文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、「(4) かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について」は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの経営理念及び経営方針
① グループ経営理念
郵政ネットワークの安心、信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客さま本位のサービスを提供し、地域のお客さまの生活を支援し、お客さまと社員の幸せを目指します。また、経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に貢献します。
② グループ経営方針
・ お客さまの生活を最優先し、創造性を発揮しお客さまの人生のあらゆるステージで必要とされる商品・サービスを全国ネットワークで提供します。
・ 企業としてのガバナンス、監査・内部統制を確立しコンプライアンスを徹底します。
・ 適切な情報開示、グループ内取引の適正な推進などグループとしての経営の透明性を実現します。
・ グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。
・ 働く人、事業を支えるパートナー、社会と地域の人々、みんながお互い協力し、社員一人ひとりが成長できる機会を創出します。
(2) 経営環境
当連結会計年度の国内経済は、企業収益が高水準を維持したほか、雇用・所得環境の改善を背景に、個人消費が消費税率引き上げなどの影響による振れを伴いつつも、所得から支出への循環が継続する中で、年末までは緩やかに拡大したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大による内外需要の落ち込み等により、国内の景気は、年度末にかけて厳しい状況となっております。
世界経済は、年末までは緩やかな成長が続きましたが、年度末にかけ、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、各国における出入国制限・在宅要請等の影響により経済活動の停滞を余儀なくされ、雇用・消費の状況も悪化して、急激に減速しました。
金融・資本市場では、国内の10年国債利回りは、米国の長期金利の影響で一時低下したものの、長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策のもと、ゼロ%付近で推移しました。日経平均株価は、米中通商交渉を巡る不透明感の高まり等を背景に一時下落しましたが、9月上旬以降、同交渉の進展期待により上昇に転じ、9月末には21,000円台後半に回復し、その後は堅調に概ね23,000~24,000円台を推移しました。しかし、2月以降、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により16,000円台まで急落しました。
物流業界におきましては、eコマース市場の拡大に伴い、宅配便市場が拡大する一方、受取人の不在などによる再配達の増加により、労働力不足への対応が必要となっているほか、サービス品質に対するお客さまニーズの高まりに対応し、AIやロボット等の先端技術を活用しながら、各社がサービスの向上に努めるなど厳しい競争下にあります。郵便事業においては、インターネットの普及等により、郵便物の減少が継続しております。また、労働市場の逼迫等を背景に、人件費単価の上昇等も続いております。
銀行業界におきましては、当連結会計年度は、全国銀行における預金が対前期比増加となり、貸出金も9年連続で増加しましたが、歴史的な低金利環境の長期化を受けて金融機関の基礎的収益力は低下が続いています。
生命保険業界におきましては、低金利環境の継続、少子高齢化や単身世帯化の進展、ライフスタイルの変化等を背景としたお客さまニーズの多様化や選別志向の高まりなどが見られます。
当社グループは、「郵便・物流」「貯金」「保険」の生活に必要な基礎的サービスや物販、提携金融サービス等を全国約24,000カ所の郵便局ネットワークを通じて提供するほか、不動産事業など多数のサービスを展開しています。郵便・物流事業においては1日に約3,100万カ所への郵便配達箇所数、銀行業においては約1億2,000万口座の通常貯金口座数、生命保険業においては2,468万人のお客さま数(契約者さま及び被保険者さまを合わせた人数(個人保険及び個人年金保険を含み、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みます。))など、毎日の生活の中で多くのお客さまにご利用頂いており、お客さまとの接点の多さは当社グループの強みとなっております。
(3) 当社グループの経営戦略等
① 中期経営計画等について
2020年度は、お客さまがかんぽ生命保険の保障を見直される際の取扱い等に関して判明した事案について、かんぽ生命のご契約に係る調査などその事案の全容解明・解決に向け、当社グループを挙げて、取り組むことを最優先の課題としております。(具体的な対応については、「(4) かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について」をご確認下さい。)。一方で、2018年5月に発表いたしました、2018年度から2020年度までを計画期間とする「日本郵政グループ中期経営計画2020」(以下「中期経営計画」といいます。)の最終年度であり、持続可能な事業運営のため、中期経営計画に掲げた施策・対応策の着実な実行に努めてまいります。
中期経営計画においては、政府による当社株式の売出しが進められている中で、国以外の一般の株主が増加していることを踏まえ、企業価値を評価する指標である1株当たり当期純利益を主要な経営目標として採用しています。

② 経営者の問題意識と今後の方針
当連結会計年度に判明したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題に関し、当社及びグループ各社は真摯に反省し、お客さま本位の業務運営の徹底にグループ一丸となって取り組んでまいります。
当社は、グループ各社とともに、2020年1月に策定した業務改善計画の実行を経営の最重要課題として位置づけ、業務改善計画に掲げた施策に取り組んでまいります。2020年4月には外部専門家により構成された「JP改革実行委員会」を設置し、公正・中立な立場から、特別調査委員会提言事項に対する進捗状況の確認や、当社グループが実施する各種取組みの有効性や十分性についての検証等を実施しております。(具体的な対応については、「(4) かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について」をご確認下さい。)
また、交付金・拠出金制度も活用し、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービス確保の責務を果たし、地域社会に貢献するとともに、郵便局ネットワークの一層の活用、維持による安定的なサービスの提供等を図るため、グループ各社の経営の基本方針を策定し、その実施に努めます。
金融2社株式の売却については、当社としましては、郵政民営化法に従い、最終的には当社が保有するすべての金融2社株式を売却する方針ですが、その前提として、金融2社株式の売却に伴う当社と金融2社との資本関係の変化が、金融2社の経営状況並びに当社及び日本郵便に課されているユニバーサルサービス確保の責務の履行に与える影響を見極める必要があります。そこで、当社としましては、まずは、金融2社の経営状況及びユニバーサルサービス確保の責務の履行への影響が軽微と考えられる、当社の保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却を進めることとしております。なお、金融2社株式の2分の1以上を処分することにより、郵政民営化法により課せられている新規業務に係る規制が認可制から届出制へと緩和されることになります。
なお、政府も当社株式の売却収入を東日本大震災に係る復興債の償還費用の財源に充てることを目的として、当社株式の売却を段階的に進めていくことが予想されますが、当社及び金融2社の企業規模に鑑みれば、3社の時価総額は相当程度の規模になることが想定されるため、3社の株式を短期間で大規模に売却することは、株式市場の需給の観点からは容易ではないと考えられます。従って、当社としましては、金融2社株式をいつまでに売却するかを明確に示すことはできませんが、株式市場の動向等の条件が許す限り、まずは、保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却を進めてまいります。
金融2社株式の売却に伴う手取金については、上場時の売却においては、その売却手取金を2015年12月に実施した自己株式の取得の資金に充てましたが、今後の売却においては、その売却手取金を適切な投資機会に対して投下し、企業価値の向上を図るとともに、必要に応じ、自己株式の取得を行うことにより資本効率の維持・向上を図ります。
金融2社株式の売却を見据えた事業ポートフォリオ移行手段として、当社グループ・グループ各社の企業価値向上に資する幅広い分野での資本提携やM&Aも、投資判断基準等に照らして慎重に検討し、適切と判断したものを実施してまいります。
今後も、当社グループの企業価値向上を目指し、中期経営計画を踏まえたグループ各社の収益力強化策やさらなる経営効率化を図るとともに、不動産事業など、新たな収益源の確保等が着実に進展するよう、グループ運営を行ってまいります。さらに、2020年度は、グループ全体に係る将来の事業方針や成長戦略を踏まえ、次期中期経営計画の策定に向けて検討を進めてまいります。
あわせて、当社グループが抱える経営課題については、持株会社として、グループ各社と連携を深めながら必要な支援を行い、その解消に努めてまいります。
まずは、業務の適正を確保するため、コーポレートガバナンスのさらなる強化に向け、引き続き、グループ全体の内部統制の強化を推進し、コンプライアンス水準の向上を重点課題として、グループ各社に必要となる支援・指導を行います。特に、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を踏まえ、業務改善計画に掲げた施策に取り組み、適正な事業運営に向けて、お客さま本位の業務運営の徹底に努めてまいります。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策等についても、最重要課題の一つとして取組みを一層推進・管理してまいります。
当社は、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の経営の基本方針の策定及び実施の確保並びに株主としての権利の行使を行うとともに、グループ各社が個別に実施するよりもグループ内で1カ所に集約したほうが効率的な実施が見込まれる間接業務を事業子会社等から受託して実施することにより事業子会社等の業務を支援するほか、病院及び宿泊施設の運営等を行うことにより、郵政ネットワークの安心、信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客さま本位のサービスを提供し、地域のお客さまの生活を支援し、お客さまと社員の幸せを目指します。
あわせて経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に貢献できるよう努めていくことを基本として会社経営を行っていきます。なお、その業務の運営に当たっては、日本郵政株式会社法第5条第1項に規定される、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を果たすとともに、地域社会に貢献すべく、郵便局ネットワークの一層の活用を図ってまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、業務・サービスの継続等のため、必要な取組みを続け、厚生労働省から委託を受けた日本郵便によるマスクの全戸配達等を通じ、コロナ禍の早期収束に少しでも貢献してまいります。自然災害の発生等の危機に対しては、危機管理態勢を整備するとともに、危機発生時には迅速かつ的確な対応を行い、業務継続の確保に努めます。
高まるサイバー攻撃のリスクに対しては、グループ全体のサイバーセキュリティ対策の高度化及び情報共有による対応力の強化に取り組みます。
引き続き、グループ各社が提供するサービスの公益性・公共性の確保や、お客さま満足度の向上に取り組みます。
また、国連で採択された国際目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」を踏まえ、ESG(環境、社会、ガバナンス)に関する取組みをグループ全体として推進し、企業価値の向上につなげてまいります。
このほか、人的依存度の高いサービスを提供する当社グループにとって、人材は最も重要な経営資源との認識に立ち、お客さまへの総合的なコンサルティングサービス向上に向けた研修等の人材育成、ワーク・ライフ・バランスの確保を目指す働き方改革や社員の多様な能力・個性を活かすダイバーシティ・マネジメントの推進に取り組んでまいります。
(4) かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について
「ご契約調査の状況」
当連結会計年度においてかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題が判明いたしました。
そのため当社グループは、お客さまが保障内容の見直しをされる際の保険契約の乗換において、お客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性が特定可能な類型のご契約について、ご契約時の状況等をご確認するための調査を、書面、お電話、ご訪問等を通じて行いました(特定事案調査)。また、全てのご契約について、お客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたものがないかを確認するための書面調査を行いました(全ご契約調査)。
特定事案調査では、対象のお客さまに、ご契約時の状況や契約復元等のご意向確認を実施し、お客さまの不利益の解消を優先して、お手続きを進めさせていただくとともに、ご契約時の状況に関する調査等の確認結果に基づき、当該保険契約を受理した募集人への調査(募集人調査)を行いました。全ご契約調査では、ご加入いただいているご契約がご意向に沿うものであるかのほか、ご要望やご意見をお聞きし、お申し出の内容に応じて必要な対応や調査を行いました。
郵便局及びかんぽ生命保険支店においては、2019年7月以降、かんぽ生命保険商品の積極的なご提案を控えることとし、これらの調査に係るお客さま対応に最優先で取り組みました。その結果、特定事案調査(対象となるお客さま数15.6万人)におけるお客さま対応については、お客さま都合によるもの等を除いて、2020年3月末に完了しております。また、全ご契約調査についても、お客さま約1,900万人に対してご契約内容の確認を実施し、約101万通の回答をいただきましたが、お客さま都合によるもの等を除いて、同年3月末にお客さま対応が完了しております。
特定事案調査における募集人調査については、当該募集人が病気休暇中等の理由により調査不能となっている事案を除き、同年4月末でほぼ判定が終了しており、募集人処分を進めています。法令違反・社内ルール違反に該当した募集人のうち、現時点で業務廃止と判定されていない募集人に対する研修を実施しています。全ご契約調査については、ご契約内容の説明、住所変更などの各種手続きのご要望や感謝・激励のお声のほか、苦情やお叱りなど多数のご意見をいただいておりますが、このうち法令違反や社内ルール違反の可能性を確認しているご契約等について、募集人調査やお客さまの利益回復に向けた対応を実施しております。
また、全ご契約調査等でお客さまからいただいたご回答・ご意見等の中から、多数回にわたって契約の消滅・新規契約が繰り返され、お客さまのご意向に沿ったものではない可能性がある事例を把握しました。そのため、同年2月より、こうしたご契約について募集状況等の調査を行い、不利益が発生しているお客さまについてはその解消を図るため、全ご契約調査の更なる深掘調査を、優先順位の高いものから順次実施しております。本深掘調査については、ご契約内容の確認を同年6月末を目処に進める予定ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、計画が遅れる可能性があります。なお、昨年より実施している多数回にわたって契約の消滅・新規契約が繰り返されているご契約の調査について、4月13日において、75人の募集人に対して業務廃止処分を実施し、2人に対して研修を所定の期間行った後に厳重注意処分を実施する予定となっております。
上記の調査対象以外についても、お客さまへの訪問活動等を通じてお客さまのご意見・ご要望を丁寧にお聞きし、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じている場合には、誠実にその解消を図るなど、ご契約内容の確認等を継続して行ってまいります。
「特別調査委員会による調査」
契約乗換に係る事案の判明を受け、当社は日本郵便、かんぽ生命保険とともに、本事案の徹底解明と原因究明を中立・公正な外部専門家に委ねるため、3社と利害関係を有しない弁護士から構成される特別調査委員会を設置いたしました。本委員会からは、2019年9月30日付で「調査の現状及び今後の方針の概要について」、2019年12月18日付で「調査報告書」、2020年3月26日付で「追加報告書」を受領しております。
本委員会による調査は、2020年3月末をもって完了しておりますが、本委員会からいただいた改善策の提言を真摯に受け止め、対応してまいります。
「JP改革実行委員会による改善策の検証」
当社は日本郵便、かんぽ生命保険とともに、外部専門家の方々に公正・中立な立場から各種アドバイスをいただくため、JP改革実行委員会を設置いたしました。本委員会は、特別調査委員会提言事項に対する進捗状況の確認や、当社グループが実施する各種取組みの有効性や十分性についての検証等を実施していただくこととしております。
「当局による行政処分」
2019年12月27日、当社は、総務大臣より日本郵政株式会社法第13条第2項に基づく業務改善命令、金融庁より保険業法第271条の29第1項に基づく業務改善命令を、日本郵便は、総務大臣より日本郵便株式会社法第15条第2項に基づく業務停止命令及び業務改善命令、金融庁より保険業法第307条第1項及び第306条に基づく業務停止命令及び業務改善命令を、かんぽ生命保険は、金融庁より保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令及び業務改善命令を受けました。2019年7月以降、郵便局及びかんぽ生命保険の支店からの積極的なかんぽ生命保険商品のご提案を控えてまいりましたが、当該業務停止命令により、2020年1月1日から同年3月31日までの間には、かんぽ生命保険商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止いたしました。また、当該業務改善命令を受けて、2020年1月31日付で、当社及び日本郵便は業務改善計画を総務大臣及び金融庁に、かんぽ生命保険は業務改善計画を金融庁に提出いたしました。引き続き、当該業務改善計画の実行を経営の最重要課題として位置づけ、適切な業務運営を確保し、保険契約者の保護を図るための施策の実行に全力で取り組んでまいります。
「業務改善計画の進捗状況」
〇 かんぽ生命保険の主な対策の進捗状況
① 適正な営業推進態勢の確立(乗換を助長しない、かつ実態に即した営業目標の策定を含む)
a. 適正な営業目標の設定
(a) 営業の実力に見合った営業目標の設定と配算方法の見直し
2020年度は営業目標の設定を行わないことを決定しました。
2021年度以降に営業目標を設定する場合においては、生命保険マーケット等の見通しを踏まえ、現場の営業力に不適切な募集が含まれていないかを確認することのほか、当年度と次年度の各種施策の変化要素にコンサルタント数の増減の影響を加えた上で算出するとともに、適正な募集品質に基づく営業力で達成できるものになっているか等、営業部門・経営企画部門のほか、募集管理部門との間で協議のうえ、決定します。
また、営業目標の日本郵便の各支社及び各郵便局への配算に際しては、営業目標の水準の適正化と合わせて、適切に実施できているか日本郵便の取組みの確認を行います。
(b) 販売額(フロー)を重視した営業目標から、保有契約(ストック)を重視した営業目標への見直し等
2021年度以降に営業目標を設定する場合においては、これまでの新契約月額保険料実績に偏重した目標管理等を改め、新契約と契約継続の両方を同じ重要度で評価できるよう、新契約と消滅契約(解約等)の月額保険料を差し引きしたストックを重視した目標に改めます。
また、3年間消滅率を目標化するとともに、純新規の契約者数及び青壮年の契約者数についても指標化し、青壮年層に重点を置いた営業活動に移行します。
(c) 人事評価の見直し
営業推進と募集品質の人事評価項目を一本化することにより、募集品質の確保を前提とした営業推進を評価する内容に見直すこととしました。
b. 契約乗換への対策
(a) 契約乗換の販売実績不計上・手当不支給
契約乗換については販売実績の計上を行わないとしたことに加え、2020年4月に手当(通常の契約の二分の一支給)も不支給とする見直しを実施しました。
(b) 契約乗換潜脱の防止
契約乗換の判定期間を拡大するとともに(新規契約の契約日前3か月・後6か月→前12か月・後13か月)、判定期間に近接する契約についてはアラート表示を行い、確認するためのシステム改正を実施しました。
c. 高齢者募集への対策
満70歳以上のお客さまについては、原則、募集人からの勧奨を停止しております。お客さまのご意向によりお申込みをいただく場合には、必ずご家族等の同席又はご家族等への事前のご説明を実施しておりますが、満80歳以上のお客さまからのお申込みの受付時に被保険者さまから事前同意をいただく取扱いを満70歳以上のお客さまに拡大しました。
d. お客さまの保障ニーズに応えるための商品開発
多様な保険商品の開発が出来ていない中、低金利環境下で、商品魅力が低下している養老保険・年金保険等の貯蓄性の高い商品が主力となっていたことを踏まえ、青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに応えるための商品の開発を目指します。
② コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成(適切な募集方針の策定・浸透や職員及び募集人に対する研修を含む)
a. 適切な募集方針の策定・浸透
(a) お客さま本位の理念に基づいた行動規範の策定
生命保険本来の役割・使命を踏まえた高い倫理観に基づき保障を提供するというプリンシプルベースの基本的な行動の実践を徹底するため、2020年2月の取締役会においてお客さま本位の理念を反映させた勧誘方針を決議しました。
また、Webサイトへの掲載を通じて、お客さまに対して勧誘方針を公表しました。
(b) 「かんぽ営業スタンダード」の策定
お客さま本位の理念を反映させた勧誘方針に基づくかんぽ営業の行動原則を「かんぽ営業スタンダード」として定義するとともに、これを具体化した研修資料を2020年2月に作成しました。
この「かんぽ営業スタンダード」に基づき、お客さまの将来への不安や保険のご加入状況等を踏まえた真のニーズを的確に把握したうえで商品提案を行うための「ご意向お伺いシート」の作成及び同シートを活用した具体的なご意向確認方法を導入しました。
b. 募集人等に対する研修
「かんぽ営業スタンダード」の意義や基本的な考え方に関する研修を2020年2月21日から開始しました。(2020年3月末までにかんぽ生命保険及び日本郵便の全募集人等に対して実施済)
なお、引き続き各種研修を通じて、「かんぽ営業スタンダード」の確実な定着を図っていきます。
c. 社員の声の把握の充実
既に、かんぽ生命保険社員から同社社長への直接提案制度について実施しております。社員の声を踏まえ、本社からの情報発信の強化、現場志向を高める人事制度の導入、社員の声に迅速に対応する態勢の整備等についての検討を進めています。
また、上記の提案制度に加え、かんぽ生命保険経営陣が各支店等を訪問し、現場の社員の声を直接聞く「役員ダイアログ(対話)」を実施しております。(新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、Web会議方式で一部実施)
③ 適正な募集管理態勢の確立(代理店に対する十分なけん制機能の構築を含む)
a. お申込みから契約締結までの重層的なチェックの実施
外形上、募集品質に懸念のある申込みについては、既に導入している「募集事前チェック機能」の対象を拡大するとともに、郵便局管理者及びかんぽ生命保険の専用コールセンターによるお客さまへのご意向確認に加え、引受審査時のかんぽ生命保険のサービスセンターによる重層的なご意向確認を行っております。
また、お客さまのご自宅等での解約請求の際には、郵便局管理社員による説明・確認に加え、かんぽ生命保険の専用コールセンターからお客さまに意向確認や不利益事項のご説明の有無の確認を行っております。
さらに今後は、解約手続きを原則郵便局の窓口のみで実施することの検討のほか、解約等請求時のサービスレベル低下の回避策として、ダイレクトチャネルでの解約等受付についても検討します。
b. 適正な募集管理に向けた態勢の強化
(a) かんぽ生命保険の本社の機能の見直し等
従来第2線(コンプライアンス部門・募集管理部門)が担ってきた適正募集の実現に向けた企画・指導業務を第1線(営業部門)に移管することで、これまでよりも第1線が募集品質の確保を前提とした営業への責任を担うとともに、第2線が第1線の施策に対する検証業務に注力することで、適切な相互けん制の下、お客さま本位に立脚した施策の立案が可能となる態勢を構築しました。
また、不適正募集等に対する調査業務の指揮命令機能をコンプライアンス調査室(新設)に集約することで調査機能を強化しました。
上記のほか、本社の募集管理部門、コンプライアンス部門及び苦情対応部門等の体制を引き続き強化していきます。
(b) かんぽ生命保険の支店等の機能の見直し
営業推進に注力した代理店支援から、募集品質の確保を前提とした代理店支援・指導へ見直し、募集態様調査及び適正募集指導に係る体制を強化します。
(c) お客さま情報の高度化
かんぽ生命保険の支店及び郵便局において、お客さまからお申込みをいただいた際に、お客さまの過去の契約の加入・消滅履歴等をシステム上、簡易に把握できる仕組みを設け、募集品質管理に活用できる態勢を整備します。
この一環として、2020年4月には、郵便局等におけるお客さまの契約の消滅履歴の確認範囲を過去3か月から過去24か月に拡大しました。
c. 条件付解約等制度・契約転換制度の導入
保障の見直しをお客さま本位で実現できる制度として、条件付解約等制度の導入を実施しました。
また、既契約の解約を伴わない契約転換制度の導入に向けたシステム開発に着手するなど具体的検討を進めております。
d. 募集状況の録音・録画・保管
募集時において、コンサルタントの携帯端末機で募集状況を録音・保管することにより、募集状況の可視化を図り、お客さまから苦情があった場合に、お客さまのご意向に沿ったご提案ができていたかを確認できる仕組みの構築に向けて、2020年3月2日から試行を開始するとともに、4月20日からは試行範囲をさらに拡大しております。
e. 苦情等からの潜在的問題の把握
募集態様に問題が疑われる苦情を高いリスク感度を持って検知し、各担当部署の役割分担を明確にしたうえで、入口から出口まで責任を持って、フォローを行う態勢を引き続き強化していきます。
f. 募集チェック態勢の検証
不適正募集の未然防止及び早期発見の観点から、第2線において、業務改善計画に基づき実施された募集チェック態勢の効果検証を実施し、その有効性を確認するとともに、第1線に対する更なる改善提言を実施していきます。
④ 上記を着実に実行し、定着を図るためのガバナンスの抜本的な強化
a. 募集状況等の実態把握の強化及びPDCAサイクルの徹底
(a) 社内外のリスク情報の把握・分析
お客さまからの苦情、社員の声、経営データ等様々な情報をシステム等を活用しながらリスク感度を上げて、把握・分析するための専任チームを設置しており、今後具体的な分析手法を確立するためのトライアル(苦情や社員の声の分析)を実施しております。
(b) 問題を検知した事象に対する同種同構造の事案の網羅的な横展開調査
重大なリスクの検知に漏れがないように、問題を検知した事象に対して個別的に対応するのみならず、あらゆる不適正募集の端緒を収集・分析し、同種同構造の事案を検知した場合には、能動的に調査を行うこととしております。なお、上記のプロセスと役割分担を明確化し、取組みを開始しております。
(c) PDCAサイクルの徹底
改善策の検討に当たっては、真因分析を行った上で、改善策の優先順位を含め、経営陣での深度ある議論を行い、募集品質向上に向けた改善策の効果検証・見直しのサイクルについてスピード感をもって徹底する態勢を整備します。
当面は今般の業務改善計画等における適正な募集管理態勢確立のための各種改善策の効果検証を実施しております。
b. 内部統制の強化
(a) 取締役会等のガバナンス機能強化
イ. 取締役会における「審議」の新設等
経営課題を前広に議論するため、従来の「決議」、「報告」に加え、決議案の作成段階から社外取締役の知見を活用する「審議」の新設を2020年3月の取締役会において決議しました。
また、取締役会の臨時開催のほか、積極的な意見交換を目的とした取締役懇談会や社外取締役間会合を開催し、内部統制システムの運用状況や2019年度の取締役会の実効性評価について議論しました。
ロ. 監査委員会の機能強化
ⅰ 内部監査計画の決定・変更および内部監査部門の重要人事(担当執行役・部長)については、監査委員会の事前同意を必要とすることと改めるための規程改正を2020年3月に実施し、同年4月から当該規程に基づく運用を実施しております。
ⅱ 監査委員会として、募集態様の実態やお客さまに生じている不利益事項に踏み込んだ報告を受けたうえで、検証のための調査を指示し、調査結果をもとに担当執行役に対して必要な助言等を行う体制を整備しております。2020年2月の監査委員会においては、内部監査担当執行役から調査報告を受け、報告内容をもとに協議を実施しました。
(b) 内部監査
内部監査の人材・体制を強化するほか、リスクアセスメントの強化などにより実効的な監査に向けて外部の専門家の協力を得られるよう準備を行っております。
〇 日本郵便の主な対策の進捗状況
① 営業推進管理の仕組みの見直し(営業目標、営業手当体系等)
a. 営業目標の設定方針
お客さまからの信頼回復に向けた活動に、最優先に取り組むため、2020年度は営業目標を設定しないことを決定しました。
なお、営業目標は設定しないものの、販売額(フロー)を重視した営業活動から保有契約(ストック)を重視した営業活動に移行します。
また、青壮年層や郵便局を利用されていないお客さまとの関係構築にも取り組みます。
さらに、募集品質の指標を設定しました。
b. 組織業績評価
2020年度の組織業績評価では「募集品質」を独立した項目として新設し、不祥事故および無効・合意解除案件といった項目も対象にしました。
c. 営業手当
個人契約の契約乗換についての手当支給等の見直し及びコンサルタントへの営業手当の支給水準(基本給と手当の割合)の見直しを、2020年4月に実施しました。
② 募集管理態勢の確立
a. 不適正募集等の抑制の仕組み・対応
(a) 多数契約及び意向把握不十分な契約
イ. 外形上、品質に懸念のある申込みについて、郵便局管理者によるお客さまのご意向確認に加え、かんぽ生命保険の専用コールセンターによる重層的なご意向確認(契約者が満70歳以上の場合は、ご家族等に対しても確認します。)を行っています。
ロ. 解約請求の際には、郵便局社員によるご意向確認及び不利益事項のご説明を実施しています。また、局外での受け付けの際は、郵便局管理者が対応した上で、かんぽ生命保険の専用コールセンターからお客さまにご意向確認及び不利益事項のご説明の有無の確認を実施しています。
ハ. お客さまのご希望による乗換の場合、新規契約の締結後に既契約を解約する条件付解約等制度を実施しています。
ニ. 募集時に、コンサルタントの携帯端末機で募集状況を録音・保管することにより、募集状況の可視化を図り、お客さまから苦情があった場合に、お客さまのご意向に沿ったご提案ができていたかを確認できる仕組みを2020年3月2日から試行実施しています。
ホ. 満70歳以上の契約者からの契約申込みにおいて契約者と被保険者が別人の場合は、事前に有効な同意をいただけることを確認する取扱いを2020年4月から実施しています。
ヘ. 既契約の解約を伴わない転換制度の早期導入に向け、かんぽ生命保険が作成する約款及びマニュアルを踏まえ、事務フローを調整します。
(b) 高齢者募集等への対策
満70歳以上の方から契約の申込みをいただいた場合は、募集人に加えかんぽ生命保険の専用コールセンターがご家族等に対して契約申込みに同意いただけることを確認する取扱いを行っています。
また、配布教材「正しく知ろう認知症」を活用した研修を2020年1月から2月に実施しました。
b. 懲戒処分運用
特定事案調査等の非違者および関係者に関する処分について準備を進めています。
c. 苦情等管理態勢
かんぽ生命保険のコールセンターが受け付けた「お客さまの声」を含めた全ての苦情等のデータ提供を受けて、不適正募集につながる行為等に関する苦情の背景・原因を分析し、苦情事例、取組等の対応状況を経営会議および取締役会に報告しています。
③ ガバナンスの強化
a. 取締役会等の機能発揮
(a) 代表取締役社長を本部長とする金融ビジネス緊急対策本部を設置し、募集品質に関する重要事項、取組の進捗等を協議しています。
(b) 取締役会については、定例開催のほか、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題に関しては臨時でも開催し、機動的かつ重点的に議論をしています。
(c) 監査役会でもかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題に関する報告を行い、必要に応じて助言がなされ、監査役間でも議論をしています。
(d) コンプライアンス委員会等の協議のうち、お客さまの不利益につながるおそれがある募集実態等、重要な募集品質問題については、取締役会、経営会議または監査役会に付議し、深みのある議論をしています。
b. コンプライアンス委員会等
(a) 募集品質向上に向けた取組等や課題を報告・議論する会議体である「適正募集の推進検討会議」を2020年1月に新設し、関係各部が連携して募集管理について議論し、経営判断に寄与する実効的プロセスを担保しています。
(b) 「適正募集の推進検討会議」の議論のうちコンプライアンスに関する重要案件については、コンプライアンス委員会に付議し、適正募集の推進検討会議の結果は、経営会議等で経営陣に報告しました。
c. 三つの防衛線管理
(a) 第1線について
