第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における日本経済は、個人消費や設備投資に弱さが見られたほか、中国をはじめとする新興国経済の景気が前半に減速したものの、後半に入り持ち直しがみられたことから輸出が回復し、雇用・所得環境が改善するなど、緩やかな景気回復基調が続きました。

 原油価格は、期初に1バレル36ドル台であったドバイ原油が、11月のOPECによる原油減産の合意を受けて50ドル台に達しました。その後は52ドルから54ドルの範囲内で推移し、期末は50ドル台で終えました。

 為替相場は、期初は1ドル112円台から始まったものの、8月には英国の国民投票におけるEU離脱の決定などもあり、一時は1ドル100円台まで円が上昇しましたが、11月の米国の大統領選挙におけるトランプ氏の勝利の影響により、円安・ドル高の傾向となり、期末は112円台で終えました。

 石油製品の国内需要は、ガソリン・軽油は製品市況の下落により需要が下支えされたことから前期並みで推移しました。灯油・A重油は厳冬の影響により前期を上回る実績となりましたが、C重油は燃料転換などにより大幅に減少したため、全体としては前期を下回りました。

 石油化学製品は、国内需要が前期並みで推移する中で、エチレンプラントの停止や定期整備が相次いで実施されたことにより生産は前期を下回りました。市況は国内およびアジア地域において、堅調に推移しました。

 以上の結果、当期の連結経営成績は、売上高は2兆2,923億円(前期比+480億円)、営業利益は922億円(前期は297億円の営業損失)、経常利益は814億円(前期は361億円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は532億円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失502億円)となりました。

 なお、セグメント情報につきましては、以下のとおりであります。

 

[石油事業]

 石油事業につきましては、製品輸出は増加しましたが、国内製品販売数量が減少したことにより、売上高は減少しました。さらに、当連結会計年度末における原油価格の上昇によるたな卸資産の在庫評価の影響が売上原価を押し下げました。その結果、売上高は2兆999億円(前期比△1,208億円)、セグメント利益は412億円(前期はセグメント損失628億円)となりました。

[石油化学事業]

 石油化学事業につきましては、前連結会計年度末に実施した丸善石油化学㈱の子会社化の影響及び製品市況の改善により、売上高は3,784億円(前期比+3,303億円)、セグメント利益は222億円(前期比+181億円)となりました。

[石油開発事業]

 石油開発事業につきましては、原油販売価格の下落と円高の影響により、売上高は445億円(前期比△113億円)、セグメント利益は93億円(前期比△93億円)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、361億円となり、前連結会計年度末の残高894億円に比べ533億円の減少となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金の増加は476億円であり、前連結会計年度に比べ292億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益(前期は税金等調整前当期純損失)を計上したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金の減少は1,120億円であり、前連結会計年度に比べ792億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは主に、固定資産の取得による支出が増加したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金の増加は96億円であり、前連結会計年度に比べ229億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは主に、借入金の減少等によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

 

揮発油・ナフサ

233,179

75.4

 

灯油・軽油

375,849

91.2

石油事業

重油

137,180

86.9

 

その他

57,075

80.6

 

小計

803,285

84.5

石油化学事業

 

195,046

820.6

石油開発事業

 

14,446

90.3

合計

1,012,777

102.3

(注)1 自家燃料は除いております。

2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。

3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。

4 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

5 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、石油化学事業におきまして、丸善石油化学㈱の連結子会社化などに伴うものです。

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

その他

9,061

87.3

4,000

82.8

(注)上記の金額に消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

 

揮発油・ナフサ

942,807

81.0

 

灯油・軽油

631,715

100.8

石油事業

重油

193,988

92.1

 

その他

150,015

85.4

 

小計

1,918,527

88.1

石油化学事業

 

328,183

1,622.9

石油開発事業

 

21,899

96.6

その他

 

