第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針及び経営戦略

(Vision 2030)

エネルギー変革期において期待されるのは中長期のビジョンであることから、Vision 2030として「未来を変えるエネルギー、社会を支えるエネルギー、新たな価値を創造する。」というスローガンを掲げ、以下の3つの施策に取り組み、ありたい姿の実現を目指してまいります。

 

<Vision 2030及びありたい姿>

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(第7次連結中期経営計画の基本方針)

当社グループは、第6次連結中期経営計画において収益改善施策の着実な実行により稼ぐ力を向上させ、財務体質を大幅に改善させました。

第7次連結中期経営計画は、第6次連結中期経営計画のコンセプトをしっかりと引き継ぎながら、新たなステージへ変革し、企業価値向上をテーマとしてまいります。そのような位置づけを明確にすべく、スローガンを『Oil & New ~Next Stage~』として、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」の4点を基本方針に、持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。企業価値向上に向けて、非財務資本の活用による事業戦略の実現と、これによる収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大を図り、企業価値の最大化につなげてまいります。

 

<基本方針>

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(第7次連結中期経営計画 収益計画(2025年度))

Oil事業における構造改善に加え、New事業の収益拡大により1,400億円(2022年度業績予想値、第7次連結中期経営計画公表時点)から250億円の増益を見込んでおり、在庫影響を除く経常利益は2025年度において1,650億円を目指しています。

 

<収益計画>

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(第7次連結中期経営計画 投資計画(2023年度~2025年度))

グリーン電力サプライチェーンを中心に、New事業への投資を拡大し、第7次連結中期経営計画期間中の総投資額は4,200億円を見込んでいます。New事業への投資は全体の33%に相当し、風力発電事業への投資が大半となります。加えて、石油精製販売においては、現状の高い競争力を維持するための安全操業投資を中心に、必要不可欠な投資を実施してまいります。

 

<投資計画>

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(第7次連結中期経営計画 資本政策)

株主還元、財務健全性、資本効率を三位一体で実行していくことで、企業価値の最大化を目指してまいります。また、株主の皆様への利益還元につきましては、資本政策を三位一体で実現していくなかで、最大限拡大していきます。

 

<資本政策>

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(第7次連結中期経営計画 経営基盤の変革)

HRX(Human Resources Transformation)、DX(Digital Transformation)、GX(Green Transformation)を中心とした経営基盤の変革に取り組んでまいります。KPIとしてエンゲージメント指数の改善、人材育成投資の強化、データ活用コア人材の育成、GHG排出量削減を掲げています。

 

<経営基盤の変革>

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(第7次連結中期経営計画 経営目標(2025年度))

第7次連結中期経営計画は企業価値向上を目指す新たなステージと位置づけています。収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大をしっかり実現し、ステークホルダーの皆様にご評価いただけますよう、努めてまいります。

 

<経営目標(2025年度)>

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《当事業年度における各事業セグメントの重点施策》

(石油事業)

石油事業においては、2019年度より開始したキグナス石油㈱への燃料油供給により、当社グループは生産数量が販売数量を下回るショートポジションを確立し、製油所の高稼働を維持しております。

また、2020年1月から国際海事機関(IMO)の船舶燃料向け硫黄分規制が強化され、全海域で高硫黄C重油が使えなくなりました。当社グループでは、規制の導入よりも前倒しでコスモ石油㈱堺製油所の重質油熱分解装置(コーカー)を増強し、高硫黄C重油を生産しない体制を構築しました。また、千葉製油所及び四日市製油所において、流動接触分解装置から生産されるスラリー油に含まれる不純物の除去設備を設置し、収益油種であるIMO向け燃料油へ生産構成をシフトさせました。

カーライフ事業につきましては、世界的な脱炭素社会へのシフトをはじめ持続可能な社会の実現に向け、電気自動車(以下、EV)の普及が加速するとの長期的な環境認識に基づき、EVを軸とした新たなモビリティサービスの創出を進めております。㈱e-Mobility Powerとの連携により、当社系列サービスステーションへのEV用急速充電器の設置及び関連サービスの開発を推進しております。また、EVと再生可能エネルギー等のパッケージ商品「コスモ・ゼロカボソリューション」の販売を開始しております。電力小売りでは、家庭用電力「コスモでんき」の販売に加え、「コスモでんき ビジネス」「コスモでんき ビジネスグリーン」等お客様のニーズに合わせた多様な商品を展開しております。

またデジタル化への対応として、2019年に開発した「カーライフスクエア」アプリは、2023年3月末時点で595万ダウンロードとなり、多くのお客様からのご支持を頂いております。「カーライフスクエア」ではお客様とのつながり強化を目的として、アプリ上で見積もりから決済まで完了できるコミット車検のほか、燃料油・カーケア商品のお得なクーポンの提供やお勧めの給油タイミングのお知らせ等、様々なサービスを提供しております。

 

(石油化学事業)

石油化学事業は、成長ドライバーのひとつとして位置づけ、石油事業とのシナジーを追求しながら積極的な投資を行っております。国内最大規模のエチレン生産能力を持つ丸善石油化学㈱は、半導体レジスト用樹脂等の環境に左右されにくい機能化学品等の生産を拡大しております。基礎化学品の高付加価値化を目的として丸善石油化学㈱とコスモ石油㈱が共同で建設しているプロピレン精留設備は、2022年5月に運転を開始しました。

韓国のHD Hyundai Oilbank Co., Ltd.とコスモ石油㈱との合弁会社であるHD Hyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.につきましては、外部環境の変化には十分留意しながら、中長期的にアジア地域を中心として見込まれるポリエステル需要の増大に対応するべく、パラキシレン製造において競争力強化に努めてまいります。

 

(石油開発事業)

石油開発事業では、2017年度よりヘイル油田において生産を開始しておりますが、当初想定よりも油層の圧力低下が見られるため、生産を意図的に抑制しております。今後、油層圧回復の施策を実行し、生産量の回復・最大化を目指してまいります。このほかの既存油田(ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田)につきましても、安定した生産を継続しました。

また、2021年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。脱化石燃料の流れの中でも、必要とされるエネルギーを継続して供給することは当社グループの責任であると考えており、今後石油需要の減退が進行していく過程でも、その責任を果たすべく本鉱区を取得しております。本鉱区は、豊富な石油・天然ガスの資源量が賦存するだけでなく、単位数量あたり操業費がその他の地域と比べて低いとされるアラビア湾の浅海に位置し、かつ商業生産に至った場合には隣接するアブダビ石油㈱が保有する油田施設を共同で活用できるため、開発・操業コストの大幅な低減が期待されます。今後も、引き続き本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査すべく、探鉱作業を実施してまいります。

 

(再生可能エネルギー事業)

再生可能エネルギー事業で中心となるのが風力発電事業です。コスモエコパワー㈱は、風力発電業界におけるパイオニア的企業であり、国内シェアは第3位となります。

陸上風力に関しては、稼働している風力サイト(設備容量約30万kW)は順調な稼働を継続しており、またノンファーム型接続の開始により新規サイトの開発も着実に進めています。2023年4月には上勇知ウィンドファーム(北海道)及び大分ウィンドファーム(大分県)の運転を開始しました。陸上風力では運転中の風力サイトとFIT(固定価格買取制度)取得済みのサイトを合わせた70万kWに加え、現在開発中の複数のプロジェクトにより、2030年度には約90万kWの規模を目指しております。

洋上風力に関しては、2022年12月に秋田洋上風力発電㈱が、秋田港能代港プロジェクトの商業運転を開始しました。その他にも複数地域においてプロジェクトを進め、洋上風力発電のリーディングカンパニーとしての地位を確立し、2030年には陸上、洋上を合わせて150万kW超の設備容量を目指します。

 

(2)経営環境

当連結会計年度における日本経済は、資源高の影響等を受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むなかで、徐々に回復してまいりました。

原油価格は、期初に1バレル101ドル台であったドバイ原油が、ロシア産石油の禁輸決定等による供給不安から6月には118ドル台まで上昇しました。その後は中国における新型コロナウイルス感染再拡大を受けた都市封鎖等の措置により同国における石油需要の伸びが鈍化する懸念や、米国連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ等により、欧米経済への景気悪化が懸念され、原油価格は下落をみせました。3月に発生した米シリコンバレー銀行の破綻をきっかけに、一時70ドル台まで急落しましたが、その後、金融市場安定化対応が実施されたことで、期末は78ドル台で終えました。

