第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 当社グループの経営理念及び経営方針

① グループ経営理念

 郵政ネットワークの安心、信頼を礎として、民間企業としての創造性、効率性を最大限発揮しつつ、お客さま本位のサービスを提供し、地域のお客さまの生活を支援し、お客さまと社員の幸せを目指します。また、経営の透明性を自ら求め、規律を守り、社会と地域の発展に貢献します。

 

② グループ経営方針

・ お客さまの生活を最優先し、創造性を発揮しお客さまの人生のあらゆるステージで必要とされる商品・サービスを全国ネットワークで提供します。

 ・ 企業としてのガバナンス、監査・内部統制を確立しコンプライアンスを徹底します。

 ・ 適切な情報開示、グループ内取引の適正な推進などグループとしての経営の透明性を実現します。

 ・ グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。

・ 働く人、事業を支えるパートナー、社会と地域の人々、みんながお互い協力し、社員一人ひとりが成長できる機会を創出します。

 

(2) 経営環境

当連結会計年度の国内経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により一時急速に落ち込み、企業収益の減少や雇用情勢の悪化など厳しい状況となりましたが、各種政策の効果や経済活動の段階的再開により、持ち直しの動きが見られました。

世界経済においても、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により一時急速に悪化し、その後持ち直しの動きは見られましたが、ユーロ圏で11月以降感染再拡大の影響により経済活動が抑制されたこともあり、持ち直しは緩やかでした。

金融資本市場では、国内の10年国債利回りは、長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策のもと、ゼロ%付近で概ね安定的に推移しました。日経平均株価は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により20,000円台を割っていましたが、6月には先進国を中心に経済の回復傾向が見られたことや、国内の緊急事態宣言解除の影響を受け、23,000円台まで回復しました。その後、11月には、新型コロナウイルス感染症が再拡大するなかでも、ワクチン開発進展のニュースなどの影響により26,000円台に突入すると、その後も順調に伸び、約30年半ぶりの30,000円台となりました。

物流業界においては、eコマース市場の拡大に伴う、宅配便市場の拡大により労働力不足への対応が必要となっているほか、サービス品質に対するお客さまニーズの高まりに対応し、AIやロボット等の先端技術を活用しながら、各社がサービスの向上に努めるなど厳しい競争下にあります。郵便事業においては、インターネットの普及や新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動への影響等により、郵便物の減少が継続しております。また、労働市場の逼迫等を背景に、人件費単価の上昇等も続いております。

銀行業界においては、当年度は、全国銀行における預金が対前期比増加となり、貸出金も約10年連続で増加しました。金融システムは、新型コロナウイルス感染症の拡大が引き続き国内外の経済・金融面に大きな影響を及ぼしているものの、全体として安定性を維持しています。

生命保険業界においては、低金利環境の継続、超高齢社会の進展、ライフスタイルの変化等を背景としたお客さまニーズの多様化や選別志向の高まりなどが見られます。

当社グループは、「郵便・物流」「貯金」「保険」の生活に必要な基礎的サービスや物販、提携金融サービス等を全国約24,000カ所の郵便局ネットワークを通じて提供するほか、不動産事業など多数のサービスを展開しています。郵便・物流事業においては1日に約3,100万カ所への郵便配達箇所数、銀行業においては約1億2,000万口座の通常貯金口座数、生命保険業においては2,283万人のお客さま数(契約者さま及び被保険者さまを合わせた人数(個人保険及び個人年金保険を含み、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みます。))など、毎日の生活の中で多くのお客さまにご利用頂いており、お客さまとの接点の多さは当社グループの強みとなっております。

新型コロナウイルス感染症の収束が見えないなか、当社グループは、お客さまと社員の安全を確保するための感染防止策を講ずるとともに、国民の皆さまへの支援として、死亡保険金の倍額支払など行ってまいります。

当社グループは、2021年4月20日、我が国における新式郵便の創業すなわち郵政事業の創業から150年を迎えました。1871年の創業以来、お客さまの生活に寄り添い、事業の幅を拡げながら、地域のお客さまと一緒に成長してまいりました。今一度、原点に立ち返り、「すべてを、お客さまのために。」のキャッチフレーズの下、グループ一丸となって取り組んでまいります。

 

(3) 当社グループの経営戦略等

① 中期経営計画等について

当連結会計年度、当社グループはかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題により毀損したお客さまからの信頼の回復に向けて取り組むとともに、グループの新たな成長に向けた企業価値向上を目指し、2021年度から2025年度を計画期間とした、新しい中期経営計画「JPビジョン2025」を発表いたしました。当社グループは、少子高齢化の進展による超高齢社会への対応ニーズの高まり、高齢単身世帯の増加等による社会的不安の増加、社会基盤の持続可能性への懸念や、デジタル化の進展によるスマートフォン完結型の各種サービス利用のニーズの高まり、キャッシュレス化の浸透、デジタル・ディバイド問題の顕在化等、グループを取り巻く社会環境の変化を踏まえ、日本郵便においては、ラストワンマイルにおける二輪車の機動力活用や保有データを最大限活用したサービス・オペレーション改革、ゆうちょ銀行においては、DXの推進による、安心・安全なサービス充実と業務改革や地域への資金循環と地域リレーション機能の強化、かんぽ生命保険においては、新たな営業スタイルへの変革やあらゆる世代のお客さまの保障ニーズに応える保険サービスの提供、当社においては、グループ内連携の強化やグループ外の企業等との積極的連携、新たな価値を提供する成長戦略など、成長に向けた課題に取り組みます。当社グループは、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を目指し、DXの推進により、リアルの郵便局ネットワークとデジタル(「デジタル郵便局」)の融合に取り組むとともに、ユニバーサルサービスを含むコアビジネス(郵便・物流事業、銀行業、生命保険業)の充実強化に加え、不動産事業の拡大や、新規ビジネス等の推進によりビジネスポートフォリオを転換させ、グループの新たな成長の実現に取り組みます。なお、それらの取組みに当たっては、RAFにより、リスク・リターンを意識した経営管理を行い、グループとしての企業価値向上を目指します。

 

 〔日本郵政グループが目指す姿〕


 

当社としましては、当社の収益性を明確にお示しする指標として、連結当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEを目標に設定しております。また、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置付けております。

 

あわせて、成長に向けた投資、効率化施策・生産性向上に向けて取り組みます。

 


 


 

② 経営者の問題意識と今後の方針

業務改善計画に基づいた改善策の実行に取り組んでいるかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題に加え、2020年度には、かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売について、一部お客さま本位といえない営業が行われていたことや、ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済サービスの不正利用等の新たな問題が発覚しました。これらの問題に対しては、外部専門家の方々で構成された、JP改革実行委員会からの評価、助言等も踏まえて対処し、ガバナンス機能、グループコンプライアンス機能、監査部門の機能の強化等を図り、業務改善計画の着実な実行を行ってまいります。さらに、お客さまからの信頼回復に向け、2020年9月に発表した「お客さまの信頼回復に向けた約束」をもとに、お客さまや社員の声を経営や営業・業務改善に活用する等、お客さま本位の事業運営を徹底してまいります。

その他、グループ横串能での調整・助言の役割を担うグループCxO制を導入するとともに、日本郵政・日本郵便の一体的運営を図り、グループガバナンスを強化します。そして、人的依存度の高いサービスを提供する当社グループにとって、人材は最も重要な経営資源との認識に立ち、お客さまへの総合的なコンサルティングサービス向上に向けた研修等の人材育成、ワーク・ライフ・バランスの確保を目指す働き方改革や、社員の多様な能力・個性を活かすダイバーシティ・マネジメントの推進に取り組んでまいります。

加えて、交付金・拠出金制度も活用し、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保の責務を果たし、地域社会に貢献するとともに、郵便局ネットワークの一層の活用・維持による安定的なサービスの提供等を図るため、グループ各社の経営の基本方針を策定し、その実施に努めてまいります。

金融2社株式の売却については、当社としましては、郵政民営化法に従い、最終的には当社が保有するすべての金融2社株式を売却する方針ですが、その前提として、金融2社株式の売却に伴う当社と金融2社との資本関係の変化が、金融2社の経営状況並びに当社及び日本郵便に課されているユニバーサルサービス確保の責務の履行に与える影響を見極める必要があります。そこで、当社としましては、金融2社の経営状況及びユニバーサルサービス確保の責務の履行への影響が軽微と考えられる、当社の保有割合が50%以下となるまで、「JPビジョン2025」期間中のできる限り早期の売却を目指します。

なお、2021年5月14日に公表したとおり、当社は、かんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び株式処分信託設定により、保有するかんぽ生命保険株式のうち163,306,300株を処分することといたしました。

本株式処分により、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となっております(処分前64.48%)。また、当社は、2021年6月9日付でかんぽ生命保険株式の2分の1以上を処分した旨を総務大臣に届け出ました。これにより、郵政民営化法によりかんぽ生命保険に課せられている新規業務に係る規制が認可制から届出制へと緩和されることになりました。

ゆうちょ銀行株式についても「JPビジョン2025」の期間中において、保有割合が50%以下となるまで、できる限り早期に売却することを目指します。

金融2社株式の売却に伴う手取金については、その売却手取金を適切な投資機会に対して投下し、企業価値の向上を図るとともに、必要に応じ、自己株式の取得を行うことにより資本効率の維持・向上を図ります。

金融2社株式の売却を見据えた事業ポートフォリオ移行手段として、当社グループ・グループ各社の企業価値向上に資する幅広い分野での資本提携やM&Aも、投資判断基準等に照らして慎重に検討し、適切と判断したものを実施してまいります。

今後も、当社グループの企業価値向上を目指し、中期経営計画を踏まえたグループ各社の収益力強化策やさらなる経営効率化を図るとともに、不動産事業など、新たな収益源の確保等が着実に進展するよう、グループ運営を行ってまいります。

あわせて、当社グループが抱える経営課題については、持株会社として、グループ各社と連携を深めながら必要な支援を行い、その解消に努めてまいります。まずは、業務の適正を確保するため、コーポレートガバナンスのさらなる強化に向け、引き続き、グループ全体の内部統制の強化を推進し、コンプライアンス水準の向上を重点課題として、グループ各社に必要となる支援・指導を行います。特に、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を踏まえ、業務改善計画に掲げた施策に取り組むほか、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策等についても、最重要課題の一つとして取組みを一層推進・管理していきます。

また、激化するサイバーテロリスクに備え、グループ全体のサイバーセキュリティ対策の高度化及び情報共有によるガバナンスの強化に取り組みます。

さらに、引き続き、グループ各社が提供するサービスの公益性・公共性の確保や、お客さま満足度の向上に取り組むとともに、国連で採択された国際目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」を踏まえ、ESG(環境、社会、ガバナンス)に関する取組みをグループ全体として推進し、企業価値の向上につなげてまいります。具体的には、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けた動きを踏まえ、CO2の排出量削減に向けたグループ全体のEV車両の導入拡大等、事業サービスを通じた環境負荷軽減等に取り組みます。

自然災害の発生、感染症の大流行等の危機へ備え、危機管理態勢を整備するとともに、危機発生時には迅速かつ的確な対応を行い、業務継続の確保に努めます。特に、新型コロナウイルス感染症の流行下において、当社グループは、公益性が強いグループとしての社会的使命を果たすため、感染防止・感染拡大防止対策を行い、社員の安全確保と事業運営の継続に取り組んでまいります。

なお、当社は、2021年6月10日付の取締役会決議に基づき、2021年6月11日付で自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により、当社普通株式276,090,500株を取得しております。これにより、当社の発行済株式総数に対する日本国政府の保有割合は50.7%(議決権保有割合は60.6%)となりました。なお、2021年6月18日開催の取締役会決議に基づき、2021年6月30日付で保有自己株式のうち732,129,771株を消却する予定であり、その結果発行済株式総数は3,767,870,229株となる予定です。これにより、発行済株式総数に対する政府が保有する株式の保有割合は60.6%(議決権保有割合は60.6%)となる予定です。

 

(4) 対処すべき課題

① 当社グループの「お客さまの信頼回復に向けた約束」について

2019年度に発覚したかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題など金融商品販売に係る不祥事等により、当社グループはお客さまからの信頼を大きく失うこととなりました。お客さまから失った信頼を取り戻し、再びお客さまに安心して当社グループの商品・サービスをご利用していただけるようになるためには、同様の事案を発生させないための再発防止策を徹底することはもとより、当社グループが真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わることが必要と考えております。

その決意を幅広く公表するために、外部専門家で構成されるJP改革実行委員会の助言も受けながら、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を2020年9月に策定いたしました。

当社グループで働く一人ひとりの社員がこの約束を実践していくことで、お客さまからの信頼が回復できるよう、グループ一丸となって取り組んでおります。

 

お客さまの信頼回復に向けた約束

「目指す姿の約束」

一人ひとりのお客さまに寄り添い、お客さまの満足と安心に最優先で取り組み、信頼していただける会社になることを約束します。

 

「活動の約束」

〇 お客さま本位の事業運営を徹底し、お客さまにご満足いただける丁寧な対応を行います。

〇 お客さまの声をサービス向上に反映するため、お客さまの声に誠実に耳を傾けます。

〇 社員の専門性を高め、お客さまにご納得いただけるよう正確にわかりやすく説明します。

〇 法令・ルールを遵守し、お客さまが安心してご利用いただける高品質のサービスを提供します。

〇 お客さまのニーズを踏まえ、お客さまに喜んでいただける商品・サービスを提供します。

 

② かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題について

前連結会計年度においてかんぽ生命保険及び日本郵便では、お客さまのご意向に沿わず不利益が生じた契約乗換等に係る事案及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案(募集品質問題)が判明いたしました。

これにより、2019年12月27日、当社は、総務大臣より日本郵政株式会社法第13条第2項に基づく業務改善命令、金融庁より保険業法第271条の29第1項に基づく業務改善命令を、日本郵便は、総務大臣より日本郵便株式会社法第15条第2項に基づく業務停止命令及び業務改善命令、金融庁より保険業法第307条第1項及び第306条に基づく業務停止命令及び業務改善命令を、かんぽ生命保険は、金融庁より保険業法第132条第1項に基づく業務停止命令及び業務改善命令を受けました。2019年7月以降、郵便局及びかんぽ生命保険の支店からの積極的なかんぽ生命保険商品のご提案を控えてまいりましたが、当該業務停止命令により、2020年1月1日から同年3月31日までの間、お客さまの自発的な意思表示を受けて行う保険募集及び保険契約の締結を除き、かんぽ生命保険商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止いたしました。また、当該業務改善命令を受けて、2020年1月31日付で、当社及び日本郵便は業務改善計画を総務大臣及び金融庁に、かんぽ生命保険は業務改善計画を金融庁に提出いたしましたが、その後も当該業務改善計画の進捗状況等について報告し協議を行っております。

業務改善計画に掲げたお客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性が特定可能な類型のご契約の調査について、具体的にお客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたものがないかをご確認する特定事案調査及びお客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたものがないかを全てのご契約について確認する全ご契約調査は、お客さま都合によるもの等を除き、お客さま対応を完了しました。また、全ご契約調査の更なる深掘調査(多数回にわたって契約の消滅・新規契約が繰り返され、お客さまのご意向に沿ったものではない可能性がある事例を確認する多数契約調査等)に係るお客さま対応も、お客さま都合によるもの等を除き、完了しました。

また、募集人調査について、特定事案調査における募集人調査は、2020年4月末までに、病休等で調査ができない事案を除き概ね完了しております。さらに、多数契約調査のうち一昨年より実施している事案における募集人調査は、病休等で調査ができない事案を除き2020年10月末までに完了しております。加えて、深掘調査等の優先的に調査を行っている募集人調査は、2021年3月末までに、退職者等を除いて概ね完了しております。なお、特定事案調査及び多数契約調査のうち一昨年より実施している事案の募集人資格に係る処分、募集人及び管理者等に対する人事上の処分、日本郵便及びかんぽ生命保険の本社・支社・エリア本部等の責任者の人事処分については、2021年3月末までに、病休等で調査ができない事案を除き概ね完了しております。2021年3月からは、お客さまの申出内容などから問題があると考えられる募集人に対して募集人調査を実施しているほか、その他の募集人については、書面による募集実態調査を実施しております。

かんぽ生命保険商品の販売については、2019年7月以降、2020年1月から3月までの業務停止命令期間を含め、郵便局及びかんぽ生命保険支店におけるかんぽ生命保険商品の積極的な営業活動を控えておりましたが、JP改革実行委員会より、当社、日本郵便及びかんぽ生命保険にて設定した営業再開条件について概ね充足したとの評価を受けるとともに、信頼回復に向けた業務運営の趣旨が、社員へ共有・徹底されていること等が確認できたことから、2020年10月5日より、お客さまへのお詫びを第一とした信頼回復に向けた業務運営を行っておりました。

これらの信頼回復に向けた業務運営の活動やかんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応が進捗し、お客さまからこれらの活動に対する理解を得られてきたこと等を踏まえ、2021年4月より、郵便局及びかんぽ生命保険支店において、お客さまのニーズに応じた保険商品やサービスの情報提供やご提案を全てのお客さまに対し実施することとし、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタンスへ移行しました。

今後とも、業務改善計画に掲げる各種施策については、定期的に外部のモニタリングを受けながら着実に進捗管理を実施し、当社グループの全役職員が一丸となって推進してまいります。

 

③ かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について

日本郵便において、かんぽ生命保険商品と投資信託を同一のお客さまに販売した際に、お客さま本位でない営業が行われた可能性のある苦情が複数発生している状況を把握しました。

これは、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題を契機に、お客さま本位の業務運営ができているかリスク感度を上げて確認するため、2020年4月よりグループ会社各社が連携して複数の商品にまたがるお客さまの苦情を分析したことにより発覚したものです。当社グループでは本事案の発覚を受けて、お客さま本位の営業の観点から下記のとおり法令等違反調査等を行っております。
 

(a) 苦情をお申し出のお客さまへの対応

2019年4月から2020年6月までの間に苦情をお申し出の79人のお客さまへの詳細確認及び関連社員へのヒアリングを行い、14人のお客さまのお取引について法令等違反に該当すると判断いたしました。14人のお客さまを含め、契約無効措置等のご要望を頂いたお客さまには、順次必要な対応を実施してまいりました。

 

(b) 2020年7月から2021年1月までに苦情をお申し出のお客さまへの対応

2020年7月から2021年1月までの間に、横断的取引に関連して36人のお客さまからお申し出があり、詳細確認及び関連社員へのヒアリングの結果1人のお客さまの取引について、法令等違反に該当すると判断いたしました。1人のお客さまを含め、契約無効措置等のご要望を頂いたお客さまには、順次必要な対応を実施してまいりました。

 

(c) 特にお客さま本位でない懸念のある取引への対応

お客さまからお申し出のあった苦情のうち、かんぽ生命保険商品を解約し、その返戻金をもとに分配型投資信託を購入し、その分配金を新たに加入したかんぽ生命保険商品の保険料の支払いに充てていた事例については、お客さま本位とは言えない取引の可能性があるため、苦情の有無にかかわらず、過去5年に遡って、外形上同様の取引が行われたお客さま全員について、ご意向確認及び関連社員へのヒアリングを実施し、3人のお客さまの取引について、法令等違反に該当すると判断しました。3人のお客さまを含め、契約無効措置等のご要望を頂いたお客さまには順次必要な対応を実施してまいりました。

 

(d) (a)、(b)、(c)で法令等違反に該当した取引に係る社員への対応

(a)、(b)、(c)で法令等違反に該当した取引に係る社員13人については、法令等に従い厳正に対応してまいります。

 

(e) その他のお客さまへの対応

上記以外に、一定期間に両方の取引をいただいた約2.1万人のお客さまについてもご意向確認を実施し、ご要望のあるお客さまには必要な対応を進めてまいります。

 

(f) 改善に向けた取組み

お客さま本位でない営業を防止するため、社内ルールの整備(「投資信託の分配金が一定期間定額であり、かんぽ生命保険商品の保険料を賄える等の勧誘話法の禁止」、「不適切な商品間の乗換え防止の観点で、投資信託購入時の原資及び分配金の使用使途について確認」)、金融商品間の横断的な取引についてデータモニタリングによる取引内容の精査等の取組みを実施しました。

 

④ ESG経営

近年、関心が高まっているESGやSDGsについては、当社グループにおいても経営における重要課題として認識しており、トップレベルで関与していることが求められる事項と認識しています。

当社グループは、当社グループの強みである郵便局ネットワークを活用し、事業を通じて、地域社会への貢献、SDGs等の社会的な課題に取り組むことにより、当社グループの持続可能な成長と中長期的な企業価値の創出を図ってまいります。また、新たな中期経営計画において、「人生100年時代の『一生』を支え、日本全国の『地域社会』の発展・活性化に貢献し、持続可能な社会の構築を目指すこと」をESG目標として設定し、各種の取組を推進していくこととしています。

環境面においては、「2050年カーボンニュートラルの実現」という超長期の目標と、それを着実に達成するためのマイルストーンとして、2030年度目標(対2019年度比46%削減)を設定し、当面の取組として、EV車両の導入拡大、郵便局等における照明器具等のLED化及び再エネ率の高い電力会社への切替等を積極的に行うほか、当社グループの持つリソースを活用し、再生可能エネルギーの利用拡大など国内外のカーボンニュートラル化を後押しする投資等も展開していく予定です。

社会面では、地方の人口減少局面の中でも地域社会を支えるインフラ機能を果たすため、JR・地方銀行等他企業や地方公共団体との連携・協業を推進しているほか、地域活性化ファンドへの参加により地域社会の発展・活性化に貢献しています。

人権・労働関連では、多様な人材が活躍できるよう、ダイバーシティの推進に取り組んでいきます。女性管理者比率の向上に関しては、2030年度に本社における女性管理者比率30%を目指すほか、本社以外においても、管理者・役職者を目指す社員を増やすための環境整備・人材育成等を進めます。また、健康経営、労働時間の適正化等、社員視点に立った働き方改革の推進にも取り組んでまいります。

企業統治面では、金融2社商品・サービスに係る不祥事等により大きく毀損した信頼の回復に向け、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を実行するとともに、グループの持株会社として、グループCxO制の導入、日本郵政・日本郵便の一体的運営を図り、グループガバナンスを強化します。また、「コンダクト・リスク」を早期に探知し対応する態勢を構築し、グループ一体となったリスク管理を行います。

今後も当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献するための活動を、グループ一体となり取り組んでまいります。

 

 

各事業セグメント別の対処すべき課題は、以下のとおりであります。

 

⑤ 郵便・物流事業

日本郵便の郵便・物流事業において、郵便物の減少や荷物需要の増加に対応するため、以下の取組みを行います。

 

(a) 商品・サービス・オペレーション体系の一体的見直しとサービスの高付加価値化

引き続き、年賀状を始めとしたスマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽しさを伝える活動の展開等により、郵便利用の維持を図るとともに、eコマース市場の拡大による荷物需要の増加に対応するため、差出・受取利便性の高いサービスを提供するとともに、営業倉庫の拡大等により、eコマース事業を展開しているお客さまの物流に関する課題を解決するソリーション営業を強化することで、収益の拡大を図ってまいります。

また、業務効率向上や不在再配達率の削減に向け、置き配の普及・拡大等を進めるとともに、業務量に応じた担務別人件費・要員マネジメントの高度化を図ることにより、競争力あるオペレーションの確立を目指します。

なお、過去5事業年度の郵便、ゆうメール、ゆうパック及びゆうパケットの取扱物数の推移は以下のとおりとなります。

 

 

 

 

(単位:百万通・百万個)

 

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

郵便

17,730

17,222

16,781

16,350

15,244

ゆうメール

3,498

3,637

3,650

3,569

3,299

ゆうパック

(含 ゆうパケット)

697

876

942

974

1,091

(再掲)

 ゆうパケット

176

261

357

428

497

 

(注) ゆうメールに含めていたゆうパケットの物数については、2016年10月より、ゆうパックに含めて表示する方法に変更しました。これに伴い、2017年3月期については全ての期間の物数に当該変更を反映しております。

 

(b) 先端技術の積極的な活用による利便性・生産性向上

先端技術の活用によってオペレーション体系を見直し、生産性を向上させていくため、テレマティクス(移動体通信システムを利用したサービス)技術を用いて取得するデータを、社員の安全確保や配達の相互応援等に活かしていくほか、郵便物の配達順路や配達エリアの見直しにも活用してまいります。加えて、AIによる配送ルートの自動作成等にも取り組み、ローコストオペレーションを実現してまいります。

また、他企業との連携により、効率の良い配送システムの構築や利便性の高い受取サービスの提供等を実現する新たな物流プラットフォームの構築に取り組むほか、将来的な実用化に向けて、ロボティクス(無人搬送車やピッキング用ロボット等)やドローン、配送ロボット等についても試行・実験を重ねてまいります。

 

(c) 改正郵便法に伴うサービスの見直し

内国郵便約款等の変更認可申請等の行政手続を遺漏なく実施するとともに、お客さまへの丁寧な周知や、正常な業務運営の確保等に向けた準備を進めてまいります。

 

 

⑥ 金融窓口事業

日本郵便の金融窓口事業において、地域やお客さまニーズに応じたサービスを提供するため、以下の取組みを行います。

 

(a) 総合的なコンサルティングサービスの実現に向けた体制への変革

日本郵政グループとして、専門性と幅広さを兼ね備えた「総合的なコンサルティングサービス」の実現を目指し、専門性・機動性を有するコンサルタントと幅広い商品ラインアップを提供する窓口社員の役割分担を明確にし、前者をかんぽ生命保険の指揮下に置く(かんぽ生命保険商品の営業等に限る)準備を進めてまいります。

 

(b) リアルな存在としての郵便局を活かした、郵便局ネットワークの価値向上

地域金融機関等との連携強化や駅と郵便局の一体的な運営等、地方公共団体や他企業と連携しながら、地域やお客さまニーズに応じた個性・多様性ある郵便局を展開することにより、郵便局ネットワークの価値を向上させてまいります。

 

(c) 不動産事業の拡大に向けた取組み

JPタワー等の賃貸事業を行うとともに、住宅地に所在する土地の有効活用事業として、住宅、保育所及び高齢者施設の賃貸事業を行います。また、新たな収益機会の拡大や保有不動産の有効活用の観点から、広島駅南口計画、梅田3丁目計画等を推進し、不動産事業が収益の柱の一つとなるよう取り組んでまいります。

 

⑦ 国際物流事業

日本郵便において、トール社に対する経営管理を強化・徹底してまいります。

同社では、2021年4月に発表したエクスプレス事業※1の売却等による不採算事業からの撤退、本社機能やロジスティクス事業における人員配置等の合理化によるコスト削減等、経営改善に向けた取組みを推進するとともに、シンガポール・ベトナムなど、アジア域内で特に成長が見込まれる数か国と小売業界・工業界といったトール社の得意とする業種にフォーカスした事業展開を行うこと等により、豪州に依存した事業構造から脱却し、日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換による成長を図ります。

さらに、海外のBtoB事業を中心に事業展開するトール社と、国内に顧客基盤を有する日本郵便のシナジーを強化し、コントラクトロジスティクス※2を中心に国内のBtoB事業の拡大を進め、国内外での総合物流事業展開による一貫したソリューションの提供を推進してまいります。具体的には、トール社が持つノウハウを用いて、2018年10月に発足したJPトールロジスティクス株式会社を通じたコントラクトロジスティクスサービスを提供し、一貫性をもった物流サービスの提供を推進します。

また、トール社を親会社とする連結グループの債務超過の金額は2021年3月末時点で880億円であります。トール社の経営環境が非常に厳しい中、資金繰り安定化を企図し、トール社の借入等に対して、日本郵便による債務保証を付しております。

 

※1 エクスプレス事業とは豪州及びニュージーランド国内におけるネットワークを活用して道路、鉄道、海上及び航空貨物輸送サービスを提供する事業のことです。

※2 コントラクトロジスティクスとは、売買に関与しない第三者が特定の荷主顧客と契約を結び、輸送や在庫・配送業務の効率運営を図るサービスのことです。

 

 

⑧ 銀行業

2020年9月に公表した、ゆうちょ銀行の即時振替サービスにおける不正利用、mijica(Visaデビット・プリペイドカード)を使用した不正送金等に係る対応として、即時振替サービスについては、2020年9月初旬から中旬にかけて、一部の決済事業者について、即時振替サービスの提供を停止しました。また、不正利用等による被害のお申し出に対しては、決済事業者と連携して調査を実施のうえ、補償対象となったお客さまについては速やかに補償手続きを行っております。
 mijicaについては、2020年9月中旬に送金機能の取扱いを、同年10月初旬にはmijicaの専用Webサイト及び新規申し込みを停止しました。また、mijica会員間の不正送金の被害に遭われたお客さまへの補償手続きは完了しております。
 さらに、ゆうちょ銀行代表執行役社長が直接指揮するセキュリティ総点検タスクフォースを設置し、ゆうちょ銀行が提供する即時振替サービス、ゆうちょPay、mijica等のキャッシュレス決済サービスに関してセキュリティの堅牢性やお客さまのご利用状況のモニタリング等態勢の総点検を行い、その結果を踏まえたセキュリティ強化策等を着実に実行しました。
 また、今回の事案を受けて行われた、ゆうちょ銀行監査委員会による「即時振替サービス等の不正利用事案に係るガバナンス検証」の結果等を踏まえ、ゆうちょ銀行において、総合的な苦情・相談態勢の強化及びセキュリティ検証態勢の強化に向けた態勢整備を行いました。
 即時振替サービスについては、決済事業者における態勢整備(全国銀行協会ガイドライン及び日本資金決済業協会ガイドラインに基づいた顧客保護態勢等)が確認できた事業者から、順次サービスを再開しております。
 mijicaについては、新たなブランドデビットカードへ移行し、新ブランドデビットカード発行後は、mijicaのサービスは終了する方針等を2021年1月に公表いたしました。
 ゆうちょ銀行は、キャッシュレス決済サービスを経営戦略上の重要施策と考えており、今般の経験と反省を踏まえ、お客さまにより安全・安心にサービスをご利用いただけるよう、一層のセキュリティ強化に取り組むとともに、リスク感度の向上とお客さま本位の業務運営に更に努めてまいります。
 当社においては、ゆうちょ銀行のセキュリティ総点検結果、セキュリティ強化策を踏まえつつ、グループのガバナンスの更なる強化に向け、今回の事案及びこれに関連するゆうちょ銀行のガバナンスの現状と課題等について、JP改革実行委員会に検証を依頼し、2021年1月29日に改善に向けた提言をいただきました。
 今後は、この提言を踏まえ、グループのガバナンスの更なる強化に努めてまいります。
 なお、当社は本件事案に関して、2020年10月1日にゆうちょ銀行のガバナンスの確実な実施について報告の要請を総務省から受けたため、2020年11月9日に報告書を提出いたしましたが、その後も実施状況等について総務省に報告し協議を行っております。

ゆうちょ銀行は、新しい中期経営計画期間を“信頼を深め、金融革新に挑戦”する5年間と位置づけ、事業環境が大きく変化していく中、ビジネスモデルの変革と事業のサステナビリティ(持続可能性)強化を目指します。

 

(a) リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革

安心・安全を最優先に、すべてのお客さまが利用しやすいデジタルサービスを拡充するとともに、郵便局ネットワークを活用し、デジタルサービスの普及を進めます。また、顧客基盤を活用し、多様な事業者との連携による最適なサービスを提供する、オープンな「共創プラットフォーム」の構築にも努めてまいります。

具体的には、各種デジタルサービスの本人確認機能等のセキュリティの強化、「通帳アプリ」の機能拡充や「家計簿・家計相談アプリ」の構築等に取り組んでまいります。

また、資産形成サポートビジネスについては、お客さま本位の業務運営の下、いつもの社員に相談できる「対面チャネル」と、かんたん・べんり・低コストの「デジタルチャネル」でお客さまに最適なサービスを提供してまいります。対面チャネルにおいては、資産運用商品のラインアップを顧客層に合った商品に整理するとともに、投資初心者等のお客さまには主に積立投資を提案してまいります。また、オンライン相談機能の導入・拡大や、「資産運用コンサルタント」の育成等を進め、お客さまに一層寄り添ったライフプラン・コンサルティングを実施してまいります。一方、デジタルチャネルにおいては、競争力のある料金水準の下、Webサイトやアプリでのサービスを拡充するなど、誰もが使いやすい資産運用プラットフォームの整備に努めてまいります。

さらに、2021年5月から開始している「口座貸越サービス※1」や「フラット35※2」の直接取扱いのような、お客さまの長い人生をサポートする新サービスや利便性を高める新サービスを展開してまいります。

 

※1 口座貸越サービスとは、口座残高を超える払戻し、自動払込み等、各種決済サービスを利用した取扱いの際に、不足額を自動的に融資するサービスのことです。

※2 フラット35とは、独立行政法人住宅金融支援機構の個人向け固定金利住宅ローンのことです。

 

(b) デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上

店舗においては、窓口タブレットを導入する等、定型的な取引のセルフ処理を可能とする仕組みを広げるとともに、デジタルチャネルの充実を図り、お客さまの取引チャネルの選択肢を拡充しながら、窓口業務の効率化を進めてまいります。貯金事務センターにおいては、AI―OCR※1の拡大や、BPMS※2の導入等、デジタル技術を組み合わせた総合的な業務の自動化を推進してまいります。

これらの取組みを通じ、直営店や貯金事務センターの業務量を削減する一方、強化分野に人員をシフトすることで、生産性の向上を図ってまいります。

また、戦略的なIT投資等、重点分野への投資を強化しつつ、既定経費の削減により、経営の効率性の改善を目指してまいります。

 

