第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府・日本銀行による経済政策及び金融政策の効果や円安傾向の定着などにより、日経平均株価が2万円台を実現するなど、緩やかではありますが景気回復の歩みがすすみました。

 また、主要生乳生産国で生乳生産が好調となる一方で、ロシアや中国といった大口の乳製品消費国がウクライナ問題での欧米諸国からの禁輸処置(ロシア)やここ数年の大量買い付けによる在庫調整をうけた輸入減少(中国)により、需要が後退した影響から、国際乳製品価格が大幅に値を下げており、当社グループを取り巻く環境にも変化が出てきております。このような経営環境の中、当社グループは、「既存事業の拡大」及び「新たな収益源の確保」に取り組んでまいりました。

 乳原料・チーズでは、顧客ニーズに対応した価格競争力のある商品をタイムリーに供給することで既存取引先への販売を増やすとともに、独立行政法人農畜産業振興機構(ALIC)による国家貿易品目(脱脂粉乳、ホエイ、バター等)の入札において高いシェアを獲得できたことなどから、売上、利益ともに前期を上回りました。

 食肉加工品では、2014年から2015年初にかけて発生した豚の疾病(PED)や米国西海岸での港湾労働争議の影響により米国産チルドポークの販売数量が減少することとなり、売上、利益ともに前期を下回ることとなりました。

 アジア事業・その他では、乳原料販売部門が国際乳製品価格の下落により販売価格が低下した影響により売上は前期を大きく下回ることとなりましたが、利益についてはチーズ製造販売部門が好調であったことなどから前期比でプラスとなっております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は980億円(前期比1.5%増)、営業利益は7億20百万円(同53.0%減)、経常利益は13億43百万円(同18.8%減)、当期純利益は8億31百万円(同15.9%減)となりました。

 各事業別の状況は、次のとおりであります。

 

(乳原料・チーズ)

 2015年度は、主要生乳生産国である欧州では2015年4月から酪農家に対する生乳生産割当制度が廃止されたことで生乳生産量が増加するなど供給が豊富であった一方で、中国の輸入減少やウクライナ問題に端を発するロシアによるEUからの禁輸政策の継続などにより、これら大口の乳製品消費国の需要が減少しました。これにより国際乳製品価格は、年間を通じて軟調に推移することとなりました。

 日本国内においては、2014年から2015年前半までは国産の脱脂粉乳やバターについて深刻な供給不足が続き、ALICによる追加輸入が頻繁に実施されることとなり、2014年度には生乳換算で18.8万トン、2015年度には15.6万トンの脱脂粉乳やバターが追加輸入されました。国内生乳生産量は、2014年度の733.1万トンに対して、2015年度の見込みは738.8万トンとなっており、前年を若干上回る見通しとなっておりますが、環太平洋経済連携協定(以下TPP)の大筋合意により、将来に不安を抱える酪農家は多く、離農問題など国内生乳生産量の更なる減少が懸念されております。

 こうした事業環境の中で乳原料・チーズでは、2015年に実施されたALIC入札において、価格競争力のある商品の調達を行ったことから高いシェアを確保することができました。また、2015年前半は国産の脱脂粉乳やバターが供給不足となった一方で、国際乳製品価格は安値で推移したことから、粉乳調製品、輸入ホエイ原料、輸入乳脂肪原料などで内外価格差が広がり販売が好調に推移しました。これに加えて、海外原料を使用していない地方メーカーや乳原料を主原料として使用していない飲料メーカーにも販路を広げております。

この結果、乳原料・チーズの売上高は690億47百万円(前期比7.9%増)、販売数量は141,540トン(同9.0%増)となりました。

 

(食肉加工品)

 チルドポークは、主力である米国産の取扱いにおいて米国西海岸で発生した港湾労働争議の影響から2015年初頭には船積みスケジュールが大幅に遅延するなど日本での販売活動に大きな影響を及ぼしました。さらに、2014年に米国で発生した豚の疾病(PED)の影響を克服しつつある時期に当該労働争議が発生したため、米国産豚肉は輸出の出口がふさがれることとなりました。これらの要因により労働争議が解決後には米国産豚肉が日本市場に大量に供給されることとなり、豚肉の国内市況は弱含む展開となりました。米国産チルドポークの供給が難しかった時期に代替品として米国産フローズンポークやカナダ産チルドポークなどの需要が高まり、当社でもこれら商品の販売を増やすこととなりましたが、米国産チルドポークの販売数量の減少を十分に補うには至りませんでした。