為替相場は、期初の1ドル122円台から始まり、FRBの利上げ加速による日米金利差急拡大を背景に円安が進み、10月には1ドル150円を超えました。その後はFRBによる利上げペースの軟化が意識され円買いが広がりましたが、2月の日銀新総裁人事による円安や3月の米国の金融ショックによる円高と為替市場は乱高下し、期末は133円台で終えました。

石油製品の国内需要は、ほぼ横ばいで推移しました。ジェット燃料については、航空旅客輸送の回復傾向から、前期を上回りました。一方で、ガソリンや灯油は、製品価格上昇の影響が小幅となりつつも継続していることから前期を下回りました。

石油化学製品は、中国のプラント新増設や中国のゼロコロナ政策による需要減の影響により、主力製品であるパラキシレン等の市況が低調に推移し、厳しいマーケット環境が継続しました。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは第7次連結中期経営計画において、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」

「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」を基本方針とし、企業価値の向上に取り組んでまいります。

第7次連結中期経営計画を実行する上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりとなります。

 

《各事業セグメントにおける課題》

(石油事業(石油精製事業))

石油精製事業においては、製油所デジタルプラント化に向けた取り組み、運転/保全力の向上による更なる稼働率改善等を図ってまいります。また、定期整備の短縮に加えて、トラブルによる計画外停止を削減するためのソフトウェアである、Asset Performance Management Systemを導入し、予見性、網羅性、管理性を向上させることで、製油所高稼働の維持を推進してまいります。

 

(石油事業(石油販売・カーライフ事業))

石油販売・カーライフ事業においては、当社グループの持つ豊富な顧客データと、異業種パートナーとのデータ連携を組み合わせることで、マーケティングサイエンスによる燃料油販売の高度化を進めてまいります。

 

(石油化学事業)

石油化学事業においては、高稼働/高効率操業の実現と、外部環境に左右されにくい化成品及び機能化学品の生産拡大を目指してまいります。

丸善石油化学㈱千葉工場においては、スーパー認定(注)の取得に加えて、石油精製と石油化学の連携の深化と競争力の強化、市況環境に応じたパラキシレン生産量の最大化を目指してまいります。

また、機能化学品については、メチルエチルケトン(MEK)等の化成品や、需要が増加している半導体レジスト用樹脂の生産拡大を進めてまいります。

(注)IoT、ビッグデータの活用等、高度なリスクアセスメント、第三者による保安力の評価の活用等の高度な自主保安を実現している事業所を、経済産業省が特別に認定する制度。

 

(石油開発事業)

石油開発事業においては、ヘイル油田や既存油田の生産量最大化と、操業コストの最適化により収益構造を強靭化してまいります。また、2021年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。

加えて、アブダビ国営石油会社と協働し、CCS・CCUSの実証検討等の低炭素化に向けた検討を推進してまいります。

 

(再生可能エネルギー事業)

世界的な脱炭素化の潮流のなか、今後大きな成長が期待される風力発電事業を中心に、引き続き積極的に規模拡大を進めてまいります。陸上風力においては、2023年4月に上勇知ウィンドファーム(北海道)及び大分ウィンドファーム(大分県)の運転を開始しております。その他にも、遠州(福島県)、あぶくま南(福島県)等の開発を着実に推進することで、2030年において陸上風力の設備容量約90万kWの達成を目指しております。

さらに、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた事業環境の整備・投資機会の拡大が見込まれる洋上風力においては、日本における同分野のリーディングカンパニーを目指しております。2022年12月に秋田港能代港プロジェクトの商業運転を開始しており、その他にも複数地域において洋上プロジェクトの開発を進めております。洋上風力における競争が激化する中、当社グループでは建設、O&M、売電先を含めた全てのサプライチェーンを精査し、徹底的なコスト競争力の強化を図ります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループは、第6次連結中期経営計画における重点施策の一つとして、「地球と人間と社会の調和と共生を図り、無限に広がる未来に向けての持続的発展をめざす」というグループ理念と、このグループ理念の原点に改めて向き合い整理した当社グループのサステナビリティの基本的な考え方に基づき、ESGを重視し持続的な企業成長と企業価値向上を図るサステナブル経営を推進しております。2023年度より始まる第7次連結中期経営計画においても引き続き取組を継続してまいります。

具体的な取組としては、サステナビリティ戦略会議の新設(会議体の再編成)、サステナビリティ方針類の整備、特定した最重要マテリアリティのKPIの設定とモニタリング、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言への対応、2050年カーボンネットゼロへのロードマップの開示等を行ってきました。また、ビジネスと人権に関する取組として、2021年12月に人権方針を策定し、2022年8月から11月にかけて人権デューデリジェンスを実施しました。今後も、経営層、従業員のリテラシー向上や、当社として取り組むべきESG施策の充実を進めていきます。

顧客、株主、地域住民、従業員等すべてのステークホルダーを含む社会の持続的発展に、サステナブル経営によって貢献してまいります。

 

(1)サステナビリティ課題全般について

・ガバナンス

コスモエネルギーグループでは、コスモエネルギーグループ理念及び企業行動指針を実践し職務を適正かつ効率的に執行するため、「内部統制システムに関する基本方針」に基づき、当社及びグループ各社の取締役及び社員の職務執行の体制、これを支えるためのリスクマネジメント及び内部監査の体制、監査等委員会による監査が実効的に行われることを確保するための体制を整備・運用しています。また、内部統制を統括する組織として社長執行役員を議長とするサステナビリティ戦略会議を設置しています。

サステナビリティ戦略会議は、当社の役員(社外取締役を除く)をはじめ、中核事業会社の社長及びサステナビリティ担当役員、監査等委員で構成されます。当戦略会議において、連結中期サステナビリティ計画の活動の実績・評価を行い、重要なものを取締役会に報告しています。2022年度はサステナビリティ戦略会議を5回開催し、14件の議題を討議、そのうち取締役会へ9件を審議・付議報告しました。また、サステナビリティ戦略会議の実務機関として、サステナビリティ推進部長を事務局長とするサステナビリティコミッティを必要に応じて開催しています。サステナビリティ戦略会議にて審議された事項は、必要に応じてサステナビリティ連絡会を通じ、グループ各社へ共有いたします。

また、中核事業会社(コスモ石油㈱、コスモ石油マーケティング㈱、コスモエネルギー開発㈱)及び準中核事業会社(丸善石油化学㈱)に、それぞれの機能に応じた委員会を設置し、当社のサステナビリティ戦略会議と連携をとることによりグループ会社全体の統制を図っています。

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・戦略(マテリアリティの特定)

2021年3月に当社グループは、目指すべき2050年の社会の実現に向け、社会と当社グループの持続的な発展と中長期的な企業価値に影響を与える重要なESG課題(マテリアリティ)10項目を特定しました。持続的な価値創造のためのマテリアリティは、連結中期サステナビリティ計画を社会課題の観点からも推進し、それらを事業継続の基盤となるマテリアリティが支えます。当社グループでは、マテリアリティのあるべき姿の実現に向けたさまざまな取組を実施しています。なお、マテリアリティについては2023年4月1日に見直しを行っており、第7次連結中期経営計画に反映して取り組んでまいります。

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最重要マテリアリティは、持続的な価値創造のためのマテリアリティである「気候変動対策」「製品仕様とクリーンな燃料ブレンド」「クリーン技術の機会」「収益基盤事業の構造改革」と、事業継続のための基盤となるマテリアリティである「安全操業・安定供給」「労働安全衛生」「ダイバーシティと機会均等」「リスクマネジメント」「コンプライアンス」「倫理と誠実性」に分類されます。

 

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・リスク管理

当社グループは、リスクマネジメントをマテリアリティの一つと位置付け、事業活動を通じて発生する一切のリスクを把握し、様々なリスクを適切に管理し損失の極小化を図る体制を整備し、計画・実践・評価・是正措置のサイクルを通じてリスクマネジメントの充実を図っています。リスクマネジメントを運営する組織として、サステナビリティ推進部リスクマネジメントグループが、年に2回以上の頻度で、グループ会社を含めた各組織でリスク評価を行い、グループ全体での取組が必要な全社重要リスクについて、サステナビリティ戦略会議で討議しています。当社グループは、統合的リスク管理として、中長期視点、更にリスクを利益につながる機会として捉え、企業グループの価値を最大化しようとするリスクマネジメント (ERM:Enterprise Risk Management)の構築に取り組んでいます。なお、事業等のリスクについては「3 事業等のリスク」を参照ください。

