第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針及び経営戦略

2013年度から2017年度に実施した第5次連結中期経営計画は「成長の基礎を固め、盤石な経営基盤を確立する5年」と位置づけ、石油精製・販売事業の収益力回復を筆頭に、供給部門の合理化等の構造改善を進めてまいりました。

2018年度より開始した第6次連結中期経営計画では、『Oil & New 石油のすべてを。次の「エネルギー」を。』をスローガンに、前連結中期経営計画で収益基盤の中心であった石油精製・販売を強化しながら、風力発電事業や石油化学事業への成長投資を進め、脱化石燃料の動きが加速することを見据えて事業ポートフォリオの拡充を目指しております。

石油製品の需要減少が想定される中、当社グループが持続的に成長するためには将来に向けた新しい事業の柱を作ることが必要不可欠です。第6次連結中期経営計画では「再投資可能な収益力の確保」「将来に向けた成長ドライバーの強化」「財務体質の健全化」「グループ経営基盤の強化」を基本方針として、石油開発事業や石油事業で収益力を強化しつつ、次の成長向けた事業ポートフォリオの拡充を図ってまいります。

 

<第6次連結中期経営計画の基本方針>

 

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下の図は、当社グループの長期的な事業ポートフォリオの移行イメージを示しております。脱化石燃料の動きを睨みながらも、石油関連事業の競争力を強化することで一定規模の収益力を維持しつつ、積極的な投資により成長が見込まれる再生可能エネルギー事業や石油化学事業を新たな柱にしてまいります。

 

<事業ポートフォリオ移行のイメージ>

 

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<経営目標の達成状況>

 第6次連結中期経営計画では「財務体質の健全化」を最重要課題の一つとして認識し、“稼ぐ力”と“財務体質”を強化し、原油価格下落等の環境変化に耐えうる自己資本の厚みを目指しております。中計施策の着実な実行により、当社グループの収益力は大きく改善いたしました。

 当連結会計年度の在庫影響を除く経常利益は1,608億円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,389億円と、過去最高益となりました。フリー・キャッシュ・フローは2018年度から2021年度までの累計で1,572億円、自己資本は4,562億円、自己資本比率は23.5%、ネットD/Eレシオは1.04倍、ROEは35.6%と連結中期経営計画の財務目標を1年前倒しにて達成しております。

 

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※ 2020年3月31日実行のハイブリッドローン300億円について、50%を資本とみなして算出

 

(注)各指標は以下の計算式によっております。

自己資本比率:自己資本/純資産

ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現金及び預金)/純資産

有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている借入金、コマーシャル・ペーパー、社債、転換社債型新株予約権付社債を対象としております。

ROE:当期純利益/自己資本(期首期末平均)

 

 なお、以下のとおり、第6次連結中期経営計画の重点施策は、着実に進捗しております。

 

《各事業セグメントの重点施策》

(石油事業)

石油事業においては、2019年度より開始したキグナス石油㈱への燃料油供給により、当社グループは生産数量が販売数量を下回るショートポジションを確立し、製油所の高稼働を維持しております。

また、2020年1月から国際海事機関(IMO)の船舶燃料向け硫黄分規制が強化され、全海域で高硫黄C重油が使えなくなりました。当社グループでは、規制の導入よりも前倒しでコスモ石油㈱堺製油所の重質油熱分解装置(コーカー)を増強し、高硫黄C重油を生産しない体制を構築しました。また、千葉製油所及び四日市製油所において、流動接触分解装置から生産されるスラリー油に含まれる不純物の除去設備を設置し、収益油種であるIMO向け燃料油へ生産構成をシフトさせました。

カーライフ事業につきましては、世界的な脱炭素社会へのシフトをはじめ持続可能な社会の実現に向け、電気自動車(以下、EV)の普及が加速するとの長期的な環境認識に基づき、EVを軸とした新たなモビリティサービスの創出を進めております。㈱e-Mobility Powerとの連携により、当社系列サービスステーションへのEV用急速充電器の設置及び関連サービスの開発を推進しております。また、EVと再生可能エネルギー等のパッケージ商品「コスモ・ゼロカボソリューション」の販売を開始しております。電力小売りでは、家庭用電力「コスモでんき」の販売に加え、「コスモでんき ビジネス」「コスモでんき ビジネスグリーン」等お客様のニーズに合わせた多様な商品を展開しております。

またデジタル化への対応として、2019年に開発した「カーライフスクエア」アプリは、2022年3月末時点で434万ダウンロードとなり、多くのお客様からのご支持を頂いております。「カーライフスクエア」ではお客様とのつながり強化を目的として、アプリ上で見積もりから決済まで完了できるコミット車検のほか、燃料油・カーケア商品のお得なクーポンの提供やお勧めの給油タイミングのお知らせ等、様々なサービスを提供しております。

 

(石油化学事業)

石油化学事業は、成長ドライバーのひとつとして位置づけ、石油事業とのシナジーを追求しながら積極的な投資を行っております。国内最大規模のエチレン生産能力を持つ丸善石油化学㈱は、環境に左右されにくい機能化学品等の生産を拡大しております。基礎化学品の高付加価値化を目的として丸善石油化学㈱とコスモ石油㈱が共同で建設しているプロピレン精留設備は、2022年5月に運転を開始しました。また、荒川化学工業㈱と当社グループによる合弁会社である千葉アルコン製造㈱にて、2022年度において水素化石油樹脂製造設備の運転開始を予定しております。

韓国のHyundai Oilbank Co., Ltd.とコスモ石油㈱との合弁会社であるHyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.につきましては、外部環境の変化には十分留意しながら、中長期的にアジア地域を中心として見込まれるポリエステル需要の増大に対応するべく、競争力強化に努めてまいります。

 

(石油開発事業)

石油開発事業では、2017年度よりヘイル油田において生産を開始しておりますが、当初想定よりも油層の圧力低下が見られるため、生産を意図的に抑制しております。今後、油層圧回復の施策を実行し、生産量の回復・最大化を目指してまいります。このほかの既存油田(ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田)につきましても、安定した生産を継続しました。

また、前事業年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。脱化石燃料の流れの中でも、必要とされるエネルギーを継続して供給することは当社グループの責任であると考えており、今後石油需要の減退が進行していく過程でも、その責任を果たすべく本鉱区を取得しております。本鉱区は、豊富な石油・天然ガスの資源量が賦存するだけでなく、単位数量あたり操業費がその他の地域と比べて低いとされるアラビア湾の浅海に位置し、かつ商業生産に至った場合には隣接するアブダビ石油㈱が保有する油田施設を共同で活用できるため、開発・操業コストの大幅な低減が期待されます。今後も、引き続き本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査すべく、探鉱作業を実施してまいります。

 

(再生可能エネルギー事業)

再生可能エネルギー事業で中心となるのが風力発電事業です。コスモエコパワー㈱は、風力発電業界におけるパイオニア的企業であり、国内シェアは第3位となります。陸上風力に関しては、稼働している風力サイト(設備容量30万kW)は順調な稼働を継続しており、またノンファーム型接続の開始により新規サイトの開発も着実に進めています。2021年度は、中紀ウィンドファーム(和歌山県)が運転を開始しており、2022年度は上勇知ウィンドファーム(北海道・2023年3月運転開始予定)及び大分ウィンドファーム(大分県・2023年3月運転開始予定)の運転開始を予定しております。陸上風力では既に運転中の30万kW、FIT(固定価格買取制度)取得済30万kWの合計60万kWに加え、現在開発中の複数のプロジェクトにより、2030年度には約90万kWの規模を目指しております。洋上風力に関しては、秋田洋上風力発電株式会社が、秋田港湾及び能代港湾において2022年度の運転開始を目指し建設工事を順調に進めております。その他にも現在開発中の青森西北沖、秋田中央海域、山形遊佐沖、新潟北部沖、北海道石狩湾沖等のプロジェクトを進め、洋上風力発電のリーディングカンパニーとしての地位を確立し、2030年には陸上、洋上を合わせて150万kW超の設備容量を目指します。

