当社グループの経営方針、経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
経営理念
「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」
当社は、知的で卓越した当社独自の技術でお客さまのニーズ、課題をかしこく、機敏に解決し、お客さまの期待を超える価値を一人ひとりの社員が誠心誠意、真摯に創造してまいります。
企業ビジョン
「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」
当社は、世の中にない新しい価値を提供しつづけ、人間社会と地球環境の豊かさと質の向上に貢献します。そのために価値を創る人をつくることが当社の使命であり、目指すべき企業の姿であると考えています。
パーパス
「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」
当社は、社会の効率化を実現するデジタルテクノロジーの進化に不可欠な技術・材料・デバイス・ソリューションを提供することで、社会課題の解決に貢献することが自社の存在意義であると定義しています。
(2)経営戦略
当社は、前中期経営計画2023「進化への挑戦」を通じて持続的成長の礎を築くことができたと考えています。一方で、同計画で取り組んでいた事業ポートフォリオ拡大はまだ途上であり、地政学リスクの高まり等、ますます複雑化する事業環境において、変化を先取りする速度で進化を続ける必要があると認識しています。
そこで、2025年3月期から2029年3月期の5ヵ年を、会社としての進化を実現するステージと位置づけ、中期経営計画2028「進化の実現」(以下、「本計画」)を策定いたしました。事業ポートフォリオ拡大をさらに推し進め、変化に強い経営基盤の構築に向けて、3つの基本方針に沿った施策に取り組んでまいります。
そのうえで、持続的成長と株主還元の両立を通じて企業価値の最大化に取り組みます。具体的には、本計画期間のキャピタル・アロケーションにおいて、持続的成長のための成長投資と高水準の株主還元の両立を実現し、その計画の下で、投資の性質に応じた資本コスト管理を通じて最適資本構成を実現します。また、株主還元方針においては、安定的な配当と資本効率を念頭に、DOE(親会社所有者帰属持分配当率)を導入しております。
さらに、当社ではROEを持続的な企業価値向上に関わる指標として位置づけており、事業成長と資本効率化を通じて、高水準のROEの維持に努めてまいります。あわせて、事業ポートフォリオの拡大による持続的な成長と、為替リスクのコントロールなどによる業績のボラティリティ低減の両面で株主資本コストの低減を図り、中長期にわたりポジティブなエクイティスプレッドの維持・拡大を目指します。
1.3つの基本方針
本計画では、事業ポートフォリオの拡大と環境変化に強い経営基盤づくりに向けて、以下の3つの基本方針に基づき、施策を展開します。
①成長領域での事業拡大
今後成長が見込まれる「自動車」「フォトニクス」の領域において、これまで培った強みを活かして新たな価値創造に挑戦し、成長領域事業の売上高構成を2024年3月期の約20%から2029年3月期には30%まで引き上げます。
②既存領域における事業の質的強化
収益ドライバーの幹をさらに太くするために、高付加価値製品の拡大を通じて既存事業の深掘と質的強化を図
ります。
③経営基盤の進化
今後も変化が激しく、先行きが見通しづらい事業環境が続く前提のもと、変化に左右されない持続的成長を支える、強固な経営基盤を持つ会社に進化する取り組みを進めます。
2.経営目標
本計画では、2029年3月期の経営目標として、売上高 1,500億円、事業利益 500億円、EBITDAマージン 43.0%、EPS 626円、ROIC 14.0%程度、ROE 25.0%程度を設定しております。
(注)1.事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した当社の経常的な事業の業績を測る利益指標となります。
2.EPSは、2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っておりますが、当該株式分割前の株式数にて算出しております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な企業価値向上に関わる指標としてROEを位置づけており、EBITDAを当社の稼ぐ力、ROICを投資効率性の指標としてそれぞれを用いています。
(4)経営環境
当社の製品が関わる主要業界では、スマートフォンやタブレット等において、液晶ディスプレイからOLEDディスプレイへの移行が継続するとともに、使用されるセンサーモジュールの大型化、複雑化が進展しており、精密に接続・固定するための素材への需要が高まっています。また、自動車向けディスプレイでは画面の大型化が進み、反射防止の高機能化に関心が高まってきています。フォトニクス分野においては、生成AIの社会への浸透によるデータセンターの増加に伴い、省エネルギー化、大容量・高速通信化を実現するための製品への需要が高まっています。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、中期経営計画2028「進化の実現」において、基本方針のもと各種施策に取り組み、持続的な成長を目指してまいります。特に以下の課題あるいは施策に重点的に取り組んでいきます。
■技術と人財の強化
当社は、将来に向けた事業ポートフォリオの拡大とビジネスモデルの強化に欠かせない「技術」と「人財」(価値創出の源泉)を最も重要な経営課題(マテリアリティ)として設定しています。価値創出の源泉である「高度で多様な技術」と「それを使いこなす多様な人材」のポートフォリオをより一層強化することで持続的な成長を実現していきます。
事業ポートフォリオ拡大の過程を見据え、特にフォトニクスをはじめとした成長領域において、技術力やグローバルなマーケティング能力といった成長に欠かせないミッシング・パーツを埋める人材を、グローバルな視点で獲得し、かつ、育成を行い、人財ポートフォリオを変革していきます。
技術と人財の強化を通じて、技術で差異化を図ることができる企業への進化に継続的に取り組みます。
■製造機能の強化
当社は、日本の労働人口減少やパンデミック時でも生産ラインの機能を維持することを念頭に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を通じたスマートファクトリー化、Zero Emission Buildingの構築を進めていきます。また、製造部門におけるDX人材の増強を図るなど、人的資本の強化も行っていきます。
現在は、既存領域である異方性導電膜(ACF)の生産能力拡充として鹿沼事業所の拡張に加え、成長領域であるフォトニクス領域においても増産投資を進めており、プロセスの最適化による1人当たりの生産性向上も実現していきます。
■知的財産の活用・強化・推進
当社は、知的財産を重要な経営資産の一つととらえ、創造・保護・活用のサイクルを回しつつ、IPランドスケープを新規事業の創出や事業評価に活用しています。同時に、社員への知財教育や新しい報奨制度などにより、人的資本に対し積極的に投資し、知財で「技術」と「人財」をつなぐことで当社のマテリアリティの解決を促進し、価値の創出と持続的成長を支えていきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)サステナビリティ共通
①基本的な考え方
当社ではパーパス(デクセリアルズグループの存在意義)を定め、それを踏まえた「デクセリアルズグループ サステナビリティポリシー」を掲げています。そこではパーパスの実現に向け、経済的価値と社会的価値を両立させ、持続的成長と企業価値の向上を果たし続けることこそが、デクセリアルズが目指すサステナビリティの本質であるという将来に向けた方向性を明らかにしております。
[パーパス] [サステナビリティポリシー]
②ガバナンス
当社グループは、代表取締役を最高責任者として、執行役員 経営戦略本部長及び執行役員 特命・リスクマネジメント担当の指揮命令のもと、サステナビリティの取り組みを追求し、推進しております。
その具体的な活動の展開にあたっては、全社一丸となって活動を進めるべく、関係部署が参画する「サステナビリティワーキンググループ(WG)」を組織し推進しております。
外部講師を招いた社会の動きの確認や、当社のマテリアリティ(「技術」「人財」)及び13のESG重点課題ごとのKPI/目標の達成に向けた活動の進捗状況などを部門横断的に議論しており、クロスファンクショナルな視点から検討することで、活動の充実及び社内の意識醸成を図っております。
なお、サステナビリティ推進に係る個別の重要な事項については、適宜、取締役会(諮問機関である指名・報酬委員会と監査等委員会を含む)、執行役員会、リスクマネジメント委員会、コンプライアンス委員会にて報告・議論のうえ、経営戦略、事業戦略及びリスクマネジメント等の立案・遂行にフィードバックしております。
[ガバナンス体制図]
ガバナンス体制図については、
[サステナビリティ推進体制]
③戦略
当社グループを取り巻く事業環境は、複雑で不確実、曖昧で予測が難しいにも関わらず、その変化は加速度を増し、社会課題も次々と顕在化し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが求められています。
これらの社会課題を解決する一つの原動力は、社会の非効率さを解消するデジタル・テクノロジーの進化であり、社会全体をビッグデータ化するIoT、ビッグデータをやり取りする高速通信、それらを分析するAIの高度化・普及などが期待されています。
このような期待に応えることこそが当社におけるパーパスの実現です。これまで培ってきた強み、すなわち、経済的価値と社会的価値を両立し、当社らしいユニークで高付加価値の材料・デバイス・ソリューションを創出するビジネスモデルとその柱である『デザイン・イン』と『スペック・イン』(顧客が気づいていない「課題発見力」、「ソリューション開発・提案力」)を活かし、テクノロジーの進化に力を与え、将来にわたり豊かで効率的な社会の実現に貢献していきたいと考えております。
この実現のため、当社グループの10年後のありたい姿として「より広い領域でデジタル・テクノロジーの進化に貢献」、「社会的価値と経済的価値を創出し、持続的成長を実現」を掲げ、中期経営計画(5カ年計画)のもと、事業ポートフォリオの拡大と、事業性評価による「選択と集中」を着実に進めております。
その推進のために、当社がテクノロジーの進化になくてはならない存在であり続けるためのビジネスモデルの強化と、最重要課題(マテリアリティ※1)として特定した、様々な技術や知的財産を掛け合わせてこれまでなかったような価値を生み出す「技術」と、その技術を使いこなす「人財」、すなわち“価値創出の源泉”の強化が必要となります。中期経営計画2028「進化の実現」においても、当社の持続的成長を支える強固な経営基盤へ進化していくための重要施策の一つととらえ、非財務投資として5カ年で450億円を投じる計画です。
また、その実行をより強く動機づけるために、役員報酬制度にも中長期インセンティブ業績連動報酬の業績指標として定めた「サステナビリティ戦略目標」を設け、その達成度を反映することにしております。