 

・指標及び目標

特定した各マテリアリティにおいて、あるべき姿とKPIを定めて進捗管理を行っております。

マテリアリティ

あるべき姿

主なKPIと目標

実績(当連結会計年度・見込み含)

気候変動対策

・GHG排出量が適切に管理されている状態

・2050年カーボンネットゼロ達成に向けて

進捗している状態

・GHG排出量(注):

 6,260千t-CO₂

・6,888千t-CO₂

製品仕様とクリーンな燃料ブレンド

・顧客のニーズに合致したクリーンな燃料を

提供・販売する機会を獲得できている状態

・クリーンな燃料を継続的に開発・実証が

できている状態

・SAF供給計画策定

・ETBE供給量:24万kl

・2030年目標30

万kl/年を発表

・27.7万kl

クリーン技術の機会

・国内再生可能エネルギー発電のリーディン

グカンパニーとなっている状態

・低炭素/脱炭素技術がR&Dの注力テーマ

の一つになり、事業機会獲得に繋げられている状態

・燃料以外のクリーンな製品・サービスを

提供できている状態

・風力発電容量:30万kW

・30万kW

収益基盤事業の構造改革

・既存事業で安定した収益を上げ、新たな

事業に投資する事で、安定的に新規事業へ移行している状態

・クリーン技術を中心とした新規事業の収益

拡大と企業価値の向上により財務基盤が安定した状態

・第7次連結中期経営計画

におけるNew事業への投資計画策定

・第7次連結中

期経営計画(3年累計)のNew事業への投資額 1,400億円

安全操業・安定供給

・事故による従業員の傷害が防止できている

状態

・プラント事故及び製品(品質)事故が防止

できている状態

・操業地域や周辺住民の安全を脅かさない

操業ができている状態

・災害時や非常時等も含めて、エネルギーが

安定的に供給できている状態

・重大労災:0件

・重大事故:0件

・重大製品(品質)

事故:0件

・1件

・0件

・0件

労働安全衛生

・事故による従業員の傷害が防止できている

状態

・過重労働やハラスメントによる労働災害が

防止できている状態

・従業員が安心して健康に働ける状態

・健康診断受診率: 100%

・総労働時間: 1860時間

以下

・有休取得率: 90%以上

・100%

・1,939時間

・93%

ダイバーシティと機会均等

・年齢、性別、国籍、職種、所属、職歴に

関わらずあらゆる社員が能力を最大限に発揮できる状態

・意思決定において活発な議論がなされ、

多様な意見が反映されている状態

・学卒女性新卒採用比率

(基幹職):50%

・女性管理職比率:6%

(2023年4月1日時点)

・60%

(2023年4月

入社者含)

・6.7%

(2023年4月1

日時点)

 

 

マテリアリティ

あるべき姿

主なKPIと目標

実績(当連結会計年度・見込み含)

リスクマネジメント

・オペレーショナルリスクに加え、自社に

とっての戦略リスク(機会も含む)が識別できており、適切なリスクヘッジ、リスクテイクができている状態

・グループ全体の重大リスクが把握・管理

できている状態

・当社グループ重点取組リ

スク及び各社重点取組リスクのモニタリング

・グループ重点

取組リスク6課題、各社重点取組リスク298件をモニタリング

コンプライアンス

・法令・社規規範が遵守できている状態

・役員・従業員等が社内規定を認識・遵守

できている状態

・重大コンプライアンス

違反:0件

・1件

倫理と誠実性

・企業行動指針・方針が浸透して

いて、個々が適切な判断ができる状態

・3つの約束診断

「AA」獲得比率:50.0%

・カスタマー診断評価:

クオリティ評価 3.5

パフォーマンス評価 3.5

・サービスクレーム発生

率:0.10件(/10万人)

・51.3%

・クオリティ

評価3.57

パフォーマンス評価3.77

・0.05件

注 GHG排出量:Scope1・2に輸送部門の排出を加味し、再生可能エネルギーおよびバイオ燃料による削減貢献分を控除した数値

 

(2)重要なサステナビリティ項目について

(1)を踏まえ、当社は気候変動や人的資本等、様々なサステナビリティ情報に対応し、社会と企業に与えるリスクと機会や戦略のレジリエンスを評価し、幅広いステークホルダーへ積極的な情報開示を行っています。

 

《気候変動への取組》

当社グループは、気候変動の視点をより一層取り入れた経営計画を策定し実行していくことが、地球や社会、そして私たちの持続的な発展に不可欠であるとの認識から、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同し、2021年5月に「2050年カーボンネットゼロ」宣言を行い、その実現に向けた取組と工程をとりまとめたロードマップを2022年5月に公表いたしました。

このロードマップの策定は、最重要マテリアリティの一つとして特定した「気候変動対策」に対応するものであり、TCFDにおけるシナリオ分析や、外部環境・内部環境の分析等を実施し、ロードマップに反映させております。2023年5月には、サプライチェーン全体を含めたロードマップの改定を行い、5つの重点取組テーマを掲げ、取組を推進しています。

第7次連結中期経営計画においては、『Oil & New~Next Stage~』に基づき、グリーン電力サプライチェーン強化、次世代エネルギー事業の拡大、石油事業の低炭素化を推進することで、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現を目指しています。

 

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・ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ戦略のガバナンスに組み込まれています。当社は、代表取締役社長を議長とする「サステナビリティ戦略会議」を設置しており、当該会議において、気候変動関連の課題を含む重要な業務や方針に関する事項の審議を行っています。このなかで、グループ全体に大きな影響があると判断された事項ついては、取締役会に付議・報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制としています。

気候変動に関する議題として、2050年カーボンネットゼロに向けたロードマップの改定等気候変動問題に関する対応方針、計画策定、指標等の審議及び決定を行っています。また、グループ全体の事業活動から生じる環境負荷を最小化させる環境保全活動(リスク低減施策)及びビジネス機会の認識・創出を実施しています。

サステナビリティ戦略会議において審議及び決定された内容は、構成員が担当する部署へ周知するとともに、事務局がサステナビリティ連絡会にて、グループ会社に連絡・報告しています。

2050年カーボンネットゼロに向けたロードマップについては、2022年5月のサステナビリティ戦略会議にて討議した後、同月の取締役会において決議を行っています。また、GHG排出削減に関する指標の設定と進捗管理については、2022年6月、12月のサステナビリティ戦略会議において、報告・討議した後、12月の取締役会において、決議を行っています。

 

・戦略

短期・中期・長期の気候変動関連のリスクと機会及びビジネスへの影響

当社グループは、2050年カーボンネットゼロ社会の実現に向け、社会と当社グループの持続的な発展と中長期的な企業価値に影響を与える重要なESG課題(マテリアリティ)を特定しています。持続的な価値創造のためのマテリアリティとして、「気候変動対策」「製品仕様とクリーンな燃料ブレンド」「クリーンな技術の機会」を特定し、事業継続のための基盤となるマテリアリティとして、「リスクマネジメント」を特定しています。これらのマテリアリティに関する取組の進捗を計る指標として、再生可能エネルギー事業の拡大やGHG排出削減量を設定し、気候変動関連のリスクと機会の視点を取り入れながら、気候変動対策の取組を積極的に推進しています。

事業活動において想定しうる気候変動リスクと機会について、外部環境による事業環境の変化を想定し、TCFD提言に示されている気候変動リスク項目に基づき重要度を検討しています。

当社グループが想定するリスクと機会の主な項目と影響は以下のとおりです。

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対象範囲  石油精製/販売、石油化学、石油開発、電力(再生可能エネルギー等)

発生時期(短・中・長期)の考え方 短期:1年以内、中期:1~5年以内、長期:5年~20年

発生時の影響度  小:10億円未満、中:10億円以上~100億円未満、大:100億円以上

 

2℃以下を含むシナリオ分析、戦略のレジリエンス

当社グループのシナリオ分析では、石油事業、石油化学事業、石油開発事業、電力事業を対象事業とし、2030年時点の事業影響を想定しています。

シナリオとして、4℃(成り行き)、2℃(低炭素移行)、1.5℃(より低炭素移行)の3つのシナリオについて、国際エネルギー機関(IEA)の1.5℃シナリオ(NZE Scenario)、2℃シナリオ(SDS)、4℃シナリオ(STEPS)を選択し、IEAシナリオに不足する物理リスクの自然災害等の想定は、IPCCや国内外のシナリオを参考として想定いたしました。

