(1)経営方針
当社は、『Oil&New 石油のすべてを。次の「エネルギー」を。』をスローガンとした2018年度を初年度とする新連結中期経営計画(新中計)を策定いたしました。
主力事業である石油開発事業、石油事業の収益力を強化し財務基盤を確立するとともに、長期的な環境変化を見据え、再生可能エネルギー事業への積極投資や石油化学事業の競争力強化など事業ポートフォリオの拡充を図ってまいります。
(2)経営環境
日本経済の今後の見通しにつきましては、金融資本市場の変動の影響や海外経済の不確実性に留意する必要がありますが、雇用・所得環境の改善が続く中で各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。石油業界を取り巻く環境につきましては、自動車の燃費改善、省エネルギー志向の高まりなどにより、燃料油の国内需要は減少トレンドが継続するものと予想されますが、世界的にはアジア諸国を中心に石油製品の需要増加が見込まれます。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
石油開発事業
長期的には、約50年にわたるUAEアブダビ首長国での安定した海上油田の生産実績による強固な信頼関係と自社操業(オペレーターシップ)の強みを活かし、付加価値を得られる案件を志向してまいります。新中計の方針としましては、ヘイル油田のフル生産の継続、操業コストの削減および次代の新規投資案件の検討を行ってまいります。
石油事業(石油精製事業)
長期的には、EV普及などによる石油製品需要の減退やIoT(モノのインターネット)活用の取り組みが活発化していくことが予想される中、燃料油から石化原料へのシフト、製油所のIT化を推進してまいります。新中計の方針としましては、安全安定操業体制を磐石なものとし、IMO規制(注)の強化を背景に、コーカー能力増強に伴う収益油種の拡大と高稼働維持による世界標準以上の製油所競争力を確立してまいります。また、供給先の拡大、他社とのアライアンスを活かした競争力の強化、石油化学事業とのシナジーの創出を目指してまいります。
(注)IMO規制:国際海事機関(IMO)により採択された、2020年以降実施が予定されている一般海域における船舶燃料油の硫黄分の規制
石油事業(石油販売・カーライフ事業)
長期的には、EV化やカーライフの変化に対応したビジネスモデルの変革により事業領域を確保し、石油精製と併せて競争力を確保してまいります。新中計の方針としましては、カーライフ事業の拡大を志向しつつ長期的な事業環境を鑑み、新規ビジネスモデルの見極めを行ってまいります。
石油化学事業
長期的には、世界の人口増加を背景に国際市場が拡大していくものの、競争力の高い北米のエタンクラッカーや中国のナフサクラッカーの新増設により供給量が増えていくことが想定されます。そのような環境において、燃料油から石化原料へのシフトを行い、エチレン・パラキシレン生産での競争優位性を最大限活用してまいります。新中計の方針としましては、石油精製と石油化学のシナジー享受(未利用留分の活用など)と深度化、基礎品の競争力強化と環境に左右されにくい機能品の新規事業拡大を目指してまいります。
再生可能エネルギー事業
長期的には、脱炭素の世界的な潮流の中、わが国においても今後大きな成長が期待されます。石油業界においてトップの業容を有する風力発電事業を中心に、当事業を新たな柱とすべく、積極的な拡大を目指してまいります。新中計の方針としましては、陸上における風力発電容量を現在の22.7万kWから40万kW規模へ拡大すべく仕掛かり案件の確実な開発を進めるとともに、今後、事業環境の整備・投資機会の拡大が見込まれる洋上での風力発電事業に進出を図り、日本における同分野のリーディングカンパニーを目指してまいります。
これらの取り組みのほか、事業領域の拡大を目指して、ムバダラ投資会社やセプサ社(注)、ヒュンダイオイルバンク社とのアライアンス強化をより一層進めてまいります。
(注)セプサ社: Compañía Española de Petróleos, S.A.U.(スペインの総合エネルギー企業)
CSR経営の推進
社会と当社グループが共に持続的に発展するための取り組みをCSR中計として策定しました。ESGの観点に基づく活動をグループおよび取引先を含むサプライチェーン全体で推進してまいります。また、ガバナンス体制の強化、働き方改革の推進およびダイバーシティ(多様な働き方の定着)を図るとともに、社員一人ひとりが誠実に業務を遂行し、社会からの期待に応えることで、継続して社会に貢献してまいります。
当社グループといたしましては、経営環境の変化に対して、常にオープンな姿勢で様々な可能性を探り、引き続き積極的な事業活動と柔軟かつ迅速なアライアンス戦略(協業・共同・統合)を展開し、事業ごとの競争力を強化してまいります。さらに、長期的な事業の方向性を踏まえた新中計を実行し、国内石油業界における第三極を形成することに加え、次の成長に向けた事業ポートフォリオを強化することで、当社グループの永続的な成長と企業価値の最大化を目指してまいります。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月21日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、計画と異なる場合があります。