 

《その他の重点施策》

(サステナブル経営の推進について)

当社グループは、第6次連結中期経営計画における重点施策の一つとして、「地球と人間と社会の調和と共生を図り、無限に広がる未来に向けての持続的発展をめざす」というグループ理念と、このグループ理念の原点に改めて向き合い整理した当社グループのサステナビリティの基本的な考え方に基づき、ESGを重視し持続的な企業成長と企業価値向上を図るサステナブル経営を推進しております。

具体的な取り組みとしては、サステナビリティ戦略会議(注)の新設(会議体の再編成)、サステナビリティ方針類の整備、特定した最重要マテリアリティのKPIの設定とモニタリング、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言への対応等を行ってきました。今後は、経営層・従業員のリテラシー向上、当社として取り組むべきESG施策の充実を進めていきます。

顧客・株主・地域住民・従業員等すべてのステークホルダーを含む社会の持続的発展に、サステナブル経営によって貢献してまいります。

 

(注)サステナビリティ戦略会議:社長執行役員が議長となり、執行役員、中核事業会社の社長及び企画部門長をメンバー、監査等委員をオブザーバーとして開催し、サステナブル経営の様々な議題を討議する会議体

 

・マテリアリティについて

サステナブル経営推進の一環として、以下のプロセスで特定した当社グループと社会の持続的な発展と中長期的な企業価値に影響を与える重要なESG課題を、最重要マテリアリティと定義しました。

 

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最重要マテリアリティは、持続的な価値創造のためのマテリアリティである「気候変動対策」「製品仕様とクリーンな燃料ブレンド」「クリーン技術の機会」「収益基盤事業の構造改革」と、事業継続のための基盤となるマテリアリティである「安全操業・安定供給」「労働安全衛生」「ダイバーシティと機会均等」「リスクマネジメント」「コンプライアンス」「倫理と誠実性」に分類されます。

 

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マテリアリティの特定に合わせ、各マテリアリティのリスク及び機会を特定し、リスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすため、様々な取り組みを行っております。当社グループ及び社会の持続可能な発展を目指し、これらマテリアリティのリスクと機会を的確に捉え、経営に反映させていくことが重要と考えております。なお、事業等のリスクについては「第2 事業等のリスク」を参照ください。

 

 

マテリアリティ

リスクと機会

(●リスク、○機会)

主な取り組み内容

気候変動対策

●異常気象(風水害)の影響による製油所、工場、油槽所の操業または入出荷の停止及び給油所の営業停止

●異常気象に対する災害防止対策への投資コスト増加

●カーボンプライシングの導入による製造コストの増加

●炭素規制の強化に伴う排出権購入・省エネ設備投資等のコスト増加

●脱炭素社会への対応遅れによる企業価値の低下

●石油事業に対するダイベストメントが加速(資金調達コスト増加)

○異常気象の影響で発生する災害時のエネルギー(石油製品)安定供給による取引先からの信頼の獲得

・「当社グループ事業から排出する温室効果ガス(GHG)を2050年度までにネットゼロにする」という2050年カーボンネットゼロ宣言を実施

・カーボンネットゼロ宣言の実現に向けた取り組みと工程をとりまとめたロードマップを、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)におけるシナリオ分析や、外部環境・内部環境の分析等を基に策定

・GHG排出量の削減に向け、低炭素燃料(LNG、バイオ燃料等)、脱炭素燃料(水素、アンモニア等)への燃料転換や再エネ導入の検討

・カーボンクレジットの検討

クリーン技術の機会

●電気自動車(EV)や代替燃料の普及による石油製品需要の減少

○EV関連サービス事業及びカーシェア等の新たなサービス事業の拡大

○再生可能エネルギー(風力発電事業)及び低炭素エネルギーの需要増加の事業機会の増大

○再生可能エネルギー事業等への投資拡大

○CCUS技術の進展によるCO₂排出削減事業の拡大

・モビリティサービスの取り組みとして、給油所へのEV用急速充電器の設置、コスモMyカーリースでのEV供給、EVカーシェアの提供等の事業を更に拡大

・再生可能エネルギー事業の拡大として、2030年に陸上、洋上風力で合計150万kW超の設備容量を目指す

・ネガティブエミッション技術の活用として、当社グループが利権を有す油田等でのCO₂-EORの可能性検討。また、主要な装置におけるCO₂回収とその活用(CCS/CCUS)の可能性を検討

製品仕様とクリーンな燃料ブレンド

●脱化石燃料の進展による石油製品需要減による収入減

○資源循環社会への移行(バイオ製品需要の増加、ケミカルリサイクル事業の拡大)

 

・バイオガソリン(バイオETBE配合)の供給への取り組み

・バイオジェット燃料(SAF:Sustainable aviation fuel)サプライチェーン構築に向けた事業開発を一層加速させ、2025年までにSAF燃料製造設備の稼働、供給開始を目指す

・カーボンリサイクル(合成燃料・化学品)製品の供給を検討

・水素・アンモニアの供給を検討

・ケミカルリサイクル製品の供給への取り組みを検討

 

 