4℃シナリオでは、石油事業はグローバルで需要増加が見込まれる一方で、気候変動に起因する異常気象の頻発や激甚化により、風水害による装置や機器の故障を要因とする損失や、保険料の増加をはじめとするコストの増加、操業や入出荷の停止による売上の減少が発生する恐れがあることが予想されます。

2℃シナリオでは、脱炭素化が大きく推進され、カーボンプライシングの導入や再生可能エネルギーやEVシフトの加速により石油需要は減少し、事業における排出削減やポートフォリオの見直しの必要性が高まることが認識されました。再生可能エネルギー事業において優位性を保つことができれば、売上を増加させる機会を獲得できることも認識され、再生可能エネルギー事業の更なる拡大が必要とされています。

1.5℃シナリオでは、2℃シナリオよりも脱炭素化が急激に推進され、さらにカーボンプライシングや排出取引価格が高額化することから石油需要の減少も加速することが予想されます。エネルギー企業の事業ポートフォリオの変換が進み、太陽光、風力、水力、その他の再生可能エネルギー市場の更なる開拓が必要とされています。

このような分析に基づき、第7次連結中期経営計画のグリーン電力サプライチェーン強化、次世代エネルギーの拡大、石油事業の低炭素化の推進施策に反映させ、取組を進めています。

 

・リスク管理

当社グループのリスクマネジメントについては「(1)サステナビリティ課題全般について」の「リスク管理」をご参照ください。

気候変動に関するリスクについては、グループ全社にまたがる重要な経営課題として、サステナビリティ戦略会議において継続的に議論を行う体制を整え、リスクの把握と対応状況の評価等を実施しています。

 

・指標と目標

当社グループでは、気候変動関連リスクに関し、「GHG排出量の削減」を重点課題とし、第6次連結中期経営計画の最終年度である2022年度のCO₂削減目標を16%削減(2013年度比)として、CO₂削減の取組を実施いたしました。長期のGHG削減目標としては、「2050年カーボンネットゼロ」の実現に向け、「2030年には自社操業に伴う排出量(Scope1+2)の2030年30%削減(2013年度比)を、2050年には、社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献すべく、Scope3を含めたカーボンネットゼロを目指す」という方針を掲げています。

2021年度の当社グループの事業活動におけるGHG排出量について、Scope1は6,399千t-CO₂、Scope2は340千t-CO₂、Scope3は50,497千t-CO₂(原油生産:1,133千t-CO₂、原油輸送:585千t-CO₂、製品輸送179千t-CO₂、製品使用48,601千t-CO₂)でした。

2022年度の実績等、2022年度の取組、評価等の詳細については、2023 年9月に更新予定の当社ウェブサイトの「サステナビリティサイト」をご参照ください。

https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/actions/sustainability.html

 

《人的資本への対応》

2023年度より開始した第7次連結中期経営計画では「経営基盤の変革」を基本方針に掲げており、その1つの柱がHRX「人が活き、人を活かす人材戦略の実践」です。これまで以上に経営戦略と人材戦略を一体として捉え経営戦略を実現できる強い組織を作り上げるため、人材の価値の最大化を目指し各種施策や投資を行っています。

年齢、性別、国籍、職種、所属及び職歴等に関わらず、あらゆる役員及び従業員が公正に処遇され、能力を最大限に発揮できる環境づくりを目指しています。

 

 

項目

内容

戦略

1.人材戦略のありたい姿と基本方針

当社グループは、人材を経営資本と捉え、その価値を最大限に引き出すことが重要であると認識しています。従業員が健康でエンゲージメント高く活き活きと働ける環境を整えウェルビーイングを実現すること、また従業員の自律的な成長を促し個の能力と組織の力を向上させることで、経営戦略の早期達成を目指します。

グループ企業行動指針においても、人材の活用及び能力の向上に取り組むことを示していますが、その指針の下、基本方針として「人材活用方針」「健康経営方針」を以下のとおり定めています。

(1)人材活用方針

多様な人材の活躍推進

多様な価値観を尊重し、年齢、性別、国籍、職種、所属及び職歴等に関わらず、あらゆる従業員が公正に処遇され、能力を最大限に発揮できる環境づくりを行います。

ジョブ型志向による能力発揮の促進

それぞれの従業員に求められる役割、職責及び目標を明確にし、能力を最大限に発揮した従業員に報います。

自律的成長の促進

当社グループ全体の収益及び成長に「こだわり」を持ち、自ら課題を設定して課題の解決に取り組むことができる従業員を育成していきます。

個の強化の促進

それぞれの従業員に求められる育成課題に対し、業務目標や行動計画を明確にして自律的キャリアの形成や行動変容を促し、その成長を評価していきます。

(2)健康経営方針

取組体制

当社グループは、役員及び従業員並びにコスモ石油健康保険組合と一体となって、役員及び従業員の心身の健康維持・増進に取り組みます。

自律的な健康管理・増進の促進

当社グループは、役員及び従業員が自らの心身の健康管理に進んで取り組み、健康の維持、増進及び傷病の予防に努めることを促進していきます。

健康リスクの予防及び

早期対応等の取組

当社グループは、グループ各社の各事業場における業務内容や勤務体系等に合わせて健康リスクを把握し、疾病及びメンタルヘルス不調の予防、早期対応及び重症化予防並びにそれらの再発防止に取り組みます。

職場環境づくり

当社グループは、役員及び従業員の健康を大切にする職場風土を醸成し、健康で働きがいのある環境づくりに取り組みます。

コミュニケーションと教育

当社グループ及びコスモ石油健康保険組合は、本方針をすべての役員及び従業員に周知するとともに、継続的な教育及び啓発活動によって、役員及び従業員が自らの健康を管理し、維持、増進及び傷病の予防に努める健康意識(ヘルスリテラシー)向上に取り組みます。

2.第7次連結中期経営計画期間中の重要テーマ

第7次連結中期経営計画期間において当社グループは、下記4つを重要テーマと捉え、人事施策を実行していきます。

(1)人材育成強化

育成体系の整備、ジョブ型の人材マネジメントの推進、経営人材の育成及びラインを通じた育成を強化するとともに、整備したグループ人事基盤をベースに、従業員の自律的キャリア形成意識を促進していきます。

(2)ダイバーシティ&インクルージョン

勤務地限定制度、テレワーク制度の継続等の制度対応、柔軟な働き方の定着と併行し、従業員の意識改革に注力することで、画一的な価値観・マネジメントスタイルからの転換を図り、多様な価値観・知識・スキルを融合させるよう、取り組んでいきます。

(3)健康経営の推進

健康管理を経営課題として戦略的に捉え、収益・企業価値向上への投資として取組んでいきます。経営陣のコミットメントやラインを通じたフォロー、健康保険組合と協同したコラボヘルス等を進めていきます。

(4)グループ人事基盤の構築

人事システムを刷新し、グループ内の人材情報を可視化することで、従業員のキャリア自律を促すとともに、経営戦略に応じた適所適材を実現します。

 

 

項目

内容

指標と目標

人材戦略の実行度を確認する指標として、目標値を設定しています。

人的資本に関する情報開示及びステークホルダーとの対話強化にも取り組んでいきます。

非財務指標

2025年度目標

2022年度実績

従業員一人あたり教育投資

(注)1

18万円

10万円

女性管理職比率

(注)2

10%

(2026年4月1日時点)

6.7%

(2023年4月1日時点)

男女賃金格差

(注)3

75%以上継続

75.5%

男性育休取得率

(注)4

50%以上継続

55.8%

エンゲージメント指数

(注)5

60%

57%

(注)1 コスモ石油㈱が雇用元の従業員を対象とします。

   2 コスモ石油㈱が雇用元の基幹職従業員を対象とし、社外への出向者を含んでいます。

   3 コスモ石油㈱が雇用元の従業員のうち正規雇用労働者における比率です。

   4 コスモ石油㈱が雇用元の従業員を対象とします。

コスモ石油㈱では育児休職制度に加え、就業期間においても出産休暇や子の看護を目的とした休暇、テレワーク制度やコアタイムなしのフレックス制度等により、柔軟な働き方が可能です。育児休職を一つの選択肢としつつ、従業員が自律的に制度を選択しながら、育児との両立ができる環境を整えています。

