第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針及び経営戦略

『Oil & New 石油のすべてを。次の「エネルギー」を。』をスローガンに、2018年度より5か年の第6次連結中期経営計画を推進しております。

現在、石油製品の国内需要は漸減傾向であるものの、中長期的に石油ビジネスは健在と考えております。しかし、脱化石燃料へ向かう社会の中で当社が持続的に成長するためには、将来に向けた新しい事業の柱を作っていくことが必要不可欠です。このことを見据え第6次連結中期経営計画では、「再投資可能な収益力の確保」「将来に向けた成長ドライバーの強化」「財務体質の健全化」「グループ経営基盤の強化」を基本方針として、次の成長へ向け事業ポートフォリオを強化させつつ、石油開発事業や石油事業で収益力を強化し財務基盤を確立させてまいります。

 

<第6次連結中期経営計画の基本方針>

 

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下の図は当社グループの長期的な事業ポートフォリオの移行イメージを示しております。脱化石燃料の動きを睨みながらも、石油関連事業の競争力を強化することで一定規模の収益力を維持しつつ、積極的な投資により成長が見込まれる再生可能エネルギー事業や石油化学事業を新たな柱にしてまいります。

 

<事業ポートフォリオ移行のイメージ>

 

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なお、以下の通り、第6次連結中期経営計画の重点施策は、着実に進捗しております。

 

重点施策①石油事業の更なる競争力強化

石油事業においては、国際海事機関(IMO)の船舶燃料向け硫黄分規制が強化され、全海域で高硫黄C重油が使えなくなりました。当社グループでは、規制が導入される2020年よりも前倒しでコスモ石油㈱堺製油所の重質油熱分解装置(コーカー)を増強し、高硫黄C重油を生産しない体制を構築しました。また、2017年に資本業務提携契約を締結したキグナス石油㈱へ燃料油供給を2019年7月から開始しております。2020年度は更なる販売数量増加により収益改善効果を見込んでおります。

石油開発事業では、2017年度よりヘイル油田において生産を開始しておりますが、2019年度は当初想定よりも油層の圧力低下が見られるため、生産を意図的に抑制いたしました。2020年度に油層圧回復のため、2次回収に向けた投資を実施する予定でしたが、原油価格の下落と、世界経済の状況を踏まえて、投資の実施時期を再検討しております。将来的には、フル生産による利益貢献拡大を期待しております。

 

重点施策②事業ポートフォリオの転換

再生可能エネルギー事業で中心となるのが、風力発電事業です。コスモエコパワー㈱は、風力発電業界におけるパイオニア的企業で、国内シェアは第3位です。陸上風力発電は2022年度までに発電量を23万kWから約40万kWに拡大する計画を着実に進めております。洋上風力発電事業は、固定価格買取制度(FIT制)から入札制に移行する中で大企業の参入が予想されますが、当社グループは、他の大手企業に先駆けて、複数のエリアでプロジェクトを進めており、競争優位にあると考えております。秋田港・能代港、秋田由利本荘沖、青森西北沖、秋田中央海域などのプロジェクトを進め、洋上風力発電のリーディングカンパニーとしての地位を確立することを目指しております。洋上風力発電の本格展開に伴い、2030年には100万kWの発電能力を目指してまいります。

 

石油化学事業は、成長ドライバーのひとつとして位置づけ、石油事業とのシナジーを追求しながら、積極的な投資を行っております。国内最大規模のエチレン生産能力を持つ丸善石油化学㈱は、環境に左右されにくい機能品等の生産を拡大します。2020年度に荒川化学工業㈱と共同で建設している、紙おむつ等の衛生材料の組み立てに用いられる水素化石油樹脂の生産設備が完成する予定です。また、Hyundai Oilbank Co.,Ltd.との合弁会社であるHyundai Cosmo Petrochemical Co.,Ltd.にてパラキシレン製造装置の競争力向上のための省エネ・増産投資が完了を予定しております。2021年度には、基礎化学品の高付加価値化を目的として丸善石油化学㈱と共同で建設しているプロピレン精留塔の商業運転が開始される見込みです。

 

重点施策③業務改革(ダイバーシティー・働き方改革)の取り組み

今後、中期的に労働人口減少が予想される中、業務改革として属人的な仕事を大幅に削減し、BPOの推進、RPA及びAIといった新しいIT技術の投資が必要であると考えております。今よりももっと短時間かつフレキシブルな働き方ができる体制に変革させ、生産性の向上、ダイバーシティの推進を目指しております。

当社グループの主要各社では従前より、育児や介護支援のための在宅勤務制度を設けておりましたが、2019年度に制度を拡充し、事由や場所を問わず週2日テレワークができる体制を整えています。また、テレワークの事由が育児や介護であれば回数制限なく利用できるようになりました。2019年度の制度利用率は前年比で3倍以上と大きく伸びました。今般の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言を受けて、臨時的に週5日テレワークが可能となり、事業所や勤務形態によっては、ほぼ全ての社員が使うことになりました。既に時間や場所を問わず働く体制ができていたため、順調に対応できました。今回得た経験を基に、当社グループの業務改革を更に進めてまいります。

 

(2)経営環境

当連結会計年度における日本経済は、雇用情勢の改善と所得の緩やかな増加を背景に個人消費の持ち直しが続き、企業収益が高い水準にあるなど緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、設備投資に弱さが見られ、また、新型コロナウイルス感染症の影響により先行きに不透明感が生じました。

