当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、個人消費にとって明るい兆しは見えてきているものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米中間の対立、米露間の対立等、不安定な国際情勢の影響等及び米国長期金利の値上げ観測、インフレ率の上昇による物価上昇等、世界経済のさらなる悪化が懸念される中、景気についてもいまだ不透明な状況が続いております。
このような経済情勢の中、当社サービスの基盤となる、インターネット及びブロードバンド関連の環境につきましては、リモートワークの定着等により着実に増加しており、2024年3月末時点で固定系超高速ブロードバンドサービス契約数が約4,487万(前年同期比1.8%増)とインターネットを利用する機会が広く普及しております。また、第5世代携帯電話契約数が9,237万(前年同期比32.3%増)を超えるなど、インターネットを利用する環境は引き続き拡大基調にあります(出所:総務省電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表)。一方、2024年上半期(1月から6月)の雑誌全体の販売状況は前年同期比約7.8%減となっており、また、書店からの返品率も44.1%(前年同期比1.2ポイント増)となり、返品率も悪化しております(出所:公益社団法人全国出版協会 季刊出版指標2024年夏号)。
このような環境の中、当社グループは、当連結会計年度においても、雑誌の定期購読者の囲い込み、新規読者の獲得のため、第22期事業年度に引き続き、各マーケティングチャネルの充実、SEO対策やリテンション対策による雑誌購読者の定期購読者化、新規受注高の増加及び継続率の上昇による継続受注高増加のための各種施策を実施して参りました。さらに、出版社の配送支援業務及びWEB経由以外で新規の雑誌定期購読者数を増やすために、出版社が管理する既存の定期購読顧客の管理を当社に移管し、当社グループが購読顧客の獲得、管理、配送までを一括で受ける「Fujisan VCS(Fujisan Value Chain Support)」の展開及び法人顧客開拓についても、引き続き注力して参りました。
この結果、雑誌出版市場が大きく前年比で縮小する中、当社グループは当中間連結会計期間において総登録ユーザー数(一般購読者及び法人購読者の合計数)は4,245,743名となりました。そのうち課金期継続している継続課金ユーザー数(「Fujisan.co.jp」に登録しているユーザーのうち、6月末時点で年間定期購読及び月額払い定期購読の申込みを継続しているユーザー並びに当月内に雑誌を購読したユーザーの合計数)は589,296名となり、当社グループ会員数は着実に伸びているものの、ユーザー獲得コストは増加しております。一方、アクティブユーザー数については、月額払いの増加、法人の雑誌購読入れ替えの影響もあり、前年同期と比べて減少しているものの前四半期と比較して改善傾向にあります。
デジタル雑誌関連の事業(「第2の矢」事業)については、2018年第2四半期連結会計期間より、新たに株式会社電通と合弁で設立した株式会社magaportの事業開始に伴い、従来の「Fujisan.co.jp」上でのデジタル雑誌販売のみならず、他電子書店向けのデジタル雑誌取次分野及び派生するサービス領域事業に注力しております。本事業は主に雑誌読み放題サービスにおいて着実に成長を続けており、2024年6月末においては当社グループの売上の37.5%を占めるまでになり、第2の柱となっております。また、既存の雑誌読み放題サービスへの取次だけでなく、記事単位の提供サービスのトライアル、株式会社図書館流通センターと共同で電子図書館事業の検証事業への参加を行う等、デジタル雑誌資源を用いた新たなサービス領域の開拓も引き続き行っております。
雑誌購読者情報を用いた事業(「第3の矢」事業)については、株式会社イデアが手掛ける出版社ECサイトの運営支援事業については、前期において大きく業容を縮小させた効果もあり、黒字化しております
コスト面については、将来への投資である人件費の増加及び新たなマーケティング施策、新サービスの試験的な運用、SEO対策のためのWEBサイトのコンテンツ追加等による増加がみられますが、主にマーケティングの効率化によるコストの抑制等により販売費及び一般管理費は昨年同期比において減少しております。
上記の施策の結果、当中間連結会計期間における取扱高(連結取引消去前における当社グループから出版社への定期購読の注文取次高、当社の仕入販売高、当社グループが出版社から配送業務及び広告PR業務等を受けた請負業務の取扱高の合計)は5,933,439千円(前年同期比5.5%減)となりました。売上高は2,776,230千円(同4.7%減)となりました。利益面につきましては、営業利益202,017千円(同23.1%増)、経常利益199,812千円(同22.4%増)、中間純利益137,351千円(同24.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益127,657千円(同27.8%増)となりました。
注.当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の業績の状況については記載しておりません。
(2)財政状態の分析
(資産の部)
当中間連結会計期間末の総資産は5,817,377千円(前連結会計年度末比6,391千円減)となりました。総資産の内訳は、流動資産が4,893,346千円(同70,698千円減)、固定資産が924,030千円(同64,307千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が170,062千円増加したこと、ソフトウエアが45,740千円増加したこと、売掛金が6,423千円減少したこと、未収入金が230,753千円減少したこと等によるものであります。
(負債の部)
当中間連結会計期間末における負債合計は3,364,802千円(前連結会計年度末比110,085千円減)となりました。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ買掛金が13,467千円減少したこと、未払金が189,572千円減少したこと、契約負債が48,402千円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
当中間連結会計期間末における純資産合計は2,452,574千円(前連結会計年度末比103,694千円増)となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する中間純利益127,657千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと、新株予約権の行使に伴い自己株式を70,441千円処分したこと、非支配株主持分が9,694千円増加したこと、配当金の支払51,681千円等に伴い利益剰余金が減少したこと等によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、170,062千円増加し、3,283,242千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において営業活動の結果得た資金は、395,924千円(前年同期は439,349千円の収入)となりました。これは、税金等調整前中間純利益200,164千円、減価償却費125,089千円、未収入金の減少額230,753千円、契約負債の増加額48,402千円等による資金の増加と、未払金の減少額187,618千円、法人税等の支払額49,611千円等による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において投資活動の結果使用した資金は、192,496千円(前年同期は134,299千円の支出)となりました。これは、ソフトウエア開発に伴う無形固定資産の取得による170,296千円と関係会社株式の取得による22,200千円の支出に伴う減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において財務活動の結果使用した資金は、33,366千円(前年同期は49,845千円の支出)となりました。これは、ストックオプションの行使に伴う自己株式の処分による収入18,025千円と配当金の支払いによる支出51,391千円によるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。