   5 従業員意識調査における「仕事のやりがい・誇り」3項目のプラス回答者の割合を指し、コスモエネルギーホールディングス㈱、コスモ石油㈱、コスモ石油マーケティング㈱、コスモエネルギー開発㈱に在籍する従業員を対象とします。

 

3【事業等のリスク】

当社グループでは、各社での事業を発展的に安全に運営するため、サステナビリティ戦略会議にてグループ全体に関わるリスクへの対策を審議するとともに各社でのリスクへの取組状況を集約して対策の進捗を討議します。その結果を取締役会へ報告する一方で、サステナビリティ連絡会を通じて各社へも展開します。

 

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当社グループの経営成績及び財政状態は、今後起こり得る様々な要因により大きな影響を受ける可能性があります。以下には、事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社グループは、コントロールできない外部要因や事業リスクとして顕在化する可能性が必ずしも高くない事項も含め、投資家の判断上重要と考えられる事項については積極的に開示しております。ただし、以下の記載は当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではありません。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)セグメント特有のリスク

(石油事業及び石油化学事業)

①原油価格及び原油調達に関するリスク

石油開発事業における原油価格に関するリスクに加え、当社グループは、原油在庫の価格を総平均法で評価しているため、原油価格の下落局面では、期初の在庫単価と期中に仕入れた下落した在庫単価が平均され売上原価を押し上げることになり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、昨今のウクライナ紛争の長期化、中東地域や東アジア地域の政情変化、欧米及び中国の経済変化に伴う原油価格の急激な変動、中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により原油調達が影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループは次期の連結業績予想へ与える原油価格変動の感応度を測定しておりますが、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、石油事業のセグメント利益は年間22億円増減する可能性があります。

 

②石油製品及び石油化学製品等の価格に関するリスク

当社グループの主要な石油製品コストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行っており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップやタイムラグが生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③石油製品及び石油化学製品等の需要に関するリスク

当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受けます。また、ナフサは石油化学業界、航空燃料は航空業界、軽油は運輸業界、重油は電力業界、海上輸送業界等の需要動向を反映します。燃料油の国内需要は、少子高齢化や人口減少、燃費改善や燃料転換等の構造的要因から減少傾向が継続するものと想定しております。また、石油化学製品は海外での石油化学プラントの新増設により、需給が緩和される可能性があります。当社グループは、需要減少に備え国内販路の確保や収益油種を集中して生産できる体制の構築等に取り組んでおりますが、国内のみならず海外も含めた経済動向や天候の変化等で需要が変動した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げに関するリスク

原油価格の下落により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下し、棚卸資産の収益性が低下したと判断する場合があります。この場合、棚卸資産の収益性の低下を反映するために計上した評価損が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、当社グループは原油及び石油製品の輸出入に係る価格変動のリスクをヘッジすることを目的としてデリバティブ取引を利用しています。具体的な取組については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」を参照ください。

 

(石油開発事業)

①原油価格に関するリスク

原油価格は、需要動向と供給動向により大きく左右されます。原油の需要は世界経済の動向や石油製品の需要に影響されます。特に大消費国である米国や経済成長著しいアジア地域、中でも中国の動向に影響されます。また、OPEC加盟国や他産油国の増減産に加え、シェールオイルの増減産、中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、原油価格が影響を受ける恐れがあります。当社グループでは原油価格動向を日々注視しながら事業を進めておりますが、原油価格の変動が大きい場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは次期の連結業績予想へ与える原油価格変動の感応度を測定しておりますが、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、石油開発事業のセグメント利益は年間12億円増減する可能性があります。

 

②原油生産に関するリスク

当社グループはアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国において原油生産を行っております。油田に関する技術やノウハウを蓄積し、長期に渡る安定的な原油生産が継続できるように操業しておりますが、油層の状況が想定と異なった場合等には予定している生産量を確保できないリスクがあります。当社グループが操業しているヘイル油田では油層圧低下が発生しておりますが、今後、油層圧回復の施策を講じリスク低減を図ってまいります。また中東産油国の周辺地域における戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態により、当社グループの生産拠点での操業停止等が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③原油探鉱・開発に関するリスク

当社グループは2020年度に、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国で探鉱鉱区(Offshore Block 4)を落札しました。当該鉱区で探鉱作業を行い原油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しておりますが、探鉱作業において商業生産が可能な規模の資源が発見できず、投資額が回収できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(再生可能エネルギー事業)

①政策及び法令に関するリスク

一般海域における洋上風力発電事業の開発は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」に則って行われ、具体的な手続、スケジュールは経済産業省及び国土交通省により進められています。当社グループでは事業候補地においてフィージビリティスタディーを実施していますが、当社グループが想定している時期に促進区域に指定されず、事業計画に遅れが出るもしくは中止となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態及び将来の成長性に影響を及ぼす可能性があります。

 

②開発に関するリスク

風力発電事業では、開発段階において各種許認可の取得に加え、風況観測及び環境アセスメントが必要となるため、建設工事着工前から一定程度の先行的な投資が発生します。開発段階で事業化を断念しなければならない事象が発生し、投資額が回収できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③建設に関するリスク

洋上風力設備の建設工事着工は入札時からのリードタイムが数年あります。その間に鋼材や人件費等の上昇が発生した場合、建設費用が増加する可能性があります。また、海外からの資機材搬入の遅延等さまざまな要因により、工事が遅延する可能性があります。当社グループではパートナーとの提携等により、これらのリスク低減に努めますが建設費増加または工事遅延が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④出資に関するリスク

洋上風力発電事業は、当社グループが出資する特別目的会社(SPC)を通じて事業を進めておりますが、入札の結果、失注となった場合等、事業化を断念しなければいけない事象が発生する場合があります。この場合、出資額が回収できないと判断し、減損処理を実施するため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、洋上風力事業へは多数の企業が参画しており競争が激化していることから、出資に対する収益性が低下する可能性があります。

 

(2)その他のリスク

①外国為替レートに関するリスク

当社グループは、原油の輸入及び石油製品等の輸出入を行っており、その調達コストは通常米ドル建てで決済されるため、外国為替レートの変動により差損益が生じます。外国為替レートの変動による悪影響を最小限に留めるべく、為替ヘッジ取引を行っておりますが、円安へ推移すれば調達コストを押し上げることとなります。また、外国為替レートの変動は、海外連結子会社または持分法適用会社の財務諸表を円貨換算する際にも影響しており、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは次期の連結業績予想へ与える為替変動の感応度を測定しておりますが、1米ドル当たり1円変動すると、石油事業及び石油開発事業のセグメント利益は合わせて年間24億円増減する可能性があります。

また、上記のとおり、当社グループは為替変動リスクをヘッジすることを目的としてデリバティブ取引を利用しています。具体的な取組については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」を参照ください。

 

②金利に関するリスク

金利の変動により、今後借入金利が著しく上昇する等、金融コストが増加する場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、一部の借入金は変動金利であるため、金利の変動リスクに晒されていますが、当社グループは当該変動リスクをヘッジすることを目的としてデリバティブ取引を利用しています。具体的な取組については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」を参照ください。

 

③資産価値に関するリスク

原油価格の下落や市場環境の変化等により、資産の収益性の低下や資産価値の下落が生じ、投資額の全部または一部の回収が見込めないと判断する場合があります。この場合、当社グループが保有する固定資産や投融資に対する投資額の回収可能性を反映するために計上する減損損失や評価損が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④繰延税金資産の取り崩しに関するリスク

繰延税金資産の計算につきましては、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づいており、実際の結果が予測と異なる可能性があります。将来の課税所得の見積りに基づく税金負担の軽減効果が得られないと判断された場合、当該繰延税金資産は取り崩され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤感染症等に関するリスク

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の事業への影響を最小限に抑えるべく、感染症予防策の徹底、オフィス勤務者を対象とした在宅勤務の推進、感染時・感染疑い時の対処、職域接種の機会の設営、検査キットの確保と配布、自宅療養者向けの健康観察アプリの開発と展開等の対策を講じております。加えて、新型インフルエンザ等事業継続計画(BCP)マニュアルを見直し、石油製品の安定供給を維持できる体制を整えました。また、当社グループでは予てより働き方改革の取組として在宅勤務制度を構築しておりましたが、この制度を新型コロナウイルス感染症の感染予防策として活用する他、時差出勤等と併せることで、生産性をより向上させる「新しい働き方」を追求し、従業員の安全衛生の徹底を図っております。これらの対策の結果、期中における当社グループの事業等に影響した事態の発生はありませんでした。しかし、新たな感染症が発生し当社グループ内で多数の感染者が発生し、事業運営に影響する場合は、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥気候変動に関するリスク