※1 AI―OCRとは、AIを活用し、非定型帳票や手書き文字等の認識率を向上したOCRのことです。

※2 BPMSとは、Business Process Management Systemの略。

RPAを自動で起動し、人による確認作業等を要求するなど、業務フローをシステム的に制御し、自動的に工程管理を行うシステムのことです。

 

(c) 多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化

お客さまからお預かりした大切な資金を、地域に循環させていくために、多様な枠組みを通じた資金供給により、地域活性化への貢献に努めてまいります。特に、ゆうちょ銀行子会社の「JPインベストメント株式会社」のほか、「株式会社日本共創プラットフォーム」等を通じた資金供給により、地域のエクイティ性資金(リスクマネー)のニーズに応えます。

また、地域金融機関と連携し、「地域の金融プラットフォーム」の中核として、ATMネットワークの活用や事務の共同化など各地域の実情に応じた金融ニーズにも応えていきます。

 

(d) ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化

低金利が継続する厳しい経営環境の中、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)※1に基づき、取得するリスクの種類や水準を明確にした上で、リスク・リターンを意識しつつ、収益性の向上を目指して国際分散投資を拡充してまいります。

具体的には、投資適格領域を中心にリスク性資産残高を積み上げてまいります。また、リスク性資産のうち、戦略投資領域※2については、選別的に投資を進め、残高の拡大を目指してまいります。

また、ストレス事象発生に備え、ストレス耐性のあるポートフォリオ構築を進めるとともに、ストレステストの高度化やモニタリングの強化等、リスク管理の深化に一層努めてまいります。

 

※1  リスクアペタイト・フレームワークとは、経営層が事業計画とともに取得するリスクと種類を承認し、想定外損失の回避、リスク・リターンの向上、アカウンタビリティの確保を通じて企業価値の向上を目指す経営管理の枠組みのことです。

※2 戦略投資領域とは、プライベートエクイティファンド(成長が見込まれる未上場企業等へ投資するファンド)、不動産ファンド等からなる戦略的な投資領域のことです。

 

 

(e) 一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化

「お客さま本位の業務運営」を実現し、一層信頼される企業となるため、次の社内改革に努めてまいります。

 

イ. 組織風土改革

「サービス向上委員会」を中心に、社員一人ひとりが、日々の活動の中でお客さま本位の業務運営を実践していくために、継続的に組織風土改革に取り組みます。具体的には、経営理念の社内浸透に加えて、お客さま本位の考え方を組織や社員の評価体系等に一層反映してまいります。

 

ロ. 内部管理態勢の強化

変化の激しい社会・経済環境の中、リスク感度を向上し、変化に対して迅速・柔軟に対応しながら外部との連携も含め、各種管理態勢を強化します。

具体的には、「1線(営業部門、事務部門)」の自律的管理の強化、1線に対する「2線(管理部門)」・「3線(監査部門)」の社内横断的な牽制態勢の強化などリスクマネジメント態勢の強化に取り組みます。あわせて高度なセキュリティ対策の実行と新たなリスクに備えたITガバナンスとセキュリティ証態勢の強化等、「安心・安全の確保」に努めてまいります。

また、コンプライアンス態勢については、日本郵便株式会社と連携し部内犯罪等の防止を図り、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の高度化については、モニタリングの高度化や新システムの構築等に引き続き取り組んでまいります。

 

⑨ 生命保険業

かんぽ生命保険は、2021年5月に公表した2021年度から2025年度までの新たな中期経営計画において、生命保険会社としての社会的使命に応えるために、今一度「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」との経営理念に立ち返り、お客さまから真に信頼される企業へと再生し、お客さま体験価値(CX)を最優先とするビジネスモデルへ転換することで、持続的な成長を目指してまいります。

 

※ お客さま体験価値(CX)とは、商品やサービスの機能・性能・価格といった「合理的な価値」だけでなく、購入するまでの過程・使用する過程・購入後のフォローアップなどの過程における経験といった「感情的な価値」の訴求を重視することです。

 

(a) 再生に向けた取組み

お客さまから真に信頼される企業へと再生するため、お客さま本位の業務運営を徹底し、信頼回復に向けた取組みを継続してまいります。

適正な募集プロセスのもと、新たな営業スタイルへ抜本的に転換し、「お客さまにご納得・ご満足いただいた上で商品・サービスをご利用いただく」活動に徹底して取り組んでまいります。具体的には、勧誘方針やかんぽ営業スタンダードのプリンシプルに基づく活動等や、契約継続やアフターフォロー等の活動プロセスも評価するマネジメントへの転換を図ってまいります。また、ご加入期間をとおして「生命保険というサービスをご提供する」という考え方により、丁寧なアフターフォローに取り組むことで、お客さまとの信頼関係の再構築に努めてまいります。

事業基盤の強化については、信頼回復に向けた取り組みを継続した上で、生命保険会社としてあるべき姿に再生するため、「新しいかんぽ営業体制の構築」、「保険サービスの充実」、「事業運営の効率化」、「資産運用の深化・高度化」などの事業基盤の強化に取り組んでまいります。

「新しいかんぽ営業体制の構築」のため、お客さまの多様な保障ニーズに対応した保険サービスを提供していくため、専門性と幅広さを兼ね備えた新しいかんぽ営業体制を構築し、日本郵政グループ一体での総合的なコンサルティングサービスを実現してまいります。ご家庭への訪問などを通じて、お客さまへの丁寧なアフターフォローや保険サービスをご案内するコンサルタントは、かんぽ生命保険が直接責任をもってマネジメントする体制を整備し、生命保険のご提案及びアフターフォローに専念するとともに、お客さま担当制の導入により、お客さまに質の高いきめ細やかなアフターフォローを実施してまいります。また、全国にネットワークを持つ郵便局窓口において、ご来局いただいたお客さまに保険商品を含む幅広い金融商品をご提案する郵便局窓口社員は、引き続き、広範な商品・サービスを提供してまいります。

また、「保険サービスの充実」のため、人生100年時代における、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えする保険サービスの開発を進めてまいります。具体的には、青壮年層のお客さまニーズに応える低廉な保険料でバランスのとれた保障の提供や、人生100年時代を踏まえた高齢・中高年層の保障等のニーズに応える商品の拡充のほか、健康寿命延伸に貢献する商品の研究に取り組んでまいります。

さらに、「事業運営の効率化」のため、デジタル化の推進により、お客さまサービス向上と業務の効率化及び経費の削減に取り組んでまいります。これにより生じた経営資源は、お客さまサポート領域、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進等の強化領域にシフトしてまいります。

「資産運用の深化・高度化」のため、ERMのフレームワークの下、ALM運用を基本として、安定的な資産運用収益の確保を目指すとともに、2025年予定の経済価値ベースの新資本規制導入の動きに適切に対処しつつ、オルタナティブ等の投資領域毎とポートフォリオ構築の両面から資産運用を深化・高度化してまいります。また、2021年4月からは、全運用資産を対象としてESGの諸要素を考慮するとともに、「Well-being向上」、「地域と社会の発展」、「気候変動対応」を含む環境保護への貢献を重点取組テーマとした投融資を行い、これらを通じて、広くSDGsの目標達成や社会課題解決への貢献に取り組み、かんぽ生命らしい“あたたかさ”の感じられるESG投資を推進してまいります。

 

(b) 持続的成長に向けた取組み

上記「再生に向けた取組み」のお客さまから真に信頼される企業への再生に取り組みつつ、自らの社会的使命を再認識し、かんぽ生命保険らしい新しい社会的価値を作り出すことで、市場での競争力を高め、持続的成長を目指してまいります。

お客さま体験価値の向上の観点から、保険サービスを抜本的に見直し、お客さまの利便性や募集品質を向上させることで、「かんぽ生命に入っていてよかった」と感動いただけるよう取り組みます。また、その体験価値をご評価いただいたお客さまから、そのご家族や知人、さらには地域・社会全体へかんぽ生命をお勧めいただくことで、お客さまを広げてまいります。

具体的には、「一人ひとりに寄り添う適切なご提案」、「その場で完結する簡便な手続きの提供」、「チーム一体でのきめ細やかなサポート」、「お客さまとのつながりを重視したアフターフォローの充実」に取り組んでまいります。「一人ひとりに寄り添う適切なご提案」を行うため、お客さまのニーズや必要な保障内容など、デジタルを活用したツールにより可視化することで、お客さま一人ひとりに寄り添う適切なご提案を実現してまいります。また、「その場で完結する簡便な手続きの提供」を行うため、デジタル技術の活用により、お客さまのニーズに応じて、オンライン、対面等様々なお申込・ご請求形態を選択できるようにするほか、リモートでの専門スタッフの同席等により、その場での諸手続き等の完了を可能にしてまいります。「チーム一体でのきめ細やかなサポート」を行うため、お客さまのご契約情報やお問合せ情報等をお客さま単位で集約したお客さまデータベースを構築し、コンサルタント、郵便局窓口、カスタマーサービスセンターなど、お客さまにご対応する全ての社員がチーム一体できめ細やかなあたたかみのあるサポートを提供できる環境を整備してまいります。

さらに、「お客さまとのつながりを重視したアフターフォローの充実」のため、訪問による対面対応に加えて、電話・TV会議など様々な方法による手厚いアフターフォローや、メール・SNS等によるお客さま毎に最適なタイミングでのアフターフォローを行い、お客さまのニーズに幅広くお応えし、お客さまの周囲の方々も含めた信頼感の獲得を目指してまいります。

また、社会的使命を果たすことで、サステナビリティ(持続可能性)を巡る社会課題の解決に貢献すべく、ESG経営を推進してまいります。

かんぽ生命保険が優先的に取り組む社会課題(マテリアリティ)として、「郵便局ネットワーク等を通じた保険サービスの提供」、「地域と社会の発展・環境保護への貢献」、「健康増進等による健康寿命の延伸・Well-being向上」、「社員一人ひとりが生き生きと活躍できる環境の確立」、「社会的使命を支えるコーポレートガバナンス」の5つの課題を設定し、解決に向けて取り組んでまいります。具体的には、カーボンニュートラルの実現に向けた温室効果ガス排出量の削減や女性管理者比率など具体的な目標を設定するとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った取り組みなどを進めてまいります。また、これらの取組状況については、サステナビリティレポート等を通じて、積極的に開示してまいります。加えて、お客さまが抱える多様なお悩みにお応えし、お客さまの生活に寄り添うサービスを提供することで、かんぽ生命保険の存在意義を発揮し、少子高齢化や健康などといった社会課題への解決に貢献するとともに、かんぽ生命保険をより身近に感じていただき、更なる信頼を構築していけるような取り組みを検討します。

 

(c) 再生と成長のための土台作り

経営陣と社員が将来のビジョンを共有し、一人ひとりがやりがい(ES)を感じながら会社とともに成長する企業を目指すことで、企業風土改革・働き方改革を推進してまいります。具体的には、経営陣と社員のコミュニケーションの活性化、社員一人ひとりの多様なキャリア形成の支援、マネジメント力の強化、人事評価制度の高度化を柱とした企業風土改革を推進してまいります。また、ES調査結果を踏まえた自律的な改善活動を推進するとともに、テレワークの活用などにより多様で柔軟な働き方を選択できる環境を整備し、ダイバーシティを実現する働き方改革を推進してまいります。これらの取り組みにより、社内コミュニケーションが活性化され、相互理解の下、全社が一体感を持ち、お客さま本位に基づき自律的・主体的に行動する会社を実現してまいります。

また、ガバナンスの強化のため、かんぽ生命保険は、組織としての透明性・公平性を確実に高め、さらには、社員一人ひとりのリスク感度を高めることにより、健全な事業運営を行ってまいります。具体的には、健全なコーポレートガバナンスを確保した上で、マネー・ローンダリング並びに犯罪防止等対策や個人情報保護・情報セキュリティ対策を強化するなど、健全な業務運営を確保するための取り組みを継続して実施してまいります。また、お客さまの声、社員の声を貴重な財産だととらえ、お客さまサービスや業務運営の改善につなげてまいります。

 

(参考)

過去の新契約、保有契約の件数の推移は下記のようになります。

 

 

 

 

 

(単位:万件)

契約の種類

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

新契約(個人保険)

244

173

171

64

12

簡易生命保険

1,441

1,248

1,104

990

894

かんぽ生命保険

1,715

1,792

1,809

1,716

1,589

 

(注) 2007年10月1日の民営化時の簡易生命保険契約は5,517万件でした。

 

2 【事業等のリスク】

下記Ⅰ~Ⅷにおいて、当社及び当社グループの事業内容、経営成績、財政状態等に関する事項のうち投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクを例示しております。もっとも、当社及び当社グループの事業等のリスクは、これらに限定されるものではありません。

下記「Ⅰ. 当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスクの概要」は、下記Ⅱ~Ⅷに記載する事項のうち、当連結会計年度末現在において当社経営陣が特に重視する事項について、投資家の皆様にその概要を簡潔に示すことを目的として記載しています。従って、下記Ⅰの記載は、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクを網羅するものではなく、下記Ⅱ~Ⅷの記載と併せて読む必要があります。

なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

Ⅰ.当社経営陣が特に重視する当社グループの事業等のリスクの概要

 

1.顧客本位の金融商品販売に関するリスク

当社グループは、2019年、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る諸問題に関し、監督当局から行政処分を受けたことを受け、2020年1月に策定した業務改善計画に基づき各種施策に取り組み、外部専門家で構成されたJP改革実行委員会のモニタリングを受けながら、お客さまからの信頼回復に向けた改善策を実行してまいりました。

また、かんぽ生命保険商品と投資信託を同一のお客さまに販売した際に、一部の取引について法令違反があったことを受け、契約無効措置等のお客さま対応を実施したほか、商品横断的なデータモニタリングなどの必要な対応を行いました。

さらに、ゆうちょ銀行の即時振替サービスの不正利用事案等に関し、2021年1月にJP改革実行委員会から受領した「株式会社ゆうちょ銀行のガバナンス等に係る検証報告書」において、ガバナンス強化に向けた改善策に係る提言を受けており、提言事項への対応に取り組んでおります。

当社グループは、お客さま本位の業務運営を徹底し、組織風土改革を含む信頼回復に向けた取組みを継続してまいりますが、今後、お客さまの不利益となる他の事例や法令違反又は社内ルール違反となる他の事例が追加で判明する可能性は否定できず、この場合には、更なる行政処分を受ける可能性があり、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.金融リスク(低金利環境の長期化・グローバル経済の減速)

当社グループの収益の多くは、銀行業及び生命保険業(以下「金融事業」と総称します。)の運用・調達から生じる収益により占められています。

歴史的な低金利環境の長期化を受けて、債券運用を資産運用主体とする金融2社の基礎的な収益力が低下するリスクは大きいものと認識しています。また、量的緩和の縮小等により、金利が急上昇した場合には、運用サイドの債券等の価格が下落するとともに、調達サイドの貯金等の流出や預替え等が発生する可能性もあります。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大時に見られるような歴史的な金融・資本市場の動揺、グローバル経済の減速懸念時には、金融2社については、海外金融資産の増加に伴い海外クレジット市場の信用スプレッド拡大、外貨の調達、ヘッジコスト上昇の影響を強く受け、当社グループ各社の保有資産の評価損、減損損失及び売却損の計上、剰余金の処分における分配可能額の減少・消失等、金融事業に影響を及ぼすリスクは大きいものと認識しております。

これらに対し、財務健全性の観点から、リスク管理態勢を高度化し、ストレステスト等も実施し、運用の分散や機動的な運営に努め、必要な自己資本比率を確保しておりますが、金融・資本市場、国内外の経済情勢その他事業環境の変動が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.DX等の技術革新など事業環境の変化に対応できないリスク

新型コロナウィルス感染症の拡大や少子高齢化・デジタル化の進展の中、企業が競争上の優位性を確保するためには、ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、お客さまや社会のニーズに基づき、商品・サービス、ビジネスモデルを変革し、業務、組織、企業文化・風土等を変革することが必要となります。

当社グループでは、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」として、グループ一体でのDX推進による、リアルの郵便局ネットワークとデジタル(デジタル郵便局)との融合により新たな価値を提供できるように取組みを進めるほか、楽天グループ株式会社などグループ外企業等との資本・業務提携、その他新規事業への投資等に取り組んでいますが、これらの取組みが成功する保証はなく、事業環境の変化に適時かつ適切に対応できない場合、又はユニバーサルサービス提供に係る責務を果たすため、コスト削減を実現できない等の場合には、当社グループの業務・商品の競争力や効率性の低下等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、P-DX(Postal-Digital transformation:デジタル化された差出情報と、日本郵便ならではの配達先情報を活用し、データ駆動型のオペレーションサービスを実現するための郵便・物流事業改革)の推進、オペレーション改革、窓口業務運営のデジタル化等により、業務の効率化を徹底する取組み等を進めておりますが、想定通りに業務の効率化が進まず、その結果、事業運営コストを賄うために収益性を過度に追求した営業や過度のリスクを伴う資金運用を行う場合には、コンダクト・リスクや運用リスクが顕在化し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.サイバーセキュリティに関するリスク

重要インフラである郵便・物流事業、銀行業、生命保険業を運営している当社グループにおいては、事業運営上のシステムへの依存度が高い状況にあります。当社グループはお客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」としてグループ一体でのDXを推進していることから、今後ますますその重要性が高まることが予想される一方、社会ではシステムに対するサイバー攻撃や各種サービスの不正利用が発生しております。当社グループの事業運営における情報システムへの依存度は高く、インターネットを活用した顧客とのアクセスも多くなり、その結果、サイバー攻撃や各種サービスの不正利用のリスクが高くなっています。また、かかるリスクはサイバー攻撃の高度化や在宅勤務(テレワーク)の拡大等により、今後さらに増大する可能性があります。

当社グループでは、このような高まりを見せるサイバー空間におけるリスクに対して、恒常的にサイバーセキュリティ対策の高度化に取り組んでおりますが、かかる対策にもかかわらず、当社グループのシステムへの攻撃、各種サービスの不正利用により、当社グループの事業が大規模かつ長期間に亘り停止又は制約を受けることで当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.金融2社株式の売却に関するリスク

金融2社の株式売却に関しては、郵政民営化法を踏まえ、金融2社の経営の自立性・自由度を広げる観点から、できる限り早期に金融2社株式の保有割合を50%以下とすることを目指しております。金融2社の株式の売却が進んだ場合には、当社の連結財務諸表に反映される金融2社の利益が減少します。

なお、当社は、2021年5月のかんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び同年6月の株式処分信託の設定により、当社が保有するかんぽ生命保険普通株式163,306,300株を処分しており、この結果、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となっています(本株式処分前64.5%)。

他方、当連結会計年度末現在における当社のゆうちょ銀行に対する議決権保有割合は89.0%ですが、株式売却は市場環境等にも左右されるため、当社の想定通りにゆうちょ銀行株式の売却が進まない可能性があります。

当社としては、将来的に金融2社に代わる事業基盤を確保するとともに、これら2社の株式売却により得た資金を活用して、例えば、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」として新たなビジネスを展開して収益機会を確保する等、ビジネスポートフォリオを転換することに取り組みますが、当社グループを取り巻く国内外の経済情勢は厳しい状況にあるほか、投資先の選定・管理等の難易度は増しており、上記の当社連結業績への影響を補えない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.人的リスク(人材確保・ハラスメント・労働問題・人件費増加)

少子高齢化による労働人口の減少などにより人材の確保は厳しさを増していることに加え、当社グループにおいて技術革新等に起因する経営環境の変化等に適切に対応できない場合などには、当社グループは、郵便・物流業務に従事する配達又は運送に係る各種人材のほか、DX推進に必要なIT等の高度な専門性及び知識・経験を有する有能な人材の確保が困難となる可能性があります。

また、当社グループが労働条件や人材育成システムの整備等による魅力的な労働環境を提供できなかった場合、又は人事処遇やハラスメント等の人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等が発生した場合には、人材の流出・不足等を招く可能性があります。

当社グループは、かかる事態に対処するため、社員視点に立った働き方改革として働きやすい職場づくり、労働条件の整備、ダイバーシティの推進、人材育成を推進しておりますが、当社グループの想定通りの人材確保ができない場合、又は人材育成・教育が進まない場合には、人材不足や人件費の増加等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

7.ESG・気候変動に関するリスク

当社グループは、郵便局ネットワークを活用し、事業を通じて、地域社会への貢献、SDGs等の社会的な課題に取り組むことにより、グループの持続可能な成長と中長期的な企業価値の創出を図っておりますが、その対応が不十分と評価された場合には、当社グループの資本市場における評価その他社会的な評価の低下につながる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

その中でも、気候変動への対応は、我が国及び世界において大きな課題となっており、当社グループにおいては、異常気象や増加する自然災害等により外務社員の熱中症などの従業員の健康被害や郵便局ネットワークの損傷といった物理的リスクのほか、当社グループの気候変動への対応が遅れることで、より環境負荷の低い輸送手段を持つ企業に顧客が移る等の移行リスクに適切に対応する必要があります。当社グループとしても「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指し、温室効果ガス(GHG)の削減に取り組んでいきますが、その達成には、我が国における再生可能エネルギーの普及などが進むことが必要となります。当社グループも、持てるリソースの活用によって我が国及び世界のカーボンニュートラル化を後押しすることとしております。しかしながら、これらの動きが十分に進まなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

8.海外子会社に関するリスク

日本郵便は、豪州・アジア市場を中心に、海外子会社による国際的な事業展開を推進しております。日本郵便の子会社であるトール社については、2021年4月21日、Allegro Funds Pty Ltdの傘下企業との間で赤字が継続しているエクスプレス事業の譲渡契約を締結いたしました(これにより2021年3月期において674億円の特別損失を計上しております。)が、トール社は債務超過の状態となっており、依然厳しい経営状況となっております。当社グループは、豪州事業の合理化やアジア中心のビジネスモデルへの転換による成長を図りますが、期待される経営改善策及び成長戦略が功を奏せず、業績が向上しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、トール社の保有する物流設備その他の固定資産について更なる減損損失を計上する可能性があります。

 

Ⅱ.当社グループ全般に関するリスク

 

1.事業環境に関するリスク

(1) 経済情勢その他の事業環境の変化に伴うリスク

当社グループが行う事業のうち、郵便・物流事業、金融窓口事業、銀行業、生命保険業等は、その収益の多くが日本国内において生み出されるものであるため、主として国内における経済情勢の変化、金利の動向、金融市場の変動、消費税増税、少子高齢化の進展、eコマース市場の動向、技術革新、賃金水準の変動、不動産価格の変動、預金水準等の影響を受けます。また、国際物流事業において日本郵便の子会社であるトール社が、豪州を中心に、アジア太平洋地域等におけるフォワーディング、コントラクトロジスティクス等の国際的な事業活動を行っており、豪州経済の減速、米中貿易摩擦、新型コロナウイルス感染症の拡大を含む各国・地域における経済情勢等の変動による影響を受け、銀行業・生命保険業においては、運用の多様化・高度化の下、国際分散投資を推進しており、国際金融・資本市場の変動による影響も受けます。従って、足元の新型コロナウイルス感染症の拡大を含む国内外の経済情勢、金融・資本市場その他事業環境の変動により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 他社との競合に関するリスク

当社グループが行う事業は、いずれも、激しい競争状況に置かれております。当社グループと競合関係にある同業他社は、AI・Fintech・テレマティクス等の技術の急速な進展・活用、その他の事業環境の変化・事業戦略の変更等で、当社グループより優れた商品構成、サービス、価格競争力、事業規模、シェア、ブランド価値、顧客基盤、資金調達手段、事業拠点、ATM・物流拠点その他のインフラ・ネットワーク等を有する可能性があります。

例えば、日本郵便が行っている郵便・物流事業については、信書便事業者や他の物流事業者等と競合関係にあり、他社の提供するサービスへの乗り換えが発生した場合、又は、競争激化により日本郵便の事業、シェア若しくは収益の動向が当社グループの想定通りに進捗しなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、ゆうちょ銀行が行っている銀行業、及びかんぽ生命保険が行っている生命保険業も、同業他社等と競合関係にあります。今後、両社が金融サービスに対する顧客ニーズの変化や市場構造の変化等に適切に対応できなかった場合、又は、両社が競合他社に対して優位に立てない場合等においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、近年では、国内外の各業界において統合や再編、業務提携が積極的に行われているほか、参入規制の緩和や業務範囲の拡大等の規制緩和が行われております。当社グループ各社が市場構造の変化に対応できなかった場合や規制緩和や新規参入が想定以上に進んだ場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、郵便事業と競合する一般信書便事業については、民間事業者による信書の送達に関する法律(以下「信書便法」といいます。)に基づき、一定の参入条件が課された許可制とされており、現時点において同事業に参入している民間事業者はおりません。しかしながら、信書便法の改正等により、信書便事業の業務範囲の拡大や参入条件が変更されるなど参入規制が緩和された場合には、新規事業者の参入により競争が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは事業の競争力を維持するため、グループ横断的な新規事業への進出やDXの検討・実践に向けた取組み等を進めておりますが、適時かつ適切に効果的な施策を講じることができなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、業務の効率化が進まなかった場合、事業運営コストを賄うため、収益性を過度に追求した営業や過度のリスクを伴う資金運用を行う場合には、コンダクト・リスクや運用リスクが顕在化し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 大規模災害等に伴うリスク

当社グループは、日本国内のみならず国際的な事業活動も行っており、各国・地域における地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪、火災等の大規模自然災害(異常気象・気候変動に伴うものを含む。)、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症やエボラ出血熱等の感染症の大流行、戦争、テロリズム、武力衝突等の人的災害、水道、電気、ガス、通信・金融サービス等に係る社会的インフラの重大な障害や混乱等の発生、又は当社グループの店舗、その他の設備や施設の損壊その他正常な業務遂行を困難とする状況等が生じた場合、当社グループの業務の全部若しくは一部が停止し、又は、運営に支障をきたすおそれがあり、また、設備やインフラの回復、顧客等の損失の補償等のために長期の時間及び多額の費用を要する可能性があります。

また、かかる状況下において当社グループの業務が円滑に機能していたとしても、かかる状況の発生に伴う経済・社会活動の沈滞等の影響を受け、当社グループやその顧客・取引先企業の事業活動の継続性に支障をきたす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

特に、当社グループは生命保険子会社としてかんぽ生命保険を保有していることから、大地震その他の大規模災害や新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のような感染症の大流行を原因として大量の死者が出た場合に、かんぽ生命保険による保険給付に関し、通常の想定を超える債務を負うリスクにさらされております。同社は、保険業法の基準に従って危険準備金を積み立てておりますが、予想を超える大規模災害等の発生により危険準備金を超えるような保険金・給付金の支払いが発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)ESG・気候変動に関するリスク

当社グループは、郵便局ネットワークを活用し、事業を通じて、地域社会への貢献、SDGs等の社会的な課題に取り組むことにより、グループの持続可能な成長と中長期的な企業価値の創出を図っておりますが、その対応が不十分と評価された場合には、当社グループの資本市場における評価その他社会的な評価の低下につながる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

その中でも、気候変動への対応は、我が国及び世界において大きな課題となっており、全国2万4,000局の郵便局ネットワークをはじめとする多くの拠点、社員を有して事業を行い、グローバルに資産を運用している当社グループにとって、重大な影響を及ぼす重要な経営課題であると認識しており、自然災害の増加、外務社員の熱中症リスク等の物理的リスク(気候変動によってもたらされる災害等による急性あるいは慢性的な被害)と、燃料の規制強化による施設・車両の切り替え等にかかるコスト増加、当社グループより環境負荷の低い輸送手段を持つ企業に顧客が移る等の移行リスク(低炭素経済への移行により、政策・法規制、技術開発、市場動向、市場における評価等の変化によってもたらされるリスク)に適切に対応する必要があります。気候変動への対応が不十分と評価された場合には、当社グループの資本市場における評価その他社会的な評価の低下につながる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしても「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指し、温室効果ガス(GHG)の削減に取り組んでいきますが、その達成には、我が国における再生可能エネルギーの普及などが進むことが必要となります。当社グループも、持てるリソースの活用によって我が国及び世界のカーボンニュートラル化を後押しすることとしております。しかしながら、これらの動きが十分に進まなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症の拡大に関するリスク

新型コロナウイルス感染症の拡大は、郵便局での営業、郵便・物流事業、国際物流事業を行う当社グループの事業活動に影響を及ぼしており、新型コロナウイルス感染症への対策として、当社社長を本部長とする本社合同対策本部を設置し、関係機関と連携を図り、感染の防止と業務・サービスの継続等のため、必要な取組みを継続しており、お客さまと社員の安全確保のための措置を行っております。具体的には郵便局及びゆうちょ銀行店舗窓口におけるマスク着用、郵便物等の対面配達時におけるマスク着用の徹底を行ったほか、ゆうパックや書留郵便物等をご希望に応じて対面ではなく郵便受箱や玄関前等に配達する等、お客さまへの影響と感染拡大の防止に最大限配慮して、業務を継続していくこととしていますが、今後の実際の感染拡大の収束時期や、国内外の経済環境、金融・資本市場の動揺などを通じた様々な要因により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、感染症の国際的な拡大は、国際物流事業を行うトール社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により、金融・資本市場が大きく変動するとともに実体経済が多大な影響を受ける環境下においては、金融2社の国際分散投資による適切なポートフォリオ運営及びリスク管理が奏功せず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また新型コロナウイルス感染症の大流行を原因として大量の死者が出た場合のかんぽ生命保険による保険給付に関する通常の想定を超える債務を負うリスクについては前記(3)のとおりです。

このほか、新型コロナウイルス感染症の収束後においても、人々が日常生活において非対面を好むようになったり、在宅勤務(テレワーク)が広まったりするなど、社会の在り方やライフスタイルが変わるような事業環境の変化に当社グループが適切に対応できない場合には、当社グループのサービスの競争力低下等により、当社グループの現在の収益基盤となっている郵便・物流事業や金融事業等において収益性が悪化するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.法的規制・法令遵守等に関するリスク

(1) 不正・不祥事に関するリスク

当社グループでは、業務改善計画に基づいた改善策の実行に向けて取り組んでいるかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題に加え、2020年度に発覚した、かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売について、一部お客さま本位といえない営業が行われていたことや、ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済サービスの不正利用等の新たな問題が発覚しています。当社グループは、外部専門家の方々で構成された、各種取組みを公正・中立な立場から検証するJP改革実行委員会からの評価、助言等も踏まえ、ガバナンス機能、グループコンプライアンス機能、監査部門の機能の強化等を図り、業務改善計画を着実に実行しており、また、お客さまからの信頼回復に向け、2020年9月に発表した「お客さまの信頼回復に向けた約束」をもとに、お客さまや社員の声を経営や営業・業務改善に活用する等、お客さま本位の事業運営を徹底してまいりますが、かかる態勢・予防策が十分な効果を発揮しない場合、当社グループの役員・従業員による法令その他諸規則等の違反、社内規程・手続等の不遵守、不正行為、事故、不祥事等が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このほか、当社グループでは、2020年度においても、長崎県の郵便局で発覚した現金詐取事案や従業員による郵便物等の放棄・隠匿事案、郵便局元課長が郵便切手横領容疑で逮捕される事案等が発覚しており、このような事案を含め、不祥事等が発生した場合には、被害者等に対して損害賠償責任を負い、監督官庁からの行政上の処分等を受ける可能性があるほか、当社グループの社会的信用が低下するおそれもあります。

 

(2) 法的規制及びその変更に関するリスク

当社グループは業務を行うにあたり、以下のような各種の法的規制等の適用を受けております。

これらの規制により、当社グループは、同業他社に比して、新規事業の展開や既存事業の拡大、低収益分野からの撤退又は縮小が制約されるため、競争力を失い、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループに適用のある法令等の改正や新たな法的規制等により、当社グループの競争条件が悪化したり、事業活動の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会等の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

① 郵便法等に基づく規制

郵便法上、郵便事業は当社の連結子会社である日本郵便が独占的に行うこととされておりますが、郵便約款の変更や業務委託の認可制、全国一律料金制度、定形郵便物の料金制限、郵便料金の届出制(第三種郵便物及び第四種郵便物については認可制)といった、本事業特有の規制又は他の事業や他社とは異なる規制を受けております。

 

② 銀行法及び保険業法に基づく規制

当社グループの金融事業においては、一般的に適用される銀行法及び保険業法といった金融業規制を受けております。また、現在監督(規制)当局等において、銀行業におけるバーゼルⅢの最終化や生命保険業における経済価値ベース新規制等の適用に関する議論がされており、当社グループではこれらの議論を注視しつつ、新たな規制等の導入を考慮した内部管理を行っていますが、規制の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(a) ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険及び金融持株会社としての当社に対する規制

金融2社は、それぞれ銀行法、保険業法及び関連業規制に基づき、金融庁の監督を受けており、内閣総理大臣からの委任を受けた金融庁長官による、法令違反等による免許取消し並びに業務の健全性かつ適切な運営を確保する等のために必要があると認めるときの業務停止及び立入検査等を含む広範な監督に服しております。当社自身も銀行持株会社及び保険持株会社として、同様に銀行法及び保険業法に基づき金融庁の監督に服する等の金融業規制を受けておりましたが、2021年5月のかんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び同年6月の株式処分信託の設定により、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となり、保険業法に基づく規制は保険持株会社としての規制から保険主要株主としての規制に変わることとなりました。

金融2社は、それぞれ銀行法、保険業法及び関連業規制に基づき、法令により定められた業務以外の業務を営むことができず、また、ゆうちょ銀行は自己資本の充実度合いを計る基準である自己資本比率(国内基準)を4.0%以上に維持すること等を、かんぽ生命保険は、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断する指標の一つであるソルベンシー・マージン比率を200%以上に維持すること等をそれぞれ求められております。