イ. 2019年9月以降、契約内容及び募集行為の適切性・妥当性の検証プロセスを強化しており、今後も取組みの徹底を図ります。
ⅰ 保険募集管理態勢の強化を図るため、金融渉外業務を担当する管理者に加え、窓口業務を担当する管理者についても、募集品質改善責任者として指定しました。
ⅱ かんぽ契約の過去の消滅状況等、お客さま情報を高度化して一元管理できる仕組みを2020年4月から導入しました。
ⅲ 乗換潜脱の防止を強化するため、2020年4月から乗換判定期間を拡大しました。
ロ.営業活動記録簿について、社員の記載を必須とする項目を追加し、記載ルールを明確化するとともに、管理者の確認項目を明確化し、募集品質面に留意した管理機能を強化しています。
(b) 第2線について
イ.募集品質改善のため、支社での保険募集管理態勢の強化に向けて、募集品質指導専門役及び支社金融業務部の体制に関する組織の改正を2020年4月に実施しました。
ロ.営業目標の設定方針について、支社による上乗せ不可等、過剰な目標とならないようにするなど、募集品質改善担当部署も参加し、確認しました。
ハ.地方検査室社員による全郵便局における保険募集品質の管理体制の検証を継続実施しています。
ニ.募集品質上の課題については、かんぽ生命保険から提供を受ける募集品質データの分析精度を高め、要因分析に基づく対応策等を関係の会議体に付議し、施策の実施可否、効果検証等を行っています。
(c) 第3線について
イ.監査部では、要員又はリスク分析担当の配置等、監査体制の充実に向け、内部監査職等を配置する組織改正を2020年4月に実施しました。
ロ.郵便局の実態がわかるよう事前アンケートの実施等でヒアリングの充実を図り、情報収集を強化するとともに、かんぽ生命保険商品の募集に特化したテーマ監査を実施しています。
④ お客さま本位の組織風土の醸成(人事評価、表彰制度、研修等)
a. お客さま本位の徹底に向けたマネジメント・育成
(a) 募集の基本方針(販売・サービス方針、お客さま本位の業務運営に関する基本方針)を2020年4月に見直しました。
(b) お客さまの将来のライフプランに寄り添い、その目的に合った商品およびサービスを幅広く提供できるよう、募集品質の向上、業務知識強化、コミュニケーションスキル向上等、お客さま本位の営業活動及び総合的なコンサルティングサービスに寄与する各種研修を実施しています。
(c) 管理者に対する研修体系・研修内容を策定しました。
営業推進管理に偏ったマネジメントから脱却するために、新たなマネジメントのあり方、コーチングを取り入れた管理・指導手法を習得する研修を進めます。
(d) 社員による研修に対する意見又は問題ある研修を報告により直接伝える仕組みの導入により、不適切な研修等の是正に取り組んでいきます。
イ. 社員が研修に関して、社内ポータルサイトを活用し本社に直接意見を伝えることのできる仕組みを2020年3月に導入しました。
ロ. 社員が要望する研修内容を会社が企画し、社員自らの意思による参加型の研修機会を提供する仕組みを2020年4月に導入しました。
(e) 2020年4月から総合的なコンサルティングサービスを指導できる指導者として、コンサルティング・アドバイザーを設置し、郵便局社員への指導方法を見直しました。
また、営業力養成センターを「コンサル育成センター」に改称し、本社直轄とする組織改正を2020年4月に実施しました。
(f) 郵便局の金融渉外部を「金融コンサルティング部」に改称のうえ、新たに支社に「金融コンサルティング統括本部」を設置し、お客さま本位のマネジメント体制に見直す組織改正を2020年4月に実施しました。
b. インセンティブ施策
(a) 2020年度は営業目標を設定しないため、2020年度実績に基づく2021年度の営業選奨は実施しないこととしました。
(b) 2020年度はインセンティブを実施しないこととしました。
c. 人事評価と処遇
窓口、コンサルタント等の人事評価についても、募集品質の評価項目及び評価基準を2020年4月から新設しました。
d. 真の情報共有
(a) 日本郵政に新たに設置された金融営業専用の社外通報窓口の社員周知及び認識の徹底に向け、研修を行いました。
(b) 募集品質の実態把握については、2020年1月に新設した「適正募集の推進検討会議」で、募集品質改善についての取組等の議論を行いました。コンプライアンスに関する重要案件はコンプライアンス委員会に付議し、適正募集の推進検討会議の結果は、経営会議等で経営陣に報告しました。
〇 当社の主な対策の進捗状況
① ガバナンス機能の発揮
a. 連絡会の新設・充実
新設したグループコンプライアンス委員会等の各種委員会、連絡会については、引き続き開催し、その状況を経営会議等へ報告しました。
b. 「グループ運営会議」の強化
かんぽ契約問題、2020年度経営計画、新型コロナウイルス感染症への対応等、グループの重要課題に関して議論しました。
② グループコンプライアンス機能の強化
a. 内部通報窓口の情報共有
内部通報窓口の利用状況について、引き続き、とりまとめを実施し、グループコンプライアンス委員会へ報告することで、各社間との情報共有を実施しました。
b. 金融営業専用の社外通報窓口の新設
グループ各社と調整のうえ、2020年3月23日に「不適正金融営業通報窓口」を新設し、運用を開始しました。
c. 「日本郵政グループ社員 業務相談窓口」の新設
2020年2月25日に新設した「日本郵政グループ社員 業務相談窓口」については、寄せられた相談に適切に対応するとともに、相談状況を各種会議等へ報告しました。
d. 営業・業務に関する機能の強化
各事業子会社の営業・業務面に関する課題事項・懸案事項等を経営会議、取締役会へ報告しました。
③ 監査部門の機能の強化
a. 事業子会社へのオンサイトモニタリングの実施
郵便局等に対するオンサイトモニタリングについて、2020年度は5月以降の実施を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により7月以降に延期しています。
b. グループ内部監査連絡会議等の充実
2019年度の郵便局等へのオンサイトモニタリング結果等について、取りまとめたうえ、グループ内部監査連絡会議等へ報告しました。
④ 経営理念を浸透させるための態勢整備及び各種施策を着実に実行させるためのガバナンスの抜本的な強化
a. トップメッセージの発出
営業再開時に、「お客さま本位の業務運営」の重要性について、全社員に対してトップメッセージを発出するため、適切なメッセージの発出方法を検討し、有効性等について協議しました。
b. 改善策の進捗管理及びお客さま本位の業務運営の実現に向けた取組
2020年4月2日に外部の有識者で構成する「JP改革実行委員会」を設置し、5月末までに2回の会合を実施しました。当社グループの改善策の進捗状況についてご確認いただくとともに、お客さま本位の業務運営に向けた各施策等を報告しました。
c. 経営理念の浸透のための取組み
当社グループタスクフォースメンバーによる会合において、適切な経営理念の浸透方法について協議し、その結果を「JP改革実行委員会」へ報告しました。
(5) 対処すべき課題
各事業セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。
① 郵便・物流事業
日本郵便の郵便・物流事業において、郵便物の減少や荷物需要の増加に対応するため、以下の取組みを行います。
(a) 商品やオペレーション体系の一体的見直しとサービスの高付加価値化
引き続き、年賀状をはじめとしたスマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽しさを伝える活動の展開等により、郵便利用の維持を図るとともに、eコマース市場の拡大による荷物需要の増加に対応するため、個々のお客さまの課題に応える課題解決型営業を深化させるほか、物流ソリューションの拡大や差出・受取利便性を追求したサービス改善により収益の拡大を図ってまいります。
また、お客さまの利便性向上、業務効率や不在再配達率の改善に向け、置き配の普及・拡大等を進めるとともに、業務量に応じた担務別人件費・要員マネジメントの高度化を図ることにより、競争力あるオペレーションの確立を目指します。
なお、過去5事業年度の郵便、ゆうメール、ゆうパック及びゆうパケットの取扱物数の推移は以下のとおりとなります。
(注) ゆうメールに含めていたゆうパケットの物数については、2016年10月より、ゆうパックに含めて表示する方法に変更しました。これに伴い、2016年3月期及び2017年3月期については全ての期間の物数に当該変更を反映しております。
(b) 先端技術の積極的な活用による利便性・生産性向上
先端技術の活用によってオペレーション体系を見直し、生産性を向上させていくため、テレマティクス(移動体通信システムを利用したサービス)を活用した安全推進・業務適正化、区画・道順の見直しや、スマートフォンアプリを活用したゆうパック等の集配業務の効率化を進め、また、音声認識AIを活用した再配達依頼受付の本格展開に取り組むとともに、ドローンや配送ロボット等の配送高度化についても、将来的な実用化に向けて、試行・実験を進めてまいります。
さらに、郵便窓口でのキャッシュレス決済の導入局を拡大し、お客さまの利便性向上を実現します。
また、お客さまのニーズの変化やテクノロジーの進歩に即した業務の効率化、具体的にはデジタル化した差出情報等を活用した顧客視点の商品・サービスの付加価値創出、ストックデータを活用した組織運営の変革等を実現すべく、「デジタルトランスフォーメーション」の検討・実践に向けた取組みも継続して進めてまいります。
② 金融窓口事業
日本郵便の金融窓口事業において、お客様の利便性や営業生産性、事務品質の向上のため、以下の取組みを行います。
(a) かんぽ生命保険商品の不適正募集の再発防止に向けた取組み等
グループ各社と連携し、お客さまの不利益解消に取り組むとともに、業務改善計画を着実に実行することで、再発防止に取り組み、お客さま本位の業務運営を徹底してまいります。
(b) 郵便局ネットワークの維持・強化
お客さまの需要の動向や店舗・施設の計画的な保全・更新に伴う店舗配置の見直しを行ってまいります。
郵便局の移転・建替の際には、ショッピングセンター内等、市場性の高い場所へ出店することにより、お客さまの利便性向上に取り組みます。なお、利用者層や利用サービスが特定の層や商品に限られている郵便局等については、運営形態等の見直しを進めてまいります。
また、地方公共団体や他企業と連携したサービス展開や地方創生の取組み拡大、地域ニーズに応じた多様な郵便局の展開により、郵便局ネットワークの価値向上を実現します。
具体的には、地方公共団体からの包括事務受託、地方銀行との提携、駅と郵便局との併設、コンサルティングに特化した店舗の拡大等を進め、「地域の拠点」としての郵便局の価値向上に取り組んでまいります。
③ 国際物流事業
日本郵便の国際物流事業において、トール社に対する管理を強化・徹底してまいります。
同社では、新経営陣のもと、組織・体制のスリム化、従業員の給与削減及び人員削減等のコスト削減施策の徹底、赤字が継続しており収支の大幅な改善が見込まれないロジスティクス事業米国部門の閉鎖といった不採算事業の整理や非中核資産の売却、エクスプレス事業※1における既存顧客の単価改善や拠点統廃合による業務効率化などの収益性改善等、経営改善に向けた取組みを推進するとともに、成長戦略としてアジア地域での展開拡大を目指し、グループ営業部門の人員のアジア拠点への配置を強化する等、同地域での営業強化等に取り組んでまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、豪州国内におけるBtoB事業※2が停滞しているほか、国際的な荷動きも低調であることから、各事業において、マイナスの影響が生じております。今後もその動向を注視し、適時適切な対応を行ってまいります。
さらに、海外のBtoB事業を中心に事業展開するトール社と、国内に顧客基盤を有する日本郵便のシナジーを強化し、コントラクトロジスティクス※3を中心に国内のBtoB事業の拡大を進め、国内外での総合物流事業展開による一貫したソリューションの提供に取り組みます。具体的には、トール社が持つノウハウを用いて、2018年10月1日に発足したJPトールロジスティクス株式会社を通じたコントラクトロジスティクスサービスを行い、一気通貫での物流サービスの提供を推進します。また、トール社のJapan Desk(日系企業営業担当チーム)を活用した日系企業への営業推進を強化します。
2020年1月と5月にトール社が標的型サイバー攻撃を受けたことから、更なるITセキュリティの強化に向けて必要な対応策を講じてまいります。
※1 エクスプレス事業とは豪州及びニュージーランド国内におけるネットワークを活用して道路、鉄道、海上及び航空貨物輸送サービスを提供する事業のことです。
※2 BtoB 事業とは、Business-to-Businessの略で、企業間の商取引、企業が企業向けに行う事業のことです。
※3 コントラクトロジスティクスとは、売買に関与しない第三者が特定の荷主顧客と契約を結び、輸送や在庫・配送業務の効率運営を図るサービスのことです。
④ 銀行業
ゆうちょ銀行において、非常に厳しい経営環境が見込まれ、金融・資本市場が動揺している中、収益の確保と経営管理態勢の強化に向け、以下の諸施策に注力します。
(a) お客さま本位の良質な金融サービスの提供
お客さま本位の業務運営のもと、お客さまのライフプランに応じたコンサルティングを確立し、お客さま一人ひとりの資産形成ニーズに対応した商品・サービスを拡充します。具体的には、資産運用コンサルタントの育成や、タブレットを活用してお客さまのニーズ把握をサポートするツールを充実するほか、2019年5月に大和証券グループとの間で合意した「投資一任サービス※」について、サービスの開始に向けた取組みを進めます。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、その影響が収束する見通しが立つまでの間は、積極的な営業活動の停止、窓口の一部縮小などの対応を行います。
また、スマートフォン決済サービス「ゆうちょPay」については、利用できる店舗の開拓、普及促進、サービス拡充等を進め、「ゆうちょ通帳アプリ」については、機能追加や普及促進に取り組みます。さらに、コールセンター等へのAI導入等のデジタル技術活用により、お客さまに応対する品質及び運営効率を向上するなど、サービスのデジタル化やデジタル技術を用いた業務の効率化により、人的資源などの経営資源をトランザクション業務(窓口等における定型業務)からコンサルティング業務等に再配分し、お客さまサービスのさらなる充実に努めます。
※ 投資一任契約に基づき、投資運用業者が、お客さまから投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づきお客さまのための投資を行うに必要な売買・管理等までを行うサービスです。
(b) 運用の高度化・多様化
国内の低金利環境の継続に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界経済の急速な後退懸念等、運用を取り巻く環境は非常に厳しく、かつ不透明な状況にあります。
このため、金融市場の混乱が収束するまでの間は、ALM・運用業務について、リスク抑制的に対応することとし、混乱に収束の見通しが立った場合等は、市場動向を注視しつつ、許容されるリスクの範囲内で、追加的な収益確保に努めます。
また、財務健全性の観点から、運用の高度化・多様化に必要十分な自己資本比率を確保するとともに、市場環境の変化やポートフォリオ・商品の特性を踏まえ、リスク管理態勢を高度化します。
(c) 地域への資金の循環等
引き続き、地域金融機関との連携・協働により、地域経済の発展・成長に貢献します。
地域活性化ファンドへの出資を推し進めるとともに、ATMネットワークの活用や事務の共同化等を通じて、地域金融機関との協業関係を深めます。
地域経済活性化のさらなる貢献に向けて、案件選定・投資判断などに努めるとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受ける全国の企業への資本面での支援について、検討していきます。
(d) 経営管理態勢の強化
お客さま本位の業務運営に向け、「サービス向上委員会」を中心に、全社一体となって取り組みます。また、コンプライアンスに関する指導・研修を強化し、コンプライアンス意識の更なる浸透や資産運用商品の適正な販売に引き続き努め、お客さま目線に立った適正な投資勧誘・販売プロセスを徹底します。
また、全社的なリスクアペタイト・フレームワーク※に基づく業務運営を実施し、経営管理態勢の一層の高度化を図ります。
さらに、不正なアクセスの監視や被害防止に向けた対応を行っていますが、複雑・巧妙化するサイバー攻撃に対し、最新の動向に基づいて、引き続きサイバーセキュリティ態勢を強化します。特に2021年夏に開催が延期された東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、サイバー攻撃の脅威の高まりへの対応力を一層向上させます。
加えて、国際的な責務であるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止対策を一層強化します。これらの取組みを通じて、社会的責任を果たします。
※ リスクアペタイト・フレームワークとは、「リスクアペタイト=中長期的かつ安定的な収益性確保、財務健全性等を図るために必要な、ゆうちょ銀行が取得すべき適切なリスクの種類や水準」の明確化・見える化を通じ、「監督(取締役会)」機能の実効性を高め、リスクガバナンスを強化する枠組みのことです。
⑤ 生命保険業
かんぽ生命保険において、かんぽ生命保険商品の不適正募集の再発防止に向けた取組み等として、グループ各社と連携し、ご契約調査、お客さまの不利益解消等に取り組むとともに、業務改善計画(健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立、適正な募集管理態勢の強化、取締役会等によるガバナンスの強化)を着実に実行することで、お客さま本位の業務運営の徹底に取り組んでまいります。
また、これらの改善策やお客さまにご契約内容を確認いただくフォローアップ活動等の取組みを確実に実施するとともに、事業基盤を強化し、事業の成長につなげていくため、以下の施策についても取り組んでまいります。
(a) ビジネスモデルの再構築
これまでの主要な顧客層であった女性・中高年層のお客さまとの関係をより大事に深めながら、青壮年層へのアプローチを充実させていくことで、お客さま層を拡大していけるよう検討してまいります。
また、国内における超高齢社会の進展、健康志向の高まり、ソーシャルメディアネットワーク等で繋がるコミュニケーションの多様化といった社会的な変化を踏まえ、地域に根差した対面チャネルとしての郵便局の強みを再生しつつ、健康増進サービスやデジタルマーケティング等によるお客さまサービスの充実やお客さま接点の拡大にも取り組んでまいります。
(b) 商品開発
国内における低金利環境の継続、長寿社会の到来や医療技術の高度化等を背景として、お客さまニーズが多様化していることを踏まえ、青壮年層を含めた全てのお客さまの保障ニーズにお応えできるよう、早期に商品ラインナップの拡充を目指してまいります。
(c) ICT活用によるサービス向上・事務の効率化
前述の業務改善計画に対応した各種制度の導入及びシステム開発に最優先で取り組むとともに、情報通信技術(ICT)の積極的な活用により、事務サービスの高度化によるお客さまサービスの更なる向上と、バックオフィス(サービスセンター)事務の効率化等による事務コストの削減を目指してまいります。
(d) 資産運用の多様化
国内の低金利環境の継続に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による実体経済への影響等から、世界景気の急速な後退が懸念される等、2020年度は非常に厳しくかつ不透明な運用環境が想定されます。
このため、市場環境を注視しつつ慎重にリスクを見極めながら、資産クラス内における投資対象拡大や投資戦略分散などを選別的に行うこととし、迅速な意思決定と適切なオペレーションに取り組みます。
今後もERM※の枠組みの下、財務の健全性を十分に確保しつつ、多様化した運用の深化等による運用収益の拡大や金利リスクコントロール手法の高度化等により、リスク対比リターンの向上を目指してまいります。
※ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。
(参考)
過去の新契約、保有契約の件数の推移は下記のようになります。
(注) 2007年10月1日の民営化時の簡易生命保険契約は5,517万件でした。
下記Ⅰ~Ⅷにおいて、当社及び当社グループの事業内容、経営成績、財政状態等に関する事項のうち投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクを例示しております。もっとも、当社及び当社グループの事業等のリスクは、これらに限定されるものではありません。
下記「Ⅰ. 当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスクの概要」は、下記Ⅱ~Ⅷに記載する事項のうち、当連結会計年度末現在において当社経営陣が特に重視する事項について、投資家の皆様にその概要を簡潔に示すことを目的として記載しています。従って、下記Ⅰの記載は、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクを網羅するものではなく、下記Ⅱ~Ⅷの記載と併せて読む必要があります。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
Ⅰ.当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスクの概要
1.かんぽ生命保険の保険商品の募集品質に関するリスク
当社、日本郵便及びかんぽ生命保険は、保険契約の募集品質に係る諸問題に関し、2019年12月27日付で監督当局から行政処分を受け、2020年1月31日付で、業務改善計画を監督当局に提出しております。なお、業務改善計画の進捗及び改善状況については、当該業務改善計画の実施完了までの間、3ヶ月ごとに報告することとなっております。
2019年7月以降、郵便局及びかんぽ生命保険の支店からの積極的なかんぽ生命保険の保険商品のご提案を控えていたことに加えて、上記行政処分による業務停止命令を受けたことから、2020年1月1日から2020年3月31日までの間、かんぽ生命保険商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止しておりました。有価証券報告書提出日時点においては、当該行政処分による業務停止命令期間は終了しているものの、積極的なかんぽ生命商品のご提案を控えている状況にあり、また、本事案の判明による当社グループの信用の低下により、今後、かんぽ生命保険商品の通常営業を再開したとしても、生命保険業の新契約の獲得が従来の水準に達せず、又は、既存契約の解約数が増加する等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、保険募集プロセスの品質改善に向けた対応など業務改善計画に掲げた施策に取組み、お客さま本位の業務運営の徹底にグループ一丸となって取り組んでまいりますが、かかる取組みが期待された効果を発揮せず、想定以上の時間を要し、又は追加的な費用が発生する可能性があります。また、今後の業務改善計画の進捗及び改善状況によっては、かんぽ生命保険の希望する商品の当局認可が得られないほか、さらなる行政処分を受ける可能性や、当社グループの信用が低下する可能性があるなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2.金融・資本市場での運用等に係るリスク
当社グループの収益の多くは、銀行業及び生命保険業(以下「金融事業」と総称します。)の運用・調達から生じる収益により占められています。足元の新型コロナウイルス感染症の拡大時に見られるような歴史的な金融・資本市場の動揺、世界経済の深刻な後退懸念時には、金融2社を中心とした当社グループ各社の保有資産の価値下落のみならず、保有資産が通常価格又は通常レートで売却できない、又は、ヘッジできないことにより、評価損、減損損失及び売却損の計上、剰余金の処分における分配可能額の減少・消失等、金融事業に影響を及ぼすリスクは大きいものと認識しております。
また、金融2社の資産運用の主体は債券運用であり、歴史的な低金利環境の長期化を受けて金融機関の基礎的な収益力低下が継続する中、安定的な収益確保のため、運用の高度化・多様化を推進しています。財務健全性の観点から、リスク管理態勢も高度化し、ストレステスト等も実施して、運用の分散や機動的な運営に努め、必要な自己資本比率を確保していますが、特に海外金融資産の増加に伴い海外クレジット市場の信用スプレッド拡大、外貨の調達・ヘッジコスト上昇の影響等を強く受けるようになっております。また、金利が急上昇した場合には、運用サイドの債券等の価値が下落するとともに、調達サイドの貯金等の流出や預替え等が発生する可能性も否定できません。
以上の状況においては、金融・資本市場、国内外の経済情勢その他事業環境の変動が、当社保有の金融2社株式の減損損失、これに伴う剰余金の処分における分配可能額の減少・消失等も含め、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3.システム障害に係るリスク
現代社会においては、業務運営でのシステムの重要度が高まっている一方、システム構築・運用は複雑化し、また、システムに対するサイバーテロや標的型攻撃等も高度化しております。このように高まりを見せるシステムリスクに対して、当社グループは情報共有によるITガバナンスの強化、サイバー・セキュリティー対策の高度化に取り組んでおります。しかし、かかるリスクは新型コロナウイルス感染症対策としての在宅勤務(テレワーク)拡大、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、今後さらに増大する可能性があり、当社グループのシステムへの攻撃等、また、システム構築・運用に際しての不具合等により、当社グループの業務が大規模かつ長期間に亘り、停止し又は制約を受けることで、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、システムの故障・障害等が生じた場合には、システム修復等の対応費用だけでなく、サービスの停止、データ毀損、顧客情報の流出等に係る顧客等からの損害賠償請求や、行政処分、社会的信用の低下など、被害の範囲が想定困難なほど拡大する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4.感染症の拡大、自然災害等の偶発リスク
足元の新型コロナウイルス感染症の拡大は、郵便局での営業、郵便・物流事業、国際物流事業を行う当社グループの事業活動に影響を及ぼしており、感染症への対策として当社グループは、当社社長を本部長とする本社合同対策本部を設置し、関係機関と連携を図りつつ、感染の防止と業務・サービスの継続等のため、必要な取組みを継続しております。しかし、今後の感染拡大の収束時期等によっては、国内外経済の深刻な景気後退、金融・資本市場の動揺などを通じ、かつてない範囲と程度で、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年では巨大台風の上陸、首都圏等での巨大地震の発生、テロリストによる攻撃等の蓋然性が高まっており、当社グループの設備・建物・郵便局ネットワーク等の物的な破壊や機能の停止、保険業での保険金の支払い増加のほか、経済活動の停滞や、当社グループやその顧客・取引先企業の事業活動の継続性に支障をきたす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5.海外子会社に関するリスク
日本郵便は、アジア市場を中心に、海外子会社による国際的な事業展開を推進しております。
海外における事業展開には、当該地域や関係する地域での経済・政治情勢の悪化、市場成長性の鈍化、競争の激化、為替の変動など、内在する様々なリスクが存在します。
日本郵便の子会社であるトール社については、当連結会計年度、豪州経済の減速や米中の貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の拡大等厳しい外部環境の影響下で、日本郵便の指導により、事業統合に係るガバナンス強化や経営改善策に取り組んでおりますが、財務・会計システムの更改、一部経理事務の外部委託時の態勢不備による売掛金滞留やサイバー攻撃の影響もあり、同社の固定資産や日本郵便保有の同社株式に係る減損損失を計上する等、業績不振が続く結果となっております。さらに、トール社は、豪州を中心に、アジア太平洋地域等において事業活動を行っており、市場の変化や国際的な競争にさらされ、関連する国・地域の法・規制の適用も受けております。これらの市場・競争環境や法・規制の改正・適用等により、経営改善策・事業戦略やガバナンス強化が有効に機能せず、事業展開が制限され又は撤退等を余儀なくされた場合などには、同社の業績悪化や撤退等に係る損失計上等を含め、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
6.金融2社株式の売却に関するリスク
金融2社の株式は、郵政民営化法により、経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、その全部をできる限り早期に処分するものとされております。金融2社の株式の売却が進んだ場合には、当社の連結財務諸表に反映される金融2社の損益や資産・負債が減少し、最終的には消滅することとなります。
当社としては、将来的に金融2社に代わる事業基盤を確保するため、これら2社の株式売却により得た資金を有効に活用する必要がありますが、当社グループを取り巻く国内外の経済情勢は厳しい状況にあり、投資先の選定・管理等の困難度は増しており、上記の当社連結業績への影響を補えない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
7.事業環境等の変化に対応できないリスク
労働人口の減少、少子高齢化、AI・Fintech・テレマティクス等の技術革新による経営環境の変化、さらには、新型コロナウイルス感染症の収束後の生活・働き方の変容、生産・消費・市場等の動向の変化等も想定されるなど、当社グル-プを取り巻く環境は大きく変化しており、また更なる変化が予想されております。当社グループでは、テクノロジーの動向、ライフスタイルの変化等に応じた新たな業務・商品の開発や「デジタルトランスフォーメーション」の検討・実践の取組み等を進めてまいります。
しかしながら、当社グループがこれらの事業環境の変化に適切に対応できない場合には、当社グループの業務・商品の競争力や効率性の低下等により、当社グループの現在の収益基盤である郵便・物流事業や金融事業等についても、収益性が悪化する可能性は否定できません。
また、当社グループはユニバーサルサービス提供に係る責務を負っているため、同サービスの提供に必要なコストが継続的に生じることが見込まれますが、構造的な労働人口の減少による人件費の増加等が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ.当社グループ全般に関するリスク
1.事業環境に関するリスク
(1) 経済情勢その他の事業環境の変化に伴うリスク
当社グループが行う事業のうち、郵便・物流事業、金融窓口事業、銀行業、生命保険業等は、その収益の多くが日本国内において生み出されるものであるため、主として国内における経済情勢の変化、金利の動向、金融市場の変動、消費税増税、少子高齢化の進展、eコマース市場の動向、技術革新、賃金水準の変動、不動産価格の変動、預金水準等の影響を受けます。また、国際物流事業において日本郵便の子会社であるトール社が、豪州を中心に、アジア太平洋地域等におけるフォワーディング、コントラクトロジスティクス等の国際的な事業活動を行っており、豪州経済の減速、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の拡大を含む各国・地域における経済情勢等の変動による影響を受け、銀行業・生命保険業においては、運用の多様化・高度化の下、国際分散投資を推進しており、国際金融・資本市場の変動による影響も受けます。従って、足元の新型コロナウイルス感染症の拡大を含む国内外の経済情勢、金融・資本市場その他事業環境の変動により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 他社との競合に関するリスク
当社グループが行う事業は、いずれも、激しい競争状況に置かれております。当社グループと競合関係にある同業他社は、AI・Fintech・テレマティクス等の技術の急速な進展・活用、その他の事業環境の変化・事業戦略の変更等で、当社グループより優れた商品構成、サービス、価格競争力、事業規模、シェア、ブランド価値、顧客基盤、資金調達手段、事業拠点、ATM・物流拠点その他のインフラ・ネットワーク等を有する可能性があります。
例えば、日本郵便が行っている郵便・物流事業については、信書便事業者や他の物流事業者等と競合関係にあり、他社の提供するサービスへの乗り換えが発生した場合、又は、競争激化により当社の事業、シェア若しくは収益の動向が当社グループの想定通りに進捗しなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、ゆうちょ銀行が行っている銀行業、及びかんぽ生命保険が行っている生命保険業も、同業他社等と競合関係にあります。今後、両社が金融サービスに対する顧客ニーズの変化や市場構造の変化等に適切に対応できなかった場合、又は、両社が競合他社に対して優位に立てない場合等においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、近年では、国内外の各業界において統合や再編、業務提携が積極的に行われているほか、参入規制の緩和や業務範囲の拡大等の規制緩和が行われております。当社グループ各社が市場構造の変化に対応できなかった場合や規制緩和や新規参入が想定以上に進んだ場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、郵便事業と競合する一般信書便事業については、民間事業者による信書の送達に関する法律(以下「信書便法」といいます。)に基づき、一定の参入条件が課された許可制とされており、現時点において同事業に参入している民間事業者はおりません。しかしながら、信書便法の改正等により、信書便事業の業務範囲の拡大や参入条件が変更されるなど参入規制が緩和された場合には、新規事業者の参入により競争が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは事業の競争力を維持するため「デジタルトランスフォーメーション」の検討・実践に向けた取組み等を進めておりますが、適時かつ適切に効果的な施策を講じることができなかった場合には、当社グループへの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 大規模災害等に伴うリスク