収益基盤事業の構造改革

●金融不安、政情不安、景気の急変動等による既存事業の強靭性の低下

●市場変化や政策への対応の遅れによる事業採算性の低下

●技術革新への対応の遅れによる主要事業の競争力低下

○新規事業の収益化による事業基盤のアジリティ確保

○技術変化への早期対応による競争優位の獲得

・再生可能エネルギー事業等、次代の成長を担う投資の実施

・再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業の参画

・「スマートシティ会津若松」におけるICT・環境技術等を活用した地域モデルの創出。地域創生、地域との協創における事業の機会の検討

労働安全衛生

●従業員及び協力会社の労働災害被害

●製油所、物流基地及び油槽所等の操業停止

●人的や機械的なエラーによる事故の発生

●労働紛争

○従業員の離職防止、定着化

・グループ全体の労災件数、製油所等の度数率・強度率の実績管理

・再発防止策や労災件数低減に関する取り組みをグループ内に水平展開

・労災の定義と責任所在の明確化

・全国安全週間に、社長メッセージをグループ内に発信

ダイバーシティと機会均等

●労働人口減少に伴う人材不足に対する採用コストの上昇

●多様な人材不足による競争力の低下

○モチベーション向上による企業成長

○イノベーションが起きやすい環境の醸成

○優秀な人材確保、定着化を促進

・女性活躍を優先課題とし女性管理職比率、採用女性比率をKPIとして管理

・育児、介護支援制度の充実

・健康診断受診率と総労働時間をKPIとして管理・公平かつ透明性のある評価制度

倫理と誠実性

●社員のモラル低下による信頼の失墜

●法令違反による行政処分

●顧客からの信頼の失墜、ブランドイメージの低下

○健全な企業風土の醸成

・企業行動指針の浸透

・社員向けメールマガジンの発行による企業行動指針の浸透

・倫理意識の醸成を目的とした企業倫理研修を実施

・従業員意識調査による現況把握

リスクマネジメント

●予期せぬ障害、損失、組織の機能不全

●事故、災害時の被害の拡大、復旧の遅れ

○適切なリスクテイクによる競争力の向上

・グループ各社に係る各社重点取組リスクの管理

・グループ全体に係るコスモエネルギーグループ重点取組リスクの選定と対策推進

・リスクマネジメント研修の実施

コンプライアンス

●コンプライアンス違反による信頼の失墜

●損害賠償責任や罰金の課金

●法令違反による行政処分

・企業行動指針と規定類の整備

・内部統制システムの整備、運用及び強化

・ヘルプライン(内部通報制度)の整備

安全操業・安定供給

●事故や労働災害による製油所、物流基地及び油槽所等が操業停止

●給油所、タンカー及びローリーでの事故及び地震等の災害による事業継続障害

○企業価値の向上

○いかなる時にも安定供給を実現することによるレピュテーションの向上

・企業行動指針や「コスモ石油安全の日」の設定による安全文化を醸成

・操業マネジメントシステムの導入、高度化

・千葉製油所の高圧ガス保安法における特定認定事業者(スーパー認定)の認定

・災害時の石油製品の安定供給を目的とした系列サプライチェーンBCPを構築、高度化

 

(ブランディング活動)

 これまで当社グループは「コスモ石油」として親しまれてきましたが、時代にあったエネルギーを提供したいとの思いを込め、グループ全体の力を「COSMO」へ結集し、石油事業だけでなく再生可能エネルギー事業も含めたグループとしての一体感・一貫性を醸成しております。

 コスモブランドフレームは時代や環境の変化に合わせた「コスモらしさ」の土台となる価値観です。4つのブランドコアバリューである「先見性」「信頼」「安心の供給」「CS主義」を、コスモエネルギーグループ全社員が企業活動全般にわたって一貫性を持って体現していくことで、ブランド価値を高めてまいります。

 

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 誰が、いつ、どの接点で関わっても「コスモらしさ」を感じてもらえるように、当社は「一貫性」を大切にしながらブランディング活動を推進しています。アウターブランディング活動として、広告や店舗、商品・サービス、接客態度まで一貫した「コスモらしさ」を表現しております。

 

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またインナーブランディング活動として、当社グループ26社を対象に、コアバリューを体現する優秀な活動事例を表彰するイベント「COSMOブランドAWARD 2021」を2022年3月に開催しました。

 

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(DX戦略と取り組み)

デジタル化を通じた顧客体験(CX)・価値向上を目的とし、根本的なビジネスモデル変革を迅速に進めていくことを目指す姿として掲げております。目指す姿の実現に向けて、デジタルケイパビリティの向上と、チェンジマネジメントの企業文化の推進を重点に、デジタルナレッジの向上、パートナリングの推進、データ活用基盤の強化、DX人材の育成、多様性のある組織の構築、さらに革新と伝統の企業文化の両立を具現化してまいります。また個々の社員のやる気と、自分ゴト化する意識改革を促すために、5つの指標である「Cosmo's 5C」を掲げ、全社員参加型のDXを推進しております。

 

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(人的価値向上への取り組み)

当社グループが持続的な成長を遂げるために欠かせない源泉のひとつが人的資本です。多様な働き方の実践やダイバーシティ、女性活躍の推進により、2021年度「なでしこ銘柄」に選定されました。

 

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当社グループにおける人材活用の取り組みについての基本的な方針として、人材活用方針に下記の内容を定めております。

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また、当社グループは、企業価値創造の源泉である役員及び従業員の心身の健康が持続的な成長基盤になると認識しています。また、品質の高い製品・サービスを安全かつ安定的に供給するためには、役員及び従業員が心身ともに健康で、能力を最大限に発揮する環境が不可欠であると考えており、当社グループにおける健康経営の取り組みを健康経営方針に定めています。

 

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(新型コロナウイルス感染症への対応)

当社グループは、自分と大切な人の命を守るとともに石油製品をはじめとした製品やサービスの安定供給の責任を果たすことを、一人ひとりが強く自覚し日々行動するよう徹底しています。

2020年2月から2022年1月までに危機対策本部合同会議(全39回)と危機対策合同会議(全6回)を開催いたしました。当社グループに関わる全ての関係者の安全を第一に、感染症対策の徹底、新型コロナウイルス感染症関連情報の周知、検査キットの配布、職域接種の実施、日勤者の在宅勤務等、グループ全体における各種取り組み方針を策定し、グループ各社へ展開いたしました。

 

(2)経営環境

当連結会計年度における日本経済は、ウクライナ情勢の緊迫化等による不透明感はありながらも、ワクチン接種の進展に伴う行動制限の緩和や消費抑制の和らぎがあったことから、徐々に回復してまいりました。

原油価格は、期初に1バレル61ドル台であったドバイ原油が、経済の正常化等に伴って石油需要が増加する一方で、供給はOPECプラスのさらなる減産縮小の合意に進展がない等の制約要因がみられたことから80ドル台まで上昇しました。その後、新型コロナウイルス変異株の蔓延懸念から一時60ドル台までの急落をみせましたが、影響は限定的との見方から年明けには回復しました。2月に開始されたロシアのウクライナ軍事侵攻による供給懸念から、ドバイ価格は120ドル台まで高騰しましたが、その後、米国の戦略石油備蓄放出の影響等もあり、期末は107ドル台で終えました。

為替相場は、期初は1ドル110円台から始まり、前半は世界的な新型コロナウイルス変異株の拡大による金利低下により、横ばいとなりました。後半はFRBの早期利上げ観測を背景に円安傾向となり、1月から3月にかけてはウクライナ情勢の悪化に伴い、国際基軸通貨であるドルの需要が高まり円安が進行し、期末は122円台で終えました。

石油製品の国内需要は、ほぼ横ばいで推移しました。ジェット燃料については、新型コロナウイルス感染症の影響による前期の大幅な縮小の反動を受け、前期を上回りました。一方で、需要の減退と原油高に伴う製品価格高騰の影響によりガソリンや灯油は前期を下回りました。

石油化学製品は、海外のプラント新増設の影響等により、主要製品であるパラキシレン等の市況が低調に推移し、厳しいマーケット環境が継続しました。

国内経済の今後の見通しにつきましては、徐々に回復することが期待されます。一方で、ウクライナ情勢、原材料価格の上昇、金融市場の動向、新型コロナウイルス感染症等による影響には引き続き留意する必要があります。中長期的には世界的に脱炭素社会への流れが加速し、エネルギー分野においても再生可能エネルギーへのシフトの重要性が高まると予想され、また国内における燃料転換や人口減少等の構造的要因による石油需要の減少傾向も継続するものと予想されます。このような経営環境の中、当社グループは、前連結中期経営計画から全社を挙げて懸命に進めてきた構造改革により、燃料油の中期的な需要減少に備えた体制構築が完了していたため、新型コロナウイルス感染症による需要減の影響、また構造的な需要が低迷する環境下においても、当社グループでは製油所の稼働率を低下させることなく対応することができました。

今後も長期的な大きな潮流を捉えつつ、短期的な変化に柔軟に対応しながら、石油関連事業の競争力の強化と再生可能エネルギーへのシフトを同時に進める「Oil & New」の基本方針を着実に、かつスピード感をもって実行することで、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは第6次連結中期経営計画において、足元の経営環境を注視しながら長期的な方向性を見据え、事業ポートフォリオを拡充し、石油開発や石油事業で収益力を強化してまいります。第6次連結中期経営計画を実行する上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりとなります。