さらに、このマテリアリティに加えて、事業を通じた価値の創造を支え、潜在的な経営リスク低減を目的としたESG重点課題※1(計13課題)を特定し、それらに対する基本的な考え方や取り組みの意義を明確にするとともに、中期的・短期的なKPI/目標やロードマップを設定・実践し、さらに盤石な事業基盤を築いてまいります。
当社グループは将来に向け、私たちが目指すサステナビリティの本質を追求し、パーパス実現に向けた事業を通じた価値の創造と、それを支える礎の構築を進め、さらなる持続的成長と企業価値向上を目指しております。
[ESG重点課題]
<基本的な考え方、取り組みの意義>
私たちデクセリアルズグループは、共存共栄を旨としたお取引先さまとの丁寧なコミュニケーションを実践し、外部不経済(社会課題)の解決を前提として、バリューチェーン全体で持続可能な社会実現への貢献に向け、「サステナビリティポリシー」を踏まえた以下の考え方のもとESG視点の中長期的な重点課題に取り組んでいきます。
・私たちの製品は、社会のニーズをとらえた高付加価値製品であり、当社のビジネスモデルから生まれるシングルソースとなるものが多く、品質と安定的供給の維持が不可欠です。そのために、コンプライアンスの徹底や事業継続に関わる各種リスクへの対策(労働安全、品質、BCP、情報セキュリティ等)を講じ、潜在的財務リスクの低減とともに盤石な事業基盤を築いていきます。また、グローバル企業としての責任において、事業活動における環境負荷の低減やサーキュラーエコノミーを推進しつつ、スマートファクトリー化によるエネルギー利用効率向上と生産性の両立に取り組み、社会の脱炭素化にも貢献していきます。
・私たちはグローバルで事業を展開しつつ、従業員一人ひとりの活力や挑戦機会を拡大していくために、すべてのステークホルダーの人権に対する配慮や多様な人材の活躍推進、そして人材の心身の健全性を担保する健康経営の取り組みを進めております。
・経営トップはVUCA時代※2における経営の方向性を見定め、迅速・果断な意思決定(リスクテイク)を支える経営体制の維持・向上と、より実効性・透明性の高いコーポレート・ガバナンスの進化を実現し続けております。
<ESG重点課題(一覧)> バウンダリー:◇サプライチェーン、□連結、〇単体
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ESG重点課題 |
課題と取り組み |
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|
E 環 境 |
気候変動 |
C02排出量の削減 |
サプライチェーン排出量の削減 |
◇ |
|
スマートファクトリー化と省エネによるエネルギー効率と生産性の向上 |
□ |
|||
|
資源循環 |
廃棄物の削減と資源の効率的利用 |
|||
|
汚染防止 |
環境インシデントの削減 |
環境保全に関する法規制の遵守 |
||
|
S 社 会 |
多様性と人権尊重 |
多様な人財の活躍推進と国際的な人権原則の遵守 |
[多様性] 女性管理職比率向上 |
〇 |
|
[人権] 人権方針による人権啓発と 人権デューディリジェンスの推進 |
◇ |
|||
|
社員の健康と安全 |
健康経営 |
社員が心身ともに健康で安全に働き続けられるための環境整備 |
□ |
|
|
労働安全の強化 |
||||
|
製品品質 |
製品品質の維持・向上 |
良質で安心・安全なデクセリアルズグループ製品の提供 |
||
|
G ガ バ ナ ン ス |
コーポレート・ガバナンス |
経営体制の維持・向上 |
取締役会のあるべき姿に向けたスキル・マトリクスの議論と経営層サクセッションの実行 |
〇 |
|
実効性・透明性の高いコーポレート・ガバナンスの進化 |
① 取締役会実効性評価の着実な実施と改善(毎年度) ② 役員報酬制度の透明性の高い決定プロセスの継続と報酬委員会による制度レビュー実行 |
|||
|
コンプライアンス |
法令遵守・デクセリアルズ行動規範の浸透 |
贈収賄などの腐敗防止に関する違反を含む、重大な法令等の違反件数ゼロの堅持(毎年度) |
□ |
|
|
コンプライアンスに対する社員意識の向上 |
||||
|
リスクへの対応 |
情報セキュリティ強化 |
著しい環境変化に対応するリスクへの備え |
□ |
|
|
BCP強化 |
||||
|
サプライチェーン |
サプライチェーンマネジメント |
調達先とともにサプライチェーン全体で地球環境や人権・労働などの社会的責任を遂行 |
◇ |
|
※1 マテリアリティ及びESG重点課題の特定プロセス等については、「デクセリアルズ統合レポート2024」のP56~P59をご参照下さい。
・「指標及び目標」の詳細(中期的なKPI/目標を含む)については、以下「⑤指標及び目標」をご参照下さい。
・役員報酬制度の中長期インセンティブ業績連動報酬の業績指標として定めた「サステナビリティ戦略目標」については、「デクセリアルズ統合レポート2024」のP82~P83をご参照下さい。
※2 Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)
④リスク管理
当社グループでは、リスク管理に関する規定に基づき、リスクマネジメント委員会を設置し、グループ全体の中長期及び短期的な事業運営上、財務、外部環境、ESG関連のリスクについて評価を実施し、リスクを回避または軽減するための対策を立て、その進捗を確認しています。その中でも例えば「気候変動」については、経営基盤リスクの一つとして位置づけ、取り組みを行っております。
リスク管理責任者である執行役員 特命・リスクマネジメント担当が委員長を担当し、各専門領域の部会で構成され、定期的(必要に応じて臨時)に委員会を開催し、モニタリングしています。特定した重点リスク項目は定期的に執行役員会に報告・議論され、さらに経営上または事業上の重要なリスクに関しては取締役会に報告・議論されております。
[リスクマネジメント体制とプロセス]
⑤指標及び目標
当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け、当社のビジネスモデルを持続させる上で対処すべき重要課題(マテリアリティ)を「技術」「人財」に特定しました。
また、事業活動を通じた価値の創造を支え、潜在的経営リスクを低減することを目的としたESG重点課題についても、具体的な活動テーマ、それらに対する中期的な目標(2028年度までのKPI/目標)とそれに至る、単年度毎の達成目標を定め、その実績と課題をモニタリングしつつPDCAサイクルを回し推進しております。
なお、ESG重点課題については今後、経営環境の変化、事業ポートフォリオ拡大等に伴う新たな潜在的経営リスクの発現、目標の達成度合い等を踏まえ、必要に応じ各課題そのものの見直しもタイムリーに行っていく予定です。
<ESG重点課題> 凡例:〇達成、×未達成
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ESG重点課題と取り組み※1 |
2028年度までのKPI/目標 |
2024年度 |
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目標 |
実績 |
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E 環 境 |
気候変動 |
C02排出量の削減 |
サプライチェーン排出量の削減 |
・CO2排出量(Scope1,2): FY28▲38%(FY19比) ・CO2排出量(Scope3): 削減目標設定と削減実行 |
・CO2排出量 (Scope1,2): ▲21%(FY19比) ・CO2排出量 (Scope3): DXPS※2算定構築 |
○ |
|
スマートファクトリー化と省エネによるエネルギー効率と生産性の向上 |
エネルギー生産性 (売上÷エネルギー使用量): FY28 1.5倍(FY23比) |
現状把握・分析実行計画立案 |
○ |
|||
|
資源循環 |
廃棄物の削減と資源の効率的利用 |
・廃棄物埋立率:0.5%以下(毎年度) ・廃プラスチックのケミカルリサイクルの構築 |
・廃棄物埋立率:0.5%以下 ・アールプラスジャパンとのケミカルリサイクルの取り組み |
○ |
||
|
汚染防止 |
環境インシデントの削減 |
環境保全に関する法規制の遵守 |
環境法規制違反件数: 0件(毎年度) |
環境法規制違反件数:0件 |
○ |
|
|
S 社 会 |
多様性と人権尊重 |
多様な人財の活躍推進と国際的な人権原則の遵守 |
[多様性] 女性管理職比率向上 |
FY28 女性管理職比率10%以上 |
女性管理職比率7.8% |
○ |
|
[人権] 人権方針による人権啓発と人権デューディリジェンスの推進 |
人権方針原案策定 |
○ |
||||
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社員の健康と安全 |
健康経営 |
社員が心身ともに健康で安全に働き続けられるための環境整備 |
FY30 ロードマップに基づく着実な改善 |
データヘルスの導入と国内事業所敷地内全面禁煙 |
○ |
|
|
労働安全の強化 |
重大災害、設備起因災害: 0件(毎年度) |
重大災害、設備起因災害:0件 |
○ |
|||
|
製品品質 |
製品品質の維持・向上 |
良質で安心・安全なデクセリアルズグループ製品の提供 |
重大品質問題発生件数: 0件(毎年度) |
重大品質問題発生件数:0件 |
○ |
|
|
ESG重点課題と取り組み ※1 |
2028年度までのKPI/目標 |
2024年度 |
||||
|
目標 |
実績 |
|||||
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G ガ バ ナ ン ス |
コーポレート・ガバナンス |
経営体制の維持・向上 |
取締役会のあるべき姿に向けたスキル・マトリクスの議論と経営層サクセッションの実行 |
① スキル・マトリクスの定期見直しとサクセッションプロセスの実行 ② スキル・マトリクスの議論とサクセッション計画のモニタリング |
・指名・報酬委員会におけるスキル・マトリクス見直しの議論実行 ・ボードサクセッションの審議と実行 ・指名・報酬委員会における経営層サクセッションプランの定期モニタリング |
○ |
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実効性・透明性の高いコーポレート・ガバナンスの進化 |
①取締役会実効性評価の着実な実施と改善(毎年度) ②役員報酬制度の透明性の高い決定プロセスの継続と報酬委員会による制度レビュー実行 |
・取締役会で決定した2024年度「アクションプラン」の推進による着実な実効性の向上 ・報酬ガバナンス維持を目的とした取締役会、指名・報酬委員会での透明性の高い役員報酬制度決定プロセスの継続 |
○ |
|||
|
コンプライアンス |
法令遵守・デクセリアルズ行動規範の浸透 |
贈収賄などの腐敗防止に関する違反を含む、 重大な法令等の違反件数ゼロの堅持(毎年度) |
重大な法令等違反件数:0件 |
○ |
||
|
コンプライアンスに対する社員意識の向上 |
グループコンプライアンス意識調査スコア向上 |
