第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)業績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、個人消費にとって明るい兆しは見えてきているものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米中間の対立、米露間の対立等、不安定な国際情勢の影響等及び米国長期金利の値上げ観測、インフレ率の上昇による物価上昇、米国トランプ大統領による関税政策の影響に伴う世界経済のさらなる悪化が懸念される中、景気についてもいまだ不透明な状況が続いております。

 このような経済情勢の中、当社サービスの基盤となる、インターネット及びブロードバンド関連の環境につきましては、リモートワークの定着等により着実に増加しており、2025年3月末時点で固定系超高速ブロードバンドサービス契約数が約5,017万(前年同期比1.9%増)とインターネットを利用する機会が広く普及しております。また、第5世代携帯電話契約数が1億1,207万(前年同期比21.3%増)を超えるなど、インターネットを利用する環境は引き続き拡大基調にあります(出所:総務省電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表)。

 一方、当社の主要セグメントである雑誌販売支援事業領域の市場環境としては、2025年1月から6月の雑誌全体の推定販売状況は前年同期比9.5%減の1,546億円となっており、また、書店からの返品率も46.9%(前年同期比2.8ポイント増)となり悪化しております(出所:公益社団法人全国出版協会 季刊出版指標2025年夏号)。

 このような状況の中、当社グループは、雑誌販売支援事業については、マーケティング費用を中心にコストの見直しを継続して行うとともに、デジタル雑誌関連事業においては、出版社のデジタル化の支援、雑誌読み放題サービスの拡張等による売上高増加、新規領域の開拓を目指しております。

 前連結会計年度より開始したEdTech(学習塾)事業については、前連結会計年度よりオンライン学習塾を運営するCreate Education Online株式会社の取得及び株式会社虔十社より学習塾事業を譲り受け、Fujisan Academiaブランドにて各塾ブランドの共通事業の展開、授業の相互提供等、全国展開を睨んだ事業展開を進めております。また、当第1四半期連結会計期間において、関西において英語指導を強みとしたミリカ医専、ミリカ予備校を展開するクリエイト研究会株式会社の取得を行っております。

 当中間連結会計期間における取扱高(連結取引消去前における当社グループから出版社への定期購読の注文取次高、当社の仕入販売高、当社グループが出版社から配送業務及び広告PR業務等を受けた請負業務の取扱高の合計)は5,817,322千円(前年同期比2.0%減)となりました。売上高は2,861,347千円(同3.1%増)となりました。利益面につきましては、当中間連結会計期間において、クレジットカード課金における本人確認等の規制強化によるカード課金エラーの増加に伴う決済手数料が増加したこと、及びクリエイト研究会株式会社の全株式の取得に伴う株式取得による手数料25,000千円が発生した影響並びに2025年6月に個人情報漏洩事故が発生した影響もあり、販売費及び一般管理費が大きく増加しております。その結果、営業利益49,916千円(同75.3%減)、経常利益51,608千円(同74.2%減)、中間純利益31,347千円(同77.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益20,871千円(同83.7%減)となりました。


 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。なお、前連結会計年度は単一セグメントであったため、前年同期比は記載しておりません。

 

(雑誌販売支援事業)

 雑誌販売支援事業においては、当中間連結会計期間においても、雑誌の定期購読者の囲い込み、新規読者の獲得のため、前連結会計年度に引き続き、各マーケティングチャネルの充実、SEO対策やリテンション対策による雑誌購読者の定期購読者化、新規受注高の増加及び継続率の上昇による継続受注高増加のための各種施策を実施して参りました。さらに、出版社の配送支援業務及びWEB経由以外で新規の雑誌定期購読者数を増やすために、出版社が管理する既存の定期購読顧客の管理を当社に移管し、当社グループが購読顧客の獲得、管理、配送までを一括で受ける「Fujisan VCS(Fujisan Value Chain Support)」の展開及び法人顧客開拓についても、引き続き注力して参りました。この結果、雑誌出版市場が大きく前年比で縮小する中、当社グループは当中間連結会計期間において総登録ユーザー数(一般購読者及び法人購読者の合計数)は4,382,872名(前連結会計年度末比70,255名増加)、そのうち課金期間が継続している継続課金ユーザー数(「Fujisan.co.jp」に登録しているユーザーのうち、6月末時点で年間定期購読及び月額払い定期購読の申込みを継続しているユーザー並びに当月内に雑誌を購読したユーザーの合計数)は528,681名となり、当社グループ会員数は着実に伸びているものの、ユーザーの増加率及び紙雑誌の定期購読サービス領域の新規顧客獲得については、1件当たりの獲得コストの効率化を進めていることもあり鈍化しております。