 

《各事業セグメントにおける課題》

(石油事業(石油精製事業))

中長期的に石油需要の減退が予想されるなか、キグナス石油㈱への燃料油供給、デジタルを活用した販売施策の推進等により、燃料油販売数量の維持に努めてまいります。また、石油化学事業へのシフトやシナジーの創出、製油所のIT化等、競争力の強化を検討してまいります。

 

(石油事業(石油販売・カーライフ事業))

カーライフの変化に対応したビジネスモデルへの変革により事業領域を確保しつつ、石油精製と併せて競争力を確保してまいります。また、デジタル化への対応としてデジタルにおけるお客様とのつながりの強化を目的として「カーライフスクエア」アプリの機能拡大に取り組んでおります。また、再生可能エネルギー・EV等のパッケージ商品「コスモ・ゼロカボソリューション」により、脱炭素社会に向けた取り組みを強化してまいります。

 

(石油化学事業)

長期的には石油化学製品は世界の人口増加を背景に国際市場が拡大していくことが予想されるため、燃料油から石化原料へのシフトを推進してまいります。エチレン・パラキシレン生産での競争優位性を最大限活用しながら、未利用分の活用等の石油精製と石油化学のシナジーを享受し、環境に左右されにくい機能化学品の事業拡大を目指してまいります。

 

(石油開発事業)

半世紀にわたるアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国での安定した海上油田の生産実績による強固な信頼関係と自社操業を強みとして、既存油田の安定的な生産の継続と操業コストの削減を行ってまいります。また、前事業年度に新たに取得した現在調査中の鉱区(Offshore Block 4)からの生産により生産量規模の維持を図り、低油価環境でも利益を出せる事業ポートフォリオの構築を目指してまいります。

 

(再生可能エネルギー事業)

世界的な脱炭素化の潮流のなか、今後大きな成長が期待される風力発電事業を中心に、引き続き積極的に規模拡大を進めてまいります。陸上風力においては、2021年4月に運転を開始した中紀ウィンドファーム(和歌山県)に続き、2022年度には上勇知ウィンドファーム(北海道)と大分ウィンドファーム(大分県)の運転開始を予定しております。その他にもあぶくま南ウィンドファーム(福島県)、中紀第2ウィンドファーム(和歌山県)等の開発を着実に推進することで、2030年において陸上風力の設備容量約90万kWの達成を目指しております。さらに2050年のカーボンニュートラル達成に向けた事業環境の整備・投資機会の拡大が見込まれる洋上風力においては、日本における同分野のリーディングカンパニーを目指しております。運転開始を予定しているプロジェクトとしては、秋田県の秋田港湾及び能代港湾における秋田港・能代港プロジェクトが2022年度下期の運転開始を予定しており、開発中のプロジェクトとしては、青森西北沖、秋田中央海域、山形遊佐沖、北海道石狩沖等5つの洋上プロジェクトの開発を進めております。洋上風力における競争が激化する中、当社グループでは建設・O&M・売電先を含めた全てのサプライチェーンを精査し、徹底的なコスト競争力の強化を図ります。

 

《気候変動への取り組み》

・TCFDへの賛同表明

当社グループは気候変動関連情報の開示検討に伴い、2020年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに参画いたしました。

 

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・2050年カーボンネットゼロへ向けたロードマップの開示

株主・投資家をはじめ幅広いステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを目指し、TCFDのフレームワークに基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の推奨開示項目ごとに、気候変動に対する考え方や情報の整理を行いました。今後、当社グループとして気候変動対策を加速させるために、継続的に取り組み及び開示のレベルアップを図っていきます。また、2021年5月の「カーボンネットゼロ宣言(グループ事業から排出する温室効果ガス(GHG(注))を2050年までにネットゼロにする)」の実現に向けた取り組みと工程をとりまとめたロードマップを、TCFDにおけるシナリオ分析や、外部環境・内部環境の分析等を基に策定しました。当社グループは、Oil & Newとカーボンニュートラル社会の形成を2つの大きな柱として、「2050年カーボンネットゼロ」への取り組みを進めてまいります。エネルギーの安定供給の責任を果たしつつ、石油分野以外の事業を拡大すると共に、2050年までにGHG排出をネットゼロにすることを目指します。脱炭素燃料への転換やネガティブエミッション技術等、以下6つを重点取組テーマとし、カーボンネットゼロに取り組んでまいります。

 

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(注)GHG:Greenhouse Gasの略称。当社グループはスコープ1及びスコープ2を対象としています。

 

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2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態は、今後起こり得る様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下には、事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループは、コントロールできない外部要因や事業リスクとして顕在化する可能性が必ずしも高くない事項も含め、投資家の判断上重要と考えられる事項については積極的に開示しております。ただし、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)セグメント特有のリスク

(石油事業及び石油化学事業)

①原油価格及び原油調達に関するリスク

石油開発事業における原油価格に関するリスクに加え、当社グループは、原油在庫の価格を総平均法で評価しているため、原油価格の下落局面では、期初の在庫単価と期中に仕入れた下落した在庫単価が平均され売上原価を押し上げることになり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、昨今のウクライナ情勢の緊迫化による原油価格の急激な変動、中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により原油調達が影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは次期の連結業績予想へ与える原油価格変動の感応度を測定しておりますが、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、石油事業のセグメント利益は年間17億円増減する可能性があります。

 

②石油製品及び石油化学製品等の価格に関するリスク

当社グループの主要な石油製品コストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行っており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップやタイムラグが生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③石油製品及び石油化学製品等の需要に関するリスク

当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受けます。また、ナフサは石油化学業界、航空燃料は航空業界、軽油は運輸業界、重油は電力業界、海上輸送業界等の需要動向を反映します。燃料油の国内需要は、少子高齢化や人口減少、燃費改善や燃料転換等の構造的要因から減少傾向が継続するものと想定しております。また、石油化学製品は海外での石油化学プラントの新増設により、需給が緩和される可能性があります。当社グループは、需要減少に備え国内販路の確保や収益油種を集中して生産できる体制の構築等に取り組んでおりますが、国内のみならず海外も含めた経済動向や天候の変化等で需要が変動した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げに関するリスク

原油価格の下落により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下し、棚卸資産の収益性が低下したと判断する場合があります。この場合、棚卸資産の収益性の低下を反映するために計上した評価損が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、当社グループは原油及び石油製品の輸出入に係る価格変動のリスクをヘッジすることを目的としてデリバティブ取引を利用しています。具体的な取り組みについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」を参照ください。

 

(石油開発事業)

①原油価格に関するリスク

原油価格は、需要動向と供給動向により大きく左右されます。原油の需要は世界経済の動向や石油製品の需要に影響されます。特に大消費国である米国や経済成長著しいアジア地域、中でも中国の動向に影響されます。また、OPEC加盟国や他産油国の増減産に加え、シェールオイルの増減産、中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、原油価格が影響を受ける恐れがあります。特に昨今ではロシアによるウクライナ侵攻により原油価格が高騰しており、今後のウクライナ情勢の動向により原油価格が急激に変動する可能性があります。当社グループでは原油価格動向を日々注視しながら事業を進めておりますが、原油価格の変動が大きい場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは次期の連結業績予想へ与える原油価格変動の感応度を測定しておりますが、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、石油開発事業のセグメント利益は年間12億円増減する可能性があります。