原油価格は、期初に1バレル68ドル台であったドバイ原油が、米国と中国の貿易摩擦等を受けた世界経済の先行き不透明感の強まり、サウジアラビアの石油関連施設への攻撃、米中貿易協議の進展によって景気失速や原油需要減退への懸念が後退したこと等を背景として50ドル台後半から70ドル台前半のレンジで推移いたしました。その後、3月にOPEC加盟国と非加盟国が協調減産の合意に至らず、さらに新型コロナウイルス感染症の経済活動への影響が拡大したことにより急落し、期末は23ドル台で終えました。

為替相場は、期初は1ドル111円台から始まり、米国と中国の貿易摩擦により一時105円台まで円高が進行したものの、米中貿易協議の進展とともに円安傾向となりました。その後、新型コロナウイルス感染症による世界経済の減速懸念から相場は不安定になりましたが、期末は108円台で終えました。

石油製品の国内需要は、依然として減退傾向が続いており、軽油は前期並みに推移したものの、ガソリン・灯油・重油がそれぞれ減少した結果、燃料油全体では前期を下回りました。

石油化学製品は、海外のプラント新設・増設の影響等により、エチレンやパラキシレン等の主要製品の需給が緩和し、低調な市況が続きました。

日本経済の今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が続くと予想されます。石油業界を取り巻く環境につきましては、感染症の影響による世界的な需要減により供給過剰がしばらく続くことが予想されます。国内においては、燃料転換や人口減少等の構造的要因による燃料油需要の減少傾向も継続するものと推察されます。

石油をはじめとする化石燃料は、日々の生活に欠かすことのできないエネルギーですが、気候変動が深刻化する中、消費抑制が強く求められるようになってきております。新型コロナウイルス感染症が与える影響を勘案すると、脱化石燃料がさらに加速する可能性があります。

このような経営環境の中、当社グループは、前中期経営計画から全社を挙げて懸命に進めてきた構造改革により、事業に抵抗力をつけることができました。構造改革の中で、燃料油の中期的な需要減少に備えた体制構築が完了していたため、燃料油需要の減少に対して、外部調達を調整することで、製油所の稼働率を低下させることなく、対応が可能になりました。業界再編が進む中で、統合による規模の拡大よりも、バランスを重視した戦略が功を奏しました。

今後も長期的な大きな潮流を捉えつつ、短期的な変化に柔軟に対応しながら、石油関連事業の競争力の強化と再生可能エネルギーへのシフトを同時に進める「Oil & New」の基本方針を着実に、かつスピード感をもって実行することで、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

上述の経営環境の中で第6次連結中期経営計画を実行する上で、各事業セグメントにおいて当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題は以下の通りです。

 

石油開発事業

当社グループが長年信頼関係を築いてきたアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国やカタール国を中心とする中東地域をコアエリアとして、既存権益鉱区での安全・安定操業のための取り組みを進めております。当社グループは、中東地域において日系企業がオペレーターとなる会社としては最大規模の原油生産量を誇っており、アブダビ石油㈱、カタール石油開発㈱及び合同石油開発㈱が、安全・安定操業を継続しました。

アブダビ石油㈱においては、2017年度よりヘイル油田において生産を開始しておりますが、2019年度は当初想定よりも油層の圧力低下が見られるため、意図的に生産を抑制しました。2020年度に油層圧回復のため、二次回収に向けた投資を実施する予定でしたが、足元の経営環境を踏まえ、投資の実施時期を再検討しております。このほかの既存油田(ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラ油田)全体では生産数量が回復し、安定した生産を継続しました。

カタール石油開発㈱においては、改造電動ポンプが順調に稼働したことにより、安定的な原油生産を実現するとともに、増産に向けた既存井の改修の取り組みを進めました。

当社グループでは引き続き、半世紀にわたるUAEアブダビ首長国での安定した海上油田の生産実績による強固な信頼関係と自社操業を強みとして、既存油田の安定的な生産の継続、操業コストの削減、次代の新規投資案件の検討を行ってまいります。

 

石油事業(石油精製事業)

2020年1月から実施されているIMO規制の強化への対応として、コスモ石油㈱堺製油所のコーカーの能力を増強し高硫黄C重油から中間留分(灯油・軽油・A重油)や低硫黄C重油といった収益油種の生産へシフトしました。また、供給面においては、国内に400店舗を超える販売網を有するキグナス石油㈱へ燃料油の供給を開始いたしました。

引き続き、燃料需要の減退や、IT活用の活発化が予想される中、収益油種への集中及び石油化学事業へのシフト、製油所のIT化等を推進してまいります。

 

石油事業(石油販売・カーライフ事業)

カーライフ事業につきましては、コスモステーションのさらなる発展に向けたプログラムとして「Oil & New for COSMO STATION 2019」を策定し、カーライフマーケット全体をターゲットとし、お客様に最適なカーライフを提供することにより、コスモステーションの大幅な収益改善を実現するという理念のもと、「成長事業の育成」への変革に取り組んでおります。

お客様とのつながりの強化の一環として、2019年8月に新アプリ「カーライフスクエア」をリリースし、店舗ごとのお買い得商品の情報や異業種店舗で利用可能なお得なクーポンの提供等を開始いたしました。また、車検予約サービスによる車検顧客の店舗への送客により新たな顧客の獲得も図っております。今後も、「カーライフスクエア」を通じたさらなるOne to Oneサービスの実現に向け、開発を進めてまいります。

石油販売事業の収益構造の再構築に向けて取り組みを進めている「コスモ My カーリース」につきましては、サービス開始以来多くのお客様の支持をいただいております。また、カーライフの多様化にワンストップでお応えする車両販売の業態につきましては2019年11月に「コスモ My カーリース STORE」としてブランドを一新し、全国235店舗まで拡大しました。

