしながら、2019年8月9日に公表いたしました「中期経営計画の数値目標修正に関するお知らせ」のとおり、米中貿易摩擦の影響による世界的な景気の減速傾向や消費停滞などによる生産活動の低下など外部環境の変化を踏まえ、中期経営計画の最終年度(2020年6月期)の数値目標を連結売上高180.1億円、連結営業利益10.0億円、連結営業利益率5.6%へ修正しております。

 

(4)経営環境

 当社グループをとりまく環境はリーマンショックを挟んで大きく変化しております。リーマンショック前は、デジタル製品の市場拡大や、日系メーカーのグローバル展開による販売対象国の増加など、製品ラインナップ及び、生産量も増え、結果として当社グループの取り扱うマニュアルやパッケージの印刷物、梱包材などの販売量が増加しました。

 しかしながらリーマンショック後は、世界景気の減退、円高やグローバルな競争環境の激化による顧客からのコストダウン要請、更にスマートフォン登場後はデジタル製品のスマートフォンへの集約化による製品ラインナップや生産量の減少が進みました。同時に継続的なペーパーレス化の進行もありマニュアルのページ数減少やデータ化が進展しました。このような市場環境により、特に一般消費者向けの電器メーカーへの販売量が大きく減少しました。

 このような環境の中、当社グループは、多品種小ロット対応を得意としたグローバルネットワーク体制を持つ企業グループとして、顧客からの日本基準の高い品質管理・コストダウン要請に応えるべく、スペシャリストの育成や工程改善などにより高い品質管理体制・価格競争力を培ってきました。

 これからは、こうした過去の実績に基づいた顧客からの信用と信頼を以て、以下に掲げる当社グループの経営の基本方針に基づき、対処すべき課題に全力で取り組んでまいります。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

① グローバルネットワークを活かした顧客の拡大

 当社グループは、デジタル家電・複合機・輸送機器など日系メーカーが生産拠点を海外にシフトするに際し、ともにグローバル拠点を展開してきた実績があります。この海外進出によって、日系メーカーと長年に亘る取引を行い、更なる信用を獲得してきたと考えています。

 これまではデジタル製品を中心とした日系メーカーとの取引を主としておりましたが、今後はこのような取引実績を背景に、グローバルネットワークを活かし海外メーカーや、既に取引している医薬品・医療機器メーカー、生活用品メーカーなど新たな事業分野(業種)の取引拡大を更に進め、持続的に成長が可能な事業のポートフォリオを、他社に先立って確立していくことを目指します。

 

② 顧客に対するグローバルサポート体制の強化

 当社グループは、マニュアルの原稿作成やデータ作成を日本国内で行い、印刷・製造工程を顧客の海外拠点の近くで行うグローバルサポート体制を構築しておりますが、業界環境の変化に伴い、現在ではマニュアル制作、印刷・製造の受注だけでなく、周辺業務として梱包材やプラスチック材などの取引も拡大しております。今後は上記のように、顧客のニーズに沿ったサポートを徹底していくことを目的として、サプライチェーンの川上である市場調査や販促プロモーションなどの業務から川下である製品販売後のユーザーサポート業務までグローバル体制の中で一気通貫でサービス出来る体制を更に強化してまいります。また、グローバル化の進行に伴って市場規模が拡大している翻訳サービスにもより一層注力してまいります。

 

③ 多品種小ロットの対応

 当社グループは、経済性が低く大手印刷業者では取り扱わない多品種小ロットの印刷発注を効率的にオペレーションする体制を築いており、少量の製品を取り扱う顧客やJIT(ジャスト・イン・タイム)で生産体制を確立している顧客にとって貴重な戦力として着実に進展してきました。

 今後更に市場の要求が多様化する中、地域やユーザーごとに対応したドキュメント提供が重要となってきます。このような市場ニーズに合った多品種小ロットの発注に対応する体制を構築することによって、大手印刷業者がオペレーションできない取引を獲得し、サプライチェーンの一角として顧客に必要とされるよう事業を展開してまいります。

 

