第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境

日本経済の今後の見通しにつきましては、個人消費や公的需要等の内需が下支えするものの、海外経済の減速を受けて、輸出が弱含むとみられるため、力強さに欠ける展開が予想されます。石油業界を取り巻く環境につきましては、少子高齢化や人口減少に加えて、燃費改善や燃料転換の構造的要因から燃料油の国内需要は減少傾向が継続するものと予想されますが、世界的にはアジア諸国を中心に石油製品の需要増加が見込まれます。

 

(2)経営方針

経営環境を踏まえ、当社は第6次連結中期経営計画において長期的な方向性を見据え、次の成長に向けて事業ポートフォリオを拡充しながら、石油開発や石油事業における収益力を強化し、財務基盤を確立してまいります。

 

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(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、“稼ぐ力”と“財務体質”を強化することで、市場環境変化に耐え得る自己資本の厚みとネットD/Eレシオ1倍台前半を早期に実現すべく2018年度を初年度とする第6次連結中期経営計画を策定し、最終年度である2022年度における経営目標として下記を掲げております。

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2015年4月1日実行のハイブリッドローン600億円について、50%を資本とみなして算出

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

石油開発事業

半世紀にわたるUAEアブダビ首長国での安定した海上油田の生産実績による強固な信頼関係と自社操業を強みとして、既存油田の安定的な生産の継続、操業コストの削減、次代の新規投資案件の検討を行ってまいります。

 

石油事業(石油精製事業)

EV普及等による石油製品需要の減退への対応として燃料油から石化原料へのシフトを進め、IoT(モノのインターネット)の活用が活発化していくことに伴う製油所のIT化をさらに推進してまいります。また、IMO規制(注)の強化を背景に、コーカー能力増強により収益油種を拡大するとともに、高稼働維持による世界標準以上の製油所競争力を確立してまいります。また、供給先の拡大につきましては、資本業務提携契約を締結しているキグナス石油㈱への2020年頃からの石油製品の供給に向けて体制を整備してまいります。このほか、他社とのアライアンスを活かした競争力の強化、石油化学事業とのシナジーの創出を目指してまいります。

(注)IMO規制:国際海事機関(IMO)により採択された、2020年以降実施が予定されている一般海域における船舶燃料油の硫黄分の規制

 

石油事業(石油販売・カーライフ事業)

カーライフの変化に対応したビジネスモデルへの変革により事業領域を確保し、石油精製と併せて競争力を確保してまいります。また、カーライフ事業の拡大を志向しつつ長期的な事業環境を鑑み、カーシェア事業への参入、コスモステーションにおける車両買取り機能の強化、電力小売販売等の新規ビジネスの拡大を進めてまいります。

 

石油化学事業

国内の石油製品需要が減少する一方で、石油化学製品は世界の人口増加を背景に国際市場が拡大していくことが予想されるため、燃料油から石化原料へのシフトを推進してまいります。エチレン・パラキシレン生産での競争優位性を最大限活用しながら、石油精製と石油化学のシナジー享受(未利用留分の活用等)や、マーケットに左右されにくい機能化学品事業の拡大を目指してまいります。

 

再生可能エネルギー事業

脱炭素の世界的な潮流の中、わが国においても今後大きな成長が期待されます。石油業界においてトップの業容を有する風力発電事業を中心に、当事業を新たな柱とすべく、積極的な拡大を目指してまいります。陸上風力発電事業においては、姫神ウィンドパーク(岩手県)、度会ウィンドファーム(第2期)(三重県)および中紀ウィンドファーム(和歌山県)等の開発案件を着実に推進し、早期に風力発電出力50万kW体制を目指すとともに、今後、事業環境の整備・投資機会の拡大が見込まれる洋上風力発電事業への進出を図り、日本における同分野のリーディングカンパニーを目指してまいります。具体的には、発電出力約70万kWを予定する秋田県由利本荘市沖洋上風力発電事業や最大発電出力50万kWとなる青森西北沖洋上風力発電事業について実現に向けた検討を進めてまいります。