当社グループは、日本国内のみならず国際的な事業活動も行っており、各国・地域における地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪、火災等の大規模自然災害(異常気象・気候変動に伴うものを含む。)、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症やエボラ出血熱等の感染症の大流行、戦争、テロリズム、武力衝突等の人的災害、水道、電気、ガス、通信・金融サービス等に係る社会的インフラの重大な障害や混乱等の発生、又は当社グループの店舗、その他の設備や施設の損壊その他正常な業務遂行を困難とする状況等が生じた場合、当社グループの業務の全部若しくは一部が停止し、又は、運営に支障をきたすおそれがあり、また、設備やインフラの回復、顧客等の損失の補償等のために長期の時間及び多額の費用を要する可能性があります。
また、かかる状況下において当社グループの業務が円滑に機能していたとしても、かかる状況の発生に伴う経済・社会活動の沈滞等の影響を受け、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、当社グループは生命保険子会社としてかんぽ生命保険を保有していることから、大地震その他の大規模災害や新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のような感染症の大流行を原因として大量の死者が出た場合に、かんぽ生命保険による保険給付に関し、通常の想定を超える債務を負うリスクにさらされております。同社は、保険業法の基準に従って危険準備金を積み立てておりますが、予想を超える大規模災害等の発生により危険準備金を超えるような保険金・給付金の支払いが発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、気候変動に関しては、低炭素社会への移行が世界的な課題と認識されており、その移行が急速に進んだ場合、燃料の規制強化による施設・車両の切り替え等にかかるコストが増加し、また、気候変動への対応が不十分と評価された場合には、当社グループの資本市場における評価その他社会的な評価の低下につながる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 新型コロナウイルス感染症の拡大に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大は、郵便局での営業、郵便・物流事業、国際物流事業を行う当社グループの事業活動に影響を及ぼしており、新型コロナウイルス感染症への対策として、当社社長を本部長とする本社合同対策本部を設置し、関係機関と連携を図り、感染の防止と業務・サービスの継続等のため、必要な取組みを継続しており、お客さまと社員の安全確保のための措置を行っております。具体的には 郵便局及びゆうちょ銀行店舗の一部の営業時間を変更したほか、ゆうパックや書留郵便物等をご希望に応じて対面ではなく郵便受箱や玄関前等に配達する等、お客さまへの影響と感染拡大の防止に最大限配慮して、業務を継続していくこととしていますが、今後の実際の感染拡大の収束時期や、国内外の経済環境など、様々な要因により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の国際的な拡大は、国際物流事業を行うトール社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、金融・資本市場が大きく変動するとともに実体経済が多大な影響を受ける環境下においては、金融2社の国際分散投資による適切なポートフォリオ運営及びリスク管理が奏功せず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また新型コロナウイルス感染症の大流行を原因として大量の死者が出た場合のかんぽ生命保険による保険給付に関する通常の想定を超える債務を負うリスクについては前記(3)のとおりです。
このほか、新型コロナウイルス感染症の収束後においても、人々が日常生活において非対面を好むようになったり、在宅勤務が広まったりするなど、社会の在り方やライフスタイルが変わるような事業環境の変化に当社グループが適切に対応できない場合には、当社グループのサービスの競争力の低下等により、当社グループの現在の収益基盤となっている郵便・物流事業や金融事業等において収益性が悪化するなど、当社グループの事業、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
2.法的規制・法令遵守等に関するリスク
(1) 不正・不祥事に関するリスク
当社グループは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンスの水準向上及び内部管理態勢の強化を経営上の最重要課題の一つとして位置づけ、グループ各社の役員・従業員に対して適切な指示、指導及びモニタリングを行う態勢を整備するとともに、不正行為等の防止のために予防策を講じておりますが、かかる態勢・予防策が常に十分な効果を発揮するという保証はなく、当社グループの役員・従業員による法令その他諸規則等の違反、社内規程・手続等の不遵守、不正行為、事故、不祥事等が生じる可能性があります。
当社グループは、保険契約の募集品質に係る諸問題に関し、2019年12月27日付で監督当局から行政処分を受け、2020年1月31日付で、業務改善計画を監督当局に提出しております。なお、業務改善計画の進捗及び改善状況については、当該業務改善計画の実施完了までの間、3ヶ月ごとに監督当局に報告することとなっております。当社グループではかかる事態に対処するため、社長直下にタスクフォースを立ち上げ、グループ全体としての改善計画を取りまとめ、第三者によるモニタリングを受けつつ着実に実行していますが、業務改善命令の遵守状況並びに業務改善計画の内容、進捗及び改善状況について、監督当局がそれらを不十分であると判断した等の場合には、さらなる行政処分などにより積極的なかんぽ生命保険の保険商品のご提案ができない期間がより長期にわたり継続する可能性があります。また、保険契約者等から訴訟を提起された場合には、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、今回の行政処分に対し、日本郵便は複数の地方公共団体から入札参加停止等の通知を受けており、今後も同様の通知等を受けた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このほか、2019年度において郵便物等の放棄・隠匿事案が発覚しており、このような事案を含め、不祥事等が発生した場合には、被害者等に対して損害賠償責任を負い、監督官庁からの行政上の処分等を受ける可能性があるほか、当社グループの社会的信用が低下するおそれもあります。
(2) 法的規制及びその変更に関するリスク
当社グループは業務を行うにあたり、以下のような各種の法的規制等の適用を受けております。
これらの規制により、当社グループは、同業他社に比して、新規事業の展開や既存事業の拡大、低収益分野からの撤退又は縮小が制約されるため、競争力を失い、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループに適用のある法令等の改正や新たな法的規制等により、当社グループの競争条件が悪化したり、事業活動の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会等の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 郵便法等に基づく規制
郵便法上、郵便事業は当社の連結子会社である日本郵便が独占的に行うこととされておりますが、郵便約款の変更や業務委託の認可制、全国一律料金制度、定形郵便物の料金制限、郵便料金の届出制(第三種郵便物及び第四種郵便物については認可制)といった、本事業特有の規制又は他の事業や他社とは異なる規制を受けております。
② 銀行法及び保険業法に基づく規制
当社グループの金融事業においては、一般的に適用される銀行法及び保険業法といった金融業規制を受けております。また、現在監督(規制)当局等において、銀行業におけるバーゼルⅢの最終化や生命保険業における経済価値ベース新規制等の適用に関する議論がされており、当社グループではこれらの議論を注視しつつ、新たな規制等の導入を考慮した内部管理を行っていますが、規制の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(a) ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険及び金融持株会社としての当社に対する規制
金融2社は、それぞれ銀行法、保険業法及び関連業規制に基づき、金融庁の監督を受けており、内閣総理大臣からの委任を受けた金融庁長官による、法令違反等による免許取消し並びに業務の健全性かつ適切な運営を確保する等のために必要があると認めるときの業務停止及び立入検査等を含む広範な監督に服しております。当社自身も銀行持株会社及び保険持株会社として、同様に銀行法及び保険業法に基づき金融庁の監督に服する等の金融業規制を受けております。
金融2社は、それぞれ銀行法、保険業法及び関連業規制に基づき、法令により定められた業務以外の業務を営むことができず、また、ゆうちょ銀行は自己資本の充実度合いを計る基準である自己資本比率(国内基準)を4.0%以上に維持すること等を、かんぽ生命保険は、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断する指標の一つであるソルベンシー・マージン比率を200%以上に維持すること等をそれぞれ求められております。
また、当社自身も銀行持株会社及び保険持株会社として、銀行法及び保険業法に基づき金融庁の監督に服するとともに、連結自己資本比率(国内基準)を4.0%以上に維持すること及び連結ソルベンシー・マージン比率を200%以上に維持すること等が必要とされるほか、顧客の利益保護のための体制の整備や事業年度毎の規制当局に対する業務報告書等の提出の義務等を負っております。
2020年3月31日現在、ゆうちょ銀行の連結自己資本比率は15.58%、かんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,070.9%、当社グループの連結自己資本比率は17.66%、連結ソルベンシー・マージン比率は554.2%であり、いずれも法令上の規制比率に比べ相当程度高い水準を確保しております。しかしながら、近時の金融市場の状況に対応したリスク性資産の増加により、これらの比率は低下傾向にあることに加え、保有有価証券等の価値の低下、これらの比率の算出方法の変更、比率に係る規制の変更、新たな規制の導入等により、連結自己資本比率又は連結ソルベンシー・マージン比率がさらに低下する可能性があり、当該比率が規制比率を下回るような場合には、規制当局から、報告又は資料の提出や、業務の縮小等を含む改善措置が求められる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、国際的な監督規制では、システム上重要な金融グループに対する規制強化を図っているところですが、選定基準の見直し等、規制当局の動向によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(b) 日本郵便に対する規制
日本郵便は、当社グループの金融窓口事業に関連して、ゆうちょ銀行を所属銀行とする銀行代理業者として、また、かんぽ生命保険を所属保険会社等とする生命保険募集人として、銀行法及び保険業法に基づき、金融庁の監督に服しております。また、日本郵便は、銀行代理業者として、内閣総理大臣の承認を得ない限り、法令により定められた業務以外の業務を営むことができず、また、分別管理義務、銀行代理業務を行う際の顧客への説明義務、断定的判断の提供等の一定の禁止行為等の規制を受けております。また、生命保険募集人として、顧客に対する説明義務、虚偽説明等の一定の禁止行為等の規制を受けております。日本郵便が上記規制に違反する等した場合には、規制当局から、許可又は登録の取消しや業務の一部又は全部の停止を命ぜられる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(c) 事業の前提となる許認可
当社グループは、主として以下のような許認可等を受けております。
上記許認可等が取消しとなるような事由の発生は認識しておりませんが、将来、何らかの理由により、各法が定める取消事由等に該当し、所管大臣より許認可の取消処分等を受けることとなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 当社グループ固有に適用される規制等
当社及び日本郵便は、郵政民営化法等に基づき、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が、利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持する法律上の義務を負っています(かかる義務に基づき郵便局ネットワークを通じて行われる役務提供を、以下「ユニバーサルサービス」といいます。)。ユニバーサルサービスの確保については、2015年9月28日付「郵政事業のユニバーサルサービス確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方」に関する情報通信審議会からの答申において、短期的には、「日本郵政及び日本郵便は自らの経営努力により現在のサービスの範囲・水準の維持が求められる」、「また、国は、ユニバーサルサービス確保に向けたインセンティブとなるような方策について検討することが必要である」、中長期的には、「郵政事業を取り巻く環境の変化やこれに応じた国民・利用者が郵政事業に期待するサービスの範囲・水準の変化も踏まえて、ユニバーサルサービスの確保の方策やコスト負担の在り方について継続的に検討していくことが必要」とされており、答申を受けて実施される政府の施策の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社及び日本郵便は、それぞれ日本郵政株式会社法及び日本郵便株式会社法に基づき、新規業務、株式の募集、取締役の選解任(当社のみ)、事業計画の策定、定款の変更、合併、会社分割、解散等を行う場合には、総務大臣の認可(ただし、日本郵便の新規業務については総務大臣への届出)が必要とされています。また、金融2社は、銀行法又は保険業法に基づく規制に加え、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するため、郵政民営化法に基づき、新規業務、子会社対象金融機関等(ゆうちょ銀行)・子会社対象会社(かんぽ生命保険)の保有、合併、会社分割、事業の譲渡・譲受け等を行う場合には、内閣総理大臣及び総務大臣の認可が必要とされているほか、ゆうちょ銀行においては銀行を、かんぽ生命保険においては保険会社等を子会社として保有することはできません。さらに、銀行業における預入限度額規制、生命保険業における加入限度額規制が課される等、同業他社とは異なる規制が課されております(なお、金融2社におけるこれらの規制を、以下「郵政民営化法上の上乗せ規制」といいます。)。
さらに、当社及び金融2社は、新たな収益機会を得るために新規業務を行う場合、郵政民営化法に基づき内閣総理大臣及び総務大臣の認可を得る必要があり、当該認可が得られず、又は認可取得に時間を要する場合には、当社グループが計画した時期又は内容で新商品を投入又は新サービスを提供できない可能性があるなど、当社グループによる新規事業の展開を含む業務範囲の拡大には一定の制約が伴います。
④ WTO(World Trade Organization:世界貿易機関)による政府調達ルール
公社を承継した機関として、当社、日本郵便、金融2社が政府調達協定その他の国際約束の適用を受ける物品等を調達する場合には、国際約束に定める手続の遵守が求められます。当社グループ各社の作為又は不作為により、かかるこれらのルールを遵守できなかった場合には、調達行為が成立しない、あるいは調達行為に遅れが発生する可能性があり、当初想定していた計画が実施できないなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 訴訟その他法的手続に関するリスク
当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟、行政処分その他の法的手続が提起又は開始されるリスクを有しております。一部ではありますが、人事処遇や勤務管理などの人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等に関連する訴訟等を、当社グループの従業員等から提起されております。かかる訴訟等の解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、社会的関心・影響の大きな訴訟等が発生した場合、当社グループに対して損害賠償の支払等が命じられる場合等不利な判断がなされた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 社会的信用の低下に関するリスク
当社グループは、あまねく全国に広がる郵便局ネットワークを通じて、多数の郵便物・荷物の配達や金融サービスの提供を行っております。当社グループの商品、サービス、事業、従業員、提携先又は委託先企業に関連して、郵便物の管理上の不備・遅配・誤配及び破棄・紛失等、配達員による交通事故、銀行口座やクレジットカードの不正利用、キャッシュカードの盗難、マネー・ローンダリング、テロ資金供与等の犯罪、サイバー攻撃等によるシステム・トラブルや個人情報その他の機密情報の漏えい、不正行為、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に反する行為、反社会的勢力との取引、労働問題、ハラスメント(業務の適正な範囲を超える言動等)、事故、業務上のトラブル、社内規程・手続違反、不祥事等が発生した場合には、当社グループ及び当社グループ各社が提供するサービスに対する社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではかかる事態の発生を未然に防止するため、グループ会社全社員へのコンプライアンス教育や「お客さま本位の業務運営」の徹底を通じ、影響の低減に努めておりますが、これらの施策にもかかわらず上記のような事態が生じた場合、社会的信用の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」が2019年12月18日付で公表した調査報告書では、当社グループにおいて、「不適正募集の実態把握につながる現場の声が経営陣に届かない」、「リスク事象を探知した際の原因追究・解決の先送り」、「問題の矮小化」並びに「部門間の横での連携不足及び上意下達のもとでの情報伝達の目詰まり」といった企業風土又は組織文化が従前から存在してきたことが指摘されていました。当社グループにおいては、経営陣主導のもと、かかる企業風土又は組織文化の健全化に取り組んでおりますが、かかる取組みが功を奏しない又は功を奏するまでに想定以上の時間を要する場合には、類似の事案が発生する結果、当社グループの社会的信用が低下する、又は当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループ又は当社グループが行っている事業全般に対する風評・風説が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板やSNSへの書込み等により拡散した場合、また、報道機関により否定的報道が行われた場合には、仮にそれらが事実に基づかない場合であっても、当社グループが提供するサービスの公益性、事業規模、社会における認知度・注目度等を背景に、当社グループは、顧客や市場関係者等から、否定的理解・認識をされ、又は、強い批判がなされる可能性があり、それにより当社グループ、商品、サービス、事業のイメージ・社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3.事業運営に関するリスク
(1) 中期経営計画に関するリスク
当社グループは国内外の市場金利、為替、株価、経営環境(消費税増税を含む。)、競争状況、営業費用等多くの前提に基づいて中期経営計画を策定し、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等の業務に係る中期的な事業戦略・方針を定めております。しかしながら、将来の戦略、計画、方針等には様々なリスク等が内在しており、当社グループの施策が奏功しなかった場合、又は、当社グループの採用した前提と異なる状況が生じた場合には、当該計画の実現又は目標の達成ができない可能性があります。また、市場金利の低下に伴う保険料の値上げなどにより貯蓄性商品の新契約の獲得実績が想定以上に減少していることに加えて、保険募集プロセスの品質事案等の影響で新契約の獲得が計画通り進まない、又は、既存の契約の解約数が増加する可能性があり、かかる場合、当該計画期間終了後も新契約の獲得や既存の契約の維持については、厳しい状況が継続することが見込まれます。
加えて、2019年12月27日に日本郵便及びかんぽ生命保険は監督当局から業務停止命令を受け、2020年1月1日から2020年3月31日までの間、かんぽ生命保険の商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止(顧客からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集及び保険契約の締結を除きます。その他、当局が契約者保護の観点から必要とされる業務として個別に認めたものを除きます。以下、同じ。)し、4月以降も積極的な商品の提案を控えていること、歴史的な低金利環境の長期化に加え、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う事業環境の悪化による影響等から、当該計画における目標の達成が困難になっていると認識しております。
さらに、金融2社等当社グループ各社が保有する有価証券の価値の低下による減損損失、売却損の計上やその他有価証券評価差額金の減少等により当社グループ各社からの配当収入が減少する結果、当社では十分な配当可能額が確保できず、中期経営計画における配当目標を達成できない可能性があります(2020年5月に開示した配当予想において、2021年3月期は、中間配当は行わず期末配当の年1回とし、通期の配当額は未定としております。)。なお、当社は将来的な国際財務報告基準(IFRS)の適用を検討しており、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) グループ外の企業との資本・業務提携、外部委託及び企業買収並びに業務範囲の拡大等に伴うリスク
当社グループは、当社グループ外の企業との間で、様々な業務に関し、資本・業務提携、外部委託を行っております。当社は、2018年12月19日に、下記「4 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との戦略提携に合意し、2020年2月13日をもってアフラック・インコーポレーテッド普通株式の発行済株式総数(自己株式を除く。)の約7%の取得を完了いたしました。このようなグループ外の企業との資本・業務提携については、資本・業務提携先との間における、戦略上若しくは事業上の問題又は目標の変更や当社グループとの関係の変化等により、期待通りの効果が得られない可能性や、投資に見合うリターンを得られない可能性、当社グループの既存事業に負の効果を及ぼす可能性も否定できません。このような場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、資本・業務提携先、外部委託先において、業務遂行上の問題が生じ、商品・サービスの提供等に支障をきたす場合、顧客情報等の重要な情報が漏えいする等の事故、違法行為、不正行為、不祥事等が発生した場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが、他の企業を買収するに当たっては、買収先企業や買収先事業を効果的かつ効率的に当社グループの事業と統合できない可能性、買収先企業の重要な顧客、仕入先、その他関係者との良好な関係を維持できない可能性、買収資産の価値が毀損し、損失が発生する可能性などがあります。また、想定した事業環境と異なる状況が発生する可能性、経営陣を含む人材流出・不足等の可能性などがあります。このような事象が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後の業務範囲の拡大については、当社グループが業務範囲を拡大することができたとしても、限定的な経験しか有していない業務分野に進出した場合、競争の激しい分野に進出した場合や業務拡大により過度の人的・物的負担が生じた場合等において、業務範囲の拡大が功を奏する保証はなく、当初想定した成果をもたらさず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 情報通信システム及び個人情報その他の機密情報の漏えいに関するリスク
当社グループのコンピュータシステムは、顧客や各種決済機構等のシステムとサービスの提供に必要なネットワークで接続されるなど極めて重要な機能を担っております。これらについて、地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪、火災等の自然災害やテロリズム等に加えて、人的過失、事故、停電、ハッキング、コンピュータウイルスの感染、サイバー攻撃、システムの新規開発・更新における瑕疵、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵等により重大なシステム障害や故障等が発生する可能性があります。こうしたシステムの障害、故障等が生じた場合に、業務の停止・混乱等及びそれに伴う損害賠償、行政処分、社会的信用の低下、対応や対策に要する費用等が発生することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等を営んでおり、多くの顧客や取引先等から様々な情報を取得しているほか、事業・人事などに関する多数の情報を保有しており、これらの情報については、郵便法、銀行法、保険業法、金融商品取引法等のほか、個人情報の保護に関する法律等に基づき適切に取り扱うことが求められております。そのため、当社グループのコンピュータシステムの障害・故障その他の理由により、当社グループが保有する個人情報及び機密情報等の外部への漏えいが発生した場合は、損害賠償や当該事案への対応費用、行政処分、社会的信用の低下による顧客の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、かかる事態に対処するため、外部の専門人材を活用した多層な防御対策の活用等により、システム障害等の発生の未然防止に努め、また不正アクセス等サイバー攻撃に対しては、入口でのメールやWeb閲覧に対するウイルス対策、外部デバイスの接続制限、出口での許可された通信先以外の分離・遮断等の多層防御を図るとともに、当社グループのセキュリティ担当役員によるグループサイバーセキュリティ委員会を設置し、グループ全体でセキュリティの高度化を推進するとともに、セキュリティ専門家による点検・指導、対策推進等サイバー攻撃への対応に努めております。しかしながら、かかる施策によっても完全にシステム障害や高度化するサイバー攻撃等を防ぐことは困難であり、特に近年、不正アクセス等サイバー攻撃による企業・団体が保有する個人情報等の漏えいが多発しており、新型コロナウイルス感染症の拡大抑止のための在宅勤務(テレワーク)の増加、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、かかる脅威は今後さらに増大する可能性があります。また、当社グループは、基幹ITシステムを含む当社グループのITシステムのアップグレードを行っており、かつ、新規のシステム投資を行うこともありますが、かかる作業の遅延、失敗、多額の費用発生により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人材の確保に関するリスク
当社グループにおいては、昨今の労働力不足により、郵便・物流業務に従事する配達又は運送に係る車両の運転手をはじめとして各種人材の確保が困難となる可能性があります。
また、当社グループは、保険数理、資産運用、銀行・保険の各種業務、商品の販売・募集、会計、金融業規制、法令遵守、IT等に係る資格、高度の専門性及び経験を有する有能な人材を必要としており、新規採用・中途採用を通じ、人材の確保に努めるとともに、かかる人材の育成にも努めております。併せて、女性の労働力確保を含め、ダイバーシティ・マネジメントを推進することとしており、多様な社員が個性や能力を十分に発揮し活躍できるよう、制度や環境の整備等に努めております。しかしながら、当社グループが魅力的な条件を提供できず、有資格者や有能で熟練した人材の採用若しくは育成及び定着を図ることができなかった場合、又は、適切な育成環境を整備できない場合や、人事処遇や労務管理等の人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等が発生した場合には、当社グループの事業の競争力若しくは業務運営の効率性が損なわれ、人材の適合性、多様性を確保することができず、又は人材の流出・不足等を招き人件費単価が上昇するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、かかる事態に対処するため、人事・処遇制度の改定による労働環境の改善、業務の機械化・デジタル化の推進による労働力に依存しないビジネスモデルへの転換等を図っていますが、これらの対策によっても、厳しい人材獲得競争下において必要な人材を適切に確保できる保証はなく、また業務の機械化・デジタル化が当社グループの想定通りに進捗しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 固定費負担に関するリスク
当社及び日本郵便は、ユニバーサルサービス提供義務に基づき、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を、全国に広がる郵便局ネットワークを通じて全国の顧客に提供しております。そのため、当社グループの郵便・物流事業及び金融窓口事業においては、全国各地の郵便局及び配送拠点等に係る設備費、車両費等の多額の固定費に加え、多数の郵便局員その他の従業員の給与等の人件費が発生しております。
人件費においては、労使交渉・労働法制の変更等を受けて従業員への給与等を増額した場合には、それが一人あたりは比較的小さな増額であっても、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、高齢化に伴う厚生年金保険料率、雇用保険料率及び健康保険組合保険料率の引き上げなどによる福利厚生費の上昇も想定されます。
当社及び日本郵便は、今後、地方における過疎化の進展、企業活動又は個人の消費活動の縮小、電子メール等インターネットやウェブサイトを通じた通信手段、金融サービスの普及等を背景に、郵便物や荷物の取扱数量又は郵便局窓口での金融・保険商品の販売量の減少等、当社グループが郵便局を通じて提供するサービスの利用が減少した場合であっても、ユニバーサルサービスを維持する法的義務があり、収益性の低い事業又は拠点等を縮小する等の対応が制限されているため、かかる方法により固定費を削減することが困難となる可能性があります。当社グループの提供する商品及びサービスの内容、対象若しくは対価を変更し若しくはその提供を中止し、又は、郵便局ネットワークを縮小するなどの対応ができず、又は、制約され、かかる固定費に見合った収益を挙げられない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) リスク管理方針及び手続の有効性に係るリスク
当社グループは、リスク管理に関する規程を定め、リスク管理態勢を整備し、リスク管理を実施しております。しかしながら、当社グループのリスク管理は、過去の経験・データに基づいて構築されているため、将来発生するリスクを正確に予測することができず、新しい業務分野への進出や外部環境の変化等によりリスク管理が有効に機能しない可能性があります。
また、当社グループがリスク管理の方針及び手続を策定する際、参考又は前提とした情報が真実性、正確性、完全性又は合理性に欠ける場合には、当社グループのリスク管理の有効性に悪影響を与える可能性があります。
さらに、当社グループの事業に内在するリスクを管理するためには、膨大な取引や事象の適切な記録、審査、調査等に係る方針及び手続の有効性や効率性等が重要ですが、かかる方針や手続が万全とは言えない可能性があります。
当社グループは、経営環境、リスクの状況等の変化に応じ、リスク管理態勢全般について随時見直しを行い、万全のリスク管理態勢を構築するよう努めておりますが、当社グループのリスク管理態勢が有効に機能しない場合や、欠陥が発生した場合等には、当社グループが予期していなかった損失を被る可能性や、当社グループ各社が行政処分を受ける可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業拡大に伴い、リスク管理態勢の増強も必要となりますが、事業の拡大に比してリスク管理態勢の拡充が十分ではない場合等においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4.財務に関するリスク
(1) 保有株式及び固定資産の減損損失に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた株式市場の混乱の影響を受けるなど、当社が保有する金融2社等の株式の株価又は実質価額が低下しております。これらの株式の株価等が取得した価額に比べて著しく下落し、回復する可能性があるとは認められない場合には、減損損失を計上することになり、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これにより当社の分配可能額が減少し、会社法の規定により当社株主への配当の支払いが困難となる可能性があります。
当社の所有する金融2社株式の帳簿価額については、「Ⅶ.金融2社株式売却等に関するリスク (4) 当社による金融2社株式の売却に関するリスク」をご参照ください。