④ 専門的な技術の確立と人材の育成

 当社グループの強みはマニュアルの原稿作成から翻訳・データ作成、更に多品種小ロットの印刷受注に対応できるグローバルでのサポート体制と考えておりますが、それを支える技術の確立と人材の育成は経営の最重要課題のひとつと考えております。

 現在、自動車から家電など各製品分野に対応できるテクニカルライターや世界各国語への翻訳展開できる翻訳ディレクターなど専門的な技術の確立のために、製品やサービスの仕様説明を扱う専門の団体(一般財団法人)テクニカルコミュニケーター協会(JTCA)、産業翻訳の業界団体である(一般財団法人)翻訳連盟、多言語翻訳の標準的な規格を策定するGALA標準規格イニシアチブ(※)などに加入し、業界ごとの人材育成に努めています。更に現場力強化のための海外研修やJTCA主催のジャパンマニュアルアワード、日本包装協会主催の日本パッケージングコンテストへの応募など様々な取組みを実施することで、当社グループの体制を更に強化できるよう努力しております。

 

※ GALA(Globalization and Localization Association)標準規格イニシアチブ:多言語翻訳の標準規格を策定し、普及を促進するための公的な試み

 

⑤ 国内での新規ビジネス展開

 国内においては、既存のマニュアル制作の市場規模が縮小しており、今後もこのような傾向が継続すると予想されることから、次世代マニュアル(組込みマニュアル、タブレット端末、IoT(※1)での情報提供サービス等)、国際規格対応サポート(CEマーキング(※2)等)、“対話型AI”を使用した革新的なソリューション提供、スマートグラスなど新メディアを活用した情報提供など、既存事業でのノウハウや人的資産を活用して川上であるマーケティング・サポートビジネスやコンサルビジネスなどへの事業領域の拡大に取り組んでまいります。

※1 IoT(Internet of Things):コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと

※2 CEマーキング:商品が全てのEU加盟国の基準を満たすものに付けられるマークで、EEA(欧州経済領域)やトルコ、スイスで販売する際には取得が必要となる

 

⑥ 株主との対話・株主還元

 当社グループでは、株主の皆様との対話を通じた企業価値の向上を目指しており、株主の皆様に有益な企業情報の発信やIR活動を積極的に推進していく方針です。この対話を通じて、経営方針や経営戦略についてもより分かりやすい説明を目指し、株主の皆様と当社グループとの建設的な関係を築いていきたいと考えております。

 こうした方針を前提に、株主還元の内容や趣旨説明についても経営の最重要課題のひとつとして認識しており、将来の事業展開と経営基盤の強化のために必要な内部留保は残しつつ、充実した株主還元を行うことが重要であると考えております詳しくは「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 

(6)株式会社の支配に関する基本方針について

 当社では、持続的な成長を継続させ、企業価値を向上させることを経営の最重要課題と認識しており、現段階では買収防衛策の導入予定はありません。

 

 

2【事業等のリスク】

 本報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 また、当社グループとして、必ずしも事業遂行上のリスクとは考えていない事項につきましても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から開示をしております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)景気変動によるリスク

 当社グループを含めたBtoB(企業間の商取引)をメインビジネスとした会社の業績は、景気の影響を受け易い傾向にあります。当社グループは、サービス内容の多様化や、取引顧客の多様化、サービス提供地域の拡大を図り、景気の影響を受けにくい事業構造の形成に努力しておりますが、顧客が景気悪化に伴い事業の縮小・製造拠点の撤廃・統廃合などの事業再編を行うことや、製品開発の縮小や先送り・遅れなどで、当社グループが提供するサービスの利用が縮小された場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)主要顧客である日系メーカーのグローバルな製造拠点の移転リスク

 当社グループの売上高は、国内のみならず海外においてもそのほとんどを日系メーカーが占めており、当社グループの海外現地法人の主要顧客となっています。今後、主要顧客たる日系メーカーがグローバルな生産活動の再編に伴い、製造拠点を移転した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)ペーパーレス化の影響