 

これらの取り組みのほか、事業領域の拡大を目指して、Mubadala Investment CompanyやCEPSA※、Hyundai Oilbank Co.,Ltd.とのアライアンス強化をより一層進めてまいります。

※CEPSA:Compañía Española de Petróleos, S.A.U.(スペインの総合エネルギー企業)

 

グループ経営基盤の強化

社会と当社グループが共に持続的に発展するための取り組みを連結中期CSR計画として策定しており、ESGの観点に基づく活動を当社グループおよび取引先を含むサプライチェーン全体で推進してまいります。また、AIやRPAを利用した業務の効率化等を通じた働き方改革の推進およびダイバーシティ(多様な働き方の定着)を図り、生産性を向上させるとともに、社員一人ひとりが誠実に業務を遂行し、社会からの期待に応えることで、継続して社会に貢献してまいります。

 

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月20日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、計画と異なる場合があります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状況等は、今後起こり得るさまざまな要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループでは、当社グループでコントロールできない外部要因や事業リスクとして顕在化する可能性が必ずしも高くない事項も含め、投資家の判断上重要と考えられる事項については積極的に開示しております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月20日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)需要動向の影響

 当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受けます。また、ナフサは石油化学業界、軽油は運輸業界、重油は電力業界、海上輸送業界等の需要動向を反映します。従いまして、国内のみならず海外も含めた経済動向や天候の変化等で需要が変動することにより、当社グループの販売規模に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)原油価格および原油調達に関するリスク

 原油価格は、需要動向と生産動向により大きく左右されます。需要動向につきましては、大消費国であるアメリカや経済成長の著しいアジア地域(特に中国)の影響が大きく、生産動向につきましては、OPEC加盟国や他産油国の増減産に加え、シェールオイルの増減産の影響が大きいと認識しております。特に中東産油国の周辺地域においては、戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、原油価格や原油調達が悪影響を受ける恐れに加え、生産拠点での操業停止等により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 当社グループは、原油在庫の価格を総平均法で評価しております。そのため、原油価格の下落局面では、期初の在庫単価と期中に仕入れた下落した在庫単価が平均されるため、売上原価を押し上げることになり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)外国為替レートの変動

 石油事業においては、原油の輸入及び石油製品等の輸出入を行っており、その代金は通常米ドル建てで決済されるため、外国為替レートの変動により差損益が生じます。為替レート変動による悪影響を最小限に留めるべく、為替ヘッジ取引を行っておりますが、円安へ推移すれば調達コストを押し上げることとなる等、為替レートの変動が経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
 また、外国為替レートの変動は、海外連結子会社または持分法適用会社の財務諸表を円貨換算する際にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)石油製品等の市況の変動

 上述の通り、当社グループの主要な石油製品のコストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行っており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップが生じた場合、或いはタイムラグが生じた場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)金利の変動

 金利の変動により、今後借入金利が上昇した場合には金融コストが増加する等、金利の変動は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(6)資産価値の変動

 経済動向等の影響から、土地や有価証券等、当社グループが保有する資産価値が下落することにより、評価損が発生する恐れがある等、資産価値の変動によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)競合のリスク

 当社グループは石油事業を中心に国内外の企業との激しい競争にさらされております。当社グループは引き続き競争力の維持、向上に取り組んでまいりますが、競合他社と比して効率的な事業運営ができない場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

 

 

(8)災害や事故による影響

 当社グループの製油所では多量の危険物を扱っていることから、特に人為的な操業事故や労働災害を未然に防止するため、様々な安全対策の徹底を図っております。しかしながら、設備の老朽化や地震等の自然災害等、何らかの要因により事故が発生した場合、操業を停止せざるを得なくなる可能性があります。また、製油所以外でも、油槽所やSS、タンカーやローリー等による事故により、当社グループの事業運営に支障をきたす恐れがあり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(9)石油産業に適用される法規制の影響