・コンプライアンス委員会キックオフ ・継続的な社内研修 |
○ |
|||
|
リスクへの対応 |
情報セキュリティ強化 |
著しい環境変化に対応するリスクへの備え |
重大セキュリティ インシデント:0件(毎年度) |
重大セキュリティインシデント:0件 |
○ |
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BCP強化 |
さまざまなリスクに対応可能なオールハザード型BCPの整備と運用 |
オールハザード型BCPに向けたBCP/BCMの改善 |
○ |
|||
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サプライチェーン |
サプライチェーンマネジメント |
調達先とともにサプライチェーン全体で地球環境や人権・労働などの社会的責任を遂行 |
CSR 調達評価:平均3点以上 |
CSR調達評価:平均3点未満10%以内 |
○ |
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※1 2025年3月31日現在
※2 デクセリアルズフォトニクスソリューションズ(株)
(2)気候変動への対応
①基本的な考え方
気候変動は持続可能な社会を実現するために人類が解決すべき重要課題であり、企業としても事業継続の前提条件であると考えております。
当社は、2021年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明し、気候変動がもたらす経営上のリスクと機会を適時・適切にとらえながら、持続可能な社会の実現に向け、実効性の高い活動に取り組んでおります。
また、当社独自の製品や技術を通じて新たな価値を提供し、将来の世代に豊かな環境を残すための取り組みを推進するとともに、ステークホルダーとの共生を目指していきます。
この基本的な考え方に基づき、透明性の高い情報開示と取り組みを通じて、長期的な企業価値の向上を実現していきます。
②ガバナンス
代表取締役を最高責任者として、執行役員 経営戦略本部長及び執行役員 特命・リスクマネジメント担当の指揮命令のもと、関係部署が参画する「サステナビリティワーキンググループ」を組織し、持続可能な社会の実現に向けた活動を推進しています。気候変動は執行役員会及び取締役会で承認・報告されたESG重点課題の1つであり、CO2削減目標の達成は、取締役の業績連動株式報酬にも反映させることを決定しております。
ESG重点課題で設定されたCO2削減目標及び達成に向けた活動を継続的にモニタリングし、取締役会及び執行役員会に報告をすることで、監視の強化を図り、経営戦略及び事業戦略の立案・遂行にフィードバックしていきます。また、部門横断的な視点から取り組みを行うことで、活動の充実化と社内の意識醸成を図っております。
③戦略
2050年を見据えた長期的な視点から、気候変動に伴うリスクと機会を特定するため、2℃未満シナリオと4℃シナリオの2つを考慮したシナリオ分析を実施しております。これに基づき、順次対象事業ユニットの範囲を拡大し、事業への影響評価や対応策の検討を進めております。
A.シナリオ分析対象製品
当社グループでは、2℃未満シナリオと4℃シナリオに基づき、気候変動に特化したリスクと機会の抽出を行いました。2021年度から、CO2排出量に大きな影響を与える主要製品を優先してシナリオ分析を実施しています。2023年度には新たにDexerials Precision Components(株)※1が生産する「マイクロデバイス」、2024年度にはデクセリアルズフォトニクスソリューションズ(株)が生産する「光半導体」を分析対象に加えました。
取り組み状況とCO2排出量(Scope1+2)カバー率(連結) (年度)
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2021年 |
2022年 |
2023年 |
2024年 |
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取り組み状況 |
・TCFD賛同 ・反射防止フィルム |
・異方性導電膜(ACF) ・光学弾性樹脂(SVR) ・表面実装型ヒューズ |
・マイクロデバイス |
・光半導体 |
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CO2排出量(Scope1+2)カバー率 |
35% |
56% |
69% |
75% |
B.シナリオの設定
移行リスク・機会の項目に関する客観的な将来情報から当社グループへの影響を考察し、財務インパクト試算及び移行リスク・機会を想定した取り組みについて検討しました。
C.財務インパクト試算
2024年度の当社の成長戦略、環境目標との連動性についてTCFDガイドラインに基づき、以下の3つの時間軸を設定して分析を行いました。
・短期: 2028年度(現中期経営計画最終年度)
・中期: 2030年度(中長期のCO2削減目標)
・長期: 2033年度(次期中期経営計画最終年度(想定))
そのうち、短期:2028年度の財務インパクトについて、下図に示します。
・2℃未満シナリオに基づく財務インパクト試算結果
2℃未満シナリオに基づく移行リスク・機会を総合的に評価した結果、中期経営計画における事業利益は気候変動の影響により、中期経営計画で想定していた事業利益と比較して0.7%減少する見込みです。移行リスクの主な要因としては、温室効果ガス排出制限に関する規制強化による原材料(主にレアメタル)のコスト上昇が挙げられます。また、炭素税の導入影響により、事業運営コストも増加する見込みです(当社の6つの事業カテゴリー※2共通の課題)。一方で、移行リスクに対する適切な対応がビジネス機会を生み出す可能性もあり、当社では、国際的な気候変動シナリオや業界動向(顧客がとらえているリスク・機会)を分析し、第三者の助言を踏まえ移行機会を整理しました。より具体的にビジネスへの影響を把握し、社会貢献につながることを真摯に考え、取り組みを進めております。検討の結果、主にEVおよびEV生産拡大に貢献する製品(表面実装型ヒューズ、反射防止フィルム、光半導体)の需要が拡大することを機会として特定しました。合わせて、当社の環境配慮が製品の付加価値を高め、それによって売上が向上することも機会として想定しました。
この移行リスク・機会の対応策については、当社の生産・事業部門とクロスファンクショナルに議論を重ねつつ、今後の取り組みにつなげていく予定です。
・4℃シナリオに基づく財務インパクト試算結果
移行リスク:4℃シナリオでは、化石燃料への依存継続により、化石燃料の需要が増加し、エネルギーや原材料のコストが上昇すると想定しております。事業機会については、自動車の電動化への進展が遅れることを前提に、EV関連の売上機会は減少すると予想しております。一方で、当社製品が関連する「車載ディスプレイの大型化」への影響は小さいと考えており、全体としての影響は限定的です。これらを踏まえた財務への影響は、中期経営計画で想定していた事業利益と比較して、7.9%の減少になると見込んでおります。
物理リスク:気象災害激甚化により想定される洪水リスクに注目し、ハザードマップをもとに洪水による被害の可能性を試算しました(4.3億円減益)。この影響を含めると、事業利益全体では、中期経営計画に対し8.8%の減少となる見込みです。
D.気候関連のリスク・機会と主な取り組み
抽出されたリスクと機会の項目は、社会の変化という観点で整理し、以下の通りそれぞれの対策案を検討しております。重要度の評価は、「影響度」と「発生可能性」の2軸で行い、特に重要と認識したリスクと機会については、中期経営計画に組み込みさらなる検討を進めております。
※1. Dexerials Precision Components(株)は、2024年4月1日付で(株)京都セミコンダクターと統合し、デクセリアルズフォトニクスソリューションズ(株)となりました。
※2. 6つの事業カテゴリー:反射防止フィルム、異方性導電膜(ACF)、光学弾性樹脂(SVR)、表面実装型ヒューズ、マイクロデバイス、光半導体
※3. 期間:短期:2028年度(現中期経営計画最終年度)、中期:2030年度(中長期のCO2削減目標)、長期:2033年度(次期中期経営計画最終年度(想定))
※4. 財務影響:小:10億円未満、中:10億円以上、大:40億円以上
※5. FEMS:Factory Energy Management System:工場エネルギーマネジメントシステム
④リスクマネジメント
当社グループでは、リスク管理に関する規定に基づき、「リスクマネジメント委員会」を設置しています。この委員会は、グループ全体の中長期及び短期的な事業運営リスクや財務リスク、外部環境リスク、そして気候変動を含むESGリスクを評価し、リスクの回避または軽減策を立案・実行し、その進捗を確認しております。特に気候変動については、経営基盤リスクの一つとして位置づけ、積極的に取り組んでおります。リスク管理最高責任者である代表取締役の監督のもと、執行役員 特命・リスクマネジメント担当が委員長を務め、気候変動担当組織を中心に活動しております。特定した気候変動の重点リスク項目は、定期的に執行役員会に報告し、経営上や事業上の重要なリスクについては取締役会に報告し、気候変動関連リスクに対する対応策の検討を行っております。
⑤指標と目標(移行計画)
当社グループは2024年度、国際的な気候変動基準に準拠するため、目標の具体化と見直しを行いました。IPCC第6次評価報告書(AR6)によれば、地球温暖化を1.5℃以内に抑えるためには、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2019年比で約43%削減することが求められております。この目標はパリ協定やCOP28での国際合意とも一致しており、気候変動対策における重要な指針となっております。この状況を認識し、当社グループは従来の目標を踏まえつつ、次のような新たなCO2排出量削減目標を設定しました。
〈中長期のCO2削減目標〉
•Scope1+2:2030年度末までに2019年度比で46%削減
•Scope2:2030年度末までに排出ゼロを達成
今後、目標達成に向けて、スマートファクトリー化をはじめとした生産効率の向上による省エネ対策を強化※1するとともに、再生可能エネルギーの導入や低炭素燃料への転換を積極的に推進していきます。
また、コージェネレーションシステムの導入※2や水素エネルギーといった次世代エネルギーの導入※3を検討し、持続可能な社会の実現を目指していきます。
パリ協定やその他の国際的な気候変動協定が2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指していることを受け、当社グループもそれに向けた目標設定およびその実現に向けた移行計画を推進していきます。
・CO2排出量(Scope1,2,3)
2023年度のエネルギー使用に伴うCO2排出量(Scope1+2)は前年度比で約10%削減され、合計で31.3千t-CO2となりました。これは2019年度比で約33%の削減に相当します。CO2排出量の削減に向け、生産設備の稼働最適化などによりエネルギー使用量を削減するとともに、コージェネレーションシステムの導入や再生可能エネルギー証書の購入などの取り組みを実施しました。