また、当社自身も銀行持株会社及び保険持株会社として、銀行法及び保険業法に基づき金融庁の監督に服するとともに、連結自己資本比率(国内基準)を4.0%以上に維持すること及び連結ソルベンシー・マージン比率を200%以上に維持すること等が必要とされるほか、顧客の利益保護のための体制の整備や事業年度毎の規制当局に対する業務報告書等の提出の義務等を負っております。(なお、上記のとおり、2021年5月に公表したかんぽ生命保険株式の処分により、保険持株会社としての規制から保険主要株主としての規制に変わり、連結ソルベンシー・マージン比率の規制は受けないこととなっています。)

2021年3月31日現在、ゆうちょ銀行の連結自己資本比率は15.53%、かんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,121.2%、当社グループの連結自己資本比率は17.55%、連結ソルベンシー・マージン比率は674.9%であり、いずれも法令上の規制比率に比べ相当程度高い水準を確保しております。しかしながら、近時の金融市場の状況に対応したリスク性資産の増加により、これらの比率は低下傾向にあることに加え、保有有価証券等の価値の低下、これらの比率の算出方法の変更、比率に係る規制の変更、新たな規制の導入等により、連結自己資本比率又は連結ソルベンシー・マージン比率がさらに低下する可能性があり、当該比率が規制比率を下回るような場合には、規制当局から、報告又は資料の提出や、業務の縮小等を含む改善措置が求められる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、国際的な監督規制では、システム上重要な金融グループに対する規制強化を図っているところですが、選定基準の見直し等、規制当局の動向によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(b) 日本郵便に対する規制

日本郵便は、当社グループの金融窓口事業に関連して、ゆうちょ銀行を所属銀行とする銀行代理業者として、また、かんぽ生命保険を所属保険会社等とする生命保険募集人として、銀行法及び保険業法に基づき、金融庁の監督に服しております。また、日本郵便は、銀行代理業者として、内閣総理大臣の承認を得ない限り、法令により定められた業務以外の業務を営むことができず、また、分別管理義務、銀行代理業務を行う際の顧客への説明義務、断定的判断の提供等の一定の禁止行為等の規制を受けております。また、生命保険募集人として、顧客に対する説明義務、虚偽説明等の一定の禁止行為等の規制を受けております。日本郵便が上記規制に違反する等した場合には、規制当局から、許可又は登録の取消しや業務の一部又は全部の停止を命ぜられる可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(c) 事業の前提となる許認可

当社グループは、主として以下のような許認可等を受けております。

許認可等の名称

根拠条文

会社名

有効期限

許認可等の取消事由等

銀行持株会社の認可

銀行法第52条の17第1項

日本郵政株式会社

なし

同法第52条の34第1項

保険主要株主の認可

保険業法第271条の10第1項

日本郵政株式会社

なし

同法271条の16第1項

銀行代理業の許可

銀行法第52条の36第1項

日本郵便株式会社

なし

同法第52条の56第1項

生命保険募集人の登録

保険業法第276条

日本郵便株式会社

なし

同法第307条第1項

銀行業の免許

銀行法第4条第1項

株式会社ゆうちょ銀行

なし

同法第26条第1項、第27条、第28条

生命保険業の免許

保険業法第3条第4項

株式会社かんぽ生命保険

なし

同法第132条第1項、第133条、第134条

 

上記許認可等が取消しとなるような事由の発生は認識しておりませんが、将来、何らかの理由により、各法が定める取消事由等に該当し、所管大臣より許認可の取消処分等を受けることとなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 当社グループ固有に適用される規制等

当社及び日本郵便は、郵政民営化法等に基づき、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務が、利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持する法律上の義務を負っています(かかる義務に基づき郵便局ネットワークを通じて行われる役務提供を、以下「ユニバーサルサービス」といいます。)。ユニバーサルサービスの確保については、2015年9月28日付「郵政事業のユニバーサルサービス確保と郵便・信書便市場の活性化方策の在り方」に関する情報通信審議会からの答申において、短期的には、「日本郵政及び日本郵便は自らの経営努力により現在のサービスの範囲・水準の維持が求められる」、「また、国は、ユニバーサルサービス確保に向けたインセンティブとなるような方策について検討することが必要である」、中長期的には、「郵政事業を取り巻く環境の変化やこれに応じた国民・利用者が郵政事業に期待するサービスの範囲・水準の変化も踏まえて、ユニバーサルサービスの確保の方策やコスト負担の在り方について継続的に検討していくことが必要」とされており、答申を受けて実施される政府の施策の内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社及び日本郵便は、それぞれ日本郵政株式会社法及び日本郵便株式会社法に基づき、新規業務、株式の募集、又は株式交換若しくは株式交付に際しての株式の交付、取締役の選解任(当社のみ)、事業計画の策定、定款の変更、合併、会社分割、解散等を行う場合には、総務大臣の認可(ただし、日本郵便の新規業務については総務大臣への届出)が必要とされています。また、金融2社は、銀行法又は保険業法に基づく規制に加え、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するため、郵政民営化法に基づき、新規業務、子会社対象金融機関等(ゆうちょ銀行)・子会社対象会社(かんぽ生命保険)の保有、合併、会社分割、事業の譲渡・譲受け等を行う場合には、内閣総理大臣及び総務大臣の認可が必要とされているほか、ゆうちょ銀行においては銀行を、かんぽ生命保険においては保険会社等を子会社として保有することはできません。さらに、銀行業における預入限度額規制、生命保険業における加入限度額規制が課される等、同業他社とは異なる規制が課されております(なお、金融2社におけるこれらの規制を、以下「郵政民営化法上の上乗せ規制」といいます。)。

さらに、当社及び金融2社は、新たな収益機会を得るために新規業務を行う場合、郵政民営化法に基づき内閣総理大臣及び総務大臣の認可を得る必要があり、当該認可が得られず、又は認可取得に時間を要する場合には、当社グループが計画した時期又は内容で新商品を投入又は新サービスを提供できない可能性があるなど、当社グループによる新規事業の展開を含む業務範囲の拡大には一定の制約が伴います。

なお、当社は、2021年5月のかんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び同年6月の株式処分信託の設定により、当社が保有するかんぽ生命保険普通株式163,306,300株を処分いたしました。この結果、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となり、2021年6月9日、郵政民営化法第62条第2項に基づき、かんぽ生命保険の株式の2分の1以上を処分した旨の総務大臣への届け出を行いました。当社が総務大臣に届け出た日以後は、かんぽ生命保険が上記の各業務を行おうとするときは、認可は要しないものの、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣への届出を要するとともに、業務を行うに当たっては、他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害することのないよう特に配慮しなければならないものとされております。

 

④ WTO(World Trade Organization:世界貿易機関)による政府調達ルール

公社を承継した機関として、当社、日本郵便、金融2社が政府調達協定その他の国際約束の適用を受ける物品等を調達する場合には、国際約束に定める手続の遵守が求められます。当社グループ各社の作為又は不作為により、かかるこれらのルールを遵守できなかった場合には、調達行為が成立しない、あるいは調達行為に遅れが発生する可能性があり、当初想定していた計画が実施できないなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 訴訟その他法的手続に関するリスク

当社グループは、事業の遂行に関して、訴訟、行政処分その他の法的手続が提起又は開始されるリスクを有しております。一部ではありますが、人事処遇や勤務管理などの人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等に関連する訴訟等を、当社グループの従業員等から提起されております。

かかる訴訟等の解決には相当の時間及び費用を要する可能性があるとともに、社会的関心・影響の大きな訴訟等が発生した、当社グループに対して損害賠償の支払等が命じられる等不利な判断がなされた場合には、当社グループにおいても当該判断を踏まえた対応が必要となるなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、労働契約法第20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に基づき、期間雇用社員である原告が正社員と期間雇用社員に労働条件の差異があるのは不合理であるとして提訴した訴訟については、2020年10月15日に最高裁判所が、一部の手当や休暇制度について、正社員と期間雇用社員である原告間に差異があるのは不合理との判決を言い渡しました。当社グループにおける今後の人事労務制度改正の内容については、最高裁判所の判決の内容を踏まえ、労使交渉のうえ決定していくこととしておりますが、その内容等によっては対応に相当の費用を要するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 社会的信用の低下に関するリスク

当社グループは、あまねく全国に広がる郵便局ネットワークを通じて、多数の郵便物・荷物の配達や金融サービスの提供を行っております。当社グループの商品・サービス、事業、従業員、提携先又は委託先企業に関連して、郵便物の管理上の不備・遅配・誤配及び破棄・紛失等、配達員による交通事故、銀行口座やクレジットカードの不正利用、キャッシュカードの盗難、マネー・ローンダリング、テロ資金供与等の犯罪、サイバー攻撃等によるシステム・トラブルや個人情報その他の機密情報の漏えい、不正行為、顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に反する行為、反社会的勢力との取引、労働問題、ハラスメント(業務の適正な範囲を超える言動等)、事故、業務上のトラブル、社内規程・手続違反、不祥事等が発生した場合には、当社グループ及び当社グループ各社が提供するサービスに対する社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではかかる事態の発生を未然に防止するため、グループ会社全社員へのコンプライアンス教育や「お客さま本位の業務運営」の徹底を通じ、影響の低減に努めておりますが、これらの施策にもかかわらず上記のような事態が生じた場合、社会的信用の低下により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

特に「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」が2019年12月18日付で公表した調査報告書では、当社グループにおいて、「不適正募集の実態把握につながる現場の声が経営陣に届かない」、「リスク事象を探知した際の原因追究・解決の先送り」、「問題の矮小化」及び「部門間の横での連携不足及び上意下達のもとでの情報伝達の目詰まり」といった企業風土又は組織文化が従前から存在してきたことが指摘されていました。当社グループにおいては、経営陣主導のもと、かかる企業風土又は組織文化の健全化に取り組んでおりますが、かかる取組みが功を奏しない又は功を奏するまでに想定以上の時間を要する場合には、類似の事案が発生する結果、当社グループの社会的信用が低下する、又は当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループ又は当社グループが行っている事業全般に対する風評・風説が、報道機関・市場関係者への情報伝播、インターネット上の掲示板やSNSへの書込み等により拡散した場合、また、報道機関により否定的報道が行われた場合には、仮にそれらが事実に基づかない場合であっても、当社グループが提供するサービスの公益性、事業規模、社会における認知度・注目度等を背景に、当社グループは、顧客や市場関係者等から、否定的理解・認識をされ、又は、強い批判がなされる可能性があり、それにより当社グループ、商品・サービス、事業のイメージ・社会的信用が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.事業運営に関するリスク

(1) 中期経営計画に関するリスク

当社グループは国内外の市場金利、為替、株価、経営環境(消費税増税を含む。)、競争状況、営業費用等多くの前提に基づいて中期経営計画を策定し、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等の業務に係る中期的な事業戦略・方針を定めております。当社グループの中期経営計画「JPビジョン2025」では、「お客さまと地域を支える共創プラットフォームの構築」、「グループ一体でのDX推進による新しい価値提供」の戦略のもとに、成長に向けた投資、効率化施策、生産性向上の取組みを行っています。

しかしながら、将来の戦略、計画、方針等には様々なリスク等が内在しており、当社グループの施策が奏功しなかった場合、又は、当社グループの採用した前提と異なる状況が生じた場合には、当該計画の実現又は目標の達成ができない可能性があります。また、市場金利の低下に伴う保険料の値上げなどにより貯蓄性商品の新契約の獲得実績が想定以上に減少していることに加えて、保険募集プロセスの品質事案等の影響で新契約の獲得が計画通り進まない、又は、既存の契約の解約数が増加する可能性があり、かかる場合、当該計画期間終了後も新契約の獲得や既存の契約の維持については、厳しい状況が継続することが見込まれます。なお、中期経営計画のうち、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険にかかる事業戦略及び経営計画に関するリスクについては、それぞれ「Ⅳ.銀行業に関するリスク (8) 事業戦略・経営計画に係るリスク」及び「Ⅴ.生命保険業に関するリスク (5)事業戦略・経営計画が奏功しないリスク」も併せてご参照ください。

さらに、金融2社等当社グループ各社が保有する有価証券の価値の低下による減損損失、売却損の計上やその他有価証券評価差額金の減少等により当社グループ各社からの配当収入が減少する結果、当社では十分な配当可能額が確保できず、中期経営計画における配当目標を達成できない可能性があります。

また、2021年3月31日付で公表したとおり、当社は、2021年3月期通期の個別決算において、ゆうちょ銀行の株式について、時価が著しく下落したため減損処理を行い、2,229,538百万円の関係会社株式評価損(特別損失)を計上いたしました。今後も金融2社株式を含む当社保有の株式の時価が下落することにより更なる減損処理が必要となった場合には、これに伴う剰余金の減少によりさらに分配可能額が減少し、あるいは消失する可能性があります。

なお、当社は将来的な国際財務報告基準(IFRS)の適用を検討しており、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) グループ外の企業との資本・業務提携、外部委託及び企業買収並びに業務範囲の拡大等に伴うリスク

当社グループは、当社グループ外の企業との間で、様々な業務に関し、資本・業務提携、外部委託を行っております。当社は、下記「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との戦略提携に合意し、アフラック・インコーポレーテッドの発行済株式総数(自己株式を除く。)の約7%を取得しております。また、2021年3月12日に、楽天株式会社(現楽天グループ株式会社)との資本・業務提携に合意し、同月29日をもって、楽天株式会社の発行済株式総数(自己株式を除く。)の約8%の取得を完了いたしました。このようなグループ外の企業との資本・業務提携については、資本・業務提携先との間における、戦略上若しくは事業上の問題又は目標の変更や当社グループとの関係の変化等により、期待通りの効果が得られない可能性や、投資に見合うリターンを得られない可能性、当社グループの既存事業に負の効果を及ぼす可能性も否定できません。このような場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、資本・業務提携先、外部委託先において、業務遂行上の問題が生じ、商品・サービスの提供等に支障をきたす場合、顧客情報等の重要な情報が漏えいする等の事故、違法行為、不正行為、不祥事等が発生した場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループが、他の企業を買収するに当たっては、買収先企業や買収先事業を効果的かつ効率的に当社グループの事業と統合できない可能性、買収先企業の重要な顧客、仕入先、その他関係者との良好な関係を維持できない可能性、買収資産の価値が毀損し、損失が発生する可能性などがあります。また、想定した事業環境と異なる状況が発生する可能性、経営陣を含む人材流出・不足等の可能性などがあります。このような事象が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、今後の業務範囲の拡大については、当社グループが業務範囲を拡大することができたとしても、限定的な経験しか有していない業務分野に進出した場合、競争の激しい分野に進出した場合や業務拡大により過度の人的・物的負担が生じた場合等において、業務範囲の拡大が功を奏する保証はなく、当初想定した成果をもたらさず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 情報通信システム及び個人情報その他の機密情報の漏えいに関するリスク

当社グループは、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業、生命保険業等を営んでおり、当社グループのコンピュータシステムは、顧客や各種決済機構等のシステムとサービスの提供に必要なネットワークで接続されるなど極めて重要な機能を担っております。これらについて、地震、噴火、津波、台風、洪水、大雪、火災等の自然災害やテロリズム等に加えて、人的過失、事故、停電、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等のサイバー攻撃、システムの新規開発・更新における瑕疵、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵等により重大なシステム障害や故障等が発生する可能性があります。こうしたシステムの障害、故障等が生じた場合に、業務の停止・混乱等及びそれに伴う損害賠償、行政処分、社会的信用の低下、対応や対策に要する費用等が発生することにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、多くの顧客や取引先等から様々な情報を取得しているほか、事業・人事などに関する多数の情報を保有しており、これらの情報については、郵便法、銀行法、保険業法、金融商品取引法等のほか、個人情報の保護に関する法律等に基づき適切に取り扱うことが求められていることから、当社グループは、かかる事態に対処するため、外部の専門人材の活用等多様な防御対策を講じることにより、システム障害等の発生の未然防止に努めています。しかしながら、当社グループのコンピュータシステムの障害・故障その他の理由により、当社グループが保有する個人情報及び機密情報等の外部への漏えいが発生した場合は、損害賠償や当該事案への対応費用、行政処分、社会的信用の低下による顧客の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、不正アクセス等のサイバー攻撃に対しては、メールやWeb閲覧に対するウイルス感染抑止等の入口対策、外部デバイスの接続制限や、許可された通信先以外の遮断等の出口対策を講じるとともに、当社グループのサイバーセキュリティ担当役員によるグループサイバーセキュリティ委員会を設置し、グループ全体でセキュリティの高度化を推進することに加え、セキュリティ専門家による点検・指導、対策推進等サイバー攻撃への対応に努めております。しかしながら、かかる施策によっても完全に高度化するサイバー攻撃等を防ぐことは困難であり、特に近年、不正アクセス等サイバー攻撃による企業・団体が保有する個人情報等の漏えいが多発しており、在宅勤務(テレワーク)の増加、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、かかる脅威は今後さらに増大する可能性があります。

また、当社グループは、基幹ITシステムを含む当社グループのITシステムのアップグレードを行っており、かつ、新規のシステム投資を行うこともありますが、かかる作業の遅延、失敗、多額の費用発生により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 人材の確保に関するリスク

当社グループにおいては、昨今の少子高齢化等による労働力不足により、郵便・物流業務に従事する配達又は運送に係る車両の運転手をはじめとして各種人材の確保が困難となる可能性があります。

また、当社グループは、保険数理、資産運用、銀行・保険の各種業務、商品の販売・募集、会計、金融業規制、法令遵守、DXの推進等に必要なIT等に係る資格、高度の専門性及び経験を有する有能な人材を必要としており、新規採用・中途採用を通じ、人材の確保に努めるとともに、かかる人材の育成にも努めております。併せて、多様な社員が個性や能力を十分に発揮し活躍できるよう、制度や環境の整備等ダイバーシティ経営を推進しております。しかしながら、当社グループが魅力的な条件を提供できず、有資格者や有能で熟練した人材の採用若しくは育成及び定着を図ることができなかった場合、又は、適切な育成環境を整備できない場合や、人事処遇や労務管理等の人事労務上の問題や職場の安全衛生管理上の問題等が発生した場合には、当社グループの事業の競争力若しくは業務運営の効率性が損なわれ、人材の適合性、多様性を確保することができず、又は人材の流出・不足等を招き人件費単価が上昇するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、かかる事態に対処するため、人事・処遇制度の改定による労働環境の改善、業務の機械化・デジタル化の推進による労働力に依存しないビジネスモデルへの転換等を図っていますが、これらの対策によっても、厳しい人材獲得競争下において必要な人材を適切に確保できる保証はなく、また業務の機械化・デジタル化が当社グループの想定通りに進捗しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 固定費負担に関するリスク

当社及び日本郵便は、ユニバーサルサービス提供義務に基づき、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を、全国に広がる郵便局ネットワークを通じて全国の顧客に提供しております。そのため、当社グループの郵便・物流事業及び金融窓口事業においては、全国各地の郵便局及び配送拠点等に係る設備費、車両費等の多額の固定費に加え、多数の郵便局員その他の従業員の給与等の人件費が発生しております。

人件費においては、労使交渉・労働法制の変更等を受けて従業員への給与等を増額した場合には、それが一人あたりは比較的小さな増額であっても、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、高齢化に伴う厚生年金保険料率、雇用保険料率及び健康保険組合保険料率の引き上げなどによる福利厚生費の上昇も想定されます。

当社及び日本郵便は、今後、地方における過疎化の進展、企業活動又は個人の消費活動の縮小、電子メール等インターネットやウェブサイトを通じた通信手段、金融サービスの普及等を背景に、郵便物や荷物の取扱数量又は金融窓口での金融・保険商品の販売量の減少等、当社グループが郵便局を通じて提供するサービスの利用が減少した場合であっても、ユニバーサルサービスを維持する法的義務があり、収益性の低い事業又は拠点等を縮小する等の対応が制限されているため、かかる方法により固定費を削減することが困難となる可能性があります。当社グループの提供する商品・サービスの内容、対象若しくは対価を変更し若しくはその提供を中止し、又は、郵便局ネットワークを縮小するなどの対応ができず若しくは制約され、かかる固定費に見合った収益を挙げられない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) リスク管理方針及び手続の有効性に係るリスク

当社グループは、リスク管理に関する規程を定め、リスク管理態勢を整備し、リスク管理を実施しております。しかしながら、当社グループのリスク管理は、過去の経験・データに基づいて構築されているため、将来発生するリスクを正確に予測することができず、新しい業務分野への進出や外部環境の変化等によりリスク管理が有効に機能しない可能性があります。

また、当社グループがリスク管理の方針及び手続を策定する際、参考又は前提とした情報が真実性、正確性、完全性又は合理性に欠ける場合には、当社グループのリスク管理の有効性に悪影響を与える可能性があります。

さらに、当社グループの事業に内在するリスクを管理するためには、膨大な取引や事象の適切な記録、審査、調査等に係る方針及び手続の有効性や効率性等が重要ですが、かかる方針や手続が万全とは言えない可能性があります。

当社グループは、経営環境、リスクの状況等の変化に応じ、リスク管理態勢全般について随時見直しを行い、万全のリスク管理態勢を構築するよう努めておりますが、当社グループのリスク管理態勢が有効に機能しない場合や、欠陥が発生した場合等には、当社グループが予期していなかった損失を被る可能性や、当社グループ各社が行政処分を受ける可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業拡大に伴い、リスク管理態勢の増強も必要となりますが、事業の拡大に比してリスク管理態勢の拡充が十分ではない場合等においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.財務に関するリスク

(1) 保有株式及び固定資産の減損損失に関するリスク

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた株式市場の混乱の影響を受けるなど、当社が保有する金融2社等の株式の株価又は実質価額が低下する可能性があります。これらの株式の株価等が取得した価額に比べて著しく下落し、回復する可能性があるとは認められない場合には、減損損失を計上することになり、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これにより当社の分配可能額が減少し、会社法の規定により当社株主への配当の支払いが困難となる可能性があります。

2021年3月期通期の個別決算において計上したゆうちょ銀行の株式の減損処理については、「Ⅱ.当社グループ全般に関するリスク 3.事業運営に関するリスク (1) 中期経営計画に関するリスク」を、当社の所有する金融2社株式の帳簿価額については、「Ⅶ.金融2社株式売却等に関するリスク (4) 当社による金融2社株式の売却に関するリスク」をご参照ください。

また、当社グループは、郵便・物流事業、金融窓口事業及び国際物流事業を中心に、多額の固定資産を所有しております。経営環境の変化や収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 繰延税金資産に関するリスク

当社グループは、現行の会計基準に従い、将来の課税所得見積りを合理的に行った上で、貸借対照表において繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更や税制改正に伴う税率の変更等により、繰延税金資産の全部又は一部に回収可能性がないと判断した場合、繰延税金資産が減額され、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 退職給付債務に関するリスク

当社グループの退職給付費用及び債務は、将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に基づいて算出しておりますが、金利環境の急変等により、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は、前提条件に変更があった場合には、退職給付費用及び債務が増加する可能性があります。また、当社グループにおいて退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 財務報告に係る内部統制に関するリスク

当社は、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価し、その結果を記載した内部統制報告書を提出すること及び監査法人による監査を受けることを義務付けられております。当社グループは、財務報告の信頼性を確保するため、財務報告に係る内部統制の評価及び報告に関する規程等を制定し、財務報告に係る内部統制について必要な体制を整備しております。また、評価の過程で発見された問題点等は速やかに改善するべく努力しております。しかしながら、財務報告に係る内部統制が有効でない場合には、当社グループの財務報告の適正性を確保できず、その信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 格付の低下に関するリスク

当社は、格付機関より信用格付を取得しておりますが、財務内容の悪化、日本国債の格下げ等により当社の信用格付が格下げとなった場合、著しく高い金利での資金調達を余儀なくされる等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 管理会計等に係る内部管理に関するリスク

本書には、日本の会計基準によらず外部監査を受けていない管理会計等に基づく数値・分析等が含まれております。当社は、これらについても正確性の確保に努めておりますが、管理会計等に係る内部管理が十分でない場合等には、当該数値等の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

Ⅲ.郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業に関するリスク

 

(1) 金融窓口業務のサービス品質に関するリスク

日本郵便及びかんぽ生命保険におけるお客さまのご意向に沿わず不利益が生じた保険契約乗換等に係る事案(以下「募集品質問題」といいます。)及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案の発生により、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの信頼は未だ回復途上にあり、早期の信頼回復が最重要課題と認識しております。当社グループは、募集品質問題について、お客さまからの信頼の早期回復、並びに保険募集プロセスにおける法令遵守及びお客さま本位の意識の徹底による募集品質の確保・向上を図るため、お客さまの不利益の解消に向けたご契約調査等の対応や、2020年1月31日付で監督当局に提出した業務改善計画に基づく再発防止策の実施に最優先で取り組んでまいりました。

また、日本郵便において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち法令違反が認められたかんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、日本郵便が商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。

しかしながら、今後、これらの取組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の時間を要する場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信頼の回復に影響を及ぼす可能性があります。さらに、お客さまのご意向に沿わず不利益となる同種の事例、法令違反又は社内ルール違反となる事例が判明する場合、過去に締結した保険契約ないし投資信託契約等に対する苦情や無効申請等、原状回復のお申し出が再発する又は解消しない等の場合には、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このように今後募集品質問題等に関連して当社グループが遵守すべき法令等の義務に反する行為が発生・発覚する場合、又は業務改善計画の進捗及び改善状況について監督当局がそれらを不十分であると判断した等の場合、当該違反行為の規模や程度又は日本郵便及びかんぽ生命保険の取組状況によっては、監督当局から再度業務停止命令等の行政処分を受けるなど、当社グループの経営や事業の存続にとって重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、さらに追加での各種調査やお客さまの不利益の解消に向けた保険契約に関する手続きが必要となる場合には、追加的な費用を要する可能性や新契約の獲得に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、募集品質問題に関連して、保険契約者等から訴訟を提起された場合にも、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、日本郵便及びかんぽ生命保険は、上記の募集品質問題等を受けて、2019年7月以降、郵便局からの積極的なかんぽ生命保険の保険商品のご提案を控えていたことに加えて、2019年12月27日に監督当局から業務停止命令を受けたことに伴い、2020年1月1日から2020年3月31日までの間、保険募集及び保険契約の締結を停止しておりましたが、2020年10月5日からお客さまにご迷惑をおかけしたことをお詫びすることを第一とする信頼回復に向けた業務運営を開始し、2021年4月1日からは、お客さまのニーズの確認を行いながら、お客さまニーズに応じた金融商品の情報提供やご提案を行うことで、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタンスへ移行しております。

当社グループの2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画においては、お客さま本位の業務運営を徹底し、お客さまからの信頼を回復することを基本方針として掲げ、勧誘方針やかんぽ営業スタンダードなどのプリンシプルに基づく活動をはじめ、適切な募集プロセスのもと、お客さまが納得・満足の上で商品・サービスをご利用いただく活動の展開、お客さまへの丁寧なアフターフォローを通じた信頼関係の再構築に取り組むなど、信頼回復に向けた取組みを継続してまいります。また、新しいかんぽ営業体制を構築し、当社グループのコアビジネスである生命保険業を安定的かつ持続的に提供するために、日本郵便のコンサルタント(2020年4月に日本郵便の渉外社員の呼称をコンサルタントへ変更しております。以下同じ。)と窓口社員の役割を明確化し、コンサルタントについては、かんぽ生命保険が人件費等の負担を含め直接責任をもってマネジメントする体制に改めるとともに、コンサルタントは生命保険のアフターフォローと保障のご提案に専念します。

しかしながら、これらの取組みが奏功しない場合には、既存契約の維持を図れない又は新契約の獲得が想定よりも進まないなどの理由により、当社グループの業務運営及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、新契約の獲得が進まないなどの期間がより長期にわたり継続する場合には、当社グループの中期的な事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

加えて、日本郵便が取り扱う金融商品の販売が回復しない場合には、日本郵便が受領する金融2社及びその他の提携金融機関からの受託手数料の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 郵便・物流事業における経営環境の変化に関するリスク

郵便・物流事業においては、近年のeコマース市場の拡大に伴う宅配便需要の急激な増加とこれによる労働力の不足といった経営環境の急激な変化が顕在化しており、他の主要な物流事業者等においては、基本運賃や大口顧客向け特約運賃の値上げを含む契約条件の改定、配達時間帯や再配達に係るサービス内容の見直し、労働環境又は労働条件の改善のための取組みを行っているものも見受けられます。日本郵便においては、P-DXの推進やオペレーション改革などにより業務の効率化を徹底しますが、当社グループがこのような経営環境の変化に適時かつ適切に対応できなかった場合、当社グループの競争力、収益性、人材の確保等に影響し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

電子メール、SNSやスマートフォンの普及に加え、当社グループの顧客における請求書や取引明細書等の電子メール送信・Web閲覧の浸透等の影響により、郵便物数は年々減少を続けており、加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大によってデジタル化が進み、今後もかかる傾向は継続することが予想されます。また、当社グループの郵便・物流事業における重要な収益の柱となっている年賀状の配達数も年々減少傾向にあり、国民の生活様式や社会慣行の変化等の要因により、今後も減少傾向が進む可能性があります。

日本郵便は、消費税増税に伴い2019年10月1日に郵便料金及び荷物運賃の改定を行いました。また、2020年12月4日に公布され、2021年5月1日に施行された改正郵便法を受けて、同年10月以降、普通扱いとする郵便物等の土曜日配達の休止、送達日数の1日程度の繰下げ、郵便区内特別郵便物の差出条件の見直し、速達郵便料金の1割程度の引下げ等を行う予定です。これら郵便料金の改定、サービスの見直し等により、当社グループが取り扱う郵便物等の数に影響を及ぼす可能性があります。これらの事情により、当社グループの郵便・物流事業において取り扱う郵便物等の数が減少し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 金融2社からの金融窓口業務の受託に関するリスク

日本郵便が金融2社との間で締結している銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等に基づく受託手数料は、銀行法・保険業法に定められたアームズレングスルール等を遵守することが求められており、恣意的な変更が行われることは想定しておりませんが、今後、上記各窓口業務契約等が、合理的な理由に基づき受託手数料の額を減額する又は対象となる業務の範囲を限定する等、日本郵便にとって不利に改定された場合には、当社グループの金融窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。また、特にゆうちょ銀行から受け取る受託手数料については、ゆうちょ銀行の直営店での業務コストをベースに、日本郵便での取扱実績に基づいて委託業務コストに見合う額が算出されるため、ゆうちょ銀行において業務コストの削減が行われた場合には、当社グループの金融窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。さらに、これらの受託手数料の一定部分は、日本郵便において取り扱われた業務の量にかかわらず一定の計算方法により算定されるものとされていますが、今後仮に金融2社が日本郵便における業務量に比例する受託手数料の割合を高めようとする場合には、当社グループの金融窓口事業における収益に影響を与える可能性があります。

また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行され、2020年3月期から郵便局ネットワーク維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便が負担すべき額を除く。)は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われることとなり、これを契機に委託手数料が見直されました。かかる交付金・拠出金制度の下で、今後も同手数料が見直される場合があり、その内容によっては当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

2021年3月期における銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等に基づく各社からの受託手数料並びに郵政管理・支援機構から交付される交付金は、それぞれ3,663億円及び2,070億円並びに2,934億円であり、それぞれ当社グループの金融窓口事業セグメントにおける経常収益の約29%及び約17%並びに約24%を占めています。

当社グループとしては、今後もユニバーサルサービスが利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに、将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、日本郵便と金融2社との関係を引き続き強化していく所存であり、当社が金融2社の株式を処分したこと(なお、2021年5月に公表したとおり、当社は、かんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び株式処分信託設定による処分により、当社が保有するかんぽ生命保険普通株式163,306,300株を処分しており、この結果、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となっています。)により当社による両社への影響力が低下・消滅した場合においてもこの関係は変わるものではないと当社としては考えております。しかし、金融2社はユニバーサルサービスの提供に係る法的義務を負うものではなく、金融2社が、郵便局ネットワークに代替する販売チャネル(例えば、ATMの相互利用、オンライン取引、グループ外の企業への委託を含みますがこれらに限られません。)をより重視するようになった場合等や、窓口業務の健全・適切な運営確保の観点から特段の事由が生じた場合等、銀行窓口業務契約等及び保険窓口業務契約等の解除が発生した場合には、当社グループの金融窓口事業の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 

 

(4) 国際物流事業に関するリスク

① トール社の業績に関するリスク

国際物流事業を担うトール社の事業は、豪州経済の減速や新型コロナウイルス感染症、サイバー攻撃等の影響等もあり、厳しい経営環境が継続しております。赤字が継続しているエクスプレス事業については、トール社において売却の検討を行ってまいりましたが、2021年4月21日、Allegro Funds Pty Ltdの傘下企業との間で譲渡契約を締結いたしました。本件譲渡に伴い、当社グループは、当連結会計年度において、特別損失として674億円(減損損失619億円、その他の特別損失54億円)を計上しております。また、トール社を親会社とする連結グループは、2021年3月末日現在で880億円の債務超過となっており、依然厳しい経営状況となっております。

今後、国際物流事業に関し、日本郵便は、トール社の残るロジスティクス事業及びフォワーディング事業の採算性の向上に努めるとともに、豪州に依存した経営構造から脱却し、日本を含むアジアを中心としたビジネスモデルへの転換による成長を図りますが、かかる経営改善策及び成長戦略が功を奏せず、トール社の業績が向上しない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、トール社の保有する物流設備その他の固定資産について更なる減損損失を計上する可能性もあります。