当社グループの経営成績及び財政状況等は、今後起こり得るさまざまな要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループでは、当社グループでコントロールできない外部要因や事業リスクとして顕在化する可能性が必ずしも高くない事項も含め、投資家の判断上重要と考えられる事項については積極的に開示しております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月21日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)需要動向の影響
当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受けます。また、ナフサは石油化学業界、軽油は運輸業界、重油は電力業界、海上輸送業界等の需要動向を反映します。従いまして、国内のみならず海外も含めた経済動向や天候の変化等で需要が変動することにより、当社グループの販売規模に影響を及ぼす可能性があります。
(2)原油価格および原油調達に関するリスク
原油価格は、需要動向と生産動向により大きく左右されます。需要動向につきましては、大消費国であるアメリカや経済成長の著しいアジア地域(特に中国)の影響が大きく、生産動向につきましては、OPEC加盟国や他産油国の増減産に加え、シェールオイルの増減産の影響が大きいと認識しております。特に中東産油国の周辺地域においては、戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、原油価格や原油調達が悪影響を受ける恐れに加え、生産拠点での操業停止等により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原油在庫の価格を総平均法で評価しております。そのため、原油価格の下落局面では、期初の在庫単価と期中に仕入れた下落した在庫単価が平均されるため、売上原価を押し上げることになり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)外国為替レートの変動
国内石油事業においては、海外より原油及び石油製品等を輸入しており、その代金は通常米ドル建てで決済されるため、外国為替レートの変動により差損益が生じます。為替レート変動による悪影響を最小限に留めるべく、為替ヘッジ取引を行っておりますが、円安へ推移すれば調達コストを押し上げることとなる等、為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、外国為替レートの変動は、海外連結子会社または持分法適用会社の財務諸表を円貨換算する際にも影響を及ぼす可能性があります。
(4)石油製品等の市況の変動
上述の通り、当社グループの主要な石油製品のコストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行っており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップが生じた場合、或いはタイムラグが生じた場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)金利の変動
金利の変動により、今後借入金利が上昇した場合には金融コストが増加する等、金利の変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。
(6)資産価値の変動
経済動向等の影響から、土地や有価証券等、当社グループが保有する資産価値が下落することにより、評価損が発生する恐れがある等、資産価値の変動によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)競合のリスク
当社グループは石油事業を中心に国内外の企業との激しい競争にさらされております。当社グループは引き続き競争力の維持、向上に取り組んでまいりますが、競合他社と比して効率的な事業運営ができない場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。
(8)災害や事故による影響
当社グループの製油所では多量の可燃物を扱っていることから、特に人為的な操業事故や労働災害を未然に防止するため、様々な安全対策の徹底を図っております。しかしながら、設備の老朽化や地震等の自然災害等、何らかの要因により事故が発生した場合、操業を停止せざるを得なくなる可能性があります。また、製油所以外でも、油槽所やSS、タンカーやローリー等による不慮の事故により、当社グループの事業運営に支障をきたす恐れがあり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。
(9)石油産業に適用される法規制の影響
石油産業には公害や環境問題に関する様々な法律が適用されており、当社グループはこれらの規制に適合するために費用を負担しております。環境問題への対策強化が予想される中、新たな法律、規制、税金等が課される可能性を認識しております。今後、新しい法律や現行法の改正等により、当社グループの費用負担が増加するリスクがあります。当社グループではCSR経営を進めるにあたり、法令遵守を柱の一つと位置付け、仕組みを整えるとともに社員一人ひとりのモラル向上に努めております。しかし、ヒューマンエラー等による法令違反のリスクが顕在化した場合には、行政処分を受け、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報の管理