23,670

97.2

合計

2,292,280

102.1

(注)1 揮発油の金額には、揮発油税及び地方揮発油税が含まれております。

2 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。

3 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

当連結会計年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

JXホールディングス㈱

302,640

13.5

304,860

13.3

※販売実績には、JXホールディングス㈱と同一の企業集団に属する企業に対する販売実績を含めております。

4 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

5 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、石油化学事業におきまして、丸善石油化学㈱の連結子会社化などに伴うものです。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループといたしましては、持株会社体制の下、各事業会社のスピード感ある経営判断を基盤に、アグレッシブな事業活動と柔軟かつ迅速なアライアンス戦略(協業・共同・統合)を展開し、事業ごとの競争力を強化していくとともに、経営資源の最適配分を推進し、「グローバルな垂直型一貫総合エネルギー企業」を目指してまいります。

 

(2)経営環境

今後の見通しにつきましては、欧米の新政権の政策運営が与える影響に不透明感があるものの、日本経済は、雇用・所得環境が引き続き改善し、民間需要を中心とした緩やかな景気回復が見込まれます。石油業界につきましては、自動車の燃費改善、社会における省エネルギー指向の高まりなどにより、燃料油の国内需要の減少トレンドが続くものと予想されますが、海外では、成長を続けるアジア諸国を中心に石油製品の需要増加が見込まれます。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

平成29年度を最終年度とする第5次連結中期経営計画の4つの基本方針に基づく各施策を着実に実行し、これまで実施した戦略投資の確実な回収と、さらなる合理化・効率化などにより収益力を強化するとともに、有利子負債の削減を図り財務体質の改善に引き続き努めてまいります。また、今後も大きな環境変化が予想される石油業界にあって、2030年を見据え、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)時代の到来に対する施策およびESG(環境・社会・企業統治)やCSRを重視した長期将来ビジョンを描き、平成30年度からはじまる第6次連結中期経営計画をそのスタートと位置付け、策定してまいります。

 

石油事業につきましては、国内石油業界の第三極の形成を目指し、2月にキグナス石油株式会社と資本業務提携契約を締結しました。これにより、当社が同社株式の20%を取得し、3年後を目途に石油製品の供給を実行すべく、具体的な内容を協議・検討してまいります。

生産面では「安全・環境・品質・健康」を基本として安全操業・安定供給を継続することに加え、平成29年度より開始する四日市製油所における昭和四日市石油株式会社との事業提携による精製設備の最適化、平成30年中頃のパイプライン完成を予定する千葉製油所における製油所競争力の強化を引き続き進めてまいります。

販売面では、「コスモビークルビジョン」の3つの施策である「顧客の創造」、「お客様との関係性強化」および「車両販売への積極的な取り組み」を軸に燃料油のみならずカーライフ全般の需要を獲得することを方針とし、イオングループを中心とした異業種提携、インターネットを通じたサービスの拡充およびビークルショップの全国展開などの施策を推進し、カーライフ価値提供業への業態変革を引き続き実現してまいります。

 

石油化学事業につきましては、当社、丸善石油化学株式会社および荒川化学工業株式会社間で水素化石油樹脂の共同事業の具体化を進めるほか、外部コンサルタントを導入し、千葉地区での石油精製・石油化学のインテグレーションの推進について検討を進め、当社グループ内でのシナジー創出による競争力強化をさらに進めてまいります。ヒュンダイオイルバンク株式会社とは、ナフサの共同調達や、HCPを通じたパラキシレン事業のほか、研究開発分野や製油所の安全強化などの幅広い分野でのアライアンスを引き続き進めてまいります。これらの取り組みにより、石油化学事業を石油開発、石油精製、石油販売に続く第4の柱へと成長させることを目指しております。

 

石油開発事業につきましては、平成29年度から本格的な生産を見込むUAEアブダビ首長国のヘイル鉱区の開発を着実に実行してまいります。また、カタール国のA構造南部油田での新規坑井の掘削を進め、生産量の拡大を目指します。

 

再生可能エネルギー事業につきましては、石油業界の中でもトップクラスの総発電容量(21.2万kW)を誇る風力発電事業において、既存の発電設備の高稼働を継続するとともに、酒田港湾サイト、石狩湾新港サイトの建設を着実に実行してまいります。また、平成31年度の営業運転開始を目指して姫神サイト(岩手県)の建設も始めるなど、さらなる新規風力発電設備の建設を検討してまいります。

