文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営基本方針
当社グループは、「For Safety For Society」を基本理念に掲げ、国内及びベトナムを中心とするアセアンにおいて、カーボンニュートラルやSociety5.0等、 持続可能で豊かな社会の実現に向けて、ダイナミックにChallenge&Innovationする企業集団を目指しております。
長年培ってきた電気設備・電気通信設備工事の技術や経験を活かし、様々な社会インフラの構築及び保守メンテナンス、さらに老朽化したインフラ設備の更新工事に取り組んでおり、総合エンジニアリング企業として、社会インフラに関する各種の課題に対し、企画・調査・コンサル・設計・施工・保守メンテナンス等、高度なサービスをワンストップで提供することによって、安心して暮らせる豊かな社会づくりに貢献してまいります。
(2) 中長期的な目標
当社グループは、“Challenge & Innovation”をスローガンに掲げ「中期経営計画(2026/8期~2028/8期)」を策定しました。10年先のあるべき姿の実現を見据え、注力分野における事業を深化・拡大するとともに、人材採用・教育施策等により、経営基盤をさらに強固なものとしてまいります。また、資本コストや株価を意識した戦略的な資本政策を通じて、企業価値向上と株主価値の最大化を図ってまいります。
当社は、利益を追求するだけでなく、お客様と社会とともに成長し、社員が誇りをもって働くことができるグッドカンパニーを目標としております。このグッドカンパニーを体現することにより、持続的な成長を果たし、時価総額150億円の実現に向けた歩みを進めてまいります。
<中期経営計画(2026/8期~2028/8期)の目指す姿>
売上高・営業利益の飛躍的な成長、高水準のROEの継続を実現すべく、以下の成長戦略に取り組みます。
数値目標:2028年8月期 売上250億円 営業利益25億円 ROE15%以上 配当性向40%
(3) 会社の対処すべき課題
◆「国内EPC事業を柱に据えた成長の実現」
国内EPCの3つの成長領域「太陽光発電設備」、「電気設備」、「通信システム」での事業拡大を柱とし、さらにアセアンEPCでの設計・積算の受注拡大、不動産事業の安定収益化のもと、成長を実現してまいります。
(太陽光発電設備)
第7次エネルギー基本計画では、2040年に国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を40~50%程度とする目標が掲げられており、今後も市場拡大が見込まれています。当社は、長年の実績を持つ太陽光発電設備工事において、自家消費型太陽光発電設備の需要を確実に取り込んでまいります。さらに、2025年8月期より新たに取り組んできた系統用蓄電所の建設工事についても、再生可能エネルギーの増加に伴いさらなる需要拡大が期待されており、事業機会を的確に捉えてまいります。
(電気設備)
データセンターや物流倉庫の増設に伴い電気設備工事の需要は増加の一途をたどる一方、電気設備工事業界においては人材不足となっています。このような中、当社においては、公共設備や民間設備、さらに送電線・発変電の各種電気設備工事に対応可能な幅広い技術力により電気設備工事の引き合いが増加しており、さらなる受注拡大に向けて、取り組んでまいります。
(通信システム)
通信システムの市場環境は、国土強靭化5ヵ年計画(~2030年度)の事業規模が約20兆円に拡大しており、また防衛施設の強靭化に伴う5年間の総事業費は総額4兆円に上ることから、関連領域のさらなる拡大が期待されます。当社では、情報通信工事や無線工事、電気工事、保守まで幅広く対応可能な強みを活かし、引き続き防災減災対策に向けた防災行政無線やCCTV(監視カメラ)の需要を取り込むとともに、防衛関連施設の老朽化対策等の更新工事にも展開を広げてまいります。
(アセアンEPC事業)
設計・積算部門においては、日本の建設業界での人材不足を背景に、日本企業からの受注拡大に注力するとともに、ベトナムの若手人材の活用と技術教育により、300名体制構築を進めてまいります。工事部門においては、ベトナム民間企業からの新規受注は一時停止し、日系企業・欧米系企業からの受注へ転換、また未収入金の回収を強化することにより、黒字化を図ってまいります。
(不動産事業)
不動産価格が高騰する中、当社においては再生可能な不動産を割安で取得し、バリューアップ工事により不動産価値を高める、不動産再生型ビジネスモデルへ転換するとともに、ストックの拡充により安定収益化に取り組んでまいります。
(M&A)
上記成長領域での拡大に加え、高度技術者の確保や国内ネットワークの拡充、事業領域の拡大を目的とした積極的なM&Aの実施により、さらなる成長を実現してまいります。
◆「資本コストや株価を意識した経営の実現による高水準のROEの継続」
国内EPC事業の拡大に向けたM&A、また人材の採用・定着を目的とした処遇や福利厚生等のさらなる向上に向けた成長投資を行う方針です。また、2025年8月期の1株当たり配当金40円を下限として配当性向を段階的に引き上げ、2028年8月期には配当性向40%の実現を目指し、株主還元の強化を図ってまいります。
前述の成長戦略及びこれらの取り組みにより、株主資本コスト11%を上回るROEを継続するとともに、2028年8月期には15%超の達成を目指します。
(4) 資金面での取り組み
資金につきましては、保有不動産の適切な運用により流動性の確保を図りつつ、M&A資金等に活用する方針であります。また、金融機関や証券市場を通じた資金確保も可能であります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、事業活動及び社会貢献活動を通じて社会課題の解決に取り組み、地球環境・社会の持続的発展に貢献するとともに、自らの持続的成長と企業価値向上を目指していきます。