また、当社グループは、郵便・物流事業、金融窓口事業及び国際物流事業を中心に、多額の固定資産を所有しております。経営環境の変化や収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で、貸借対照表において繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合、繰延税金資産が減額され、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 退職給付債務に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は、前提条件に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループにおいて退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、従業員の退職が一定期間に集中するような場合には、退職給付金の支払いのために多額の資金が必要となり、その結果、通常業務又は設備投資等への資金充当の柔軟性に制約が生じる可能性があります。
(4) 財務報告に係る内部統制に関するリスク
当社は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書を提出すること及び監査法人による監査を受けることを義務付けられております。当社グループは、財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制の評価及び報告に関する規程等を制定し、財務報告に係る内部統制について必要な体制を整備しております。また、評価の過程で発見された問題点等は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、財務報告に係る内部統制が有効でない場合には、当社グループの財務報告の適正性を確保できず、その信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 格付けの低下に関するリスク
当社は、格付機関より信用格付を取得しておりますが、財務内容の悪化、日本国債の格下げ等により当社の信用格付が格下げとなった場合、著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 管理会計等に係る内部管理に関するリスク
本書には、日本の会計基準によらず外部監査を受けていない管理会計等に基づく数値・分析等が含まれております。当社は、これらについても正確性の確保に努めておりますが、管理会計等に係る内部管理が十分でない場合等には、当該数値等の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅲ.郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業に関するリスク
(1) 金融窓口業務のサービス品質に関するリスク
かんぽ生命保険及び日本郵便におけるお客さまのご意向に沿わず不利益が生じた保険契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案の判明、2019年12月の監督当局による行政処分を受け、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの信用は大きく低下している状況にあり、早期の信用回復が最重要課題と認識しております。当社グループは、2020年1月31日付で監督当局に提出した業務改善計画に基づき、適正な営業推進態勢・募集管理態勢の確立、コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成、ガバナンスの抜本的な強化などの施策や取組み等を実施し、保険募集プロセスの品質改善を通じ、お客さま本位の業務運営を徹底することとしております。しかし、これらの取組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の時間を要する場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信用回復に大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに取組みによる効果が発揮されるまでの間に再度同種の事案が判明する等の場合には、当社グループの社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
かんぽ生命保険及び日本郵便は、多数契約等の全ご契約調査の更なる深掘調査や、これらに関連する保険契約を受理した募集人調査等を継続して行っておりますが、これらの調査については、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、計画が遅れる可能性があります。また、今後、当該調査等を通じて、お客さまのご意向に沿わず不利益となる他の事例や法令違反又は社内ルール違反となる他の事例が追加で判明する等の場合には、当社グループの社会的信用にさらに影響を与える可能性があります。さらに、今後行われる募集人処分(業務停止等)の規模や程度によっては、新契約の獲得の減少又は既存契約の解約数の増加を招く可能性があるほか、追加での調査やお客さまの不利益の解消に向けた保険契約手続き(契約復元等)によって追加的な費用を要する可能性もあります。
2019年7月以降、郵便局からの一部商品を除く金融商品全般についての積極的な営業を控えていたことに加えて、2019年12月27日に日本郵便及びかんぽ生命保険は監督当局から業務停止命令を受けたことにより、2020年1月1日から2020年3月31日までの間、かんぽ生命保険の保険商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止しておりました。有価証券報告書提出日時点においては、当該業務停止命令期間は終了しているものの、上記のご契約調査に関する対応や募集品質の改善に向けた取組みに最優先で対応するため、積極的なかんぽ生命保険の保険商品のご提案を控えている状況にあります。その結果、通常よりも新契約の獲得が進まないなどの理由により、当社グループの業務運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、積極的なかんぽ生命保険の保険商品のご提案ができない期間がより長期にわたり継続する場合には、新契約の獲得なども引き続き進まないことにより、当社グループの中期的な事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、日本郵便による積極的な営業を行えないことから、日本郵便の営業社員が報酬の低下等により離職する又はモチベーションを喪失すること、さらに新しい人材の確保に悪影響を及ぼすことにより、日本郵便で取り扱う金融商品の営業活動の円滑な再開に影響を及ぼす可能性があります。さらに、日本郵便からお客さまに対する通常のご提案が可能となったとしても、当社グループへの信用の低下等により、日本郵便が取り扱う金融商品の販売が回復しない場合には、日本郵便が受領する金融2社及びその他の提携金融機関からの受託手数料の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、今後の業務改善計画の進捗及び改善状況によっては、さらなる行政処分を受ける可能性があり、また、保険募集プロセスの品質事案に関連して、保険契約者等から訴訟を提起された場合にも、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 郵便・物流事業における経営環境の変化に関するリスク
郵便・物流事業においては、近年のeコマース市場の拡大に伴う宅配便需要の急激な増加とこれによる労働力の不足といった経営環境の急激な変化が顕在化しており、他の主要な物流事業者等においては、基本運賃や大口顧客向け特約運賃の値上げを含む契約条件の改定、配達時間帯や再配達に係るサービス内容の見直し、労働環境又は労働条件の改善のための取組みを行っているものも見受けられます。当社グループがこのような経営環境の変化に適時かつ適切に対応できなかった場合、当社グループの競争力、収益性、人材の確保等に影響し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
電子メール、SNSやスマートフォンの普及に加え、当社グループの顧客における請求書や取引明細書等の電子メール送信・WEB閲覧の浸透等の影響により、郵便物数は年々減少を続けており、今後もかかる傾向は継続することが予想されます。また、当社グループの郵便・物流事業における重要な収益の柱となっている年賀状の配達数も年々減少傾向にあり、国民の生活様式や社会慣行の変化等の要因により、今後も減少傾向が進む可能性があります。
日本郵便は、人件費単価の上昇や、大型の郵便物等の増加を背景とした持戻り・再配達の増加等に伴い、引き続き安定的なサービスの提供を維持するため、2017年6月1日に第二種郵便物及び定形外郵便物の料金並びにゆうメールの運賃の改定を、2018年3月1日にゆうパックの運賃の改定等をそれぞれ行いました。 さらに、2019年用年賀葉書から、2017年6月1日の料金改定の際に据え置いた料金を、通常葉書の料金と同額に改定しました。加えて、消費税増税に伴い2019年10月1日に郵便料金及び荷物運賃の改定を行いました。これら郵便料金の改定等により、当社グループが取り扱う郵便物等の数に影響を及ぼす可能性があります。これらの事情により、当社グループの郵便・物流事業において取り扱う郵便物等の数が減少し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 金融2社からの金融窓口業務の受託に関するリスク
日本郵便が金融2社との間で締結している銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等に基づく受託手数料は、銀行法・保険業法に定められたアームズレングスルール等を遵守することが求められており、恣意的な変更が行われることは想定しておりませんが、今後、上記各窓口業務契約等が、合理的な理由に基づき受託手数料の額を減額する又は対象となる業務の範囲を限定する等、日本郵便にとって不利に改定された場合には、当社グループの金融窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。また、特にゆうちょ銀行から受け取る受託手数料については、ゆうちょ銀行の直営店での業務コストをベースに、日本郵便での取扱実績に基づいて委託業務コストに見合う額が算出されるため、ゆうちょ銀行において業務コストの削減が行われた場合には、当社グループの金融窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。さらに、これらの受託手数料の一定部分は、日本郵便において取り扱われた業務の量にかかわらず一定の計算方法により算定されるものとされていますが、今後仮に金融2社が日本郵便における業務量に比例する受託手数料の割合を高めようとする場合には、当社グループの金融窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。
また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行され、2020年3月期から郵便局ネットワーク維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便が負担すべき額を除く)は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われることとなり、これを契機に委託手数料が見直されました。かかる交付金・拠出金制度の下で、今後も同手数料が見直される場合があり、その内容によっては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2020年3月期における銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等に基づく各社からの受託手数料並びに郵政管理・支援機構から交付される交付金は、それぞれ3,697億円及び2,487億円並びに2,952億円であり、それぞれ当社グループの金融窓口事業セグメントにおける経常収益の約28%及び約19%並びに約23%を占めています。
当社グループとしては、今後もユニバーサルサービスが利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、日本郵便と金融2社との関係を引き続き強化していく所存であり、当社が金融2社の株式を処分したことにより当社による両社への影響力が低下・消滅した場合においてもこの関係は変わるものではないと当社としては考えております。しかし、金融2社はユニバーサルサービスの提供に係る法的義務を負うものではなく、金融2社が、郵便局ネットワークに代替する販売チャネル(例えば、ATMの相互利用、オンライン取引、グループ外の企業への委託を含みますがこれらに限られません。)をより重視するようになった場合等や、窓口業務の健全・適切な運営確保の観点から特段の事由が生じた場合等、銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等の解除が発生した場合には、当社グループの金融窓口事業の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 国際物流事業に関するリスク
① トール社の業績に関するリスク
国際物流事業を担うトール社の事業の内、特に豪州国内物流を中心とするエクスプレス事業の業績は、豪州経済の影響を大きく受けております。今後、新型コロナウイルス感染症による経済の影響や資源価格が下落し、豪州経済が低迷した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
トール社の業績は、日本郵便による買収後に悪化し、当社は、2017年3月期の連結決算において、国際物流事業に係るのれん及び商標権の全額3,923億円並びに有形固定資産の一部80億円(合計4,003億円)の減損損失を特別損失として計上しております。
このような状況を受け、トール社の業績回復・将来の成長への基盤を整えるための対策や、トール社の高成長地域への集中及び高成長分野への進出等の成長戦略を講じているところですが、かかる経営改善策及び成長戦略が功を奏せず、トール社の業績が向上しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、トール社の保有する物流設備その他の固定資産について更なる減損損失を計上する可能性もあります。
さらに、2020年1月にトール社は標的型サイバー攻撃を受け、一時的に全システムのシャットダウンを実施し、サービスの提供に影響を及ぼしました。さらに、同年5月に別の標的型サイバー攻撃を受けたことにより、再び全システムのシャットダウンを実施するとともに、情報流出が確認されたため、情報流出範囲の特定等、必要な対策を講じています。今後もサイバー攻撃を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、トール社は日本郵便の買収以前に多数の企業買収を行い、事業統合を実施している過程にありますが、当社グループとの事業統合も含め統合が予定通り進捗しない場合には、複数のビジネス・ユニットによる取引先の競合やオペレーションの重複等が解消されないこと、複雑な業務及び設備、並びに異なる地理的エリアに存する多様な企業風土と異なる言語に基づく従業員を十分に管理できないこと、トール社と競合関係にある同業他社が、トール社より優れた革新的な商品、サービスを提供することで、トール社のマーケットシェア及び利益が低減すること、自然災害、事故等により、基幹ITシステム、主要な輸送手段、倉庫が損害等を受けること、さらには、買収時に発見できなかった問題が発生すること等により、当社グループ又はトール社の事業に負の効果を及ぼして、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② トール社に適用される規制等
国際物流事業を担うトール社は、豪州を中心に、アジア太平洋地域等におけるフォワーディング、コントラクトロジスティクス等の国際的な事業活動を行っており、関連する国・地域の事業許可や租税に係る法・規制、運送、貿易管理、贈収賄防止、独占禁止、為替規制、環境、各種安全確保等の法・規制の適用を受けております。法令等の改正や新たな法規制等により、当社グループの競争条件が悪化したり、事業活動の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会等の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 為替変動・国際財務報告基準の適用のリスク
国際物流事業を担うトール社の連結財務諸表は外貨建て(豪ドル)で作成されていることから、大幅な為替相場の変動が生じた場合、外貨建ての資産・負債等が当社の連結財務諸表作成のために円換算される際に為替相場の変動による影響を受けるため、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、トール社の連結財務諸表は国際財務報告基準が適用されていることから、国際財務報告基準の変更により、当社グループの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 金利変動等のリスク
トール社は、継続的に設備投資等を行っており、投資にあたっては自己資金を投入しているほか、金融機関からの借入等に依存する割合も少なくありません。トール社による金融機関からの借入に際しては、日本郵便が債務保証を行っているものの、借入等の利息は、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 不動産事業に関するリスク
当社グループは、金融窓口事業において、日本郵便が保有する不動産を有効活用して事務所・商業施設・住宅等の賃貸・管理事業、分譲住宅事業等の不動産事業を営んでおります。当該事業については、国内外の景気又は特定地域の経済状況や人口、市場における需給等の変化により、不動産価格や賃貸料の下落、空室率の上昇、建築資材の価格や工事労務費等の高騰、たな卸資産の増加、さらに、法的規制の変更、大規模災害や感染症の発生等の影響を受ける可能性があります。特に今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言等を受けた深刻な経済活動の停滞により、テナント賃料の減額、空室率の上昇、開発中の案件における竣工時期の遅延等が想定され、収束後も、ライフスタイルや働き方の変容により、オフィス需要の変化等の影響を受ける可能性があります。これらの事象により、当社グループの不動産事業の収益や費用に影響を及ぼしたり、保有不動産等に評価損・減損損失や売却損が発生する可能性があります。また、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅳ.銀行業に関するリスク
(1) 市場リスク
ゆうちょ銀行が保有する金融資産・負債の多くは、市場の変動による価値変化等を伴うものであります。ゆうちょ銀行では、中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALM(Asset Liability Management)の枠組みの下、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行っている他、ストレス・テストや損益シミュレーション等を実施することにより、市場リスク等を適切に管理するよう努めております。しかし、かかる管理にかかわらず、例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大による歴史的な市場の動揺、さらに世界経済への深刻な影響あるいはその懸念等を背景にした大幅な市場変動等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。
① 金利リスク
ゆうちょ銀行が保有する日本国債(2020年3月末日現在、53.6兆円・総資産額の25%)や外国証券(2020年3月末日現在、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)は65.6兆円・総資産額の31%)などの金融資産と、定額貯金をはじめとする貯金や外貨を含む市場性調達の負債の期間や金利更改サイクル等には、差異が存在します。このため、金利(長期や短期の金利)の変動は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当連結会計年度末現在において、日本国債の一部の金利がマイナスとなる等市場金利は歴史的な低水準にあり、さらに、今後の金融政策の動向によりかかる金利水準が長期に亘り継続し又は低下する場合、運用収益の減少に比して、相対的に貯金の調達コストが減少しないことにより、資金粗利鞘が減少し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、市場金利の変動は、ゆうちょ銀行の債券ポートフォリオ等の価値に影響を及ぼします。例えば、国内外の景気変動、中央銀行の金融政策、日本国政府の財政運営やその信認の変化等、様々な要因により市場金利が上昇した場合、保有する債券等の価値下落によって評価損・減損損失や売却損等が生じ、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、定額貯金(2020年3月末日現在、90.0兆円・総貯金額の49%。預入から6か月経過後は払戻し自由、3年までは6か月ごとの段階金利、それ以降は固定金利の10年満期・複利貯金)について、急激な市場金利上昇等により、事前のリスク管理の想定を超える貯金流出や預替えが発生した場合にも、計画以上の運用原資の減少や調達コストの上昇を通じて、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、ゆうちょ銀行は、金利リスク状況のモニタリングの一環として、監督当局による「主要行等向けの総合的な監督指針」において定められた重要性テストの過程で用いられる手法に基づき、金利変動による資産・負債の経済価値の減少額(以下「ΔEVE」)を計測しております。2020年3月末日現在、ゆうちょ銀行のΔEVEの最大値は重要性テストにおける評価基準である自己資本の額の20%を超えております。ΔEVEで計測した金利リスクに対し、自己資本の余裕を十分に確保しているものと認識しておりますが、金融庁から深度ある対話を行う必要が認められる銀行と判断される場合には、対話を通じて共有された課題認識に基づき、原因への対応も含めて必要な改善対応を求められる可能性があります。
重要性テストの適用については、監督指針において、「ゆうちょ銀行は、法令上、一部の資産について国債等の安全資産の保有が義務付けられているため、(重要性テストに該当する場合の)監督上の対応をするにあたっては、当該特殊事情を適正に勘案することとする。」とされております。
また、国際的な金融規制の流れを考慮し、内部管理として、国際統一基準行目線での管理も行っております。
② 為替リスク
ゆうちょ銀行は、収益源泉・リスクの分散を目的に、運用の高度化・多様化の一環として国際分散投資を進め、外国証券の保有が増加しておりますが、外貨建て資産の一部については為替リスクを軽減するヘッジを行わない、又は短期のヘッジを行うことがあります。その結果、大幅な為替相場の変動が発生した場合、ヘッジしていない部分に差損が発生し、又はヘッジコストが上昇すること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 株式価格変動リスク
ゆうちょ銀行は、直接又は金銭の信託や投資信託を通じて間接的に、株式を保有することがあることから、国内外の経済状況又は市場環境の悪化や低迷等によって株価が下落する場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場流動性リスク
ゆうちょ銀行では、市場流動性を確保する観点から、流動性が低い資産への投資が過大にならないよう、また、市場規模に比して過大なポジションを保有することがないよう、基準を設定することにより、市場流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、経済状況の著しい悪化や金融市場の混乱、銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が低下する場合等には、当社グループが国内外の市場で取引・決済ができなくなることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされること等により、損失を被る可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 資金流動性リスク
ゆうちょ銀行では、安定的な資金繰りを達成するため、資金の受払いの差額について基準を設定しているほか、予期しない資金流出等に備え、流動性の高い資産の保有額に基準を設定することにより、資金流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、当社グループの業績や財政状態の悪化、風評等の発生や、予期せぬ資金流出、運用と調達の期間のミスマッチ(差異)等、また、当社グループの収益力・信用力の低下、日本国債の格下げ等の影響を受けたゆうちょ銀行格付の引き下げにより、円貨・外貨の必要資金確保が困難になる、又は、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、損失を被る可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 信用リスク
ゆうちょ銀行では有価証券発行体や貸出先などの債務者に対し、内部格付を付与の上、定期的にモニタリングを行う他、個社・企業グループ及び国・地域に対するエクスポージャーの上限管理等を実施することにより、信用リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、債務者において、例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大による国内外の経済情勢(景気・信用状況等)への深刻な影響や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、誤った経営判断、不祥事等の発生、その他不測の事態により財政状態が悪化した結果、ゆうちょ銀行の与信関係費用が増加又はゆうちょ銀行が保有する有価証券等の価値が下落することによって評価損・減損損失や売却損等が生じ、当社グループの事業、業績、財政状態及び自己資本の状況に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。
(5) オペレーショナル・リスク等
ゆうちょ銀行の業務においては、事務リスク、システムリスク、情報資産リスク、訴訟等に係るリスク、人事リスク、レピュテーショナル・リスク、法令違反等(横領その他の犯罪行為、テロ資金供与、インサイダー取引規制等違反、お客さまの属性に照らし不適合な説明や資産運用商品の販売等、法令・諸規則等を遵守できない等のミスコンダクトリスクが発生する等)に係るリスク、マネー・ローンダリング等に係るリスク、災害リスク等のオペレーショナル・リスクが存在します。ゆうちょ銀行では日本郵便等と連携し、各種取組みを通じて事故や不正の防止に努めておりますが、これらのオペレーショナル・リスクを適切に管理できず、リスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 代理店を通じた営業に係るリスク
ゆうちょ銀行は、銀行代理業務の委託契約等に基づき日本郵便に銀行代理業務等を委託しております。ゆうちょ銀行の店舗23,881(2020年3月末日現在)のうち23,647が代理店(郵便局)となっており、貯金残高の約9割が代理店で開設された口座への預入による等、ゆうちょ銀行の事業は、代理店である日本郵便の郵便局ネットワークによる営業に大きく依拠しております。
従って、コミュニケーション手段の多様化、競合するネットワークやサービスの利便性向上等により、ゆうちょ銀行の代理店である郵便局の利用者数や利用頻度が減少したり、代理店で取り扱うゆうちょ銀行の商品・サービスの種類や代理店数が減少した場合、また新型コロナウイルスの感染拡大により、利用者数が減少等した場合、ゆうちょ銀行の代理店業務に従事する従業員の確保やその教育が十分でない場合、郵便局で取り扱う競合商品との競争が激化する場合、日本郵便が人材等のリソースをゆうちょ銀行の商品・サービス以外に優先的に配分する場合等においては、ゆうちょ銀行の貯金等や新商品等の販売が伸びず、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2019年7月に、当社グループは、かんぽ生命保険及び日本郵便におけるお客さまのご意向に沿わずに不利益が生じた契約乗換等に係る事案の判明を受けて、2019年7月以降、郵便局の取り扱う金融商品全般(一部商品を除く。)についての積極的な営業を控えております。今後、日本郵便からお客さまに対する通常の提案が可能となったとしても、当社グループへの信用の低下等により、日本郵便が取り扱うゆうちょ銀行の金融商品の販売が回復しない可能性があります。その結果、ゆうちょ銀行が委託している投資信託の販売等に影響し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、ゆうちょ銀行は、上記の銀行代理業務の委託契約等に基づき、郵便局を商品・サービスの販売・提供のメインチャネルとし、相当額の委託手数料を日本郵便に対して支払っておりますが、当該委託手数料の算定方法その他の条件がゆうちょ銀行と日本郵便との間の合意により見直されたり、当該契約等が解除され代替委託先等を適時に確保できない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 事業環境等に係るリスク
① ユニバーサルサービスの提供に係るリスク
ゆうちょ銀行は、日本郵便との間で銀行窓口業務契約を締結しており、日本郵便は全国の郵便局で、ゆうちょ銀行の基本的な商品・サービスを、日本郵便株式会社法に基づくいわゆるユニバーサルサービス提供に係る法的責務の履行として提供しております。ゆうちょ銀行は、法令上この責務を直接負わないものの、郵便局で使用するATM・窓口端末機など銀行委託業務に係るITシステムの導入・運行コストとともに(なお、当該ITシステムはゆうちょ銀行が所有。)、同業務に従事する日本郵便の従業員の指導・教育等を通じ、ユニバーサルサービス提供に係る一定のコストを負担しております。その結果、より収益性の高い業務や地域への経営資源配分が制約されること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、銀行窓口業務契約は、期限の定めがなく、また、本契約に定める特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り、解除できないものと定めております。また、ゆうちょ銀行の定款には、日本郵便と銀行窓口業務契約を締結する旨規定しているため、当該契約を終了させる場合には、定款の変更を要します。従って、ゆうちょ銀行が銀行窓口業務契約を終了させるためには、これらの手続等を充足させる必要があります。一方、本契約が終了した場合にも、ゆうちょ銀行の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これによって2020年3月期からゆうちょ銀行と日本郵便との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。そのため、ゆうちょ銀行直営店での業務コストの増減にかかわらず、拠出金と委託手数料の合計額が将来的に増加する可能性があります。また、今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 経済・社会情勢、市場に係るリスク
ゆうちょ銀行が行う当社グループの銀行業は、その収益の多くが日本国内での貯金調達や国内外での有価証券運用によって得られており、国内外の景気・信用状況や人口動態等の経済・社会情勢、金利・為替等の市場の変動・悪化が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、消費税率の引き上げによる家計の可処分所得の低下や、少子高齢化に伴い、日本の貯蓄率・預金水準が低下し、ゆうちょ銀行の貯金残高が減少する可能性があります。また、足元の新型コロナウイルス感染症の拡大に見られるように、国内外の金融市場に歴史的な動揺等が生じた場合、ALMやリスク管理態勢が期待通り奏功せず、ゆうちょ銀行の事業の低迷や資産内容の悪化、資金調達力・資産流動性の低下等が生じる可能性があります。このような場合、中長期的な収益の確保を目的とした運用の高度化・多様化が、目的に即した結果を生まない可能性もあります。
(8) 事業戦略・経営計画に係るリスク
ゆうちょ銀行は、「『やっぱり、ゆうちょ』と言われることを、もっと。」のスローガンの下で、「お客さま本位の良質な金融サービスの提供」、「運用の高度化・多様化」、「地域への資金の循環等」、「経営管理態勢の強化」を主な戦略として、2018年度から2020年度までを計画期間とする中期経営計画を推進しております。しかしながら、これらに向けたゆうちょ銀行の事業戦略・経営計画は、各種のリスクにより実施が困難となり、又は有効でなくなる可能性があります。また、事業戦略・経営計画の策定時に前提とした各種の想定が想定通りとならないこと等により、当初計画した成果が得られない可能性もあります。特に、市場(金利・為替等)・経済情勢(景気・信用状況等)等が計画策定時の想定通り安定推移しなかった場合、例えば、市場金利の低下による運用利回りの減少によって計画が達成できない可能性、海外のクレジットスプレッド拡大によるゆうちょ銀行が保有する有価証券中の投資信託の特別分配金発生によって計画が達成できない可能性、国際分散投資等の高度化・加速を継続していく中で、適切なポートフォリオ分散を達成できない可能性、より高いリスクを有する運用資産の増加によって価格変動リスクを受けやすくなり、ゆうちょ銀行の事業、業績及び財政状態に及ぼす影響が大きくなる可能性があります。さらに、定額貯金の再預入や、投資信託の販売、運用・リスク管理・営業等の人材確保・育成が、想定通り進捗しなかった場合、総預かり資産の拡大等の計画が達成できなくなる可能性があります。また、減損損失、売却損の計上等により十分な利益水準が確保できない場合や、法令によりその他有価証券の評価損が発生した際は分配可能額から控除する必要があることから、相場変動によりその他有価証券の評価損が拡大し、分配可能額を確保できない場合等には、株主還元の目標が達成できない可能性があります。
Ⅴ.生命保険業に関するリスク
(1) 保険募集プロセスの品質事案に関するリスク
かんぽ生命保険及び日本郵便におけるお客さまのご意向に沿わず不利益が生じた保険契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案の判明、2019年12月の監督当局による行政処分を受け、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの信用は大きく低下している状況にあり、早期の信用回復が最重要課題と認識しております。