情報管理につきましては、社内情報システムのセキュリティを強化するためにウィルス対策や個人情報保護対応等を実施しております。さらに、顧客情報を含む機密情報の管理、取り扱いにつきましては、社内体制、社内規程等を整備し、外部への委託先に対して監督管理及び監査を実施しております。しかしながら、何らかの要因により個人情報を含む機密情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクが顕在化した場合には、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、アベノミクスの推進により、雇用・所得環境が改善したほか、海外経済が回復する中で、輸出や生産の持ち直しが続くとともに、個人消費や設備投資が持ち直すなど、緩やかな景気回復基調が続きました。
原油価格は、期初に1バレル51ドル台であったドバイ原油が、米国のシェールオイル増産などの影響により43ドル台まで下落しましたが、11月にOPECによる減産延長の合意やイラン反政府デモなどにより、期末は65ドル台で終えました。
為替相場は、期初は1ドル111円台から始まり、8月からの北朝鮮によるミサイル発射問題などがあったものの、12月には1ドル112円前後と安定した相場が続きました。その後、2月の日経平均株価下落の影響や米国トランプ政権への不安などから、円高基調に反転し、期末は106円台で終えました。
石油製品の国内需要は、ガソリンは燃費改善により需要が減少する一方、灯油・軽油は厳冬の影響や東京オリンピックに向けた建設需要の増加に伴い前期を上回る実績となりました。A重油・C重油に関しては燃料転換などにより需要が前期比で大幅に減少した結果、全体としては前期を下回りました。
石油化学製品は、国内需要が前期並みで推移する中で、エチレンプラントが高稼働を維持したことにより、生産は前期を上回りました。市況は国内及びアジア地域において、堅調に推移しました。
以上の結果、当期の連結経営成績は、売上高は2兆5,231億円(前期比+2,308億円)、営業利益は1,119億円(前期比+197億円)、経常利益は1,169億円(前期比+355億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は728億円(前期比+196億円)となりました。
なお、セグメント情報につきましては、以下のとおりであります。
[石油事業]
石油事業につきましては、主に原油価格の上昇により、売上高は増加しました。また、原油価格の上昇によるたな卸資産の在庫評価の影響が売上原価を押し下げました。その結果、売上高は2兆2,927億円(前期比+1,928億円)、セグメント利益は588億円(前期比+176億円)となりました。
[石油化学事業]
石油化学事業につきましては、製品販売数量の増加及び製品市況の改善により、売上高は4,585億円(前期比+801億円)、セグメント利益は304億円(前期比+82億円)となりました。
[石油開発事業]
石油開発事業につきましては、原油販売価格の上昇等により、売上高は563億円(前期比+118億円)、セグメント利益は183億円(前期比+90億円)となりました。
当期の連結財政状態は、総資産は1兆6,909億円(前連結会計年度末比+1,652億円)、負債合計は1兆3,347億円(前連結会計年度末比+818億円)、純資産合計は3,561億円(前連結会計年度末比+833億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は551億円となり、前連結会計年度末の残高361億円に比べ190億円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金の増加は1,926億円であり、前連結会計年度に比べ1,450億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益を計上したことや仕入債務が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金の減少は964億円であり、前連結会計年度に比べ156億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金の減少は768億円であり、前連結会計年度に比べ864億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは主に、借入金の返済等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
石油事業 |
|
870,675 |
108.4 |
|
石油化学事業 |
|
351,064 |
180.0 |
|
石油開発事業 |
|
13,608 |
94.2 |
|
合計 |
1,235,347 |
122.0 |
|
(注)1 自家燃料は除いております。
2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。
3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。
4 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
b受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
その他 |
10,387 |
114.6 |
6,753 |
168.8 |
(注)上記の金額に消費税等は含まれておりません。