 

これらの取り組みのほか、第5次連結中期経営計画の基本方針の一つであるIPICとのアライアンス強化の一環として、事業領域の拡大を目指し、平成25年度に戦略的包括提携に係る覚書を締結したカンパニーア・エスパニョーラ・ペトローレオス エス・エー・ユー社(CEPSA社:スペインの総合エネルギー企業)との技術交流や、原油・石油製品マーケティング分野での協業の検討をより一層進めてまいります。

 

CSR経営の推進につきましては、CSR活動方針に基づく従来からの施策に加えて、ESGに関する取り組みとして、ガバナンス強化、働き方改革の推進および職場へのダイバーシティ(多様な働き方の定着)を図るとともに、社員一人ひとりが誠実に業務を遂行し、社会からの期待に応えることで、継続して社会に貢献してまいります。

 

当社グループといたしましては、経営環境の変化に対して、スピード感ある経営判断を基盤に、引き続き積極的な事業活動と柔軟かつ迅速なアライアンス戦略(協業・共同・統合)を展開し、事業ごとの競争力を強化してまいります。さらに、新たな経営体制のもと、長期将来ビジョンを踏まえた第6次連結中期経営計画をつくりあげ、国内石油業界における第三極を形成し、当社グループの永続的な成長と企業価値の最大化を目指してまいります。

 

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月22日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、計画と異なる場合があります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状況等は、今後起こり得るさまざまな要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループでは、当社グループでコントロールできない外部要因や事業リスクとして顕在化する可能性が必ずしも高くない事項も含め、投資家の判断上重要と考えられる事項については積極的に開示しております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)需要動向の影響

 当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受けます。また、ナフサは石油化学業界、軽油は運輸業界、重油は電力業界、海上輸送業界等の需要動向を反映します。従いまして、国内のみならず海外も含めた経済動向や天候の変化等で需要が変動することにより、当社グループの販売規模に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原油価格および原油調達に関するリスク

 原油価格は、需要動向と生産動向により大きく左右されます。需要動向につきましては、大消費国であるアメリカや経済成長の著しいアジア地域(特に中国)の影響が大きく、生産動向につきましては、OPEC加盟国や他産油国の増減産に加え、シェールオイルの増減産の影響が大きいと認識しております。特に中東産油国の周辺地域においては、戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、原油価格や原油調達が悪影響を受ける恐れに加え、生産拠点での操業停止等により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、原油在庫の価格を総平均法で評価しております。そのため、原油価格の下落局面では、期初の在庫単価と期中に仕入れた下落した在庫単価が平均されるため、売上原価を押し上げることになり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)外国為替レートの変動

 国内石油事業においては、海外より原油及び石油製品等を輸入しており、その代金は通常米ドル建てで決済されるため、外国為替レートの変動により差損益が生じます。為替レート変動による悪影響を最小限に留めるべく、為替ヘッジ取引を行っておりますが、円安へ推移すれば調達コストを押し上げることとなる等、為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 また、外国為替レートの変動は、海外連結子会社または持分法適用会社の財務諸表を円貨換算する際にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)石油製品等の市況の変動

 上述の通り、当社グループの主要な石油製品のコストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行っており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップが生じた場合、或いはタイムラグが生じた場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)金利の変動

 金利の変動により、今後借入金利が上昇した場合には金融コストが増加する等、金利の変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(6)資産価値の変動

 経済動向等の影響から、土地や有価証券等、当社グループが保有する資産価値が下落することにより、評価損が発生する恐れがある等、資産価値の変動によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)競合のリスク

 当社グループは石油事業を中心に国内外の企業との激しい競争にさらされております。当社グループは引き続き競争力の維持、向上に取り組んでまいりますが、競合他社と比して効率的な事業運営ができない場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(8)災害や事故による影響