 デジタル雑誌関連の事業(「第2の矢」事業)については、2018年第2四半期連結会計期間より、新たに株式会社電通と合弁で設立した株式会社magaportの事業開始に伴い、従来の「Fujisan.co.jp」上でのデジタル雑誌販売のみならず、他電子書店向けのデジタル雑誌取次分野及び派生するサービス領域事業に注力しております。本事業は主に雑誌読み放題サービスにおいて前連結会計年度に引き続き、着実に成長を続けており、2025年6月末においては当社グループの売上の41.2%を占めるまでになり、第2の柱となっております。また、既存の雑誌読み放題サービスへの取次だけでなく、記事単位の提供サービスのトライアル、株式会社図書館流通センターと共同で電子図書館事業への参入を行う等、デジタル雑誌資源を用いた新たなサービス領域の開拓も行っており堅調に推移しております。また、EC事業においても、体制縮小により黒字を継続しております。

 コスト面については、前連結会計年度に引き続き、主にマーケティングの効率化により発生するリスティングに関するコストを抑えております。一方、将来への投資である人件費及び新たなマーケティング施策の試験的な運用、SEO対策のためのWEBサイトのコンテンツ追加、新事業領域であるWEBサイト運営のための先行投資等により販売管理費は増加しております。また、クレジットカード課金における本人確認等の規制強化によるカード課金エラーの増加などの影響、2025年6月に発生した個人情報漏洩事故の影響もあり、売上高は2,802,409千円、セグメント利益は136,454千円となりました。

 

(EdTech事業)

 EdTech事業においては、当第1四半期連結会計期間において、関西で英語指導に定評があるクリエイト研究会株式会社の全株式を取得しております。実績については、東京大学、早稲田大学等の難関大学及び、医学部医学科を中心に難関大学への合格者を多数輩出し事業としては順調に推移しております。しかし、当中間連結会計期間は2月から3月にかけて、高卒生、高校3年生が一斉に卒塾してしまうことに伴う季節性の業績下方要因があること、及び一部校舎による新年度の生徒募集の計画に対する未達、並びにクリエイト研究会株式会社の株式取得による手数料25,000千円が発生した影響により、売上高は58,937千円、セグメント損失は32,972千円となりました。

 

 (2)財政状態の分析

(資産の部)

当中間連結会計期間末の総資産は5,748,644千円(前連結会計年度末比129,854千円減)となりました。総資産の内訳は、流動資産が4,925,365千円(同186,667千円減)、固定資産が823,278千円(同56,813千円増)であります。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が103,288千円増加したこと、配送作業スペースの造作工事に伴い建物附属設備が35,770千円増加したこと、ソフトウエアが18,494千円増加した一方で、未収入金が266,544千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債の部)

当中間連結会計期間末における負債合計は3,260,434千円(前連結会計年度末比108,363千円減)となりました。主な変動要因は、前連結会計年度末に比べ買掛金が13,559千円減少したこと、未払金が210,743千円減少したこと、未払法人税等が19,626千円減少したこと、契約負債が123,717千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産の部)

当中間連結会計期間末における純資産合計は2,488,209千円(前連結会計年度末比21,490千円減)となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する中間純利益20,871千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと、非支配株主持分が10,475千円増加したこと、配当金の支払い52,838千円等に伴い利益剰余金が減少したこと等によるものであります。

 

 (3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、103,288千円増加し、3,304,266千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間において営業活動の結果得た資金は、369,293千円(前年同期は395,924千円の収入)となりました。これは、税金等調整前中間純利益54,941千円、減価償却費153,339千円、未収入金の減少額266,544千円、契約負債の増加額123,717千円等による資金の増加と、未払金の減少額201,947千円、法人税等の支払額52,043千円等による資金の減少によるものであります。

 
 (投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間において投資活動の結果使用した資金は、213,333千円(前年同期は192,496千円の支出)となりました。これは、配送作業スペースの造作工事に伴う有形固定資産の取得による支出36,951千円と、ソフトウエア開発に伴う無形固定資産の取得による支出176,337千円等に伴う減少によるものであります。

 
 (財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間において財務活動の結果使用した資金は、52,671千円(前年同期は33,366千円の支出)となりました。これは、配当金の支払いによる支出によるものであります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

 (5) 研究開発活動
  該当事項はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

   当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。