当社グループは、2020年1月31日付で監督当局に提出した業務改善計画に基づき、適正な営業推進態勢・募集管理態勢の確立、コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成、ガバナンスの抜本的な強化などの施策や取組み等を実施し、保険募集プロセスの品質改善を通じ、お客さま本位の業務運営を徹底することとしております。しかし、これらの取組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の時間を要する場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信用回復に大きな影響を及ぼす可能性があります。さらに取組みによる効果が発揮されるまでの間に再度同種の事案が判明する等の場合には、当社グループの社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
かんぽ生命保険及び日本郵便は、多数契約等の全ご契約調査の更なる深掘調査や、これらに関連する保険契約を受理した募集人調査等を継続して行っておりますが、これらの調査については、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、計画が遅れる可能性があります。また、今後、当該調査等を通じて、お客さまのご意向に沿わず不利益となる他の事例や法令違反又は社内ルール違反となる他の事例が追加で判明する等の場合には、当社グループの社会的信用にさらに影響を与える可能性があります。さらに、今後行われる募集人処分(業務停止等)の規模や程度によっては、新契約の獲得の減少又は既存契約の解約数の増加を招く可能性があるほか、追加での調査やお客さまの不利益の解消に向けた保険契約手続き(契約復元等)によって追加的な費用を要する可能性もあります。
2019年7月以降、郵便局及びかんぽ生命保険の支店からの積極的なかんぽ生命保険の保険商品のご提案を控えていたことに加えて、2019年12月27日に日本郵便及びかんぽ生命保険は監督当局から業務停止命令を受けたことにより、2020年1月1日から2020年3月31日までの間、かんぽ生命保険の保険商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止しておりました。有価証券報告書提出日時点においては、当該業務停止命令期間は終了しているものの、上記のご契約調査に関する対応や募集品質の改善に向けた取組みに最優先で対応するため、積極的なかんぽ生命保険の保険商品のご提案を控えている状況にあります。その結果、通常よりも新契約の獲得が進まないなどの理由により、当社グループの業務運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。かかる経営成績等への影響は、手数料支払の減少による利益の増加が先行するというかんぽ生命保険の利益構造の特性により、短期的には顕在化しにくいものの、積極的なかんぽ生命保険の保険商品のご提案を控える期間がより長期にわたり継続する場合には、かんぽ生命保険の経営成績、財政状態及び企業価値を表すEV(エンベディッド・バリュー)等の指標に影響を及ぼし、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、かんぽ生命保険の保険商品の営業社員が報酬の低下等により離職する、又はモチベーションを喪失することにより、かんぽ生命保険の通常の営業活動の再開に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、かんぽ生命保険及び日本郵便からお客さまに対する通常のご提案が可能となったとしても、当社グループの信用の低下等によりかんぽ生命保険の新契約の獲得が回復しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、今後の業務改善計画の進捗及び改善状況によっては、かんぽ生命保険の希望する商品の当局認可が得られないほか、さらなる行政処分を受ける可能性があり、また、保険募集プロセスの品質事案に関連して、保険契約者等から訴訟を提起された場合にも、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) ユニバーサルサービスの提供に関するリスク
かんぽ生命保険は、日本郵便との間で生命保険募集・契約維持管理業務委託契約及び保険窓口業務契約を締結しており、日本郵便は、郵政民営化法上のユニバーサルサービスに係る責務を履行するため、かんぽ生命保険の保険代理業務を受託し、全国の各郵便局において、かんぽ生命保険の商品及びサービスを提供しております。特に、保険窓口業務契約は、期間の定めのない契約であり、本契約に定める特段の事情がない限りかんぽ生命保険から一方的に解除することはできないこととされております。また、かんぽ生命保険の定款上、かんぽ生命保険は日本郵便との間で、保険窓口業務契約を締結する旨の規定が存在し、当該契約を終了させる場合にはかんぽ生命保険の定款変更が必要となります。従って、かんぽ生命保険が日本郵便との間の保険窓口業務契約を終了させるには、これらの手続等を充足する必要があります。
このように、かんぽ生命保険が、ユニバーサルサービスの提供義務を負う日本郵便との間で、解除することが困難な保険窓口業務契約を締結していることで、日本郵便がユニバーサルサービスを提供する上での関連保険会社としての地位を維持する契約上の義務を負うため、かんぽ生命保険の柔軟な事業展開が困難となる可能性があります。
また、今後ユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これによって2020年3月期からかんぽ生命保険と日本郵便との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。かんぽ生命保険の負担する拠出金と、日本郵便に直接支払う代理業務に係る委託手数料の合計額は、将来的に増加する可能性があります。また、今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 商品の集中に関するリスク
かんぽ生命保険の取り扱う商品は、個人向け生命保険、とりわけ養老保険・終身保険など貯蓄性の高い商品に集中しております。個人向け生命保険については、国内の雇用水準及び家計水準、代替商品であるその他の商品に対する相対的魅力、保険会社の財務健全性、社会的信用に対する一般的な認識、出生率及び高齢化といった日本の人口構成に影響を与える長期的な人口動態等の要因が、新規契約数や既存契約の消滅率に影響を及ぼしています。
また、かんぽ生命保険の顧客基盤(2020年3月末:お客さま数 約2,468万人(個人保険及び個人年金保険の契約者数並びに被保険者数の合計(かんぽ生命保険が受再している簡易生命保険契約を含みます。)))は中高年層及び女性の比重が高く、青壮年層の割合が相対的に低くなっております。
かんぽ生命保険は、一定の制約の下、青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに適切にお応えできる、競争力の高い新商品開発を目指しておりますが、これが想定通りに進捗しない場合には、中長期的な商品・販売戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 日本の人口動態に関するリスク
1970年代半ば以降、日本の出生率は総じて徐々に低下する傾向にあり、現在は世界で最低の水準にあります。これらの結果、15歳から64歳までの人口は減少傾向が続いており、この傾向が、日本国内における生命保険の総保有契約高の減少の主要な要因であると考えております。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、15歳から64歳までの人口は、今後も減少し続けるであろうと予測されております。こうした見通しの下、かんぽ生命保険は、人口減少や公的医療費の増加等の社会的課題を踏まえ、健康増進サービスやデジタルマーケティングの推進、青壮年層等を含むお客さまニーズにマッチした保障性商品等の開発等の検討を進めてまいりますが、お客さまニーズにマッチしたサービスの提供や商品開発ができない場合には、当社グループの業務運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 事業戦略・経営計画が奏功しないリスク
かんぽ生命保険は、現中期経営計画において、「保障重視の販売の強化」、「新たな顧客層の開拓」、「新商品開発」等に取り組むこととしておりましたが、現在、契約乗換等に係る事案の判明により積極的な募集活動を停止するなど計画策定時における前提が大きく変化しており、当該計画における目標を達成できない可能性があります。
かんぽ生命保険は、保有契約年換算保険料(個人保険)については、市場金利の低下に伴う保険料の値上げなどにより貯蓄性商品の新契約の獲得実績が想定以上に減少したこと及び契約乗換等に係る事案の判明により積極的な募集活動を停止していること、加えて2021年3月期においては保有契約年換算保険料にかかる目標及び営業目標を設定しないことから、中期経営計画における保有契約年換算保険料(個人保険)の目標達成は困難であると認識しております。
2022年3月期以降に営業目標を設定する場合においては、適正な募集品質に基づく営業力に見合った目標設定へ見直すとともに、新契約と契約継続を同じ重要度で評価できるよう、新契約と消滅契約(解約等)の月額保険料を差し引きしたストック目標の導入や、募集品質に係る評価項目の見直しを行う予定でありますが、かかる営業目標・評価基準等の見直しが奏功しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、かんぽ生命保険は、お客さま本位の営業活動の徹底と抜本的な改善策により、全社をあげて信用回復に取り組んでおりますが、かかる信用が早期に回復しないことにより、新契約の獲得が計画通り進まない場合や既存の契約の解約数が増加する場合には、当該計画における目標の達成が困難になるほか、当該計画期間終了後も新契約の獲得や既存の契約の維持については、厳しい状況が継続することが見込まれます。
さらに、かんぽ生命保険は、法令上可能な限りにおいて、新たな収益機会を得るため新規業務への参入を行うことがありますが、契約乗換等に関する事案の判明により信用が大きく低下している状況では、新規業務への参入が困難となる可能性があります。加えて、かんぽ生命保険は新商品の販売開始にあたって、郵政民営化法に基づく認可を取得する必要がありますが、当該認可が得られない可能性や認可取得のために計画通りの時期又は内容で新商品を投入できない可能性があります。また、かかる認可を取得し、新商品を販売した場合であっても、商品性が市場ニーズにマッチしない、営業体制が確保できない、予想を超える外部要因等により収益が確保できない等、当該商品が当初想定した成果をもたらさない可能性があります。このような結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 資産運用に関するリスク
① 国内金利に関する市場リスク
かんぽ生命保険の資産構成においては、円金利資産の割合が高く、かんぽ生命保険の契約者に対する債務のデュレーションが運用資産より長期であることから、資産と負債のデュレーションのミスマッチによる国内金利の変動リスクを有しております。
2016年2月の日本銀行によるマイナス金利政策導入以降、低金利環境が継続しておりますが、かんぽ生命保険が既に保有している保険契約の予定利率は変わらないことから、当初想定していた運用収益が確保できない、あるいは逆ざや(資産運用ポートフォリオの平均運用利回りが既契約の責任準備金の積立てに用いた予定利率を下回る現象)となる可能性があります。
一方、国内金利が現在の水準より上昇した場合には、資産運用利回りが上昇することにより、利息収入などの収益が向上するものの、債券価格の下落等により、評価損・減損損失や売却損等が発生する可能性があります。また、保険契約者がより高い収益を得られる別の金融商品へ資金を移動させることにより、保険契約の解約が増加する可能性があります。
② ①以外の市場リスク
かんぽ生命保険は外貨建資産を保有しており、その一部については、為替リスクをヘッジするため為替予約をしております。かんぽ生命保険の保有する外貨建資産に係る為替リスクがヘッジされていない部分について、為替相場の変動が発生した場合や、為替リスクをヘッジしていたとしても、国内外の金利差拡大によりヘッジコストが高まり、これまでの条件でロールによる為替予約が出来なくなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、外国金利の変動により、かんぽ生命保険の保有する外国証券の価値が下落した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、かんぽ生命保険において、国内外の経済状況又は市場環境の悪化や低迷等によって、保有している株式の価格が下落した場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、オルタナティブ運用などの資産運用の多様化が、期待した結果を生まない可能性があります。
③ 信用リスク
かんぽ生命保険の取引先・投資先・かんぽ生命保険が保有する有価証券の発行者において、足元の新型コロナウイルス感染症の拡大による景気の深刻な後退(懸念)等、国内外の景気動向や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、不祥事の発生、国家間紛争等その他不測の事態により、財政状態が悪化した場合には、信用リスク及び与信関係費用が増加し、又はかんぽ生命保険が保有する有価証券の価値が下落すること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、外国公社債運用などの資産運用の多様化が、期待した結果を生まない可能性があります。
上記①~③のリスクに備えて、かんぽ生命保険では、保険契約の引受けによって生じる負債に見合った運用資産を適切に管理し、損益の安定を図る目的で、資産と負債のバランスを考慮してリスクコントロールを行う、ALM及び財務健全性の維持を軸にしたERMの高度化に向けた取組みを継続しております。
また、定期的にストレステストを実施し、ストレス事象発生時の対応力を検証するとともに、特に運用資産の多様化にあたっては、審査やモニタリングの体制を強化しています。しかしながら、そうした対応が奏功しないあるいはかんぽ生命保険のALMによって対処可能な程度を超えて市場環境が大きく変動した場合には、かんぽ生命保険の経営成績及び財政状態に影響を及ぼすほか、その結果としてお客さまからの信用が低下し、新規の保険契約の減少や既存の保険契約の解約にもつながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 保険料設定に関するリスク
かんぽ生命保険は、保険の種類及び内容、契約時の被保険者の年齢、性別、保険金額等を考慮して、次に掲げる計算基礎率(予定死亡率、予定利率、予定事業費率)等に基づいて保険料を設定しております。
保険契約においては、実際の死亡率が事前に設定した予定死亡率を超過した場合、実際の運用利回りが事前に設定した予定利率を下回った場合、実際の経費が事前に設定した予定事業費を超過した場合には、保険期間中の保険料等の受取総額を、保険金・経費等の支払総額が上回ることにより損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) オペレーショナル・リスク
かんぽ生命保険の業務においては、事務リスク、システムリスク等のオペレーショナル・リスクが存在します。
かんぽ生命保険では日本郵便等と連携し、各種取組みを通じて事故や不正の防止に努めておりますが、これらのオペレーショナル・リスクを適切に管理できず、リスクが顕在化した場合には、当社グループの業務運営、社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本郵便及びかんぽ生命保険は、かんぽ生命保険の業務を行う日本郵便の従業員に対し、法令等の遵守についての指導・教育を行っておりますが、これらの指導・教育が十分行われない、又はその効果が発揮されないことにより、同社従業員による不適正な募集活動などの法令等の違反が発生した等の場合、特にかんぽ生命保険が、日本郵便の従業員による不適正な活動の実態を適時かつ適切に把握することができない場合には、同様の影響が及ぶ可能性があります。
(9) 保険金の支払いに関するリスク
かんぽ生命保険は、正確・迅速な保険金等の支払いが生命保険会社の根幹業務であるとの認識の下、支払管理態勢の強化、お客さまサポートの充実に取り組んでおりますが、何らかの理由により、監督当局又はかんぽ生命保険が支払管理態勢の強化が不十分であると判断した場合には、各種改善策を講じる可能性があり、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 格付けの低下に関するリスク
かんぽ生命保険は、格付会社より格付けを取得しておりますが、契約乗換等に係る事案の判明を受け、かんぽ生命保険の業務運営の根幹である新契約の獲得、保有契約の維持並びに事業費の抑制などが計画通りに進捗せず、かんぽ生命保険の将来的な財務内容の見通しが悪化することにより、各社の信用格付けが引き下げられた場合には、かんぽ生命保険の金融・資本市場における負債性資金の調達がかんぽ生命保険に有利な内容で行えない可能性があるとともに、かんぽ生命保険の業務運営に対する不安を想起させ、さらなる新契約の減少又は既存契約の解約の増加等につながる可能性があります。
(11) 市場流動性・資金繰りに関するリスク
① 市場流動性リスク
例えば、足元の新型コロナウイルス感染症の拡大による金融・資本市場の動揺等により、市場において正常に金融商品の取引・資金決済ができなくなった場合や、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることになった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の金融市場及び経済状況の悪化等により、市場の流動性が減退した場合には、かんぽ生命保険の保有する資産の売却可能性や価値が減少する可能性があります。
② 資金繰りリスク
かんぽ生命保険の財務内容の悪化等による新契約の減少による保険料収入の減少、大量解約に伴う解約返戻金支出の増加、巨大災害に伴う保険金の大量支払による資金流出等により資金繰りが悪化し、保険金等の支払いが滞った場合や資金の確保に通常よりも著しく低い価格での資産売却を余儀なくされることにより損失を被った場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 責任準備金の積立に関するリスク
かんぽ生命保険は、日本の生命保険会社として、保険業法及び関連業規制に基づき、保険料収入の大部分を、責任準備金として将来の保険金等の支払いに備えて積み立てております。責任準備金は、かんぽ生命保険の負債の最も大きな部分を占めているものであり、各保険契約の保障対象となる事象の起こる頻度や時期、保険金等支払額、資産運用額等につき一定の前提を置き、これらに基づく見積りによって計算されるものであります。これらの前提と実際の結果が乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、責任準備金の積立水準に関するガイドラインや標準利率・標準生命表は、規制当局である金融庁等によって定められているものですが、これらに変更があった場合には、保険料見直しや責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 契約者配当準備金に関するリスク
かんぽ生命保険が確保すべき契約者配当準備金の繰入額は費用として扱われ、これにより各事業年度における純利益が減少します。かんぽ生命保険は契約者配当準備金の繰入額の決定について裁量を有しており、その水準については、かんぽ生命保険商品の競争力、業績、ソルベンシー・マージン比率等の様々な要素を考慮して判断しておりますが、その水準によっては、かんぽ生命保険の株主への配当原資の額、事業、業績及び財政状態又はかんぽ生命保険の株式価値に影響を及ぼす可能性があります。
なお、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約については、「旧簡易生命保険契約に基づく保険責任に係る再保険契約」において、かんぽ生命保険が引き受けた保険契約と区分してその収益及び費用を経理するものとし、簡易生命保険契約の再保険損益の8割を契約者配当準備金に繰り入れることとしております。また、再保険配当の計算方法の変更の必要性について、毎事業年度、郵政管理・支援機構と当社間で協議することとされておりますが、本契約締結以降、当該計算方法が変更されたことはなく、当連結会計年度末時点において変更の予定もありません。
(14) 生命保険契約者保護機構への負担金及び国内の他の生命保険会社の破綻に係るリスク
かんぽ生命保険は、生命保険契約者保護機構(以下「保護機構」といいます。)への負担金支払義務を負っております。保護機構は、破綻した生命保険会社の保険契約者を保護することを目的としており、破綻した生命保険会社から他の生命保険会社へ保険契約を移転する際に、資金援助を実施しております。保護機構への負担金額は保険料収入及び責任準備金の額などに応じて決められるため、かんぽ生命保険の保険料収入及び責任準備金の額が他の生命保険会社に比して増加した場合、負担金が増加する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、日本の他の生命保険会社の破綻は、日本の生命保険業界全体の評価にも悪影響を与え、保険契約者の生命保険業界全体に対する信用を損ない、これにより当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
Ⅵ.その他事業に関するリスク
(1) 宿泊事業・病院事業に関するリスク
当社の営む宿泊事業及び病院事業は、自然災害、事故、火災、感染症、食中毒、医療過誤等から生じる潜在的な損失の発生、損害賠償責任、行政処分等のリスクを内包しています。
また、高齢化等に伴う近時の医療費適正化の流れは、病院事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。
これらの事業では、近年継続して営業損失を計上していることから、個々の施設(又は病院)の状況を踏まえ、増収対策や経費削減による経営改善を進めていることに加え、宿泊事業においては施設配置の見直しも行ったところです。しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、病院における患者数の減少やかんぽの宿の全施設の日帰り営業等を一時休止、一部の施設を一時全面休館したことによる施設利用のキャンセル等の多発により、さらに収益減少となり赤字額の拡大が想定されます。かかる状況では、経営改善策が功を奏する保証はなく、当初想定した成果をもたらさず、又は損失が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 投資事業に関するリスク
当社グループでは、2017年11月1日に日本郵政キャピタル株式会社、2018年2月9日にJPインベストメント株式会社を設立し、これらの子会社等が投資事業を営んでおり、国内外への投資や新たな事業領域への出資等を行っていますが、適正な収益や機会をもたらす保証はありません。
投資事業において投資時点で投資先の価値や将来の成長性を正確に見極めることは容易ではなく、また、当社グループが投資時点で想定した通りに投資先が事業を展開できる保証はありません。投資先の事業環境の変化その他様々な理由により、投資先の業績又は財政状態が悪化した場合には、当社グループが投資した資金を回収できず、また、投資活動により取得・発生した株式などの金融資産やのれんに評価損・減損損失が発生するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループの投資先が内部統制上の問題を抱えていたり、法令に違反する行為を行っている可能性があります。当社グループが投資後にそうした問題や行為を早期に是正できない場合、当社グループの信用や企業イメージが低下し、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 不動産事業(金融窓口事業に係るものを除く。)に関するリスク
当社グループは、事務所・商業施設・住宅等の賃貸・管理事業、分譲住宅事業等の不動産事業を営む日本郵政不動産株式会社を2018年4月2日に設立しております。当該事業については、国内外の景気又は特定地域の経済状況や人口、市場における需給等の変化により、不動産価格の変動や賃貸料の下落、空室率の上昇、建築資材の価格や工事労務費等の高騰、たな卸資産の増加、さらに、法的規制の変更、大規模災害や感染症の発生等の影響を受ける可能性があります。特に今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言等を受けた深刻な経済活動の停滞により、テナント賃料の減額、空室率の上昇、開発中の案件における竣工時期の遅延等が想定され、収束後も、ライフスタイルや働き方の変容により、オフィス需要の変化等の影響を受ける可能性があります。これらの事象により、当社グループの不動産事業の収益や費用に影響を及ぼしたり、保有不動産等に評価損・減損損失や売却損が発生する可能性があります。また、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅶ.金融2社株式売却等に関するリスク
当連結会計年度末現在において、日本国政府は当社の発行済株式の約57%(自己株式を除く議決権割合は約63%)を、当社はゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の発行済株式のそれぞれ約74%(自己株式を除く議決権割合は約89%)及び約64%(自己株式を除く議決権割合は約64%)を保有しています。
郵政民営化法に基づき、日本国政府が保有する当社の株式は、できる限り早期に処分するものとされており(ただし、日本国政府による当社株式の保有割合は常に3分の1を超えるものとされております。)、また、当社が保有する金融2社の株式にも、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、その全部をできる限り早期に処分するものとされております。当社では、上記趣旨に沿って、まずは、金融2社株式の保有割合が50%程度となるまで、段階的に売却することとしています。
以下では、かかる日本国政府による当社株式の売却と、当社による金融2社株式の売却に起因する当社グループの事業等のリスクのうち主要なものを記載しております。
(1) 持分の減少による連結業績への影響、事業の規模・範囲の縮小に関するリスク
2020年3月期におけるゆうちょ銀行の営む銀行業と、かんぽ生命保険の営む生命保険業のセグメント利益・セグメント資産の各合計額は、当社グループのセグメント利益・セグメント資産の各合計額(「その他」(宿泊事業、病院事業、関係会社受取配当金等)に区分されるものを除きます。)のそれぞれ約79%及び約98%を占めております。郵政民営化法に基づき、当社が金融2社の株式を処分した場合、当社の連結財務諸表の親会社株主に帰属する当期純利益に反映される金融2社の純利益や、非支配株主持分を除く純資産の額に反映される金融2社の純資産の額が、減少することになります。金融2社の議決権の過半数を保有している間は連結対象となりますが、当面の処分方針に従い保有割合が50%程度となるまで売却し、金融2社の議決権の過半数を保有しないこととなった場合には、連結対象となるかについて他の要件とも併せて検討することとなります。なお、金融2社が連結対象から外れた場合、連結貸借対照表上、金融2社の資産、負債を合算しなくなるため、当社グループの資産、負債の規模が減少することになります。さらに、金融2社が持分法適用関連会社からも外れた場合は、金融2社株式は「その他有価証券」となり毎期時価で評価することになり、原則として評価差額は「その他有価証券評価差額金」として純資産に計上することになります。
なお、当社の連結財務諸表に対する金融2社の収益・利益が与える影響については、以下のとおりと想定しております。
① 金融2社が当社連結対象となる場合
金融2社の収益が当社連結収益に寄与します。また、金融2社の利益が持分比率に応じて当社連結利益に寄与します。
② 金融2社が持分法適用となる場合
金融2社の利益が持分比率に応じて当社連結利益に寄与します。
③ 金融2社が①及び②以外の場合
金融2社からの配当収入があれば、当該収入が当社連結収益・利益に寄与します。
また、上記のとおり、当社が保有する金融2社の株式は、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、その全部をできる限り早期に処分するものとされており、当社が金融2社の株式を処分しその持分が低下するにつれて、当社グループの事業は、金融2社以外の事業のウェイトが高まることになり、当該各事業における収益の悪化が、当社グループの事業、業績及び財政状態に、より影響を及ぼすことになります。また、金融2社に対する持分が低下又は消滅することにより、当社グループの財務の健全性又はキャッシュ・フローが悪化し、当社グループの資金調達能力が制限される可能性があります。
当社は、金融2社株式の売却手取金を有効に活用し企業価値の向上に努める所存ですが、金融2社からの配当収入に代わる利益を得られない場合には、当社の配当原資が確保できないおそれがあり、また上記の金融2社の当社連結利益への影響の低下を通じて当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 議決権割合の減少による影響力の低下、少数株主との利益相反、子会社からの配当収入の減少に関するリスク
当社は、2015年11月の金融2社株式の売出し及び2019年4月のかんぽ生命保険株式の売出しの実施後においても、金融2社の議決権を保有する親会社であり、当社の利益とその他の少数株主の利益は相反する可能性があります。会社法上、取締役及び執行役は、会社及び少数株主を含む総株主の利益のために業務を行う義務を負っているため、金融2社における意思決定は、常に当社の意向に沿った、又は、当社グループの利益に資するものとなるとは限りません。また、当社がゆうちょ銀行の株式の2分の1以上又は3分の1超を処分した場合には、株主総会における普通決議又は特別決議を要する事項につき、当社がゆうちょ銀行の議案を単独で可決することができなくなる可能性があります。また、かんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した場合には、株主総会における普通決議を要する事項につき、当社がかんぽ生命保険の議案を単独で可決することができなくなる可能性があります。また、当社の金融2社の株式処分により、金融2社に対する議決権割合が減少した場合には、当社が金融2社の意思決定に及ぼしうる影響はその処分割合に応じて限定的となり、金融2社の意思決定は、当社グループの意向に沿った、又は、当社グループの利益に資するものとはならない可能性があります。さらに、当社は、安定的な配当を目指してまいりますが、当社の配当の原資は金融2社からの配当収入に依存しており、当社の金融2社の株式処分により金融2社の意思決定に及ぼす影響力が低下した場合、金融2社が中期経営計画の目標を達成できない場合等においては、当社は金融2社から当社の期待する配当収入を得られる保証はありません。
(3) 日本国政府との利益相反・関係希薄化に関するリスク
当連結会計年度の末日現在において、日本国政府は当社株式の議決権(自己株式を除く。)の約63%を保有しており、日本国政府は当社の株主総会において、普通決議事項について、単独で可決することが可能です。
当社グループの事業その他に関する日本国政府の利益は、当社のその他の株主の利益と相反する可能性があり、日本国政府が、株主としての経済的利益よりも公共政策上の判断等を優先した場合等には、当社のその他の株主の利益に反する支配権又は影響力の行使がなされる可能性があります。なお、郵政民営化法により、日本国政府は当社株式をできる限り早期に処分することが規定されておりますが、その具体的な時期及び処分割合を予想することは困難であり、また、同法により当社株式の発行済株式総数の3分の1超に相当する株式は日本国政府が引き続き保有することが規定されていることから、当社株式の処分完了後も日本国政府は引き続き当社に重要な影響を及ぼしうることになります。
他方で、金融2社は、その唯一の株主を当社、当社の唯一の株主を日本国政府とする上場前の状態にあっても、日本国政府その他の公的機関から何らの保証その他の信用補完を受けていたわけではありませんが、当社が金融2社の親会社ではなくなることに伴い、金融2社と日本国政府との関係が弱まった場合には、顧客等が、金融2社の経済的信用力が低下した、又は、ゆうちょ銀行の貯金及びかんぽ生命保険の商品のリスクが上昇したという誤認や錯誤を有することとなる可能性があります。実際の金融2社の経済的信用力等とは無関係であるにも関わらず、かかる誤認や錯誤が社会に広く伝播した場合等においては、顧客等によるゆうちょ銀行への新規貯金の差控えや既存貯金の引出し、かんぽ生命保険との新規契約の差控えや既存契約の解約、その他金融2社との取引量の低下を招き、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 当社による金融2社株式の売却に関するリスク
郵政民営化法に基づき、当社は金融2社株式の全部を処分することが規定されております。金融2社株式の処分時期について、具体的な期限の定めはないものの、その処分に際しては、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分することとされています。金融2社株式の処分時期については、かかる要素を勘案して当社取締役会において決定しますが、現時点において、決まっておらず、その時期によっては当社の株主全体の利益とは一致しない可能性があります。従って、当社は、金融2社株式の処分を、適切な時期に適切な条件で実行することができない可能性があります。郵政民営化法上の上乗せ規制については、当社が金融2社の株式を2分の1以上処分した場合には、金融2社に対する新規業務に係る規制は認可制から届出制へと緩和されます。さらに、当社が金融2社の株式を全部処分した場合又は2分の1以上を処分した旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、内閣総理大臣及び総務大臣が他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認め、その旨の決定をした場合には、金融2社に対する新規業務に係る規制、子会社保有、合併、会社分割、事業の譲渡・譲受け等を行う場合の規制、銀行業における預入限度額規制、生命保険業における加入限度額規制等の適用は廃止されることになります。しかしながら、今後の当社による金融2社株式の売却の時期及び規模は未確定であり、また、金融2社株式の処分に係る郵政民営化法の定めの変更、株式市場の動向等により、金融2社の株式の処分が予定通りに進まない場合には、かかる上乗せ規制の撤廃が行われず、当社の期待する金融2社の経営の自由度の拡大等が実現しない可能性があります。また、金融2社株式の売却収入が売却に係る当社保有金融2社株式の帳簿価額を下回った場合には、売却される株式の帳簿価額と売却収入の差額について、当社の損益計算書に売却損失として計上する必要があり、その結果、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、2020年3月31日現在、当社が保有するゆうちょ銀行株式の帳簿価額は5,780,141百万円、かんぽ生命保険株式の帳簿価額は604,580百万円です。