一方で、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減を目指し、当社グループのScope3の可視化を進めております。2023年度はデクセリアルズ(株)単体に加えて、子会社のDexerials Precision Components(株)(以下DXPC)※4を新たに追加し、Scope3を算定しました。また、Scope3の算定精度を高めるため、カテゴリ1(購入した製品・サービス)排出原単位などの見直しを行い、2022年度のデクセリアルズ(株)単体のScope3も再算定しました。
さらに、2023年度のScope1、Scope2、Scope3については、第三者機関による検証を受けました※8。この検証は国際的な基準とガイドラインに基づき実施され、これらの数値の信頼性と正確性が確認されました。
今後も当社グループのScope3の算定を進め、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減に取り組んでいきます。
[CO2排出量の推移(Scope1+Scope2)]※5、6
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2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
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Scope1 |
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Scope2 |
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合計(Scope1+2) |
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※1、2. 2026年度稼働開始予定の鹿沼事業所新第2工場にて導入・展開。これに伴う投資は中期経営計画キャピタル・アロケーション『本計画達成に向けた投資』1,300億円に含む
キャピタル・アロケーションについては、「デクセリアルズ統合レポート2024」のP39をご参照下さい。
※3. 現中期経営計画中に検証を行い、導入判断を予定
※4. Dexerials Precision Components(株)は、2024年4月1日付で(株)京都セミコンダクターと統合し、デクセリアルズフォトニクスソリューションズ(株)となりました。
※5. 当社グループは2022年3月24日より(株)京都セミコンダクター(現デクセリアルズフォトニクスソリューションズ(株))を子会社化しておりますが、2019年-2021年度の実績についても、比較可能性を高めるため、(株)京都セミコンダクターのCO2排出量を含めて表記しております。
※6. 海外販売子会社を除く
※7. カテゴリ 8、9、10、11、13、14、15 は該当する活動がないため算定対象外
※8. ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン(株)の第三者検証を受けています。
(3)人的資本
①戦略
変化が激しく先行き不透明な事業環境下において、当社グループが社会課題を先回りしてビジネスソリューションを提案し続けるためには、経営戦略に沿った事業ポートフォリオの拡大と、それを実現する『技術』と『人財』の強化が不可欠です。そのために、①経営理念・企業ビジョン・パーパスと経営・事業戦略に連動し将来の目指す姿からバックキャストした人財ポートフォリオをグローバルで整えること、②人と組織に関するポリシーや制度を最適化することで社員一人ひとりの可能性を引き出すこと、③人的資本を最大限に活かしクリエイティビティーの高い組織文化を目指すこと、を重点的に取り組んでおります。
社会課題の解決に貢献する製品・ソリューションを具体的に生み出す『デザイン・イン』と『スペック・イン』を柱とするビジネスモデルは当社グループの強みであり、これを支えるリソース戦略としての人材ポートフォリオに関しては、技術とマーケティングに携わる人材をグローバルで強化していくことを2028年度までの中期経営計画期間の重要課題として進めてまいります。
また、人的資本に関わる戦略を遂行する基盤となる制度として、グローバルでスタンダードなジョブ型人事制度を2024年度からは国内・海外のすべてのグループ会社へ導入・展開を行いました。当社グループは、グローバルな視点から戦略に沿った組織や仕事を設計し、最適な人材を配置すること、またマーケットを意識して仕事の大きさと発揮される成果で報酬が決まる仕組みに転換しています。基盤の制度を変更したことで、社員一人ひとりの役割はより明確になり、社員個人も当社グループで働く目的や意義を自ら問い直しながら成長し続けることを狙いとしています。当社グループは、組織文化や働く環境を進化させながら、持続的な成長と企業価値向上を目指してまいります。
人材育成方針と社内環境整備方針
<人財ポリシーとDexerials Way>
当社グループが大切にしている経営理念・企業ビジョン、そして私たちの社会的な存在意義であるパーパスを体現し、社会課題の解決を通じた持続的な成長を目指すために、グローバルで共通の人事制度体系として人的資本を最大限に活用する「人財ポリシー」と、社員に対する期待行動「Dexerials Way」を設定しています。
人財ポリシーの基本原則においては「1.人材は最大の経営資源であり価値創造の源泉。会社と個人は対等なパートナーであり人材の成長が企業価値を高める」、「2.グローバル基準で優秀かつ意欲的な人材に選ばれる会社になる。社員一人ひとりが価値をつくる人材となる」を定め、人材の可能性を最大限に引き出し、人的資本を活用するために社員一人ひとりの行動と成長を支援してまいります。
[人財ポリシー] [Dexerials Way]
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<多様な人材の確保とダイバーシティ推進の考え方>
当社グループが未来に向けて持続的な価値を創造し続けていくためには、多様な人材が持つ様々な知識や経験、文化を融合することが大切であると考えております。前述の人財ポリシーを基本的な考え方として、経営・事業のグローバル化を加速させて持続的な成長を続けるためには、グローバル視点で多様な人材の確保が必要不可欠です。事業戦略に基づく人財ポートフォリオを整えるため、技術とマーケティングをグローバルで強化するとともに、新たな事業の柱となるフォトニクス領域における人材の確保・強化を進めてまいります。また、当社グループの機能・組織に応じた男性/女性・外国人・障がい者等の多様な人材の採用と登用をグローバルで積極的に推進してまいります。多様な人材から選ばれる会社となることを目指し、社員一人ひとりが「個」を大切にしつつ、それぞれの価値観を尊重し、活き活きと能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。
<社員の育成>
当社グループは、企業ビジョンである「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」の実現に向けて、社員一人ひとりの成長が最も大切であると考えています。社員に対して「自ら学び、自ら考え、自ら行動し、成長し続ける」という自律的な行動を求め、会社がそれを実現するための支援とキャリア形成の環境を整えることで、社員の成長が会社の成長につながるという考え方を明確にしています。社員一人ひとりの「成長したい」という欲求と行動が企業の成長につながり、それが社員のエンゲージメント向上へとつながる人的資本への投資を積極的に進めてまいります。
「自ら学び、自ら考え、自ら行動し、成長し続ける」人材の育成に向けて、社員が自身の能力を最大限に発揮できる環境をつくるために、教育研修体系を整備し多様な研修プログラムを実施しています。その一環として、専門性を発揮する上で必要なビジネススキルの獲得や、社員の自律的なキャリア形成につながる自己啓発支援のプログラムを整備しました。また、経営基盤強化に向けた人材育成として、選抜メンバーに対し次世代経営人財育成プログラム「D-BLP※1」を継続的に実施しており、また2024年度からはグローバル視点を持った変革リーダーの早期育成と計画的な輩出を狙いとした若手リーダー育成プログラム「FIP※2」を実施することで、リーダー人材のパイプラインの強化に取り組んでいます。今後も環境の変化に応じて事業戦略の達成に向けた経営人材を育成するための人材開発を充実させてまいります。
[教育研修体系]
※1 デクセリアルズ・ビジネス・リーダーシップ・プログラム
※2 フューチャー・イノベーターズ・プログラム
※3 自己啓発支援として費用の半額を補助
<女性活躍の推進>
当社グループはダイバーシティ推進の取り組みの一環として、女性活躍の推進に取り組んでいます。国内においては、2021年度から行動計画を定め、女性の職業生活に関する機会提供の拡充をテーマとして、新規採用における女性の比率、管理職における女性の比率を向上させるという2点を目標に掲げて取り組んでまいりました。その結果、2021年度末においては女性管理職の比率は3.7%でありましたが、2024年度末には7.9%まで伸長しており、20名の女性社員が管理職として活躍しています。これからも女性社員を対象としたキャリア研修やリーダーシップを発揮する機会の創出を通じて、多様な人材が活躍する環境を継続的につくってまいります。
<ワークライフバランスへの取り組み>
当社は、社員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境づくりの取り組みとして、ワークライフバランスを意識した制度を導入しています。業務のOnとOffの区分けをしっかりと行うために労働時間の適正化はもちろん、社員のリフレッシュを目的として計画的に年次有給休暇を取得する制度を設けています。また年度内に取得できなかった年次有給休暇を最大20日積み立てられる制度を設けており、傷病、介護、ボランティア活動、子どもの看護、不妊治療等の場合に積み立てた休暇を取得できるようにしています。育児・介護に関する両立支援として、個々の社員のライフスタイルにあった働き方ができるよう、法定を上回る支援制度の整備やリモートワーク推進、時間単位で取得可能な年次有給休暇など、柔軟な働き方を整備し、家族を大切にしながら働く社員を支援する仕組みを拡充しています。当社グループはこれからも多様な人材が活躍する環境を目指し、リモートワーク制度をはじめとした環境整備により、場所や時間に制約されない柔軟な働き方を実現してまいります。
<社員エンゲージメント>
当社グループでは、人・組織の状態を定量的に把握し組織力強化につなげることを目的として、国内・海外グループ会社すべての社員を対象にエンゲージメントサーベイを実施しています。2024年度においては、グローバルでは2回目となるサーベイを実施しました。エンゲージメントは社員と会社の関係性を定量的に示す指標であり、各職場においてエンゲージメントの状態を把握するとともに、組織の強みや改善していくべき点を認識し、より働き甲斐のある職場をつくることに活用しています。全社員にサーベイ結果のフィードバックを行い全社の課題を共有し、各部門・職場において討議を重ねることで管理職も一般社員も全員が職場改善に参画する活動を実施しています。これからも、それぞれの国や各職場において社員一人ひとりが経営理念や企業ビジョン、パーパスに理解・共感しエンゲージメントを高めていくことで、よりクリエイティブで強い組織やチームへと進化させ、社会課題に対してより多くの価値を提供し、会社も個人も成長する組織と文化を作ってまいります。