電力小売販売ビジネスとしましては、4月に東北電力・東京電力・中部電力の各エリア管内のコスモ・ザ・カードユーザーを対象に家庭用電力「コスモでんき」の販売を開始し、販売エリアを沖縄エリア除く全国に拡大いたしました。使用量に応じて電気料金が割引になる「コスモでんき『スタンダード』」に加え、実質、再生エネルギー100%の「コスモでんき『グリーン』」、電気料金に応じてdポイントを付与する「コスモでんき『ポイントプラス』」も開始し、ニーズに合わせたサービスプランを展開しております。ホームライフ市場への足がかりとして、順次、代理店となる加盟店舗を拡大して取り組みを強化してまいります。

引き続き、カーライフの変化に対応したビジネスモデルへの変革により事業領域を確保し、石油精製と併せて競争力を確保してまいります。また、カーライフ事業の拡大を志向しつつ長期的な事業環境を鑑み、カーシェア事業への参入、コスモステーションにおける車両買い取り機能の強化、電力小売販売等の新規ビジネスの拡大を進めてまいります。

 

石油化学事業

丸善石油化学㈱につきましては、前連結会計年度の定期整備の影響が解消したため生産数量及び販売数量ともに前期比で増加しましたが、海外において石油化学プラントの新設・増設が相次いだうえ、新型コロナウイルス感染症の影響による需要低下の影響も重なり、低調な市況で推移したため、前年を下回る業績となりました。

当社、丸善石油化学㈱及び荒川化学工業㈱による水素化石油樹脂の共同事業に関しましては、2020年末の装置完成に向け、2019年7月に水素化石油樹脂製造設備建設工事の起工式を実施しました。この取り組みは、コスモ石油㈱千葉製油所と丸善石油化学㈱千葉工場との一体運営を契機に、石油化学事業におけるコンビナート全体の競争力強化を進めるもので、共同事業のために設立した千葉アルコン製造㈱は、丸善石油化学㈱のエチレンプラントから副生される留分を原料として、付加価値の高い水素化石油樹脂の製造及び販売を行う予定です。その生産能力は年間2万トンとなる見込みであり、日本で最大規模の生産設備となります。

韓国のHyundai Oilbank Co.,Ltd.とコスモ石油㈱との合弁会社であるHyundai Cosmo Petrochemical Co.,Ltd.につきましては、当社グループ各社から安定的にミックスキシレンの供給を受け、パラキシレン製造装置の安定稼働を維持しました。

石油化学市場は、新型コロナウイルス感染症の影響による需要の低迷が見込まれますが、長期的には石油化学製品は世界の人口増加を背景に国際市場が拡大していくことが予想されるため、引き続き、燃料油から石化原料へのシフトを推進してまいります。このほか、エチレン・パラキシレン生産での競争力優位性を最大限活用しながら、未利用留分の活用等の石油精製と石油化学のシナジー享受や、レジスト等の環境に左右されにくい機能化学品の事業拡大を目指してまいります。また、2021年の完成を目標に高純度のポリマーグレードのプロピレン精製設備導入を計画しており、より一層の事業拡大を図ってまいります。

 

再生可能エネルギー事業

脱炭素の世界的な潮流の中、わが国においても今後大きな成長が期待されます。石油業界においてトップの業容を有する風力発電事業を中心に、当事業を新たな柱とすべく、積極的な拡大を目指してまいります。

風力発電事業につきましては、コスモエコパワー㈱の発電設備(総発電出力26.6万kW)が順調な稼働を継続した結果、10期連続の増収を達成するとともに前期を上回る利益を確保しました。

陸上風力発電事業に関しましては、2022年までに風力発電出力40万kW体制を目指しております。2019年度は4月に姫神ウィンドパーク(岩手県)、度会ウィンドファーム(第2期)(三重県)の運転を開始し、また、中紀ウィンドファーム(和歌山県)の2021年度の運転開始を目指して建設を進めました。

洋上風力発電事業に関しましては、2016年4月に設立した特別目的会社秋田洋上風力発電㈱が秋田県の秋田港及び能代港の港湾区域において、日本国内で初の商業ベースでの大型洋上風力発電事業の実施を決定いたしました。本事業は、発電容量約14万kWの洋上風力発電所を建設・保守・運転し、完工後20年間にわたり再生可能エネルギーのFIT制度に基づき東北電力㈱に売電するものです。2022年の商業運転開始を目指して建設を進めています。今後、事業環境の整備・投資機会の拡大が見込まれる洋上風力発電事業をさらに推し進め、日本における同分野のリーディングカンパニーを目指してまいります。具体的には、秋田県の秋田港及び能代港における洋上風力発電プロジェクト、秋田由利本荘沖洋上風力発電事業、青森西北沖洋上風力発電事業及び秋田中央海域洋上風力発電事業について実現に向けた検討を進めてまいります。

 

グループ経営基盤の強化

ESG経営の推進について

当社グループは、グループ理念に基づき、お客様・株主・地域住民・従業員等の全てのステークホルダーを含む社会の皆様の信頼と期待に応える経営を目指しております。第6次連結中期経営計画では重点施策の一つとして、ESG(環境施策・人権と社会貢献・安全とガバナンス)の観点から重要指標を設定した連結中期CSR計画を策定し、様々な取り組みを実行しております。また、2020年4月には、グループ全体として持続的成長への取り組みをさらに強化するため「サステナビリティ推進部」を設置いたしました。引き続きESG経営の継続的な改善・向上を図り、SDGsの実現を目指してまいります。

 

財務体質の健全化

当社は財務体質の健全化を最重要課題の一つとして認識しております。当連結会計年度は、原油価格の下落による在庫評価損の計上により、財務体質は悪化いたしましたが、これは一過性のものであると考えております。新型コロナウイルス感染症に起因する需要減少と原油価格下落が解消することにより、第6次連結中期経営計画最終年度となる2022年度には財務体質を健全化できると見込んでおります。今後も収益機会を確実に享受しながら、成長分野への積極的な投資を行ってまいります。