私たちは、創業以来、経営理念である「安心して暮らせる豊かな社会づくりに貢献すること」を社是として事業活動を推進してきました。地球環境の改善と社会の持続的発展が重要視される今、当社の取り組み事業がその方向性に繋がるものです。
<当社グループの理念体系>

このような取り組みを実現するために、人財を重視し、ESGの基盤としてH(人財)を加え、ESG+Hを基本方針とします。サステナビリティに関する考え方及び取り組みについては、当社ホームページをご参照ください。
(
当社は、取締役会の監督の下、代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。本委員会では、環境への影響や社会的責任、経済的な持続性など、企業の持続可能性に関連する議題を審議し戦略や方針を策定しております。本委員会は四半期に1度開催され、重要事項については都度取締役会に報告しており、経営戦略の策定等について総合的な意思決定を行っております。
併せて、経営リスク管理のためにリスクアセスメント委員会を設置するとともに、コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図るためコンプライアンス委員会を設置しております。

当社グループのサステナビリティ戦略は、持続可能な未来を目指して5つの領域と11の重要課題(マテリアリティ)を定めて、地球環境・社会の持続的発展に貢献するとともに自らの持続的成長と企業価値向上を目指しております。
当社グループにおける、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針等は次のとおりであります。
当社グループは、「社員の夢と希望を実現するヒューマン・カンパニー」を経営理念として、長期的視点にたった人財育成を重視しております。あわせて外国人の採用を進め、多様な事業展開とグローバル化を進めてまいります。
当社グループは、国籍や年齢・性別に関わらず、社員一人ひとりがそれぞれの強みを存分に発揮する組織風土をつくるため、「外国人社員の活躍」「高年齢社員の活躍」「女性社員の活躍」「次世代育成の支援」「公平かつ公正な人事制度の構築」の5項目を推進してまいります。
①JESCOアカデミー(オンライン教育システム)の活用
②資格取得支援、技術教育
③幹部育成・若手経営者育成プログラム
④ダイバーシティ推進
⑤女性や外国人社員へのキャリア支援
⑥意欲のある高齢者の積極採用・再雇用
⑦テレワークを活用した、育児・介護支援
⑧健康経営の推進
当社グループでは、サステナビリティ等に関するリスクについて、四半期に1度開催されるリスクアセスメント委員会において、経営状況の把握及び経営リスクの把握と対策の検討を進めております。リスクアセスメント委員会にて検討された事項及び決定の内容については随時、取締役会に報告しております。
当社は脱炭素を重大かつ最優先の経営課題と捉え、その具体的な取り組みとして、再エネ100宣言RE Actionに参画することにより、2050年までに使用電力を100%再エネに転換することを目標としております。
また、当社グループでは、人材育成方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 保有資産について
営業活動上の必要性から、不動産等の資産を保有しているため、保有資産の時価が著しく下落した場合には減損損失の発生、また、販売用不動産の収益性が著しく低下した場合には、棚卸資産評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 景気変動について
国内EPC事業においては、民間設備投資や公共投資の増減による電気設備工事、電気通信設備工事の市場規模の変化や、受注競争激化による粗利率の低下等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 建設資材価格の変動について
当社グループは、国内EPC事業、アセアンEPC事業を遂行するにあたり、多くの建設資材を調達しておりますが、建設資材価格が急激に高騰した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) アセアンEPC事業における社会的変動と為替相場の変動について
当社グループを構成する関係会社11社の内4社は海外現地法人であり、今後、進出国の政治・経済情勢、法的規制の変更等の著しい変化により、日系企業の投資抑制や、現地設備建設工事需要の減退の可能性があります。
また、人件費が著しく上昇する場合、工事の遂行計画や採算、代金回収等への影響が生じた場合や金利水準の急激な上昇や為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 業績の変動について
国内EPC事業においては、電気通信設備工事等の事業を行っていることから、工事の進捗や検収時期の集中によって収益が偏重することがあります。このため、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であります。
なお、2025年8月期の四半期ごとの国内EPC事業の売上高推移は、以下のとおりであります。
(注)連結調整前の金額を記載しております。
(6) 競合他社による影響について