 当社グループの製油所では多量の可燃物を扱っていることから、特に人為的な操業事故や労働災害を未然に防止するため、様々な安全対策の徹底を図っております。しかしながら、設備の老朽化や地震等の自然災害等、何らかの要因により事故が発生した場合、操業を停止せざるを得なくなる可能性があります。例えば、平成23年3月11日の東日本大震災により発生した千葉製油所での事故において、操業を一定期間停止したことによる損失や復旧にかかる費用等を計上しました。また、製油所以外でも、油槽所やSS、タンカーやローリー等による不慮の事故により、当社グループの事業運営に支障をきたす恐れがあり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(9)石油産業に適用される法規制の影響

 石油産業には公害や環境問題に関する様々な法律が適用されており、当社グループはこれらの規制に適合するために費用を負担しております。環境問題への対策強化が予想される中、新たな法律、規制、税金等が課される可能性を認識しております。今後、新しい法律や現行法の改正等により、当社グループの費用負担が増加するリスクがあります。当社グループではCSR経営を進めるにあたり、法令遵守を柱の一つと位置付け、仕組みを整えるとともに社員一人ひとりのモラル向上に努めております。しかし、ヒューマンエラー等による法令違反のリスクが顕在化した場合には、行政処分を受け、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。例えば、過去に千葉製油所において経済産業省旧原子力安全・保安院等より高圧ガス保安法に基づく行政処分を受けた例では、保全費用が追加的に発生し、経営成績に影響しました。

 

(10)情報の管理

 情報管理につきましては、社内情報システムのセキュリティを強化するためにウィルス対策や個人情報保護対応等を実施しております。さらに、顧客情報を含む機密情報の管理、取り扱いにつきましては、社内体制、社内規程等を整備し、外部への委託先に対して監督管理及び監査を実施しております。しかしながら、何らかの要因により個人情報を含む機密情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクが顕在化した場合には、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

(1)昭和42年12月6日、アブダビ首長国政府と大協石油㈱(現 連結子会社コスモ石油㈱)・丸善石油㈱及び日本鉱業㈱(現 JX石油開発㈱)は利権協定及び事業協定を締結しました。連結子会社アブダビ石油㈱は、昭和43年2月1日、上記利権及び事業権を譲り受け、利権地域であるアブダビ海域(ムバラス油田)において石油の探鉱・採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

 

(2)昭和54年4月28日、アブダビ首長国政府とアブダビ石油㈱はムバラス油田の西方海域の新利権鉱区における石油資源開発に関して、原協定(昭和42年12月6日締結)を補足する協定を締結しました。アブダビ石油㈱は、同利権地域における石油の探鉱・採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

 

(3)平成9年7月15日、カタール国政府とコスモ石油㈱・日商岩井㈱(現 双日㈱)及び合同石油開発㈱は、カタール国沖合東南第1鉱区アル・カルカラ構造及びA構造における石油の探鉱・開発の生産物分与契約(以下「DPSA」)を締結しました。連結子会社カタール石油開発㈱は平成9年11月14日、DPSAに基づく全ての権利義務を上記3社から譲り受け、当該区域において、開発・生産・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

 

(4)平成11年10月12日、コスモ石油㈱と日石三菱㈱(現 JXエネルギー㈱)との間で、原油調達・精製・物流及び潤滑油の各分野に関して、業務提携に関する基本協定を締結しました。

 

(5)平成19年9月18日、コスモ石油㈱とInternational Petroleum Investment Companyとの間で、日本/アジア/環太平洋における、エネルギー分野を中心とした包括的かつ戦略的な業務提携を行うことを目的に、コスモ石油㈱への投資に関する第三者割当契約を締結しました。

 

(6)平成23年2月3日、アブダビ首長国最高石油評議会とアブダビ石油㈱は現在操業している3油田の利権の更新と
新鉱区の追加取得について、新たな利権協定を締結しました。本協定は、前協定(昭和42年12月6日締結及び
昭和54年4月28日締結)が期限満了となった平成24年12月6日より発効しました。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、連結子会社コスモ石油㈱、コスモ石油ルブリカンツ㈱、丸善石油化学㈱及びコスモエンジニアリング㈱で実施しております。コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒、石油化学などの石油精製に関する研究や石油開発に関する研究、環境に対応したバイオ燃料の研究等を行っております。コスモ石油ルブリカンツ㈱では、環境対応潤滑油商品化の為に技術開発に取り組むとともに、消費者のニーズに応える潤滑油関係の商品開発等を行っております。丸善石油化学㈱では、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品等、既存事業の強化・拡大、及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。コスモエンジニアリング㈱では、環境対応技術、温暖化対策技術及び次世代エネルギー等、時代のニーズに応える研究活動を行っております。
 この結果、当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は4,269百万円であります。