引き続き財務体質とのバランスを考慮しながら、株主還元への比重を高めてまいります。

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、“稼ぐ力”と“財務体質”を強化することで、市場環境変化に耐え得る自己資本の厚みとネットD/Eレシオ1倍台前半を早期に実現すべく第6次連結中期経営計画を策定し、下記を経営目標として掲げております。

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※ 2020年3月31日実行のハイブリッドローン300億円について、50%を資本とみなして算出

 

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態は、今後起こり得る様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下には、事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループは、コントロールできない外部要因や事業リスクとして顕在化する可能性が必ずしも高くない事項も含め、投資家の判断上重要と考えられる事項については積極的に開示しております。但し、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)セグメント特有のリスク

(石油開発事業)

①原油価格及び原油生産に関するリスク

原油価格は、需要動向と生産動向により大きく左右されます。需要動向は、大消費国であるアメリカや経済成長の著しいアジア地域、特に中国の影響が大きく、生産動向につきましてはOPEC加盟国や他産油国の増減産に加え、シェールオイルの増減産の影響も大きいと認識しております。加えて、新型コロナウイルス感染症等が長期化した場合は、需要減の影響が大きくなる可能性があります。

また、中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、原油価格が影響を受ける恐れに加え、生産拠点での操業停止等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(石油事業及び石油化学事業)

①原油価格及び原油調達に関するリスク

石油開発事業における原油価格に関するリスクに加え、当社グループは、原油在庫の価格を総平均法で評価しているため、原油価格の下落局面では、期初の在庫単価と期中に仕入れた下落した在庫単価が平均され売上原価を押し上げることになり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により原油調達が影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②石油製品及び石油化学製品等の価格に関するリスク

当社グループの主要な石油製品コストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行っており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップが生じた場合、或いはタイムラグが生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③石油製品及び石油化学製品等の需要に関するリスク

当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受けます。また、ナフサは石油化学業界、軽油は運輸業界、重油は電力業界、海上輸送業界等の需要動向を反映します。燃料油の国内需要は、少子高齢化や人口減少、燃費改善や燃料転換等の構造的要因から減少傾向が継続するものと想定しており、加えて今般の新型コロナウイルス感染症による影響が懸念されております。当社グループは、需要減少に備え国内販路の確保や収益油種を集中して生産できる体制の構築等に取り組んでおりますが、国内のみならず海外も含めた経済動向や天候の変化等で需要が変動した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④たな卸資産の収益性の低下による簿価切下げに関するリスク

原油価格の下落により、たな卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下し、たな卸資産の収益性が低下したと判断する場合があります。この場合、たな卸資産の収益性の低下を反映するために計上した評価損が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)その他のリスク

①外国為替レートに関するリスク

当社グループは、原油の輸入及び石油製品等の輸出入を行っており、その調達コストは通常米ドル建てで決済されるため、外国為替レートの変動により差損益が生じます。外国為替レートの変動による悪影響を最小限に留めるべく、為替ヘッジ取引を行っておりますが、円安へ推移すれば調達コストを押し上げることとなります。また、外国為替レートの変動は、海外連結子会社または持分法適用会社の財務諸表を円貨換算する際にも影響しており、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②金利に関するリスク

金利の変動により、今後借入金利が著しく上昇する等金融コストが増加する場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③資産価値に関するリスク

原油価格の下落や市場環境の変化等により、資産の収益性の低下や資産価値の下落が生じ、投資額の全部または一部の回収が見込めないと判断する場合があります。この場合、当社グループが保有する固定資産や投融資に対する投資額の回収可能性を反映するために計上する減損損失や評価損が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④法規制に関するリスク

石油産業には公害や環境問題に関する様々な法律が適用されており、当社グループはこれらの規制に適合するために然るべき対応を行っております。今後、環境問題への対策強化が予想される中、新たな法律、規制等が課される可能性があります。新しい法律や現行法の改正等により、費用負担が増加した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤競合に関するリスク

当社グループは石油事業を中心に国内外の企業との激しい競争にさらされております。引き続き競争力の維持、向上に取り組んでまいりますが、競合他社と比して効率的な事業運営等ができない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥信用に関するリスク

当社グループでは取引先に対する与信管理の体制を整備しておりますが、保有する売掛債権が取引先の経営悪化等により債務不履行に陥り回収不能になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦災害や事故に関するリスク

当社グループは、大量の危険物及び高圧ガスを取り扱っており、事故を未然に防止するために様々な安全対策を実施しています。しかしながら、設備の老朽化や人為ミスを原因とする事故や労働災害によって、製油所、物流基地及び油槽所等が操業停止する可能性があります。また、巨大地震や自然災害を想定し、非常用電源設置、耐震改修、事業継続計画(BCP)マニュアル整備及び防災訓練を行い、災害発生時の影響を最小限にする対策を講じています。しかしながら、地震発生時には何らかの要因で操業停止する可能性があります。さらに、製油所、物流基地及び油槽所等以外でも給油所、タンカー及びローリーでの事故及び地震等の災害で事業運営に支障をきたす場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧感染症等に関するリスク

当社グループは、従前より新型インフルエンザ等発生時のBCPマニュアルを整備し適宜見直しを実施することにより、感染症等による事業への影響の最小化を図っております。また、今般の新型コロナウイルス感染症の対応として、既に働き方改革の取り組みとして構築していた在宅勤務制度を感染予防策として活用、推進し、時差出勤などと併せて「新しい働き方」として生産性をより向上させる最も効率的な働き方を追求するとともに、衛生管理の徹底を図っております。しかし、当社グループ内での感染者が発生し、事業運営に影響が発生した場合は、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨品質に関するリスク