さらに、2020年1月にトール社は標的型サイバー攻撃を受け、一時的に全システムのシャットダウンを実施し、サービスの提供に影響を及ぼしました。さらに、同年5月に別の標的型サイバー攻撃を受けたことにより、再び全システムのシャットダウンを実施するとともに、情報流出が確認されたため、情報流出範囲の特定等、必要な対策を講じています。今後もサイバー攻撃を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、トール社は、日本郵便の買収以前に多数の企業買収を行い、事業統合を実施している過程にありますが、当社グループとの事業統合も含め統合が予定通り進捗しない場合には、複数のビジネス・ユニットによる取引先の競合やオペレーションの重複等が解消されないこと、複雑な業務及び設備、並びに異なる地理的エリアに存する多様な企業風土と異なる言語に基づく従業員を十分に管理できないこと、トール社と競合関係にある同業他社が、トール社より優れた革新的な商品・サービスを提供することで、トール社のマーケットシェア及び利益が低減すること、自然災害、事故等により、基幹ⅠTシステム、主要な輸送手段、倉庫が損害等を受けること、さらには、買収時に発見できなかった問題が発生すること等により、当社グループ又はトール社の事業に負の効果を及ぼして、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② トール社に適用される規制等

国際物流事業を担うトール社は、豪州を中心に、アジア太平洋地域等におけるフォワーディング、コントラクトロジスティクス等の国際的な事業活動を行っており、関連する国・地域の事業許可や租税に係る法・規制、運送、貿易管理、贈収賄防止、独占禁止、為替規制、環境、各種安全確保等の法・規制の適用を受けております。法令等の改正や新たな法規制等により、当社グループの競争条件が悪化したり、事業活動の一部が制限又は変更を余儀なくされた場合は、新たな対応費用の増加、収益機会等の喪失等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 為替変動・国際財務報告基準(IFRS)の適用のリスク

国際物流事業を担うトール社の連結財務諸表は外貨建て(豪ドル)で作成されていることから、大幅な為替相場の変動が生じた場合、外貨建ての資産・負債等が当社の連結財務諸表作成のために円換算される際に為替相場の変動による影響を受けるため、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、トール社の連結財務諸表は国際財務報告基準(IFRS)が適用されていることから、国際財務報告基準(IFRS)の変更により、当社グループの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 資金繰り等のリスク

トール社は、継続的に設備投資等を行っており、事業上必要な資金を確保する必要があるため、金融機関からの借入等に依存する割合も少なくありません。トール社の経営状況が非常に厳しい中、資金繰り安定化を企図し、トール社の借入金等に対し、日本郵便による債務保証を付しております。

今後、トール社の経営状況が改善せず、トール社による返済が困難となる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 不動産事業に関するリスク

当社グループは、金融窓口事業において、日本郵便が保有する不動産を有効活用して事務所・商業施設・住宅等の賃貸・管理事業、分譲住宅事業等の不動産事業を営んでおります。当該事業については、国内外の景気又は特定地域の経済状況や人口、市場における需給等の変化により、不動産価格や賃貸料の下落、空室率の上昇、建築資材の価格や工事労務費等の高騰、たな卸資産の増加、さらに、法的規制の変更、大規模災害や感染症の発生等の影響を受ける可能性があります。特に今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言等を受けた深刻な経済活動の停滞により、テナント賃料の減免及び支払猶予が一部発生しているほか、空室率の上昇、開発中の案件における竣工時期の遅延等が想定され、また、収束後も、ライフスタイルや働き方の変容により、オフィス需要の変化等の影響を受ける可能性があります。これらの事象により、当社グループの不動産事業の収益や費用に影響を及ぼしたり、保有不動産等に評価損・減損損失や売却損が発生する可能性があります。また、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

Ⅳ.銀行業に関するリスク

 

(1) 市場リスク

ゆうちょ銀行が保有する金融資産・負債の多くは、市場の変動による価値変化等を伴うものであります。ゆうちょ銀行では、中長期的に収益の確保を図ることを目的に、資産・負債を総合管理するALM(Asset Liability Management)の枠組みの下、市場環境の変化、リスク・リターン等を踏まえた機動的なポートフォリオ運営を行っている他、ストレステストや損益シミュレーション等を実施することにより、市場リスク等を適切に管理するよう努めております。しかし、かかる管理にかかわらず、例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大による歴史的な市場の動揺、さらに世界経済への深刻な影響あるいはその懸念等を背景にした大幅な市場変動等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。

 

① 金利リスク

ゆうちょ銀行が保有する日本国債(2021年3月末日現在、50.4兆円・総資産額の22%)や外国証券(2021年3月末日現在、その他の証券(外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等で構成)は71.1兆円・総資産額の31%)などの金融資産と、定額貯金をはじめとする貯金や外貨を含む市場性調達の負債の期間や金利更改サイクル等には、差異が存在します。このため、金利(長期や短期の金利)の変動は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当連結会計年度末現在において、日本国債の一部の金利がマイナスとなる等市場金利は歴史的な低水準にあり、さらに、今後の金融政策の動向によりかかる金利水準が長期に亘り継続し又は低下する場合、運用収益の減少に比して、相対的に貯金の調達コストが減少しないことにより、資金粗利鞘が減少し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、市場金利の変動は、ゆうちょ銀行の債券ポートフォリオ等の価値に影響を及ぼします。例えば、国内外の景気変動、中央銀行の金融政策、日本国政府の財政運営やその信認の変化等、様々な要因により市場金利が上昇した場合、保有する債券等の価値下落によって評価損・減損損失や売却損等が生じ、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

加えて、定額貯金(2021年3月末日現在、83.4兆円・総貯金額の44%。預入から6か月経過後は払戻し自由、3年までは6か月ごとの段階金利、それ以降は固定金利の10年満期・複利貯金)について、急激な市場金利上昇等により、事前のリスク管理の想定を超える貯金流出や預替えが発生した場合にも、計画以上の運用原資の減少や調達コストの上昇を通じて、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、ゆうちょ銀行は、金利リスク状況のモニタリングの一環として、監督当局による「主要行等向けの総合的な監督指針」において定められた重要性テストの過程で用いられる手法に基づき、金利変動による資産・負債の経済価値の減少額(以下「ΔEVE」)を計測しております。2021年3月末日現在、ゆうちょ銀行のΔEVEの最大値は重要性テストにおける評価基準である自己資本の額の20%を超えております。ΔEVEで計測した金利リスクに対し、自己資本の余裕を十分に確保しているものと認識しておりますが、金融庁から深度ある対話を行う必要が認められる銀行と判断される場合には、対話を通じて共有された課題認識に基づき、原因への対応も含めて必要な改善対応を求められる可能性があります。

重要性テストの適用については、監督指針において、「ゆうちょ銀行は、法令上、一部の資産について国債等の安全資産の保有が義務付けられているため、(重要性テストに該当する場合の)監督上の対応をするに当たっては、当該特殊事情を適正に勘案することとする。」とされております。

また、国際的な金融規制の流れを考慮し、内部管理として、国際統一基準行目線での管理も行っております。

 

② 為替リスク

ゆうちょ銀行は、収益源泉・リスクの分散を目的に、運用の高度化・多様化の一環として国際分散投資を進め、外国債券や主な投資対象が外国債券である投資信託等の外国証券の保有が増加しております。これらのうち、外貨建て資産については、為替リスクを軽減する目的から通貨スワップや為替予約等によりヘッジ取引を行っておりますが、その一部については為替リスクを軽減するヘッジを行わない、又は短期のヘッジを行うことがあります。その結果、大幅な為替相場の変動が発生した場合、ヘッジしていない部分に差損が発生し、又はヘッジコストが上昇すること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 株式価格変動リスク

ゆうちょ銀行は、直接又は金銭の信託や投資信託を通じて間接的に、株式を保有することがあることから、国内外の経済状況又は市場環境の変化によって株価が変動する場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場流動性リスク

ゆうちょ銀行では、市場流動性を確保する観点から、流動性が低い資産への投資が過大にならないよう、また、市場規模に比して過大なポジションを保有することがないよう、基準を設定することにより、市場流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、経済状況の著しい悪化や金融市場の混乱、銀行・金融業界全体の社会的信用や信認が低下する場合等には、当社グループが国内外の市場で取引・決済ができなくなることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされること等により、損失を被る可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 資金流動性リスク

ゆうちょ銀行では、安定的な資金繰りを達成するため、資金の受払いの差額について基準を設定しているほか、予期しない資金流出等に備え、流動性の高い資産の保有額に基準を設定することにより、資金流動性リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、当社グループの業績や財政状態の悪化、風評等の発生や、予期せぬ資金流出、運用と調達の期間のミスマッチ(差異)等、また、当社グループの収益力・信用力の低下、日本国債の格下げ等の影響を受けたゆうちょ銀行格付の引き下げにより、円貨・外貨の必要資金確保が困難になる、又は、通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより、損失を被る可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 信用リスク

ゆうちょ銀行では有価証券発行体や貸出先などの債務者に対し、内部格付を付与の上、定期的にモニタリングを行うほか、個社・企業グループ及び国・地域に対するエクスポージャーの上限管理等を実施することにより、信用リスクを適切に管理するよう努めておりますが、かかる管理にかかわらず、債務者において、例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大による国内外の経済情勢(景気・信用状況等)への深刻な影響や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、誤った経営判断、不祥事等の発生、その他不測の事態により財政状態が悪化した結果、ゆうちょ銀行の与信関係費用が増加又はゆうちょ銀行が保有する有価証券等の価値が下落することによって評価損・減損損失や売却損等が生じ、当社グループの事業、業績、財政状態及び自己資本の状況に影響を及ぼす可能性があり、中長期的な収益の確保を目的とした外国証券やオルタナティブ資産への投資等、運用の高度化・多様化が目的に即した結果を生まない可能性もあります。

 

(5) オペレーショナル・リスク等

ゆうちょ銀行の業務においては、オペレーショナル・リスク等として、事務リスク、システムリスク、情報資産リスク、訴訟等に係るリスク、人事リスク、レピュテーショナル・リスク、災害・パンデミックに係るリスク、サイバー攻撃等に関するリスク、法令違反等(横領その他の犯罪行為、テロ資金供与、インサイダー取引規制等違反、お客さまの属性に照らし不適合な説明や資産運用商品の販売等、法令・諸規則等を遵守できない等のミスコンダクトリスクが発生する等)に係るリスク及びマネー・ローンダリング等に係るリスクが存在します。

また、ゆうちょ銀行の業務に関連して、顧客その他第三者が、偽名による口座開設、ゆうちょ口座の不正目的による使用、又は盗難カードを使用した犯罪行為その他不正行為を行うなどの事象が発生しています。

ゆうちょ銀行では日本郵便等と連携し、各種取組みを通じて事故や不正利用・不正送金の防止に努めておりますが、これらのオペレーショナル・リスク等を適切に管理できず、リスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 代理店を通じた営業に係るリスク

ゆうちょ銀行は、銀行代理業務の委託契約等に基づき日本郵便に銀行代理業務等を委託しております。ゆうちょ銀行の店舗23,815(2021年3月末日現在)のうち23,581が代理店(郵便局)となっており、貯金残高の約9割が代理店で開設された口座への預入による等、ゆうちょ銀行の事業は、代理店である日本郵便の郵便局ネットワークによる営業に大きく依拠しております。

従って、コミュニケーション手段の多様化、競合するネットワークやサービスの利便性向上等により、ゆうちょ銀行の代理店である郵便局の利用者数や利用頻度が減少したり、代理店で取り扱うゆうちょ銀行の商品・サービスの種類や代理店数が減少した場合、ゆうちょ銀行の代理店業務に従事する従業員の確保やその教育が十分でない場合、郵便局で取り扱う競合商品との競争が激化する場合、日本郵便が人材等のリソースをゆうちょ銀行の商品・サービス以外に優先的に配分する場合等においては、ゆうちょ銀行の貯金等や新商品等の販売が伸びず、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、かんぽ生命保険及び日本郵便におけるお客さまのご意向に沿わず不利益が生じた保険契約乗換等に係る事案に関し、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの大きく低下した信頼の回復は未だ途上にあり、当社グループとして、外部専門家で構成されたJP改革実行委員会のモニタリングを受けながら、お客さまからの信頼回復に向けた改善策を実行してまいりました。

また、日本郵便において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち法令違反が認められたかんぽ生命保険の保険商品とゆうちょ銀行の投資信託の横断的な販売について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、当社グループとして商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。しかしながら、かかる取組みが功を奏しない場合や、今後も法令違反等の不適切な事案が発生する等の場合には、当社グループへの信頼の喪失等により、日本郵便が取り扱うゆうちょ銀行の金融商品の販売が回復しない可能性があります。結果的に、ゆうちょ銀行が委託している投資信託の販売等に影響し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

2021年4月6日に公表した長崎県内の郵便局における長期・高額な現金詐取事案を含め、郵便局において部内犯罪が増加している事態を受け、ゆうちょ銀行は、日本郵便及び当社と連携し、発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、不祥事件の撲滅に向けてコンプライアンスの徹底・強化に取り組んでおります。しかしながら、今後も法令違反等の不適正な事案が発覚する等の場合には、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があり、今後、ゆうちょ銀行の金融商品の販売が低迷し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、ゆうちょ銀行は、上記の銀行代理業務の委託契約等に基づき、郵便局を商品・サービスの販売・提供のメインチャネルとし、相当額の委託手数料を日本郵便に対して支払っておりますが、当該委託手数料の算定方法その他の条件がゆうちょ銀行と日本郵便との間の合意により見直されたり、当該契約等が解除され代替委託先等を適時に確保できない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 事業環境等に係るリスク

① ユニバーサルサービスの提供に係るリスク

ゆうちょ銀行は、日本郵便との間で銀行窓口業務契約を締結しており、日本郵便は全国の郵便局で、ゆうちょ銀行の基本的な商品・サービスを、日本郵便株式会社法に基づくいわゆるユニバーサルサービス提供に係る法的責務の履行として提供しております。ゆうちょ銀行は、法令上この責務を直接負わないものの、郵便局で使用するATM・窓口端末機など銀行委託業務に係るⅠTシステムの導入・運行コストとともに(なお、当該ⅠTシステムはゆうちょ銀行が所有。)、同業務に従事する日本郵便の従業員の指導・教育等を通じ、ユニバーサルサービス提供に係る一定のコストを負担しております。その結果、より収益性の高い業務や地域への経営資源配分が制約されること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、銀行窓口業務契約は、期限の定めがなく、また、本契約に定める特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り、解除できないものと定めております。また、ゆうちょ銀行の定款には、日本郵便と銀行窓口業務契約を締結する旨規定しているため、当該契約を終了させる場合には、定款の変更を要します。従って、ゆうちょ銀行が銀行窓口業務契約を終了させるためには、これらの手続等を充足させる必要があります。一方、本契約が終了した場合にも、ゆうちょ銀行の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これによって2020年3月期からゆうちょ銀行と日本郵便との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。そのため、ゆうちょ銀行直営店での業務コストの増減にかかわらず、拠出金と委託手数料の合計額が将来的に増加する可能性があります。また、今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経済・社会情勢、市場に係るリスク

ゆうちょ銀行が行う当社グループの銀行業は、その収益の多くが日本国内での貯金調達や国内外での有価証券運用によって得られており、国内外の景気・信用状況や人口動態等の経済・社会情勢、金利・為替等の市場の変動・悪化が、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。例えば、消費税率の引き上げによる家計の可処分所得の低下や、少子高齢化に伴い、日本の貯蓄率・預金水準が低下し、ゆうちょ銀行の貯金残高が減少する可能性があります。また、大幅な市場変動により、ALMやリスク管理態勢が期待通り奏功せず、ゆうちょ銀行の事業の低迷や資産内容の悪化、資金調達力・資産流動性の低下等が生じる可能性があります。このような場合、中長期的な収益の確保を目的とした運用の高度化・多様化が、目的に即した結果を生まない可能性もあります。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2021年5月末時点で三度に亘って政府より緊急事態宣言が出される等、引き続き新型コロナウイルス感染症が国際社会・世界経済にとって大きな脅威となっております。ゆうちょ銀行では、お客さまや社員への感染拡大防止や業務継続態勢の確保に努めておりますが、かかる対応にかかわらず、ゆうちょ銀行の商品・サービスの利用者が著しく減少した場合、また、当社グループ社員に感染が拡大することにより業務の継続が困難となった場合等は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 事業戦略・経営計画に係るリスク

ゆうちょ銀行は、“信頼を深め、金融革新に挑戦”のスローガンのもと、5つの重点戦略である「リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革」、「デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上」、「多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化」、「ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化」、「一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化」を通じて、2021年度から2025年度までを計画期間とする中期経営計画を推進しております。しかしながら、これらに向けたゆうちょ銀行の事業戦略・経営計画は、各種のリスクにより実施が困難となり、又は有効でなくなる可能性があります。また、本項に記載したリスク要因等に伴い、事業戦略・経営計画の策定時に前提とした各種の想定が想定通りとならないこと等により、当初計画した成果が得られない可能性もあります。特に、市場(金利・為替等)・経済情勢(景気・信用状況等)等が計画策定時の想定通り安定推移しなかった場合、例えば、市場金利の低下による運用利回りの減少によって計画が達成できない可能性、海外のクレジットスプレッド拡大によるゆうちょ銀行が保有する有価証券中の投資信託の特別分配金発生によって計画が達成できない可能性、プライベート・エクイティの投資先の企業価値や売却時期が想定対比で乖離することによって計画が達成できない可能性、国際分散投資等の高度化・加速を継続していく中で、適切なポートフォリオ分散を達成できない可能性、より高いリスクを有する運用資産の増加によって価格変動リスクを受けやすくなり、ゆうちょ銀行の事業、業績及び財政状態に及ぼす影響が大きくなる可能性があります。さらに、DXの推進等による、各種決済サービス及び資産形成サポートサービスの利用促進等並びに店舗改革等の業務効率化、運用・リスク管理・営業等の人材確保・育成が、想定通り進捗しなかった場合、役務収支の拡大や営業経費の削減等の計画が達成できなくなる可能性があります。また、減損損失、売却損の計上等により十分な利益水準が確保できない場合や、法令によりその他有価証券の評価損が発生した際は分配可能額から控除する必要があることから、相場変動によりその他有価証券の評価損が拡大し、分配可能額を確保できない場合等には、株主還元の目標が達成できない可能性があります。

 

(9) LIBOR等の指標金利に関するリスク

ゆうちょ銀行は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の指標金利を参照する金融商品を保有しており、さらに当該指標金利は、ゆうちょ銀行内における金融商品の評価等においても利用されております。

2014年7月に、金融安定理事会が、金利指標の改革及び代替金利指標としてリスク・フリー・レートの構築を提言し、また、2017年7月には、LIBORを規制する英国の金融行動監視機構(FCA)長官が、2021年末以降はLIBOR公表継続のためにパネル銀行にレート呈示を強制する権限を行使しない旨表明しており、2021年末以降のLIBORの公表には不確実性があるとされていましたが、2021年3月5日、LIBOR運営機関(IBA)が、米ドルの一部テナーを除き、2021年12月末をもってLIBORの公表を停止する旨を公表しました(米ドルの一部テナーは、2023年6月末まで公表継続)。

ゆうちょ銀行では、LIBOR公表停止に向けて、代替金利指標への移行に対する対応を進めておりますが、後継指標に関する市場慣行、導入時期等、未だ決定されていない事項が多く、参照金利や評価方法の変更等により、指標金利を参照するゆうちょ銀行の金融資産につき損失が発生し、また、システム開発が必要になること等に伴う費用の増加等の要因により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

Ⅴ.生命保険業に関するリスク

 

(1) 保険募集プロセスにおける品質確保に関するリスク

日本郵便及びかんぽ生命保険における募集品質問題及び法令違反又は社内ルール違反が認められた事案の発生により、当社グループに対する株主、投資家、お客さま、その他ステークホルダーからの信頼は未だ回復途上にあり、早期の信頼回復が最重要課題と認識しております。

当社グループは、募集品質問題について、お客さまからの信頼の早期回復、並びに保険募集プロセスにおける法令遵守及びお客さま本位の意識の徹底による募集品質の確保・向上を図るため、お客さまの不利益の解消に向けたご契約調査等の対応や、2020年1月31日付で監督当局に提出した業務改善計画に基づく再発防止策の実施に最優先で取り組んでまいりました。

また、日本郵便において行われた一部のお客さまのご意向に沿っていない取引のうち、法令違反が認められたかんぽ生命商品と投資信託の横断的な販売について、契約無効措置等のお客さま対応を実施するとともに、当社グループとして商品横断的なデータモニタリングを行うなど、改善に向けた取組みを進めてまいりました。

しかしながら、今後、これらの取組みが期待された効果を発揮しない又は効果の発揮までに想定以上の時間を要する場合には、当社グループに対するステークホルダーからの信頼の回復に影響を及ぼす可能性があります。さらに、お客さまのご意向に沿わず不利益となる同種の事例、法令違反又は社内ルール違反となる事例が判明する場合、過去に締結した保険契約に対する苦情や無効申請等のお申し出が再発する又は解消しない等の場合には、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このように今後募集品質問題等に関連して当社グループが遵守すべき法令等の義務に反する行為が発生・発覚する場合、又は業務改善計画の進捗及び改善状況について監督当局がそれらを不十分であると判断した等の場合、当該違反行為の規模や程度又は当社グループの取組状況によっては、監督当局から再度業務停止命令等の行政処分を受けるなど、当社グループの経営や事業の存続に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、さらに追加での各種調査やお客さまの不利益の解消に向けた保険契約に関する手続きが必要となる場合には、追加的な費用を要する可能性や新契約の獲得に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、募集品質問題に関連して、保険契約者等から訴訟を提起された場合にも、当社グループの社会的信用、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

かんぽ生命保険は、上記の募集品質問題等を受け、2019年7月以降、郵便局及びかんぽ生命保険支店からの積極的なかんぽ生命保険商品のご提案を控えていたことに加えて、2019年12月27日に金融庁から業務停止命令を受けたことに伴い、2020年1月1日から2020年3月31日までの間、かんぽ生命保険商品に係る保険募集及び保険契約の締結を停止しておりましたが、2020年10月5日からお客さまにご迷惑をおかけしたことをお詫びすることを第一とする信頼回復に向けた業務運営を開始し、2021年4月1日からは、お客さまのニーズの確認を行いながら、お客さまニーズに応じた金融商品の情報提供やご提案を行うことで、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタンスへ移行しております。

かんぽ生命保険の2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画においては、お客さま本位の業務運営を徹底し、お客さまからの信頼を回復することを基本方針として掲げ、勧誘方針やかんぽ営業スタンダードなどのプリンシプルに基づく活動をはじめ、適切な募集プロセスのもと、お客さまが納得・満足の上で商品・サービスをご利用いただく活動の展開、お客さまへの丁寧なアフターフォローを通じた信頼関係の再構築に取り組むなど、信頼回復に向けた取組みを継続してまいります。また、新しいかんぽ営業体制を構築し、当社グループのコアビジネスである生命保険業を安定的かつ持続的に提供するために、日本郵便のコンサルタントと窓口社員の役割を明確化し、コンサルタントについては、かんぽ生命保険が人件費等の負担を含め直接責任をもってマネジメントする体制に改めるとともに、コンサルタントは生命保険のアフターフォローと保障のご提案に専念します。

しかしながら、これらの取組みが奏功しない場合には、既存契約の維持を図れない又は新契約の獲得が想定よりも進まないなどの理由により、当社グループの業務運営、業績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。かかる業績及び財政状態への影響は、営業活動や契約管理等に関する手数料支払の減少により利益の増加が先行するというかんぽ生命保険の収益構造の特性により、短期的には顕在化しにくいものの、新契約の獲得が進まないなどの期間がより長期にわたり継続する場合には、かんぽ生命保険の業績、財政状態及びEV等の指標に影響を及ぼし、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) ユニバーサルサービスの提供に関するリスク

かんぽ生命保険は、日本郵便との間で生命保険募集・契約維持管理業務委託契約及び保険窓口業務契約を締結しており、日本郵便は、郵政民営化法上のユニバーサルサービスに係る責務を履行するため、かんぽ生命保険の保険代理業務を受託し、全国の各郵便局において、かんぽ生命保険の商品・サービスを提供しております。特に、保険窓口業務契約は、期間の定めのない契約であり、本契約に定める特段の事情がない限りかんぽ生命保険から一方的に解除することはできないこととされております。また、かんぽ生命保険の定款上、かんぽ生命保険は日本郵便との間で、保険窓口業務契約を締結する旨の規定が存在し、当該契約を終了させる場合にはかんぽ生命保険の定款変更が必要となります。従って、かんぽ生命保険が日本郵便との間の保険窓口業務契約を終了させるには、これらの手続等を充足する必要があります。

このように、かんぽ生命保険が、ユニバーサルサービスの提供義務を負う日本郵便との間で、解除することが困難な保険窓口業務契約を締結していることで、日本郵便がユニバーサルサービスを提供する上での関連保険会社としての地位を維持する契約上の義務を負うため、かんぽ生命保険の柔軟な事業展開が困難となる可能性があります。

また、2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これによって2020年3月期からかんぽ生命保険と日本郵便との間の委託手数料の一部が交付金・拠出金となりました。かんぽ生命保険の負担する拠出金と、日本郵便に直接支払う代理業務に係る委託手数料の合計額は、将来的に増加する可能性があります。

今後、このようなユニバーサルサービスの確保に関する政府の施策、法令や規制等の改正等があった場合、その内容によっては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 商品の集中に関するリスク

かんぽ生命保険の取り扱う商品は、個人向け生命保険、とりわけ養老保険・終身保険などの貯蓄性商品に集中しておりますが、国内の雇用水準及び家計水準、代替商品であるその他の商品に対する相対的魅力、保険会社の財務健全性、社会的信用に対する一般的な認識、出生率及び高齢化といった日本の人口構成に影響を与える長期的な人口動態等の要因が、新規契約数や既存契約の消滅率に影響を及ぼしているほか、長引く低金利環境等により、貯蓄性商品の貯蓄としての魅力が低下しております。

また、かんぽ生命保険の顧客基盤は中高年層及び女性の比重が高く、青壮年層の割合が相対的に低くなっております。

かんぽ生命保険は、一定の制約の下、青壮年層を含めたあらゆる世代のお客さまの保障ニーズにお応えする保険サービスの開発や、DX推進とともにお客さま体験価値(CX)を最優先とするサービス提供体制の構築を目指しておりますが、これらが想定通りに進捗しない場合には、中長期的な商品・販売戦略に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 日本の人口動態に関するリスク

1970年代半ば以降、日本の出生率は総じて徐々に低下する傾向にあり、現在は世界で最低の水準にあります。これらの結果、15歳から64歳までの人口は減少傾向が続いており、この傾向が、日本国内における生命保険の総保有契約高の減少の主要な要因であると考えております。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、15歳から64歳までの人口は、今後も減少し続けるであろうと予測されております。こうした見通しの下、かんぽ生命保険は、人口減少や公的医療費の増加等の社会的課題を踏まえ、健康増進サービスやデジタルマーケティングの推進、青壮年層等を含むお客さまニーズにマッチした保障性商品等の開発等の検討を進めてまいりますが、お客さまニーズにマッチしたサービスの提供や商品開発ができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 事業戦略・経営計画が奏功しないリスク

かんぽ生命保険は、募集品質問題等の反省を踏まえ、お客さまから真に信頼される企業へと再生し、持続的な成長を目指すため、「信頼回復に向けた取組みの継続」、「事業基盤の強化」、「お客さま体験価値の向上」、「ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)」、「企業風土改革・働き方改革」、「ガバナンスの強化・資本政策」に取り組むことを基本方針とした中期経営計画をはじめとする事業戦略・経営計画を策定しておりますが、これらに含まれる施策の実施については、各種のリスクが内在しております。また、将来において、かんぽ生命保険による上記施策の実施を阻害するリスクが高まる又は新たなリスクが生じる可能性もあります。      

さらに、これらの事業戦略・経営計画は、市場金利、外国為替、株価、事業環境、法制度、一般的経済状況、新しい営業体制のもとでの日本郵便及びかんぽ生命保険の従業員の活動状況、中期経営計画期間中の当社によるかんぽ生命保険株式の早期処分に伴う新規業務に関する上乗せ規制の緩和などの多くの前提を置き、それらに基づいて作成されておりますが、かかる前提通りとならない場合には、当該計画における目標を達成できない可能性があります。

また、かんぽ生命保険は、法令上可能な限りにおいて、新たな収益機会を得るため新規業務への参入を行うことがありますが、当社グループの信頼が回復途上にある状況では、新規業務への参入が困難となる可能性があります。加えて、2021年5月に公表したかんぽ生命保険による自己株式取得等により、当社のかんぽ生命保険株式の議決権比率が50%を下回ったことから、新商品の販売開始に当たって郵政民営化法に基づく認可を取得することは不要となり、事前届出で足りることとなったため、新商品の投入スピードの向上が今後は見込まれるものの、かんぽ生命保険が事前届出を適時適切に行うことができない、金融庁による保険業法上の認可が得られないこと等により、新商品を予定通りに販売できない可能性や、新商品を販売した場合であっても、商品性が市場ニーズにマッチしない、営業体制が確保できない、予想を超える外部要因等により収益が確保できない等、当該商品が当初想定した成果をもたらさない可能性があります。このような結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらには、中期経営計画期間において、DX推進等をはじめ、かんぽ生命保険全体で約2,500億円規模の投資を行うこととしております。これらの投資は減価償却を通じて今後数年間にわたり費用化されるとともに、その管理・維持には相当程度のコストが生じる見込みでありますが、投資額やコストに見合った成果が得られない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 資産運用に関するリスク

① 国内金利に関する市場リスク

かんぽ生命保険の資産構成においては、円金利資産の割合が高く、かんぽ生命保険の契約者に対する債務のデュレーションが運用資産より長期であることから、資産と負債のデュレーションのミスマッチによる国内金利の変動リスクを有しております。

2016年2月の日本銀行によるマイナス金利政策導入以降、低金利環境が継続しておりますが、かんぽ生命保険が既に保有している保険契約の予定利率は変わらないことから、当初想定していた運用収益が確保できない、あるいは逆ざや(資産運用ポートフォリオの平均運用利回りが既契約の責任準備金の積立てに用いた予定利率を下回る現象)となる可能性があります。

一方、国内金利が現在の水準より上昇した場合には、資産運用利回りが上昇することにより、利息収入などの収益が向上するものの、債券価格の下落等により、評価損・減損損失や売却損等が発生する可能性があります。また、保険契約者がより高い収益を得られる別の金融商品へ資金を移動させることにより、保険契約の解約が増加する可能性があります。

 

② ①以外の市場リスク

かんぽ生命保険は外貨建資産を保有しており、その一部については、為替リスクをヘッジするため為替予約をしております。かんぽ生命保険の保有する外貨建資産に係る為替リスクがヘッジされていない部分について、為替相場の変動が発生した場合や、為替リスクをヘッジしていたとしても、国内外の金利差拡大によりヘッジコストが高まり、これまでの条件でロールによる為替予約が出来なくなった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、外国金利の変動により、かんぽ生命保険の保有する外国証券の価値が下落した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、かんぽ生命保険において、国内外の経済状況又は市場環境の悪化や低迷等によって、保有している株式の価格が下落した場合には、保有株式に評価損・減損損失や売却損等が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、オルタナティブ運用などの資産運用の多様化が、期待した結果を生まない可能性があります。

 

③ 信用リスク

かんぽ生命保険の取引先・投資先・かんぽ生命保険が保有する有価証券の発行者において、国内外の景気動向や特定の業種を取り巻く経営環境の変化、不祥事の発生、国家間紛争等その他不測の事態により、財政状態が悪化した場合には、信用リスク及び与信関係費用が増加し、又はかんぽ生命保険が保有する有価証券の価値が下落すること等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、外国公社債運用などの資産運用の多様化が、期待した結果を生まない可能性があります。

上記①~③のリスクに備えて、かんぽ生命保険では、保険契約の引受けによって生じる負債に見合った運用資産を適切に管理し、損益の安定を図る目的で、資産と負債のバランスを考慮してリスクコントロールを行う、ALM及び財務健全性の維持を軸にしたERMの高度化に向けた取組みを継続しております。

また、定期的にストレステストを実施し、ストレス事象発生時の対応力を検証するとともに、特に運用資産の多様化に当たっては、審査やモニタリングの体制を強化しています。しかしながら、そうした対応が奏功しないあるいはかんぽ生命保険のALMによって対処可能な程度を超えて市場環境が大きく変動した場合には、かんぽ生命保険の業績及び財政状態に影響を及ぼし、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 保険料設定に関するリスク

かんぽ生命保険は、保険の種類及び内容、契約時の被保険者の年齢、性別、保険金額等を考慮して、次に掲げる計算基礎率(予定死亡率、予定利率、予定事業費率)等に基づいて保険料を設定しております。

保険契約においては、実際の死亡率が事前に設定した予定死亡率を超過した場合、実際の運用利回りが事前に設定した予定利率を下回った場合、実際の経費が事前に設定した予定事業費を超過した場合には、保険期間中の保険料等の受取総額を、保険金・経費等の支払総額が上回ることにより損失が発生し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) オペレーショナルリスク

かんぽ生命保険が業務を遂行していく過程には、オペレーショナルリスクが存在し、内部及び外部の不正行為、労務管理及び職場環境面での問題発生、顧客本位の業務運営への対応が不十分であることによる信用失墜、自然災害による被災やシステム障害等に伴う事業中断及び不適切な事務処理、外部への情報漏えいの発生等が生じる可能性があります。

かんぽ生命保険では日本郵便等と連携し、各種取組みを通じて事故や不正の防止に努めておりますが、これらのオペレーショナルリスクを適切に管理できず、リスクが顕在化した場合には、当社グループの業務運営、社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、日本郵便及びかんぽ生命保険は、かんぽ生命保険の業務を行う日本郵便の従業員に対し、法令等の遵守についての指導・教育を行っておりますが、これらの指導・教育が十分行われない、又はその効果が発揮されないことにより、同社従業員による不適正な募集活動などの法令等の違反が発生した等の場合、特にかんぽ生命保険が、日本郵便の従業員による不適正な活動の実態を適時かつ適切に把握することができない場合には、同様の影響が及ぶ可能性があります。