 石油産業には公害や環境問題に関する様々な法律が適用されており、当社グループはこれらの規制に適合するために費用を負担しております。環境問題への対策強化が予想される中、新たな法律、規制、税金等が課される可能性を認識しております。今後、新しい法律や現行法の改正等により、当社グループの費用負担が増加するリスクがあります。当社グループではCSR経営を進めるにあたり、法令遵守を柱の一つと位置付け、仕組みを整えるとともに社員一人ひとりのモラル向上に努めております。しかし、ヒューマンエラー等による法令違反のリスクが顕在化した場合には、行政処分を受け、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報の管理

 情報管理につきましては、社内情報システムのセキュリティを強化するためにウィルス対策や個人情報保護対応等を実施しております。さらに、顧客情報を含む機密情報の管理、取り扱いにつきましては、社内体制、社内規程等を整備し、外部への委託先に対して監督管理及び監査を実施しております。しかしながら、何らかの要因により個人情報を含む機密情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクが顕在化した場合には、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、お客様からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 財政状態の状況については、『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較分析を行っております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における日本経済は、企業収益が高い水準にあり、設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、緩やかな回復が続きました。

 原油価格は、期初に1バレル66ドル台であったドバイ原油が、米国トランプ政権による対イラン制裁に伴うイラン産原油の供給減を背景とした需給逼迫の懸念等による不透明感に押し上げられ、84ドル台に上昇したものの、11月の対イラン制裁の一部適用除外等をきっかけに49ドル台に急落しました。その後、OPEC等による原油の減産により、期末は67ドル台で終えました。

 為替相場は、期初は1ドル106円台から始まり、米国の政策金利の引き上げ等を受けておおむね1ドル109円から114円の間で推移しました。その後、世界経済の減速懸念から、一時円高に反転しましたが、期末は110円台で終えました。

 石油製品の国内需要は、依然として減退傾向が続いており、軽油は前期並みに推移したものの、ガソリン・灯油・重油がそれぞれ減少した結果、燃料油全体では前期を下回りました。

 石油化学製品は、アジア地域での需要の堅調な伸びに支えられ、市況は安定して推移しましたが、一部製品につきましては軟化傾向がみられました。

 このような経営環境の下、当社グループは、『Oil & New 石油のすべてを。次の「エネルギー」を。』をスローガンとした当連結会計年度を初年度とする第6次連結中期経営計画の基本方針に基づき、主力事業である石油開発事業、石油事業の収益力を強化し財務基盤を確立するとともに、長期的な環境変化を見据え、再生可能エネルギー事業への積極投資や石油化学事業の競争力強化等、事業ポートフォリオの拡充に向けた取り組みを開始しました。

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は主に石油事業における原油価格の上昇、石油開発事業における原油販売価格の上昇並びに原油販売数量の増加により2兆7,704億円(前期比+2,473億円)となりました。また、営業利益は947億円(前期比△172億円)、経常利益は967億円(前期比△202億円)となりました。

 これは主に、石油開発事業において販売数量の増加があったものの、石油事業において原油価格の変動に伴うたな卸資産評価の影響を受けたことや、石油化学事業において定期整備があったことなどによるものです。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の減益要因があったものの、当連結会計年度において繰延税金資産の回収可能性の見直しを実施し、531億円(前期比△197億円)となりました。

 

 なお、セグメント情報につきましては、以下のとおりであります。

(石油事業)

 石油事業につきましては、前年同期比で原油価格が上昇したことにより、売上高は2兆5,269億円(前期比+2,342億円)となりました。一方、原油価格の変動によるたな卸資産の評価損の影響等により、セグメント利益は142億円(前期比△446億円)となりました。

(石油化学事業)

 石油化学事業につきましては、前年同期比で製品価格が上昇したことにより、売上高は4,586億円(前期比+1億円)となりました。一方、前年同期比では定期整備の影響により販売数量が減少したこと及び市況が悪化したことにより、セグメント利益は153億円(前期比△151億円)となりました。

(石油開発事業)