当社グループは、製品・サービスの品質に関するリスク評価の見直しを行い、既に構築している品質管理体制の強化に努めております。しかし、品質管理に関するリスクが顕在化した場合には、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩法令違反に関するリスク

当社グループは、ESG経営を進めるにあたり、法令遵守を柱の一つと位置付け、仕組みを整えるとともに、社員が遵守すべき行動規範である「コスモエネルギーグループ企業行動指針」の浸透を図り、また企業倫理・人権研修を通じ、社員一人ひとりのモラル向上、知識レベル向上に努めております。しかしながら、ヒューマンエラー等による法令違反のリスクが顕在化した場合には、行政処分を受け、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪情報の管理に関するリスク

情報管理につきましては、社内情報システムのセキュリティを強化するためにウイルス対策や個人情報保護対応等を実施しております。さらに、顧客情報を含む機密情報の管理、取り扱いにつきましては、社内体制、社内規程等を整備し、外部への委託先に対して監督管理及び監査を実施しております。しかしながら、何らかの要因により個人情報を含む機密情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクが顕在化した場合には、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫気候変動に関するリスク

日本はパリ協定に基づき2030年度までにCO₂排出量を2013年度比26%削減することを目標にしており、当社グループも同レベルの目標を揚げております。削減目標に対応するため世界的に脱化石燃料の動きが加速していくと、電動自動車の普及やシェアリング経済が拡大することとなり、ガソリン需要は存在するものの、化石燃料の需要は漸減していくと考えられます。このような環境を踏まえ、今後、当社グループは事業ポートフォリオの移行を加速させ、より環境配慮型の企業を目指します。しかしながら、日本や他の国が気候変動政策を強化、または環境関連法規等を変更または新規に導入した場合、石油製品の需要が想定外の速度で減少する可能性があります。この場合、石油関連事業を中心として、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬内部統制システムに関するリスク

当社グループでは、法令などの遵守のために財務報告に係る内部統制を含む、有効な内部統制システムの整備、運用及び強化を図っております。しかしながら、組織内外の環境の変化やコンプライアンス違反などが生じ、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能しない場合があります。この場合、ステークホルダーの信頼を失うことになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭繰延税金資産の取り崩しに関するリスク

繰延税金資産の計算につきましては、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づいており、実際の結果が予測と異なる可能性があります。将来の課税所得の見積りに基づく税金負担の軽減効果が得られないと判断された場合、当該繰延税金資産は取り崩され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、『Oil & New 石油のすべてを。次の「エネルギー」を。』をスローガンとした第6次連結中期経営計画の基本方針に基づき、主力事業である石油開発事業、石油事業の収益力を強化し財務基盤を確立するとともに、長期的な環境変化を見据え、再生可能エネルギー事業への積極投資や石油化学事業の競争力強化等、事業ポートフォリオの拡充に向けた取り組みを実施しました。

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は2兆7,380億円(前期比1.2%の減少)、営業利益は139億円(前期比85.3%の減少)、経常利益は163億円(前期比83.2%の減少)となりました。

 これは、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行等に伴う原油価格の急落による市況の悪化並びに原油価格の変動によるたな卸資産評価の影響を受けたこと等によるものです。

 上記の減益要因により、親会社株主に帰属する当期純損失は282億円となりました。

 

 

 なお、セグメント情報につきましては、以下のとおりであります。

(石油事業)

 石油事業につきましては、前年同期比で販売数量は増加したものの原油価格が下落したことに等より、売上高は2兆5,068億円(前期比△201億円)となりました。また、原油価格の変動によるたな卸資産の評価損の影響等により、セグメント損失は478億円(前期はセグメント利益142億円)となりました。

(石油化学事業)

 石油化学事業につきましては、前年同期比で販売数量は増加したものの製品販売価格が下落したこと等により、売上高は4,144億円(前期比△442億円)、セグメント利益は52億円(前期比△101億円)となりました。

(石油開発事業)

 石油開発事業につきましては、前年同期比で原油販売数量が減少並びに原油販売価格が下落したこと等により、売上高は979億円(前期比△138億円)、セグメント利益は450億円(前期比△119億円)となりました。

(その他事業)

 その他事業につきましては、前年同期比で新規の風力発電サイトが稼働を開始したこと等により、売上高は846億円(前期比+244億円)、セグメント利益は92億円(前期比+31億円)となりました。

 

 当期の連結財政状態は、総資産は1兆6,398億円(前連結会計年度末比△625億円)、負債合計は1兆2,769億円(前連結会計年度末比△235億円)、純資産合計は3,628億円(前連結会計年度末比△391億円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は433億円となり、前連結会計年度末の残高407億円に比べ26億円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金の増加は1,117億円となり、前連結会計年度に比べ212億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、法人税等の支払額が減少したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金の減少は842億円となり、前連結会計年度に比べ3億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは主に、投資有価証券や有形固定資産の取得による支出が増加したものの、有形固定資産の売却による収入が増加したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金の減少は247億円となり、前連結会計年度に比べ42億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、社債の発行による収入の減少並びに借入金の返済による支出が増加したこと等によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

 

966,513

96.0

石油化学事業

 

347,257

88.7

石油開発事業

 

23,179

103.4

合計

1,336,950

94.1

(注)1 自家燃料は除いております。

2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。

3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。

4 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

 

b受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

その他

12,681

89.5

8,229

73.3

(注)上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

c販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

 

2,290,964

99.9

石油化学事業

 

364,658

90.1

石油開発事業

 

42,917

95.1

その他

 