<健康経営の取り組み>
当社グループは、社員が笑顔で前向きに挑戦する活気あふれる職場づくりに取り組み、社員一人ひとりの幸福と会社の成長、その先にある幸福な未来を実現するため、健康経営を推進しています。国内においては2021年度より社員が中心となり組織横断による健康経営ワーキンググループの活動をスタートし、当社グループのありたい姿を提案し、そのためにおこなうべき具体的施策(ロードマップ)を策定・推進しています。活動の一つとして、社員一人ひとりの健康を可視化するシステムを導入し、社員自身が健康の取り組み状況を認識することで「セルフケア」の環境づくりに取り組んでいます。個人やグループで参加できる健康増進活動を実施し、社員一人ひとりが健康を実感でき、職場でのエンゲージメント向上につながる活動を展開しています。
②指標及び目標
当社グループでは、戦略や施策を着実に推進し、人的資本に関する活動目標を定め、モニタリングしつつ取り組んでいます。
<ESG重点課題>
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ESG重点課題と取り組み※1 |
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2024年度 |
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目標 |
実績 |
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S 社 会 |
多様性と人権尊重 |
多様な人財の活躍推進 |
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FY28 女性管理職比率 |
7.8% |
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社員の健康と安全 |
健康経営 |
社員が心身ともに健康で安全に働き続けられるための環境整備 |
FY30 ロードマップに基づく着実な改善 |
データヘルスの導入及び国内事業所敷地内全面禁煙 |
○ |
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※1 2025年3月31日時点
なお、持続的な成長に向けて「人財ポートフォリオ」「社員のエンゲージメント」「多様な人材の活躍」など、グローバルでの人的資本の強化を推進してまいります。
[提出会社における女性管理職比率の推移 2019年度~2024年度]
※ 国内・海外子会社を除く
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下の事項は当社グループのリスクのうち主要なものを記載しており、当社グループに係る全てのリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測し難いリスクが存在する可能性があるものと考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況の動向
当社グループは各国に進出してグローバルな事業展開を積極的に推進しております。このため、世界の経済状況の動向や金融不安が当社グループの製品の需要に大きく影響を与えます。また、当社グループの製品を使用するスマートフォンやタブレットPC等の完成品の市場は、経済環境の変化及び景気変動の影響を受けます。中国その他の新興国を含む重要な経済圏における経済の減速、サプライチェーンの混乱、原油など資源価格の高騰やその他の物価の上昇による経済の混乱、欧州や米国等における金融又は銀行部門における継続的な不安定性、日本及び先進国における政府による景気刺激策や金融政策の失敗、ウクライナや台湾などの地域を含む世界各国の不安定な政治情勢、感染症の世界的な拡大による影響などにより、広範囲かつ長期間に亘る世界経済の低迷が生じる可能性があります。当社グループは急激な需要変化に的確に対応できる生産及び販売管理体制への取り組みを進めておりますが、当社グループの製品に対する需要が減少した場合に、速やかに固定費用を切り下げるなどの調整を行うことが難しく、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(2)競争の激化
当社グループが製品を展開している市場では厳しい競争が続いております。当社グループの競合他社は、研究開発、生産能力、資金や人的資源等において、当社グループよりも強い競争力を有する場合があります。また、当社グループはダイバーシティの推進、働き方改革に取り組むことでより働きやすい労働環境の整備を進め、新卒採用や経験者の通年採用など優秀な人材の獲得を積極的に行っておりますが、優秀な研究者やエンジニア等の人材を確保できない場合、重要な人材が当社グループの競合他社に転職する場合、またデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みの遅れなどにより事業の効率性向上が十分に進まない場合等には、競合他社対比で当社グループの競争力が相対的に低下する可能性があります。さらに、ディスプレイメーカー・セットメーカーを始めとする当社グループの製品の顧客は、その市場において激しい競争に直面していることから、品質やコストの改善を図るために、又は当該顧客における再編や戦略の変更等により、仕入先を当社グループから競合他社に切り替える可能性や当社グループへの注文を減少させる可能性があります。当社グループは差異化技術を用いた高付加価値製品の開発など事業の強化を進めておりますが、当社グループが競合他社との競争において優位に立てない場合には、当社グループの市場におけるシェアが減少し、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業ポートフォリオの変革の遅れ
当社グループは、高機能材料メーカーとして光学材料及び電子材料の事業領域で製品を展開しており、売上高に含まれるコンシューマーIT関連製品は高い競争力を有する反面、ディスプレイメーカーやセットメーカーによる事業戦略や販売戦略の変更、完成品のモデルチェンジの時期及び販売量は、当社グループの製品に対する需要に影響を与えます。当社グループは、事業ポートフォリオ変革の一環として、自動車・フォトニクスといったコンシューマーIT以外の分野・製品においても、当社グループ製品の採用拡大に努めておりますが、事業ポートフォリオ転換が遅れ、コンシューマーIT製品への依存度の低下が進まない状態において、コンシューマーIT製品業界全体の需要低下や当社グループの製品を使用している製品に対する需要の減少等の事態が生じた場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(4)業績の季節的変動等
当社グループは事業の特性上、スマートフォン・タブレットPC、ノートPC等の最終製品で使用される中小型ディスプレイや電子部品関連業界の動向の影響を受けやすくなっております。よって、当社グループの業績は、短期的には上記の最終製品の新モデル投入時期及びその販売数量、並びにそれらの関連製品に係る主要顧客からの受注の影響を受けやすくなっています。また、クリスマス等の年末休暇や中国の春節等の商戦期に向けて当該最終製品の生産が本格化する第2四半期及び第3四半期に業績が偏重する傾向があります。当社グループは季節的変動が少ない自動車及びフォトニクスを主とした成長領域の売上の拡大に取り組んでいますが、電子部品関連業界の動向の影響を受けやすい製品が当社グループの売上高に占める割合は依然として高く、上記のような最終製品で使用される中小型ディスプレイや電子部品関連業界の動向、及び最終製品の動向が当社グループの製品に対する需要に与える影響により、当社グループの売上は四半期毎又は連結会計年度毎に変動する可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の販売価格の下落
当社グループは、常に付加価値の創出及び製品の高品質化に努め、価格水準の維持及び向上を目指し、工程改善、歩留りの改善等によるコスト低減に取り組み、製品の販売価格の下落リスクに備えておりますが、光学材料及び電子材料市場での生産過剰、需要の減少、低価格帯の製品を提供するメーカーによる高性能製品市場への進出、顧客との交渉の結果等により、当社グループでのコスト低減幅以上に当社グループ製品の価格が下落した場合又は利益率の低い製品の販売比率が拡大する場合には、当社グループが十分な利益を確保することが困難となる可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(6)海外での事業展開
当社グループは、日本、中国及び米国に製造拠点を有し、世界各国に進出してグローバルな事業展開を積極的に推進しており、当社グループの売上の相当程度の部分は、海外顧客向けの製品の販売によるものとなっております。海外事業の展開にあたっては、不安定な政治情勢、不確実な経済環境、当社グループの製品の製造・輸出入や使用等に関する環境や安全等に係る規制を含む法令、労務管理上の問題及び人件費の上昇、高額な関税及び厳格な貿易規制、予期しない法令・税制・政策の新設又は変更や解釈の相違、電力・輸送・通信等の基幹となるサービスの停止・遅延等を起こしうる不安定なインフラ、為替レートの変動、法令・規制・商慣習及び実務上の取扱いの違い、テロ、戦争、経済制裁、貿易摩擦、感染症の世界的な拡大、ボイコットの発生等のリスクが内在しております。当社グループでは政治的・経済的な社会情勢の変化を適時に当社グループ内で共有し、適宜対応に努めておりますが、全ての変化を把握することは困難であり、これらのリスクが顕在化した場合、売上の減少、費用の増加、業務の混乱等を生じさせ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(7)買収(M&A)、事業提携及びその他の戦略的投資
当社グループは、買収(M&A)、事業提携、パートナー企業との協業及びその他の戦略的投資を成長のための経営戦略の1つとして位置付けており、新規市場への参入や新規領域事業の展開等のために買収、事業提携、パートナー企業との協業及びその他の戦略的投資を行い、今後も実施する可能性があります。買収、事業提携、パートナー企業との協業及びその他の戦略的投資を行う際には、対象企業や新規領域事業等の投資先について詳細な調査を行い、十分にリスクを検討することとしておりますが、事前に把握できなかった問題が判明する可能性や、投資先の企業の業績変動により投資先企業の価値評価が大幅に下落し損失を計上または追加的な支出が発生する可能性があります。また当社グループは、買収、事業提携、パートナー企業との協業及びその他の戦略的投資並びに各事業に係る固定資産の取得及び保有に際しては投資経済性評価を実施し、投資回収とリスクの検討を行っておりますが、市場動向や価格下落などの理由によって事業収益性が低下し、対象となる資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、減損の認識が必要となる可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(8)技術開発等