 

(9) 保険金の支払いに関するリスク

かんぽ生命保険は、正確・迅速な保険金等の支払いが生命保険会社の根幹業務であるとの認識の下、支払管理態勢の強化、お客さまサポートの充実に取り組んでおりますが、何らかの理由により、監督当局又はかんぽ生命保険が支払管理態勢の強化が不十分であると判断した場合には、各種改善策を講じる可能性があり、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 格付の低下に関するリスク

かんぽ生命保険は、格付会社より格付を取得しており、財務の健全性に対して一定の評価を得ているものと認識しております。しかしながら、募集品質問題の発生を受け、中期経営計画においては、お客さま本位の営業活動を第一に考えて信頼回復に努めてまいりますが、業務運営の根幹である新契約の獲得、保有契約の維持並びに事業費の抑制などが計画通りに進捗せず、かんぽ生命保険の将来的な財務内容の見通しが悪化することにより、各社の信用格付が引き下げられた場合には、かんぽ生命保険の金融・資本市場における負債性資金の調達がかんぽ生命保険に有利な内容で行えない可能性があるとともに、かんぽ生命保険の業務運営に対する不安を想起させ、更なる新契約の減少又は既存契約の解約の増加等につながる可能性があります。

 

 

(11) 市場流動性・資金繰りに関するリスク

① 市場流動性リスク

金融市場の混乱等により、市場において正常に金融商品の取引・資金決済ができなくなった場合や、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることになった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外の金融市場及び経済状況の悪化等により、市場の流動性が減退した場合には、かんぽ生命保険の保有する資産の売却可能性や価値が減少する可能性があります。

 

② 資金繰りリスク

かんぽ生命保険の財務内容の悪化等による新契約の減少による保険料収入の減少、大量解約に伴う解約返戻金支出の増加、巨大災害に伴う保険金の大量支払による資金流出等により資金繰りが悪化し、保険金等の支払いが滞った場合や資金の確保に通常よりも著しく低い価格での資産売却を余儀なくされることにより損失を被った場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 責任準備金の積立に関するリスク

かんぽ生命保険は、日本の生命保険会社として、保険業法及び関連業規制に基づき、保険料収入の大部分を、責任準備金として将来の保険金等の支払いに備えて積み立てております。責任準備金は、かんぽ生命保険の負債の最も大きな部分を占めているものであり、各保険契約の保障対象となる事象の起こる頻度や時期、保険金等支払額、資産運用額等につき一定の前提を置き、これらに基づく見積りによって計算されるものであります。これらの前提と実際の結果が乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、責任準備金の積立水準に関するガイドラインや標準利率・標準生命表は、規制当局である金融庁等によって定められているものですが、これらに変更があった場合には、保険料見直しや責任準備金の積増しが必要となる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 契約者配当準備金に関するリスク

かんぽ生命保険が確保すべき契約者配当準備金の繰入額は費用として扱われ、これにより各事業年度における純利益が減少します。かんぽ生命保険は契約者配当準備金の繰入額の決定について裁量を有しており、その水準については、かんぽ生命保険商品の競争力、業績、ソルベンシー・マージン比率等の様々な要素を考慮して判断しておりますが、その水準によっては、かんぽ生命保険の株主への配当原資の額、事業、業績及び財政状態又はかんぽ生命保険の株式価値に影響を及ぼす可能性があります。

なお、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約については、「旧簡易生命保険契約に基づく保険責任に係る再保険契約」において、かんぽ生命保険が引き受けた保険契約と区分してその収益及び費用を経理するものとし、簡易生命保険契約の再保険損益の8割を契約者配当準備金に繰り入れることとしております。また、再保険配当の計算方法の変更の必要性について、毎事業年度、郵政管理・支援機構と当社間で協議することとされておりますが、本契約締結以降、当該計算方法が変更されたことはなく、当連結会計年度末時点において変更の予定もありません。

 

(14) 生命保険契約者保護機構への負担金及び国内の他の生命保険会社の破綻に係るリスク

かんぽ生命保険は、生命保険契約者保護機構(以下「保護機構」といいます。)への負担金支払義務を負っております。保護機構は、破綻した生命保険会社の保険契約者を保護することを目的としており、破綻した生命保険会社から他の生命保険会社へ保険契約を移転する際に、資金援助を実施しております。保護機構への負担金額は保険料収入及び責任準備金の額などに応じて決められるため、かんぽ生命保険の保険料収入及び責任準備金の額が他の生命保険会社に比して増加した場合、負担金が増加する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、日本の他の生命保険会社の破綻は、日本の生命保険業界全体の評価にも悪影響を与え、保険契約者の生命保険業界全体に対する信用を損ない、これにより当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

Ⅵ.その他事業に関するリスク

 

(1) 宿泊事業・病院事業に関するリスク

当社の営む宿泊事業及び病院事業は、自然災害、事故、火災、感染症、食中毒、医療過誤等から生じる潜在的な損失の発生、損害賠償責任、行政処分等のリスクを内包しています。

また、高齢化等に伴う近時の医療費適正化の流れは、病院事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。

これらの事業では、近年継続して営業損失を計上していることから、個々の施設(又は病院)の状況を踏まえ、増収対策や経費削減による経営改善を進めていることに加え、宿泊事業においては2019年度に施設配置の見直しも行ったところです。しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、病院における患者数の減少やかんぽの宿の全施設の日帰り営業等を一時休止、一部の施設を一時全面休館したことによる施設利用のキャンセル等の多発により、さらに収益減少となり赤字額の拡大が想定されます。かかる状況では、経営改善策が功を奏する保証はなく、当初想定した成果をもたらさず、又は損失が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 投資事業に関するリスク

当社グループでは、日本郵政キャピタル株式会社及びJPインベストメント株式会社が投資事業を営んでおり、国内外への投資や新たな事業領域への出資等を行っていますが、適正な収益や機会をもたらす保証はありません。

投資事業において投資時点で投資先の価値や将来の成長性を正確に見極めることは容易ではなく、また、当社グループが投資時点で想定したとおりに投資先が事業を展開できる保証はありません。投資先の事業環境の変化その他様々な理由により、投資先の業績又は財政状態が悪化した場合には、当社グループが投資した資金を回収できず、また、投資活動により取得・発生した株式などの金融資産やのれんに評価損・減損損失が発生するなど、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループの投資先が内部統制上の問題を抱えていたり、法令に違反する行為を行っている可能性があります。当社グループが投資後にそうした問題や行為を早期に是正できない場合、当社グループの信用や企業イメージが低下し、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 不動産事業(金融窓口事業に係るものを除く。)に関するリスク

当社グループは、事務所・商業施設・住宅等の賃貸・管理事業、分譲住宅事業等の不動産事業を営む日本郵政不動産株式会社を2018年4月2日に設立しております。当該事業については、国内外の景気又は特定地域の経済状況や人口、市場における需給等の変化により、不動産価格の変動や賃貸料の下落、空室率の上昇、建築資材の価格や工事労務費等の高騰、たな卸資産の増加、さらに、法的規制の変更、大規模災害や感染症の発生等の影響を受ける可能性があります。特に今般の新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言等を受けた深刻な経済活動の停滞により、テナント賃料の減免及び支払猶予が一部発生しているほか、空室率の上昇、開発中の案件における竣工時期の遅延等が想定され、また、収束後も、ライフスタイルや働き方の変容により、オフィス需要の変化等の影響を受ける可能性があります。これらの事象により、当社グループの不動産事業の収益や費用に影響を及ぼしたり、保有不動産等に評価損・減損損失や売却損が発生する可能性があります。また、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

Ⅶ.金融2社株式売却等に関するリスク

 

当連結会計年度末現在において、日本国政府は当社の発行済株式の56.9%(自己株式を除く議決権割合は63.3%)を、当社はゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の発行済株式のそれぞれ74.2%(自己株式を除く議決権割合は89.0%)及び64.5%(自己株式を除く議決権割合は64.5%)を保有しています。

郵政民営化法に基づき、日本国政府が保有する当社の株式は、できる限り早期に処分するものとされており(ただし、日本国政府による当社株式の保有割合は常に3分の1を超えるものとされております。)、また、当社が保有する金融2社の株式も、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、その全部をできる限り早期に処分するものとされております。当社では、上記趣旨に沿って、中期経営計画期間中のできる限り早期に金融2社株式の保有割合を50%以下とすることを目指します。

なお、当社は、2021年5月のかんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び同年6月の株式処分信託の設定により、当社が保有するかんぽ生命保険普通株式163,306,300株を処分いたしました。

この結果、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となりました(本株式処分前64.5%)が、実質支配力基準により、かんぽ生命保険が当社の連結子会社であることに変更はありません。

また、日本国政府は、2021年6月の当社による自己株式取得に応じた売付けにより276,090,500株を処分しました。この結果、日本国政府は当社の発行済株式の50.7%(自己株式を除く議決権割合は60.6%。なお、当社は、2021年6月18日に、同月30日付で732,129,771株の自己株式の消却を行うことを決議しており、当該自己株式の消却を行った後における日本国政府の自己株式を除く議決権割合は60.6%)を保有しており、引き続き当社の支配株主であることに変更はありません。

以下では、かかる日本国政府による当社株式の売却と、当社による金融2社株式の売却に起因する当社グループの事業等のリスクのうち主要なものを記載しております。

 

(1) 持分の減少による連結業績への影響、事業の規模・範囲の縮小に関するリスク

2021年3月期におけるゆうちょ銀行の営む銀行業と、かんぽ生命保険の営む生命保険業のセグメント利益・セグメント資産の各合計額は、当社グループのセグメント利益・セグメント資産の各合計額(「その他」(宿泊事業、病院事業、関係会社受取配当金等)に区分されるものを除きます。)のそれぞれ約82%及び約98%を占めております。郵政民営化法に基づき、当社が金融2社の株式を処分した場合、当社の連結財務諸表の親会社株主に帰属する当期純利益に反映される金融2社の純利益や、非支配株主持分を除く純資産の額に反映される金融2社の純資産の額が、減少することになります。金融2社の議決権の過半数を保有している間は連結対象となりますが、金融2社の議決権の過半数を保有しないこととなった場合には、連結対象となるかについて他の要件とも併せて検討することとなります(なお、上記のとおり、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となりましたが、実質支配力基準により、かんぽ生命保険が引き続き当社の連結子会社であることに変更はありません。)。なお、金融2社が連結対象から外れた場合、連結貸借対照表上、金融2社の資産、負債を合算しなくなるため、当社グループの資産、負債の規模が減少することになります。さらに、金融2社が持分法適用関連会社からも外れた場合は、金融2社株式は「その他有価証券」となり毎期時価で評価することになり、原則として評価差額は「その他有価証券評価差額金」として純資産に計上することになります。

なお、当社の連結財務諸表に対する金融2社の収益・利益が与える影響については、以下のとおりと想定しております。

① 金融2社が当社連結対象となる場合

金融2社の収益が当社連結収益に寄与します。また、金融2社の利益が持分比率に応じて当社連結利益に寄与します。

② 金融2社が持分法適用となる場合

金融2社の利益が持分比率に応じて当社連結利益に寄与します。

③ 金融2社が①及び②以外の場合

金融2社からの配当収入があれば、当該収入が当社連結収益・利益に寄与します。

また、上記のとおり、当社が保有する金融2社の株式は、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、その全部をできる限り早期に処分するものとされており、当社が金融2社の株式を処分しその持分が低下するにつれて、当社グループの事業は、金融2社以外の事業のウェイトが高まることになり、当該各事業における収益の悪化が、当社グループの事業、業績及び財政状態に、より影響を及ぼすことになります。また、金融2社に対する持分が低下又は消滅することにより、当社グループの財務の健全性又はキャッシュ・フローが悪化し、当社グループの資金調達能力が制限される可能性があります。

当社は、金融2社株式の売却手取金を有効に活用し企業価値の向上に努める所存ですが、金融2社からの配当収入に代わる利益を得られない場合には、当社の配当原資が確保できないおそれがあり、また上記の金融2社の当社連結利益への影響の低下を通じて当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 議決権割合の減少による影響力の低下、少数株主との利益相反、子会社からの配当収入の減少に関するリスク

当社は、2015年11月の金融2社株式の売出し、2019年4月のかんぽ生命保険株式の売出し及び2021年5月に公表したかんぽ生命保険株式の一部処分の実施後においても、金融2社の議決権を保有する親会社であり、当社の利益とその他の少数株主の利益は相反する可能性があります。会社法上、取締役及び執行役は、会社及び少数株主を含む総株主の利益のために業務を行う義務を負っているため、金融2社における意思決定は、常に当社の意向に沿った、又は、当社グループの利益に資するものとなるとは限りません。また、当社がゆうちょ銀行の株式の2分の1以上又は3分の1超を処分した場合には、株主総会における普通決議又は特別決議を要する事項につき、当社がゆうちょ銀行の議案を単独で可決することができなくなる可能性があります。また、2021年5月に公表したかんぽ生命保険株式の一部処分により、当社は、株主総会における普通決議を要する事項につき、かんぽ生命保険の議案を単独で可決することはできません。当社の金融2社の株式処分により、金融2社に対する議決権割合が減少した場合には、当社が金融2社の意思決定に及ぼしうる影響はその処分割合に応じて限定的となり、金融2社の意思決定は、当社グループの意向に沿った、又は、当社グループの利益に資するものとはならない可能性があります。さらに、当社は、安定的な配当を目指してまいりますが、当社の配当の原資は金融2社からの配当収入に依存しており、当社の金融2社の株式処分により金融2社の意思決定に及ぼす影響力が低下した場合、金融2社が中期経営計画の目標を達成できない場合等においては、当社は金融2社から当社の期待する配当収入を得られる保証はありません。

 

(3) 日本国政府との利益相反・関係希薄化に関するリスク

当連結会計年度の末日現在において、日本国政府は当社株式の議決権(自己株式を除く。)の63.3%を保有しており、また、2021年6月の当社による自己株式取得に応じた日本国政府による当社株式の売付け後の日本国政府の当社に対する議決権割合(自己株式を除く。)は60.6%となっております。従って、日本国政府は当社の株主総会において、普通決議事項について、単独で可決することが可能です。

当社グループの事業その他に関する日本国政府の利益は、当社のその他の株主の利益と相反する可能性があり、日本国政府が、株主としての経済的利益よりも公共政策上の判断等を優先した場合等には、当社のその他の株主の利益に反する支配権又は影響力の行使がなされる可能性があります。なお、郵政民営化法により、日本国政府は当社株式をできる限り早期に処分することが規定されておりますが、その具体的な時期及び処分割合を予想することは困難であり、また、同法により当社株式の発行済株式総数の3分の1超に相当する株式は日本国政府が引き続き保有することが規定されていることから、当社株式の処分完了後も日本国政府は引き続き当社に重要な影響を及ぼしうることになります。

他方で、金融2社は、その唯一の株主を当社、当社の唯一の株主を日本国政府とする上場前の状態にあっても、日本国政府その他の公的機関から何らの保証その他の信用補完を受けていたわけではありませんが、当社が金融2社の親会社ではなくなることに伴い、金融2社と日本国政府との関係が弱まった場合には、顧客等が、金融2社の経済的信用力が低下した、又は、ゆうちょ銀行の貯金及びかんぽ生命保険の商品のリスクが上昇したという誤認や錯誤を有することとなる可能性があります。実際の金融2社の経済的信用力等とは無関係であるにも関わらず、かかる誤認や錯誤が社会に広く伝播した場合等においては、顧客等によるゆうちょ銀行への新規貯金の差控えや既存貯金の引出し、かんぽ生命保険との新規契約の差控えや既存契約の解約、その他金融2社との取引量の低下を招き、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 当社による金融2社株式の売却に関するリスク

郵政民営化法に基づき、当社は金融2社株式の全部を処分することが規定されております。金融2社株式の処分時期について、具体的な期限の定めはないものの、その処分に際しては、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分することとされています。金融2社株式の処分時期については、中期経営計画において、2025年までの期間のできる限り早期に金融2社の議決権保有割合が50%以下となるまで売却していく方針としております。具体的な時期については上記の各要素を勘案して当社取締役会において決定しますが、その時期によっては当社の株主全体の利益とは一致しない可能性があります。従って、当社は、金融2社株式の処分を、適切な時期に適切な条件で実行することができない可能性があります。郵政民営化法上の上乗せ規制については、当社が金融2社の株式を2分の1以上処分した場合には、金融2社に対する新規業務に係る規制は認可制から届出制へと緩和されます。さらに、当社が金融2社の株式を全部処分した場合又は2分の1以上を処分した旨を総務大臣が内閣総理大臣に通知した日以後に、内閣総理大臣及び総務大臣が他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認め、その旨の決定をした場合には、金融2社に対する新規業務に係る規制、子会社保有、合併、会社分割、事業の譲渡・譲受け等を行う場合の規制、銀行業における預入限度額規制、生命保険業における加入限度額規制等の適用は廃止されることになります。しかしながら、今後の当社による金融2社株式の売却の時期及び規模は未確定であり、また、金融2社株式の処分に係る郵政民営化法の定めの変更、株式市場の動向等により、金融2社の株式の処分が予定通りに進まない場合には、かかる上乗せ規制の撤廃が行われず、当社の期待する金融2社の経営の自由度の拡大等が実現しない可能性があります。また、金融2社株式の売却収入が売却に係る当社保有金融2社株式の帳簿価額を下回った場合には、売却される株式の帳簿価額と売却収入の差額について、当社の損益計算書に売却損失として計上する必要があり、その結果、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は、2021年5月のかんぽ生命保険が行う自己株式取得に応じた売付け及び同年6月の株式処分信託の設定により、当社のかんぽ生命保険に対する議決権保有割合は49.9%となり、かんぽ生命保険の新規業務に係る規制は、認可制から届出制に緩和されました。

一方、連結財務諸表においては、金融2社株式の売却収入が、売却による当社の持分の減少額を下回った場合には、売却による当社の持分の減少額と売却収入の差額を、連結貸借対照表の資本剰余金から減少させる必要があり、その結果、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。また、金融2社が持分法適用関連会社となり、金融2社株式の売却収入が、売却による当社の持分の減少額を下回った場合には、売却による当社の持分の減少額と売却収入の差額について、連結損益計算書に売却損失として計上する必要があります。さらに、金融2社が子会社及び持分法適用関連会社ではなくなり、金融2社株式の売却収入が、売却に係る当社が保有する金融2社株式の帳簿価額を下回った場合には、売却される株式の帳簿価額と売却収入の差額について、連結損益計算書に売却損失として計上する必要があります。以上の結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、2015年11月の金融2社株式の売出しにおいては、ゆうちょ銀行株式の売却により、当社の損益計算書における関係会社株式売却損126,236百万円及び当社の連結貸借対照表における資本剰余金351,922百万円の減少が発生し、かんぽ生命保険株式の売却により、当社の損益計算書における関係会社株式売却益32,796百万円及び当社の連結貸借対照表における資本剰余金17,754百万円の減少が発生しております。

また、2019年4月のかんぽ生命保険株式の売却により、当社の損益計算書において関係会社株式売却益が129,365百万円発生しております。さらに、当社の連結貸借対照表において資本剰余金50,199百万円の減少が発生しております。

なお、2021年3月31日現在、当社が保有するゆうちょ銀行株式の帳簿価額は3,550,602百万円、かんぽ生命保険株式の帳簿価額は604,580百万円です。

 

(5) 当社の商標等の金融2社による継続使用に関するリスク

当社及び事業子会社等が締結した、「日本郵政グループ運営に関する契約」等(以下「グループ運営契約」といいます。)に基づき、金融2社は、当社による金融2社株式の処分後も、引き続き「日本郵政」ブランド及び関連商標の使用を継続する予定です。

そのため、金融2社株式の売却後も、金融2社における業績の低迷、従業員の不祥事その他の理由により金融2社の社会的信用が低下した場合には、当社グループの社会的信用及び「日本郵政」のブランド・イメージに悪影響を及ぼす可能性があり、また、当社グループのコンプライアンス等の内部統制の十分性又は有効性に疑義があるものと受け止められる可能性があり、かかる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、グループ運営契約に基づき、金融2社から、当社グループに属することによる利益の対価としてブランド価値使用料を受け取っており、当社による金融2社株式の保有割合にかかわらず、金融2社がそれぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行又は同条第3項に定める関連保険会社である限り、収受することを想定しております。しかしながら、金融2社が関連銀行若しくは関連保険会社に該当しないこととなりグループ運営契約そのものを適用しないこととなった場合、又は重大な経済情勢の変化等に起因してブランド価値使用料の算定方法が変更された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

Ⅷ.金融2社との関係について

 

(1) 当社と金融2社との関係について

① 当社グループにおける金融2社の位置づけ

ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の金融2社は、現在、日本郵便がユニバーサルサービス提供に係る責務を果たすために営む銀行代理業又は保険募集等に係る業務委託契約を日本郵便との間でそれぞれ締結しており、それぞれ当社グループにおいて、日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行として銀行業セグメント、同条第3項に定める関連保険会社として生命保険業セグメントを担っております。

 

② 金融2社とのグループ協定等

グループ会社として相互に連携・協力し、シナジー効果を発揮するため、当社及び金融2社は、「日本郵政グループ協定」及び「日本郵政グループ運営に関する契約」(いずれも2015年4月1日発効。以下「グループ協定等」といいます。)を締結しており、グループ共通の理念、方針、その他グループ運営に係る基本的事項について合意しております(グループ協定等の詳細については下記「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」をご参照ください。)。

なお、グループ協定等の存続期間は、金融2社が日本郵便と締結している上記の業務委託契約が解除されるまでとしており、これらの契約の解除は、当社による金融2社の株式売却と連動しておりません。

グループ協定等に基づき、事業子会社等に関するグループ運営は、当社が中心となって行っておりますが、金融2社の独立性を確保する観点から、金融2社については事前承認ルールを採用せず、グループ運営を適切・円滑に行うために必要な事項や法令等に基づき管理等が必要となる事項について、事前協議又は報告を求めています。

 

③ 金融2社との人的関係

当社の役員1名(増田寬也)が、グループ経営体制の強化、及び金融2社のトップマネジメント強化のため、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の役員(非常勤)を兼任しております。ゆうちょ銀行の役員1名(池田憲人)及びかんぽ生命保険の役員1名(千田哲也)がグループ経営体制の強化のため、ゆうちょ銀行の役員1名(田中進)及びかんぽ生命保険の役員1名(市倉昇)が、国が資本金の2分の1以上を出資している法人である当社として国会において各子会社に関する専門的な質問への答弁対応の必要があると考えているため、当社の役員(非常勤)を兼任しております(当社の役員の状況については下記「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (2) 役員の状況」をご参照ください。)。

 

 

④ 金融2社との取引等

当社と金融2社との2021年3月期における主な取引等は以下のとおりであります。

取引等内容

取引等先

金額

(百万円)

取引等条件の決定方法等

ブランド価値使用料

ゆうちょ銀行

4,210

第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (1) 日本郵政グループ協定等」をご覧ください。

システム利用料(※)

ゆうちょ銀行

18,715

システムの提供にかかる必要経費に一定の利益率を乗じた金額を、日本郵便及び金融2社が、利用状況等に応じて負担する。

配当金

ゆうちょ銀行

83,425

将来に向けた安定的な企業成長を実現するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元を株主である当社に対して行う。

なお、ゆうちょ銀行は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うこととしている。

ブランド価値使用料

かんぽ生命保険

2,739

第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 (1) 日本郵政グループ協定等」をご覧ください。

システム利用料(※)

かんぽ生命保険

2,121

システムの提供にかかる必要経費に一定の利益率を乗じた金額を、日本郵便及び金融2社が、利用状況等に応じて負担する。

配当金

かんぽ生命保険

13,783

将来に向けた安定的な企業成長を実現するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元を株主である当社に対して行う。

なお、かんぽ生命保険は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うこととしている。

 

(※) PNETサービス、情報系共用システムサービス及び人事関係システムサービスの利用料(日本郵政インフォメーションテクノロジー株式会社との取引を含む。)

 

 

(2) 日本郵便と金融2社との関係について

当社の子会社である日本郵便は、ゆうちょ銀行から銀行窓口業務等の委託、また、かんぽ生命保険から保険窓口業務等の委託を受けており、これらの業務は金融窓口事業セグメントの収益の大部分を占めることから、両社の経営方針に変更が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、2021年3月31日現在の日本郵便に対する金融2社の関係につきましては、次のとおりであります。

 

① 人的関係

日本郵便では、銀行窓口業務及び保険窓口業務における営業施策の企画・立案、推進管理を金融2社と協力して行うとともに、両社から販売支援・業務指導を受けるなど、一体的な営業体制を構築することを目的として、人事交流を行っております。

 

② 取引関係

日本郵便と金融2社との2021年3月期における主な取引は、以下のとおりであります。

取引内容

取引先

金額

(百万円)

取引条件等の決定方法等

銀行代理業の業務に係る受託手数料の受取(※1)

ゆうちょ銀行

366,358

銀行代理業等の委託業務に関連して発生する原価を基準に決定

保険代理業務の業務に係る受託手数料の受取(※1)

かんぽ生命保険

207,078

募集手数料については、代理店方式を採用している他の生命保険会社の例に準じて設定。維持・集金手数料については、業務量に応じた計算により額を設定

郵便料金等の受取

ゆうちょ銀行

12,558

一般の利用者の料金と同一の条件で取引

かんぽ生命保険

4,161

土地・建物等の賃貸
(※2)

ゆうちょ銀行

7,170

不動産鑑定評価の考え方に基づき決定

かんぽ生命保険

2,702

シェアードサービス利用料の受取
(※3)

ゆうちょ銀行

2,866

必要経費に加え、利用状況、他企業における平均的な利益率を勘案し両社交渉により手数料率等を決定

かんぽ生命保険

1,271

 

(※1) 受託手数料の詳細は下記「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等 参考1 ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの委託手数料、参考2 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要及び金融2社との業務委託契約への影響」をご参照ください。

(※2) 営業店等の施設の賃貸、社員用社宅関連業務の提供等

(※3) グループ内物流業務の提供等

(※4) 上記のほか、「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(平成17年法律第101号)」に基づき、当事業年度から、郵便局ネットワーク維持に要する費用のうち、ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用(日本郵便が負担すべき額を除く。)は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われることとなっております。当事業年度に日本郵便が郵政管理・支援機構から交付を受けた交付金の額は293,458百万円であります。

 

当社は、上記のような当社及び日本郵便と金融2社との契約関係・人的関係・取引関係に基づき、金融2社を含む当社グループの企業価値を最大化していく方針ですが、金融2社と当社及び日本郵便とのシナジー効果を実現できない可能性があり、また、金融2社と当社及び日本郵便との利益相反を適切に管理できない可能性があります。さらに、将来の金融2社株式の追加処分などによって、かかる関係に変更が生じる又はかかる関係による当社グループの企業価値の最大化がさらに困難となる可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態の状況及び分析・検討

当連結会計年度末の資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりであります。

資産の部合計は、前連結会計年度末比11,639,681百万円増297,738,131百万円となりました。

主な要因は、銀行業等における現金預け金9,038,728百万円の増、銀行業及び生命保険業等における金銭の信託2,225,782百万円の増、有価証券2,576,439百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業における債券貸借取引支払保証金719,115百万円の減、貸出金968,670百万円の減によるものです。

負債の部合計は、前連結会計年度末比8,185,389百万円増281,667,063百万円となりました。

主な要因は、銀行業における貯金6,606,901百万円の増、銀行業等における借用金3,925,980百万円の増の一方、生命保険業における責任準備金2,895,445百万円の減、銀行業及び生命保険業における債券貸借取引受入担保金417,512百万円の減によるものです。

純資産の部合計は、前連結会計年度末比3,454,292百万円増16,071,067百万円となりました。

主な要因は、銀行業及び生命保険業等におけるその他有価証券評価差額金2,598,250百万円の増、非支配株主持分594,083百万円の増の一方、銀行業及び生命保険業等における繰延ヘッジ損益37,452百万円の減、国際物流事業における為替換算調整勘定14,734百万円の減によるものです。

各事業セグメント別の資産の状況は以下のとおりであります。

 

① 郵便・物流事業

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比5,352百万円増の2,029,293百万円となりました。

主な要因は、荷物分野の収益拡大に伴う営業キャッシュ・フローの増加等により現金預け金が56,617百万円増加した一方、減価償却等により建物等の有形固定資産が44,491百万円減少したことによるものです。

 

② 金融窓口事業

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比26,267百万円増の2,622,782百万円となりました。

主な要因は、現金預け金が9,800百万円増加したことや、不動産開発物件に係る建設仮勘定の計上等により建物等の有形固定資産が20,883百万円増加したことによるものです。

 

③ 国際物流事業

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比36,258百万円減の529,536百万円となりました。

主な要因は、トール社のエクスプレス事業の売却決定に伴う減損処理等により有形固定資産が31,238百万円減少したことによるものです。

 

④ 銀行業

当連結会計年度末のセグメント資産は、有価証券で保有する投資信託及び預け金等の増加を主因として、前連結会計年度末比12,959,721百万円増の223,870,630百万円となりました。

主な要因は、貸出金が270,009百万円減少した一方、現金預け金が9,104,235百万円増加、金銭の信託が997,837百万円増加、有価証券が2,999,675百万円増加したことによるものです。

 

⑤ 生命保険業

当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比1,491,799百万円減の70,172,982百万円となりました。

主な要因は、保有契約の減少に伴い保険契約準備金が減少したことに対応し、有価証券が596,946百万円減少、貸付金が698,661百万円減少したことによるものです。

 

 

(2) 経営成績の状況及び分析・検討

当連結会計年度、当社グループは、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題につきまして、2020年1月に策定した業務改善計画をもとに、各種施策に取り組みました。同計画のうち主要施策については、外部専門家の方々で構成された、各種取組みを公正・中立な立場から検証するJP改革実行委員会(同年4月設置)のモニタリングを受けながら、お客さまからの信頼回復に向けて改善策を実行してまいりました。同年9月には、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を策定し、同年10月からは、信頼回復に向けた業務運営を開始し、お客さまにご迷惑・ご心配をおかけしたことのお詫びと「お客さまの信頼回復に向けた約束」のご説明を行うとともに、金融商品のアフターフォローに最優先で取り組み、お客さまのご不安や疑問点の解消を図りました。

そして、信頼回復に向けた業務運営を継続する中で、お客さまの想定されるニーズの確認を行いながら、お客さまニーズに応じた金融商品の情報提供やご提案を実施することで、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタンスへ移行することとしました。

また、ゆうちょ銀行の即時振替サービスの不正利用事案等に関し、2021年1月にJP改革実行委員会から受領した「株式会社ゆうちょ銀行のガバナンス等に係る検証報告書」において、ガバナンス強化に向けた改善策に係る提言を受けており、提言事項への対応に取り組んでおります。

当社におきましては、持株会社として、当社グループの企業価値向上を目指し、グループ各社の収益拡大や経営効率化等を着実に推進するとともに、郵便、貯金及び保険のユニバーサルサービスの確保、郵便局ネットワークの維持・活用による安定的なサービスの提供等という目的が達成できるよう、グループ運営に取り組みました。

また、グループ各社のコンプライアンス・プログラムの策定・推進の状況、各社の内部監査態勢・監査状況の把握に努めたほか、集約により効率性が高まる間接業務をグループ各社から受託するとともに、病院及び宿泊事業の経営改善に取り組みました。

さらに、日本郵便と楽天株式会社(現・楽天グループ株式会社)は、物流領域における戦略的提携に向けて2020年12月に基本合意書を締結しました。2021年3月には、お客さまの利便性の向上、地域社会への貢献、そして事業の拡大のため、物流・モバイル・DX(デジタルトランスフォーメーション)※など様々な領域での連携を強化することを目的に、当社、日本郵便、楽天株式会社による業務提携合意書を締結しました。また、当社は、両社グループ間の関係を強化するため、楽天株式会社への出資を行いました。

加えて、グループ各社が提供するサービスの公益性・公共性の確保や、持続可能な社会の実現・未来の創造に貢献するため、国連で採択された国際目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」を踏まえたESG(環境、社会、ガバナンス)に関する取組みやCSR活動・災害復興支援に、グループ一丸となって取り組んでまいりました。また、新型コロナウイルス感染症対策については、お客さまと社員の安全を確保するため、郵便物等の非対面配達、窓口へのビニールカーテンの取り付けのほか、一部の郵便局・ゆうちょ銀行直営店の営業時間の短縮等を実施しました。

 

 ※ DXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することです。

 

これらの取組みの結果、当連結会計年度における連結経常収益は11,720,403百万円(前期比229,782百万円減)、連結経常利益は914,164百万円(前期比49,706百万円増)、連結経常利益に、特別損益や契約者配当準備金繰入額等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、418,238百万円(前期比65,494百万円減)となりました。

なお、国際物流事業セグメントのエクスプレス事業について、2021年4月21日にAllegro Funds Pty Ltdの傘下企業に譲渡する契約を締結いたしました。本件譲渡に伴い、当連結会計年度において、特別損失として674億円(減損損失619億円、その他の特別損失54億円)を計上しております。

また、当社が保有するゆうちょ銀行の株式について減損処理による関係会社株式評価損2,229,538百万円を計上したこと等により、当社単体では2,129,989百万円の当期純損失となっております。なお、当該関係会社株式評価損は、連結決算においては消去されるため、連結業績への影響はありません。

 

 

経営成績の詳細な状況は、各事業セグメントごとに記載しております。各事業セグメントごとの経営成績の状況は、以下のとおりであります。

 