 この結果、食肉加工品の売上高は154億49百万円(前期比1.4%減)、販売数量は25,011トン(同3.1%減)となりました。

 

(アジア事業・その他)

 乳原料販売部門では、国際乳製品価格の下落により、東南アジアでの日系企業や現地企業向けの販売において、海外乳業メーカーによる安値販売の攻勢が強まり苦戦を強いられることとなりましたが、きめ細やかな情報提供や営業努力により特に日系企業向けでは販売数量を伸ばすことができました。しかしながら乳製品価格の下落に伴い販売価格も下落したことから売上高は前期を下回ることとなりました。

 チーズ製造販売部門では、タイ工場の新規立ち上げに伴う費用負担があったものの、シンガポール工場において既存取引先への販売拡大や新規取引先の開拓などの営業努力により、特に中国、マレーシア向けのチーズ製品の販売が好調となり、同部門全体ではプロセスチーズ及びナチュラルチーズを合わせた販売数量は1,959トンとなり前期比13.2%増となりました。

 以上によりアジア事業全体としては、売上高は前期比マイナスとなったものの、利益は前期比でプラスを確保しました。

 この結果、アジア事業・その他の売上高は135億3百万円(前期比20.1%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ8億31百万円増加し、40億31百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により増加した資金は、25億35百万円となりました。これは主に売上債権の減少23億5百万円による資金の増加と、仕入債務が16億3百万円減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、2億42百万円となりました。これは主にアジア事業に係る有形固定資産の取得によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により減少した資金は、14億76百万円となりました。これは主に短期借入金の返済による支出89億24百万円と、長期借入金返済による支出が36億81百万があったためであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績および受注実績

 当社グループではアジア事業においてチーズの製造販売を行っておりますが、金額の重要性が乏しいため、

記載を省略しております。

 

    (2)販売実績

 当社グループでは、乳原料・チーズ、食肉加工品等の輸入を主とする卸売および海外子会社によるチーズの製造・販売を行う食品事業を営んでおりますが、事業セグメントに分類した場合の経済的類似性および各セグメントにおける量的基準等を考慮し、事業セグメントとして区分は行っておりませんので、ここでは当社グループの管理会計上の区分にて記載しております。

区分の名称

当連結会計年度

(自 平成26年12月1日

至 平成27年11月30日)

前年同期比(%)

 乳原料・チーズ(千円)

69,047,971

107.9

 食肉加工品(千円)

15,449,498

98.6

 アジア事業・その他(千円)

13,503,277

79.9

合計(千円)

98,000,747

101.5

(注)1.アジア事業・その他はアジア事業とアジア事業以外の海外子会社(LACTO USA INC.およびLACTO

    OCEANIA PTY LTD.)の合計であります。

   2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績

    の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成25年12月1日

至 平成26年11月30日)

当連結会計年度

(自 平成26年12月1日

至 平成27年11月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

米久株式会社

10,170,209

10.5

9,406,044

9.5

   3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

<乳原料・チーズ>

 足元の国内生乳生産の状況から2016年度は前年までに実施されたALICによる脱脂粉乳やバターの追加輸入入札は実施されない可能性が高いと考えております。さらに、粉乳調製品、輸入ホエイ原料、輸入乳脂肪原料といった取扱商品における需要見通しも比較的落ち着くことを想定しており、2016年度は国内需要の伸びが限られた中で競争して行くこととなります。また、チーズではTPPにおいて自由化の方向が打ち出されたことから、今後国産チーズの生産量増加は見込みにくく、現在消費量の80%程度を輸入に頼り、国内市場での競争が厳しいチーズ市場にとって、原料用チーズの選定や価格交渉はより重要になると考えております。こうした状況を踏まえ、当社グループでは近年変動幅が大きくなっている国際乳製品価格の動向を的確に捉え、さらに主要産地や国内市場の動向を把握し、商品開発や価格競争力のある商品を取引先にタイムリーに提案をすること、また安定的な調達ルートを確立・継続することで顧客ニーズに対応してまいります。

 一方、TPPが大筋合意に至り、発効後の輸入制度の変更について公表されておりますが、新ルールに対する取引先の関心は高く、TPP発効後を見据えた新しい商品の開発も積極的に行ってまいります。

 

 

<食肉加工品>

 2016年度は中国の景気減速や欧州によるロシア禁輸の影響を受けた世界的な食肉需要の減少と米国における供給増により、世界的に食肉需給のバランスが供給増に傾きつつあります。さらに、価格競争の厳しさは今後も継続するものと考えております。また、TPP大筋合意を受けて中長期的に豚肉の輸入量増加が予想されておりますが、食肉業界における当社の経験・知見を活かしながら、有力なサプライヤーとの信頼関係を軸とした高品質かつ価格競争力のある商品を安定的に供給できるサプライソースの確保に努め、顧客ニーズに対応してまいります。