当社グループはグループ事業から排出する温室効果ガス(GHG)を2050年までにネットゼロにする目標を揚げております。気候変動に関するリスクは「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。日本や他の国が気候変動政策を強化、または環境関連法規等を変更または新規に導入した場合、石油製品の需要が想定外の速度で減少する可能性があります。この場合、石油関連事業を中心として、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦災害や事故に関するリスク

当社グループは、大量の危険物及び高圧ガスを取り扱っており、事故を未然に防止するために様々な安全対策を講じております。しかしながら、設備の老朽化や人為ミスを原因とする事故や労働災害によって、製油所、物流基地及び油槽所等が操業停止する可能性があります。また、巨大地震等の自然災害を想定し、その影響を最小限に抑えるため、非常用電源設置、耐震改修、BCPマニュアル整備及び防災訓練等を行っています。しかし自然災害の発生時には何らかの要因で操業停止する可能性があります。さらに、製油所、物流基地及び油槽所等以外でも給油所、タンカー及びローリーでの事故で事業運営に支障をきたす場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧法規制に関するリスク

石油産業には様々な環境規制が適用されており、当社グループはこれらの規制に適合した対応を執っています。しかし、今後も更なる環境規制や罰則の強化が想定され、新しい法律や現行法の改正等により、費用負担が増加した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨競合に関するリスク

当社グループは石油事業を中心に国内外の企業との激しい競争にさらされております。引き続き競争力の維持、向上に取り組んでまいりますが、競合他社と比して効率的な事業運営等ができない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩信用に関するリスク

当社グループでは取引先に対する与信管理の体制を整備しておりますが、保有する売掛債権が取引先の経営悪化等により債務不履行に陥り回収不能になった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪品質に関するリスク

当社グループは、リスクマネジメントにおける重点管理項目として品質確保についての目標やKPIを設定し、製品・サービスの品質管理体制の強化に努めています。なお、2022年7月13日公表の当社グループの一部製品における不適正な検査を受け、教育の徹底、試験法管理の見直し、監査の強化を行いました。

しかし、品質管理に関するリスクが顕在化した場合には、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫顧客満足に関するリスク

当社グループでは、リスクマネジメントにおける重点管理項目として、カスタマーセンターのクオリティ診断、サービスクレーム発生率をKPIとして用い、顧客満足度の向上に努めております。カスタマーセンターはHDI問合せ窓口格付け(注)で2022年度三つ星を獲得いたしました。

しかし、サービスレベルの低下等によって顧客の要求に応えられない場合には、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(注)HDI-Japan(運営会社:シンクサービス㈱)が主催する依頼格付け調査。世界最大のサポー

トサービス業界の団体HDIの国際標準に基づいた評価基準により、顧客視点から企業の問い合わせ窓口の

パフォーマンスやクオリティを評価し、それを格付けするもの。

 

⑬法令違反に関するリスク

当社グループは、サステナブル経営を進めるにあたり、法令遵守を柱の一つと位置付け、仕組みを整えるとともに、社員が遵守すべき行動規範である「コスモエネルギーグループ企業行動指針」の浸透を図り、また企業倫理・人権研修を通じ、社員一人ひとりのモラル向上、知識レベル向上に努めております。しかしながら、ヒューマンエラー等による法令違反のリスクが顕在化した場合には、行政処分を受け、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭情報の管理に関するリスク

サイバー攻撃によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩等が発生する可能性があり、近年その可能性は高まっております。当社グループではランサムウエアへの対応手順の整備、ウイルス対策や個人情報保護対応等の対策強化を実施しております。さらに、顧客情報を含む機密情報の管理、取り扱いにつきましては、社内体制、社内規程等を整備し、外部への委託先に対して監督管理及び監査を実施しております。しかしながら、何らかの要因により個人情報を含む機密情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクが顕在化した場合には、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮内部統制システムに関するリスク

当社グループでは、法令等の遵守のために財務報告に係る内部統制を含む、有効な内部統制システムの整備、運用及び強化を図っております。内部通報制度については、体制見直しや教育の強化を実施いたしました。しかしながら、組織内外の環境の変化やコンプライアンス違反等が生じ、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能しない場合があります。この場合、ステークホルダーの信頼を失い当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯地政学リスク

近年は、政治的・社会的情勢の不安定化等、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性を考慮する必要性が高まっております。当社グループは地政学的な観点での情報収集及び分析を強化し、リスクの影響を低減するための適切な対策を継続的に検討するための運営体制の整備を進めておりますが、海外での情勢が悪化し、戦争や内紛・テロ等が発生した場合には、原材料や製品の調達及び販売、海外事業所での事業、または海外法人との取引等が安全かつ安定的に継続できない場合があります。この場合、業務や石油製品の安定供給が遂行できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、『Oil&New 石油のすべてを。次の「エネルギー」を。』をスローガンに、4つの基本方針に基づき施策を実行してまいりました。“稼ぐ力“と“財務体質“を強化することで、市場環境変化に耐え得る自己資本の厚みとネットD/Eレシオ1倍台前半を実現し、全ての経営目標を達成しました。

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は2兆7,919億円(前期比14.4%の増加)、営業利益は1,638億円(前期比30.4%の減少)、経常利益は1,645億円(前期比29.4%の減少)となりました。

 これは、特に石油事業においてエネルギーコストが増加したこと等によるものです。

 上記の減益要因により、親会社株主に帰属する当期純利益は679億円となりました。

 

 セグメント情報につきましては、以下のとおりであります。

 前連結会計年度において「その他」の区分に含まれていた一部の連結子会社について、事業内容の変更に伴い、当連結会計年度において「石油事業」に変更しております。なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

(石油事業)

 石油事業につきましては、前期比で原油価格が上昇したこと等により、売上高は2兆4,515億円(前期比+3,138億円)となりました。一方、原油価格上昇に伴うエネルギーコストの増加等により、セグメント利益は657億円(前期比△1,003億円)となりました。なお、在庫評価の影響を除くセグメント利益は441億円(前期比△496億円)となっております。

(石油化学事業)

 石油化学事業につきましては、前期比で製品販売価格が上昇したこと等により、売上高は4,402億円(前期比+808億円)となりました。一方、前年同期比で販売数量が減少したこと等により、セグメント利益は38億円(前期比△98億円)となりました。

(石油開発事業)

 石油開発事業につきましては、原油販売価格が上昇したこと等により、売上高は1,380億円(前期比+470億円)、セグメント利益は845億円(前期比+397億円)となりました。

(再生可能エネルギー事業)

 再生可能エネルギー事業につきましては、前期比で風況に恵まれず売電売上が減少したこと及び洋上風力への進出に伴うコストが増加したこと等により、売上高122億円(前期比△9億円)となり、セグメント利益は26億円(前期比△9億円)となりました。

 

 当期の連結財政状態は、総資産は2兆1,208億円(前連結会計年度末比+1,824億円)、負債合計は1兆4,574億円(前連結会計年度末比+1,030億円)、純資産合計は6,634億円(前連結会計年度末比+794億円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は618億円となり、前連結会計年度末に比べ137億円増加しております。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金の増加は81億円(前年同期は1,084億円の資金の増加)となり、これは主に、税金等調整前当期純利益を計上したものの、法人税等の支払いがあったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金の減少は812億円(前年同期は675億円の資金の減少)となり、これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金の増加は811億円(前年同期は420億円の資金の減少)となり、これは主に、短期借入金の増加等によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

 

1,880,629

164.2

石油化学事業

 

521,545

125.6

石油開発事業

 

19,625

127.2

合計

2,421,799

153.7

(注)1 自家燃料は除いております。

2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。

3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。

 

b受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

その他

12,563

84.6

7,912

75.9

 

c販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

石油事業

 

2,328,298

113.3

石油化学事業

 

370,738

118.7

石油開発事業

 

52,593

141.3

再生可能エネルギー事業

 

12,119

92.6

その他

 

28,122

120.0

合計

2,791,872

114.4

(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

キグナス石油㈱

333,993

13.7

353,336

12.7

※販売実績には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売実績を含めております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」、財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。