国内EPC事業及びアセアンEPC事業においては、大手・中小を問わず多くの企業と競合しております。そのため、競合他社との価格競争が更に激化した場合や、競合他社の技術力やサービス力の向上により、当社グループのサービス力が相対的に低下した場合は、当社グループが提案している営業案件の失注や、施工数の減少等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 特定の仕入先への依存について
当社グループは、国内EPC事業において電気工事用・電気通信工事用資材を、資材商社であるヤマト電機株式会社から仕入れております。国内EPC事業の資材仕入金額に占める同社からの仕入金額が、引き続き一定割合を占めております(国内EPC事業の資材仕入金額に占める同社からの仕入割合 2024年8月期:11.6% 2025年8月期:3.9%)。
他の資材仕入と同様に、ヤマト電機株式会社からの資材仕入に際しても、他の資材業者からも見積を取ることにより、当社グループにとって有利な条件で仕入を行えるよう取り組みを行っております。また、ヤマト電機株式会社とは、継続的な関係を維持するため、商品取引基本契約を締結しております。しかしながら、今後何らかの要因により、当該契約が更新されない場合や商品を安定的に仕入れることが困難な状況となった場合、他の資材商社及びメーカーへ仕入先を切替えることにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 業界取引慣行について
当社グループが属する建設業界の一部では、慣習として契約書を締結しないまま取引をするケースがあります。このため、当社グループでは注文書・発注確認書の授受や請求受領書の回収を徹底して行う等、トラブルを未然に回避するための施策を講じておりますが、不測の事態や紛争が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 国内EPC事業について
当社グループでは、国内EPC事業における再生可能エネルギー分野において、太陽光発電設備工事を受注するべく取り組んでおりますが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を始めとする政府のエネルギー政策の動向や電気事業者による発電事業者に対する系統接続の動向によっては、太陽光発電市場が当社グループの予想に反して十分に拡大せず、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法的規制等について
当社グループの主力事業である国内EPC事業において、建設業法、電気通信事業法等の関連法規制のほか、事業を営む上で必要とされる多くの許認可を取得しております。当社グループは、コンプライアンスを経営方針の最重要事項と位置付け、関連法規制の教育・指導・管理・監督体制の強化に努めておりますが、これらの関連法規制に違反するような事象が発生した場合、事業の停止命令や許認可の取り消し等の行政処分を受ける場合があり、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
(当社グループの主な許認可状況)
なお、上記の事業の停止や許認可の取り消しとなる事由は、建設業法第29条、並びに電気工事業の業務の適正化に関する法律第28条に定められております。本書提出日現在において、当社グループが認識している限り、当社グループには、これら事業停止及び許認可の取り消しとなる事由に該当する事実はありません。
(11) 偶発事象について
当社グループは、品質管理に万全を期しておりますが、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償が発生した場合や工事現場での人的災害等の発生で訴訟を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) システム障害について
当社グループは、業務効率の向上のため、基幹業務である総務・人事・会計の他、工事管理等の社内システムを有しております。そのコンピュータシステムに人的ミス・自然災害・コンピュータウイルス等による障害が発生した場合は、事業運営に支障をきたし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 重要な情報の管理について
当社グループは、事業運営上、顧客が保有する技術データ・顧客データ等の重要な情報を取り扱っております。そのため、サイバーセキュリティを含め適切な情報管理を行ってはおりますが、不測の事態により当社グループからこれら重要な情報が流出した場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 自然災害等の発生について
当社グループは、自然災害や新型ウイルスパンデミック等の発生に備え、人的被害の回避を最優先としつつ事業継続を図るため、各種設備の導入やデータファイルのバックアップ強化、訓練の実施及び規程・マニュアルの整備等により、リスク回避と被害最小化に努めております。
しかしながら、大規模災害等の発生及びそれに伴うライフラインの停止や燃料・資材・人員の不足による工事の中断・遅延、事業所の建物・資機材への損害等の不測の事態が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 安全品質に関するリスクについて
当社グループは、ISO45001 労働安全衛生マネジメントシステムの認証を取得して、お客様に信頼、評価される高品質なエンジニアリングサービスを提供できるよう、工事の「安全・品質の確保」に対する取り組みには万全を期し、事故の発生防止に日々努めております。
しかしながら、万が一重大な事故等不測の事態を発生させた場合には、工事の進捗に重要な影響を与えるだけでなく、社会的に大きな影響を与えるとともに各取引先からの信用を失い、営業活動に制約を受ける等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 人材の確保と育成について