一方、連結財務諸表においては、金融2社株式の売却収入が、売却による当社の持分の減少額を下回った場合には、売却による当社の持分の減少額と売却収入の差額を、連結貸借対照表の資本剰余金から減少させる必要があり、その結果、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。また、金融2社が持分法適用関連会社となり、金融2社株式の売却収入が、売却による当社の持分の減少額を下回った場合には、売却による当社の持分の減少額と売却収入の差額について、連結損益計算書に売却損失として計上する必要があります。さらに、金融2社が子会社及び持分法適用関連会社ではなくなり、金融2社株式の売却収入が、売却に係る当社が保有する金融2社株式の帳簿価額を下回った場合には、売却される株式の帳簿価額と売却収入の差額について、連結損益計算書に売却損失として計上する必要があります。以上の結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2015年11月の金融2社株式の売出しにおいては、ゆうちょ銀行株式の売却により、当社の損益計算書における関係会社株式売却損126,236百万円及び当社の連結貸借対照表における資本剰余金351,922百万円の減少が発生し、かんぽ生命保険株式の売却により、当社の損益計算書における関係会社株式売却益32,796百万円及び当社の連結貸借対照表における資本剰余金17,754百万円の減少が発生しております。
また、2019年4月のかんぽ生命保険株式の売却により、当社の損益計算書において関係会社株式売却益が129,365百万円発生しております。さらに、当社の連結貸借対照表において資本剰余金50,199百万円の減少が発生しております。
(5) 当社の商標等の金融2社による継続使用に関するリスク
当社及び事業子会社等が締結した、「日本郵政グループ運営に関する契約」等(以下「グループ運営契約」といいます。グループ運営契約の詳細は、下記「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)に基づき、金融2社は、当社による金融2社株式の処分後も、引き続き「日本郵政」ブランド及び関連商標の使用を継続する予定です。
そのため、金融2社株式の売却後も、金融2社における業績の低迷、従業員の不祥事その他の理由により金融2社の社会的信用が低下した場合には、当社グループの社会的信用及び「日本郵政」のブランド・イメージに悪影響を及ぼす可能性があり、また、当社グループのコンプライアンス等の内部統制の十分性又は有効性に疑義があるものと受け止める可能性があり、かかる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、グループ運営契約に基づき、金融2社から、当社グループに属することによる利益の対価としてブランド価値使用料を受け取っており、当社による金融2社株式の保有割合にかかわらず、金融2社がそれぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行又は同条第3項に定める関連保険会社である限り、収受することを想定しております。しかしながら、金融2社が関連銀行又は関連保険会社に該当しないこととなりグループ運営契約そのものを適用しないこととなった場合、若しくは重大な経済情勢の変化等に起因してブランド価値使用料の算定方法が変更された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅷ.金融2社との関係について
(1) 当社と金融2社との関係について
① 当社グループにおける金融2社の位置づけ
ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の金融2社は、現在、日本郵便が金融のユニバーサルサービス提供に係る責務を果たすために営む銀行代理業又は保険募集等に係る業務委託契約を日本郵便との間でそれぞれ締結しており、それぞれ当社グループにおいて、日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行として銀行業セグメント、同条第3項に定める関連保険会社として生命保険業セグメントを担っております。
② 金融2社とのグループ協定等
グループ会社として相互に連携・協力し、シナジー効果を発揮するため、当社及び金融2社は、「日本郵政グループ協定」及び「日本郵政グループ運営に関する契約」(いずれも2015年4月1日発効。以下「グループ協定等」といいます。)を締結しており、グループ共通の理念、方針、その他グループ運営に係る基本的事項について合意しております(グループ協定等の詳細については下記「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)。
なお、グループ協定等の存続期間は、金融2社が日本郵便と締結している上記の業務委託契約が解除されるまでとしており、これらの契約の解除は、当社による金融2社の株式売却と連動しておりません。
グループ協定等に基づき、事業子会社等に関するグループ運営は、当社が中心となって行っておりますが、金融2社の独立性を確保する観点から、金融2社については事前承認ルールを採用せず、グループ運営を適切・円滑に行うために必要な事項や法令等に基づき管理等が必要となる事項について、事前協議又は報告を求めています。
③ 金融2社との人的関係
当社の役員1名(増田寬也)が、グループ経営体制の強化、及び金融2社のトップマネジメント強化のため、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の役員(非常勤)を兼任しております。ゆうちょ銀行の役員1名(池田憲人)及びかんぽ生命保険の役員1名(千田哲也)がグループ経営体制の強化のため、ゆうちょ銀行の役員1名(田中進)及びかんぽ生命保険の役員1名(市倉昇)が、国が資本金の2分の1以上を出資している法人である当社として国会において各子会社に関する専門的な質問への答弁対応の必要があると考えているため、当社の役員(非常勤)を兼任しております(当社の役員の状況については下記「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2) 役員の状況」をご参照ください。)。
④ 金融2社との取引等
当社と金融2社との2020年3月期における主な取引等は以下のとおりであります。
(※) PNETサービス、情報系共用システムサービス及び人事関係システムサービスの利用料(日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社との取引を含む。)
(2) 日本郵便と金融2社との関係について
当社の子会社である日本郵便は、ゆうちょ銀行から銀行窓口業務等の委託、また、かんぽ生命保険から保険窓口業務等の委託を受けており、これらの業務は金融窓口事業セグメントの収益の大部分を占めることから、両社の経営方針に変更が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2020年3月31日現在の日本郵便に対する金融2社の関係につきましては、次のとおりであります。
① 人的関係
日本郵便では、銀行窓口業務及び保険窓口業務における営業施策の企画・立案、推進管理を金融2社と協力して行うとともに、両社から販売支援・業務指導を受けるなど、一体的な営業体制を構築することを目的として、人事交流を行っております。
② 取引関係
日本郵便と金融2社との2020年3月期における主な取引は、以下のとおりであります。
(※1) 受託手数料の詳細は下記「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 参考1 ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの委託手数料、参考2 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要及び金融2社との業務委託契約への影響」をご参照ください。
(※2) 営業店等の施設の賃貸、社員用社宅関連業務の提供等
(※3) グループ内物流業務の提供等
(※4) 上記のほか、「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(平成17年法律第101号)」に基づき、当事業年度から、郵便局ネットワーク維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便が負担すべき額を除く)は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われることとなっております。当事業年度に日本郵便が郵政管理・支援機構から交付を受けた交付金の額は295,273百万円であります。
当社は、上記のような当社及び日本郵便と金融2社との契約関係・人的関係・取引関係に基づき、金融2社を含む当社グループの企業価値を最大化していく方針ですが、金融2社と当社及び日本郵便とのシナジー効果を実現できない可能性があり、また、金融2社と当社及び日本郵便との利益相反を適切に管理できない可能性があります。さらに、将来の金融2社株式の追加処分などによって、かかる関係に変更が生じる又はかかる関係による当社グループの企業価値の最大化がさらに困難となる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。
資産の部合計は、前連結会計年度末比72,259百万円減の286,098,449百万円となりました。
主な要因は、銀行業等における現金預け金1,435,917百万円の増、銀行業における買現先勘定1,363,758百万円の増、銀行業及び生命保険業等における金銭の信託1,025,814百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業等における有価証券4,520,056百万円の減によるものです。
負債の部合計は、前連結会計年度末比2,099,619百万円増の273,481,674百万円となりました。
主な要因は、銀行業における売現先勘定3,286,253百万円の増、貯金1,752,024百万円の増の一方、生命保険業における責任準備金2,767,383百万円の減によるものです。
純資産の部合計は、前連結会計年度末比2,171,879百万円減の12,616,774百万円となりました。
主な要因は、利益剰余金257,113百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業等におけるその他有価証券評価差額金2,285,094百万円の減、銀行業及び生命保険業等における繰延ヘッジ損益236,408百万円の減によるものです。
各事業セグメント別の資産の状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比27,528百万円減の2,023,941百万円となりました。
主な要因は、ゆうパック等の荷物分野の収益拡大に伴う営業キャッシュ・フローの増加により現金預け金が36,323百万円増加した一方、減価償却等により建物等の有形固定資産が46,943百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比69,402百万円減の2,596,515百万円となりました。
主な要因は、現金預け金が23,132百万円増加した一方、交付金制度の導入に伴い営業未収入金等が減少したことによりその他資産が64,907百万円減少したことや建物等の有形固定資産が32,060百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比98,435百万円増の565,794百万円となりました。
主な要因は、「リース」(IFRS第16号 2016年1月13日)の適用による使用権資産の計上により有形固定資産が97,094百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比1,936,804百万円増の210,910,908百万円となりました。
主な要因は、有価証券が1,934,022百万円減少した一方、現金預け金が966,564百万円増加、コールローンが640,000百万円増加、買現先勘定が1,363,758百万円増加したことによるものです。
⑤ 生命保険業
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比2,240,236百万円減の71,664,781百万円となりました。
主な要因は、保有契約の減少に伴い保険契約準備金が減少したことに対応し、有価証券が2,581,023百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度、かんぽ生命保険商品に関して、お客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせた可能性のある事案が判明しました。これを受け、当社グループにおいて、ご契約調査を実施し、お客さまの不利益の解消に努めてきました。また、特別調査委員会を設置し、事案の徹底解明及び原因究明を行うとともに、再発防止策の検討を進めてきました。
2019年12月、当社、日本郵便及びかんぽ生命保険は、総務大臣及び金融庁より保険業法等に基づく行政処分を受け、2020年1月に業務改善計画を提出し、お客さま本位の業務運営の徹底、適切な業務運営の確保と、保険契約者の保護を図るための施策等に取り組みました。
業務改善計画の主要施策の概要は以下の通りです。
① 健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立
組織全体にお客さま本位の意識を醸成するとともに、それに基づく保険募集を実践することが適切に評価される態勢を構築します。
具体的には、お客さま本位の理念に基づいた行動規範を策定し、これを具体化するものとして、かんぽ生命保険商品のスタンダードな販売モデルを策定して、これらを研修等により関係する全社員へ浸透させます。
また、これらに整合的な営業目標の設定、評価、手当に見直すとともに、条件付解約等制度や契約転換制度の整備を進めます。
② チェック・統制機能
第1線(郵便局・コールセンター・サービスセンター等)では、お申し込みから契約締結までの間で、郵便局及びかんぽ生命保険による重層的なチェックを実施します。
第2線(本社等)では、適正な募集管理のための体制等の強化として、募集管理・コンプライアンス・苦情対応部門の人員の拡充、事故判定においては自認に頼らない事実認定・事故判定を行うこと、処分の区分の追加、問題のあった募集人・管理者への処分を実施します。
また、第3線として、内部監査部門も強化します。
③ 情報共有、ガバナンス
(a) PDCAサイクルの徹底
お客さまから当社グループに寄せられる様々な声を把握・分析するとともに、新たに設置する金融営業専用の社外通報窓口に寄せられる社員の声なども把握・分析し、改善策の効果検証・さらなる見直しに努めてまいります。
(b) 各社及びグループのガバナンスの強化
社外取締役の知見を活用して取締役会等を強化するほか、内部統制に関する各種連絡会・委員会を強化し、深度ある議論を実施します。
(c) 改善策のモニタリングと定期的な進捗状況の公表
今回の問題を受け、2020年1月、当社執行役社長の下にグループ横断のタスクフォースを設置しました。このタスクフォースによる進捗管理のもと、弁護士や外部の専門家を含めた第三者のモニタリングを受けながら、着実に各施策を実行し、グループ全体に浸透させてまいります。
ご契約調査については、まず、2019年8月から実施している特定事案調査について、お客さま都合によるもの等を除き、2020年3月末にお客さま対応を完了しました。特定事案調査の募集人調査については、2020年4月末でほぼ募集人調査の判定が終了しており、法令違反・社内ルール違反に該当した募集人に対する研修を順次開始しました。また、同じく2019年8月から実施している全ご契約調査においては、契約内容の説明や各種手続きの希望のほか、苦情やお叱りなど多数のご意見をいただきました。そのうち法令違反や社内ルール違反の可能性のあるものについて、募集人調査や利益回復に向けた対応を実施します。
2020年2月から全ご契約調査の深掘調査を実施し、多数契約調査のご契約内容の確認を進めました(お客さま都合によるもの等を除き、2020年4月末に概ね完了。)。多数契約以外の調査についても、2020年6月末を目処にご契約内容の確認を進めています。
<特定事案調査、全ご契約調査及び全ご契約調査の深掘調査の概要>
ア. 特定事案調査
乗換契約のうち、お客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性がある事案(保険契約を解約して、新規に保険契約の申込みを受けたが、この新規保険契約がお客さまの病歴等で成立しなかったため、保険契約(保障)がない状態となった場合等)について、特定の類型に分類が可能な事案を「特定事案」としてA~F類型に分類し、過去のご契約データから、乗換後の契約状況が当該類型に合致するもの(過去5年分で約18.3万件)を全て抽出し、お客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたものがないか調査を実施。
イ. 全ご契約調査
全てのかんぽ生命保険のご契約(過去5年間分の消滅契約を含む約3,000万件、ご契約者数で約1,900万人)について、お客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたものがないか調査を実施。
ウ. 全ご契約調査の深掘調査
全ご契約調査でお客さまからいただいたご回答・ご意見等の中には、多数回にわたって契約の消滅・新規契約が繰り返されたものなど、お客さまのご意向に沿ったものではない可能性が想定されるケースが判明したことから、全ご契約調査のさらなる深掘調査として調査を実施。
なお、今回の問題を招いた責任を明確化するため、2020年1月5日付けで当社、日本郵便及びかんぽ生命保険の社長等が辞任するとともに、役員の月額報酬の減額等を実施しており、一定の責任を有している本社・支社等の管理社員については、同年夏期賞与を減額支給することとしました。
上記のかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題に対する対応以外としては、当社におきましては、持株会社として、当社グループの企業価値向上を目指し、グループ各社の収益拡大や経営効率化等の推進に努めるとともに、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保、郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるよう、グループ運営に取り組みました。
また、グループ各社のコンプライアンス・プログラムの策定・推進の状況、各社の内部監査態勢・監査状況の把握に努めたほか、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託するとともに、病院及び宿泊事業の経営改善に取り組みました。加えて、2019年4月に、かんぽ生命保険普通株式の第2次売出しを実施したほか、2018年12月に合意した、当社とアフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との戦略提携に基づく、アフラック・インコーポレーテッドの普通株式の取得について、2020年2月をもって予定していた株式数の取得を完了しました。
さらに、グループ各社が提供するサービスの公益性・公共性の確保や、持続可能な社会の実現・未来の創造に貢献するため、グループとして取り組むべきCSR重点課題を特定し、それに基づくCSR活動や災害復興支援に、グループ一丸となって取り組んでまいりました。
また、新型コロナウイルス感染症への対策として、当社グループは、当社社長を本部長とする本社合同対策本部を設置し、関係機関と連携を図り、感染の防止と業務・サービスの継続等のため、必要な取組みを継続しました。これらの取組みの中で、2020年3月には、日本郵便が、厚生労働省からの委託を受け、北海道の一部対象地域でのマスクの全戸配達等を実施しました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度における連結経常収益は11,950,185百万円(前期比824,813百万円減)、連結経常利益は864,457百万円(前期比33,761百万円増)、連結経常利益に、特別損益や契約者配当準備金繰入額等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、483,733百万円(前期比4,313百万円増)となりました。
経営成績の詳細な状況は、各事業セグメントごとに記載しております。各事業セグメントごとの経営成績の状況は、以下のとおりであります。
郵便・物流事業につきましては、年賀状をはじめとしたスマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽しさを伝える活動等により、郵便の利用の維持を図るとともに、eコマース市場の拡大による荷物需要の増加に対応するため、オープン型宅配便ロッカー等を活用した「はこぽす」の利用拠点の拡大、ゆうパケットとゆうパックの中間サイズとなる「ゆうパケットプラス」の開始等、差出・受取利便性の高いサービスの提供による収益の拡大を図りました。
オペレーション面では、お客さまの利便性向上のほか、業務効率向上や不在再配達率の削減に向け、置き配の普及・拡大を進めるとともに、業務量に応じた担務別人件費・要員マネジメントの高度化等によるコストコントロールに取り組みました。
また、テレマティクスを活用した外務業務の適正化や効率化等に向けた試行や、音声認識AIによる再配達依頼自動受付の試行を実施したほか、ドローンや配送ロボットについても、将来的な実用化に向けての実証実験・試行を進める等、先端技術の活用に向けた取組みを進めました。
加えて、お客さまの利便性向上に向け、郵便窓口へのキャッシュレス決済の導入を開始しました。
あわせて、「コンプライアンスは経営上の最重要課題」との基本的考え方に基づき、郵便物等の放棄・隠匿を含む部内犯罪の根絶、料金不適正収納の根絶、顧客情報の保護等に取り組みました。
また、日本郵便(単体)における当事業年度の総取扱物数は、郵便物が163億5,005万通(前期比2.6%減)、ゆうメールが35億6,861万個(前期比2.2%減)、ゆうパックが9億7,446万個(前期比3.4%増)(うち、ゆうパケットが4億2,766万個(前期比19.7%増))となりました。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、郵便・物流事業におきましては、荷物分野、特にゆうパケットの増収のほか、参議院選挙、プレミアム商品券等の消費税増税に関連した一時的な郵便物等の差出増の影響などもあり、経常収益は2,128,187百万円(前期比8,854百万円増)、経常利益は149,185百万円(前期比24,728百万円増)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における郵便・物流事業の営業収益は2,125,313百万円(前期比10,362百万円増)、営業利益は147,505百万円(前期比26,116百万円増)となりました。
(注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。
2.年賀は、年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12/15~12/28)及び12/29~1/7に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)の物数であります。
3.選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。
4.特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。
5.国際通常郵便物は、2019年4月以降の集計方法を変更しております。なお、過去の通数との整合性を確保するため、過年度分については組替えを行っておりません。
6.ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。
7.ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている3kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。
金融窓口事業につきましては、当連結会計年度、かんぽ生命保険から委託を受けた保険募集に関し、お客さまのご意向に沿わず、不利益を生じさせた事案が判明しました。お客さま対応を最優先としつつ、各種再発防止策の浸透を図ってきたところですが、前述のとおり、2019年12月に総務大臣及び金融庁より、業務停止命令及び業務改善命令を受け、2020年1月に業務改善計画を提出し、再発防止に向け取り組みました。
また、お客さまの将来のライフプランに寄り添い、その目的に合った商品及びサービスを幅広く提供できるよう、募集品質の向上、業務知識の強化、コミュニケーションスキルの向上等、お客さま本位の営業活動と総合的なコンサルティングサービスに寄与する各種研修を実施しました。
さらに、郵便局のショッピングセンター内等への新規出店や既存店舗の配置見直し等を通じ、郵便局ネットワークの最適化に取り組むとともに、ネットワークの価値を高めるため、地方公共団体事務の包括受託や郵便局窓口での地方銀行の手続事務受付等、地方公共団体や他企業と連携したサービス展開や地方創生の取組み拡大を行うなど、地域ニーズに応じた多様な郵便局の展開を進めました。
あわせて、「コンプライアンスは経営上の最重要課題」との基本的考え方に基づき、前述の保険募集の問題に取り組んだほか、顧客情報の保護、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策等に取り組みました。
また、不動産事業においては、JPタワー等による事務所、商業施設、住宅や保育施設等の賃貸事業等を行いました。不動産事業における主なプロジェクトの概要は以下のとおりです。
(注) 2020年3月31日時点
これらの取組みの結果、当連結会計年度、金融窓口事業におきましては、かんぽ生命保険の商品について、営業活動の提案を控えたこと及び行政処分に伴い業務を一部停止したことによる保険手数料の減収や、一部事業の絞込みに伴う物販事業の減収により、経常収益は1,299,930百万円(前期比63,827百万円減)、経常利益は45,086百万円(前期比14,753百万円減)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における金融窓口事業の営業収益は1,298,774百万円(前期比63,805百万円減)、営業利益は44,598百万円(前期比15,020百万円減)となりました。
国際物流事業につきましては、日本郵便の子会社であるトール社の経営改善の取組みを継続しました。2020年1月には、トール社の社長が交替し、さらなる経営改善に着手しました。
また、引き続き、JPトールロジスティクス株式会社を活用し、コントラクトロジスティクスを中心とした BtoB 事業の拡大に取り組みました。
トール社は、当連結会計年度、従来からの豪州経済の低成長や米中の貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の拡大等、厳しい外部環境の影響下で、日本郵便の指導により、事業統合に係るガバナンス強化や経営改善策に取り組んでおります。しかしながら、2020年1月に発生した標的型サイバー攻撃を受け、一部サーバーがランサムウェアに感染したことから、拡大防止のため、一時的に全システムのシャットダウンを実施しました。これを受けシステムの回復と共に管理者権限の制限やログイン認証の強化などITシステムのセキュリティ強化に向けた施策を実施している間、業務の停滞等が生じました。これらの対応に要する費用増加に加え、財務・会計システムの更改による費用の増加、一部経理事務の外部委託時の態勢不備による売掛金の滞留により、現時点では期待するような経営改善に至っておらず、固定資産に係る減損損失を12,993百万円計上する等、業績不振が続く結果となりました。
このような状況の下、安定的な業務運営を確保し、経営改善を図るため、日本郵便からの債務保証も得て必要な資金を確保しております。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、国際物流事業におきましては、営業収益低迷の一方で、人件費などの固定費負担が重く、為替影響もあり、経常収益は635,194百万円(前期比66,062百万円減)、経常損失は21,447百万円(前期は5,094百万円の経常利益)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における国際物流事業については、営業収益は634,954百万円(前期比65,695百万円減)、営業損失は8,683百万円(前期は10,300百万円の営業利益)となりました。また、日本郵便は保有するトール社株式について65,295百万円の減損損失を計上しておりますが、当社連結決算においての影響はありません。
当連結会計年度、ゆうちょ銀行及び日本郵便において、ご高齢のお客さまへの投資信託の販売に関し、社内規則で定められた「勧誘前」と「申込受付前」の管理者承認のうち、「勧誘前」承認を怠っていたという事案が発生しました。そのため、日本郵便と連携し、今般の事案の対象となったお客さまにアフターフォローを実施し、保有していただいている投資商品に対するご認識等を確認いたしました。ご認識等に懸念ありと判断されたお客さまには、適合性の原則※の観点から求められる説明を行っていなかった事案がないか、外部弁護士のご意見をいただきながら、社内調査を実施し、この結果、該当する事案は認められませんでした。
※ 金融商品取引法等で定められた「お客さまの『知識』『経験』『財産の状況』『投資目的』に照らして、不適当と認められる勧誘を行って投資家の保護に欠け、又は欠けるおそれがあることのないように、業務を行わなければならない」とする原則です。
再発防止策として、研修等を通じた社内規則の趣旨の浸透強化、お客さま向け販売ツールの改善・充実、コンプライアンス・監査態勢の強化、営業目標の見直しに取り組みました。また、さらなるお客さま本位の金融サービスの品質向上を目的に、すべてのご高齢のお客さまに対しても、定期的なアフターフォローを実施しており、今後も継続してまいります。
加えて、ご高齢のお客さまに限らず、すべてのお客さまに対するサービス向上を継続的に実践していくため、ゆうちょ銀行の代表執行役社長を委員長とする「サービス向上委員会」を設置しました。同行においては、経営陣をはじめ、全社一体となって、お客さま本位の業務運営の浸透強化に取り組んでまいります。
銀行業につきましては、ゆうちょ銀行において、「お客さま本位の良質な金融サービスの提供」、「運用の高度化・多様化」、「地域への資金の循環等」、「経営管理態勢の強化」の諸施策に取り組みました。
「お客さま本位の良質な金融サービスの提供」については、資産運用コンサルタントの増員や指導・研修による人材育成に注力するとともに、2019年5月には、ゆうちょ銀行及び当社と、株式会社大和証券グループ本社及び大和証券株式会社の間で、お客さま一人ひとりのライフスタイル・ニーズに応じた、中長期的な資産形成のサポートに向け、資産形成分野における新たな協業の検討を進めることについて合意し、検討しました。
また、決済サービスの充実に向け、スマートフォン決済サービス「ゆうちょPay」、ゆうちょ銀行の総合口座をご利用のお客さま※がスマートフォンを使っていつでも現在高や入出金明細を確認できる「ゆうちょ通帳アプリ」、法人のお客さま向けのインターネットバンキングサービス「ゆうちょBizダイレクト」等の取扱いを開始しました。
「運用の高度化・多様化」については、国内の低金利環境が継続し、世界経済の先行き不透明感が高まる中、安定的な収益確保のため、適切なリスク管理のもと、国際分散投資を進めました。海外クレジット資産をクレジット・クオリティ(投資先の信用力)に配意しつつ積み上げたほか、戦略的な投資領域と位置づけているプライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等への投資を、市場環境の変化を踏まえて選別的に実行しました。
また、運用の高度化・多様化を推進していく中、財務健全性の観点から必要十分な自己資本比率を確保しており、安定的な収益と財務健全性の両立のため、リスクアペタイト・フレームワークを活用し、ゆうちょ銀行が取得する適切なリスクの種類や水準を明確化した上で、投資方針を決定しました。
「地域への資金の循環等」については、お客さまからお預かりした大切な資金を地域に循環させていくために、引き続き、地域金融機関との連携を通じて地域活性化ファンドへの参加を推し進めており、2019年度も事業承継や起業・創業の支援等を目的として、新たに10件(累計28件)の地域活性化ファンドに参加しました。
「経営管理態勢の強化」については、「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」を制定し、当該方針の取組状況を定期的に確認するため、成果指標を設定し、その結果を公表するなど、「お客さま本位の良質な金融サービス」の提供に向けて取り組みました。
リスクガバナンスの強化としては、リスクアペタイト・フレームワークの対象をALM(資産・負債の総合管理)・運用業務からゆうちょ銀行業務全体に拡大し、経営管理態勢の高度化を図りました。複雑・巧妙化するサイバー攻撃への対応としては、不正なアクセスの監視や被害防止に向けた態勢整備を進め、対応の強化を図りました。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策への国際的・社会的要請の高まりを踏まえ、行内の対応態勢を整備するとともに、商品・サービスを見直すなど、対応の強化を図りました。
さらに、貯金事務センターにおいて業務のRPA化(ソフトウェアロボットによる業務プロセスの自動化)推進等のデジタル技術の活用による業務効率化や、トランザクション業務(窓口等における定型業務)のスリム化にあわせて、経営資源をコンサルティング業務等に再配分し、人的資源の有効活用等を進めることで、お客さまサービスの充実に努めました。