① 郵便・物流事業

郵便・物流事業につきましては、年賀状を始めとしたスマートフォン等を使ったSNS連携サービスや手紙の楽しさを伝える活動の展開等により、郵便の利用の維持を図るとともに、eコマース市場の拡大による荷物需要の増加に対応するため、専用箱を使用して郵便ポストから差し出すことができる「ゆうパケットポスト」の取扱いを開始したほか、個人間ECサイトで取引した荷物を店頭に並ぶことなく発送できる「スマリボックス」の取扱い拡大や、キャッシュレス決済導入局の拡大など、差出・受取利便性の高いサービスを提供するとともに、お客さまの課題解決に向けた提案を行うことにより収益の拡大を図りました。

オペレーション面では、お客さまの利便性向上のほか、業務効率向上や不在再配達率の削減に向け、置き配の普及・拡大等を進めるとともに、業務量に応じた担務別人件費・要員マネジメントの高度化や集配委託費も含めた、トータルコストコントロールに取り組みました。

また、テレマティクス端末(移動体通信システムを利用したサービス)を活用し、安全推進や業務の適正化を進めました。そのほか、配達業務支援システムの導入による荷物配達業務の高度化(一部の郵便局に限る)や、音声認識AIによる再配達依頼の自動受付(全郵便局)を開始するなど、先端技術の活用に向けた取組みを進めました。

さらに、2020年12月に郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律が公布され、日本郵便として各種サービスの見直しに向けた準備を進めました。

あわせて、「コンプライアンスは経営上の最重要課題」との基本的考え方に基づき、郵便物等の放棄・隠匿を含む部内犯罪の根絶、料金不適正収納の根絶、顧客情報の保護等に取り組みました。

また、日本郵便(単体)における当事業年度の総取扱物数は、郵便物が152億4,403万通(前期比6.8%減)、ゆうメールが32億9,931万個(前期比7.5%減)、ゆうパックが10億9,079万個(前期比11.9%増)(うち、ゆうパケットが4億9,666万個(前期比16.1%増))となりました。

当連結会計年度、郵便・物流事業におきましては、巣ごもり消費増加等に伴うEC利用拡大によりゆうパックが増加し、荷物が増収となったものの、国際郵便、普通郵便等の減少による減収を補うには至らず経常収益は2,071,877百万円(前期比56,310百万円減)、経常利益は126,587百万円(前期比22,598百万円減)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における郵便・物流事業の営業収益は2,068,426百万円(前期比56,887百万円減)、営業利益は123,716百万円(前期比23,788百万円減)となりました。

 

引受郵便物等の状況

区分

前事業年度

当事業年度

物数(千通・千個)

対前期比(%)

物数(千通・千個)

対前期比(%)

総数

20,893,118

△2.2

19,634,137

△6.0

 

 

 

 

 

 

 郵便物

16,350,052

△2.6

15,244,033

△6.8

 

 内国

16,308,879

△2.6

15,221,007

△6.7

 

  普通

15,801,320

△2.7

14,713,066

△6.9

 

   第一種

7,971,018

△0.8

7,765,391

△2.6

 

   第二種

5,841,301

△3.4

5,185,488

△11.2

 

   第三種

189,844

△3.7

178,738

△5.8

 

   第四種

15,577

△3.3

16,641

6.8

 

   年賀

1,725,673

△9.7

1,556,543

△9.8

 

   選挙

57,906

96.5

10,265

△82.3

 

  特殊

507,559

2.0

507,941

0.1

 

 国際(差立)

41,173

△0.8

23,026

△44.1

 

  通常

24,887

4.6

13,363

△46.3

 

  小包

2,823

△19.8

2,459

△12.9

 

  国際スピード郵便

13,463

△5.3

7,204

△46.5

 荷物

4,543,066

△1.1

4,390,104

△3.4

 

 ゆうパック

 (含 ゆうパケット)

974,457

3.4

1,090,792

11.9

 

  (再掲)ゆうパケット

427,659

19.7

496,660

16.1

 

 ゆうメール

3,568,609

△2.2

3,299,312

△7.5

 

(注) 1.第一種郵便物、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物の概要/特徴は、以下のとおりであります。

種類

概要/特徴

第一種郵便物

お客さまがよく利用される「手紙」(封書)のことであります。一定の重量及び大きさの定形郵便物とそれ以外の定形外郵便物に分かれます。また、郵便書簡(ミニレター)、特定封筒(レターパックライト)及び小型特定封筒(スマートレター)も含んでおります。

第二種郵便物

お客さまがよく利用される「はがき」のことであります。通常はがき及び往復はがきの2種類があります。年賀郵便物の取扱期間(12/15~1/7)以外に差し出された年賀はがきを含んでおります。

第三種郵便物

新聞、雑誌など年4回以上定期的に発行する刊行物で、日本郵便の承認を受けたものを内容とするものであります。

第四種郵便物

公共の福祉の増進を目的として、郵便料金を低料又は無料としているものであります。通信教育用郵便物、点字郵便物、特定録音物等郵便物、植物種子等郵便物、学術刊行物郵便物があります。

 

2.年賀は、年賀郵便物(年賀特別郵便(取扱期間12/15~12/28)及び12/29~1/7に差し出された年賀はがきで消印を省略したもの)の物数であります。

3.選挙は、公職選挙法に基づき、公職の候補者又は候補者届出政党から選挙運動のために差し出された通常はがきの物数であります。別掲で示しております。

4.特殊は、速達、書留、特定記録、本人限定受取等の特殊取扱(オプションサービス)を行った郵便物の物数の合計であります。交付記録郵便物用特定封筒(レターパックプラス)及び電子郵便(レタックス、Webゆうびん、e内容証明)を含んでおります。

5.国際通常郵便物の前事業年度の対前期比は、2019年4月に集計方法の変更を行う前の年度の通数との比較を表しているものです。

6.ゆうパックは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。

7.ゆうパケットは、一般貨物法制の規制を受けて行っている宅配便の愛称であります。小型の荷物をお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。配送中は、追跡システムにより管理をしております。

8.ゆうメールは、一般貨物法制の規制を受けて行っている1kgまでの荷物の愛称であります。主に冊子とした印刷物やCD・DVDなどをお届けするもので、ゆうパックより安値でポスト投函も可能な商品であります。

 

② 金融窓口事業

金融窓口事業につきましては、2019年度、かんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題が判明し、郵便局等での営業を自粛していたかんぽ生命保険商品、投資信託、提携金融商品(変額年金保険・引受条件緩和型医療保険・傷害保険)について、信頼回復に向けた業務運営を行うことから始めることとし、2020年10月以降、その取組みを進めました。

具体的には、郵便局等へのポスター掲出の他、お客さまに約束チラシをお渡しし、会社としてのお詫びと「お客さまの信頼回復に向けた約束」を遵守していくことをご説明しました。あわせて、かんぽご契約内容確認活動、投資信託・変額年金保険のアフターフォローに最優先で取り組み、既契約のお客さまのご不安や疑問点の解消に取り組みました。

また、不適正募集の根絶に向け、お申込みから契約締結までの重層的なチェックの実施、適正な募集管理のための体制等の強化、事故判定と処分基準の厳格化等によるけん制、内部監査部門の強化等に取り組みました。あわせて、お客さま本位の営業活動や総合的なコンサルティングサービスに寄与する各種研修を実施してきたほか、管理者に対し、新たなマネジメントの在り方、コーチングを取り入れた管理・指導手法を習得する研修も行いました。

そのほか、郵便局のショッピングセンター内等への新規出店や既存店舗の配置の見直し等を通じ、郵便局ネットワークの最適化にも取り組んできたほか、その価値を高めるため、地方公共団体事務の包括受託や郵便局窓口における地域金融機関の手続事務の受付、駅と郵便局の一体的な運営等、地方公共団体や他企業と連携しながら、地域やお客さまニーズに応じた個性・多様性ある郵便局の展開を進めました。

あわせて、「コンプライアンスは経営上の最重要課題」との基本的考え方に基づき、前述の保険募集の問題に取り組んだほか、顧客情報の保護、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策等に取り組みました。また、部内犯罪の根絶にも取り組んでいるところですが、長崎県で発覚した現金詐取事案を始めとする、管理社員による高額犯罪が発生したことが発覚したため、引き続き適切な再発防止策を講じ、全力で取り組んでまいります。

また、不動産事業においては、JPタワー等による事務所、商業施設、住宅や保育施設等の賃貸事業等を行いました。不動産事業における主なプロジェクトの概要は以下のとおりです。

 

名称

土地面積
(千㎡)

延床面積
(千㎡)

簿価
(百万円)

 

 

持分シェア

土地等

建物他

JPタワー

約11

約212

293,076

227,783

65,293

共同事業
メジャーシェア

大宮JPビルディング

約6

約45

10,340

3,903

6,437

単独事業

JPタワー名古屋

約12

約180

42,849

10,945

31,904

共同事業
メジャーシェア

KITTE博多

約5

約64

20,848

7,385

13,463

単独事業

 

(注) 2021年3月31日時点

 

これらの取組みの結果、当連結会計年度、金融窓口事業におきましては、かんぽ生命保険の商品の積極的な提案を控えたことによる保険手数料の大幅な減収等により、経常収益は1,245,179百万円(前期比54,751百万円減)、経常利益は38,796百万円(前期比6,290百万円減)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における金融窓口事業の営業収益は1,243,466百万円(前期比55,307百万円減)、営業利益は37,727百万円(前期比6,871百万円減)となりました。

 

郵便局数

支社名

営業中の郵便局(局)

前事業年度末

当事業年度末

直営の郵便局

簡易

郵便局

直営の郵便局

簡易

郵便局

郵便局

分室

郵便局

分室

北海道

1,208

1

268

1,477

1,207

1

264

1,472

東北

1,892

1

603

2,496

1,895

1

592

2,488

関東

2,394

0

171

2,565

2,391

0

160

2,551

東京

1,473

0

5

1,478

1,474

0

6

1,480

南関東

953

0

71

1,024

953

0

68

1,021

信越

974

0

318

1,292

976

0

314

1,290

北陸

668

0

167

835

668

0

162

830

東海

2,050

1

309

2,360

2,050

1

302

2,353

近畿

3,094

6

326

3,426

3,092

4

317

3,413

中国

1,751

2

450

2,203

1,752

2

446

2,200

四国

930

0

211

1,141

930

0

204

1,134

九州

2,501

0

895

3,396

2,498

0

886

3,384

沖縄

175

0

21

196

175

0

21

196

全国計

20,063

11

3,815

23,889

20,061

9

3,742

23,812

 

 

③ 国際物流事業

国際物流事業につきましては、日本郵便の子会社であるトール社の経営改善の取組みを継続しました。

また、引き続き、JPトールロジスティクス株式会社を活用し、コントラクトロジスティクス※1を中心とした BtoB 事業※2の拡大に取り組みました。

豪州経済の減速等によって赤字が継続していたエクスプレス事業※3は、2021年3月期においても新型コロナウイルス感染症やサイバー攻撃等の影響もあり、厳しい経営環境が続く中、トール社において売却の検討を行ってまいりましたが、2021年4月21日、Allegro Funds Pty Ltdの傘下企業との間で譲渡契約を締結いたしました。本件譲渡に必要な手続きの完了は2021年7月末となる見込みであります。なお、本件譲渡に伴い、当社グループは、当連結会計年度において、特別損失として674億円(減損損失619億円、その他の特別損失54億円)を計上しております。

 

※1 コントラクトロジスティクスとは、売買に関与しない第三者が特定の荷主顧客と契約を結び、輸送や在 庫・配送業務の効率運営を図るサービスのことです。

※2 BtoB 事業とは、Business-to-Businessの略で、企業間の商取引、企業が企業向けに行う事業のことです。

※3 エクスプレス事業とは、豪州及びニュージーランド国内におけるネットワークを活用して道路、鉄道、 海上及び航空貨物輸送サービスを提供する事業のことです。

 

これらの取組みの結果、当連結会計年度、国際物流事業におきましては、エクスプレス事業は減収になったものの、ロジスティクス事業アジア部門における新型コロナウイルス感染予防対策物資の大口取扱いにより増収となり、また経常費用は、コスト削減等により経常収益の増加を下回ったため、経常収益は750,069百万円(前期比114,874百万円増)、経常損失は7,003百万円(前期は21,447百万円の経常損失)となりました。なお、日本郵便の当連結会計年度における国際物流事業については、営業収益は749,878百万円(前期比114,923百万円増)、営業利益は3,505百万円(前期は8,683百万円の営業損失)となりました。

 

また、トール社を親会社とする連結グループは2021年3月末時点で880億円の債務超過となっております。

トール社の経営環境が非常に厳しい中、資金繰り安定化を企図し、トール社の借入等に対して、日本郵便による債務保証を付しております。

 

④ 銀行業

当連結会計年度、引き続き「お客さま本位の良質な金融サービスの提供」、「運用の高度化・多様化」、「地域への資金の循環等」、「経営管理態勢の強化」に取り組みました。

「お客さま本位の良質な金融サービスの提供」については、ゆうちょ銀行の即時振替サービスやmijica(Visaデビット・プリペイドカード)において、悪意の第三者による不正利用等が発生しました。この対応として、一部サービスを停止したほか、被害に遭われたお客さまに対する補償を行い、また、キャッシュレス決済サービスのセキュリティの堅牢性やお客さまの利用状況のモニタリング態勢等の再確認を行いました。その後、即時振替サービスについては、セキュリティ態勢等の確認ができた事業者から、2021年1月以降順次サービスの提供を再開したほか、mijicaについては、2022年春の新たなブランドデビットカードへの移行に向けて準備を進めております。

そのほか、新たなテクノロジーの活用や、お客さまの利便性を一層高めるような金融チャネルの高度化・充実を通じて、いつでもどこでも使える「新しいべんり」の提供に努めました。具体的には、「ゆうちょ通帳アプリ」の機能追加や、スマートフォン決済サービス「ゆうちょPay」を利用できる店舗の拡大を進めたほか、コールセンターへのAIシステムの導入など、デジタル技術を活用したお客さま対応の品質や運営効率の向上に取り組みました。さらに、幅広い世代のお客さまニーズに応えるために、「フラット35」の直接取扱いや「口座貸越サービス」等の新たなサービスの開始に向けて、2020年12月に金融庁及び総務省に認可を申請し、2021年4月に認可を取得しました。

また、お客さま本位の業務運営の一層の浸透を図る視点から、お客さまの資産形成への貢献のため、お客さまニーズに応じたコンサルティングの充実に努めました。

 

「運用の高度化・多様化」については、厳しい運用環境の中、リスク・リターンやクレジットクオリティ(投資先の信用力等)を意識しつつ、リスク性資産残高を2021年3月末時点で91.1兆円まで拡大し、リスク性資産のうち、戦略投資領域への投資については、優良な案件への選別的な投資に努め、残高を4.2兆円まで積み上げました。また、運用の高度化・多様化を推進していく中にあっても、財務健全性の観点から必要十分な自己資本比率を確保したほか、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を活用し、ゆうちょ銀行が取得する適切なリスクの種類や水準を明確にしたうえで、安定的な収益と財務健全性のバランスに配慮した投資方針を決定しました

 

「地域への資金の循環等」については、お客さまの大切な資金を地域に循環し、地域経済の活性化に貢献するために、引き続き、地域金融機関との連携を通じて、事業承継や起業・創業支援、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けている企業への支援等を目的として、新たに4件(累計32件)の地域活性化ファンドに参加しました。また、2021年1月には、長期的視点に立って地方創生に向けた取組みを行う投資・事業経営会社「株式会社日本共創プラットフォーム(JPiX)」に出資しました。

「経営管理態勢の強化」については、お客さま本位の業務運営のため、ゆうちょ銀行の監査委員会及びJP改革実行委員会により、キャッシュレス決済サービスにおける不正利用事案に係るガバナンスの構築・運用状況の検証が行われ、改善に向けた提言が報告されました。こうした提言を踏まえ、お客さまからの苦情や相談対応について受付から解決まで一元的に管理する態勢を整備しました。また、グループ一体となって信頼回復に向けた業務運営を進めている最中、長崎県の郵便局で発覚した現金詐取事案を始め、部内犯罪が増加している事態を深刻に受けとめ、被害に遭われたお客さまに対する補償を行うとともに、日本郵便と連携し、発生原因の分析、再発防止策の検討等を行い、不祥事件の撲滅に向けてコンプライアンスの徹底・強化に取り組んでいます。

 

これらの取組みの結果、当連結会計年度、銀行業におきましては、年度末時点のゆうちょ銀行の貯金残高は189,593,469百万円(前期末比6,588,736百万円増)となりました。低金利環境の継続など厳しい経営環境下、有価証券利息の減少に伴い資金利益は減少しましたが、外貨調達コストの低下によるその他業務利益の増加もあり、経常収益は1,946,712百万円(前期比147,174百万円増)、経常利益は394,206百万円(前期比15,074百万円増)となりました。

なお、ゆうちょ銀行における損益の概要などの詳細な状況については、下記「(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況」「(参考2) 自己資本比率の状況」「(参考3) 資産の査定」に記載のとおりであります。

 

 

(参考1) 銀行業を行う当社の子会社であるゆうちょ銀行(単体)の状況

(a) 損益の概要

当事業年度の業務粗利益は、前事業年度比48億円増加の1兆3,190億円となりました。このうち、資金利益は、低金利環境の継続など厳しい経営環境下、有価証券利息が減少し、前事業年度比149億円の減少となりました。役務取引等利益は、投資信託関連手数料の減少を主因に、前事業年度比9億円の減少となりました。その他業務利益は、外貨調達コストの低下もあり、前事業年度比207億円の増加となりました。

経費は、物件費の削減を主因に、前事業年度比100億円減少の1兆101億円となりました。

業務純益は、前事業年度比149億円増加の3,088億円となりました。

経常利益は、前事業年度比152億円増加の3,943億円となりました。

この結果、当期純利益は2,798億円、前事業年度比67億円の増益となりました。

 

 

前事業年度

(百万円)(A)

当事業年度

(百万円)(B)

増減(百万円)

(B)-(A)

業務粗利益

1,314,210

1,319,027

4,817

 資金利益

976,821

961,884

△14,937

 役務取引等利益

128,891

127,943

△948

 その他業務利益

208,497

229,200

20,702

  うち外国為替売買損益

202,139

254,666

52,527

  うち国債等債券損益

8,097

△25,980

△34,077

経費(除く臨時処理分)

△1,020,253

△1,010,175

10,078

  人件費

△122,586

△119,374

3,211

 物件費

△844,334

△834,256

10,078

 税金

△53,332

△56,544

△3,212

業務純益(一般貸倒引当金繰入前)

293,956

308,852

14,895

一般貸倒引当金繰入額

△15

15

業務純益

293,941

308,852

14,910

臨時損益

85,135

85,473

337

 うち株式等関係損益

11,545

△188,480

△200,025

 うち金銭の信託運用損益

72,838

272,749

199,910

経常利益

379,077

394,325

15,247

特別損益

△450

△1,564

△1,113

 固定資産処分損益

△450

△557

△107

 減損損失

△0

△1,006

△1,006

税引前当期純利益

378,626

392,760

14,134

法人税、住民税及び事業税

△101,266

△124,123

△22,857

法人税等調整額

△4,315

11,200

15,516

法人税等合計

△105,581

△112,923

△7,341

当期純利益

273,044

279,837

6,792

 

(注) 1.業務純益=業務粗利益-経費(除く臨時処理分)-一般貸倒引当金繰入額

2.臨時損益とは、損益計算書中「その他経常収益・費用」から一般貸倒引当金繰入額を除き、金銭の信託運用見合費用及び退職給付費用のうち臨時費用処理分等を加えたものであります。

3.「金銭の信託運用見合費用」とは、金銭の信託取得に係る資金調達費用であり、金銭の信託運用損益が臨時損益に計上されているため、業務費用から控除しているものであります。

4.国債等債券損益=国債等債券売却益+国債等債券償還益-国債等債券売却損-国債等債券償還損-国債等債券償却

5.株式等関係損益=株式等売却益-株式等売却損-株式等償却

6.金額が損失又は費用には△を付しております。

 

 

(参考) 与信関係費用

 

前事業年度
(百万円)(A)

当事業年度
(百万円)(B)

増減(百万円)
(B)-(A)

 与信関係費用

△13

△23

△9

 一般貸倒引当金繰入額

△13

△23

△9

 貸出金償却

 個別貸倒引当金繰入額

 償却債権取立益

 

(注) 1.金融再生法開示債権に係る費用を計上しております。

2.金額が損失又は費用には△を付しております。

 
(b) 国内・国際別の資金利益等

ゆうちょ銀行は、海外店や海外に本店を有する子会社(以下「海外子会社」といいます。)を有しておりませんが、円建の取引を「国内業務部門」、外貨建取引を「国際業務部門」に帰属させ(ただし、円建の対非居住者取引は「国際業務部門」に含む。)、各々の収益・費用を計上した結果、国内業務部門・国際業務部門別の資金利益等は次のとおりとなりました。

当事業年度は、国内業務部門においては、国債利息の減少を主因に資金利益は4,556億円に減少、役務取引等利益は1,278億円、その他業務利益は△413億円となりました。

国際業務部門においては、外貨調達コストの低下等により、資金調達費用が減少し、資金利益は5,061億円、役務取引等利益は0億円、その他業務利益は2,705億円となりました。

この結果、国内業務部門、国際業務部門の相殺消去後の合計は、資金利益は9,618億円、役務取引等利益は1,279億円、その他業務利益は2,292億円となりました。

 

イ.国内業務部門

 

前事業年度

(百万円)(A)

当事業年度

(百万円)(B)

増減(百万円)

(B)-(A)

資金利益

549,737

455,698

△94,039

 資金運用収益

629,096

518,305

△110,791

うち国債利息

428,156

364,671

△63,485

資金調達費用

79,358

62,606

△16,751

役務取引等利益

128,540

127,875

△664

役務取引等収益

159,951

156,939

△3,012

役務取引等費用

31,410

29,063

△2,347

その他業務利益

3,164

△41,327

△44,491

その他業務収益

6,217

3,187

△3,029

その他業務費用

3,052

44,514

41,461

 

 

ロ.国際業務部門

 

前事業年度

(百万円)(A)

当事業年度

(百万円)(B)

増減(百万円)

(B)-(A)

資金利益

427,083

506,185

79,102

資金運用収益

789,429

751,460

△37,969

うち外国証券利息

787,476

750,955

△36,521

資金調達費用

362,345

245,274

△117,071

役務取引等利益

350

67

△283

役務取引等収益

613

436

△176

役務取引等費用

262

369

106

その他業務利益

205,333

270,527

65,194

その他業務収益

206,671

290,497

83,826

その他業務費用

1,337

19,969

18,631

 

 

ハ.合計

 

前事業年度

(百万円)(A)

当事業年度

(百万円)(B)

増減(百万円)

(B)-(A)

資金利益

976,821

961,884

△14,937

資金運用収益

1,318,014

1,198,278

△119,736

資金調達費用

341,193

236,393

△104,799

役務取引等利益

128,891

127,943

△948

役務取引等収益

160,564

157,376

△3,188

役務取引等費用

31,673

29,433

△2,240

その他業務利益

208,497

229,200

20,702

その他業務収益

212,888

293,684

80,796

その他業務費用

4,390

64,484

60,093

 

(注) 1.資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前事業年度5,441百万円、当事業年度4,760百万円)を控除しております。

2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。

 

前事業年度
(百万円)

当事業年度
(百万円)

国内業務部門・資金運用収益

100,511

71,487

国際業務部門・資金調達費用

100,511

71,487

 

 

(c) 国内・国際別資金運用/調達の状況

当事業年度の資金運用勘定の平均残高は210兆4,304億円、利回りは0.56%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は203兆6,928億円、利回りは0.11%となりました。

国内・国際別に見ますと、国内業務部門の資金運用勘定の平均残高は204兆9,282億円、利回りは0.25%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は197兆7,831億円、利回りは0.03%となりました。

国際業務部門の資金運用勘定の平均残高は67兆1,005億円、利回りは1.11%となりました。また、資金調達勘定の平均残高は67兆5,080億円、利回りは0.36%となりました。

 

イ.国内業務部門

種類

前事業年度

当事業年度

増減

平均残高

利息

利回り

平均残高

利息

利回り

利回り

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(A)

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(B)

(%)
(B)-(A)

資金運用勘定

198,026,308

629,096

0.31

204,928,217

518,305

0.25

△0.06

うち貸出金

4,947,212

11,056

0.22

5,888,523

10,060

0.17

△0.05

うち有価証券

71,842,673

492,509

0.68

70,330,066

410,942

0.58

△0.10

うち預け金等

52,928,370

28,874

0.05

56,799,558

29,230

0.05

△0.00

資金調達勘定

190,695,746

79,358

0.04

197,783,193

62,606

0.03

△0.00

うち貯金

183,018,232

55,096

0.03

188,043,501

38,323

0.02

△0.00

うち債券貸借取引受入担保金

229,198

229

0.10

155,875

155

0.09

△0.00

 

(注) 1.「国内業務部門」は円建取引であります。

2.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度2,483,454百万円、当事業年度3,107,611百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度2,483,454百万円、当事業年度3,107,611百万円)及び利息(前事業年度1,744百万円、当事業年度1,147百万円)を控除しております。

3.預け金等は、譲渡性預け金、日銀預け金、コールローン、買入金銭債権であります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。

4.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「ロ.国際業務部門」「ハ.合計」においても同様であります。

 

ロ.国際業務部門

種類

前事業年度

当事業年度

増減

平均残高

利息

利回り

平均残高

利息

利回り

利回り

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(A)

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(B)

(%)
(B)-(A)

資金運用勘定

63,366,957

789,429

1.24

67,100,563

751,460

1.11

△0.12

うち貸出金

10,868

57

0.52

23,763

125

0.52

0.00

うち有価証券

63,239,883

787,476

1.24

66,938,098

750,955

1.12

△0.12

うち預け金等

1,263

29

2.35

△2.35

資金調達勘定

63,324,744

362,345

0.57

67,508,045

245,274

0.36

△0.20

うち債券貸借取引受入担保金

2,240,788

49,376

2.20

1,482,339

6,752

0.45

△1.74

 

(注) 1.「国際業務部門」は外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引については、「国際業務部門」に含めております。

2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。

3.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度646,071百万円、当事業年度994,585百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度646,071百万円、当事業年度994,585百万円)及び利息(前事業年度3,696百万円、当事業年度3,613百万円)を控除しております。

 

ハ.合計

種類

前事業年度

当事業年度

増減

平均残高

利息

利回り

平均残高

利息

利回り

利回り

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(A)

(百万円)
 

(百万円)
 

(%)
(B)

(%)
(B)-(A)

資金運用勘定

203,590,095

1,318,014

0.64

210,430,410

1,198,278

0.56

△0.07

うち貸出金

4,958,081

11,113

0.22

5,912,287

10,186

0.17

△0.05

うち有価証券

135,082,556

1,279,986

0.94

137,268,164

1,161,897

0.84

△0.10

うち預け金等

52,929,633

28,904

0.05

56,799,558

29,230

0.05

△0.00

資金調達勘定

196,217,319

341,193

0.17

203,692,867

236,393

0.11

△0.05

うち貯金

183,018,232

55,096

0.03

188,043,501

38,323

0.02

△0.00

うち債券貸借取引受入担保金

2,469,986

49,605

2.00

1,638,214

6,908

0.42

△1.58

 

(注) 1.金銭の信託に係る収益及び費用を「その他経常収益」「その他経常費用」に計上しておりますので、資金運用勘定は金銭の信託の平均残高(前事業年度3,129,526百万円、当事業年度4,102,197百万円)を控除し、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前事業年度3,129,526百万円、当事業年度4,102,197百万円)及び利息(前事業年度5,441百万円、当事業年度4,760百万円)を控除しております。

2.「国内業務部門」「国際業務部門」間の内部取引による相殺消去額は下表のとおりであります。

 

前事業年度

当事業年度

平均残高

(百万円)

利息

(百万円)

平均残高

(百万円)

利息

(百万円)

国内業務部門・資金運用勘定

57,803,170

100,511

61,598,371

71,487

国際業務部門・資金調達勘定

57,803,170

100,511

61,598,371

71,487

 

 

 

(d) 役務取引等利益の状況

当事業年度の役務取引等利益は、電信振替の料金改定等により、為替・決済関連手数料が増加したものの、投資信託関連手数料が減少し、前事業年度比9億円減少の1,279億円となりました。

 

前事業年度

(百万円)(A)

当事業年度

(百万円)(B)

増減(百万円)

(B)-(A)

役務取引等利益

128,891

127,943

△948

為替・決済関連手数料

79,487

83,425

3,937

ATM関連手数料

19,095

20,152

1,056

投資信託関連手数料

21,764

14,654

△7,110

その他

8,543

9,710

1,167

 

 
(参考) 投資信託の取扱状況(約定ベース)

 

前事業年度

(百万円)(A)

当事業年度

(百万円)(B)

増減(百万円)

(B)-(A)

販売金額

691,496

262,912

△428,583

純資産残高

2,301,781

2,565,801

264,020

 

 

(e) 預金残高の状況

当事業年度末の貯金残高は、通常貯金等の残高増加を主因に、前事業年度末比6兆5,887億円増加の189兆5,934億円となりました。

○ 預金の種類別残高(末残・構成比)

種類

前事業年度

当事業年度

増減

金額(百万円)

(A)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)-(A)

預金合計

183,004,733

100.00

189,593,469

100.00

6,588,736

流動性預金

87,567,568

47.84

101,309,018

53.43

13,741,449

振替貯金

7,712,325

4.21

9,150,117

4.82

1,437,791

通常貯金等

79,346,271

43.35

91,546,309

48.28

12,200,038

貯蓄貯金

508,971

0.27

612,591

0.32

103,619

定期性預金

95,298,907

52.07

88,145,649

46.49

△7,153,258

定期貯金

5,225,651

2.85

4,709,291

2.48

△516,359

定額貯金

90,073,256

49.21

83,436,358

44.00

△6,636,898

その他の預金

138,256

0.07

138,801

0.07

544

譲渡性預金

総合計

183,004,733

100.00

189,593,469

100.00

6,588,736

 

 

 

○ 預金の種類別残高(平残・構成比)

種類

前事業年度

当事業年度

増減

金額(百万円)

(A)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)-(A)

預金合計

183,018,232

100.00

188,043,501

100.00

5,025,269

流動性預金

84,703,007

46.28

96,053,067

51.08

11,350,060

振替貯金

7,706,034

4.21

8,686,730

4.61

980,696

通常貯金等

76,527,985

41.81

86,803,482

46.16

10,275,497

貯蓄貯金

468,987

0.25

562,854

0.29

93,866

定期性預金

98,087,845

53.59

91,763,655

48.79

△6,324,190

定期貯金

6,208,331

3.39

4,940,369

2.62

△1,267,961

定額貯金

91,879,514

50.20

86,823,285

46.17

△5,056,228

その他の預金

227,378

0.12

226,778

0.12

△600

譲渡性預金

総合計

183,018,232

100.00

188,043,501

100.00

5,025,269

 

(注) 1.「通常貯金等」=通常貯金+特別貯金(通常郵便貯金相当)

2.貯金は銀行法施行規則の負債科目「預金」に相当するものであります。「振替貯金」は「当座預金」、「通常貯金」は「普通預金」、「貯蓄貯金」は「貯蓄預金」、「定期貯金」は「定期預金」に相当するものであります。「定額貯金」は「その他の預金」に相当するものでありますが、「定期性預金」に含めております。

3.特別貯金(通常郵便貯金相当)は郵政管理・支援機構からの預り金のうち、郵政管理・支援機構が公社から承継した定期郵便貯金、定額郵便貯金、積立郵便貯金、住宅積立郵便貯金、教育積立郵便貯金に相当する郵便貯金で満期となったものなどであります。

4.上記の通常貯金、定期性預金は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 事業に係る主な法律関連事項 ③ 郵政民営化法 (f) ゆうちょ銀行における預入限度額」に記載の郵政民営化法における預入限度額規制上の区分とは異なります。

 

 

(f) 資産運用の状況(末残・構成比)

当事業年度末の運用資産のうち、国債は50.4兆円、その他の証券は71.1兆円となりました。

種類

前事業年度

当事業年度

増減

金額(百万円)

(A)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)-(A)

預け金等

51,485,414

24.80

60,667,097

27.50

9,181,682

コールローン

1,040,000

0.50

1,390,000

0.63

350,000

買現先勘定

9,731,897

4.68

9,721,360

4.40

△10,536

債券貸借取引支払保証金

112,491

0.05

△112,491

金銭の信託

4,549,736

2.19

5,547,574

2.51

997,837

うち国内株式

1,859,682

0.89

2,261,772

1.02

402,089

うち国内債券

1,419,008

0.68

1,545,190

0.70

126,181

有価証券

135,198,460

65.14

138,183,264

62.64

2,984,804

国債

53,636,113

25.84

50,493,477

22.88

△3,142,635

地方債

5,986,349

2.88

5,493,814

2.49

△492,534

短期社債

806,975

0.38

1,869,535

0.84

1,062,560

社債

9,108,252

4.38

9,145,414

4.14

37,162

株式

3,255

0.00

13,755

0.00

10,500

その他の証券

65,657,514

31.63

71,167,266

32.26

5,509,752

うち外国債券

23,706,870

11.42

23,505,116

10.65

△201,754

うち投資信託

41,901,017

20.19

47,591,186

21.57

5,690,169

貸出金

4,961,733

2.39

4,691,723

2.12

△270,009

その他

439,879

0.21

394,410

0.17

△45,468

合計

207,519,613

100.00

220,595,431

100.00

13,075,817

 

(注) 「預け金等」は譲渡性預け金、日銀預け金、買入金銭債権であります。

  

 

(g) 評価損益の状況(末残)

当事業年度末の評価損益(その他目的)は、ヘッジ考慮後で3兆488億円(税効果前)となりました。

 