 

<アジア事業・その他>

 乳原料販売事業では、乳製品価格が引き続き軟調に推移する中、日本向け乳調製品商売のほか、東南アジアの日系・現地企業向けの乳原料商売の拡大により一層注力してまいります。そのためには東南アジアへの販売チャンネルがまだ確立されていない乳原料メーカーの掘り起しや、今後、東南アジアへ新たに進出してくる日系企業、あるいは既に東南アジアへ進出していて工場の拡張・増産を検討している飲料・製菓・製パンといった各食品メーカーへの販売を強化してまいります。

 チーズ製造販売事業では、既存製品・ルートでの販売拡大を行うとともに、2016年4月にシンガポールで開催されるアジア最大の展示会であるFOOD & HOTEL ASIA (FHA)に出展し、新規取引先の開拓や新製品の開発を行ってまいります。さらに事業立ち上げ期にあるタイ工場では、新たにナチュラルチーズの加工品(シュレッド・ダイス・スティック)製造や他社ブランドのOEM供給を行うなど、当社の得意とする製品開発から販売までを一貫して手掛けるオーダーメイド型生産を推進し、更なる販売先の拡充を図ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの投資判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクには以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項および本書中の本項以外の記載内容も併せて検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は本株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点にご留意下さい。

 

(1)主要市場の政治・経済動向について

 当社グループが事業活動を行う主要な市場である日本、アジア、北米、欧州、オセアニア等の国および地域の政治・経済の動向により、当社グループの取扱商品の需給バランスに変動をもたらす可能性があります。近年では、EUによるロシアへの禁輸措置や中国経済の減速に伴う需要減などが原因となり、当社取扱商品の価格が大幅に下落することとなりました。このように政治・経済動向により取扱商品の需給バランスに変化が生じた場合には、仕入価格や販売価格を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)気候に関するリスクについて

 当社グループの取扱商品である、乳原料、チーズ、食肉加工品は元の原料が動物にその由来を持っております。つまり、工業製品と異なり、生産量は天候や環境等に左右されやすく、需給バランスも崩れやすいといえます。そのため世界的な異常気象などの天変地異により生産量が激減した場合には、価格が高騰するとともに、取扱数量が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)食の安全性について

 当社グループの取扱商品は、食品原料や食品製品であります。万一、当社の過失や悪意のある第三者により異物が混入した場合や原料の表示に誤りがあった場合、さらには輸送・保管方法を原因とした成分変化による風味不良が発生した場合には、原料を取り扱う商社の立場、または製品を製造したメーカーとしての立場において、それぞれ商品回収をしたり、損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)特定取引先への依存リスクについて

 当社グループは、大手食肉加工メーカーに対して、食肉加工用の原料を販売しておりますが、平成26年11月期および平成27年11月期において総売上高に占める同社への売上高は10%内外となっております。同社とは、引き続き現在の取引関係を維持・発展させてまいりますが、将来において同社の購買戦略に変化が生じた場合には、当社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 さらに同社に販売している食肉加工用原料はすべて米大手食肉加工販売会社から仕入れており、同様に米大手食肉加工販売会社の販売戦略に変化が生じた場合には、当社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)競合他社について

 当社グループの競合他社としては、乳原料や食肉加工品の仕入・販売を行っている大手総合商社や大手食品メーカーがあげられます。これら大手企業が仕入先もしくは販売先に資本参加し、系列化した場合には、当社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法的規制について

 当社グループは事業活動を遂行するにあたり、日本においては食品衛生法、消費者安全法等、その他事業を展開している各国において法的規制を受けております。今後これら規制の改廃もしくは新たな法的規制が設けられた場合には、それらに対応するための追加コストが発生し、当社グループの事業および業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、事業活動に必要な各種許認可を受けておりますが、法令違反等により、許認可等が取り消された場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)為替相場について

 当社グループは、商社として欧米およびアジアを中心とした輸出入取引を行っております。海外連結子会社の財務諸表は現地通貨建てとなっており、円換算する際の為替レートによっては、為替換算調整勘定を通じて連結財務諸表の純資産の部が変動するリスクがあります。