c販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
石油事業 |
|
2,076,816 |
108.3 |
|
石油化学事業 |
|
404,221 |
123.2 |
|
石油開発事業 |
|
18,900 |
86.3 |
|
その他 |
|
23,166 |
97.9 |
|
合計 |
2,523,106 |
110.1 |
|
(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
JXTGホールディングス㈱ |
- |
- |
335,550 |
13.3 |
|
JXホールディングス㈱ |
304,860 |
13.3 |
- |
- |
※JXTGホールディングス㈱は、2017年4月1日にJXホールディングス㈱と東燃ゼネラル石油㈱が経営統合し、商号変更したものであります。
※販売実績には、JXTGホールディングス㈱と同一の企業集団に属する企業に対する販売実績を含めております。
3 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月21日)現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a売上高
売上高は、前連結会計年度に比べ、2,308億円(10.1%)増加の2兆5,231億円となりました。これは、主に原油価格上昇による影響によるものです。
b売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度に比べ、2,030億円(9.8%)増加し、2兆2,827億円となりました。これは、原油価格上昇が主な要因です。売上高に対する売上原価の比率は、0.2ポイント減少して、90.5%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、81億円(6.8%)増加し、1,285億円となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.2ポイント減少して、5.1%となりました。
c営業利益
上記の結果を受け、営業利益は、前連結会計年度922億円に比べ、197億円利益が改善し、1,119億円となりました。これは、主に石油事業において製油所の高稼働および国内の需給改善したこと、石油化学事業において製品販売数量の増加と市況の改善したことによるものです。
d営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度に比べ、157億円改善し、50億円の利益となりました。これは持分法投資損益並びに為替差損益が前連結会計年度に比べそれぞれ101億円、36億円改善したこと等が主な要因です。
e税金等調整前当期純利益
特別損益は、連結子会社コスモ石油㈱の千葉パイプライン工事等に伴う「補助金収入」30億円等を特別利益として計上する一方、特別損失として固定資産の除却・撤去に関する「固定資産処分損」82億円等を計上したことにより76億円の損失となり、前連結会計年度に比べ、47億円の悪化となりました。
結果として、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ307億円利益が増加し、1,093億円となりました。
f法人税等
法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ、104億円(57.0%)増加の287億円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度に比べ、41億円減少し、△35億円となりました。その結果、当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度に比べ、63億円増加し、252億円となりました。
g非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、主として、石油化学会社及び石油開発会社等の非支配株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度に比べ、49億円(75.9%)増加し、113億円となりました。
h親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ、196億円増加し、728億円となりました。1株当たりの当期純利益金額は、865.80円となりました。
③流動性及び資金の源泉
a財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,648億円となり、前連結会計年度末に比べ1,032億円増加いたしました。これは主に原油価格の上昇に伴い受取手形及び売掛金が483億円増加したこと及びたな卸資産が220億円増加したことによるものであります。固定資産は1兆257億円となり、前連結会計年度末に比べ621億円増加いたしました。これは主に設備投資により有形固定資産が443億円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1兆6,909億円となり、前連結会計年度末に比べ1,652億円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は8,002億円となり、前連結会計年度末に比べ1,447億円増加いたしました。