加えて、ゆうちょ銀行と外部事業者が連携し、お客さまに安全かつ利便性の高い高度な金融サービスをご提供するため、ゆうちょ銀行システムとゆうちょ銀行外のシステムとの連携強化に必要なシステム基盤(外部連携基盤:API)の整備・拡大や、セキュリティ強化の観点から「ゆうちょ認証アプリ」のサービス開始によるゆうちょダイレクトへの生体認証の導入等に取り組みました。
※ 振替口座、キャッシュカードを利用していない総合口座及び法人口座等ではご利用いただけません。
新型コロナウイルス感染症が拡大する状況の中、ゆうちょ銀行では、「危機管理委員会」を立ち上げ、当社グループ各社から構成される「本社合同対策本部」等と連携し、感染拡大防止策を導入するとともに、現金の入出金や決済業務など、社会機能維持のためお客さまが必要とするサービスを継続できるよう、社内の業務態勢を整えました。
具体的には、郵便局・ゆうちょ銀行店舗・ATMは、原則としてすべて営業を継続する一方、お客さまと社員の安全確保の観点から、社員に時差出勤、交替勤務、在宅勤務等を導入したほか、窓口の一部縮小や一部店舗の営業時間短縮、訪問や窓口での積極的な営業活動の停止、窓口カウンターへの飛沫感染防止のビニールシートの設置、インターネットバンキングサービス「ゆうちょダイレクト」ご利用検討のお願い、年金支給日等における混雑緩和のお願い等の感染拡大防止策を実施しました。また、お客さまの日々の生活に必要な現金の入出金や決済業務、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を受けた特別定額給付金の円滑な入金などの重要業務については、柔軟な人員配置や複数拠点によるバックアップを通じて、業務継続体制を確保しています。
なお、社員に感染が確認された場合は、所管保健所と連携のうえ、必要な措置を適切に講じてまいります。
今後も引き続き、感染拡大防止策や重要業務の継続態勢確保に努めてまいります。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、銀行業におきましては、年度末時点のゆうちょ銀行の貯金残高は183,004,733百万円(前期末比2,005,599百万円増)となりました。低金利環境の継続や、新型コロナウイルス感染症の拡大による市場環境の悪化など、非常に厳しい経営環境下、経常収益は1,799,538百万円(前期比45,872百万円減)、経常利益は379,131百万円(前期比5,155百万円増)となりました。
なお、ゆうちょ銀行における損益の概要などの詳細な状況については、下記「(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況」「(参考2) 自己資本比率の状況」「(参考3) 資産の査定」に記載のとおりであります。
(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況
低金利環境の継続や、新型コロナウイルス感染症の拡大による市場環境の悪化など、非常に厳しい経営環境下、当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比128億円減少の1兆3,142億円となりました。このうち、資金利益は、国債利息の減少を主因に、前事業年度比393億円の減少となりました。役務取引等利益は、前事業年度比221億円の増加となりました。その他業務利益は、前事業年度比43億円の増加となりました。
経費は、前事業年度比172億円減少の1兆202億円となりました。
業務純益は、前事業年度比44億円増加の2,939億円となりました。
経常利益は、前事業年度比47億円増加の3,790億円となりました。
この結果、当期純利益は2,730億円、前事業年度比68億円の増益となりました。
(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額
2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。
3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。
4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却
5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却
6.金額が損失又は費用には△を付しております。
(参考) 与信関係費用
(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。
2.金額が損失又は費用には△を付しております。
ゆうちょ銀行は、海外店や海外に本店を有する子会社(以下「海外子会社」といいます。)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。
当事業年度は、国内業務部門においては、資金利益は5,497億円、役務取引等利益は1,285億円、その他業務利益は31億円となりました。
国際業務部門においては、資金利益は4,270億円、役務取引等利益は3億円、その他業務利益は2,053億円となりました。
この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は9,768億円、役務取引等利益は1,288億円、その他業務利益は2,084億円となりました。
(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度5,298百万円、当事業年度5,441百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額等は下表のとおりであります。
当事業年度の資金運用勘定の平均残高は203兆5,900億円、利回りは0.64%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は196兆2,173億円、利回りは0.17%となりました。
国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は198兆263億円、利回りは0.31%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は190兆6,957億円、利回りは0.04%となりました。
国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は63兆3,669億円、利回りは1.24%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は63兆3,247億円、利回りは0.57%となりました。
(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。
2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,730,010百万円、当事業年度2,483,454百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,730,010百万円、当事業年度2,483,454百万円)及び利息(前事業年度3,933百万円、当事業年度1,744百万円)を控除しております。
3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。
(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度247,597百万円、当事業年度646,071百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度247,597百万円、当事業年度646,071百万円)及び利息(前事業年度1,364百万円、当事業年度3,696百万円)を控除しております。
(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,977,608百万円、当事業年度3,129,526百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,977,608百万円、当事業年度3,129,526百万円)及び利息(前事業年度5,298百万円、当事業年度5,441百万円)を控除しております。
2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。
当事業年度の役務取引等利益は、為替・決済関連手数料の増加を主因に、前事業年度比221億円増加の1,288億円となりました。
当事業年度末の貯金残高は、安定的に推移し、前事業年度末比2兆55億円増加の183兆47億円となりました。
○ 預金の種類別残高(末残・構成比)
○ 預金の種類別残高(平残・構成比)
(注) 1.「通常貯金等」=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)
2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。
3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は郵政管理・支援機構からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。
4.上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 事業に係る主な法律関連事項 ③ 郵政民営化法 (f) ゆうちょ銀行における預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。
当事業年度末の運用資産のうち、国債は53.6兆円、その他の証券は65.6兆円となりました。
(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。
当事業年度末の評価損益(その他目的)は、ヘッジ考慮後で△1,020億円(税効果前)となりました。
(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。
(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。
2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。
3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末640,676百万円、当事業年度末439,734百万円であります。
(参考) リスク管理債権(末残)
(参考2) 自己資本比率の状況
ゆうちょ銀行の自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、ゆうちょ銀行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
単体自己資本比率(国内基準)
(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
(参考3) 資産の査定
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ゆうちょ銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
要管理債権とは、3カ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(a)から(c)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
生命保険業につきましては、かんぽ生命保険において、郵便局における募集実態の把握とその対策が十分ではなく、かんぽ生命保険の保険契約の募集品質に係る問題によって一部のお客さまに不利益が生じる事態となりました。かんぽ生命保険は、お客さまの不利益等を解消するためお客さま対応を最優先としつつ、各種再発防止策に取り組んでおりましたが、2019年12月に金融庁より、業務停止命令及び業務改善命令を受け、2020年1月に業務改善計画を金融庁に提出しました。かんぽ生命保険は、当該業務改善計画の実行を経営の最重要課題として位置づけ、お客さま本位の業務運営の徹底に向けて全社をあげて取り組んでおります。
上記のかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題に係る対応のほか、「営業におけるお客さまのニーズに対応したアフターサービスのご提供」、「新商品の販売開始」、「ICT活用によるお客さまサービス向上・事務の効率化」、「資産運用の多様化」を中心に取り組みました。
「営業におけるお客さまのニーズに対応したアフターサービスのご提供」については、ご加入いただいているお客さまにより良いサービスをご提供するため、「かんぽつながる安心活動」等を通じて、保険契約内容のご確認、ご家族登録・指定代理請求制度のご案内、保険金等の振込先口座のご指定による保険金等の確実なお支払いや各種サービスのお知らせなどに取り組みました。
「新商品の販売開始」については、2019年4月より、健康上の理由からご加入いただけなかったお客さまにも、広く保障をご提供できるよう、引受基準緩和型商品を、また経済負担の大きい先進医療にかかる費用に備えたいというお客さまニーズにお応えできるよう、無配当先進医療特約を販売開始しました。
2020年3月には、新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う特別取扱いとして、普通貸付利率の減免措置等を実施し、同年4月には、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた場合についても、死亡保険金に加えて、「保険金の倍額支払」の対象として、保険金をお支払いすることとしました。
「ICT活用によるお客さまサービス向上・事務の効率化」については、2019年4月に、ご契約者さまの利便性向上のため、「いつでも、どこでも、分かりやすい」各種手続きを行っていただけるよう、ご契約者さま向けWebサービス(マイページ)のご提供を開始しました。
さらに、請求書類に必要な情報を予め印字することで、ご記入にかかるお客さまの負担を軽減する「保険手続きサポートシステム」に、新たに死亡保険金、入院保険金等の支払請求手続きを追加しました。さらに、同システムに契約情報や商品概要等を確認できる機能を追加することで、お客さまからの照会等に対し、郵便局員の迅速・正確なお答えを可能にするなど、お客さまサービスの向上を実現しました。
2019年10月には「自動査定システム」を導入し、一部の傷病の機械的な審査を可能とすることで、既存事務の効率化を進めました。
「資産運用の多様化」については、継続的な低金利環境における安定的な運用収益の確保を目指し、ALMを基本としつつ、リスクバッファーの範囲で収益追求資産へ市場環境を踏まえた選別的投資を継続しております。資産運用の多様化の推進状況としては、海外クレジットの運用拡大の一環として、米国社債の自家運用に引き続き取り組むとともに、株式の自家運用やオルタナティブ投資等についても継続しております。これら資産運用の取組みについては、ERMの枠組みのもとで財務の健全性の確保や、リスク対比リターンの向上を図っております。
これらの取組みの結果、当連結会計年度、生命保険業におきましては、保有契約の減少及び2019年7月中旬以降の積極的な営業活動の自粛及び2020年1月以降の業務停止による新契約の減少による保険料等収入の減少等により、経常収益は7,211,405百万円(前期比705,250百万円減)となりました。また、保有契約の減少及び新型コロナウイルス感染症の拡大による市場環境の悪化に伴うキャピタル損失の増加があった一方で、新契約の減少に伴う事業費等の減少や資産運用における順ざやが増加したこと等により、経常利益は286,601百万円(前期比21,731百万円増)となりました。なお、ご契約調査等によって判明したお客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性のある契約について、これまでの実績に基づいて、その不利益を解消するための将来の契約措置により生じる保険金等の支払見込額等(保険金等支払引当金)を経常費用に29,722百万円計上しております。
かんぽ生命保険における保険引受及び資産運用の状況などの詳細な状況については、下記「(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況」に記載のとおりであります。
(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況
(下表(a)イ.~ニ.の個人保険及び個人年金保険には、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。
(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。
2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
(参考)かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況
(a) 保有契約高
(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。
(b) 保有契約年換算保険料
(注) かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記ハ.に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。
(注) 1.機構貸付とは、郵政管理・支援機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。
2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。
(注) 1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。
2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。
3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。
基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。
かんぽ生命保険の当事業年度における基礎利益は、4,006億円となりました。
(注) 1.金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額(前事業年度:64,865百万円、当事業年度:78,097百万円)を「その他キャピタル費用」に計上し、基礎利益に含めております。
2.「その他臨時費用」には、保険業法施行規則第69条第5項の規定により責任準備金を追加して積み立てた額(前事業年度:179,882百万円、当事業年度:176,734百万円)を記載しております。
生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末におけるかんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,070.9%と高い健全性を維持しております。
(注) 保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
ⅰ EVについて
エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。
修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。
保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。
生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。
ⅱ EEVについて
EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、2004年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。
2016年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに2016年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。
ⅲ EEVの計算手法
今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。
かんぽ生命保険は、郵政民営化法に基づき、2007年10月1日に発足しました。また、2007年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、郵政管理・支援機構に承継されるとともに、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてについて、かんぽ生命保険が受再しております。
かんぽ生命保険は、郵政管理・支援機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び郵政管理・支援機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、郵政管理・支援機構へ再保険配当として支払うことを定めております。EEVの計算においては、この郵政管理・支援機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。
このように郵政管理・支援機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。
かんぽ生命保険のEEVは以下のとおりであります。
ⅰ 修正純資産
修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。当期純利益による増加があったものの、自己株式の取得や株主配当金の支払いを主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から減少しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。
(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。
2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。
3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。
(注) 1.かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。
2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分を計上しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。
ⅱ 保有契約価値
保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。「ニ.前事業年度末EEVからの変動要因」に記載のとおり、前提条件(経済前提)と実績の差異や前提条件(非経済前提)の変更を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から減少しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。
将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。
ⅲ 新契約価値
新契約価値は、当期間に獲得した新契約(医療特約の切替加入契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。2019年7月中旬からの積極的な営業活動の自粛及び2020年1月以降の業務停止等により新契約が減少したことや金利が低下したことを主な理由として、当事業年度における新契約価値は前事業年度から減少しております。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。
なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。
(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。
ⅰ 前事業年度末EEVの調整
かんぽ生命保険は当事業年度において645億円の株主配当金を支払うとともに、999億円の自己株式の取得を行っており、修正純資産がその分減少しております。
ⅱ 当事業年度新契約価値
新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表したものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。
ⅲ 期待収益(リスク・フリー・レート分)
保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート(△0.178%)分に相当する収益が発生しております。
ⅳ 期待収益(超過収益分)
EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。
ⅴ 保有契約価値からの移管
当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。
これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。
ⅵ 前提条件(非経済前提)と実績の差異
前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。
ⅶ 前提条件(非経済前提)の変更
前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支が変化することによる影響であります。このうち、将来の事業費前提の変更により3,517億円減少し、失効解約率の前提変更により511億円増加しております。
事業費前提については直近の実績を織り込むとともに、会社全体(簡易生命保険契約を含む)の保有契約量が減少基調にあることから、事業費率の上昇を見込んで設定しております。将来の保有契約量の前提を、前事業年度末のEEVでは過去の実績から設定しておりましたが、当事業年度末のEEVでは募集品質問題(注1)に係る評価日時点での状況を踏まえて設定したため、将来の保有契約量の見込みが減少することとなり、前提となる事業費率が上昇しております。
また、前事業年度末のEEVでは乗換による影響を含めて失効解約率を設定しておりましたが、当事業年度末のEEVでは、業務改善計画(注2)において、契約乗換への対策を行うこと、条件付解約等制度や契約転換制度を導入することが決定しているため、失効解約率設定時に乗換による影響を除外し、前提となる失効解約率が低下しております。なお、今後、条件付解約等制度や契約転換制度を活用した解約の影響も、乗換同様に失効解約率設定時に除外することを予定しておりますが、同時に新契約価値については正味増加分のみを評価することを予定しております。従って、失効解約率前提の設定において乗換による影響を除外することによる価値の変動は当事業年度限りとなります。
(注) 1.上記「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しているかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題とその取組み等。
2.上記「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 「業務改善計画の進捗状況」」に記載している適正な業務運営を確保し、保険契約者の保護を図るための改善計画。
ⅷ 前提条件(経済前提)と実績の差異
市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積りの変更を含んでおります。
主に為替変動リスクのヘッジに伴う金融派生商品費用の発生により、修正純資産は101億円減少しております。
主に国内金利の変動や株価の下落により、保有契約価値は3,206億円減少しております。
前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に1つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。
感応度1から4について、修正純資産の増減額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの増減額となります。
(注) 参考値として、保有契約に係る資産の含み損益も加えた増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。
新契約価値の感応度
ⅰ 感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp上昇した場合の影響を表しております。金利の変動により時価が変動する債券・貸付金等を再評価するとともに、将来の運用利回りや割引率を変動させて保有契約価値を再計算しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅱ 感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、リスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・ フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅲ 感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)
(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、感応度2と異なり、リスク・フリー・レートの正負を判定せず、下限を設けずに50bp低下させております。
(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。
ⅳ 感応度4:株式・不動産価値10%下落
株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。
ⅴ 感応度5:事業費率(維持費)10%減少
事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。
ⅵ 感応度6:解約失効率10%減少
解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅶ 感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下
死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅷ 感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下
年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。
ⅸ 感応度9:必要資本を法定最低水準に変更
必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。
ⅹ 感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
ⅺ 感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇
オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。
EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。
また、EEVの計算において新型コロナウイルス感染症の潜在的な影響を直接的には考慮しておりません。
これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。
かんぽ生命保険では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、EEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。
上記各報告セグメントにおける事業のほか、病院事業については、地域医療機関との連携や救急患者の受入の強化等による増収対策、業務の効率化等による経費削減、また、経営改善が見込めない逓信病院(3カ所※)を譲渡する等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善を進めているところであり、営業収益14,047百万円(前期比2,709百万円減)、営業損失3,364百万円(前期は5,361百万円の営業損失)となりました。今後も引き続き上記増収対策や経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善に取り組みます。
また、宿泊事業については、営業推進態勢の強化やサービス水準向上による魅力ある宿づくりを継続的に進めるとともに、費用管理による経費削減等の経営改善に取り組んでいるところですが、2018年10月に「ホテル メルパルク」の賃貸借、管理業務を当社の子会社である日本郵政不動産株式会社へ移管したことや台風等の自然災害、一部施設の営業終了、新型コロナウイルス感染症等の影響もあり、営業収益19,005百万円(前期比4,935百万円減)、営業損失6,379百万円(前期は3,757百万円の営業損失)となりました。今後、法人営業活動の充実、外部のWebサイトの活用強化等による増収施策、食材等原価管理の徹底、業務フローの効率化等の生産性向上施策を着実に実施することにより、経営改善に取り組みます。
不動産事業については、当社の子会社である日本郵政不動産株式会社において「ホテル メルパルク」の賃貸・管理事業を行うとともに、グループ外不動産である(仮称)赤坂二丁目計画等やグループ保有不動産である蔵前不動産開発(オフィス、高齢者施設、賃貸住宅、物流施設他)、五反田不動産開発(オフィス、ホテル、ホール他)等に当連結会計年度に9,785百万円の投資を行いました。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるテナント賃料の減額、開発中の案件における竣工時期の遅延等も想定されますので、今後のマーケットへの影響、動向を引き続き注視し、必要な対策を適時適切に実施しつつ、不動産事業を慎重に進めてまいります。