39,462

147.2

合計

2,738,003

98.8

(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

当連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

JXTGホールディングス㈱

367,770

13.3

370,197

13.5

※販売実績には、JXTGホールディングス㈱と同一の企業集団に属する企業に対する販売実績を含めております。

3 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」、財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。

 なお、連結財務諸表の作成に関して、認識している特に重要な見積りを伴う「繰延税金資産の回収可能性の評価」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」並びに「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係」を参照ください。個別財務諸表の作成に関して、認識している特に重要な見積りを伴う「投資損失引当金に係る見積り」については、上記参照先並びに「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」を参照ください。

 

②経営成績の分析

a売上高

 売上高は、前連結会計年度に比べ324億円減少し、2兆7,380億円となりました。これは主に、原油価格の下落等によるものです。

 

b売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、前連結会計年度に比べ463億円増加し、2兆5,862億円となりました。これは主に、原油価格の変動によるたな卸資産評価の影響を受けたこと等によるものです。売上高に対する売上原価の比率は、2.8ポイント増加して、94.5%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ21億円増加し、1,379億円となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.1ポイント増加して、5.0%となりました。

 

 

c営業利益

 上記の結果を受け、営業利益は、前連結会計年度947億円に比べ808億円悪化し、139億円となりました。これは主に、石油事業においてキグナス石油㈱へ供給開始、石油化学事業において前連結会計年度に実施した定期整備の影響解消による販売数量増加といった増益要因があった一方、石油事業における原油価格変動に伴うたな卸資産評価の影響や石油化学事業における市況悪化、石油開発事業における原油販売数量の減少並びに原油販売価格の下落といった減益要因があったこと等によるものです。

 

d営業外損益

 営業外損益は、前連結会計年度に比べ4億円増加し、24億円の利益となりました。これは主に、支払利息が前連結会計年度に比べ16億円改善したものの、持分法投資損益が15億円悪化したこと等によるものです。

 

特別損益

 特別損益は、受取補償金79億円等を特別利益として計上する一方、特別損失として固定資産の除却・撤去に関する固定資産処分損85億円、石油開発事業などに係る減損損失39億円を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ17億円悪化し24億円の損失となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失

 法人税等が前連結会計年度に比べ50億円増加し349億円となったこと、非支配株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度に比べ58億円減少し71億円となったこと等により、前連結会計年度に比べ813億円減少し、282億円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。1株当たりの当期純損失は、334.84円となりました。

 

 

 なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(石油事業)

 キグナス石油㈱へ供給開始による販売数量の増加、IMO規制強化に伴う低硫黄C重油市況良化の影響を享受しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により各種製品市況が悪化したこと、及び原油価格下落によるたな卸資産評価等が影響し、セグメント損失は、478億円(前期はセグメント利益142億円)となりました。

 2020年度は全世界的に新型コロナウイルス感染症の影響により、燃料油需要の減少が見込まれますが、キグナス石油㈱向けの供給を拡大することで、販売数量をほぼ前年並みに維持できるものと見込んでおります。

(石油化学事業)

 前年度に実施した定期整備の影響解消により販売数量は改善したものの、石油化学市況の悪化により、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ101億円減少し、52億円となりました。

 2020年度は海外市況の悪化や丸善石油化学㈱の定期整備の影響を受ける見込みですが、引き続き石油事業とのシナジーを追求しながら積極的な投資を行ってまいります。

(石油開発事業)

 既存油田の生産数量は回復しましたが、ヘイル油田の生産数量を抑制したことによる原油販売数量が減少したことや、原油価格の下落の影響等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ119億円減少し、450億円となりました。

 2020年度は、原油価格の下落による影響を受ける見込みです。またヘイル油田の油層圧回復のための二次回収に向けた投資の実施時期は再検討することとなりましたが、既存油田の安定的な生産の継続、操業コストの削減、次代の新規投資案件の検討を行ってまいります。

(その他)

 2019年4月に運転を開始した姫神ウィンドパーク、度会ウィンドファーム(2期)の風力発電設備が寄与したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ31億円増加し、92億円となりました。

 2020年度は、引き続き陸上風力発電の発電量拡大、洋上風力発電の事業化(秋田港・能代港、秋田由利本荘沖、青森西北沖、秋田中央海域などの各プロジェクト)に向けた計画を着実に進めてまいります。

 

 

③資本の財源及び資金の流動性に関する分析

a資金需要

 当社グループの資金需要は主に運転資金と設備投資に関するものです。

 運転資金需要は製品製造のための原材料仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等、設備投資需要は競争力強化を目的とした石油・石化製品の製造設備、原油の生産設備、発電設備等の取得や維持更新等によるものです。

 

b財務政策

 第6次連結中期経営計画の目標の一つに財務体質の強化を掲げております。現連結中期経営計画期間においては、2022年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行、劣後ローンのリファイナンス等を行っております。また、グループ金融体制を構築することで、子会社の運転資金並びに設備投資資金の調達を効率化しており、引き続き適切かつ効率的な調達を行ってまいります。

(特定融資枠契約)

 平時における十分な流動性の確保と災害発生等の緊急時に円滑な資金調達を行うために取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しております。なお、当連結会計年度末における当該契約の極度額は1,344億円です。

 

c株主還元

 当社グループは、株主の皆様への利益還元を重要な課題の一つとして認識しております。今後も、財務体質とのバランスを鑑みながら、持続性のある安定配当の維持を目指してまいります。2019年度は、原油価格の下落による在庫評価損の計上により財務体質の改善がやや足踏みしましたが、各事業において掲げる施策は順調に進捗していることを踏まえ、中長期的な視点で総合的に判断し、期末配当を一株当たり80円といたしました。