これは主に原油価格上昇に伴い支払手形及び買掛金が1,039億円増加したことによるものであります。固定負債は5,346億円となり、前連結会計年度末に比べ628億円減少いたしました。これは主に長期借入金が651億円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は1兆3,347億円となり、前連結会計年度末に比べ818億円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,561億円となり、前連結会計年度末に比べ833億円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益728億円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は14.1%(前連結会計年度末は10.8%)となりました。
bキャッシュ・フロー
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したことなどの資金増加要因により1,926億円のプラスとなりました。投資活動は、固定資産の取得に伴う支出等により964億円のマイナスとなりました。財務活動は、借入金の返済等により768億円のマイナスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比190億円増加の551億円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フローに関する指標は下記のとおりであります。
|
|
2016年3月期 |
2017年3月期 |
2018年3月期 |
|
自己資本比率 |
7.7% |
10.8% |
14.1% |
|
時価ベースの自己資本比率 |
7.1% |
10.5% |
17.1% |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
41.1年 |
16.2年 |
3.6年 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
1.4倍 |
3.8倍 |
15.6倍 |
(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(1)1967年12月6日、アブダビ首長国政府と大協石油㈱(現 連結子会社コスモ石油㈱)・丸善石油㈱及び日本鉱業㈱(現 JX石油開発㈱)は利権協定及び事業協定を締結しました。連結子会社アブダビ石油㈱は、1968年2月1日、上記利権及び事業権を譲り受け、利権地域であるアブダビ海域(ムバラス油田)において石油の探鉱・採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。
(2)1979年4月28日、アブダビ首長国政府とアブダビ石油㈱はムバラス油田の西方海域の新利権鉱区における石油資源開発に関して、原協定(1967年12月6日締結)を補足する協定を締結しました。アブダビ石油㈱は、同利権地域における石油の探鉱・採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。
(3)1997年7月15日、カタール国政府とコスモ石油㈱・日商岩井㈱(現 双日㈱)及び合同石油開発㈱は、カタール国沖合東南第1鉱区アル・カルカラ構造及びA構造における石油の探鉱・開発の生産物分与契約(以下「DPSA」)を締結しました。連結子会社カタール石油開発㈱は1997年11月14日、DPSAに基づく全ての権利義務を上記3社から譲り受け、当該区域において、開発・生産・貯蔵・輸送及び販売を行っております。
(4)1999年10月12日、コスモ石油㈱と日石三菱㈱(現 JXTGエネルギー㈱)との間で、原油調達・精製・物流及び潤滑油の各分野に関して、業務提携に関する基本協定を締結しました。
(5)2007年9月18日、コスモ石油㈱とInternational Petroleum Investment Company(現 Mubadala Investment Company)との間で、日本/アジア/環太平洋における、エネルギー分野を中心とした包括的かつ戦略的な業務提携を行うことを目的に、コスモ石油㈱への投資に関する第三者割当契約を締結しました。
(6)2011年2月3日、アブダビ首長国最高石油評議会とアブダビ石油㈱は現在操業している3油田の利権の更新と新鉱区の追加取得について、新たな利権協定を締結しました。本協定は、前協定(1967年12月6日締結及び1979年4月28日締結)が期限満了となった2012年12月6日より発効しました。
当社グループの研究開発活動は、連結子会社コスモ石油㈱、コスモ石油ルブリカンツ㈱、丸善石油化学㈱及びコスモエンジニアリング㈱で実施しております。コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒、石油化学などの石油精製に関する研究や石油開発に関する研究、環境に対応したバイオ燃料の研究等を行っております。コスモ石油ルブリカンツ㈱では、環境対応潤滑油商品化の為に技術開発に取り組むとともに、消費者のニーズに応える潤滑油関係の商品開発等を行っております。丸善石油化学㈱では、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品等、既存事業の強化・拡大、及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。コスモエンジニアリング㈱では、プラント保全技術、次世代エネルギー・環境・ライフサイエンス対応技術等、時代のニーズに応える研究活動を行っております。