 また、当社の行う大半の営業取引は仕入契約と販売契約を同時に締結しており、輸入取引における本邦顧客に対する円建ての売値は原則として仕入契約締結時における為替相場に基づいて決定されます。輸入取引における仕入契約は原則として外国通貨建てとなっておりますが、仕入契約締結の際に金融機関と為替予約を結び為替変動リスクを回避しております。ただし、為替予約による効果は営業外損益である為替差益(損)として表れ経常利益(損失)および当期純利益(損失)に影響を与えるものであるため、売上総利益(損失)、営業利益(損失)については、為替変動の影響を受けることとなります。以上のことから、円安が進んだ場合、邦貨換算の仕入金額が増加し、それに伴い販売価格も増加いたします(売上高の増加)。円高が進んだ場合はその逆となります(売上高の減少)。また、期末に向けて為替相場が急激に変動した場合において仕入代金決済後、在庫として保有し翌期に販売するときは、翌期の売上原価に影響を与える可能性があります。そのため、大幅な為替変動が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)海外事業展開に伴うリスク

 当社グループではアジアを中心に海外市場において、積極的な事業展開を推進していく予定です。海外事業展開においては、事業投資に伴う政治的、経済的状況の変化や外国為替相場の変動、さらには大規模地震等の自然災害発生が当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)有利子負債について

 

 

前連結会計年度末

(平成26年11月30日)

当連結会計年度末

(平成27年11月30日)

有利子負債残高(千円)

21,187,755

18,817,948

総資産残高(千円)

42,521,668

39,321,813

有利子負債依存度(%)

49.8

47.9

営業活動によるキャッシュ・フロー(千円)

△4,062,030

2,535,027

 営業活動によるキャッシュ・フローについては、各連結会計年度の数値を記載しております。

 

 当社グループの主要事業である、乳原料・チーズ部門、食肉加工品部門およびアジア事業・その他における卸売部門においては、商社としての事業形態をとっており、仕入⇒在庫⇒販売⇒資金回収という事業フローのため、業容の拡大イコール運転資金の増加となり、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなります。今後、収益体質の改革による利益の確保や運転資金の効率化等自己資金の創出には努めてまいりますが、当面の間は、卸売部門の事業拡大を想定しているため、営業活動によるキャッシュ・フローのマイナス傾向は継続し、有利子負債依存度が相対的に高い水準で推移していくことが想定されます。

 このような状況の下、金融情勢の変化等により資金調達が困難になり、投資計画の実行ができなくなる場合や、市場金利の上昇により資金調達コストが増大した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は、主要取引金融機関とのコミットメントライン付シンジケートローン契約を締結しており、同契約には財務制限条項が付されております。これに抵触した場合には当該借入金の返済を求められ、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)人材について

 当社グループは、最重要経営資源として、新卒および中途採用を通じて優秀な人材の獲得およびその育成に力を入れております。しかしながらこれら優秀な人材の退職または人材市場の状況によりタイムリーに優秀な人材が獲得できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)貿易の自由化について

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や自由貿易協定(FTA)など世界的に貿易の自由化が進んでおります。特に平成27年度にはTPPが大筋合意されたことにより、日本への輸入取引を主体とする当社グループは貿易の自由化による関税の引き下げや撤廃などにより、より安価な商品の調達が可能となり、取扱数量の増加が大いに期待できるところであります。

 一方で、当社グループは、わが国における高料率な関税制度に対処するため、海外ネットワークやノウハウを提供しながらビジネスを進めることで、少しでも割安な商品を輸入してまいりましたが、今後貿易の自由化が進んだ場合には、こうしたノウハウの活用が難しくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針および見積り

 当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。なお、連結財務諸表の作成に当たっては、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ3,199,854千円減少し、39,321,813千円となりました。

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末と比べ3,375,737千円減少し、36,763,532千円となりました。この主な要因は、販売単価の下落に伴い、受取手形及び売掛金、商品及び製品が減少したことによるものです。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末と比べ175,882千円増加し、2,558,281千円となりました。この主な要因は、アジア事業における設備投資および市場株価の上昇により投資有価証券が増加したことによるものです。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末と比べ10,453,806千円減少し、15,099,159千円となりました。この主な要因は、買掛金及び短期借入金が減少したことによるものです。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末と比べ5,995,454千円増加し、13,832,070千円となりました。この主な要因は、長期借入金が増加したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べ1,258,497千円増加し、10,390,583千円となりました。この主な要因は、新株発行増資、第三者割当増資を行ったことにより、資本金、資本準備金が増加したことによるものです。

 これらの結果、自己資本比率は26.4%となり、1株当たり純資産額は2,125円8銭となりました。

 