前事業年度(A)

当事業年度(B)

増減(B)-(A)

貸借対照表

計上額

評価損益

貸借対照表

計上額

評価損益

貸借対照表

計上額

評価損益

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

満期保有目的の債券

24,170,708

490,838

25,178,079

238,178

1,007,371

△252,660

 

 

 

 

前事業年度(A)

当事業年度(B)

増減(B)-(A)

貸借対照表

計上額

/想定元本

評価損益

/ネット繰延

損益

貸借対照表

計上額

/想定元本

評価損益

/ネット繰延

損益

貸借対照表

計上額

/想定元本

評価損益

/ネット繰延

損益

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

その他目的

 

115,936,195

370,622

118,940,510

3,586,863

3,004,314

3,216,241

有価証券

111,386,459

△751,571

113,392,936

2,407,252

2,006,477

3,158,823

国債

 

32,597,964

794,222

29,917,094

542,798

△2,680,869

△251,424

外国債券

 

23,706,870

429,425

23,505,116

1,031,399

△201,754

601,973

投資信託

 

41,901,017

△2,040,416

47,591,186

776,215

5,690,169

2,816,632

その他

 

13,180,607

65,196

12,379,538

56,838

△801,068

△8,358

時価ヘッジ効果額

308,341

△173,512

△481,853

金銭の信託

4,549,736

813,852

5,547,574

1,353,124

997,837

539,271

国内株式

 

1,859,682

816,565

2,261,772

1,363,424

402,089

546,858

その他

 

2,690,053

△2,713

3,285,801

△10,299

595,747

△7,586

デリバティブ取引

(繰延ヘッジ適用分)

16,340,330

△472,705

16,210,065

△538,052

△130,264

△65,346

評価損益合計

①+②+③+④

△102,083

3,048,811

3,150,894

 

(注) 「有価証券」には、有価証券のほか、現金預け金中の譲渡性預け金、買入金銭債権を含んでおります。 

 

(h) 業種別貸出金残高の状況(末残・構成比)

業種別

前事業年度

当事業年度

増減

金額(百万円)

(A)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)

構成比(%)

金額(百万円)

(B)-(A)

国内(除く特別国際金融取引勘定分)

4,942,412

100.00

4,666,152

100.00

△276,259

農業、林業、漁業、鉱業

製造業

43,524

0.88

81,669

1.75

38,145

電気・ガス等、情報通信業、運輸業

108,064

2.18

137,714

2.95

29,650

卸売業、小売業

31,155

0.63

34,255

0.73

3,099

金融・保険業

773,676

15.65

739,510

15.84

△34,165

建設業、不動産業

12,983

0.26

63,184

1.35

50,200

各種サービス業、物品賃貸業

48,437

0.98

84,214

1.80

35,776

国、地方公共団体

3,782,410

76.52

3,428,219

73.46

△354,190

その他

142,159

2.87

97,383

2.08

△44,776

国際及び特別国際金融取引勘定分

19,321

100.00

25,571

100.00

6,250

政府等

その他

19,321

100.00

25,571

100.00

6,250

合計

4,961,733

4,691,723

△270,009

 

(注) 1.「国内」とは本邦居住者に対する貸出、「国際」とは非居住者に対する貸出であります。

2.ゆうちょ銀行は、海外店及び海外子会社を有しておりません。

3.「金融・保険業」のうち郵政管理・支援機構向け貸出金は、前事業年度末439,734百万円、当事業年度末      340,563百万円であります。

 

(参考) リスク管理債権(末残)

 

前事業年度
(億円)(A)

当事業年度
(億円)(B)

増減(億円)
(B)-(A)

破綻先債権

延滞債権

0

△0

3カ月以上延滞債権

貸出条件緩和債権

合計

0

△0

 

 

 

(参考2) 自己資本比率の状況

ゆうちょ銀行の自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。

なお、ゆうちょ銀行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

(単位:億円、%)

 

2021年3月31日

1.連結自己資本比率(2/3)

15.53

2.連結における自己資本の額

90,383

3.リスク・アセット等の額

581,668

4.連結総所要自己資本額

23,266

 

(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。

 

単体自己資本比率(国内基準)

 

(単位:億円、%)

 

2021年3月31日

1.単体自己資本比率(2/3)

15.51

2.単体における自己資本の額

90,243

3.リスク・アセット等の額

581,571

4.単体総所要自己資本額

23,262

 

(注) 単体総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。

 

 

(参考3) 資産の査定

資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、ゆうちょ銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。

 

(a) 破産更生債権及びこれらに準ずる債権

破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。

 

(b) 危険債権

危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。

 

(c) 要管理債権

要管理債権とは、3カ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。

 

(d) 正常債権

正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記(a)から(c)までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。

 

資産の査定の額

債権の区分

2020年3月31日

2021年3月31日

金額(億円)

金額(億円)

破産更生債権及びこれらに準ずる債権

危険債権

0

要管理債権

正常債権

51,116

47,749

 

 

 

 

⑤  生命保険業

 かんぽ生命保険では、2019年度におけるかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題により、積極的な募集活動を停止し、お客さまからの信頼回復に向けた取組みを最優先に取り組んでまいりました。金融庁に提出した業務改善計画において掲げたご契約調査及び募集人調査並びに再発防止策としての「健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立」、「適正な募集管理態勢の強化」、「取締役会等によるガバナンスの強化」等の取り組みは、その大部分を既に実施しております

「健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立」については、お客さま本位の理念を反映した勧誘方針に基づいてかんぽ営業の行動原則(かんぽ営業スタンダード)を策定し、募集人等に対してその理解・定着に向けた研修を継続してまいりました。また、契約乗換への対策として、契約乗換については手当(通常の契約の二分の一支給)を不支給とし、人事評価についても募集品質の確保を前提とした評価内容に見直しました。さらに、既契約の解約を伴わずに保障の見直しが可能な契約転換制度について、2020年11月に認可を取得し、2021年4月から取扱いを開始しました。また、これまで、貯蓄性の高い商品を主力としてまいりましたが、低金利環境下においてもお客さまニーズにより一層お応えするために、商品内容の改善に取り組んでおります。具体的には、青壮年層を中心とした低廉な保険料で長期の保障を希望するお客さまに提案できる商品の充実を図り、2021年4月から、保険期間を延長した普通定期保険及び特別養老保険の取扱いを開始しました。そのほか、社員から社長への直接提案制度やかんぽ生命保険経営陣が各支店等を訪問し、現場の社員の声を直接聞く「役員ダイアログ(対話)」の継続的な実施のほか 、ES調査を通して把握した社員の声及び課題を踏まえ、業務の改善やES向上策の検討を行い、風通しのよい組織づくりに向けて取り組んでおります。

 

ESとは、従業員満足度のことです。

 

「適正な募集管理態勢の強化」については、お客さまのご意向に沿わない契約の発生を未然に防止するため、システムの整備等フロントライン及び本社におけるチェック・統制によるけん制機能の強化に取り組んでまいりました。2020年4月に、契約乗換の判定期間を拡大するとともに、判定期間に近接する契約についてはアラート表示を行い、確認を促す仕組みを整備したほか、お客さまの過去の契約の加入・消滅履歴等を簡易にシステム上で把握できる態勢も構築しました。また、郵便局管理者、かんぽ生命保険専用コールセンター及びサービスセンターによるお客さまへの重層的なご意向確認等を実施する態勢を構築したほか、募集状況の可視化を図るため、2020年8月から募集状況の録音等を郵便局の全コンサルタントへ実施対象を拡大しました。

「取締役会等によるガバナンスの強化」については、経営層がリスクを適切に把握できる体制の構築や、内部統制の強化等、ガバナンスの強化に努めてまいりました。

また、2019年7月以降、郵便局及びかんぽ生命保険直営店におけるかんぽ生命保険商品の積極的な営業活動を控えてまいりましたが、JP改革実行委員会より、営業再開についての最低限必要な条件を満たしているという評価を受けるとともに、信頼回復に向けた業務運営の趣旨が全社に浸透したこと等が確認できたことから、2020年10月より、信頼回復に向けた業務運営を開始し、お客さまにご迷惑・ご心配をおかけしたことのお詫びと「お客さまの信頼回復に向けた約束」のご説明を行うとともに、金融商品のアフターフォローに最優先で取り組み、お客さまのご不安や疑問点の解消を図りました。そして、信頼回復に向けた業務運営を継続する中で、お客さまの想定されるニーズの確認を行いながら、お客さまニーズに応じた金融商品の情報提供やご提案を実施することで、営業活動を通じたお客さまとの信頼関係の構築を進めていく新たな営業スタンスへ移行することとしました。

上記のかんぽ生命保険商品の募集品質に係る問題への対応のほか、「新型コロナウイルス感染症への対策」、「資産運用の多様化」を中心に取り組みました。

「新型コロナウイルス感染症への対策」については、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年3月から、各種非常取扱いを実施したほか、同年4月から、死亡保険金に加えて、約款に定めた保険金額をお支払いする「保険金の倍額支払」の対象に新型コロナウイルス感染症により亡くなられた場合を含めることとしました。また、非対面でのサービス利用等の需要拡大に応えるべく、契約者さま向けWebサービス(マイページ)において、同年11月に入院・手術保険金支払に必要な書類請求機能を、2021年3月に年金支払に必要な現況届の手続機能を拡充しました。

 

「資産運用の多様化」については、継続的な低金利環境における安定的な運用収益の確保を目指し、ALMを基本としつつ、リスクバッファーの範囲で収益追求資産への投資を継続しております。資産運用の多様化を図るため、海外クレジットの運用拡大の一環として、米国社債の自家運用に引き続き取り組むとともに、株式の自家運用やオルタナティブ投資等についても継続して推進しております。これら資産運用の取組みについては、ERMの枠組みのもとで財務の健全性の確保や、リスク・リターンの向上を図っております。

 

※ ERMとは、Enterprise Risk Managementの略語で、会社が直面するリスクに関して、潜在的に重要なリスクを含めて総体的に捉え、会社全体の自己資本などと比較・対照することによって、事業全体として行うリスク管理のことです。

 

これらの取組みをしてまいりましたが、当連結会計年度、生命保険業におきましては、主に保有契約の減少による保険料等収入の減少により、経常収益は6,786,226百万円(前期比425,178百万円減)となりました。また、保有契約の減少が続く厳しい状況の中、新契約の減少に伴う事業費の減少や保険金等支払金の減少等により基礎利益(生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標)が増加したことに加え、金融派生商品費用の減少等によりキャピタル損益が改善したこと等から、経常利益は345,736百万円(前期比59,134百万円増)となりました。

 

かんぽ生命保険における保険引受及び資産運用の状況などの詳細な状況については、下記「(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況」に記載のとおりであります。

 

 

(参考)生命保険業を行う当社の子会社であるかんぽ生命保険の状況

(下表(a)イ.~ニ.の個人保険及び個人年金保険には、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約を含みません。)

 

(a) 保険引受及び資産運用の状況
イ.保有契約高明細表

区分

前事業年度末

当事業年度末

件数(千件)

金額(百万円)

件数(千件)

金額(百万円)

個人保険

17,163

49,915,586

15,893

45,912,230

個人年金保険

1,164

1,930,642

1,009

1,563,865

 

(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金額を合計したものであります。

 

ロ.新契約高明細表

区分

前事業年度

当事業年度

件数(千件)

金額(百万円)

件数(千件)

金額(百万円)

個人保険

644

1,893,727

124

390,355

個人年金保険

0

3,527

0

176

 

(注) 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。

 

ハ.保有契約年換算保険料明細表

 

 

(単位:百万円)

区分

前事業年度末

当事業年度末

個人保険

3,144,610

2,840,092

個人年金保険

412,062

357,160

合計

3,556,673

3,197,252

 

うち医療保障・
生前給付保障等

393,881

364,682

 

(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。

2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。

 

 

ニ.新契約年換算保険料明細表

 

 

(単位:百万円)

区分

前事業年度

当事業年度

個人保険

146,966

30,643

個人年金保険

314

16

合計

147,280

30,659

 

うち医療保障・
生前給付保障等

22,132

1,459

 

(注) 1.年換算保険料とは、1回あたりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年あたりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間等で除した金額)。

2.医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除きます。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含みます。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。

 

(参考)かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約の状況

(a) 保有契約高

区分

前事業年度末

当事業年度末

件数

(千件)

保険金額・年金額

(百万円)

件数

(千件)

保険金額・年金額

(百万円)

保険

9,908

26,143,225

8,945

23,634,803

年金保険

1,540

524,117

1,426

478,926

 

(注) 計数は、郵政管理・支援機構における公表基準によるものであります。

 

(b) 保有契約年換算保険料

 

 

(単位:百万円)

区分

前事業年度末

当事業年度末

保険

1,174,082

1,058,047

年金保険

511,933

471,602

合計

1,686,015

1,529,649

 

うち医療保障・
生前給付保障等

321,656

304,432

 

(注) かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受再している簡易生命保険契約について、上記ハ.に記載しております個人保険及び個人年金保険の保有契約年換算保険料と同様の計算方法により、かんぽ生命保険が算出した金額であります。

 

 

ホ.一般勘定資産の構成

区分

前事業年度末

当事業年度末

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

現預金・コールローン

1,786,640

2.5

1,459,749

2.1

買現先勘定

債券貸借取引支払保証金

3,191,710

4.5

2,585,087

3.7

買入金銭債権

318,581

0.4

276,772

0.4

商品有価証券

金銭の信託

3,056,072

4.3

4,189,294

6.0

有価証券

55,871,541

78.0

55,274,594

78.8

 

公社債

48,954,516

68.3

48,264,456

68.8

 

株式

286,975

0.4

404,577

0.6

 

外国証券

4,687,342

6.5

4,632,376

6.6

 

 

公社債

4,522,175

6.3

4,479,823

6.4

 

 

株式等

165,167

0.2

152,552

0.2

 

その他の証券

1,942,706

2.7

1,973,184

2.8

貸付金

5,662,748

7.9

4,964,087

7.1

 

保険約款貸付

152,681

0.2

161,419

0.2

 

一般貸付

994,446

1.4

996,127

1.4

 

機構貸付

4,515,620

6.3

3,806,540

5.4

不動産

89,561

0.1

88,707

0.1

 

うち投資用不動産

繰延税金資産

1,173,751

1.6

904,333

1.3

その他

517,239

0.7

431,615

0.6

貸倒引当金

△448

△0.0

△384

△0.0

合計

71,667,398

100.0

70,173,857

100.0

 

うち外貨建資産

4,980,015

6.9

5,397,078

7.7

 

(注) 1.機構貸付とは、郵政管理・支援機構(簡易生命保険勘定)への貸付であります。

2.不動産については、土地・建物・建設仮勘定を合計した金額を計上しております。

 

ヘ.一般勘定資産の資産別運用利回り

 

 

(単位:%)

区分

前事業年度

当事業年度

現預金・コールローン

0.00

0.00

買現先勘定

債券貸借取引支払保証金

買入金銭債権

0.17

0.14

商品有価証券

金銭の信託

1.99

2.86

有価証券

1.47

1.57

 

うち公社債

1.53

1.51

 

うち株式

1.24

2.72

 

うち外国証券

0.97

2.16

貸付金

1.94

1.82

 

うち一般貸付

1.12

1.09

不動産

一般勘定計

1.41

1.51

 

うち海外投融資

1.21

2.15

 

(注) 1.利回り計算式の分母は帳簿価額ベースの日々平均残高、分子は経常損益中、資産運用収益-資産運用費用として算出した利回りであります。

2.一般勘定計には、有価証券信託に係る資産を含めております。

3.海外投融資とは、外貨建資産と円建資産の合計であります。

 

(b) 基礎利益

基礎利益は、保険料等収入、保険金等支払金、事業費等の保険関係の収支と、利息及び配当金等収入を中心とした運用関係の収支からなる、生命保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であります。

かんぽ生命保険の当事業年度における基礎利益は、4,219億円となりました。

 

(経常利益等の明細(基礎利益))

 

 

(単位:百万円)

項目

前事業年度

当事業年度

基礎利益

(A)

400,609

421,943

キャピタル収益

 

87,260

115,775

 金銭の信託運用益

51,560

87,593

 売買目的有価証券運用益

 有価証券売却益

35,699

20,422

 金融派生商品収益

 為替差益

7,759

 その他キャピタル収益

キャピタル費用

189,693

132,878

 金銭の信託運用損

 売買目的有価証券運用損

 有価証券売却損

32,020

32,789

 有価証券評価損

2,689

 金融派生商品費用

74,799

21,604

 為替差損

2,085

 その他キャピタル費用

78,097

78,484

キャピタル損益

(B)

△102,433

△17,102

キャピタル損益含み基礎利益

(A)+(B)

298,175

404,840

臨時収益

165,388

186,023

 再保険収入

 危険準備金戻入額

165,388

186,023

 個別貸倒引当金戻入額

 その他臨時収益

臨時費用

176,734

245,841

 再保険料

 危険準備金繰入額

 個別貸倒引当金繰入額

 特定海外債権引当勘定繰入額

 貸付金償却

 その他臨時費用

176,734

245,841

臨時損益

(C)

△11,345

△59,818

経常利益

(A)+(B)+(C)

286,829

345,022

 

(注) 1.金銭の信託に係るインカム・ゲインに相当する額(前事業年度:78,097百万円、当事業年度:78,484百万円)を「その他キャピタル費用」に計上し、基礎利益に含めております。

2.「その他臨時費用」には、保険業法施行規則第69条第5項の規定により責任準備金を追加して積み立てた額(前事業年度:176,734百万円、当事業年度:245,841百万円)を記載しております。

 

 

(c) かんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率

生命保険会社は将来の保険金等の支払いに備えて責任準備金を積み立てており、通常予測できる範囲のリスクについては責任準備金の範囲内で対応できます。

ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。

この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。

当連結会計年度末におけるかんぽ生命保険の連結ソルベンシー・マージン比率は1,121.2%と高い健全性を維持しております。

 

 

(単位:百万円)

項目

前連結会計年度末

当連結会計年度末

ソルベンシー・マージン総額

(A)

5,161,600

6,216,257

 

資本金等

 

1,639,908

1,763,280

 

価格変動準備金

 

858,339

904,816

 

危険準備金

 

1,797,366

1,611,343

 

異常危険準備金

 

 

一般貸倒引当金

 

37

36

 

(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ
損益(税効果控除前))×90%(マイナスの場合100%)

 

328,782

1,283,545

 

土地の含み損益×85%(マイナスの場合100%)

 

19

2,203

 

未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の合計額

 

4,261

4,835

 

全期チルメル式責任準備金相当額超過額

 

442,807

364,059

 

負債性資本調達手段等

 

100,000

300,000

 

全期チルメル式責任準備金相当額超過額及び負債性
資本調達手段等のうち、マージンに算入されない額

 

 

控除項目

 

△9,923

△17,862

 

その他

 

リスクの合計額

〔{(R12+R52)1/2+R8+R9}2+(R2+R3+R7)21/2+R4+R6

(B)

963,888

1,108,789

 

保険リスク相当額

137,197

130,961

 

一般保険リスク相当額

 

巨大災害リスク相当額

 

第三分野保険の保険リスク相当額

54,172

49,371

 

少額短期保険業者の保険リスク相当額

 

予定利率リスク相当額

136,652

131,404

 

最低保証リスク相当額

 

資産運用リスク相当額

785,317

937,296

 

経営管理リスク相当額

22,266

24,980

ソルベンシー・マージン比率 

(A)/{(1/2)×(B)}×100

 

1,070.9%

1,121.2%

 

(注)  保険業法施行規則第86条の2、第88条及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。

 

 

(d) かんぽ生命保険のEV
イ.EVの概要

ⅰ EVについて

エンベディッド・バリュー(以下「EV」といいます。)は対象事業に割り当てられた、資産及び負債から生じる株主への分配可能な利益の価値の見積りであります。ただし、将来の新契約から生じる価値は含みません。この価値は、修正純資産及び保有契約価値で構成されるものであります。

修正純資産は株主に帰属すると考えられる純資産(時価)であり、必要資本とフリー・サープラスで構成されるものであります。

保有契約価値は、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益の評価日時点の現在価値であり、必要資本を維持するための費用等を控除したものであります。

生命保険契約は、一般に販売時に多くのコストが発生するため、一時的には損失が発生するものの、契約が継続することで、将来にわたり生み出される利益によりそのコストを回収することが期待される収支構造となっております。現行の法定会計では、このような収支構造をそのまま各年度の損益として把握しておりますが、EVは、全保険期間を通じた損益を現在価値で評価することとなるため、現行の法定会計による財務情報では不足する情報を補うことができる指標の一つと考えております。

 

ⅱ EEVについて

EVの開示に関する一貫性と透明性の改善を図る目的で、2004年5月にヨーロッパの主要保険会社のCFO(最高財務責任者)の集まりである、CFOフォーラムが、ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(以下「EEV」といいます。)原則及び指針(ガイダンス)を制定いたしました。

2016年5月には、CFOフォーラムによってEEV原則の改正が公表され、EVに2016年1月から施行された欧州ソルベンシーⅡ等の計算で用いた計算手法及び前提の使用が許容されるようになりました。

 

ⅲ EEVの計算手法

今回のEEVの計算には、市場整合的手法を用いております。この手法は、資産又は負債から発生するキャッシュ・フローを市場で取引されている金融商品と整合的に評価するものであります。

 

ロ.簡易生命保険契約について

かんぽ生命保険は、郵政民営化法に基づき、2007年10月1日に発足しました。また、2007年9月末までに契約された簡易生命保険契約は、郵政管理・支援機構に承継されるとともに、郵政管理・支援機構が負う保険責任のすべてについて、かんぽ生命保険が受再しております。

かんぽ生命保険は、郵政管理・支援機構との再保険契約において、簡易生命保険契約を他の保険契約と区分して管理すること(簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金も区分して管理すること)、簡易生命保険契約から生じた利益(危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益も含んでおります。)も区分して管理すること、及び郵政管理・支援機構が簡易生命保険契約に対して既に約款で約束している確定配当所要額と再保険損益(確定配当所要額及び法人税等を除いたこの区分における利益)の8割の合計額を、郵政管理・支援機構へ再保険配当として支払うことを定めております。EEVの計算においては、この郵政管理・支援機構への再保険配当を差し引いた後の利益を反映しております。

このように郵政管理・支援機構への再保険配当の原資に、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金の戻入による利益が含まれることから、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金は修正純資産には含めておらず、将来において戻入する前提で保有契約価値に含めて計算しております。

 

 

ハ.EEVの計算結果

かんぽ生命保険のEEVは以下のとおりであります。

 

 

(単位:億円)

 

前事業年度末

当事業年度末

増減

EEV

33,242

40,262

7,019

 

修正純資産

22,124

23,768

1,644

 

保有契約価値

11,118

16,493

5,374

 

 

 

 

 

 

 

前事業年度

当事業年度

増減

新契約価値

606

△127

△733

 

 

ⅰ 修正純資産

修正純資産は、資産の市場価値のうち、契約者に対する負債及びその他の負債の価値を超過する部分であり、株主に帰属すると考えられる価値であります。当期純利益による増加を主な理由として、当事業年度末における修正純資産は前事業年度末から増加しております。修正純資産の内訳は以下のとおりであります。

 

 

(単位:億円)

 

前事業年度末

当事業年度末

増減

修正純資産

22,124

23,768

1,644

 

純資産の部計(注1)

16,616

18,064

1,447

 

価格変動準備金(注2)

2,263

2,497

233

 

危険準備金(注2)

4,766

4,816

49

 

その他(注3)

618

609

△9

 

上記項目に係る税効果

△2,141

△2,218

△76

 

(注) 1.計算対象に子会社を含めているため、かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。

2.簡易生命保険契約に係る部分を除いております。

3.保険契約に係らない有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。

 

当事業年度末の修正純資産を計算する際に除いた保険契約に係る部分は以下のとおりであります。

 

 

(単位:億円)

 

会社合計

保険契約に
係る部分

修正純資産
①-②

修正純資産

91,908

68,139

23,768

 

純資産の部計(注1)

18,064

18,064

 

価格変動準備金(注2)

9,048

6,551

2,497

 

危険準備金(注2)

16,113

11,296

4,816

 

その他(注3)

77,219

76,609

609

 

上記項目に係る税効果

△28,536

△26,317

△2,218

 

(注) 1.かんぽ生命保険の連結貸借対照表の純資産の部合計を計上しております。ただし、その他の包括利益累計額合計を除いております。また、自己株式に計上している株式給付信託(BBT)が保有するかんぽ生命保険の株式の帳簿価額を加えております。

2.保険契約に係る部分(②)は、簡易生命保険契約に係る部分を計上しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。

3.有価証券、貸付金及び不動産の含み損益、一般貸倒引当金、退職給付の未積立債務(未認識過去勤務費用及び未認識数理計算上の差異)並びに劣後債の含み損益を計上しております。

 

 

ⅱ 保有契約価値

保有契約価値は、保有契約の評価日時点における価値を表したもので、保有契約及び保有契約に係る資産から将来発生すると見込まれる株主への分配可能な利益を現在価値に割り引いております。ニ.前事業年度末EEVからの変動要因」に記載のとおり、前提条件(経済前提)と実績の差異を主な理由として、当事業年度末における保有契約価値は前事業年度末から増加しております。保有契約価値の内訳は以下のとおりであります。

将来利益の計算において保険契約に係る資産は簿価評価しております。また、簡易生命保険契約に係る危険準備金及び価格変動準備金が将来において戻入する前提で、その戻入による利益を含めて計算しております。「ロ.簡易生命保険契約について」をご参照ください。

 

 

(単位:億円)

 

前事業年度末

当事業年度末

増減

保有契約価値

11,118

16,493

5,374

 

確実性等価将来利益現価

18,067

20,541

2,473

 

オプションと保証の時間価値

△4,560

△2,323

2,236

 

必要資本を維持するための費用

△0

△0

0

 

ヘッジ不能リスクに係る費用

△2,388

△1,724

664

 

 

ⅲ 新契約価値

新契約価値は、当期間に獲得した新契約(医療特約の切替加入契約及び条件付解約による加入契約については正味増加分のみ)の契約獲得時点における価値を表したものであります。

当事業年度において積極的な営業活動を自粛している一方、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、当事業年度の新契約価値は前事業年度から減少しております。新契約価値の内訳は以下のとおりであります。

 

 

(単位:億円)

 

前事業年度

当事業年度

増減

新契約価値

606

△127

△733

 

確実性等価将来利益現価

701

△110

△811

 

オプションと保証の時間価値

△57

△11

45

 

必要資本を維持するための費用

△0

△0

△0

 

ヘッジ不能リスクに係る費用

△37

△5

32

 

 

なお、新契約マージン(新契約価値の保険料収入現価に対する比率)は以下のとおりであります。 

 

 

(単位:億円)

 

前事業年度

当事業年度

増減

新契約価値

606

△127

△733

保険料収入現価(注)

14,868

2,523

△12,344

新契約マージン

4.08%

△5.05%

△9.13ポイント

 

(注) 将来の収入保険料を、新契約価値の計算に用いたリスク・フリー・レートで割り引いております。

 

 

ニ.前事業年度末EEVからの変動要因 

 

 

 

(単位:億円)

 

修正純資産

保有契約価値

EEV

前事業年度末EEV

22,124

11,118

33,242

ⅰ 前事業年度末EEVの調整

△213

△213

前事業年度末EEV(調整後)

21,910

11,118

33,028

ⅱ 当事業年度新契約価値

△127

△127

ⅲ 期待収益(リスク・フリー・レート分)

△25

748

722

ⅳ 期待収益(超過収益分)

46

599

646

ⅴ 保有契約価値からの移管

1,425

△1,425

 

うち前事業年度末保有契約

1,495

△1,495

 

うち当事業年度新契約

△69

69

ⅵ 前提条件(非経済前提)と実績の差異

383

△30

352

ⅶ 前提条件(非経済前提)の変更

40

40

ⅷ 前提条件(経済前提)と実績の差異

29

5,568

5,597

当事業年度末EEV

23,768

16,493

40,262

 

 

ⅰ 前事業年度末EEVの調整

かんぽ生命保険は当事業年度において213億円の株主配当金を支払っており、修正純資産がその分減少しております。

 

ⅱ 当事業年度新契約価値

新契約価値は、当事業年度に新契約を獲得したことによる契約獲得時点における価値を表したものであり、契約獲得に係る費用を控除した後の金額が反映されております。当事業年度において積極的な営業活動を自粛している一方、新契約獲得にはその多寡によらない一定の事業費等が必要となるため、新契約価値はマイナスになっております。

 

ⅲ 期待収益(リスク・フリー・レート分)

保有契約価値の計算にあたっては、将来の期待収益をリスク・フリー・レートで割り引いておりますので、時間の経過とともに割引の影響が解放されます。これには、オプションと保証の時間価値、必要資本を維持するための費用及びヘッジ不能リスクに係る費用のうち当事業年度分の解放を含んでおります。修正純資産からは、対応する資産からリスク・フリー・レート(△0.150%)分に相当する収益が発生しております。

 

ⅳ 期待収益(超過収益分)

EEVの計算にあたっては、将来の期待収益としてリスク・フリー・レートを用いておりますが、実際の会社はリスク・フリー・レートを超過する利回りを期待しております。この項目は、その期待される超過収益を表しております。

 

ⅴ 保有契約価値からの移管

当事業年度に実現が期待されていた利益が、保有契約価値から修正純資産に移管されます。これには、前事業年度末の保有契約から期待される当事業年度の利益と、当事業年度に獲得した新契約からの、契約獲得に係る費用を含めた当事業年度の損益が含まれております。

これらは保有契約価値から修正純資産への振替えであり、EEVの金額には影響しません。

 

ⅵ 前提条件(非経済前提)と実績の差異

前事業年度末の保有契約価値の計算に用いた前提条件(非経済前提)と、当事業年度の実績の差額であります。

 

 

ⅶ 前提条件(非経済前提)の変更

前提条件(非経済前提)を更新したことにより、翌事業年度以降の収支が変化することによる影響であります。

 

ⅷ 前提条件(経済前提)と実績の差異

市場金利やインプライド・ボラティリティ等の経済前提が、前事業年度末EEV計算に用いたものと異なることによる影響であります。当該影響は、当事業年度の実績及び翌事業年度以降の見積りの変更を含んでおります。

主に為替変動リスクのヘッジに伴う金融派生商品収益の発生により、修正純資産は29億円増加しております。

主に国内金利の変動や株価の上昇により、保有契約価値は5,568億円増加しております。

 

 

ホ.感応度(センシティビティ)

前提条件を変更した場合のEEVの感応度は以下のとおりであります。感応度は、一度に1つの前提のみを変化させることとしており、同時に2つの前提を変化させた場合の感応度は、それぞれの感応度の合計とはならないことにご注意ください。

 

(単位:億円)

前提条件

EEV

増減額

当事業年度末EEV

40,262

感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇

41,117

855

感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下

38,529

△1,732

感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)

38,223

△2,038

感応度4:株式・不動産価値10%下落

38,973

△1,288

感応度5:事業費率(維持費)10%減少

42,253

1,991

感応度6:解約失効率10%減少

40,382

120

感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下

41,369

1,107

感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下

39,254

△1,007

感応度9:必要資本を法定最低水準に変更

40,262

0

感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇

39,312

△949

感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇

39,687

△574

 

 

感応度1から4について、修正純資産の増減額は以下のとおりであります。また、感応度5から11については、保有契約価値のみの増減額となります。

 

 

(単位:億円)

前提条件

増減額

(参考)
会社合計の
増減額(注)

感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇

△792

△23,052

感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下

338

12,492

感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)

847

25,106

感応度4:株式・不動産価値10%下落

△65

△2,551

 

(注) 参考値として、保有契約に係る資産の含み損益も加えた増減額(税引後に換算)を示しております。なお、EEVの計算にあたって、保険契約に係る部分の資産の含み損益については、修正純資産ではなく、保有契約価値の計算に含めて評価しております。

 

 

当事業年度において積極的な営業活動を自粛しているため新契約量は小さく、新契約価値の感応度に重要性がないため、算定しておりません。

 

 

 

ⅰ 感応度1:リスク・フリー・レート50bp上昇

(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp上昇した場合の影響を表しております。金利の変動により時価が変動する債券・貸付金等を再評価するとともに、将来の運用利回りや割引率を変動させて保有契約価値を再計算しております。

(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。

 

ⅱ 感応度2:リスク・フリー・レート50bp低下

(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、50bpにより低下後のリスク・フリー・レートが0%を下回る場合は0%としております。ただし、50bp低下前のリスク・ フリー・レートが0%を下回る場合はその値をそのまま使用しております。

(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。

 

 

ⅲ 感応度3:リスク・フリー・レート50bp低下(低下後の下限なし)

(ⅰ)リスク・フリー・レート(フォワード・レート)が各年限とも50bp低下した場合の影響を表しております。なお、感応度2と異なり、リスク・フリー・レートの正負を判定せず、下限を設けずに50bp低下させております。

(ⅱ)リスク・フリー・レートについて、補外開始年度以降は終局金利を変えずに補外しております。

 

ⅳ 感応度4:株式・不動産価値10%下落

株式及び不動産の評価日時点の価格が10%下落した場合の影響を表しております。

 

ⅴ 感応度5:事業費率(維持費)10%減少

事業費率(契約維持に係るもの)が10%減少した場合の影響を表しております。

 

ⅵ 感応度6:解約失効率10%減少

解約失効率が10%減少(基本となる解約失効率に90%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。

 

ⅶ 感応度7:保険事故発生率(死亡保険)5%低下

死亡保険について、保険事故発生率(死亡率・罹患率)が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。

 