投資事業については、日本郵政グループの新規事業の種を探すため、ネットワーク、ブランド力等を活用して成長が期待できる企業への出資(当連結会計年度に21件、約8,797百万円)を行い、出資先企業と当社グループとの連携を進めました。今後も、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響など、投資先の事業環境の変化による投資先の価値や将来の成長性を見極めながら、出資等に取り組みます。
※ 2019年4月 富山逓信病院、名古屋逓信病院、福岡逓信病院
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は当期首から1,443,568百万円増加し、53,603,857百万円となりました。
営業活動においては、銀行業における資金の運用や調達、生命保険業における保険料の収入や保険金の支払等の結果、305,850百万円の収入(前期比3,915,650百万円の収入増)となりました。
主な要因として、コールマネー等の増加3,286,253百万円、責任準備金の減少2,767,383百万円があげられます。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動においては、銀行業及び生命保険業における有価証券の売却、償還による収入等及び有価証券の取得による支出等の結果、1,040,484百万円の収入(前期比4,145,558百万円の収入減)となりました。
主な要因として、有価証券の償還による収入22,959,251百万円や有価証券の売却による収入3,605,937百万円、有価証券の取得による支出25,138,744百万円があげられます。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動においては、子会社株式の一部売却等の結果、99,003百万円の収入(前期比210,260百万円の収入増)となりました。
主な要因として、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入322,539百万円、配当金の支払額202,271百万円があげられます。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
中期経営計画において、お客さま満足向上、営業力向上、業務効率化など経営基盤強化に資するインフラ整備を推進するため、郵便・物流事業や金融窓口事業における局舎等工事、金融窓口事業における不動産開発、国際物流事業における貨物船の建造、銀行業におけるATMの購入、生命保険業における次期オープン系システムの構築等への投資を計画しております。
また、上記の他に、「トータル生活サポート企業グループ」としてグループの成長につながるよう、当社グループ・グループ各社の企業価値向上に資する幅広い分野での資本提携やM&Aも、投資判断基準等に照らして慎重に検討し、適切と判断したものを実施することとしております。
その財源は、既存のキャッシュ・フローのほか、潤沢な借入余力を活かした借入金や金融2社株式を売却した場合の売却手取金を想定しています。
なお、現在予定している設備の新設計画としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備等の新設等」の記載をご参照ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。
当社グループは、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
特に以下の重要な会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。
① 金融商品の時価評価
当社グループの有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には合理的な見積りに基づいて算定された価額によっております。
一部の金融商品の時価算定には一定の前提条件を採用しているため、予測不能な前提条件の変化により、金融商品の評価に関する見積りが変動する可能性があります。
金融商品の時価の算定方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(金融商品関係)及び(デリバティブ取引関係)に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う金融市場の混乱が継続する場合、金融商品の時価算定における一定の前提条件に影響が及び、翌連結会計年度の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
② 有価証券の減損
当社グループの金銭の信託で運用する有価証券を含め売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価又は実質価額が著しく下落したものについては合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。株式市場の悪化等、将来の金融市場の状況によっては、多額の減損損失を計上する可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループは、原則として内部管理上独立した業績報告が行われる単位を基礎として、資産のグルーピングを行っております。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としております。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき合理的に算定しております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件が変更された場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積っております。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来、当社グループを取り巻く経営環境に大きな変化があった場合等、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
⑤ 責任準備金の積立方法
当社グループは、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。
責任準備金の計算に使用される予定死亡率、予定利率及び予定事業費率などの基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。
なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
⑥ 退職給付債務及び退職給付費用
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率など将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。
このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。
なお、退職給付債務等の計算の基礎に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(退職給付関係)に記載のとおりであります。
⑦ 保険金等支払引当金の計上基準
当社グループの保険金等支払引当金は、お客さまのご意向確認等の実績を踏まえて、お客さまの利益を回復するための将来の契約措置により生じる保険金等の支払見込額等を合理的に見積り計上しております。保険金等支払引当金の計上等に係る詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(追加情報)の(保険契約に係るご契約調査及び改善に向けた取組)に記載しております。
将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、保険金等支払引当金の計上額が当初の見積額から変動する可能性があります。
なお、保険金等支払引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。
銀行持株会社としての当社の連結自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。
保険持株会社としての当社の連結ソルベンシー・マージン比率は、保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。
この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。
当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率は、554.2%となりました。
(注) 保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
(7) 目標とする経営指標の達成状況
当社グループにおいては、主要な経営目標として1株当たり当期純利益を採用しており、2020年3月期においては当初業績予想103.87円に対し1株当たり当期純利益119.64円となりました。2020年3月期の経営成績の状況及び分析・検討については、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績の状況及び分析・検討」に示しております。
当社グループは、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業及び生命保険業を中心とした広範囲な事業を営んでおり、生産、受注といった区分による表示が困難であることから、「生産、受注及び販売の状況」については、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績の状況及び分析・検討」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(1) 日本郵政グループ協定等
① 日本郵政グループ協定等の締結について
当社は、事業子会社等との間で、グループ協定等を締結しております。
グループ協定等において、当社及び事業子会社等が、グループ共通の理念、方針その他のグループ運営(グループ全体の企業価値の維持・向上のための諸施策の策定及びその遂行をいいます。)に係る基本的事項について合意することにより、金融2社の上場後においても、引き続きグループ会社が相互に連携・協力し、シナジー効果を発揮する体制を維持しております。グループ協定等の締結は、グループ会社、ひいてはグループ全体の企業価値の維持・向上に寄与していると考えております。
② ブランド価値使用料について
グループ協定等に基づき、当社は、事業子会社等からブランド価値使用料を受け取っております。ブランド価値使用料は、当社グループに属することにより、当社グループが持つブランド力を自社の事業活動に活用できる利益の対価、すなわち、郵政ブランドに対するロイヤリティの性格を有するものです。
ブランド価値使用料は、当社グループに属することによる利益が事業子会社等の業績に反映されていることを前提とし、事業子会社等が享受する利益が直接的に反映される指標を業績指標として採用し、業績指標に一定の料率を掛けて額を算定することとしており、2020年3月期のブランド価値使用料の総額は136億円です。
なお、主要な子会社のブランド価値使用料の具体的な算定方法及び2020年3月期の金額は次のとおりです。
日本郵便
算定方法:連結営業収益(トール社連結及びトールエクスプレスジャパン株式会社分を除く。)(前年度)
×0.20%
金 額:65億円
ゆうちょ銀行
算定方法:貯金残高(前年度平均残高)×0.0023%
金 額:41億円
かんぽ生命保険
算定方法:保有保険契約高(前年度末)×0.0036%
金 額:29億円
この算定方法は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り変更しないこととしております。
③ 金融2社株式の処分後のグループ協定等について
郵政民営化法第7条第2項の規定により、当社が保有する金融2社の株式は、その全部を処分することを目指し、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービス提供に係る責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分することとされていますが、当社による金融2社の議決権所有割合にかかわらず、金融2社は、それぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行又は同条第3項に定める関連保険会社である限り、グループ協定等を維持するものと考えております。
(2) 銀行窓口業務契約及び保険窓口業務契約(期間の定めのない契約)
日本郵便は、日本郵便株式会社法第5条の責務として、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにするユニバーサルサービス義務を果たすために、ゆうちょ銀行との間で、銀行窓口業務契約を締結(2012年10月1日)するとともに、かんぽ生命保険との間で、保険窓口業務契約を締結(2012年10月1日)しております。
銀行窓口業務契約では、日本郵便が、ゆうちょ銀行を関連銀行として、通常貯金、定額貯金、定期貯金の受入れ及び普通為替、定額小為替、通常払込み、電信振替の取引を内容とする銀行窓口業務を営むこととしております。
保険窓口業務契約では、日本郵便が、かんぽ生命保険を関連保険会社として、普通終身保険、特別終身保険、普通養老保険及び特別養老保険の募集並びにこれらの保険契約に係る満期保険金及び生存保険金の支払の請求の受理の業務を営むこととしております。
なお、本契約は、期限の定めのない契約であり、特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り解除することはできないものと定めております。
(3) 銀行代理業に係る業務の委託契約及び金融商品仲介業に係る業務の委託契約並びに生命保険募集・契約維持管理業務委託契約
① 銀行代理業に係る業務の委託契約及び金融商品仲介業に係る業務の委託契約(期間の定めのない契約)
日本郵便は、ゆうちょ銀行との間で、銀行代理業に係る業務の委託契約(2007年9月12日(締結)、2008年4月22日(変更)、2012年10月1日(変更))、金融商品仲介業に係る業務の委託契約(2007年9月12日(締結)、2012年10月1日(変更))を締結しております。
日本郵便が、銀行代理業に係る業務の委託契約に基づいて行う業務は、上記(2)の銀行窓口業務契約で定めた業務を含め、銀行代理業務、手形交換業務、告知事項確認業務等であります。
日本郵便が、金融商品仲介業に係る業務の委託契約に基づいて行う業務は、金融商品仲介業務、本人確認事務等であります。
なお、本契約は、期限の定めのない契約であり、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、本契約を解除する旨の協議を申し入れることができ、解除について合意にいたらない場合、書面による通知により解除することができるものと定めております。銀行窓口業務に該当する業務については、上記(2)の契約に定めがある場合を除くほかは、本契約の定めるところによります。
② 生命保険募集・契約維持管理業務委託契約(期間の定めのない契約)
日本郵便は、かんぽ生命保険との間で、生命保険募集・契約維持管理業務の委託契約を締結(2007年9月12日(締結)、2012年10月1日(変更)、2014年9月30日(変更)、2016年3月31日(変更))しております。
日本郵便が、生命保険募集・契約維持管理業務の委託契約に基づいて行う業務は、上記(2)の保険窓口業務契約で定めた業務を含め、保険契約の締結の媒介、保険金、年金、返戻金、貸付金及び契約者配当金等の支払等であります。
なお、本契約は、期限の定めのない契約であり、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、本契約を解除する旨の協議を申し入れることができ、解除について合意にいたらない場合、書面による通知により解除することができるものと定めております。保険窓口業務に該当する業務については、上記(2)の契約に定めがある場合を除くほかは、本契約の定めるところによります。
(4) 郵便貯金管理業務委託契約及び簡易生命保険管理業務委託契約等(期間の定めのない契約)
ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険は、郵政管理・支援機構の業務である郵便貯金管理業務(公社から承継した郵便貯金の管理に関する業務等)及び簡易生命保険管理業務(同簡易生命保険契約の管理に関する業務等)の一部(払戻し、利息支払等)について、郵政管理・支援機構とそれぞれ郵便貯金管理業務委託契約、簡易生命保険管理業務委託契約を締結し委託を受けております。
また、ゆうちょ銀行は郵政管理・支援機構との間で郵便貯金資産(郵便貯金管理業務の経理を区分する郵便貯金勘定に属する資産)の運用のための貯金に係る契約を、かんぽ生命保険は郵政管理・支援機構との間で簡易生命保険契約の再保険に係る契約をそれぞれ締結しております。
さらに、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険は、郵政管理・支援機構との間で郵政管理・支援機構が保有する郵便貯金の預金者、簡易生命保険の契約者及び地方公共団体に対する貸付金の総額に相当する額について、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの借入金として郵政管理・支援機構がそれぞれ債務を負うものとする契約を締結しております。
なお、郵便貯金管理業務委託契約、簡易生命保険管理業務委託契約及び簡易生命保険契約の再保険に係る契約の変更又は解除は、総務大臣の認可が必要とされております。
(5) 郵便貯金管理業務の再委託契約及び簡易生命保険管理業務再委託契約
① 郵便貯金管理業務の再委託契約(期間の定めのない契約)
ゆうちょ銀行は、日本郵便との間で、ゆうちょ銀行が郵政管理・支援機構から受託している郵便貯金管理業務について、日本郵便が郵便貯金管理業務の一部を営むこととする郵便貯金管理業務の再委託契約(2007年9月12日(締結)、2008年9月30日(変更)、2012年10月1日(変更))を締結しております。
なお、本契約は、期間の定めのない契約であり、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、本契約を解除する旨の協議を申し入れることができ、書面により本契約の解除を通知することができるものと定めております。
② 簡易生命保険管理業務再委託契約(期間の定めのない契約)
かんぽ生命保険は、日本郵便との間で、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受託している簡易生命保険管理業務について、日本郵便が簡易生命保険管理業務の一部を営むこととする簡易生命保険管理業務再委託契約(2007年9月12日(締結)、2012年10月1日(変更))を締結しております。
なお、本契約は、期間の定めのない契約であり、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、事業運営上の合理的な理由により本契約を解約する旨、書面による通知を行い、解約することができるものと定めております。
(6) 総括代理店委託契約(1年ごとの自動更新)
かんぽ生命保険は、かんぽ生命保険を保険者とする生命保険契約の募集を行う簡易郵便局に対する指導・教育等について、日本郵便と総括代理店契約(2007年9月12日(締結)、2012年10月1日(変更))を締結しております。
なお、本契約は、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、事業運営上の合理的な理由により本契約を解約する旨、書面による通知を行い、解約することができるものと定められております。また、生命保険募集・契約維持管理業務委託契約(上記(3)②)が解除された場合は、予告なしに解除することができるものと定められております。
(参考1) ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの委託手数料
日本郵便は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険との間で、上記(2)、(3)、(5)、(6)に係る業務の対価としての委託手数料の算定方法等を定めております。
ゆうちょ銀行とは、委託手数料支払要領を締結しており、2020年3月期からは基本委託手数料として、平均総預かり資産残高に応じて支払われる「貯金や投資信託等の預かり資産に係る事務等」、送金決済取扱件数に応じて支払われる「送金決済その他役務の提供事務等」の手数料を設定しております。なお、2019年3月期までは、郵便局維持に係る「窓口基本手数料」、平均貯金残高に応じて支払われる「貯金の預払事務等」、送金決済取扱件数に応じて支払われる「送金決済その他役務の提供事務等」、資産運用商品の販売額及び平均投信残高に応じて支払われる「資産運用商品の販売事務等」の手数料を設定しておりました。
これに営業目標達成や事務品質の向上を確保するため、成果に見合った「営業・事務報奨」を合わせた手数料となっております。
基本委託手数料は、ゆうちょ銀行での単位業務コストをベースに、日本郵便での取扱実績等に基づき委託業務コストに見合う額を算出し、その前年度からの増減率を、前年度の基本委託手数料に乗じて算出することとしております。
ただし、2020年3月期の基本委託手数料については、前年度の基本委託手数料が算定方法を変更する前であり、乗じる対象がないため、委託業務コストに見合う額から交付金で賄われる部分を除いて算出することとしております。
かんぽ生命保険とは、代理店手数料規程等を定めており、募集した新契約に応じて支払われる「新契約手数料」、保有契約件数等に応じて支払われる「維持・集金手数料」、総括代理店契約業務に対して支払われる「総括代理店手数料」が設定されています。
「新契約手数料」には、募集品質の確保を前提に一定基準以上の実績を確保した場合にボーナス手数料等のインセンティブの仕組みを設定する場合がありますが、2021年3月期当初においては、販売実績に対するボーナス手数料の追加は行わず、募集品質の向上等に対するインセンティブの仕組みを実施しております。
また、「維持・集金手数料」には、契約維持管理のための活動促進等を目的にその活動内容に応じたインセンティブ手数料を設定しております。2021年3月期当初においては、インセンティブ手数料のあり方を再検討し、その一部を廃止するとともに、保有契約の維持にインセンティブ手数料を集約する等の見直しを実施しております。
募集手数料は複数年の分割払いとなっており、最初の1年間の支払金額を高く、残りの期間を均等に低く支払うこととしておりましたが、2021年3月期当初においては、契約の継続をより重視するため、最初の1年間の支払金額と残りの期間に支払う金額の比率を変更し、最初の1年間の支払金額を減額し、残りの期間の支払金額を増額しております。維持・集金手数料に設定されている単価は、実地調査に基づく所要時間や、これに係る人件費等を基に算出しております。
なお、かんぽ生命保険から日本郵便に支払われる委託手数料に関しては、事業環境の変化を踏まえ、2021年度3月期も含め今後の手数料体系について、引き続き検討することとしております。
(参考2) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要及び金融2社との業務委託契約への影響
2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これにより、2019年4月1日に独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の名称が「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に変更され、また、郵政管理・支援機構の目的として、「郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金を交付することにより、郵政事業に係る基本的な役務の提供の確保を図り、もって利用者の利便の確保及び国民生活の安定に寄与すること」が追加されました。
郵便局ネットワーク維持に要する費用は、従来、日本郵便と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われていましたが、当該費用のうち、日本郵便が負担すべき額を除くユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用は、本法に基づき、2020年3月期から、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われています。
当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用の算定方法は、直近の郵便局ネットワークの維持の状況を基礎とした次の費用の合計額となります。
ア あまねく全国において郵便局でユニバーサルサービスが利用できるようにすることを確保するものとなるように郵便局ネットワークを最小限度の規模の郵便局により構成するものとした場合における人件費、賃借料、工事費その他の郵便局の維持に要する費用、現金の輸送及び管理に要する費用、並びに固定資産税及び事業所税
イ 簡易郵便局で郵政事業に係る基本的な役務が利用できるようにすることを確保するための最小限度の委託に要する費用
当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用及び交付金・拠出金の算定等に係る郵政管理・支援機構の事務経費は、郵便窓口業務、銀行窓口業務又は保険窓口業務において見込まれる利用者による郵便局ネットワークの利用の度合等に応じて按分され、銀行窓口業務に係る按分額をゆうちょ銀行が、保険窓口業務に係る按分額をかんぽ生命保険が拠出金として拠出することとなり、拠出金の額は郵政管理・支援機構が年度ごとに算定し、総務大臣の認可を受けることとされております。
また、2020年3月期から、当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用は、日本郵便が負担すべき額を除き、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われることとなり、これを契機にゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険が業務委託契約等に基づいて日本郵便に支払っている委託手数料についても2020年3月期から見直しを行っております。銀行代理業務手数料は、郵便局ネットワーク維持に係る「窓口基本手数料」を廃止するなど、保険代理業務手数料は、保有契約件数等に応じて支払われる「維持・集金手数料」のうち、郵便局数等に応じて支払われる手数料を対象に減額するなどの見直しを行いました。
過去5年間の金融2社からの手数料及び郵政管理・支援機構からの交付金の推移は以下のとおりです。
(注) かんぽ生命保険の2016年3月期以前の手数料額合計には営業支援金を含んでいるため、かんぽ生命保険が有価証券報告書提出日と同日付で提出する有価証券報告書に記載されている手数料額と一致しません。
なお、営業支援金とは、保険商品の募集促進を目的として覚書に基づきかんぽ生命保険から日本郵便に提供(金額は両社の協議により決定)されるものであり、日本郵便はその使途についてはかんぽ生命保険に報告します。
金融2社から郵政管理・支援機構への拠出金の推移は以下のとおりです。
(参考3) 郵政管理・支援機構と契約している業務委託契約の関係は以下のとおりになります。
① 郵便貯金管理業務委託契約

② 簡易生命保険管理業務委託契約

(参考4) 郵便局ネットワーク支援の関係は以下のとおりになります。

(7) 郵便局局舎の賃貸借契約
日本郵便は、日本郵便の営業所である郵便局を関係法令に適合するように設置するため、15,301局の郵便局局舎(2020年3月31日現在)について賃貸借契約を締結しております。このうち従業員等との間で賃貸借契約を締結している局舎の数が4,686局となっておりますが、これは明治初期の国家財政基盤が不安定な時代にあって、予算的な制約を乗り越え、郵便を早期に全国に普及させるため、地域の有力者が業務を請け負い、郵便局の局舎として自宅を無償提供したことが起源となっているものです。また、1948年4月に従業員の局舎提供義務が廃止されたことに伴い、すべての郵便局局舎について賃貸借契約を締結することといたしました。その後、郵便局の新規出店、店舗配置の見直し等を通じた郵便局ネットワークの最適化を推進しており、賃貸借契約についても必要に応じて見直しを行い、現在に至っております。
郵便局局舎の賃借料については、従業員等との賃貸借契約を含め、積算法又は賃貸事例比較法に基づき算定しており、定期的に不動産鑑定士による検証等の見直しを実施しています。最近5年間の賃借料総額の実績は、2015年度分600億円、2016年度分597億円、2017年度分595億円、2018年度分594億円、2019年度分594億円になっています。
一部の郵便局局舎の賃貸借契約については、日本郵便の都合で、その全部又は一部を解約した場合で、貸主が当該建物を他の用途に転用することが出来ず損失を被ることが不可避な場合には、貸主から補償を求めることが出来る旨を契約書に記載しております。解約補償額は、貸主が郵便局局舎に対して投資した総額のうち、解約時における未回収投資額を基礎に算出することとしておりますが、2020年3月31日現在、発生する可能性のある解約補償額は68,829百万円です。なお、日本郵便の都合により解約した場合であっても、局舎を他用途へ転用する等のときは補償額を減額することから、全額が補償対象とはなりません。
賃貸借契約の契約期間は、2010年6月までに締結した契約については1年間の自動更新となっておりますが、これまで郵便局局舎は長期間、使用しているという実態を踏まえ経済合理性の観点から、長期賃貸を前提とした契約内容に見直しを行ったため、2010年7月以降に締結する契約については、税法上の耐用年数に10年を加えた年数としております。
(8) 簡易郵便局の郵便窓口業務等委託契約
日本郵便は、簡易郵便局受託者(2020年3月31日現在、3,746者)との間で、郵便窓口業務及び印紙の売りさばきに関する業務の委託契約、荷物の運送の取扱いに関する業務の委託契約、銀行代理業に係る業務の再委託契約、郵便貯金管理業務の再再委託契約、生命保険契約維持管理業務の再委託契約、簡易生命保険管理業務の再再委託契約及びカタログ販売等業務に係る委託契約(受託者によっては各契約の一部)を締結しております。なお、簡易郵便局の郵便窓口業務等委託契約の期間は3年間であります。
また、かんぽ生命保険は、簡易郵便局受託者(2020年3月31日現在、539者)との間で、生命保険募集委託契約を締結しております。
(参考) 簡易郵便局受託者の資格については、簡易郵便局法の規定により、禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しないもの等を除く、以下の者でなければならないと定められております。
① 地方公共団体
② 農業協同組合
③ 漁業協同組合
④ 消費生活協同組合(職域による消費生活協同組合を除く。)
⑤ ①から④までの者のほか、十分な社会的信用を有し、かつ、郵便窓口業務及び印紙の売りさばきに関する業務を適正に行うために必要な能力を有する者
(9) 米国アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との資本関係に基づく戦略提携に関する基本合意書
当社は、2018年12月19日開催の取締役会において、アフラック・インコーポレーテッド(本社:米国ジョージア州、会長兼最高経営責任者:ダニエル・P・エイモス)及びその完全子会社であるアフラック生命保険株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:古出眞敏、以下「アフラック生命」といいます。)と資本関係に基づく戦略提携(以下「戦略提携」といいます。)を行うことを決議し、同日付で戦略提携に関する基本合意書を締結いたしました。
① 基本合意書の目的
当社とアフラック生命は、長年に亘り、当社の連結子会社である日本郵便及びかんぽ生命保険とともに行ってきたがん保険に関する様々な取組みを通じて、ビジネスパートナーとして強固な信頼関係を確立してきました。
戦略提携は、これまでのがん保険に関する取組みについて再確認するとともに、当社によるアフラック生命の親会社アフラック・インコーポレーテッドへの投資を通じて、アフラック生命のビジネスの成長が当社への利益貢献につながるという双方の持続的な成長サイクルの実現を目指すものです。
② 基本合意書の内容
(a) 資本関係
当社は、必要な許認可等の取得を前提として、アフラック・インコーポレーテッド普通株式の発行済株式総数(自己株式を除く。)の7%程度を、信託を通じて取得します。取得から4年経過し議決権が20%以上となった後(※)、アフラック・インコーポレーテッドを当社の持分法適用関連会社とすることを主たる内容とする資本関係を構築します。
これは、当社によるアフラック・インコーポレーテッドの支配権もしくは経営権の獲得又は経営への介入を目的とするものではありません。
なお、2019年4月29日に、信託を通じて、アフラック・インコーポレーテッド普通株式の取得を開始し、2020年2月13日をもって、予定していた株式数の取得を完了しました。
(※)アフラック・インコーポレーテッドでは、定款の規定により、原則として、普通株式を48か月保有し続けると、1株につき10議決権を行使することができます。
(b) がん保険に関する取組みの再確認
当社及びアフラック生命は、日本郵便及びかんぽ生命保険との間で実施してきたがん保険に関する取組みを再確認し、今後も進展させるべく合理的な努力を行います。
(c) 新たな協業の取組みの検討
がん保険に関する取組みに加えて、当社、日本郵便、かんぽ生命保険及びアフラック生命の各社の企業価値向上に資することを目的とした新商品開発における協力や、デジタルテクノロジーの活用、国内外での事業展開や第三者への共同投資における協力、資産運用における協力など新たな協業の取組みの検討を行います。
(d) 最高経営者会議及び戦略提携委員会
当社、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命は、当社及びアフラック・インコーポレーテッドの各最高経営執行者による定例会議を「最高経営者会議」として引き続き活用し、戦略提携に関する事項も協議します。
また、これまで当社、日本郵便、かんぽ生命保険及びアフラック生命の間で開催してきた、各社の代表執行役、代表取締役等による定例会議を「戦略提携委員会」として引き続き活用し、戦略提携に関する事項も協議します。
該当事項はありません。