当社グループの国内事業拡大にあたっては、電気工事施工管理技士や電気通信工事施工管理技士、電気工事士、無線技師、工事担任者等の公的資格及び取引先固有の資格を有することが不可欠であります。クラウドを利用したオンデマンド研修「JESCOアカデミー」により、研修の充実を図り、社員がいつでもどこでも好きな時に受講できるようになりました。また、技術者、資格保有者の確保を目的の一つとした戦略的なM&Aにも努めております。しかしながら、工事施工を担える人材確保、育成ができない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2024年9月1日~2025年8月31日)におけるわが国経済は、建設分野における人材不足、原材料価格や資源・エネルギー価格の高騰、また国際経済環境の不透明感があるものの、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の拡大等により、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
当社グループは、国内及びベトナムを中心とするアセアンにおいて、カーボンニュートラルやSociety5.0等、持続可能で豊かな社会の実現に向けて、ダイナミックにChallenge&Innovationする企業集団を目指しています。当社グループが長年培ってきた電気設備・電気通信設備工事の技術や経験を活かし、再生可能エネルギーや無線通信インフラ設備等、国土強靭化に関わる様々な社会インフラの構築及び保守メンテナンス、老朽化したインフラ設備の更新工事等のEPC*1事業に取り組んでおります。さらに、2022年に新たに立ち上げた不動産事業を両輪とする「両利きの経営」により、事業の多角化を図るとともに、事業を通じてサステナブルな社会構築を目指しております。
a サステナブル経営を目指して
-1. 太陽光パネルのライフサイクルサポート
当社グループでは、太陽光発電所の建設やO&Mに20年以上取り組んでおります。業務提携をしているJ&T環境株式会社(JFEグループのリサイクル企業)とともに、太陽光パネルの施工からリパワリング、リサイクルまでライフサイクル全般にわたってサポートすることにより、循環型社会の構築に貢献してまいります。
-2. 人財・DXへの取り組み
建設工事の需要が高まる一方、日本国内においては人口減少が続き、電気工事を含む建設業の高度技術者の不足が大きな課題となっており、当社グループでは、Webを活用した自社教育システム「JESCOアカデミー」を中心とした技術者教育を推進してまいりました。また、業務プロセス変革の推進を掲げ、生成AIの活用による施工のフロントローディング*2強化、バックオフィスの業務改革に向けて、環境構築に着手いたしました。
-3. BCP対策/防災拠点の新設
グループ全体のBCP(Business Continuity Plan)対策として、群馬県高崎市に防災拠点を建設し、2025年3月に竣工いたしました。一次エネルギー消費量が正味ゼロ(CO2削減量78t/年)となる建築物等の ZEB(Net Zero Energy Building)化・省CO2化普及加速事業として認証された本建物は、JESCO AKUZAWA株式会社の本社としても活用しております。
b 当期業績について
国内EPCでは、今後さらなる拡大が期待される再生可能エネルギーや無線通信インフラ設備を注力分野として取り組んでまいりました。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画においては、主力電源として太陽光の割合を2040年度には23~29%とする目標が掲げられており、この目標達成に向けて2026年度より、化石燃料利用が多い工場等を持つ事業者に屋根置き太陽光パネルの導入目標策定が義務付けられます。このような背景から、自家消費型太陽光発電設備の受注が前期に引き続き拡大いたしました。また、再生可能エネルギー設備の増加に伴う出力制御拡大の影響等により、系統用蓄電設備*3の需要も高まっており、幅広い地域からの受注と多くの引き合いにつながりました。このような中、当社が新たに施工を手掛けた九州地区及び新潟地区の系統用蓄電所が無事完工いたしました。
無線通信インフラ関連分野では、多方面でセキュリティ強化の重要性が高まる中、各種プラント向けのITV(工業用監視カメラ)や、防災減災に向けた通信システム工事が拡大するとともに、移動体通信設備工事においては、総務省の「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の2030年末5G人口カバー率99%実現に向けて、展開地域を関東から東海・東北エリアへと拡大し、順調に進捗いたしました。
アセアンEPCでは、注力分野であるベトナムでの設計・積算部門において、日本企業からの設計・積算業務の受注が拡大した他、ホーチミン市東部にハブ空港として建設されるロンタイン国際空港ターミナルビルの電気設備及びICT*4施工監理業務が順調に進捗いたしました。また、さらなる拡大に向け、専門教育により技術力強化やBIM*5要員拡大に取り組むとともに、設計人員300名体制の早期構築に向けて増員を進めてまいりました。
工事部門では、ベトナム不動産市場の規制強化等の影響による建設市場の停滞は、一部回復の傾向が見られるものの、厳しい状況が続く展開となりました。当社においては状況を注視しつつ、日系企業や欧米系企業からの受注獲得に向けて対応を進めてまいります。