この結果、当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は4,540百万円であります。
以下に主要な研究概要をセグメント別に記載いたします。
(1)石油事業
コスモ石油㈱は、石油製品や石油精製プロセス・触媒、石油化学などの石油精製に関する研究や石油開発に関する研究、環境に対応したバイオ燃料の研究等を行っております。
石油精製分野では、長年培った触媒技術を活かして製油所の高効率稼動や精製コストの削減を目的とし、精製プロセスの最適化や調達原油の多様化などに取り組んでおります。また、船舶用燃料油の硫黄分規制強化に対応した燃料処方検討や需給構造変化に向けた重質油削減などを実施するとともに、石油留分の高付加価値化など石油化学との連携強化に関する研究開発にも取り組んでおります。
石油開発分野では、2016年度より原油タンク底部に蓄積する原油スラッジの削減技術に関する共同研究を独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と実施しております。2017年度では、原油スラッジ中の原油留分を回収するとともに産業廃棄物量を削減する技術開発を行い、パイロットスケールでの技術開発を完了しました。
バイオ燃料分野では、バイオエタノールの製造技術に関して国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発事業に参画し、実用化に向けて研究を実施しました。そして、これまでの長年の研究により、2017年度石油学会 野口記念奨励賞を受賞しました。
また、Hyundai Oilbank Co., Ltd. (HDO)との「石油事業包括協力覚書」(2008年4月16日締結)に基づいた協力範囲をより発展・具体化させることを目的に、2011年10月13日に締結した技術/研究分野における覚書に基づき、技術委員会を継続して交互に開催し、研究開発活動の強化に努めております。
コスモ石油ルブリカンツ㈱は現在、環境対応・安全対応を最重要テーマとし、省エネ・省燃費・省資源対応潤滑油、難燃性潤滑油、生分解性潤滑油のオンリーワン商品開発に取り組んでおります。また、自社開発技術の更なる発展による要素技術開発・商品開発も並行して実施しております。
今後ますます厳しくなる排ガス規制・省燃費規制に対応したディーゼルエンジン油、ガスエンジン油の開発や、省エネルギー・省資源技術確立のための更なる研究開発に取り組むとともに、車両用潤滑油・工業用潤滑油・グリースの商品開発はもとより、熱対策として放熱性に優れた「コスモサーマルグリース」、低トルク・省電力の「HDD動圧軸受油」など高付加価値商品の開発及び産学連携による新規商品開発にも取り組んでまいります。
(2)石油化学事業
丸善石油化学㈱は、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品など、既存事業の強化・拡大、及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。エチレンやプロピレンなど、ナフサの熱分解による石油化学製品の生産過程で併産されるアセチレン、C4、C5留分などの未利用留分を原料とし、ビニルエーテル類や、未利用留分の付加価値をさらに高めた製品の開発、量産化に向けたプロセス技術の開発を実行中です。一方、年を追うごとに微細化、高性能化が進む最先端のメモリー、デバイスの生産に使用される半導体レジスト材料、周辺材料などの分野では、増々高度化、多様化する顧客の要望に応えるために、生産技術、製品評価技術の向上、新規の製品・技術を創出するための研究開発を推進しております。
(3)その他
コスモエンジニアリング㈱はプラント産業分野での経験やノウハウをベースとした技術力を更に強化し、様々な顧客のニーズに的確に応えられるよう、新規事業開拓に向けて以下の主要6点について研究活動を進めております。
①プラント設計/保全関連技術では3Dレーザースキャナーを活用した点群データによるプラント設計/保全・プラント更新事業に関して技術開発しております。また、IoT/AIの仕組みを組み込んだ効率的・効果的な予防保全について商品開発しております。
②再生可能エネルギー関連では風力発電事業において、競争力強化のため新技術を活用した風車保全に関して技術開発しております。
③次世代エネルギー関連において、石油産業で培ってきたプラント設計・建設技術を応用し、非食糧系のバイオマス及び食品廃棄物を原料としたバイオ燃料プラントのEPC(設計・調達・建設)に関して事業開発しております。
④次世代のクリーンなエネルギーとして注目されている水素について、バイオマス系を含む多様な原料から水素を製造する事業について技術開発しております。また、自社が得意とする水素関連技術に関して参入できる新たな水素プラント事業について商品開発しております。
⑤環境対応技術ではCO2の分離・回収技術に関して自社が得意とする工業ガスの分離・精製技術や原油スラッジからの油分回収技術についてプロセス調査と技術導入に取組んでおります。
⑥ライフサイエンス関連では、石油化学産業で培ってきた技術を活かし、医薬プラントのEPCについて事業開発しております。また、植物工場や淡水化・水浄化プラントについて調査・技術検討に取り組んでおります。