当社グループが事業展開する分野は、技術革新とコスト競争力について厳しい要求があり、さらに、競合他社の新技術や新製品開発、当社グループ製品を使用している完成品における新技術や新製品開発、業界における標準や顧客のニーズの変化により、当社グループの製品が予期せぬ陳腐化を起こす可能性があります。また、当社グループの売上及び営業利益の相当部分は特定の主力製品の販売によるものとなっており、これらの主力製品に代替する技術が競合他社により開発された場合や競合他社がこれらの主力製品より優れた製品を導入した場合には、当社グループの製品への需要が減少する可能性があります。当社グループは中期の開発戦略のもとに新技術や新製品の開発、新用途・新市場の開拓や生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資をしておりますが、市場の変化が激しい業界において変化を予測することは容易ではなく、開発した製品について想定した売上等の効果が得られない可能性があります。また、当社グループは顧客が要求する仕様に応じて当社グループ製品を顧客毎にカスタマイズしておりますが、当社グループが常にこの様な顧客の要請に応えられる保証はなく、さらに、顧客が当社グループに求める価格、時期、数量で当社グループ製品を供給できる保証はなく、また、顧客が当社グループに求める高度なアフターサービスを提供できない場合もあります。これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(9)原材料の調達
当社グループは、原材料が適時、適量に調達できることを前提とした生産体制を構築しておりますが、原材料の一部の供給を特定の購入先に依存しております。当社グループは、購入先を複数にするなど主要原材料が確保できなくなるリスクを低減するよう努めておりますが、原材料によっては特定の購入先に依存せざるを得ないものがあり、原材料の購入先が、原材料の供給遅延、供給不足その他の理由により当社グループとの購入契約上の義務を果たせなくなり、また、購入先による原材料の値上げや主要な購入契約が終了した場合には、当社グループは原材料を市場又は他の購入先から調達しなければならず、有利な価格で原材料を調達できる保証はなく、また、これにより当社製品の出荷を予定通り行うことができなくなる可能性があります。さらに、原材料の価格や燃料価格が上昇する可能性があり、上昇したコストを製品価格に転嫁できない場合や、購入先の自然災害での被災、事故、倒産等により供給が中断し、必要な主要原材料を確保できなくなる場合、および法規制の導入や改正により原材料の使用が制限される場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産
当社グループは国内外で多くの知的財産権を保有し、維持・管理しております。しかし、当社グループの知的財産権が無効とされる可能性、当社グループの知的財産が特定の国・地域では十分な保護が得られない可能性や模倣される可能性等があり、当社グループの保有する知的財産権の保護が損なわれる可能性があります。また、当社グループは、主要な競合他社を含む第三者から使用許諾を受けて第三者の知的財産権を使用する場合がありますが、今後、必要な使用許諾等を第三者から受けられなくなる可能性や、当社グループにとって不利な条件での使用許諾しか受けられなくなる可能性、競合他社が当社グループより有利な条件で第三者から使用許諾等を受ける可能性があります。さらに、第三者の知的財産権を侵害したことにより、当社グループが当該第三者に対して損害賠償責任を負う可能性や、当社グループの一定の製品の開発・製造をする権利を失う可能性等もあります。加えて、当社が他社との業務提携等を行ったことにより、他社が第三者との間で締結しているライセンス契約上の制約が、当社グループに課せられる可能性もあります。当社グループは他社の知的財産権の調査を行い、これらの問題が発生することの無いように努めておりますが、全ての問題発生の可能性を排除できる保証はなく、これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(11)製品の欠陥
当社グループの事業は、部材の企業間取引が基本となっておりますが、当社グループの製品に欠陥があった場合には、修理や回収等に相当程度の費用が生じ、また、顧客の完成品に生じた欠陥について補償を求められる可能性があります。また、当社グループの製品に欠陥があった場合には、当社グループの顧客との関係や当社グループの信用及び評判に悪影響を与える可能性があり、当社グループの製品の売上やシェアが低下する可能性があります。さらに、当社グループの顧客又は完成品の消費者に対して製造物賠償責任保険の適用を超える賠償などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品の欠陥に関して当社グループに訴訟が提起された場合、製造物賠償責任保険の保険料が増額される可能性や製造物賠償責任保険を継続できない可能性があります。特に、車載や医療等の分野については、大規模なリコールが発生する可能性や、製造物責任賠償請求がなされることにより当社グループに大きなレピュテーション上のリスクが発生する可能性があります。当社グループは国際的な品質管理システムに従って製品を製造し、品質管理を行っておりますが、これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(12)環境問題
当社グループは、廃棄物削減、地球温暖化や大気汚染防止、有害物質の処理等に関して様々な環境規制の適用を受けております。事故や自然災害により不測の環境汚染が生じる場合、当社グループが過去又は現在所有する工場用地等において汚染物質が発見された場合や新たな環境規制が施行された場合には多額の費用が発生し、当社グループの活動が制限され、当社グループが環境規制を遵守できない可能性があります。当社グループは、環境保全活動を重要な方針の一つとして掲げ、CO₂排出量等の自主的な削減計画を作成し、実行しておりますが、かかる自主的な削減計画等が当社グループの想定した通りに実行できる保証はなく、これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(13)気候変動等による影響
当社グループは、気候変動問題は持続可能な社会実現のために人類が解決すべき重要な課題であり、企業にとって気候変動の対応は事業継続の前提条件であると考えています。
当社グループは、気候変動に関連するリスク、機会及びこれらの影響の評価に取り組む姿勢を明確にするため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明し、再生可能エネルギーの導入などにより、2030年度に、2019年度比でScope1およびScope2の排出量を46%削減し、Scope2の排出を実質ゼロとすることを目標に掲げるとともに、顧客の製造工程の省エネルギー化や最終製品のエネルギー効率向上に資する製品の提供を通じて、サプライチェーン全体の環境負荷低減に貢献するべく気候変動への取り組みを進めており、統合レポートや当社ウェブサイトを通じて、推奨される情報を継続的に開示しています。
当社グループは気候変動への対応をリスクとしてだけでなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題の解決を目指しておりますが、これらのリスクが顕在化した場合、費用の増加等を生じさせ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(14)コンプライアンスと法規制
当社グループの事業については各国の競争、汚職防止、コーポレート・ガバナンス、労働、消費者保護、電力、租税等に係る各種法令による規制を受けており、当社グループがかかる法規制に違反する場合、また、当社グループが保有する許認可等に付された条件や制約を遵守できない場合には、規制当局からの制裁や罰金、罰則の適用、追加費用の負担や許認可等の剥奪等の可能性があります。また、法規制の強化や大幅な変更がなされた場合にも、当社グループの活動が制限され、当該法規制の遵守のために新たなコストが発生する可能性があります。当社グループは、内部統制システムを構築した上で各国の法規制の遵守に努めておりますが、かかる法規制の遵守の努力が有効である保証はなく、これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(15)訴訟
当社グループは世界各地において事業活動を展開しており、取引先等との間の訴訟を含む様々な訴訟等が提起される可能性があります。訴訟対応コストがかさむ場合、当社グループに不利益な判決、決定又は判断等がなされる場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(16)情報セキュリティ
当社グループは、研究開発、製造、販売及び営業など企業活動において、顧客・取引先に関する情報、技術情報、業務上のノウハウなど多様な情報資産を当社グループの情報システム内や様々な形態で保有・管理しております。しかしながら、サイバー攻撃の高度化や巧妙化、不正アクセス、災害等の不測の事態により、情報の漏えい、滅失、改ざん等が発生した場合、当社グループの業務遂行に支障をきたし、損害賠償請求、信用の毀損、法的責任の発生を通じて、当社グループの事業運営に重大な影響が生じる可能性があります。当社グループは、情報セキュリティ対策として、外部ITベンダーとの連携によるシステム強化、従業員への教育・啓発、セキュリティ監視体制の構築等に取り組んでおりますが、これらの対策が将来に亘ってすべてのリスクに対応し得る保証はありません。これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(17)事故・災害等による影響
当社グループは操業安全と事業継続性の確保を掲げ、災害や事故の未然防止の対策及びBCPを策定しておりますが、当社グループが事業展開を行っている又は当社グループの取引先が所在する各国における地震や津波、洪水といった大規模な自然災害や感染症の世界的な大流行があった場合、当社グループのみに限定されず、電力・ガスなどのインフラ被害や、原材料の調達・物流・顧客など、広範囲にわたるサプライチェーンへの被害により、事業の中断につながる可能性があります。特に日本では地震が発生する確率が高く、大規模地震が発生した場合、直接的な被害を受ける可能性や、製造工程において火災や化学物質による人的被害が発生する可能性もあります。さらに、このような自然災害のみならず暴動・労働争議によっても、当社グループの事業が中断する可能性があります。これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(18)為替相場の変動