このような状況のもと、当連結会計年度の受注高は、199億37百万円(前年同期比19.8%増)、経営成績は、売上高190億67百万円(前年同期比28.8%増)、営業利益17億21百万円(前年同期比50.6%増)、経常利益16億92百万円(前年同期比39.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10億76百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
a 国内EPC事業
注力分野である再生可能エネルギー関連設備において、自家消費型太陽光発電設備工事や需要が高まる系統用蓄電設備工事、また無線通信インフラ設備においては、セキュリティ強化に向けた各種プラント向け通信システム工事等が計画を上回り順調に推移し、増収増益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの受注高は、137億62百万円(前年同期比4.7%増)、経営成績は、売上高128億20百万円(前年同期比14.6%増)、セグメント利益11億79百万円(前年同期比38.2%増)となりました。
b アセアンEPC事業
設計・積算部門においては、現在注力している技術力強化及び技術員の増員等が新規顧客の獲得に寄与し、順調に推移いたしました。
一方、工事部門においては、依然としてベトナムにおける規制強化等が建設業に影響を与えており、貸倒引当金の回収に注力してまいりました。
当連結会計年度における当セグメントの受注高は、13億16百万円(前年同期比11.7%増)、経営成績は、売上高13億87百万円(前年同期比7.2%増)、セグメント損失1億68百万円(前年同期はセグメント損失3億54百万円)となりました。
c 不動産事業
不動産の賃貸借事業をベースに、リニューアルによるバリューアップ等幅広く事業に取り組む中、保有ビルの満床稼働により、賃貸管理収入が順調に推移いたしました。また、販売用不動産を計2件売却したことにより、増収増益となりました。
当連結会計年度における当セグメントの受注高は、48億59百万円(前年同期比109.5%増)、経営成績は、売上高48億59百万円(前年同期比109.5%増)、セグメント利益8億11百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
<受注高、売上高及び繰越受注残高>
(単位:百万円)
*1 EPC:設計・調達・建設(Engineering、Procurement、Construction)の略
*2 フロントローディング:上流工程での検討を強化し、プロジェクト全体の品質向上と工期短縮を図る手法
*3 系統用蓄電設備:電力ネットワーク(系統)や再生可能エネルギー発電所等に大規模な蓄電池を接続し、
電力の充放電を行う設備。
*4 ICT:デジタル化された情報やデータを交換・共有する技術。
ICT…Information and Communication Technology(情報通信技術)
*5 BIM:ICTを活用し、3次元の建設デジタルモデルに建築物のデータベースを含めた建築の新しいワークフロー
を提供する設計ソフト。
BIM…Building Information Modeling
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における流動資産は、142億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億6百万円の増加となりました。これは、販売用不動産が12億30百万円増加したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定資産は、34億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億93百万円の減少となりました。これは、建物及び構築物が2億15百万円、土地が10億78百万円、のれんが65百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における資産合計は、176億47百万円となり、86百万円の減少となりました。
当連結会計年度末における流動負債は、54億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億67百万円の減少となりました。これは1年内返済予定の長期借入金が2億31百万円増加し、支払手形・工事未払金等が2億46百万円、短期借入金が2億70百万円減少したこと等によるものであります。当連結会計年度末における固定負債は、46億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ34百万円の減少となりました。これは、長期借入金が46百万円増加し、その他に含まれる長期前受収益が1億57百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における負債合計は、100億86百万円となり、9億1百万円の減少となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、75億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億14百万円の増加となりました。