 

d財政状態

 当社グループは、財務体質を健全化することを最重要課題の1つとして認識しており、原油価格変動等の市場環境変化に耐えうる自己資本の充実を目指しております。今後も、各事業の積極的な成長投資と両立させながら、財務体質健全化を目指してまいります。

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は5,726億円となり、前連結会計年度末に比べ691億円減少いたしました。これは主に、たな卸資産が430億円減少したこと並びに受取手形及び売掛金が305億円減少したこと等によるものです。固定資産は1兆669億円となり、前連結会計年度末に比べ68億円増加いたしました。これは主に、有形固定資産が114億円増加したこと等によるものです。

 この結果、総資産は、1兆6,398億円となり、前連結会計年度末に比べ625億円減少いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は7,061億円となり、前連結会計年度末に比べ586億円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が344億円減少したこと並びに短期借入金が297億円減少したこと等によるものです。固定負債は5,708億円となり、前連結会計年度末に比べ351億円増加いたしました。これは主に、長期借入金が289億円増加したこと等によるものです。

 この結果、負債合計は、1兆2,769億円となり、前連結会計年度末に比べ235億円減少いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は3,628億円となり、前連結会計年度末に比べ391億円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失282億円を計上したこと等によるものです。

 この結果、自己資本比率は14.6%(前連結会計年度末は16.5%)となりました。

 

キャッシュ・フロー

 当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したことや原油価格の下落に伴う運転収支の改善などの資金増加要因により1,117億円のプラスとなりました。投資活動は、有形固定資産並びに投資有価証券の取得に伴う支出等により842億円のマイナスとなりました。財務活動は、借入金の返済等により247億円のマイナスとなりました。

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比26億円増加の433億円となりました。

 当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行等に伴う原油価格の急落による市況の悪化並びに原油価格の変動によるたな卸資産評価の影響を受けたこと等により、税金等調整前当期純利益は前期比で大きく下回ったものの、原油価格の下落による運転収支の改善等により営業活動によるキャッシュ・フローは前期比で増加しております。投資については、2020年から始まったIMO規制強化に向けた堺製油所のコーカー装置能力の増強や洋上風力サイトへの投資を実施いたしました。今後も将来の事業環境と成長を見据え、石油化学製品への高付加価値化、洋上風力サイト開発などを予定しております。引き続き、財務体質を強化し、洋上風力などへの積極的な成長投資により、事業ポートフォリオの転換を目指し、収益機会を確実に享受し、更なるフリー・キャッシュ・フローの創出を目指してまいります。

 

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

自己資本比率

7.7%

10.8%

14.1%

16.5%

14.6

時価ベースの自己資本比率

7.1

10.5%

17.2%

11.0%

7.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

41.1

16.2年

3.6年

7.7年

6.1年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

1.4

3.8倍

15.6倍

8.2倍

11.8

(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。

4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金、コマーシャル・ペーパー、社債、転換社債型新株予約権付社債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期的な経営の方向性を第6次連結中期経営計画にて目標値として定めております。当該中期経営計画2年目の評価として、当連結会計年度における客観的指標の実績を示すとともにその達成状況を分析すると以下のとおりとなります。

 親会社株主に帰属する当期純損失は282億円、自己資本は2,398億円(自己資本比率14.6%)、ネットD/Eレシオ(※)は2.41倍となりました。

 当連結会計年度は、一時的な原油価格の下落による在庫評価損の計上により、親会社株主に帰属する当期純損失282億円となり、財務体質の改善には至りませんでしたが、各事業において掲げている第6次連結中期経営計画の施策は順調に進捗しております。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により投資のタイミングや内容について見直しを行っておりますが、将来の事業環境を見据えた投資や事業継続に必要な設備投資は継続して実施予定となっております。今後、需要減少と原油価格下落が回復すれば、徐々に財務体質も改善する見込みです。引き続き、適切な成長投資と確実な収益機会の享受等により、第6次連結中期経営計画の目標達成に向けて邁進してまいります。

 

(※):2020年3月31日実行のハイブリッドローン300億円について、50%を資本とみなして算出。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)1967年12月6日、アブダビ首長国政府と大協石油㈱(現・連結子会社のコスモ石油㈱)・丸善石油㈱及び日本鉱業㈱(現・JX石油開発㈱)は利権協定及び事業協定を締結しました。連結子会社のアブダビ石油㈱は、1968年2月1日、上記利権及び事業権を譲り受け、利権地域であるアブダビ海域(ムバラス油田)において石油の探鉱・採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

(注)本協定は、2012年12月5日に期限満了となっております。

 

(2)1979年4月28日、アブダビ首長国政府とアブダビ石油㈱はムバラス油田の西方海域の新利権鉱区における石油資源開発に関して、原協定(1967年12月6日締結)を補足する協定を締結しました。アブダビ石油㈱は、同利権地域における石油の探鉱・採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

(注)本協定は、2012年12月5日に期限満了となっております。

 

(3)1997年7月15日、カタール国政府とコスモ石油㈱・日商岩井㈱(現・双日㈱)及び合同石油開発㈱は、カタール国沖合東南第1鉱区アル・カルカラ構造及びA構造における石油の探鉱・開発の生産物分与契約(以下「DPSA」)を締結しました。連結子会社のカタール石油開発㈱は1997年11月14日、DPSAに基づく全ての権利義務を上記3社から譲り受け、当該区域において、開発・生産・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

 

(4)1999年10月12日、コスモ石油㈱と日石三菱㈱(現・JXTGエネルギー㈱)との間で、原油調達・精製・物流及び潤滑油の各分野に関して、業務提携に関する基本協定を締結しました。

 