 以下に主要な研究概要をセグメント別に記載いたします。

 

(1)石油事業

コスモ石油㈱は、石油製品や石油精製プロセス・触媒、石油化学などの石油精製に関する研究や石油開発に関する研究、環境に対応したバイオ燃料の研究等を行っております。

石油精製分野では、製油所の高効率稼動の実現、精製コストの削減への対応として触媒技術を活かした精製プロセスの最適化、調達原油の多様化、並びに燃料油の需給構造変化への対応を目的とした重質油削減、石油留分の高付加価値化などに関する研究開発に取り組んでおります。また、製油所の生産技術支援を担う部署を設置し、製油所の安定操業、競争力強化を技術的に支援しております。加えて、JXTGエネルギー㈱千葉製油所との協業に向けた検討にも取り組んでおり、生産効率の向上、精製設備の最適運用を目指しております。

石油開発分野では、2016年度より原油タンク底部に蓄積する原油スラッジの削減技術に関する共同研究を独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と開始しました。原油スラッジ中の原油留分を回収し再資源化するとともに産業廃棄物量を削減することを目的として、技術開発を実施しております。

バイオ燃料分野では、バイオエタノールの製造技術に関して国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発事業に参画し、実用化に向けて取り組んでおります。その事業では、自社開発の遺伝子組み換え技術を使用していない発酵菌を用いて、木質等のセルロース系バイオマスを原料としたエタノール製造プロセスへの適用を目指して技術開発を実施しております。

また、Hyundai Oilbank Co., Ltd. (HDO)との「石油事業包括協力覚書」(平成20年4月16日締結)に基づいた協力範囲をより発展・具体化させることを目的に、平成23年10月13日に締結した技術/研究分野における覚書に基づき、技術委員会を継続して交互に開催し、研究開発活動の強化に努めております。

コスモ石油ルブリカンツ㈱は現在、環境対応・安全対応を最重要テーマとし、省エネ・省燃費・省資源対応潤滑油、難燃性潤滑油、生分解性潤滑油のオンリーワン商品開発に取り組んでおります。また、自社開発技術の更なる発展による要素技術開発・商品開発も並行して実施しております。

今後ますます厳しくなる排ガス規制・省燃費規制に対応したディーゼルエンジン油の開発や、省エネルギー・省資源技術確立のための更なる研究開発に取り組むとともに、車両用潤滑油・工業用潤滑油・グリースの商品開発はもとより、熱対策として放熱性に優れた「コスモサーマルグリース」、低トルク・省電力の「HDD動圧軸受油」など高付加価値商品の開発及び産学連携による新規商品開発にも取り組んでまいります。

 

(2)石油化学事業

丸善石油化学㈱は、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品など、既存事業の強化・拡大、及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。エチレンやプロピレンなど、ナフサの熱分解による石油化学製品の生産過程で併産されるアセチレン、C4、C5留分などの未利用留分を原料とし、ビニルエーテル類や、未利用留分の付加価値をさらに高めた製品の開発、量産化に向けたプロセス技術の開発を実行中です。一方、年を追うごとに微細化、高性能化が進む最先端のメモリー、デバイスの生産に使用される半導体レジスト材料、周辺材料などの分野では、増々高度化、多様化する顧客の要望に応えるために、生産技術、製品評価技術の向上、新規の製品・技術を創出するための研究開発を推進しております。

 

 

(3)その他

コスモエンジニアリング㈱はプラント産業分野での経験やノウハウをベースとした技術力を更に強化し、様々な顧客のニーズに的確に応えられるよう、新規事業開拓に向けて以下の主要5点について研究活動を進めております。