 石油開発事業につきましては、前年同期比で原油価格の上昇並びに原油販売数量が増加したことにより、売上高は1,117億円(前期比+554億円)、セグメント利益は569億円(前期比+386億円)となりました。

 

 当期の連結財政状態は、総資産は1兆7,023億円(前連結会計年度末比+140億円)、負債合計は1兆3,004億円(前連結会計年度末比△317億円)、純資産合計は4,019億円(前連結会計年度末比+458億円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は407億円となり、前連結会計年度末の残高551億円に比べ144億円減少いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金の増加は905億円であり、前連結会計年度に比べ1,021億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは主に、法人税等の支払額が増加したことや仕入債務が減少したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金の減少845億円であり、前連結会計年度に比べ119億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金の減少は205億円であり、前連結会計年度に比べ563億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債を発行したこと等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

 

1,007,232

115.7

石油化学事業

 

391,403

111.5

石油開発事業

 

22,407

164.7

合計

1,421,043

115.0

(注)1 自家燃料は除いております。

2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。

3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。

4 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

 

b受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

その他

14,167

136.4

11,222

166.2

(注)上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

c販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

 

2,293,471

110.4

石油化学事業

 

404,934

100.2

石油開発事業

 

45,149

238.9

その他

 

26,810

115.7

合計

2,770,365

109.8

(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2017年4月1日

至  2018年3月31日)

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

JXTGホールディングス㈱

335,550

13.3

367,770

13.3

※販売実績には、JXTGホールディングス㈱と同一の企業集団に属する企業に対する販売実績を含めております。

3 上記の金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月20日)現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。

 

②経営成績の分析

a売上高

 売上高は、前連結会計年度に比べ2,473億円増加し、2兆7,704億円となりました。これは、原油価格の上昇が主な要因です。

 

b売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、前連結会計年度に比べ2,572億円増加し、2兆5,399億円となりました。これは、原油価格の上昇が主な要因です。売上高に対する売上原価の比率は、1.2ポイント増加して、91.7%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ73億円増加し、1,358億円となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.2ポイント減少して、4.9%となりました。

 

c営業利益

 上記の結果を受け、営業利益は、前連結会計年度1,119億円に比べ172億円悪化し、947億円となりました。これは、石油開発事業において原油価格の上昇並びに2018年1月からヘイル油田がフル生産を継続したことによる原油生産数量の増加といった増益要因があった一方、石油事業における原油価格変動に伴う棚卸資産評価の影響や石油化学事業における市況悪化並びに定期整備による販売数量減少といった減益要因があったことなどによるものです。

 

d営業外損益

 営業外損益は、前連結会計年度に比べ30億円悪化し、20億円の利益となりました。これは、為替差損益が前連結会計年度に比べ14億円改善したものの、持分法投資損益が50億円悪化したこと等が主な要因です。

 

e税金等調整前当期純利益

 特別損益は、補助金収入55億円等を特別利益として計上する一方、特別損失として固定資産の除却・撤去に関する固定資産処分損54億円、遊休資産などに係る減損損失20億円等を計上したことにより、7億円の損失となりましたが、前連結会計年度に比べ69億円改善しました。
 特別損益は改善したものの、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ133億円利益が減少し、960億円となりました。

 

f法人税等

 法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ152億円増加し、439億円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度に比べ104億円減少し、△139億円となりました。これは主に、繰延税金資産の回収可能性の見直しを実施したこと等によるものです。その結果、当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度に比べ47億円増加し、299億円となりました。

 

g非支配株主に帰属する当期純利益

 非支配株主に帰属する当期純利益は、主として石油化学会社及び石油開発会社等の非支配株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度に比べ16億円増加し、129億円となりました。

 

h親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ197億円減少し、531億円となりました。1株当たりの当期純利益は、630.69円となりました。

 

 

 なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

(石油事業)

 需給環境の変化を背景に、石油製品販売において適正マージンを確保した一方、製油所の定修、一部不具合による装置停止、将来の定修費用の引当金計上及びたな卸資産評価等が影響し、セグメント利益は前連結会計年度に比べ446億円減少し、142億円となりました。