 近年、コンシューマー向けデジタル製品を中心に取扱説明書といったマニュアルのペーパーレス化が進み、また、デジタル製品そのものの市場の縮小を受け、同製品向け販売が大きく減少しました。当社グループは、グローバルネットワークの活用などにより、ペーパーレス化の影響を相対的に受けにくい医薬品・医療機器、生活用品メーカーや輸送機器メーカーとの取引拡大や梱包関連のビジネス拡大に努めているものの、現在は複合機やプリンターなどオフィス向け製品の情報機器メーカーとの取引も多いことから、今後、更にオフィスでのペーパーレス化が進み、複合機そのものの市場が縮小した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)仕入価格変動リスク

 当社グループは、海外では主に紙製品(取扱説明書、化粧箱、ラベル等)を取り扱っており、その原材料である紙の価格の変動により、仕入価格が影響を受けます。今後、この仕入価格が上昇し、直ぐに製品への価格転嫁ができなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)為替変動リスク

 当社グループの当連結会計年度の全売上高のうち、海外での売上高が約70%を占めているため、為替レートの変動による為替換算後の金額に影響を受けます。今後、円高もしくは円安に進行した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)有利子負債残高に関するリスク

 当社グループの当連結会計年度末の有利子負債残高(借入金、リース債務の合計額)は5,574百万円と総資産の約45%を占めております。当社グループは、原則、変動金利で借入を行っているため、今後、市場金利の上昇に伴い金融費用が増加した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)カントリーリスク

 当社グループの当連結会計年度の全売上高のうち、中国及び東南アジア/南アジアでの売上高が約62%を占めております。今後、これらの国で法改正や人件費高騰、外交問題などの要因により、顧客の撤退や生産縮小などが行われると、当社グループも影響を受けます。当社グループでは、多くの国に進出し、その影響を分散する事でリスクを縮小する事業構造を構築しておりますが、カントリーリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)製品の品質にかかるリスク

 当社グループは、デジタル製品や家電、輸送機器などの取扱説明書の制作・編集・印刷や、梱包材などの供給を行っております。当社グループは、グループ全体を統括する社長直轄の品質保証室を設置するとともに、各拠点にも品質担当者を配置することで、継続的に品質の向上・改善を図り、顧客のニーズに応じ適時適切な対応を図る体制を構築しております。しかしながら、企画・編集・制作時のミスや印刷時のミスプリント、乱丁などによる顧客への損害金額の規模や頻度、事後対応、更には当社グループの信用が失墜した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)主要顧客の生産動向によるリスク

 当社グループの当連結会計年度の売上高のうち、最大顧客の売上高でも約18%程度であるため、特定の顧客による影響はある程度、分散されております。しかしながら、主要顧客の生産動向の変化により特定の地域セグメントの損益が悪化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)競合によるリスク

 国内では、主に電機メーカーなどの事業再編により、既にマニュアル制作業界は縮小しているといわれておりますが、今後、更に国内メーカーの事業再編が進み、現存の同業会社の中で更に競争が厳しくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 海外でも同様に、日系メーカーの事業再編が進んでおります。また、ローカルの同業会社も台頭し、以前に比べ競争は厳しくなっておりますが、新興国の発展などに伴い、より高品質のサービスが求められるケースも増えてきております。引き続き、顧客からの業務発注を受けつつ発注量を増加させるため、海外での高品質、安定供給、安定価格での優位性に向けた対応を図っておりますが、今後、この優位性を維持継続できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)情報漏洩によるリスク

 当社グループは、顧客の未公表の新製品及びリニューアル品に関する開発情報に接しております。また、限定的ではあるものの、業務上で顧客に関する個人情報にも接しております。そのため、当社グループは、情報セキュリティをリスクマネジメントの最重要項目の一つとして捉え、情報セキュリティ分科委員会を設置し、情報セキュリテイに関する諸規程の制定や役員・従業員・パート社員への啓蒙活動、管理体制の体系化及びシステム・運用の強化に取り組んでおります。しかしながら、今後、情報漏洩による顧客からの損害賠償請求や信用の低下、取引停止などが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)法規制に関するリスク

 現在、当社グループは、許可・認可など経営を行う上で直接的に規制を受ける事業は営んでおりませんが、今後、取扱説明書及び修理マニュアルなどの制作物の表現内容などに新たに影響を与える法令や各種規制の撤廃もしくは緩和にともない、取扱説明書の記載義務が減少(ページ数が減少)した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)優秀な人材の確保