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の37.4%から当連結会計年度末は42.4%になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6億62百万円増加し、30億12百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロ-は、税金等調整前当期純利益17億28百万円、減価償却費2億54百万円等の増加要因に対し、仕入債務の減少額2億7百万円、法人税等の支払額10億4百万円等の減少要因により、8億96百万円の収入(前連結会計年度は8億51百万円の支出)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フロ-は、定期預金の払戻による収入3億14百万円、固定資産の売却による収入2億10百万円等の増加要因に対し、固定資産の取得による支出4億45百万円等の減少要因により、17百万円の収入(前連結会計年度は16億77百万円の収入)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロ-は、短期借入れによる収入67億91百万円、長期借入による収入26億28百万円等の増加要因に対し、短期借入金の返済による支出70億52百万円、長期借入金の返済による支出23億50百万円、配当金の支払額2億7百万円等の減少要因により、2億10百万円の支出(前連結会計年度は7億59百万円の支出)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、主に営業活動から得られるキャッシュ・フローのほか、外部からの資金調達については、銀行借入れ等により実施しております。
また、営業債務や設備投資資金の支払、借入金の返済等に向けた資金需要に備えて、充分な資金を確保するために、適時にグループ各社からの報告に基づき資金繰計画を作成する等の方法により、資金の流動性確保を図りつつ、余剰資金が生じた場合には、財務体質の改善、更なる事業の拡大を目指した今後のM&A資金、海外事業の拡大に向けた投資、業務改革の推進や事業競争力の強化に向けたIT投資等の目的に充当する方針であります。
a 生産実績
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 総販売実績の100分の10以上の売上高割合を占める販売先は無いため、主要な販売先の記載は省略しております。
d 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
e 外注実績
当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 財政状態の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 (財政状態の状況)」をご参照ください。
b 経営成績の分析
イ 売上高
当連結会計年度における売上高は、190億67百万円(前年同期比28.8%増)となりました。
当社グループのセグメントごとの外部顧客への売上高の内訳は、国内EPC事業が128億20百万円(同14.6%増)、アセアンEPC事業が13億87百万円(同7.2%増)、不動産事業が48億59百万円(同109.5%増)となりました。
国内EPCの3つの成長領域「太陽光発電設備」、「電気設備」、「通信システム」での事業拡大を柱とし、さらにアセアンEPCでの設計・積算の受注拡大、不動産事業の安定収益化のもと、さらなる成長を実現してまいります。
ロ 営業利益
当連結会計年度における営業利益は、17億21百万円(前年同期比50.6%増)となりました。
当社グループのセグメント利益の内訳は、国内EPC事業がセグメント利益11億79百万円(前年同期比38.2%増)、アセアンEPC事業がセグメント損失1億68百万円(前年同期はセグメント損失3億54百万円)、不動産事業がセグメント利益8億11百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
ハ 経常利益
当連結会計年度における経常利益は、16億92百万円(前年同期比39.5%増)となりました。
これは、営業外収益1億円を計上した一方、営業外費用1億29百万円を計上したことによるものであります。
ニ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、10億76百万円(前年同期比6.3%増)となりました。
これは主に、固定資産売却益62百万円、減損損失33百万円等を計上し、法人税、住民税及び事業税6億31百万円、法人税等調整額22百万円を計上したこと等によるものであります。
c キャッシュ・フローの状況の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
e 経営戦略の現状と見通し
今後における当社グループの事業を取り巻く経営環境は、原材料の高騰や、同業者間での価格やサービスの競争等により、引き続き厳しい状況で推移していくことが予想されます。
こうした状況のなか、当社グループにおきましては、日本国内において今後も安定した収益基盤を構築するとともに、今後更なるインフラ整備の需要増大が期待されるアセアン地域において、事業の拡大を図るため、積極的な事業展開を図ってまいります。
f 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 会社の対処すべき課題」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。
これらの課題に対応するために、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、優秀な人材の採用と教育、安全への取り組み、営業体制の強化を図ってまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。