 2019年度はIMO規制への適応や、キグナス石油㈱向けの供給開始など更なる収益機会を確実に享受すべく、堺製油所のコーカー能力増強並びに製油所の更なる安全安定稼働を実現するため、予防保全の観点から投資を進めてまいります。

(石油化学事業)

 エチレン市況やベンゼン市況の下落及び工場の定修影響による販売数量減少などが影響し、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ151億円減少し、153億円となりました。

 2019年度は昨年度の定修影響解消により販売数量増加を見込んでおります。

(石油開発事業)

 ドバイ原油価格の上昇や2018年1月よりヘイル油田がフル生産を継続し、原油生産数量が増加したことなどの影響により、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ386億円増加し、569億円となりました。

 2019年度は、長期的な生産数量を確保するため、ヘイル油田の生産数量を抑制する見込みです。

(その他)

 2017年度下期に運転開始した酒田港宮海・大浜、石狩湾新港の風力発電設備が通年で寄与したことにより、経常利益は前連結会計年度に比べ10億円増加し、61億円となりました。

 2019年度は、度会2期、姫神の風力発電設備が4月に運転を開始したため、更なる増益を見込むとともに、引き続き洋上風力進出に向けた対応を進めてまいります。

 

③資本の財源及び資金の流動性に関する分析

a資金需要

 当社グループの資金需要は主に運転資金と設備投資に関するものです。

 運転資金需要は製品製造のための原材料仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等によるものです。

 設備投資需要は競争力強化を目的とした石油・石化製品の製造設備、原油の生産設備、発電設備等の取得や維持更新によるものです。

 

b財務政策

 当社の経営環境において適切かつ効率的な調達をおこなっています。また、グループ金融体制を構築することで、子会社の運転資金並びに設備投資資金の調達を効率化しています。2022年度までの第6次連結中期経営計画の目標の一つに財務体質の強化を掲げ、自己資本4,000億円以上、ネットD/Eレシオ1倍台前半の早期実現を目指しております。

(特定融資枠契約)

 平時における十分な流動性の確保と災害発生等の緊急時に円滑な資金調達を行うために取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。なお、当連結会計年度末における当該契約の極度額は1,344億円です。

 

c財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は6,417億円となり、前連結会計年度末に比べ155億円減少いたしました。これは主に、当第4四半期連結会計期間の売上の減少に伴い受取手形及び売掛金が197億円減少したこと並びに現金及び預金が153億円減少したことによるものです。固定資産は1兆601億円となり、前連結会計年度末に比べ294億円増加いたしました。これは主に、設備投資により有形固定資産が247億円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は1兆7,023億円となり、前連結会計年度末に比べ140億円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は7,647億円となり、前連結会計年度末に比べ354億円減少いたしました。これは主に、課税所得の減少に伴い未払法人税等が100億円減少したこと並びにその他の流動負債が114億円減少したことによるものです。固定負債は5,357億円となり、前連結会計年度末に比べ37億円増加いたしました。

 この結果、負債合計は1兆3,004億円となり、前連結会計年度末に比べ317億円減少いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は4,019億円となり、前連結会計年度末に比べ458億円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益531億円を計上したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は16.5%(前連結会計年度末は14.1%)となりました。

 

dキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したこと等の資金増加要因により905億円のプラスとなりました。投資活動は、固定資産等の取得に伴う支出等により845億円のマイナスとなりました。財務活動は、借入金の返済等により205億円のマイナスとなりました。

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比144億円減少の407億円となりました。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

自己資本比率

7.7%

10.8%

14.1%

16.5%

時価ベースの自己資本比率

7.1

10.5%

17.2%

11.0%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

41.1

16.2年

3.6年

7.7年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

1.4

3.8倍

15.6倍

8.2倍

(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。

4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金等を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

5 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度に係る指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期的な経営の方向性を第6次連結中期経営計画で示し、最終年度である2022年度における目標値を定めております。当該中期経営計画初年度の評価として、当連結会計年度における客観的指標の実績を示すとともにその達成状況を分析すると以下のとおりとなります。