 当社グループが継続的な成長を続けるためには、優秀な人材を確保し、教育・育成していくことが重要課題の一つであると認識しております。そのため、当社グループは、採用活動の全社的強化及び能力開発体制の構築など、優秀な人材の獲得・育成に努めております。しかしながら、当社グループが求める人材を計画通り確保・育成できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(14)自然災害、人災等について

 当社グループは、国内、海外に多くの拠点があるため、グループ全体の事業継続をリスクマネジメントの最重要項目の一つとして捉え、BCM分科委員会を設置し、緊急時での事業の継続のためのバックアップ体制を構築しております。しかしながら、今後、局地的な水害や地震などの自然災害や火災、暴動、テロなどの人災が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、所得環境や個人消費は、堅調に推移したものの、海外経済の減速による企業の輸出数量の弱含みや、米中貿易摩擦継続による景気後退への懸念もあり、引き続き先行きが不透明な状況となりました。

 一方、世界経済においては、引き続き米国経済の牽引はあるものの全体的には弱含みの状態であり、更に米中貿易摩擦も継続しており不安が残る状況でした。米国では企業の設備投資に減速感はあるものの、引き続き良好な雇用や所得環境による個人消費が下支えとなり、経済は堅調を維持しました。欧州では、域外受注の減退もあり製造業の業況が悪化傾向となり、景気減速が懸念されます。また、中国ではインフラ投資など景気対策による回復も今後期待されますが、当連結会計年度においては米中貿易摩擦による輸出減もあり停滞状況となっております。東南アジア/南アジアでは、ASEAN主要6か国を中心に世界経済の減速や米中貿易摩擦の影響もあり全体的に輸出が低下傾向で推移しました。

 こうした経済状況のもと、当社グループの主要顧客である日系メーカーでは、情報機器をはじめ電器全般、輸送機器などの分野にて、生産活動は概ね堅調に推移し、当社グループの取引も引き続き堅調でした。同じく生活用品やヘルスケア用品など新たな事業分野でも東南アジアを中心に取引が堅調に推移しました。しかしながら特に中国華南地区では米中貿易摩擦の影響による日系メーカーの東南アジアへの生産移管の影響を受け減少傾向にありました。外資系メーカーでは、中国での医薬品分野が引き続き堅調に推移、また生活用品メーカーや輸送機器メーカーとの取引も拡大となりました。

 このような中、当社グループでは、第34期からスタートしました中期経営計画「CR Vision2020」の基本方針である『成長に向けた企業基盤の確立へ』に向けて、“事業強化”と“体制強化”の二本の柱をもとに経営重点戦略を継続的に推進しております。この中で成長戦略のひとつでもある“事業分野拡大”として、中国とインドネシアを中心に“生活用品・ヘルスケア用品・医薬品”などの新分野の取引を拡大してまいりました。また、“事業領域拡大や既存事業の深化”としても「ドキュメント×対話型AI」による革新的なソリューション“C's-navi”の展開を推進してまいりました。更にグローバルネットワークの強化としてインドに子会社を設立、グループ連携による事業拡大を図っております。

 一方、もうひとつの柱であります“体制強化”では、ガバナンス強化と事業拡大を図る中、2019年7月26日にJASDAQ市場から東証市場第二部に変更となりました。また、横断的なプロジェクトチームReborn 20(リボーン ニイゼロ)においては、グローバルで活躍できる人材の育成や効率化への働き方改革活動・生産性向上などの業務改善活動を当連結会計年度より本格的に推進しており、企業基盤の強化に繋がっております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度より544,880千円減少し、12,403,724千円(前連結会計年度比4.2%減)となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度より750,420千円減少し、7,988,202千円(前連結会計年度比8.6%減)となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度より205,540千円増加し、4,415,521千円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,642,663千円(前連結会計年度比2.0%増)、営業利益は955,174千円(前連結会計年度比19.3%増)、経常利益は851,014千円(前連結会計年度比12.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は460,255千円(前連結会計年度比17.5%増)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、以下のとおりであります。