 

②原油生産に関するリスク

当社グループはアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国及びカタール国で原油生産を行っております。油田に関する技術やノウハウを蓄積し、長期に渡る安定的な原油生産が継続できるように操業しておりますが、油層の状況が想定と異なった場合等には予定している生産量を確保できないリスクがあります。当社グループが操業しているヘイル油田では油層圧低下が発生しておりますが、今後、油層圧回復の施策を講じリスク低減を図ってまいります。また中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、当社グループの生産拠点での操業停止等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③原油探鉱・開発に関するリスク

当社グループは前連結会計年度に、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国で探鉱鉱区(Offshore Block 4)を落札しました。今後、探鉱作業を行い原油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査します。探鉱作業において商業生産が可能な規模の資源が発見できず、投資額が回収できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(再生可能エネルギー事業)

①政策及び法令に関するリスク

一般海域における洋上風力発電事業の開発は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に則って行われ、具体的な手続、スケジュールは経済産業省及び国土交通省により進められています。当社グループでは事業候補地においてフィージビリティスタディーを実施していますが、当社グループが想定している時期に促進区域に指定されず、事業計画に遅れが出るもしくは中止となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態及び将来の成長性に影響を及ぼす可能性があります。

 

②開発に関するリスク

風力発電事業では、開発段階において各種許認可の取得に加え、風況観測及び環境アセスメントが必要となるため、建設工事着工前から一定程度の先行的な投資が発生します。開発段階で事業化を断念しなければならない事象が発生し、投資額が回収できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③建設に関するリスク

洋上風力設備の建設工事着工は入札時からのリードタイムが数年あります。その間に鋼材や人件費等の上昇が発生した場合、建設費用が増加する可能性があります。また新型コロナウイルス感染症等の影響により、海外からの資機材搬入の遅延や技術者入国制限等が発生した場合、工事が遅延する可能性があります。当社グループではパートナーとの提携等により、これらのリスク低減に努めますが建設費増加または工事遅延が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④出資に関するリスク

洋上風力発電事業は、当社グループが出資する特別目的会社(SPC)を通じて事業を進めておりますが、入札の結果、失注となった場合等、事業化を断念しなければいけない事象が発生する場合があります。この場合、出資額が回収できないと判断し、減損処理を実施するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、洋上風力事業へは多数の企業が参画しており競争が激化していることから、出資に対する収益性が低下する可能性があります。

 

(2)その他のリスク

①外国為替レートに関するリスク

当社グループは、原油の輸入及び石油製品等の輸出入を行っており、その調達コストは通常米ドル建てで決済されるため、外国為替レートの変動により差損益が生じます。外国為替レートの変動による悪影響を最小限に留めるべく、為替ヘッジ取引を行っておりますが、円安へ推移すれば調達コストを押し上げることとなります。また、外国為替レートの変動は、海外連結子会社または持分法適用会社の財務諸表を円貨換算する際にも影響しており、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは次期の連結業績予想へ与える為替変動の感応度を測定しておりますが、1米ドル当たり1円変動すると、石油事業及び石油開発事業のセグメント利益は合わせて年間26億円増減する可能性があります。

また、上記のとおり、当社グループは為替変動リスクをヘッジすることを目的としてデリバティブ取引を利用しています。具体的な取り組みについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」を参照ください。

 

②金利に関するリスク

金利の変動により、今後借入金利が著しく上昇する等、金融コストが増加する場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、一部の借入金は変動金利であるため、金利の変動リスクに晒されていますが、当社グループは当該変動リスクをヘッジすることを目的としてデリバティブ取引を利用しています。具体的な取り組みについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」を参照ください。

 

③資産価値に関するリスク

原油価格の下落や市場環境の変化等により、資産の収益性の低下や資産価値の下落が生じ、投資額の全部または一部の回収が見込めないと判断する場合があります。この場合、当社グループが保有する固定資産や投融資に対する投資額の回収可能性を反映するために計上する減損損失や評価損が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④繰延税金資産の取り崩しに関するリスク

繰延税金資産の計算につきましては、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づいており、実際の結果が予測と異なる可能性があります。将来の課税所得の見積りに基づく税金負担の軽減効果が得られないと判断された場合、当該繰延税金資産は取り崩され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤感染症等に関するリスク

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延を機に、危機対策にかかる合同会議(2021年度:危機対策本部 全17回、危機対策会議 全3回)を開催し、感染症対策の徹底に努めております。事業への影響を最小限に抑えるべく、感染症予防策の徹底、オフィス勤務者を対象とした在宅勤務の推進、感染時・感染疑い時の対処、職域接種の機会の設営、検査キットの確保と配布、自宅療養者向けの健康観察アプリの開発と展開等の対策を講じております。加えて、新型インフルエンザ等事業継続計画(BCP)マニュアルを見直し、石油製品の安定供給を維持できる体制を整えました。また、当社グループでは予てより働き方改革の取り組みとして在宅勤務制度を構築しておりましたが、この制度を新型コロナウイルス感染症の感染予防策として活用する他、時差出勤等と併せることで、生産性をより向上させる「新しい働き方」を追求し、従業員の安全衛生の徹底を図っております。しかし、当社グループ内での感染者が発生し、事業運営に影響する場合は、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥気候変動に関するリスク

日本はパリ協定に基づき2030年度までにCO₂排出量を2013年度比26%削減することを目標にしておりましたが、2021年4月に日本政府は、2030年度までに温室効果ガスの排出量の削減目標を2013年度比46%まで引き上げ、2050年には温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを表明しております。

当社グループもグループ事業から排出する温室効果ガス(GHG)を2050年までにネットゼロにする目標を揚げております。削減目標に対応するため世界的に脱化石燃料の動きが加速していくと、電動自動車の普及やシェアリング経済が拡大することとなり、ガソリン需要は存在するものの、化石燃料の需要は漸減していくと考えられます。このような環境を踏まえ、今後、当社グループは事業ポートフォリオの移行を加速させ、より環境配慮型の企業を目指します。しかしながら、日本や他の国が気候変動政策を強化、または環境関連法規等を変更または新規に導入した場合、石油製品の需要が想定外の速度で減少する可能性があります。この場合、石油関連事業を中心として、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦災害や事故に関するリスク

当社グループは、大量の危険物及び高圧ガスを取り扱っており、事故を未然に防止するために様々な安全対策を講じております。しかしながら、設備の老朽化や人為ミスを原因とする事故や労働災害によって、製油所、物流基地及び油槽所等が操業停止する可能性があります。また、巨大地震等の自然災害を想定し、その影響を最小限に抑えるため、非常用電源設置、耐震改修、BCPマニュアル整備及び防災訓練等を行っています。しかし自然災害の発生時には何らかの要因で操業停止する可能性があります。さらに、製油所、物流基地及び油槽所等以外でも給油所、タンカー及びローリーでの事故で事業運営に支障をきたす場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧法規制に関するリスク

石油産業には様々な環境規制が適用されており、当社グループはこれらの規制に適合した対応を執っています。しかし、今後も更なる環境規制や罰則の強化が想定され、新しい法律や現行法の改正等により、費用負担が増加した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨競合に関するリスク

当社グループは石油事業を中心に国内外の企業との激しい競争にさらされております。引き続き競争力の維持、向上に取り組んでまいりますが、競合他社と比して効率的な事業運営等ができない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩信用に関するリスク