 親会社株主に帰属する当期純利益は531億円、自己資本は2,811億円(自己資本比率16.5%)、ネットD/Eレシオ(※)は1.98倍となりました。収益水準及び財務体質は着実に改善し、第6次連結中期経営計画は順調に進捗しております。2019年度以降、IMO規制への対応やキグナス石油㈱向けの供給開始など、更なる収益機会が存在するため、引き続き順調に進捗していくものと思われます。

 

(※):2015年4月1日実行のハイブリッドローン600億円について、50%を資本とみなして算出

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)1967年12月6日、アブダビ首長国政府と大協石油㈱(現 連結子会社コスモ石油㈱)・丸善石油㈱及び日本鉱業㈱(現 JX石油開発㈱)は利権協定及び事業協定を締結しました。連結子会社アブダビ石油㈱は、1968年2月1日、上記利権及び事業権を譲り受け、利権地域であるアブダビ海域(ムバラス油田)において石油の探鉱・採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

 

(2)1979年4月28日、アブダビ首長国政府とアブダビ石油㈱はムバラス油田の西方海域の新利権鉱区における石油資源開発に関して、原協定(1967年12月6日締結)を補足する協定を締結しました。アブダビ石油㈱は、同利権地域における石油の探鉱・採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

 

(3)1997年7月15日、カタール国政府とコスモ石油㈱・日商岩井㈱(現 双日㈱)及び合同石油開発㈱は、カタール国沖合東南第1鉱区アル・カルカラ構造及びA構造における石油の探鉱・開発の生産物分与契約(以下「DPSA」)を締結しました。連結子会社カタール石油開発㈱は1997年11月14日、DPSAに基づく全ての権利義務を上記3社から譲り受け、当該区域において、開発・生産・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

 

(4)1999年10月12日、コスモ石油㈱と日石三菱㈱(現 JXTGエネルギー㈱)との間で、原油調達・精製・物流及び潤滑油の各分野に関して、業務提携に関する基本協定を締結しました。

 

(5)2007年9月18日、コスモ石油㈱とInternational Petroleum Investment Company(現 Mubadala Investment Company)との間で、日本/アジア/環太平洋における、エネルギー分野を中心とした包括的かつ戦略的な業務提携を行うことを目的に、コスモ石油㈱への投資に関する第三者割当契約を締結しました。

 

(6)2011年2月3日、アブダビ首長国最高石油評議会とアブダビ石油㈱は現在操業している3油田の利権の更新と新鉱区の追加取得について、新たな利権協定を締結しました。本協定は、前協定(1967年12月6日締結及び1979年4月28日締結)が期限満了となった2012年12月6日より発効しました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、連結子会社コスモ石油㈱、コスモ石油ルブリカンツ㈱、丸善石油化学㈱及びコスモエンジニアリング㈱で実施しております。コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒などの石油精製分野の競争力強化に関する研究を実施するとともに石油化学分野、石油開発分野に関する研究を行っております。コスモ石油ルブリカンツ㈱では、環境対応潤滑油商品化の為に技術開発に取り組むとともに、消費者のニーズに応える潤滑油関係の商品開発等を行っております。丸善石油化学㈱では、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品等、既存事業の強化・拡大、及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。コスモエンジニアリング㈱では、プラント保全技術、次世代エネルギー・環境・ライフサイエンス対応技術等、時代のニーズに応える研究活動を行っております。

 この結果、当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は4,096百万円であります。

 以下に主要な研究概要をセグメント別に記載いたします。

 

(1)石油事業

コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒などの石油精製分野の競争力強化に関する研究を実施するとともに石油化学分野、石油開発分野に関する研究を行っております。

石油精製分野では、長年培った触媒の調製・運転管理技術を活かして、製油所の高効率稼動や精製コストの削減などに取り組んでおります。また、船舶用燃料油の硫黄分規制強化に対応した燃料処方検討や需給構造変化に向けた重質油削減などを実施することで製油所競争力の強化に資する研究開発を実施しております。