当社グループは、日本円以外の外貨建てによる取引も行っており、製品・サービス等のコストや価格及び外貨建ての資産・負債は為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは、この影響を最小限に抑えるべく、適宜為替予約等によるヘッジを行っておりますが、かかるヘッジにより為替リスクを完全に回避できるわけではなく、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。なお、海外関係会社の現地通貨建の資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、当社グループの財政状態は為替相場の変動による影響を受けます。
当社グループは、当連結会計年度よりIFRSを適用しております。また、前連結会計年度の財務数値についても、IFRSに組替えて比較分析を行っております。
なお、財務数値に係るIFRSと日本基準との差異については、「第5経理の状況 1連結財務諸表 連結財務諸表注記43.初度適用」をご覧下さい。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における世界経済は、米国を中心に底堅さが続いた一方で、米政権の相互関税を含む諸政策による景気後退懸念、ロシア・ウクライナ情勢、中東紛争をはじめとする地政学リスクの高まりに加えて、為替動向の不安定さの継続により、先行き不透明な状況が続いています。
当社の製品が関わる主要業界では、スマートフォン・タブレットは堅調に推移するなかで、特に中国及び韓国のスマートフォンでは液晶ディスプレイからOLEDディスプレイへの移行が継続しました。ノートPCはコロナ禍に伴う在宅需要で購入された製品の買い替え需要により好調に推移しました。自動車は中国メーカーの販売が拡大したものの、全体では横ばいとなりました。
このような経営環境のなか、中期経営計画に基づき事業環境の変化の影響を受けにくい事業ポートフォリオの拡大に取り組みました。成長領域においては、自動車向け製品の販売拡大に加え、フォトニクスカテゴリーではデータセンター等で使われる光トランシーバー用製品の新規顧客を開拓し、製品の出荷を開始しました。また、既存領域においても、テクノロジーの進化を先回りした製品の開発・提案に取り組み、反射防止フィルムや粒子整列型異方性導電膜(ACF)などの高付加価値製品の販売が拡大しました。なお、為替相場は当期において前期に対して円安が進み、業績の押し上げ効果がありました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は110,390百万円(前連結会計年度比4.9%増)、事業利益は38,068百万円(前連結会計年度比11.7%増)、営業利益は39,735百万円(前連結会計年度比24.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、27,737百万円(前連結会計年度比22.9%増)となりました。
各セグメントの業績、ならびに製品カテゴリー別の売上状況は以下のとおりであります。
(光学材料部品事業)
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減率 |
|
売上高 |
51,453 |
50,647 |
△1.6% |
|
事業利益 |
15,256 |
14,556 |
△4.6% |
(注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。
・ 売上高は50,647百万円(前連結会計年度比1.6%減)、事業利益は14,556百万円(前連結会計年度比4.6%減)となりました。
・ 光学フィルムでは、反射防止フィルムにおいてノートPC用ディスプレイ向け製品の好調に加え、車載ディスプレイ向け製品の採用モデル数が増加したものの、蛍光体フィルムの販売終息により減収減益となりました。
・ 光学樹脂材料では、光学弾性樹脂(SVR)が堅調に推移したものの、精密接合用樹脂において収益性の高いハイエンドモデルのスマートフォン向けセンサー関連製品の数量が減少し、増収減益となりました。
(電子材料部品事業)
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減率 |
|
売上高 |
54,387 |
60,434 |
11.1% |
|
事業利益 |
18,830 |
23,511 |
24.9% |
(注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。
・ 売上高は60,434百万円(前連結会計年度比11.1%増)、事業利益は23,511百万円(前連結会計年度比24.9%増)となりました。
・ 異方性導電膜では、主に中国及び韓国のスマートフォン向けに粒子整列型ACFの拡大が継続したことにより、増収増益となりました。
・ 表面実装型ヒューズでは、電動工具向け製品の主要顧客の在庫調整の終了や新規案件の獲得により、増収増益となりました。
・ フォトニクスでは、光半導体においてデータセンター等で使われる光トランシーバー用製品の新規顧客への出荷を開始したことにより、増収増益となりました。
・ 接合関連材料では、ノートPC向け汎用品等の数量が前期並みとなり、売上高及び事業利益は前期並みとなりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払による減少があった一方で、税引前利益が増加した結果、前連結会計年度に比べ12,034百万円増加し、40,433百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度に比べ11,047百万円支出が増加し、22,316百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出及び配当金の支払等があり、前連結会計年度に比べ10,551百万円支出が増加し、21,286百万円の支出となりました。
上記の結果、当期における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ348百万円減少し、当連結会計年度末には34,979百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
金額(百万円) |
||
|
光学材料部品 |
49,081 |
98.4 |
|
電子材料部品 |
59,814 |
107.6 |
|
合計 |
108,895 |
103.2 |
(注)金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
金額(百万円) |
||
|
光学材料部品 |
50,039 |
98.2 |
|
電子材料部品 |
60,350 |
111.3 |
|
合計 |
110,390 |
104.9 |
(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
株式会社レスター |
- |
- |
14,560 |
13.2 |
|
日東電工株式会社 |
10,147 |
9.6 |
13,671 |
12.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は売却目的で保有する資産が減少しましたが、有形固定資産、持分法で会計処理されている投資、営業債権及びその他の債権が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ11,447百万円増加し、151,821百万円となりました。
(負債)
負債合計は、有利子負債(非流動負債)が減少しましたが、未払法人所得税、その他の金融負債、有利子負債(流動負債)が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ654百万円増加し、55,905百万円となりました。
(資本)
資本合計は、利益剰余金、資本剰余金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ10,793百万円増加し、95,915百万円となりました。
2)経営成績
経営成績については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は34,979百万円となり、前年度末に比べ348百万円の減少となりました。当社グループでは、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しており、当連結会計年度のキャッシュ・フローは以下のとおりであります。
|
項目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
28,398百万円 |
40,433百万円 |
12,034百万円 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△11,269百万円 |
△22,316百万円 |
△11,047百万円 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
17,129百万円 |
18,117百万円 |
987百万円 |
当社グループの主な短期的な資金の需要としては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金、配当金の支払等を見込んでおります。なお、当社の短期的な資金調達の源泉は、主に営業活動によって獲得した現金であります。資金調達は金融機関からの借入により調達を行っておりますが、当連結会計年度末の有利子負債残高は21,078百万円であり、総資産に対して13.9%と低い依存度となっております。
当社グループでは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性を維持することを資金調達の基本としており、国内の主要金融機関との良好な関係に基づき、長期借入れを中心として必要資金を低いコストで調達しております。また、流動性資金の確保の面では、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末における総額は、13,000百万円(うち借入未実行残高は13,000百万円)であります。
連結子会社が保有する資金は、当連結会計年度末において5,486百万円でありますが、グループ資金は当社での有効活用を前提に、可能な限り配当を実施することを基本方針としており、各連結子会社の配当可能利益をベースに、各社の手元必要流動性資金を考慮の上、当社への資金還流を今後も積極的に進めていく予定であります。
株主還元方針については、中期経営計画の5年間累計で総還元性向60%を目途とし、うち年間現金配当は長期安定を基本として、配当性向40%を目安としながら、ROEや資本コスト、最適な資本構成を意識した経営を推進する意味も込めて、DOEで7%以上を下限値として設定しております。また自己株式の取得についても財務状況や株価水準、キャッシュポジションなどを勘案し機動的に実施する予定であります。
③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況
1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
2025年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