当社グループでは取引先に対する与信管理の体制を整備しておりますが、保有する売掛債権が取引先の経営悪化等により債務不履行に陥り回収不能になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪品質に関するリスク

当社グループは、リスクマネジメントにおける重点管理項目として品質確保についての目標やKPIを設定し、製品・サービスの品質管理体制の強化に努めています。

しかし、品質管理に関するリスクが顕在化した場合には、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫顧客満足に関するリスク

当社グループでは、リスクマネジメントにおける重点管理項目として、カスタマーセンターのクオリティ診断、サービスクレーム発生率をKPIとして用い、顧客満足度の向上に努めております。

しかし、サービスレベルの低下等によって顧客の要求に応えられない場合には、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬法令違反に関するリスク

当社グループは、サステナブル経営を進めるにあたり、法令遵守を柱の一つと位置付け、仕組みを整えるとともに、社員が遵守すべき行動規範である「コスモエネルギーグループ企業行動指針」の浸透を図り、また企業倫理・人権研修を通じ、社員一人ひとりのモラル向上、知識レベル向上に努めております。しかしながら、ヒューマンエラー等による法令違反のリスクが顕在化した場合には、行政処分を受け、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭情報の管理に関するリスク

情報管理につきましては、社内情報システムのセキュリティを強化するためにウイルス対策や個人情報保護対応等を実施しております。さらに、顧客情報を含む機密情報の管理、取り扱いにつきましては、社内体制、社内規程等を整備し、外部への委託先に対して監督管理及び監査を実施しております。しかしながら、何らかの要因により個人情報を含む機密情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクが顕在化した場合には、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮内部統制システムに関するリスク

当社グループでは、法令等の遵守のために財務報告に係る内部統制を含む、有効な内部統制システムの整備、運用及び強化を図っております。しかしながら、組織内外の環境の変化やコンプライアンス違反等が生じ、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能しない場合があります。この場合、ステークホルダーの信頼を失い当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、『Oil & New 石油のすべてを。次の「エネルギー」を。』をスローガンとした第6次連結中期経営計画の基本方針に基づき、従来からの主力事業である石油開発事業、石油事業の収益力を強化し財務基盤を確立するとともに、長期的な環境変化を見据え、成長市場である再生可能エネルギー事業への積極投資や石油化学事業の競争力強化等、事業ポートフォリオの拡充に向けた取り組みを実施してまいりました。

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は2兆4,405億円(前期比9.3%の増加)、営業利益は2,353億円(前期比132.3%の増加)、経常利益は2,331億円(前期比139.4%の増加)となりました。

 これは、原油価格が上昇したことにより、特に石油事業において在庫評価の影響に加えて製品のマージンが改善したこと等によるものです。

 上記の増益要因により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,389億円となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は6,541億円減少し、営業利益は2億円減少し、経常利益は4億円増加しております。

 

 セグメント情報につきましては、以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

(石油事業)

 石油事業につきましては、前期比で製品販売数量が減少したものの原油価格が上昇したこと等により、売上高は2兆1,377億円(前期比+819億円)となりました。原油価格の上昇基調が続いたことによるマージン改善等の影響によりセグメント利益は1,655億円(前期比+914億円)となりました。なお、在庫評価の影響を除くセグメント利益は932億円(前期比+399億円)となっております。製品販売数量は、収益認識会計基準等の適用に伴い一部取引の会計処理方法を変更したことにより減少しておりますが、当該影響を除いた場合は前期比で増加しております。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は6,960億円減少し、セグメント利益は4億円増加しております。

(石油化学事業)

 石油化学事業につきましては、前期比で販売数量が増加したこと及び製品市況が改善したこと等により、売上高は3,594億円(前期比+549億円)、セグメント利益は136億円(前期はセグメント損失33億円)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1,209億円減少し、セグメント利益は0億円減少しております。

(石油開発事業)

 石油開発事業につきましては、原油販売数量が減少したものの原油販売価格が上昇したこと等により、売上高は910億円(前期比+306億円)、セグメント利益は448億円(前期比+309億円)となりました。

(再生可能エネルギー事業)

 再生可能エネルギー事業につきましては、風力発電設備が順調に稼働したものの、洋上風力への本格進出に伴うコストが増加したこと等により、売上高131億円(前期比+14億円)となり、セグメント利益は35億円(前期比△6億円)となりました。

 

 当期の連結財政状態は、総資産は1兆9,384億円(前連結会計年度末比+2,294億円)、負債合計は1兆3,544億円(前連結会計年度末比+945億円)、純資産合計は5,840億円(前連結会計年度末比+1,349億円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は481億円となり、前連結会計年度末に比べ36億円増加しております。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金の増加は1,084億円(前年同期は1,674億円の資金の増加)となり、これは主に、税金等調整前当期純利益を計上したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金の減少は675億円(前年同期は846億円の資金の減少)となり、これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金の減少は420億円(前年同期は806億円の資金の減少)となり、これは主に、長期借入金の返済による支出等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

 

1,145,430

172.9

石油化学事業

 

415,312

171.2

石油開発事業

 

15,432

103.7

合計

1,576,175

171.3

(注)1 自家燃料は除いております。

2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。

3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。

 

b受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

その他

14,854

114.1

10,425

131.9

 

c販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

 

2,054,427

107.7

石油化学事業

 

312,286

116.5

石油開発事業

 

37,208

162.2

再生可能エネルギー事業

 

13,091

112.3

その他

 

23,437

98.8

合計

2,440,452

109.3

(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

 

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ENEOSホールディングス㈱

335,154

15.0

キグナス石油㈱

234,426

10.5

333,993

13.7

※販売実績には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売実績を含めております。

※当連結会計年度のENEOSホールディングス㈱に対する販売実績は、収益認識基準を適用し一部取引の会計処理を変更したことにより重要性が乏しくなったため、記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」、財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。

 なお、連結財務諸表の作成に関して、認識している重要な見積りを伴う項目については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」を参照ください。

 

②経営成績の分析

a売上高

 売上高は、前連結会計年度に比べ2,072億円増加し、2兆4,405億円となりました。これは主に、原油価格の上昇等によるものです。

 

b売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、前連結会計年度に比べ610億円増加し、2兆616億円となりました。これは主に、原油価格の上昇等によるものです。売上高に対する売上原価の比率は、5.1ポイント減少して、84.5%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ121億円増加し、1,435億円となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、前連結会計年度とほぼ同水準の5.9%となりました。

 

 

c営業利益

 上記の結果を受け、営業利益は、前連結会計年度に比べ1,340億円増加し、2,353億円となりました。これは主に、原油価格が上昇したことにより、特に石油事業において在庫評価の影響に加えて製品のマージンが改善したこと及びコスモ石油㈱の製油所が高稼働を維持したこと等によるものです。

 

d営業外損益

 営業外損益は、前連結会計年度に比べ17億円改善し、22億円の損失となりました。これは主に、持分法投資損益が31億円改善したこと等によるものです。

 

e特別損益

 特別損益は、前連結会計年度に比べ178億円悪化し、215億円の損失となりました。これは主に、特別損失として固定資産の除却・撤去に関する固定資産処分損113億円を計上したことに加えて、生産物分与費用回収権に関する減損損失108億円を計上したこと等によるものです。

 

f親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ530億円増加し、1,389億円となりました。これは主に、法人税等が前連結会計年度に比べ621億円増加し665億円となったこと及び非支配株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度に比べ29億円増加し62億円となる一方、上記に記載した営業利益の増益要因が大きかったこと等によるものです。なお、1株当たりの当期純利益は、1,658.64円となりました。