石油化学分野では、石油化学工場における未利用留分の燃料利用や石油留分の高付加価値化(石油化学製品化)、新規石油化学溶剤の調査・開発など石油精製と石油化学との連携強化に関する研究開発にも取り組んでおります。

石油開発分野では、2016年度より原油タンク底部に蓄積する原油スラッジの削減技術に関する共同研究を独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と実施しております。2018年度では、原油スラッジ中の原油留分を回収するとともに産業廃棄物量を削減する技術開発を行い、2020年度に予定している実証化に向けた機器設計を完了しました。

また、Hyundai Oilbank Co., Ltd. (HDO)との「石油事業包括協力覚書」(2008年4月16日締結)および「技術/研究分野における覚書」(2011年10月13日締結)に基づき、相互の課題解決や研究開発活動の強化を目的として情報交換、協力を実施しております。

コスモ石油ルブリカンツ㈱は現在、環境対応・安全対応を最重要テーマとし、省エネ・省燃費・省資源対応潤滑油、難燃性潤滑油、生分解性潤滑油のオンリーワン商品開発に取り組んでおります。また、自社開発技術の更なる発展による要素技術開発・商品開発も並行して実施しております。

今後ますます厳しくなる排ガス規制・省燃費規制に対応したディーゼルエンジン油、ガスエンジン油および舶用シリンダー油の開発や、省エネルギー・省資源技術確立のための更なる研究開発に取り組むとともに、車両用潤滑油・工業用潤滑油・グリースの商品開発はもとより、「コスモサーマルグリース」をはじめとした電子部品の放熱材料、低トルク・省電力の「HDD動圧軸受油」など高付加価値商品の開発及び産学連携による新規商品開発にも取り組んでまいります。

 

(2)石油化学事業

丸善石油化学㈱は、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品など、既存事業の強化・拡大、及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。エチレンやプロピレンなど、ナフサの熱分解による石油化学製品の生産過程で併産されるアセチレン、C4、C5留分などの未利用留分を原料とし、ビニルエーテル類や、未利用留分の付加価値をさらに高めた製品の開発、量産化に向けたプロセス技術の開発を実行中です。一方、年を追うごとに微細化、高性能化が進む最先端のメモリー、デバイスの生産に使用される半導体レジスト材料、周辺材料などの分野では、増々高度化、多様化する顧客の要望に応えるために、生産技術、製品評価技術の向上、新規の製品・技術を創出するための研究開発を推進しております。

 

(3)その他

コスモエンジニアリング㈱はプラント産業分野での経験やノウハウをベースとした技術力を更に強化し、様々な顧客のニーズに的確に応えられるよう、以下の主要5点について研究活動を進めております。

①プラント設計/保全関連技術では3Dレーザースキャナーによる点群データを活用したプラント設計/保全・プラント更新事業に関して技術開発しております。また保全関連技術としてコスモ石油㈱と触媒交換工事の工期短縮に関する技術開発を進めております。

②再生可能エネルギー関連では風力発電設備建設事業において、顧客ニーズに応えるため建設だけでなくドローン等の新技術を活用した風車保全に関して技術開発しております。また、バイオマス発電プラント建設事業において、既存技術の応用による新規事業開発の技術検討に取組んでおります。

③環境対応技術では自社が得意とする工業ガスの分離・精製技術の展開につながる排気ガス等からのCO2回収利用技術や原油スラッジからの油分回収・分離技術についてプロセス調査と技術導入に取組んでおります。

④ライフサイエンス関連では、石油化学産業で培ってきた技術を活かし、保全を含むソリューションサービス等についての事業を検討しております。また、淡水化・水浄化プラントについて調査・技術検討に取り組んでおります。

⑤物流・ロジスティクス関連では当社の主力製品であるADPACの競争力・汎用性をより強化するため、IoTやビッグデータ活用による物流・ロジスティクスの最適化・効率化について技術開発を進めております。