 当連結会計年度より、報告セグメントの名称を従来の「東南アジア地域」から「東南アジア/南アジア地域」に変更しております。なお、セグメント名称変更によるセグメント情報に与える影響はありません。

 日本は、外部顧客への売上高は5,300,058千円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は406,358千円(前連結会計年度比15.8%増)となりました。

 中国地域は、外部顧客への売上高は3,835,206千円(前連結会計年度比3.9%減)、セグメント利益は199,409千円(前連結会計年度比82.6%増)となりました。

 東南アジア/南アジア地域は、外部顧客への売上高は7,128,394千円(前連結会計年度比3.8%増)、セグメント利益は120,238千円(前連結会計年度比52.2%減)となりました。

 欧米地域は、外部顧客への売上高は1,379,005千円(前連結会計年度比11.2%増)、セグメント利益は223,805千円(前連結会計年度比147.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ13,738千円増加し、当連結会計年度末には2,572,986千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、901,721千円の収入(前連結会計年度は822,103千円の収入)となりました。これは主として、法人税等の支払額276,285千円による支出があったものの、税金等調整前当期純利益854,301千円を計上したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、125,765千円の支出(前連結会計年度は751,704千円の支出)となりました。これは主として、定期預金の払戻による収入757,213千円があったものの、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出721,906千円、定期預金の預入による支出132,676千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、699,463千円の支出(前連結会計年度は176,284千円の支出)となりました。これは主として、長期借入れによる収入734,280千円、及び短期借入金の純増82,233千円があったものの、長期借入金の返済による支出1,341,525千円、配当金の支払額138,079千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2017年7月1日

至 2018年6月30日)

当連結会計年度

(自 2018年7月1日

至 2019年6月30日)

生産高(千円)

前連結会計年度比

(%)

生産高(千円)

前連結会計年度比

(%)

日本

5,697,892

116.6

5,932,070

104.1

中国地域

3,976,273

120.7

3,894,743

97.9

東南アジア/南アジア地域

5,828,465

118.9

6,147,148

105.5

欧米地域

1,413,292

99.3

1,681,132

119.0

合計

16,915,923

116.6

17,655,095

104.4

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループの取引は、企画・編集・制作の各段階で、仕様変更・内容変更が発生する場合が多く、その結果、受注金額の最終決定から売上計上(販売)までの期間が短いため、受注実績の記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2017年7月1日

至 2018年6月30日)

当連結会計年度

(自 2018年7月1日

至 2019年6月30日)

販売高(千円)

前連結会計年度比

(%)

販売高(千円)

前連結会計年度比

(%)

日本

5,198,703

116.2

5,300,058

101.9

中国地域

3,992,304

116.5

3,835,206

96.1

東南アジア/南アジア地域

6,864,540

118.4

7,128,394

103.8

欧米地域

1,240,288

105.0

1,379,005

111.2

合計

17,295,837

116.2

17,642,663

102.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2017年7月1日

至  2018年6月30日)

当連結会計年度

(自  2018年7月1日

至  2019年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

エプソングループ

2,983,020

17.2

3,159,651

17.9

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、この作成にあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 また、当社の連結財務諸表作成において、損益及び資産の状況に影響を与える見積り及び判断については、過去の実績や当該取引の状況に照らして合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、見積り及び判断に影響を及ぼす重要な会計方針としては次のものがあると考えております。

a.退職給付債務及び退職給付費用

 当社は、退職給付に係る負債及び退職給付費用の見積りに際して、簡便法を採用しております。基礎となる退職給付債務は、退職金規程に基づいて見積もられた、年度末における自己都合要支給額であります。従って、原則である数理計算に基づいた退職給付債務及び退職給付費用とは、差異が生じる可能性があります。

b.貸倒引当金

 債権の貸倒れによる損失に備えるため回収不能見込額を見積り、引当金を計上しておりますが、将来、債務者の財政状態が著しく悪化した場合、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります

c.繰延税金資産

 連結財務諸表と税務上の一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、税務計画を考慮し見積っておりますが、予測不可能な前提条件の変更等により見直しが必要となった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1) 財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度より544,880千円減少し、12,403,724千円(前連結会計年度比4.2%減)となりました。これは主として、有形固定資産が235,967千円増加しましたが、現金及び預金の減少607,142千円によるものであります。