 

 

 なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(石油事業)

 原油価格の上昇に伴い石油製品のマージンが改善したこと及びコスモ石油㈱の製油所が高稼働を維持したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ914億円増加し、1,655億円となりました。

 2022年度は当連結会計年度の原油価格上昇局面の影響を享受できないこと及び売上原価を押し下げる原因となっていた棚卸資産の在庫評価の影響が減少すること等が見込まれる一方、堅調な市況環境に基づく販売マージンを確保できる見通しとなっております。

 

(石油化学事業)

 前連結会計年度に行われた定期整備の影響が解消され販売数量が増加したこと及び製品市況が改善したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ169億円増加し、136億円となりました。

 2022年度は定期整備の影響による販売数量の減少と市況の悪化が見込まれておりますが、千葉アルコン製造㈱の水素化石油樹脂製造事業の商業化が予定される等石油事業とのシナジーを追求しながら、継続して協業の深化を進めてまいります。

(石油開発事業)

 販売数量が減少したものの、原油価格が上昇したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ309億円増加し、448億円となりました。

 2022年度は、原油価格の上昇による影響を享受する見込みです。また、前連結会計年度に取得した海上の炭鉱鉱区(Offshore Block 4)からの生産により生産量規模の維持を図るべく、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。

(再生可能エネルギー事業)

 風力発電設備が順調な稼動を継続したものの、洋上風力への本格進出に伴う開発費及び人件費が増加したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ6億円減少し、35億円となりました。

 2022年度は、引き続き業容拡大に伴うコストが増加することが見込まれております。陸上風力については、既存の発電設備の安定稼動を目指すとともに新規発電設備の開発を着実に進めてまいります。洋上風力については、秋田港湾、能代港湾における洋上風力発電プロジェクトが建設工事を順調に進めているほか、青森西北沖洋上風力発電事業等複数地域において事業実現に向けた検討を進めております。

 

③資本の財源及び資金の流動性に関する分析

a資金需要

 当社グループの資金需要は主に運転資金と設備投資に関するものです。

 運転資金需要は製品製造のための原材料仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等によるものであり、設備投資需要は競争力強化を目的とした石油・石油化学製品の製造設備、サービスステーションや販売促進のためのアプリ開発、原油の生産設備、風力発電設備等の取得や維持更新等によるものです。

 

b財務政策

 第6次連結中期経営計画では、「財務体質の健全化」を基本方針の一つとして掲げ、“稼ぐ力”と“財務体質”を強化し、原油価格変動等の市場環境変化に耐えうる自己資本の厚みとネットD/Eレシオ1倍台前半の早期実現を目指しております。財務体質強化の施策の一つとして2022年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行、劣後ローンによる資金調達を行っております。

 当社は、財務の安全性と効率性を両立させる財務運営を目指しており、コマーシャル・ペーパーによる直接金融と金融機関からの借入等の間接金融を機動的に行うことで効率的な調達を行っております。また、原油備蓄資金の制度融資も活用しており、市中の金融機関のみならず政府系金融機関とも関係を維持し、調達先の多様化を図り十分な流動性を確保しております。

 当年度においては、引き続き新型コロナウイルス感染症が業績に与える影響と金融市場の動向を精査しながら、過剰な手元流動性対策は行わず、有利子負債を返済することで、金融コストの抑制を図りました。また、当社が一括して資金調達し、子会社に融通するグループ金融体制を構築しており、調達の効率化を行っております。

 当社は、円滑な資金調達を行うために日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、当連結会計年度末において当社の格付は、BBB+(見通し:安定的)です。

(特定融資枠契約)

 平時における十分な流動性の確保と災害発生等の緊急時に円滑な資金調達を行うために取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しております。なお、当連結会計年度末における当該契約の極度額は1,174億円です。

 

c株主還元

 当社グループは、株主の皆様への利益還元を重要な課題の一つとして認識しております。当事業年度は2021年11月の時点で第6次連結中期経営計画における財務目標を1年前倒しでの達成が見えてきたことから、前事業年度から20円増配の一株当たり100円といたしました。また、2022年5月に発表した2022年度の株主還元方針は、第6次連結中期経営計画の財務目標を達成できたことから、前年から50円増配の一株当たり150円(うち、中間配当金75円)とする予定です。さらに、取得総額200億円または取得株式総数800万株を上限とする自己株式の取得の実施を発表しております。引き続き財務体質とのバランスを考慮しながら、株主還元の比重を高めるべく努力してまいります。

 

d財政状態

 当社グループは、財務体質を健全化することを最重要課題の1つとして認識しており、原油価格変動等の市場環境変化に耐えうる自己資本の充実を目指しております。今後も、重要な将来への成長投資と両立させながら、財務体質の健全化を目指してまいります。

 

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は8,680億円となり、前連結会計年度末に比べ2,622億円増加いたしました。これは主に、棚卸資産が1,266億円増加したこと等によるものです。固定資産は1兆704億円となり、前連結会計年度末に比べ327億円減少いたしました。これは主に、有形固定資産が188億円減少したこと等によるものであります。

 この結果、総資産は1兆9,384億円となり、前連結会計年度末に比べ2,294億円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は9,547億円となり、前連結会計年度末に比べ2,022億円増加いたしました。これは主に、仕入債務が591億円及びコマーシャル・ペーパーが451億円増加したこと等によるものです。固定負債は3,998億円となり、前連結会計年度末に比べ1,076億円減少いたしました。これは主に、長期借入金が729億円減少したこと等によるものです。

 この結果、負債合計は1兆3,544億円となり、前連結会計年度末に比べ945億円増加いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は5,840億円となり、前連結会計年度末に比べ1,349億円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,389億円を計上したこと等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は23.5%(前連結会計年度末は19.0%)となりました。

 

eキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したこと等により1,084億円のプラスとなりました。投資活動は有形固定資産の取得による支出等により675億円のマイナスとなりました。財務活動は長期借入金の返済による支出等により420億円のマイナスとなりました。

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ36億円増加の481億円となりました。

 当連結会計年度は原油価格が上昇したことにより、特に石油事業において在庫評価の影響に加えて石油製品のマージンが改善したこと及びコスモ石油㈱の製油所が高稼働を維持したこと等を主要因とし、税金等調整前当期純利益は前期比で大きく増加しております。フリー・キャッシュ・フローは409億円となりました。また、新型コロナウイルス感染症が業績に与える影響と金融市場の動向を精査しながら、過剰な手元流動性対策を行わず、有利子負債を返済することで、金融コストの抑制を図りました。引き続き、稼ぐ力の強化による財務体質の改善、並びに洋上風力等への積極的な成長投資により、事業ポートフォリオの転換を目指し、更なるフリー・キャッシュ・フローの創出を目指してまいります。

 

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率

14.1%

16.5%

14.6%

19.0%

23.5%

時価ベースの自己資本比率

17.2%

11.0%

7.8%

12.9%

11.4%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

3.6年

7.7年

6.1年

3.6年

5.4年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

15.6倍

8.2倍

11.8倍

23.1倍

16.7倍

(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。

4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金、コマーシャル・ペーパー、社債、転換社債型新株予約権付社債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期的な経営の方向性を第6次連結中期経営計画にて目標値として定めております。当該連結中期経営計画4年目の評価として、当連結会計年度における客観的指標の実績を示すとともにその達成状況を分析すると以下のとおりとなります。