(5)2007年9月18日、コスモ石油㈱とInternational Petroleum Investment Company(現・Mubadala Investment Company)との間で、日本/アジア/環太平洋における、エネルギー分野を中心とした包括的かつ戦略的な業務提携を行うことを目的に、コスモ石油㈱への投資に関する第三者割当契約を締結しました。

 

(6)2011年2月3日、アブダビ首長国最高石油評議会とアブダビ石油㈱は現在操業している3油田の利権の更新と新鉱区の追加取得について、新たな利権協定を締結しました。

(注)本協定は、前協定(1967年12月6日締結及び1979年4月28日締結)が期限満了となった2012年12月6日より

発効しました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、連結子会社のコスモ石油㈱、コスモ石油ルブリカンツ㈱、丸善石油化学㈱及びコスモエンジニアリング㈱で実施しております。コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒などの石油精製分野の競争力強化に関する研究を実施するとともに石油化学分野、石油開発分野に関する研究を行っております。コスモ石油ルブリカンツ㈱では、環境対応潤滑油商品化のために技術開発に取り組むとともに、消費者のニーズに応える潤滑油関係の商品開発等を行っております。丸善石油化学㈱では、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品等、既存事業の強化、拡大及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。コスモエンジニアリング㈱では、プラント保全技術、次世代エネルギー、環境等、時代のニーズに応える研究活動を行っております。

 この結果、当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は4,448百万円であります。

 以下に主要な研究概要をセグメント別に記載いたします。

 

(1)石油事業

コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒等の石油精製分野の競争力強化に関する研究を実施するとともに石油化学分野、石油開発分野に関する研究を行っております。

石油精製分野では、長年培った触媒の調製・運転管理技術を活かして、製油所の高効率稼動や精製コストの削減等に取り組んでおります。また、船舶用燃料油の硫黄分規制強化に対応した燃料処方検討や需給構造変化に向けた重質油削減等を実施することで製油所競争力の強化に資する研究開発を実施しております。

石油化学分野では、石油化学工場における未利用留分の燃料利用や石油留分の高付加価値化(石油化学製品化)、新規石油化学溶剤の調査・開発等石油精製と石油化学との連携強化に関する研究開発に取り組んでおります。

石油開発分野では、2016年度より原油タンク底部に蓄積する原油スラッジの削減技術に関する共同研究を独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と実施しております。本開発技術を2020~2021年に産油国にて商業スケールでの実証化を実施すべく、機器調達、製作等の準備に着実に取り組んでおります。

また、Hyundai Oilbank Co., Ltd. との「石油事業包括協力覚書」(2008年4月16日締結)及び「技術/研究分野における覚書」(2011年10月13日締結)に基づき、相互の課題解決や研究開発活動の強化を目的として情報交換、協力を実施しております。

コスモ石油ルブリカンツ㈱は現在、環境対応・安全対応を最重要テーマとし、省エネ・省燃費・省資源対応潤滑油、難燃性潤滑油、生分解性潤滑油のオンリーワン商品開発に取り組んでおります。また、自社開発技術の更なる発展による要素技術開発・商品開発も並行して実施しております。

今後ますます厳しくなる排ガス規制・省燃費規制に対応したディーゼルエンジン油、ガスエンジン油及び舶用シリンダー油の開発や、省エネルギー・省資源技術確立のための更なる研究開発に取り組むとともに、車両用潤滑油・工業用潤滑油・グリースの商品開発はもとより、「コスモサーマルグリース」をはじめとした電子部品の放熱材料、低トルク・省電力の「HDD動圧軸受油」など高付加価値商品の開発及び産学連携による新規商品開発にも取り組んでまいります。

 

(2)石油化学事業

丸善石油化学㈱は、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品等、既存事業の強化、拡大及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。エチレンやプロピレンなど、ナフサの熱分解による石油化学製品の生産過程で併産されるアセチレン、C4、C5留分等の未利用留分を原料とし、ビニルエーテル類や、未利用留分の付加価値をさらに高めた製品の開発、量産化に向けたプロセス技術の開発を実行中です。一方、年を追うごとに微細化、高性能化が進む最先端のメモリー、デバイスの生産に使用される半導体レジスト材料、周辺材料などの分野では、ますます高度化、多様化する顧客の要望に応えるために、生産技術、製品評価技術の向上、新規の製品・技術を創出するための研究開発を推進しております。

 

(3)その他

コスモエンジニアリング㈱はプラント産業分野での経験やノウハウをベースとした技術力を更に強化し、様々な顧客のニーズに的確に応えられるよう、以下の主要4点について研究活動を進めております。

①プラント設計/保全関連技術では3Dレーザースキャナーによる点群データを活用したプラント設計/保全・プラント更新事業、ロボットを利用した検査、補修技術、AI及びIoTを利用した機器の寿命予測等に関して技術開発しております。また保全関連技術としてコスモ石油㈱と触媒交換工事の工期短縮に関する技術開発を進めております。

②再生可能エネルギー関連では風力発電設備建設事業において、顧客ニーズに応えるため建設だけでなくドローン等の新技術を活用した風車保全に関して技術開発、また、洋上風力事業においても、弊社が貢献できる領域の模索を実施してまいります。また、バイオマス発電プラント建設事業において、既存技術の応用による新規事業開発の技術検討に取組んでおります。

③環境対応技術では自社が得意とする工業ガスの分離・精製技術の展開につながる排気ガス等からのCO₂回収利用技術や原油スラッジからの油分回収・分離技術についてプロセス調査と技術導入に取組んでおります。

④物流・ロジスティクス関連では当社の主力製品であるADPACの競争力・汎用性をより強化するため、IoTやビッグデータ活用による物流・ロジスティクスの最適化・効率化について技術開発を進めております。