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度より750,420千円減少し、7,988,202千円(前連結会計年度比8.6%減)となりました。これは主として、短期借入金が69,111千円増加しましたが、長期借入金が425,807千円、支払手形及び買掛金が194,279千円、1年内返済予定の長期借入金が191,279千円減少したことによるものであります。

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度より205,540千円増加し、4,415,521千円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。これは主として、為替換算調整勘定が145,805千円減少しましたが、利益剰余金の増加322,176千円によるものであります。

 

2) 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は17,642,663千円(前連結会計年度比2.0%増)となりました。国内売上高は5,300,058千円(前連結会計年度比1.9%増)、中国地域売上高は3,835,206千円(前連結会計年度比3.9%減)、東南アジア/南アジア地域売上高は7,128,394千円(前連結会計年度比3.8%増)、欧米地域売上高は1,379,005千円(前連結会計年度比11.2%増)となりました。

 国内では、電器全般及び輸送機器メーカーとの取引が堅調に推移しております。海外では、中国地域において米中貿易摩擦の影響もあり電器関係で取引が減少となりましたが、東南アジア/南アジア地域の情報機器メーカーや中国地域の医薬品メーカーとの取引が拡大しており、欧米地域の輸送機器メーカーとの取引も堅調に推移しております。

(売上総利益)

 売上総利益は4,462,452千円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。これは、CRESTEC PHILIPPINES, INC.における棚卸資産評価損の計上はあったものの、売上高の増加に加え、日本、中国、欧米を中心に業務改善及び生産効率向上による原価低減効果によるものです。

(営業利益)

 営業利益は955,174千円(前連結会計年度比19.3%増)となりました。これは、売上総利益の増加によるものです。

(経常利益)

 経常利益は851,014千円(前連結会計年度比12.7%増)となりました。これは、為替差損の発生(前連結会計年度は為替差益)がありましたが、営業利益の増加によるものです。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は460,255千円(前連結会計年度比17.5%増)となりました。1株当たり当期純利益金額は、当連結会計年度は150.00円(前連結会計年度比17.6%増)となりました。

 

3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社の事業では、国内ではそのほとんどが役務提供型の業務であるため、多額の設備投資が必要となる事業ではありません。一方、海外では工場型拠点と商社型拠点があり、商社型拠点では多額の設備投資は発生しませんが、工場型拠点では新規投資や現状設備維持の投資が必要になります。

 運転資金につきましては、当社グループの製品は受注から納品・検収・回収までのサイトが比較的短く、多額に先行で費用が発生することはありません。現在は、事業資金の効率的かつ安定的な調達を図るため、取引金融機関数行との間で複数のコミットメントライン契約を締結しております。また、既存設備維持の投資に関しては営業活動によるキャッシュ・フローより行うこととしておりますが、新たな追加の投資が必要な場合には、リース契約もしくは長期借入金でまかなっております。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、第36期(2020年6月期)を最終年度とする中期経営計画「CR Vision 2020」において、「成長に向けた企業基盤の確立」を基本方針とし、最終年度の連結経営指標について以下の数値目標を設定しております。第36期の数値目標に対する第35期の実績につきましては、情報機器、輸送機器及び医薬関連の取引が堅調であったことに加え、日本、中国、欧米を中心とした原価低減効果により、過去最高の売上高、営業利益、営業利益率を達成しております。尚、中期経営計画につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、外部環境の変化等の影響により修正をいたしましたが、引き続き目標達成に向け邁進してまいります。

 

中期経営計画「CR Vision 2020」の最終年度である2020年6月期の数値目標及び2019年6月期の実績

指標

第36期目標

(2020年6月期)

第35期実績

(2019年6月期)

売上高

180.1億円

176.4億円

営業利益

10.0億円

9.5億円

営業利益率

5.6%

5.4%

(注)第36期目標については、修正後の数値となります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(日本)