① 再生可能エネルギー関連では風力発電事業において、競争力強化のため設計施工技術の強化を進めております。また、従来培ってきたプラント保守技術を当該分野に応用する検討を進めております。

② また、同じく再生可能エネルギー関連において、石油産業で培ってきたプラント設計・建設技術を応用し、非食糧系のバイオマス及び食品廃棄物を原料としたバイオ燃料プラントのEPC(設計・調達・建設)事業に参入することを検討しております。

③ 温暖化対策関連では、CO2の分離・回収技術が重要事項となりますが、得意とする工業ガスの分離・精製技術について重点的にプロセス調査と技術導入検討を進めております。

④ 次世代エネルギーとして注目されている水素について、バイオマスを含む多様な原料から水素を製造する事業に参入することを検討しております。

⑤ また、水素化社会の実現に向けてロードマップが改定され取組が進んでいる水素・燃料電池自動車関連では、得意とする水素関連技術に関して参入できる新たな水素設備事業について検討を進めております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)業績

業績につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載しております。

 

経営成績の分析

①売上高

 売上高は、前連結会計年度に比べ、480億円(2.1%)増加の2兆2,923億円となりました。これは、主に前連結会計年度末に実施した丸善石油化学㈱の子会社化の影響によるものです。

 

②売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、前連結会計年度に比べ、749億円(3.5%)減少し、2兆797億円となりました。これは、円高による原油価格の下落が主な要因です。売上高に対する売上原価の比率は、5.3ポイント減少して、90.7%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、10億円(0.8%)増加し、1,204億円となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、前年と同様、5.3%となりました。

 

③営業利益

 上記の結果を受け、営業利益は、前連結会計年度297億円の営業損失だったのに比べ、1,219億円利益が改善し、922億円となりました。これは、主にたな卸資産の在庫評価の影響が売上原価を押し下げたことによるものです。

 

④営業外損益

 営業外損益は、前連結会計年度に比べ、43億円悪化し、107億円の損失となりました。これは為替差損益が前連結会計年度に比べ20億円悪化したこと等が主な要因です。

 

⑤税金等調整前当期純利益

 特別損益は、コスモ石油㈱の千葉パイプライン工事等に伴う「補助金収入」33億円等を特別利益として計上する一方、特別損失として固定資産の除却・撤去に関する「固定資産処分損」63億円等を計上したことにより29億円の損失となり、前連結会計年度に比べ、48億円の損失減少となりました。

 結果として、前連結会計年度は438億円の税金等調整前当期純損失だったの比べ、1,224億円利益が改善し、税金等調整前当期純利益は786億円となりました。

 

⑥法人税等

 法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ、50億円(37.4%)増加の183億円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度に比べ、133億円増加し、6億円となりました。その結果、当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度に比べ、183億円増加し、189億円となりました。

 

⑦非支配株主に帰属する当期純利益

 非支配株主に帰属する当期純利益は、主として、石油化学会社及び石油開発会社等の非支配株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度に比べ、6億円(10.1%)増加し、64億円となりました。

 

⑧親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度502億円の親会社株主に帰属する当期純損失だったのに比べ、1,034億円利益が改善し、532億円となりました。1株当たりの当期純利益金額は、633.32円となりました。

 

(2)流動性及び資金の源泉

①財政状態

 当連結会計年度末の連結財政状態といたしましては、総資産は1兆5,257億円となり、前連結会計年度末比1,161億円増加しております。これは、主に原油価格上昇により、売上債権、たな卸資産並びに仕入債務が増加したこと等によるものです。純資産は2,728億円となり、前連結会計年度末比701億円増加し、自己資本比率は10.8%となりました。

 

②キャッシュ・フロー

 当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したこと等の資金増加要因により476億円のプラスとなりました。投資活動は、固定資産等の取得に伴う支出等により1,120億円のマイナスとなりました。財務活動は、コマーシャル・ペーパーの増加等により96億円のプラスとなりました。

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比533億円減少の361億円となりました。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

平成28年3月期

平成29年3月期

自己資本比率

7.7%

10.8%

時価ベースの自己資本比率

7.1%

10.5%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

41.1年

16.2年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

1.4倍

3.8倍

(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。

4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。