(3)経営成績の分析

 当連結会計年度におけるわが国経済は、政府・日本銀行による経済政策及び金融政策の効果や円安傾向の定着などにより、日経平均株価が2万円台を実現するなど、緩やかではありますが景気回復の歩みがすすみました。

  また、主要生乳生産国で生乳生産が好調となる一方で、ロシアや中国といった大口の乳製品消費国がウクライナ

  問題での欧米諸国による禁輸処置(ロシア)やここ数年の大量買い付けによる在庫調整をうけた輸入減少

  (中国)により、需要が後退した影響から、国際乳製品価格が大幅に値を下げており、当社グループを取り巻く

   環境にも変化が出てきております。このような経営環境の中、当社グループは、「既存事業の拡大」及び「新

   たな収益源の確保」に取り組んでまいりました。

 

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、乳原料・チーズ部門で前年比で増収となったものの、食肉加工品部門およびアジア事業・その他においては前年を下回り、全体では98,000,747千円(前期比1.5%増)となりました。乳原料・チーズ部門では、既存取引先への販売を増やすとともに、国家貿易品目の入札において高いシェアを獲得できたことから、69,047,971千円(前期比7.9%増)となりました。食肉加工品部門は、豚の疾患(PED)や米国西海岸での港湾労働争議の影響により販売数量が減少し、売上高は15,449,498千円(前期比1.4%減)となりました。また、アジア事業・その他では乳原料販売部門が国際乳製品価格の下落により販売価格が低下したことから、13,503,277千円(前期比20.1%減)となりました。

 当社の売上高は、商品相場や為替相場により変動することがありますので、乳原料・チーズ部門および食肉加工品部門における業績管理の指標として、販売数量も重視しております。当該数量の過去5年間の推移は以下のとおりとなっております。

 

 

                                           単位:トン

販売数量

平成23年11月期

平成24年11月期

平成25年11月期

平成26年11月期

平成27年11月期

乳原料・チーズ

111,717

113,123

122,743

129,810

141,540

食肉加工品

23,261

25,546

27,540

25,809

25,011

合計

134,978

138,669

150,283

155,619

166,551

 

(売上総利益)

    売上総利益は、乳原料・チーズ部門の販売数量が前期比9.0%増加したものの、食肉加工品の利益率の著しい

  低価により、3,648,290千円(前年同期比14.3%減)となりました。

 

    (販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、2,928,144千円(前年同期比7.4%増)となりました。当連結会計年度は、当社グループの業容拡大に伴う人員増および設備投資の進展により、人件費並びに減価償却費が増加しております。

(営業利益)

 上記の結果、営業利益は、720,145千円(前年同期比53%減)となりました。

(経常利益)

 経常利益は、円安進行に備えた為替リスクヘッジにより為替差益1,052,799千円が営業外損益に計上されたことにより、1,343,288千円(前年同期比18.8%減)となりました。

(当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は1,344,897千円(前年同期比20.8%減)となり、当期純利益は、831,404千円(前年同期比15.9%減)となりました。

 

  これらの結果、1株当たり当期純利益金額は197円87銭となりました。また、自己資本利益率は、8.5%となり

ました。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 今後のTPP交渉の進展に伴い、当社グループの主力商品である乳原料、チーズさらに食肉加工品などに関する日本における関税が引き下げられた場合には、海外からの輸入数量は飛躍的に増加する可能性がありますが、一方でこれは競争の激化を引き起こす可能性があり、当社としては、両刃の剣でもあると認識しております。こうした事態に対応するため、当社グループとして、今までに増してサプライソースの確立・強化のために海外拠点の充実を図るとともに、外国間取引を強化(主にアジア諸国向け)してまいります。

 

(5)経営戦略の現状と見通し

   当社グループといたしましては、従前の日本国内の食品メーカー向けの原料の販売に加え、今後需要増が見込まれ

  る高齢者向け食品原料の開発、さらには経済発展が進むアジア諸国(中国、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリ

  ピン、マレーシア等)に対するチーズや高級日本食材の販売に積極的に取り組んでまいります。

 

  (6)キャッシュ・フローの状況の分析

 各キャッシュ・フローの分析とそれらの要因につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(7)経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループが今後も持続的に成長していくためには、日本のみならず、経済成長が大いに期待できるアジアをはじめとする新興国に販売ルートを確立していく必要があります。そのために適切なパートナー選び、グローバルな視点で活躍できる人材の獲得、さらには教育研修制度の拡充や内部管理体制の強化などを通じて“組織力”の強化・整備を進めてまいります。こうした取り組みにより、当社グループのすべての取引先からの信頼を向上させていく方針です。