 主要顧客である電器全般及び輸送機器メーカーの業績は堅調であり、当社との取引も安定的に推移しました。また、新たな顧客として外資系メーカーとの取引も拡大傾向となり、全体に押し上げ傾向となりました。

 このような状況のもとで、日本では、外部顧客への売上高は5,300,058千円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は406,358千円(前連結会計年度比15.8%増)となりました。

 また、セグメント資産は7,385,299千円となり、前連結会計年度末に比べ215,326千円減少しました。

(中国地域)

 華東地区では欧米メーカーも含めた医薬品関連が引き続き堅調であり、更に輸送機器関連の取引も順調に推移しました。一方、華南地区では、原材料の安定化や原価低減活動もあり利益は改善傾向にあるものの、米中貿易摩擦の影響もあり売上が減少傾向の中、引き続き市場に合わせた工場改革を推進しております。

 このような状況のもとで、中国では、外部顧客への売上高は3,835,206千円(前連結会計年度比3.9%減)、セグメント利益は199,409千円(前連結会計年度比82.6%増)となりました。

 また、セグメント資産は3,218,702千円となり、前連結会計年度末に比べ311,447千円減少しました。

(東南アジア/南アジア地域)

 フィリピンでは、情報機器メーカーを中心に全体では安定的な取引が継続しました。インドネシアでは、新たな設備投資により生活用品やヘルスケア用品などの新規顧客との取引が緩やかに拡大傾向となりました。一方、タイ、ベトナムでは、一部既存顧客において引き続き販売減による取引減少がありましたが、一部回復基調も出てきております。

 なお、フィリピンでは、事業拡大に伴い、基幹業務システムの再構築を進めており、在庫管理に関して有効性及び効率性を向上させる中、余剰となる棚卸資産が把握されたため、経営資源の有効的かつ効率的な利用を図るべく、当該余剰在庫の廃却処理を進めることを決議し、棚卸資産評価損141百万円を売上原価に計上しております。

 このような状況のもとで、東南アジア/南アジアでは、外部顧客への売上高は7,128,394千円(前連結会計年度比3.8%増)、セグメント利益は120,238千円(前連結会計年度比52.2%減)となりました。

 また、セグメント資産は3,905,431千円となり、前連結会計年度末に比べ100,173千円増加しました。

(欧米地域)

 米国ではメインである輸送機器メーカーとの取引は、新たな取引の開始や個人消費が堅調な米国経済の牽引もあり引き続き堅調でした。また、欧州ではメインである輸送機器メーカーや既存顧客全般に取引が安定しており、順調に推移しました。

 このような状況のもとで、欧米では、外部顧客への売上高は1,379,005千円(前連結会計年度比11.2%増)、セグメント利益は223,805千円(前連結会計年度比147.4%増)となりました。

 また、セグメント資産は1,258,603千円となり、前連結会計年度末に比べ134,536千円増加しました。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、多様化する顧客ニーズを的確に把握し、そのニーズに沿った新しい商品(マニュアル)及びサービスやシステム、印刷技術の提供を目的に研究開発活動を行っております。

 マニュアル作成では、商品の仕様や端末の普及により様々に変化する取扱情報の提供方法に対応するため、社長直下の各部門を超えた横断的プロジェクトチームを構成し、市場動向の調査から新メディア対応の研究開発を進めております。また、製品コスト低下に伴うマニュアル制作費のコストダウンにも対応するため、顧客へ販売するためのマニュアル作成ツール開発や作業効率化ツールの開発部門を設置し推進しています。

 パッケージ製造では、開発・設計を国内で、生産を海外で行う顧客に対し、国内と海外の両方でサポートできる体制を構築するため、国内に包装設計室を設置しております。これにより、海外現地で原材料を入手し生産した場合と同じ仕様でのサンプルを国内で作成したり、海外生産の設備的メリット、デメリットを顧客に提案したりと、顧客のニーズに応える体制を取ることが可能となっております。

 最近2連結会計年度における研究開発活動に要した費用は、下表のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

(自 2017年7月1日

 至 2018年6月30日)

当連結会計年度

(自 2018年7月1日

 至 2019年6月30日)

 当社(日本)における研究開発費

40,203千円

28,567千円

40,203千円

28,567千円