 なお、連結財務諸表の作成に関して、認識している重要な見積りを伴う項目については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」を参照ください。

 

②経営成績の分析

a売上高

 売上高は、前連結会計年度に比べ3,514億円増加し、2兆7,919億円となりました。これは主に、原油価格の上昇等によるものです。

b売上原価、販売費及び一般管理費

 売上原価は、前連結会計年度に比べ4,095億円増加し、2兆4,711億円となりました。これは主に、原油価格の上昇に伴うエネルギーコストが増加したこと等によるものです。売上高に対する売上原価の比率は、4.0ポイント増加して、88.5%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ134億円増加し、1,569億円となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.3ポイント減少して、5.6%となりました。

 

 

c営業利益

 上記の結果を受け、営業利益は、前連結会計年度に比べ715億円減少し、1,638億円となりました。これは主に、石油セグメントにおいて原油価格の上昇に伴いエネルギーコストが増加したこと等によるものです。

 

d営業外損益

 営業外損益は、前連結会計年度に比べ29億円改善し、7億円の利益となりました。これは主に、為替差損益が27億円増加したこと等によるものです。

 

e特別損益

 特別損益は、前連結会計年度に比べ103億円改善し、112億円の損失となりました。これは主に、特別利益として固定資産売却益を43億円計上したことに加えて、前連結会計年度に比べ固定資産処分損や減損損失が減少したこと等によるものです。

 

f親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ710億円減少し、679億円となりました。これは主に、法人税等が前連結会計年度に比べ49億円増加し714億円となったこと及び非支配株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度に比べ78億円増加し140億円となったこと等によるものです。なお、1株当たりの当期純利益は、811.15円となりました。

 

 なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(石油事業)

 原油価格の上昇に伴いエネルギーコストが増加したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ1,003億円減少し、657億円となりました。

 2023年度は当連結会計年度の原油価格下落局面における市況悪化影響の解消等により販売マージンの改善を見込むものの、売上原価を押し下げる要因となっていた棚卸資産の在庫評価の影響が次期においては解消する見込みであるため、当連結会計年度比で減益となる見通しとなっております。

(石油化学事業)

 製品販売価格が上昇したものの、市況の低迷に伴い販売数量が減少したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ98億円減少し、38億円となりました。

 2023年度は販売数量の改善する一方で市況の悪化が見込まれておりますが、石油事業とのシナジーを追求しながら、継続して協業の深化を進めてまいります。

(石油開発事業)

 原油販売価格が上昇したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ397億円増加し、845億円となりました。

 2023年度は、原油価格の下落により減益となる見込みですが、中東地域に既存権益鉱区での安全・安定操業を引き続き進めてまいります。

(再生可能エネルギー事業)

 風況に恵まれず売電売上が減少したこと及び洋上風力への本格進出に伴うコストが増加したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ9億円減少し、26億円となりました。

 2023年度は、引き続き業容拡大に伴うコストが増加することが見込まれておりますが、陸上風力発電事業のさらなる拡大を図るとともに、法整備がなされる洋上風力事業への進出を積極的に進めてまいります。

 

③資本の財源及び資金の流動性に関する分析

a資金需要

 当社グループの資金需要は主に運転資金と設備投資に関するものです。

 運転資金需要は製品製造のための原材料仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等によるものであり、設備投資需要は競争力強化を目的とした石油・石油化学製品の製造設備、サービスステーションや販売促進のためのアプリ開発、原油の生産設備、風力発電設備等の取得や維持更新等によるものです。

 

b財務政策

 2022年度が最終年度となる第6次連結中期経営計画では、「財務体質の健全化」を基本方針の一つとして掲げ、“稼ぐ力”と“財務体質”を強化し、原油価格変動等の市場環境変化に耐えうる自己資本の厚みとネットD/Eレシオ1倍台前半の早期実現を掲げました。稼ぐ力の強化により、自己資本並びにネットD/Eレシオの目標値は達成いたしました。2023年4月より開始された第7次連結中期経営計画では、株主還元、財務健全性、資本効率を三位一体で実行することで企業価値の最大化を目指しております。財務健全性においては、資産に内在するリスク、求められる資本効率、柔軟な資金調達といった観点を総合的に精査し、自己資本並びにネットD/Eレシオの目標値を設定しております。

 当社は、財務の安全性と効率性を両立させる財務運営を目指しており、コマーシャル・ペーパーによる直接金融と金融機関からの借入等の間接金融を機動的に行うことで効率的な調達を行っております。また、原油備蓄資金の制度融資も活用しており、市中の金融機関のみならず政府系金融機関とも関係を維持し、調達先の多様化を図り十分な流動性を確保しております。また、持株会社である当社が一括して資金を調達し、グループ会社に融通するグループ金融体制を構築しており、調達の効率化を行っております。

 当社は、円滑な資金調達を行うために日本格付研究所(JCR)並びに格付け投資情報センター(R&I)から格付を取得しております。当連結会計年度末において当社の格付は、JCR、R&IともにA-(安定的)となります。

(特定融資枠契約)

 平時における十分な流動性の確保と災害発生等の緊急時に円滑な資金調達を行うために取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しております。なお、当連結会計年度末における当該契約の極度額は1,201億円です。

 

c株主還元

 当社グループは、株主の皆様への利益還元を重要な課題の一つとして認識しております。当事業年度は在庫影響除き純利益に対して50%の株主還元を目標として掲げ、前事業年度から50円増配の一株当たり150円といたしました。また、取得総額200億円の自己株式の取得を実施いたしました。

 2023年3月に発表した第7次連結中期経営計画では株主還元、財務健全性、資本効率のいずれも欠けることなく、三位一体で実行していくことを資本政策として掲げました。第6次連結中期経営計画の施策を着実に実行し、石油事業を中心に稼ぐ力が強化されたことから、第7次連結中期経営計画期間中の総還元性向は在庫影響を除く純利益に対して60%以上(3ヵ年累計)、配当は1株あたり200円を下限とした安定的な配当を実施してまいります。また、財務健全性が目標値に到達した場合は原則として追加の還元を実施いたします。資本政策を三位一体で実現していくことで、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

d財政状態

 当社グループは、自己資本やネットD/Eレシオといった財務健全性の向上を重要な課題の一つとして認識しております。財務健全性に加え、株主還元、資本効率を三位一体で実行することで企業価値の最大化を目指してまいります。

 

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1兆360億円となり、前連結会計年度末に比べ1,680億円増加しております。これは主に、売掛金が397億円増加したこと等によるものです。固定資産は1兆847億円となり、前連結会計年度末に比べ143億円増加しております。これは主に、投資有価証券が92億円増加したこと等によるものです。

 この結果、総資産は2兆1,208億円となり、前連結会計年度末に比べ1,824億円増加しております。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は1兆126億円となり、前連結会計年度末に比べ579億円増加しております。これは主に、短期借入金が787億円増加したこと等によるものです。固定負債は4,448億円となり、前連結会計年度末に比べ450億円増加しております。これは主に、特別修繕引当金が148億円増加したこと等によるものです。

 この結果、負債合計は1兆4,574億円となり、前連結会計年度末に比べ1,030億円増加しております。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は6,634億円となり、前連結会計年度末に比べ794億円増加しております。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益679億円を計上したこと等によるものです。

 この結果、自己資本比率は24.9%(前連結会計年度末は23.5%)となりました。

 

eキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したものの、法人税等の支払いがあったこと等により81億円のプラスとなりました。投資活動は有形固定資産の取得による支出等により812億円のマイナスとなりました。財務活動は短期借入金の増加による収入等により811億円のプラスとなりました。

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ137億円増加の618億円となりました。

 当連結会計年度は原油価格上昇に伴うエネルギーコストの増加等により、特に石油事業において在庫評価の影響等を主要因とし、税金等調整前当期純利益は前期比で減少しております。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率

16.5%

14.6%

19.0%

23.5%

24.9%

時価ベースの自己資本比率

11.0%

7.8%

12.9%

11.4%

17.7%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

7.7年

6.1年

3.6年

5.4年

84.5年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

8.2倍

11.8倍

23.1倍

16.7倍

1.3倍

(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。

4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金、コマーシャル・ペーパー、社債、転換社債型新株予約権付社債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期的な経営の方向性を2022年度が最終年度となる第6次連結中期経営計画にて目標値として定めておりました。当該連結中期経営計画最終年度の評価として、当連結会計年度における客観的指標の実績を示すとともにその達成状況を分析すると以下のとおりとなります。