 親会社株主に帰属する当期純利益は1,389億円、自己資本は4,562億円(自己資本比率23.5%)、ネットD/Eレシオ(※)は1.04倍、ROEは35.6%と連結中期経営計画の財務目標を1年前倒しにて達成しております。当連結会計年度においては、連結中期経営計画において掲げた施策の実行による収益力の強化により、過去最高となる親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、財務体質は大きく改善いたしました。

 連結中期経営計画の最終年度である翌連結会計年度においては、引き続き更なる財務体質の改善を目指し、稼ぐ力の強化と重要な将来への成長投資等により、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(※):2020年3月31日実行のハイブリッドローン300億円について、50%を資本とみなして算出。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)1997年7月15日、カタール国政府と連結子会社のコスモ石油㈱・日商岩井㈱(現・双日㈱)及び持分法適用関連会社の合同石油開発㈱は、カタール国沖合東南第1鉱区アル・カルカラ構造及びA構造における石油の探鉱・開発の生産物分与契約(以下「DPSA」)を締結しました。連結子会社のカタール石油開発㈱は1997年11月14日、DPSAに基づく全ての権利義務を上記3社から譲り受け、当該区域において、開発・生産・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

 

(2)1999年10月12日、コスモ石油㈱と日石三菱㈱(現・ENEOS㈱)との間で、原油調達・精製・物流及び潤滑油の各分野に関して、業務提携に関する基本協定を締結しました。

 

(3)2007年9月18日、コスモ石油㈱とInternational Petroleum Investment Company(現・Mubadala Investment Company)との間で、日本/アジア/環太平洋における、エネルギー分野を中心とした包括的かつ戦略的な業務提携を行うことを目的に、コスモ石油㈱への投資に関する第三者割当契約を締結しました。なお、当社は2022年3月14日のMubadala Investment Companyとの資本関係の解消に伴い、戦略的な業務提携関係を解消しました。

 

(4)2011年2月3日、アブダビ首長国最高石油評議会と連結子会社のアブダビ石油㈱は操業している3油田の利権の更新と新鉱区の追加取得について、新たな利権協定を締結しました。アブダビ石油㈱は、同利権地域におけるアブダビ海域において石油の採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

(注)本協定は、前協定(1967年12月6日締結及び1979年4月28日締結)が期限満了となった2012年12月6日より

発効しました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、連結子会社のコスモ石油㈱、コスモ石油ルブリカンツ㈱、丸善石油化学㈱及びコスモエンジニアリング㈱で実施しております。コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒等の石油精製分野の競争力強化に関する研究を実施するとともに石油化学分野、石油開発分野、コーポレート研究分野において研究開発を実施しております。コスモ石油ルブリカンツ㈱では、環境対応潤滑油商品化のために技術開発に取り組むとともに、消費者のニーズに応える潤滑剤及び放熱材料の商品開発等を行っております。丸善石油化学㈱では、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品等、既存事業の強化、拡大及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。コスモエンジニアリング㈱では、プラント保全、次世代エネルギー、カーボンニュートラル対応及びデジタルトランスフォーメーション等の各種技術について、時代のニーズに応える研究活動を行っております。

 この結果、当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は4,803百万円であります。

 以下に主要な研究概要をセグメント別に記載いたします。

 

(1)石油事業

コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒等の石油精製分野の競争力強化に関する研究を実施するとともに石油化学分野、石油開発分野、コーポレート研究分野において研究開発を実施しております。

石油精製分野では、長年培った触媒の調製・運転管理技術を活かして、製油所の高効率稼動や精製コストの削減等に取り組んでおります。また、2021年度からNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業に採択された「国産廃食用油を原料とするバイオジェット燃料製造サプライチェーンモデルの構築」において、廃食用油を原料としたSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)サプライチェーンモデルを実証・構築し、2025年度からのSAF装置の商業運転開始を目指しております。さらに将来に向けて、その他原料を用いたSAFの調査等にも着手しております。石油化学分野では、石油化学工場における未利用留分の燃料利用や石油留分の高付加価値化(石油化学製品化)、新規石油化学溶剤の調査・開発等、石油精製と石油化学との連携強化に関する研究開発に取り組んでおります。石油開発分野では、2016年度より原油タンク底部に蓄積する原油スラッジの削減技術に関する共同研究を独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と実施し、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも2022年5月から産油国において商業スケールでの実証化を予定しており、実証化の完遂に向けて着実に取り組んでおります。そして、2020年度より新たにコーポレート研究分野での取り組みを開始し、資源循環等の将来の社会課題解決を目的として、NEDO事業「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」に参画する等、「2050年カーボンネットゼロ宣言」の実現に向けた研究開発に着手しております。

コスモ石油ルブリカンツ㈱は現在、環境対応を最重要テーマとして、脱炭素・カーボンニュートラル、自動車や産業機械の電動化、デジタル化といった事業環境の変化に対応する最先端の商品開発に取り組んでおります。また、自社開発技術の更なる発展による要素技術開発・商品開発も並行して実施しております。

車両用潤滑油・工業用潤滑油・グリースの分野では、国内外で今後ますます厳しくなる排ガス規制・省燃費規制に対応したディーゼルエンジン油、最新車両に適合する変速機油、長寿命ガスエンジン油、低硫黄燃料に対応する舶用シリンダー油の開発や、各国の化学物質規制や複雑化するサプライチェーンに対応した商品開発、省エネルギー・省資源技術確立のための更なる研究開発に取り組んでおります。

また、デジタル化に対応する製品として、電子部品の放熱材料(製品名:「コスモサーマルグリース」、「コスモサーマルギャップフィラー」)、低トルク・省電力の「HDD動圧軸受油」等の高付加価値商品の開発を行い、さらには産学連携による新規商品開発にも取り組んでおります。

 

(2)石油化学事業

丸善石油化学㈱は、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品等、既存事業の強化、拡大及び新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。エチレンやプロピレン等、ナフサの熱分解による石油化学製品の生産過程で併産されるアセチレン、C4、C5留分等の未利用留分を原料とし、ビニルエーテル類や、未利用留分の付加価値をさらに高めた製品の開発、量産化に向けたプロセス技術の開発を実行中です。一方、年を追うごとに微細化、高性能化が進む最先端のメモリー、デバイスの生産に使用される半導体レジスト材料、周辺材料等の分野では、ますます高度化、多様化する顧客の要望に応えるために、生産技術、製品評価技術の向上、新規の製品・技術を創出するための研究開発を推進しております。

 

(3)その他

コスモエンジニアリング㈱は、プラント産業分野での経験やノウハウをベースとした技術力をさらに強化して、様々な顧客のニーズに的確に応えられるよう、以下の主要5点について研究活動を進めております。

①脱炭素社会対応:CO₂回収を含めたブルー水素製造設備やアンモニア供給関連設備建設に向けた技術開発、またバイオ燃料等のCCUS技術開発を進めております。

②デジタル技術活用:内製業務のデジタルトランスフォーメーションを進めております。

③プラント設計/保全関連技術:3Dカメラ、レーザースキャナーを活用したプラント設計/保全・プラント更新事業、ロボットを利用した検査、補修技術を開発しております。

④再生可能エネルギー関連技術:風力発電設備建設事業における顧客ニーズに応えるべく、風車検査技術に関する技術開発を進めております。

⑤物流・ロジスティクス関連:当社主力製品であるADPACの競争力・汎用性をより強化するため、IoTやビッグデータ活用による物流・ロジスティクスの最適化・効率化について技術開発を進めております。