ⅷ 感応度8:保険事故発生率(年金保険)5%低下

年金保険について、保険事故発生率が5%低下(基本となる保険事故発生率に95%を乗じた水準)した場合の影響を表しております。

 

ⅸ 感応度9:必要資本を法定最低水準に変更

必要資本を法定最低水準(ソルベンシー・マージン比率200%水準)に変更した場合の影響を表しております。

 

ⅹ 感応度10:株式・不動産のインプライド・ボラティリティ25%上昇

オプションと保証の時間価値の計算に使用する、株式オプションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。

 

ⅺ 感応度11:金利スワップションのインプライド・ボラティリティ25%上昇

オプションと保証の時間価値の計算に使用する、金利スワップションのインプライド・ボラティリティが25%上昇した場合の影響を表しております。

 

ヘ.注意事項

EEVの計算においては、リスクと不確実性を伴う将来の見通しを含んだ多くの前提条件を使用し、それらの多くは個別会社の管理能力を超えた領域に属するものであります。また、将来の実績がEEVの計算に使用した前提条件と大きく異なる場合もあり得ます。

また、EEVの計算において新型コロナウイルス感染症の潜在的な影響を直接的には考慮しておりません。

これらの理由により、本EEV開示は、EEV計算に用いられた将来の税引後利益が達成されることを表明するものではなく、使用にあたっては、十分な注意を払っていただく必要があります。

 

ト.その他の特記事項

かんぽ生命保険では、保険数理に関する専門知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、EEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。

 

 

⑥ その他

上記各報告セグメントにおける事業のほか、病院事業については、地域医療機関との連携や救急患者の受入の強化等による増収対策、業務の効率化等による経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善を進めているところですが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた患者数の減少等により、営業収益13,042百万円(前期比1,005百万円減)、営業損失3,893百万円(前期は3,364百万円の営業損失)となりました。今後も引き続き上記増収対策や経費削減等、個々の病院の状況を踏まえた経営改善に取り組みます。

また、宿泊事業については、営業推進態勢の強化や宿のリニューアル等、サービス水準向上による魅力ある宿づくりを継続的に進めるとともに、費用管理による経費削減等の経営改善に取り組んでいるところですが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う、緊急事態宣言を受けた一部施設の一時休館、3密回避を図った宿泊者数の上限設定による利用者数の減少等の理由により、営業収益6,908百万円(前期比12,097百万円減)、営業損失11,573百万円(前期は6,379百万円の営業損失)となりました。今後もウィズコロナの新生活様式に適した安心・安全の施設であることをアピールしつつ、政府・各自治体等の観光業支援事業に合わせた施策を実施していくとともに、Webセールスの充実等による増収施策、原価管理の徹底等の生産性向上施策を着実に実施することにより、経営改善に取り組みます。

不動産事業については、当社の子会社である日本郵政不動産株式会社において「ホテル メルパルク」の賃貸・管理事業を行うとともに、グループ外不動産の取得や蔵前不動産開発(オフィス、高齢者施設、賃貸住宅、物流施設他)等に当連結会計年度に13,832百万円の投資を行いました。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるテナント賃料の減免及び支払猶予が一部発生しており、開発中の案件における竣工時期の遅延等も想定されますので、今後のマーケットへの影響、動向を引き続き注視し、必要な対策を適時適切に実施しつつ、不動産事業を慎重に進めてまいります。

投資事業については、日本郵政グループの新規事業の種を探すため、ネットワーク、ブランド力等を活用して成長が期待できる企業への出資(当連結会計年度に13件、約2,500百万円)を行い、出資先企業と当社グループとの連携を進めました。今後も、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大の影響など、投資先の事業環境の変化による投資先の価値や将来の成長性を見極めながら、出資等に取り組みます。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況及び分析・検討

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は当期首から9,034,097百万円増加し、62,637,954百万円となりました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動においては、銀行業における資金の運用や調達、生命保険業における保険料の収入や保険金の支払等の結果、6,965,155百万円の収入(前期比6,659,305百万円の収入増)となりました。

主な要因として、貯金の増加6,606,901百万円や借用金の増加3,907,400百万円、責任準備金の減少2,895,445百万円があげられます。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動においては、銀行業及び生命保険業における有価証券の売却、償還による収入等及び有価証券の取得による支出等の結果、2,015,201百万円の収入(前期比974,716百万円の収入増)となりました。

主な要因として、有価証券の償還による収入28,137,974百万円や有価証券の売却による収入5,705,239百万円、有価証券の取得による支出33,050,485百万円があげられます。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動においては、子会社における社債の発行等の結果、50,578百万円の収入(前期比48,424百万円の収入減)となりました。

主な要因として、社債の発行による収入198,798百万円、配当の支払による減少101,257百万円があげられます。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

中期経営計画において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やユニバーサルサービスを含むコアビジネスの充実強化等、グループの成長に資する投資として、デジタルサービスの拡充やデジタル郵便局実現等に向けた戦略的なIT投資や、グループ保有不動産等の不動産投資を計画しております。

また、上記の他に、当社グループ・グループ各社の企業価値向上に資する幅広い分野での資本提携やM&Aも実施いたします。なお、それらの実行にあたっては、投資判断基準等に照らして慎重に検討し、適切と判断したものを実施することとしております

その財源は、既存のキャッシュ・フローのほか、潤沢な借入余力を活かした借入金や金融2社株式を売却した場合の売却手取金を想定しています。

なお、現在予定している設備の新設計画としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備等の新設等」の記載をご参照ください。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。

当社グループは、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

特に以下の重要な会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼす可能性があると考えております。

 

 ① 金融商品の時価評価

当社グループの有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には合理的な見積りに基づいて算定された価額によっております。

一部の金融商品の時価算定には一定の前提条件を採用しているため、予測不能な前提条件の変化により、金融商品の評価に関する見積りが変動する可能性があります。

金融商品の時価の算定方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(金融商品関係)及び(デリバティブ取引関係)に、金融商品のうち有価証券の時価評価に用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い金融市場が混乱する場合、金融商品の時価評価における主要な仮定に影響が及び、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

 ② 有価証券の減損

当社グループの金銭の信託で運用する有価証券を含め売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価又は実質価額が著しく下落したものについては合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。株式市場の悪化等、将来の金融市場の状況によっては、多額の減損損失を計上する可能性があります。

 

 ③ 固定資産の減損

当社グループは、原則として内部管理上独立した業績報告が行われる単位を基礎として、資産のグルーピングを行っております。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としております。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき合理的に算定しております。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件が変更された場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

 ④ 繰延税金資産の回収可能性の評価

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積っております。

繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来、当社グループを取り巻く経営環境に大きな変化があった場合等、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。

 

 ⑤ 責任準備金の積立方法

当社グループは、保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。

責任準備金の計算に使用される予定死亡率、予定利率及び予定事業費率などの基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく乖離した場合や環境の変化により将来乖離が見込まれる場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。

なお、責任準備金の積立方法は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。

 

 ⑥ 退職給付債務及び退職給付費用

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率など将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。

このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び退職給付費用が変動する可能性があります。

なお、退職給付債務等の計算の基礎に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(退職給付関係)に、退職給付債務の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 ⑦ 保険金等支払引当金の計上基準

当社グループの保険金等支払引当金は、お客さまの不利益の解消に向けたご契約調査等による将来の保険金等の支払見込額等を、お客さまのご意向確認等の実績を踏まえ、合理的に見積り計上しております。保険金等支払引当金の計上等に係る詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(追加情報)の(保険契約に係る改善に向けた取組)に記載しております。

将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、保険金等支払引当金の計上額が当初の見積額から変動する可能性があります。

なお、保険金等支払引当金の計上基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。

 

(5) 連結自己資本比率の状況

銀行持株会社としての当社の連結自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。

なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。

 

連結自己資本比率(国内基準)

 

(単位:億円、%)

 

当連結会計年度末

1.連結自己資本比率(2/3)

17.55

2.連結における自己資本の額

110,426

3.リスク・アセット等の額

629,189

4.連結総所要自己資本額

25,167

 

(注) 連結総所要自己資本額は、上記3.に記載しているリスク・アセット等の額に4%を乗じた額であります。

 

 

(6) 連結ソルベンシー・マージン比率の状況

保険持株会社としての当社の連結ソルベンシー・マージン比率は、保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。

ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株価の大暴落など、通常の予測を超えて発生するリスクに対応できる「支払余力」を有しているかどうかを判断するための行政監督上の指標の一つであります。

この比率が200%を下回った場合は、当局によって早期是正措置がとられます。逆にこの比率が200%以上であれば、健全性の一つの基準を満たしていることになります。

当連結会計年度末における連結ソルベンシー・マージン比率は、674.9%となりました。

 

項目

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

ソルベンシー・マージン総額

(A)

16,096,056

20,278,927

 

資本金等

 

12,371,213

13,164,078

 

価格変動準備金

 

858,339

904,816

 

危険準備金

 

1,797,366

1,611,343

 

異常危険準備金

 

 

一般貸倒引当金

 

372

284

 

(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益
(税効果控除前))×90%(マイナスの場合100%)

 

△54,289

3,242,088

 

土地の含み損益×85%(マイナスの場合100%)

 

368,660

484,047

 

未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用の合計額(税効果控除前)

 

212,645

209,497

 

負債性資本調達手段、保険料積立金等余剰部分

 

542,807

664,059

 

 

保険料積立金等余剰部分

 

442,807

364,059

 

 

負債性資本調達手段等

 

100,000

300,000

 

 

不算入額

 

 

少額短期保険業者に係るマージン総額

 

 

控除項目

 

△1,059

△1,287

 

その他

 

リスクの合計額

〔{(R12+R52)1/2+R8+R92+(R2+R3+R7)21/2+R4+R6

(B)

5,808,221

6,009,050

 

保険リスク相当額

137,197

130,961

 

一般保険リスク相当額

 

巨大災害リスク相当額

 

第三分野保険の保険リスク相当額

54,172

49,371

 

少額短期保険業者の保険リスク相当額

 

予定利率リスク相当額

136,652

131,404

 

最低保証リスク相当額

 

資産運用リスク相当額

5,398,528

5,625,716

 

経営管理リスク相当額

269,733

249,105

ソルベンシー・マージン比率

(A)/{(1/2)×(B)}×100

 

554.2

674.9

 

(注) 保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。

 

 

(7) 目標とする経営指標の達成状況

当社グループにおいては、主要な経営目標として1株当たり当期純利益を採用しており、2021年3月期においては当初業績予想69.25円に対し1株当たり当期純利益103.44円となりました。2021年3月期の経営成績の状況及び分析・検討については、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績の状況及び分析・検討」に示しております。

 

(8) 生産、受注及び販売の状況

当社グループは、郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業、銀行業及び生命保険業を中心とした広範囲な事業を営んでおり、生産、受注といった区分による表示が困難であることから、「生産、受注及び販売の状況」については、上記「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営成績の状況及び分析・検討」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社グループの経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。

 

(1) 日本郵政グループ協定等

① 日本郵政グループ協定等の締結について

当社は、事業子会社等との間で、グループ協定等を締結しております。

グループ協定等において、当社及び事業子会社等が、グループ共通の理念、方針その他のグループ運営(グループ全体の企業価値の維持・向上のための諸施策の策定及びその遂行をいいます。)に係る基本的事項について合意することにより、金融2社の上場後においても、引き続きグループ会社が相互に連携・協力し、シナジー効果を発揮する体制を維持しております。グループ協定等の締結は、グループ会社、ひいてはグループ全体の企業価値の維持・向上に寄与していると考えております。

 

② ブランド価値使用料について

グループ協定等に基づき、当社は、事業子会社等からブランド価値使用料を受け取っております。ブランド価値使用料は、当社グループに属することにより、当社グループが持つブランド力を自社の事業活動に活用できる利益の対価、すなわち、郵政ブランドに対するロイヤリティの性格を有するものです。

ブランド価値使用料は、当社グループに属することによる利益が事業子会社等の業績に反映されていることを前提とし、事業子会社等が享受する利益が直接的に反映される指標を業績指標として採用し、業績指標に一定の料率を掛けて額を算定することとしており、2021年3月期のブランド価値使用料の総額は133億円です。

なお、主要な子会社のブランド価値使用料の具体的な算定方法及び2021年3月期の金額は次のとおりです。

 

日本郵便

算定方法:連結営業収益(トール社連結及びトールエクスプレスジャパン株式会社分を除く。)(前年度)

 ×0.20%

 金  額:64億円

ゆうちょ銀行

 算定方法:貯金残高(前年度平均残高)×0.0023%

 金  額:42億円

かんぽ生命保険

 算定方法:保有保険契約高(前年度末)×0.0036%

 金  額:27億円

この算定方法は、重大な経済情勢の変化等、特段の事情が生じない限り変更しないこととしております。

 

③ 金融2社株式の処分後のグループ協定等について

郵政民営化法第7条第2項の規定により、当社が保有する金融2社の株式は、その全部を処分することを目指し、金融2社の経営状況、ユニバーサルサービス提供に係る責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に、処分することとされていますが、当社による金融2社の議決権所有割合にかかわらず、金融2社は、それぞれ日本郵便株式会社法第2条第2項に定める関連銀行又は同条第3項に定める関連保険会社である限り、グループ協定等を維持するものと考えております。

 

 

(2) 銀行窓口業務契約及び保険窓口業務契約(期間の定めのない契約)

日本郵便は、日本郵便株式会社法第5条の責務として、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにするユニバーサルサービス義務を果たすために、ゆうちょ銀行との間で、銀行窓口業務契約を締結(2012年10月1日)するとともに、かんぽ生命保険との間で、保険窓口業務契約を締結(2012年10月1日)しております。

銀行窓口業務契約では、日本郵便が、ゆうちょ銀行を関連銀行として、通常貯金、定額貯金、定期貯金の受入れ及び普通為替、定額小為替、通常払込み、電信振替の取引を内容とする銀行窓口業務を営むこととしております。

保険窓口業務契約では、日本郵便が、かんぽ生命保険を関連保険会社として、普通終身保険、特別終身保険、普通養老保険及び特別養老保険の募集並びにこれらの保険契約に係る満期保険金及び生存保険金の支払の請求の受理の業務を営むこととしております。

なお、本契約は、期限の定めのない契約であり、特段の事由が生じた場合等を除き、当事者の合意がない限り解除することはできないものと定めております。

 

(3) 銀行代理業に係る業務の委託契約及び金融商品仲介業に係る業務の委託契約並びに生命保険募集・契約維持管理業務委託契約

① 銀行代理業に係る業務の委託契約及び金融商品仲介業に係る業務の委託契約(期間の定めのない契約)

日本郵便は、ゆうちょ銀行との間で、銀行代理業に係る業務の委託契約(2007年9月12日(締結)、2008年4月22日(変更)、2012年10月1日(変更)、2021年4月26日(変更))、金融商品仲介業に係る業務の委託契約(2007年9月12日(締結)、2012年10月1日(変更))を締結しております。

日本郵便が、銀行代理業に係る業務の委託契約に基づいて行う業務は、上記(2)の銀行窓口業務契約で定めた業務を含め、銀行代理業務、手形交換業務、告知事項確認業務等であります。

日本郵便が、金融商品仲介業に係る業務の委託契約に基づいて行う業務は、金融商品仲介業務、本人確認事務等であります。

なお、本契約は、期限の定めのない契約であり、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、本契約を解除する旨の協議を申し入れることができ、解除について合意にいたらない場合、書面による通知により解除することができるものと定めております。銀行窓口業務に該当する業務については、上記(2)の契約に定めがある場合を除くほかは、本契約の定めるところによります。

 

② 生命保険募集・契約維持管理業務委託契約(期間の定めのない契約)

日本郵便は、かんぽ生命保険との間で、生命保険募集・契約維持管理業務の委託契約を締結(2007年9月12日(締結)、2012年10月1日(変更)、2014年9月30日(変更)、2016年3月31日(変更))しております。

日本郵便が、生命保険募集・契約維持管理業務の委託契約に基づいて行う業務は、上記(2)の保険窓口業務契約で定めた業務を含め、保険契約の締結の媒介、保険金、年金、返戻金、貸付金及び契約者配当金等の支払等であります。

なお、本契約は、期限の定めのない契約であり、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、本契約を解除する旨の協議を申し入れることができ、解除について合意にいたらない場合、書面による通知により解除することができるものと定めております。保険窓口業務に該当する業務については、上記(2)の契約に定めがある場合を除くほかは、本契約の定めるところによります。

 

(4) 郵便貯金管理業務委託契約及び簡易生命保険管理業務委託契約等(期間の定めのない契約)

ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険は、郵政管理・支援機構の業務である郵便貯金管理業務(公社から承継した郵便貯金の管理に関する業務等)及び簡易生命保険管理業務(同簡易生命保険契約の管理に関する業務等)の一部(払戻し、利息支払等)について、郵政管理・支援機構とそれぞれ郵便貯金管理業務委託契約、簡易生命保険管理業務委託契約を締結し委託を受けております。

また、ゆうちょ銀行は郵政管理・支援機構との間で郵便貯金資産(郵便貯金管理業務の経理を区分する郵便貯金勘定に属する資産)の運用のための貯金に係る契約を、かんぽ生命保険は郵政管理・支援機構との間で簡易生命保険契約の再保険に係る契約をそれぞれ締結しております。

さらに、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険は、郵政管理・支援機構との間で郵政管理・支援機構が保有する郵便貯金の預金者、簡易生命保険の契約者及び地方公共団体に対する貸付金の総額に相当する額について、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの借入金として郵政管理・支援機構がそれぞれ債務を負うものとする契約を締結しております。

なお、郵便貯金管理業務委託契約、簡易生命保険管理業務委託契約及び簡易生命保険契約の再保険に係る契約の変更又は解除は、総務大臣の認可が必要とされております。

 

(5) 郵便貯金管理業務の再委託契約及び簡易生命保険管理業務再委託契約

① 郵便貯金管理業務の再委託契約(期間の定めのない契約)

ゆうちょ銀行は、日本郵便との間で、ゆうちょ銀行が郵政管理・支援機構から受託している郵便貯金管理業務について、日本郵便が郵便貯金管理業務の一部を営むこととする郵便貯金管理業務の再委託契約(2007年9月12日(締結)、2008年9月30日(変更)、2012年10月1日(変更))を締結しております。

なお、本契約は、期間の定めのない契約であり、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、本契約を解除する旨の協議を申し入れることができ、書面により本契約の解除を通知することができるものと定めております。

 

② 簡易生命保険管理業務再委託契約(期間の定めのない契約)

かんぽ生命保険は、日本郵便との間で、かんぽ生命保険が郵政管理・支援機構から受託している簡易生命保険管理業務について、日本郵便が簡易生命保険管理業務の一部を営むこととする簡易生命保険管理業務再委託契約(2007年9月12日(締結)、2012年10月1日(変更))を締結しております。

なお、本契約は、期間の定めのない契約であり、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、事業運営上の合理的な理由により本契約を解約する旨、書面による通知を行い、解約することができるものと定めております。

 

(6) 総括代理店委託契約(1年ごとの自動更新)

かんぽ生命保険は、かんぽ生命保険を保険者とする生命保険契約の募集を行う簡易郵便局に対する指導・教育等について、日本郵便と総括代理店契約(2007年9月12日(締結)、2012年10月1日(変更))を締結しております。

なお、本契約は、契約当事者のいずれか一方から、6カ月前までに、事業運営上の合理的な理由により本契約を解約する旨、書面による通知を行い、解約することができるものと定められております。また、生命保険募集・契約維持管理業務委託契約(上記(3)②)が解除された場合は、予告なしに解除することができるものと定められております。

 

(参考1) ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの委託手数料

日本郵便は、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険との間で、上記(2)、(3)、(5)、(6)に係る業務の対価としての委託手数料の算定方法等を定めております。

ゆうちょ銀行とは、委託手数料支払要領を締結しており、2020年3月期からは基本委託手数料として、平均総預かり資産残高に応じて支払われる「貯金や投資信託等の預かり資産に係る事務等」、送金決済取扱件数に応じて支払われる「送金決済その他役務の提供事務等」の手数料を設定しております。

これに営業目標達成や事務品質の向上を確保するため、成果に見合った「営業・事務報奨」を合わせた手数料となっております。

基本委託手数料は、ゆうちょ銀行での単位業務コストをベースに、日本郵便での取扱実績等に基づき委託業務コストに見合う額を算出し、その前年度からの増減率を、前年度の基本委託手数料に乗じて算出することとしております。

かんぽ生命保険とは、代理店手数料規程等を定めており、募集した新契約に応じて支払われる「新契約手数料」、保有契約件数等に応じて支払われる「維持・集金手数料」、総括代理店契約業務に対して支払われる「総括代理店手数料」が設定されています。

「新契約手数料」には、募集品質の確保を前提に一定基準以上の実績を確保した場合にボーナス手数料等のインセンティブの仕組みを設定する場合があります。2022年3月期においては、2021年3月期に引き続き、募集品質の向上に対するインセンティブの仕組みを実施しております。

また、「維持・集金手数料」には、契約維持管理のための活動促進等を目的にその活動内容に応じたインセンティブ手数料を設定しております。2022年3月期においては、2021年3月期に引き続き、保有契約の維持に対するインセンティブの仕組みを実施しております。

募集手数料は複数年の分割払いとなっており、最初の1年間の支払金額を高く、残りの期間を均等に低く支払うこととしておりましたが、2021年3月期から、契約の継続をより重視するため、最初の1年間の支払金額と残りの期間に支払う金額の比率を変更し、最初の1年間の支払金額を減額し、残りの期間の支払金額を増額しております。維持・集金手数料に設定されている単価は、実地調査に基づく所要時間や、これに係る人件費等を基に算出しております。

 

(参考2) 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律の概要及び金融2社との業務委託契約への影響

2018年12月1日、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律が施行されました。これにより、2019年4月1日に独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構の名称が「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」に変更され、また、郵政管理・支援機構の目的として、「郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金を交付することにより、郵政事業に係る基本的な役務の提供の確保を図り、もって利用者の利便の確保及び国民生活の安定に寄与すること」が追加されました。

郵便局ネットワーク維持に要する費用は、従来、日本郵便と関連銀行・関連保険会社との間の契約に基づく委託手数料により賄われていましたが、当該費用のうち、日本郵便が負担すべき額を除くユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用は、本法に基づき、2020年3月期から、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われています。

当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用の算定方法は、直近の郵便局ネットワークの維持の状況を基礎とした次の費用の合計額となります。

ア あまねく全国において郵便局でユニバーサルサービスが利用できるようにすることを確保するものとなるように郵便局ネットワークを最小限度の規模の郵便局により構成するものとした場合における人件費、賃借料、工事費その他の郵便局の維持に要する費用、現金の輸送及び管理に要する費用、並びに固定資産税及び事業所税

イ 簡易郵便局で郵政事業に係る基本的な役務が利用できるようにすることを確保するための最小限度の委託に要する費用

当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用及び交付金・拠出金の算定等に係る郵政管理・支援機構の事務経費は、郵便窓口業務、銀行窓口業務又は保険窓口業務において見込まれる利用者による郵便局ネットワークの利用の度合等に応じて按分され、銀行窓口業務に係る按分額をゆうちょ銀行が、保険窓口業務に係る按分額をかんぽ生命保険が拠出金として拠出することとなり、拠出金の額は郵政管理・支援機構が年度ごとに算定し、総務大臣の認可を受けることとされております。

また、2020年3月期から、当該ユニバーサルサービス確保のために不可欠な費用は、日本郵便が負担すべき額を除き、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険からの拠出金を原資として郵政管理・支援機構から日本郵便に交付される交付金で賄われることとなり、これを契機にゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険が業務委託契約等に基づいて日本郵便に支払っている委託手数料についても2020年3月期から見直しを行っております。銀行代理業務手数料は、郵便局ネットワーク維持に係る「窓口基本手数料」を廃止するなど、保険代理業務手数料は、保有契約件数等に応じて支払われる「維持・集金手数料」のうち、郵便局数等に応じて支払われる手数料を対象に減額するなどの見直しを行いました。

 

 

過去5年間の金融2社からの手数料及び郵政管理・支援機構からの交付金の推移は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:億円)

 

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

ゆうちょ銀行

6,124

5,981

6,006

3,697

3,663

かんぽ生命保険

3,927

3,722

3,581

2,487

2,070

交付金

2,952

2,934

 

(注)  2021年3月期のかんぽ生命保険の手数料合計額は不適正契約に伴う保険手数料の影響により、かんぽ生命保険が同日付で提出する有価証券報告書に記載されている手数料額と一致しません。

 

金融2社から郵政管理・支援機構への拠出金の推移は以下のとおりです。

 

 

 

(単位:億円)

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月期

ゆうちょ銀行

2,378

2,374

2,370

かんぽ生命保険

575

560

540

 

 

 

(参考3) 郵政管理・支援機構と契約している業務委託契約の関係は以下のとおりになります。

① 郵便貯金管理業務委託契約


 

② 簡易生命保険管理業務委託契約


 

 

(参考4) 郵便局ネットワーク支援の関係は以下のとおりになります。


 

(7) 郵便局局舎の賃貸借契約

日本郵便は、日本郵便の営業所である郵便局を関係法令に適合するように設置するため、15,298局の郵便局局舎(2021年3月31日現在)について賃貸借契約を締結しております。このうち従業員等との間で賃貸借契約を締結している局舎の数が4,609局となっておりますが、これは明治初期の国家財政基盤が不安定な時代にあって、予算的な制約を乗り越え、郵便を早期に全国に普及させるため、地域の有力者が業務を請け負い、郵便局の局舎として自宅を無償提供したことが起源となっているものです。また、1948年4月に従業員の局舎提供義務が廃止されたことに伴い、すべての郵便局局舎について賃貸借契約を締結することといたしました。その後、郵便局の新規出店、店舗配置の見直し等を通じた郵便局ネットワークの最適化を推進しており、賃貸借契約についても必要に応じて見直しを行い、現在に至っております。

郵便局局舎の賃借料については、従業員等との賃貸借契約を含め、積算法又は賃貸事例比較法に基づき算定しており、定期的に不動産鑑定士による検証等の見直しを実施しています。最近5年間の賃借料総額の実績は、2016年度分597億円、2017年度分595億円、2018年度分594億円、2019年度分594億円、2020年度分593億円になっています。

一部の郵便局局舎の賃貸借契約については、日本郵便の都合で、その全部又は一部を解約した場合で、貸主が当該建物を他の用途に転用することが出来ず損失を被ることが不可避な場合には、貸主から補償を求めることが出来る旨を契約書に記載しております。解約補償額は、貸主が郵便局局舎に対して投資した総額のうち、解約時における未回収投資額を基礎に算出することとしておりますが、2021年3月31日現在、発生する可能性のある解約補償額は64,872百万円です。なお、日本郵便の都合により解約した場合であっても、局舎を他用途へ転用する等のときは補償額を減額することから、全額が補償対象とはなりません。

賃貸借契約の契約期間は、2010年6月までに締結した契約については1年間の自動更新となっておりますが、これまで郵便局局舎は長期間、使用しているという実態を踏まえ経済合理性の観点から、長期賃貸を前提とした契約内容に見直しを行ったため、2010年7月以降に締結する契約については、税法上の耐用年数に10年を加えた年数としております。

 

(8) 簡易郵便局の郵便窓口業務等委託契約

日本郵便は、簡易郵便局受託者(2021年3月31日現在、3,689者)との間で、郵便窓口業務及び印紙の売りさばきに関する業務の委託契約、荷物の運送の取扱いに関する業務の委託契約、銀行代理業に係る業務の再委託契約、郵便貯金管理業務の再再委託契約、生命保険契約維持管理業務の再委託契約、簡易生命保険管理業務の再再委託契約及びカタログ販売等業務に係る委託契約(受託者によっては各契約の一部)を締結しております。なお、簡易郵便局の郵便窓口業務等委託契約の期間は3年間であります。

また、かんぽ生命保険は、簡易郵便局受託者(2021年3月31日現在、506者)との間で、生命保険募集委託契約を締結しております。

 

 

(参考) 簡易郵便局受託者の資格については、簡易郵便局法の規定により、禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しないもの等を除く、以下の者でなければならないと定められております。

① 地方公共団体

② 農業協同組合

③ 漁業協同組合

④ 消費生活協同組合(職域による消費生活協同組合を除く。)

⑤ ①から④までの者のほか、十分な社会的信用を有し、かつ、郵便窓口業務及び印紙の売りさばきに関する業務を適正に行うために必要な能力を有する者

 

(9) 米国アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命保険株式会社との資本関係に基づく戦略提携に関する基本合意書

当社は、2018年12月19日開催の取締役会において、アフラック・インコーポレーテッド(本社:米国ジョージア州、会長兼最高経営責任者:ダニエル・P・エイモス)及びその完全子会社であるアフラック生命保険株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:古出眞敏、以下「アフラック生命」といいます。)と資本関係に基づく戦略提携(以下「戦略提携」といいます。)を行うことを決議し、同日付で戦略提携に関する基本合意書を締結いたしました。

 

① 基本合意書の目的

当社とアフラック生命は、長年に亘り、当社の連結子会社である日本郵便及びかんぽ生命保険とともに行ってきたがん保険に関する様々な取組みを通じて、ビジネスパートナーとして強固な信頼関係を確立してきました。

戦略提携は、これまでのがん保険に関する取組みについて再確認するとともに、当社によるアフラック生命の親会社アフラック・インコーポレーテッドへの投資を通じて、アフラック生命のビジネスの成長が当社への利益貢献につながるという双方の持続的な成長サイクルの実現を目指すものです。

 

② 基本合意書の内容

 (a) 資本関係

当社は、必要な許認可等の取得を前提として、アフラック・インコーポレーテッド普通株式の発行済株式総数(自己株式を除く。)の7%程度を、信託を通じて取得します。取得から4年経過し議決権が20%以上となった後(※)、アフラック・インコーポレーテッドを当社の持分法適用関連会社とすることを主たる内容とする資本関係を構築します。

これは、当社によるアフラック・インコーポレーテッドの支配権もしくは経営権の獲得又は経営への介入を目的とするものではありません。

なお、2019年4月29日に、信託を通じて、アフラック・インコーポレーテッド普通株式の取得を開始し、2020年2月13日をもって、予定していた株式数の取得を完了しました。

(※)アフラック・インコーポレーテッドでは、定款の規定により、原則として、普通株式を48か月保有し続けると、1株につき10議決権を行使することができます。

 (b) がん保険に関する取組みの再確認

当社及びアフラック生命は、日本郵便及びかんぽ生命保険との間で実施してきたがん保険に関する取組みを再確認し、今後も進展させるべく合理的な努力を行います。

 (c) 新たな協業の取組みの検討

がん保険に関する取組みに加えて、当社、日本郵便、かんぽ生命保険及びアフラック生命の各社の企業価値向上に資することを目的とした新商品開発における協力や、デジタルテクノロジーの活用、国内外での事業展開や第三者への共同投資における協力、資産運用における協力など新たな協業の取組みの検討を行います。

 (d) 最高経営者会議及び戦略提携委員会

当社、アフラック・インコーポレーテッド及びアフラック生命は、当社及びアフラック・インコーポレーテッドの各最高経営執行者による定例会議を「最高経営者会議」として引き続き活用し、戦略提携に関する事項も協議します。

また、これまで当社、日本郵便、かんぽ生命保険及びアフラック生命の間で開催してきた、各社の代表執行役、代表取締役等による定例会議を「戦略提携委員会」として引き続き活用し、戦略提携に関する事項も協議します。

 

 (10) 楽天グループとの資本・業務提携

当社、日本郵便及び楽天株式会社(東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長三木谷浩史、2021年4月1日に楽天グループ株式会社に社名変更/以下「楽天」)は、物流、モバイル、DXなど様々な領域での連携を強化することを目的に、2021年3月12日、業務提携合意書を締結しました。

また、当社と楽天は、両社グループ間の関係を強化するため、同日、当社による楽天への出資を内容とする株式引受契約を締結しました。

日本郵政グループは、全国を網羅する郵便局や物流のネットワークを基盤に、人々の生活に必要不可欠な社会インフラとしての役割を担っています。一方、楽天グループは70 以上のサービスと1億以上の楽天会員を有し、独自の経済圏を形成しています。

両社グループは、本資本・業務提携に基づき、お客さまの利便性の向上、地域社会への貢献、そして事業の拡大を目的に、両社グループの経営資源や強みを効果的に生かしたシナジーの最大化を図ります。

また、両社グループは、引き続き、関係の更なる深化の可能性について幅広く検討してまいります。
 

① 業務提携の概要

両社グループは、以下の内容の業務提携を行うこととし、詳細を協議します。

(a) 物流

・共同の物流拠点の構築

・共同の配送システム及び受取サービスの構築

・日本郵便及び楽天の両社が保有するデータの共有化

・新会社設立を含む物流DXプラットフォームの共同事業化

・RFC(楽天フルフィルメントセンター)の利用拡大及び日本郵便のゆうパック等の利用拡大に向けた、日本郵便・楽天両社の協力・取り組み

(b) モバイル

・郵便局内のイベントスペースを活用した楽天モバイルの申込み等カウンターの設置

・日本郵便の配達網を活用したマーケティング施策の実施

(c) DX

・楽天グループから日本郵政グループに対するDXに精通する人材の派遣

・楽天グループによる日本郵政グループのDX推進への協力

 

 また、両社グループは、業務提携を目指して以下の事項について検討します。
(d) 金融
 ・キャッシュレスペイメント分野等での協業
 ・保険分野での協業
(e) EC
 ・物販分野での協業

両社グループは、以上のほかにも企業価値の向上に資する戦略的な提携について協議、検討します。

 

② 出資の概要

・出資方法 第三者割当増資による募集株式の引受け

・引受株式数 131,004 千株

・出資金の額 149,999 百万円・出資比率 8.32%
・出資金の払込期日 2021 年3月29 日(月)

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。