 親会社株主に帰属する当期純利益は679億円、自己資本は5,279億円(自己資本比率24.9%)、ネットD/Eレシオは1.10倍、ROEは13.8%と連結中期経営計画の財務目標を達成しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)1997年7月15日、カタール国政府と連結子会社のコスモ石油㈱・日商岩井㈱(現・双日㈱)及び持分法適用関連会社の合同石油開発㈱は、カタール国沖合東南第1鉱区アル・カルカラ構造及びA構造における石油の探鉱・開発の生産物分与契約(以下「DPSA」)を締結しました。連結子会社のカタール石油開発㈱は1997年11月14日、DPSAに基づく全ての権利義務を上記3社から譲り受け、当該鉱区において、開発・生産・貯蔵・輸送及び販売を行っておりましたが、2022年12月22日にDPSAが期限を迎えたことに伴いDPSAを終了いたしました。なお、カタール石油開発㈱は当該鉱区でオペレーターとして操業する新たな契約を締結しております。

 

(2)1999年10月12日、コスモ石油㈱と日石三菱㈱(現・ENEOS㈱)との間で、原油調達・精製・物流及び潤滑油の各分野に関して、業務提携に関する基本協定を締結しました。

 

(3)2011年2月3日、アブダビ首長国最高石油評議会と連結子会社のアブダビ石油㈱は操業している3油田の利権の更新と新鉱区の追加取得について、新たな利権協定を締結しました。アブダビ石油㈱は、同利権地域におけるアブダビ海域において石油の採掘・貯蔵・輸送及び販売を行っております。

(注)本協定は、前協定(1967年12月6日締結及び1979年4月28日締結)が期限満了となった2012年12月6日より

発効しました。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、連結子会社のコスモ石油㈱、コスモ石油ルブリカンツ㈱、丸善石油化学㈱及びコスモエンジニアリング㈱で実施しております。コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒等の石油精製分野の競争力強化に関する研究を実施するとともに石油化学分野、石油開発分野、コーポレート研究分野において研究開発を実施しております。コスモ石油ルブリカンツ㈱では、環境対応潤滑油商品化のために技術開発に取り組むとともに、消費者のニーズに応える潤滑剤及び放熱材料の商品開発等を行っております。丸善石油化学㈱では、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品等、既存事業の強化、拡大に向けた研究開発に取り組むと共に、カーボンニュートラルや新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。コスモエンジニアリング㈱では、プラント保全、次世代エネルギー、カーボンニュートラル対応及びデジタルトランスフォーメーション等の各種技術について、時代のニーズに応える研究活動を行っております。

 この結果、当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は5,342百万円であります。

 以下に主要な研究概要をセグメント別に記載いたします。

 

(1)石油事業

コスモ石油㈱では、石油製品や石油精製プロセス・触媒等の石油精製分野の競争力強化に関する研究を実施するとともに石油化学分野、石油開発分野、コーポレート研究分野において研究開発を実施しております。

石油精製分野では、長年培った触媒の調製・運転管理技術を活かして、製油所の高効率稼動や精製コストの削減等に取り組んでおります。また、2021年度からNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業に採択された「国産廃食用油を原料とするバイオジェット燃料製造サプライチェーンモデルの構築」において、廃食用油を原料としたSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)サプライチェーンモデルを実証・構築し、2025年度から国内初となる大規模SAF生産を目指しております。さらに将来に向けて、その他原料を用いたSAFの調査等にも着手しております。石油化学分野では、コスモ松山石油、丸善石油化学との連携により、石油化学工場における未利用留分の燃料利用や石油留分の高付加価値化(石油化学製品化)、それぞれが持つ技術や資産の融合による新製品開発等、シナジー創出や事業拡大に貢献する研究開発に取り組んでおります。石油開発分野では、2016年度より原油タンク底部に蓄積する原油スラッジの削減技術に関する共同研究を独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と実施しております。技術開発した「原油スラッジ中の原油留分を回収・再利用する技術」について、2022年度にUAEで商業スケールでの実証化を計画内の工期で完遂しました。一部技術改良及び技術ニーズ調査を進めながら商業化の可能性を確認してまいります。コーポレート研究分野では、「2050年カーボンネットゼロ宣言」の実現に向けた研究開発に着手しており、2020年度よりNEDO事業「革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発」に参画し、廃プラスチックを高い転換率で石油化学原料に転換するプロセス技術の開発に取り組んでおります。また、2023年2月よりNEDO事業「再エネ由来電力を利用した液体合成燃料プロセスの研究開発」にJPEC(一般財団法人石油エネルギー技術センター)からの再委託として参画し、液体合成燃料の燃料利用技術における規格適合化処理技術を検討しております。また、戸田工業㈱(以下「戸田工業」)とカーボンニュートラル実現に向けた環境対応技術の実用化のため、2023年1月に共同開発について基本合意書を締結し、戸田工業が保有するメタン直接改質法による低炭素水素製造技術やCO₂分離回収技術に関する環境対応技術の適用に向けて、コスモ石油中央研究所にて評価、検討を実施いたします。さらに、国立大学法人京都大学とカーボンネットゼロに向け新時代のポートフォリオを育てていくための新たな事業創出を目指し、次世代エネルギーの安定供給技術等に関する共同研究の可能性を検討することを目的に、包括連携提携書を締結し、2023年4月より3年間の連携を開始しました。

コスモ石油ルブリカンツ㈱では、環境対応を最重要テーマとして、脱炭素・カーボンニュートラル、自動車や産業機械の電動化、デジタル化といった事業環境の変化に対応する最先端の商品開発に取り組んでおります。また、自社開発技術の更なる発展による要素技術開発・商品開発も並行して実施しております。

車両用潤滑油・工業用潤滑油・グリースの分野では、バイオマス原料を採用した省燃費タイプのエンジン油、最新車両に適合する変速機油、長寿命ガスエンジン油、電動車用油剤の開発や、各国の化学物質規制や複雑化するサプライチェーンに対応した商品開発、省エネルギー・省資源技術確立のための更なる研究開発に取り組んでおります。

また、デジタル化に対応する製品として、電子部品の放熱材料(製品名:「コスモサーマルグリース」、「コスモサーマルギャップフィラー」)、低トルク・省電力の「HDD動圧軸受油」等の高付加価値商品の開発を行い、さらには産学連携による新規商品開発にも取り組んでおります。

 

(2)石油化学事業

丸善石油化学㈱は、石油化学製品、溶剤や半導体レジスト周辺材料等の機能化学品、既存事業の強化、拡大及びカーボンニュートラル、新規事業化に資する製品・技術開発を目指して研究活動を行っております。エチレンやプロピレン等、ナフサの熱分解による石油化学製品の生産過程で併産されるアセチレン、C4、C5留分等の未利用留分を原料とし、ビニルエーテル類や、未利用留分の付加価値をさらに高めた製品の開発、量産化に向けたプロセス技術の開発を実行中です。一方、年を追うごとに微細化、高性能化が進む最先端のロジック、メモリー等の各種デバイスの生産に使用される半導体レジスト材料、周辺材料等の分野では、ますます高度化、多様化する顧客の要望に応えるために、生産技術、製品評価技術の向上、新規の製品・技術を創出するための研究開発を推進しております。

また、カーボンニュートラル、新規事業に繋がる製品・技術開発におきましては、産学連携の強化による社会的価値の創出を目指して開発に取り組んでおります。

 

(3)その他

コスモエンジニアリング㈱は、プラント産業分野での経験やノウハウをベースとした技術力をさらに強化して、様々な顧客のニーズに的確に応えられるよう、以下の主要4点について研究活動を進めております。

①脱炭素社会対応:CO₂回収を含めたブルー水素製造設備やアンモニア供給関連設備建設に向けた技術開発、ま

たバイオ燃料等のCCUS技術開発を進めております。

②デジタル技術活用:内製業務のデジタルトランスフォーメーションを進めております。

③プラント設計/保全関連技術:工事管理システム、スマート設計ツール、3Dモデリングを活用したプラント設

計/保全・プラント更新事業、ロボットを利用した検査、補修技術を開発しております。

④物流・ロジスティクス関連:当社主力製品であるADPACの競争力・汎用性をより強化するため、IoTやビ

ッグデータ活用による物流・ロジスティクスの最適化・効率化について技術開発を進めております。