|
指標 |
2025年3月期 (期初計画) |
2025年3月期 (修正計画) |
2025年3月期 (実績) |
|
売上高 |
107,000百万円 |
110,000百万円 |
110,390百万円 |
|
事業利益 |
33,500百万円 |
37,000百万円 |
38,068百万円 |
|
親会社の所有者に帰属する 当期利益 |
23,000百万円 |
27,000百万円 |
27,737百万円 |
|
EBITDA |
39,500百万円 |
43,700百万円 |
44,708百万円 |
|
ROIC |
18.8% |
21.0% |
22.9% |
|
ROE |
25.5% |
29.1% |
30.6% |
(注)2025年3月期(期初計画)は2024年5月13日、2025年3月期(修正計画)は2025年2月12日公表値
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「4 経営者による財政状
態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状
況」に記載のとおりであります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて
は、「第5経理の状況 1連結財務諸表 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。
(3)並行開示情報
連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
①要約連結貸借対照表(日本基準)
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2024年3月31日) |
当連結会計年度 (2025年3月31日) |
|
資産の部 |
|
|
|
流動資産 |
69,063 |
63,531 |
|
固定資産 |
|
|
|
有形固定資産 |
35,703 |
47,588 |
|
無形固定資産 |
24,840 |
24,744 |
|
投資その他の資産 |
8,407 |
10,101 |
|
固定資産合計 |
68,952 |
82,433 |
|
資産合計 |
138,016 |
145,965 |
|
|
|
|
|
負債の部 |
|
|
|
流動負債 |
30,996 |
38,439 |
|
固定負債 |
22,065 |
14,273 |
|
負債合計 |
53,062 |
52,712 |
|
|
|
|
|
純資産の部 |
|
|
|
株主資本 |
79,063 |
89,424 |
|
その他の包括利益累計額 |
5,890 |
3,829 |
|
純資産合計 |
84,953 |
93,253 |
|
負債純資産合計 |
138,016 |
145,965 |
②要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
売上高 |
105,198 |
110,390 |
|
売上原価 |
47,930 |
47,449 |
|
売上総利益 |
57,268 |
62,940 |
|
販売費及び一般管理費 |
23,846 |
26,125 |
|
営業利益 |
33,421 |
36,815 |
|
営業外収益 |
521 |
1,713 |
|
営業外費用 |
3,914 |
1,330 |
|
経常利益 |
30,028 |
37,197 |
|
特別利益 |
131 |
2,473 |
|
特別損失 |
225 |
635 |
|
税金等調整前当期純利益 |
29,935 |
39,035 |
|
法人税等合計 |
8,600 |
11,830 |
|
当期純利益 |
21,334 |
27,205 |
|
非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失(△) |
△47 |
- |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
21,382 |
27,205 |
要約連結包括利益計算書
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
当期純利益 |
21,334 |
27,205 |
|
その他の包括利益合計 |
2,090 |
△2,061 |
|
包括利益 |
23,425 |
25,144 |
|
(内訳) |
|
|
|
親会社株主に係る包括利益 |
23,473 |
25,144 |
|
非支配株主に係る包括利益 |
△47 |
- |
③要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の包括利益累計額 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
69,097 |
3,799 |
73,774 |
|
当期変動額 |
9,965 |
2,091 |
11,178 |
|
当期末残高 |
79,063 |
5,890 |
84,953 |
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
|
(単位:百万円) |
|
|
株主資本 |
その他の包括利益 累計額 |
純資産合計 |
|
当期首残高 |
79,063 |
5,890 |
84,953 |
|
当期変動額 |
10,361 |
△2,061 |
8,300 |
|
当期末残高 |
89,424 |
3,829 |
93,253 |
④要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
27,457 |
39,857 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△10,866 |
△22,316 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△10,343 |
△20,710 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
1,875 |
277 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
8,123 |
△2,892 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
29,286 |
37,410 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
37,410 |
34,518 |
⑤連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(持分法適用の範囲の変更)
前連結会計年度において、ORTHOREBIRTH株式会社を持分法の範囲から除外いたしました。これは、前連結会計年度において当社が当該株式をすべて売却したためであります。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(持分法適用の範囲の変更)
当連結会計年度において、連結子会社であったDexerials Hong Kong Limited、Dexerials Korea Corporation、Dexerials Taiwan Corporationについて株式の一部を売却したため、持分法適用関連会社となっております。加えて、当該会社はそれぞれ、Restar Dexerials Hong Kong Limited、Restar Dexerials Korea Corporation、Restar Dexerials Taiwan Corporationへ商号を変更しております。
また、SemsoTec GmbH、SemsoTec Engineering Services and Product GmbHへ出資を行い、当該2社は当社の持分法適用関連会社となっております。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 43.初度適用」に記載のとおりであります。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、合理的に見積られたのれんの効果が及ぶ期間にわたって、定額法により、「販売費及び一般管理費」としてのれんを償却しておりましたが、IFRSでは、IFRS移行日以降は非償却としております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が2,341百万円減少しております。
(株式報酬)
日本基準では、株式給付信託(J-ESOP及びBBT)について、株式等の給付が見込まれる額を負債に計上しておりましたが、IFRSでは、J-ESOP及びBBTともに持分決済型株式報酬のため、資本として認識し、付与日の公正価値に基づいて測定しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「売上原価」が1,020百万円、販売費及び一般管理費400百万円増加し、法人税等調整額が444百万円減少しております。
(未消化の有給休暇)
日本基準では負債を認識していない従業員の未消化の有給休暇について、IFRSでは負債として認識しております。
この影響により、IFRSでは未消化の有給休暇について「従業員給付」に含めて1,320百万円計上しております。
(リース)
日本基準ではオペレーティング・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理しておりましたが、IFRSでは「使用権資産」及び「リース負債」を計上しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債がそれぞれ1,277百万円及び1,324百万円増加しております。
該当事項はありません。
当社グループのパーパスは「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」であります。
当社グループのパーパス実現のため、技術ポートフォリオの拡大、新領域製品の創出、既存事業を成長へつなげるコア技術の進化に努めております。
技術ポートフォリオの拡大として、デクセリアルズフォトニクスソリューションズ株式会社の戦略とも合わせ、新領域製品の創出を推進しております。
コア技術は、①薄膜形成&コーティング技術、②微細加工技術、③光半導体技術、④無機材料技術、⑤有機材料技術、⑥分析評価技術を「6つのコア技術」として新しく設定いたしました。
また、変化する世の中のニーズを先取りした独自性の高い製品の開発にも努めております。
人材投資とオープンイノベーションとして、2023年4月1日に活動を開始している「デクセリアルズ×東北大学 光メタセンシング共創研究所」を通じ共同研究、人材交流、大学設備の利用による先端技術の獲得やその先端技術にキャッチアップした人材育成、必修技術や新規技術の獲得を進めております。
研究活動により、強みの源泉である「技術」とそれを支える「人材」にて差別化を図れる会社への進化に取り組んでまいります。
当連結会計年度の研究開発費は